JP2931629B2 - L‐トリプトファンの晶析方法 - Google Patents

L‐トリプトファンの晶析方法

Info

Publication number
JP2931629B2
JP2931629B2 JP12902090A JP12902090A JP2931629B2 JP 2931629 B2 JP2931629 B2 JP 2931629B2 JP 12902090 A JP12902090 A JP 12902090A JP 12902090 A JP12902090 A JP 12902090A JP 2931629 B2 JP2931629 B2 JP 2931629B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tryptophan
temperature
lower alcohol
aliphatic lower
added
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP12902090A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0423993A (ja
Inventor
俊男 松本
俊昭 上口
忠義 右田
信裕 福原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP12902090A priority Critical patent/JP2931629B2/ja
Publication of JPH0423993A publication Critical patent/JPH0423993A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2931629B2 publication Critical patent/JP2931629B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はL−トリプトファンの晶析方法に関するもの
である。L−トリプトファンは必須アミノ酸の一つであ
り医薬品、飼料などに使用される有用な化合物である。
〔従来の技術と発明が解決しようとする課題〕
L−トリプトファンの製造法としては、合成法、発酵
法、酵素法等、種々の方法が知られている。特に発酵法
や酵素法においては、菌体に由来する着色成分が最終製
品であるL−トリプトファン結晶に混入し、色調を著し
く損ねてしまうという問題点がある。L−トリプトファ
ンの色調を改善する方法としては、L−トリプトファ
ンを含水低級脂肪族カルボン酸または低級脂肪族アルコ
ールとの混合物中でハイドロサルファイトを添加して還
流温度まで加熱し、熱時濾過する方法(特開昭55−7216
4)、含水イソプロパノール中、活性炭を併用して再
結晶させる方法(特開昭59−45898)、L−トリプト
ファンのアルカリ溶液に低級アルコールまたはケトン類
を添加し、L−トリプトファンの転移点(具体的には約
60℃)以上の温度でアルカリ側から中和晶析させる方法
(特開昭59−39857)、L−トリプトファンの反応液
を濃縮後、脂肪族低級アルコールを添加して晶析を行う
方法(特開昭60−30694)等、種々知られている。
ところが、の方法は、L−トリプトファンの結晶を
濾過回収する前段に熱濾過の工程が必要なため全工程が
一段長くなるという欠点がある。の方法は、再結晶を
意図した方法なので、再結晶工程を含まないL−トリプ
トファンの製造方法に適用することはできない。の方
法は、晶析温度が高いため回収率が低くなるという欠点
がある。また、該特許の開示するところでは、L−トリ
プトファンの製造が酸性側でなされている場合には、中
和時多量の塩が生じるため製品の純度を低下させる。ま
た、の特許の実施例記載の温度(室温)で脂肪族低級
アルコールを添加すると、本発明明細書の実施例に例示
するように脱色効果が劣る、といった問題点がある。
本発明の目的は、簡単な操作で色調の改善された、商
品価値の高いL−トリプトファンを製造する方法を提供
することである。特に再結晶工程を含まない製造方法に
適用できる晶析方法を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
L−トリプトファンは約60℃を境界にして、それ以上
の温度で板状または鱗片状の結晶形をとるのに対し、そ
れ未満の温度では微細な針状晶をとる。これらの違いは
結晶の顕微鏡観察によって知ることができる。その境界
温度を転移点と呼ぶ。付着母液を少なくし、色調のよい
結晶を得るためには、転移点以上の温度で結晶化させて
板状または鱗片状の結晶を得るのが有利である。このよ
うなL−トリプトファンの転移点以上の温度で脂肪族低
級アルコールを添加する方法は、特開昭59−39857とし
て従来から知られている。該特許ではL−トリプトファ
ンのアルカリ性水溶液に脂肪族低級アルコールを添加
し、L−トリプトファンの転移点以上の温度でアルカリ
性側から中和晶析する方法を開示している。しかし、該
方法は前述したような問題を有している。
本発明者らは脂肪族低級アルコールを添加してL−ト
リプトファンを晶析させる方法について、鋭意検討した
結果、L−トリプトファンの特定のpH領域の水溶液に、
特定の温度範囲内で、脂肪族低級アルコールを添加する
ことによって、色調のきわめて良いL−トリプトファン
結晶の得られることを見い出し、本発明を完成するに至
った。
即ち、本発明は脂肪族低級アルコールを添加してL−
トリプトファンを晶析させる方法において、L−トリプ
トファンのpH4〜6の水溶液に、60℃から含水脂肪族低
級アルコールの還流温度の温度範囲内で、脂肪族低級ア
ルコールを添加することを特徴とするL−トリプトファ
ンの晶析方法である。
以下、本発明の方法を詳細に説明する。
本発明方法で用いられるL−トリプトファンの水溶液
とは、L−トリプトファンの発酵除菌液、酵素反応後の
除菌液、樹脂溶離液等でpH4〜6のもの、さらに好まし
くはpH4.0〜5.5のものをさす。溶液の水素イオン濃度が
pH6を越えたりpH4未満ではL−トリプトファンの水に対
する溶解度が急激に増加するため結晶の収率が低下し、
工業的な利用には不利である。
脂肪族低級アルコールを添加する時のL−トリプトフ
ァン濃度は5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%とす
るのがよい。すなわち、脂肪族低級アルコールを添加す
る時点で若干量のL−トリプトファン結晶が種晶として
生じている方が好ましい結果をもたらす。溶液のL−ト
リプトファンの濃度が低い場合にはこの濃度に濃縮す
る。濃縮操作時にハイドロサルファイトを0.05〜0.5重
量%、好ましくは0.1重量%程度添加して行うとなお効
果的である。
このL−トリプトファン溶液を、含水脂肪族低級アル
コールの還流温度以下でL−トリプトファンの転移点で
ある60℃以上の範囲に加熱し、脂肪族低級アルコールを
添加する。溶液を常圧加熱濃縮する場合は濃縮液をこの
温度範囲まで冷却した時点で脂肪族低級アルコールを添
加すればよい。脂肪族低級アルコールを添加する温度は
重要で、実施例に示すように60℃未満では効果がない。
すなわち、水系溶媒中で転移点以上の温度で結晶を起晶
させた上で脂肪族低級アルコールを添加することによ
り、含水脂肪族低級アルコール溶媒系にて着色物質の混
入の少ない結晶が成長するのである。結晶を成長させる
温度は転移点以下であってもよい。
脂肪族低級アルコールはその濃度が5重量%以上にな
るように添加する。5重量%未満では精製の効果に乏し
いことがある。また、70〜80重量%のような高濃度にす
る必要はなく必要以上の脂肪族低級アルコールの添加は
工業的メリットが無いだけでなく、L−トリプトファン
の収率も低下することがあるので、通常は不純物の含有
量にあわせて20〜60重量%の範囲の濃度で実施するのが
好ましい。ここで言う脂肪族低級アルコールとは、メタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノ
ールのごときものである。続いて溶液を徐冷してL−ト
リプトファンを晶析させる。L−トリプトファンの溶液
を最終的に20℃以下に冷却し、2〜40時間にわたって弱
く撹はんしながら結晶を成長させる。晶析したL−トリ
プトファンを濾過により回収し、水もしくは含水脂肪族
低級アルコールで洗浄し、望ましくは80℃以下の空気ま
たは窒素雰囲気下で乾燥すれば、着色成分をほとんど含
まない色調優良なL−トリプトファンが得られる。ま
た、固液分離により分離された母液中の脂肪族低級アル
コールは、常法により脂肪族低級アルコール−水共沸系
で回収できる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明す
る。
実施例1 トリプトファンシンターゼ生産菌、エシェリヒア・コ
リMT10242(FERM BP−20)の培養菌体を集菌し、集菌体
を酵素として用いた。L−セリン、ピリドキサルリン酸
を含む水溶液をpH8.5に調整し、該集菌体を懸濁させ
た。菌体を懸濁させたL−セリン水溶液にインドールを
トルエンに溶解した溶液を加え、撹はんしながら35℃で
24時間反応させた。L−トリプトファンは定量的に生成
した。反応液中のトルエンを留去し、還流温度において
L−トリプトファンが溶解できる程度に水を加えて希釈
し、硫酸を滴下してpH4に調整した。活性炭を添加し還
流温度で1時間加熱することによって菌体をフロック化
させ、かつ活性炭に吸着させた。これを熱濾過し、廃活
性炭の湯洗をしてL−トリプトファン126gを含む除菌水
溶液5284gを得た。この水溶液はpH4.8であった。L−ト
リプトファンの除菌水溶液1321gにハイドロサルファイ
ト1.3gを添加し232gまで95〜100℃で常圧濃縮した。濃
縮液はL−トリプトファンを31.5g含み、濃度は13.5重
量%だった。この濃縮液を70℃以下の様々な温度まで徐
冷しイソプロパノールを74.5g添加した。さらに1時間
保温後、15℃まで徐冷しこの温度で2時間、結晶の熟成
を行った。晶析したL−トリプトファンを濾過し、30重
量%含水イソプロパノール100gで洗浄した。この湿結晶
を75℃で減圧乾燥した。また対照としてイソプロパノー
ルを添加しない精製もおこなった。
結果を表1に示す。
実施例2 実施例1と同様の方法で、L−トリプトファンの合成
反応を行い、反応液中のトルエンを留去した。還流温度
においてL−トリプトファンが溶解できる程度に水を加
えて希釈し、硫酸を滴下してpH5に調整した。活性炭を
添加して還流温度で1時間加熱することによって菌体を
フロック化させ、かつ活性炭に吸着させた。これを熱濾
過し、廃活性炭の湯洗をしてL−トリプトファン124gを
含む除菌水溶液5280gを得た。この水溶液はpH5.4であっ
た。
L−トリプトファンの除菌水溶液を1321gずつ分注
し、それぞれに硫酸を加えて、pH3.0、pH4.0に調整し
た。なお、pH5.4のままで調整しないものも用意した。
これらのL−トリプトファンの除菌水溶液にハイドロサ
ルファイト1.3gを添加し232gまで95〜100℃で常圧下濃
縮した。濃縮液はL−トリプトファンを31.5g含み、濃
度は13.5重量%だった。この濃縮液を70℃まで徐冷しイ
ソプロパノールを74.5g添加した。さらに1時間保温
後、15℃まで徐冷しこの温度で2時間、結晶の熟成を行
った。晶析したL−トリプトファンを濾過し、30重量%
含水イソプロパノール100gで洗浄した。この湿結晶を75
℃で減圧乾燥した。結果を表2に示す。
〔発明の効果〕 本発明方法に従うと色調の改善された商品価値の高い
L−トリプトファンを製造することができる。特に除菌
操作等の酸性側での精製操作につなげて実施できる、と
いう今までにない効果があり、工業的なL−トリプトフ
ァンの製造法として好適である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脂肪族低級アルコールを添加してL−トリ
    プトファンを晶析させる方法において、L−トリプトフ
    ァンのpH4〜6の水溶液に、60℃から含水脂肪族低級ア
    ルコールの還流温度の温度範囲内で、脂肪族低級アルコ
    ールを添加することを特徴とするL−トリプトファンの
    晶析方法。
JP12902090A 1990-05-21 1990-05-21 L‐トリプトファンの晶析方法 Expired - Fee Related JP2931629B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12902090A JP2931629B2 (ja) 1990-05-21 1990-05-21 L‐トリプトファンの晶析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12902090A JP2931629B2 (ja) 1990-05-21 1990-05-21 L‐トリプトファンの晶析方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0423993A JPH0423993A (ja) 1992-01-28
JP2931629B2 true JP2931629B2 (ja) 1999-08-09

Family

ID=14999171

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12902090A Expired - Fee Related JP2931629B2 (ja) 1990-05-21 1990-05-21 L‐トリプトファンの晶析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2931629B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4361130A1 (en) * 2022-10-31 2024-05-01 Illinois Tool Works Inc. Method of treating a chemical product

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4361130A1 (en) * 2022-10-31 2024-05-01 Illinois Tool Works Inc. Method of treating a chemical product

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0423993A (ja) 1992-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6218574B1 (en) Process for purifying long-chain dicarboxylic acid
JPWO2008078448A1 (ja) 塩基性アミノ酸塩酸塩結晶の取得方法
JPH0331258A (ja) トリプトファンの精製方法
WO1989004831A1 (en) Glycoside hydrolysis
JP2931629B2 (ja) L‐トリプトファンの晶析方法
US5070208A (en) Method for crystallization of optically active tryptophan
JP3528205B2 (ja) L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニンの製造方法
JPH0623182B2 (ja) L−システイン塩酸塩1水和物を分離する方法
WO2005090306A1 (en) Process for the purification of tryptophan
JPS6338B2 (ja)
KR940000810B1 (ko) 결정상태의 글루타민산을 제조하는 방법
JPS60169451A (ja) L−フエニルアラニンの分離精製法
JPS60133893A (ja) L−フエニルアラニンの製造方法
US4588818A (en) Method for recovery of optically active tryptophane
US3812188A (en) Purification of 7-chlorotetracycline
US3206506A (en) Separation of acetylglutamine
JPS61126070A (ja) L−トリプトフアンの脱色精製方法
JP2951785B2 (ja) L−フェニルアラニンの晶析方法
JPS604168A (ja) トリプトフアンの晶析法
KR870001146B1 (ko) L-트립토판의 분리방법
JPS5945896A (ja) L−トリプトフアンの分離方法
JP3325433B2 (ja) S−フェニル−l−システイン塩酸塩の製造法
JPS6030694A (ja) L−トリプトフアンの分離精製方法
JPH05244964A (ja) バンコマイシン系抗生物質の晶析方法
JPS6125359B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees