JPH05244964A - バンコマイシン系抗生物質の晶析方法 - Google Patents

バンコマイシン系抗生物質の晶析方法

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JPH05244964A
JPH05244964A JP33993991A JP33993991A JPH05244964A JP H05244964 A JPH05244964 A JP H05244964A JP 33993991 A JP33993991 A JP 33993991A JP 33993991 A JP33993991 A JP 33993991A JP H05244964 A JPH05244964 A JP H05244964A
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JP
Japan
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vancomycin
crystallization
temperature
antibiotic
solution
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JP33993991A
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Inventor
Kobei Kobayashi
弘兵衛 小林
Shigeo Yagi
滋雄 八木
Takayasu Sonoyama
高康 園山
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Shionogi and Co Ltd
Original Assignee
Shionogi and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 バンコマイシン系抗生物質の弱酸性溶液を、
晶析が始まる前に冷却しpHを等電点付近に調整した後、
得られた溶液を昇温することによりバンコマイシン系抗
生物質を晶析させる。 【効果】 本発明の晶析操作で得られる結晶は、粒径の
大きな結晶となり、容易に濾過することができるため、
本発明の晶析方法は商業的スケ−ルのバンコマイシン系
抗生物質の製造に極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バンコマイシン系抗生
物質の弱酸性溶液を、晶析が始まる前に冷却しpHを等電
点付近に調整した後、得られた溶液を昇温することによ
りバンコマイシン系抗生物質を晶析させることを特徴と
するバンコマイシン系抗生物質の晶析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】グリコペプチド系、特に、バンコマイシ
ン系抗生物質は、弱酸性〜弱アルカリ性で比較的安定で
あるが、弱アルカリでは弱酸性に比べて不安定であり、
かつ、変色することがあるため、通常、硫酸、塩酸など
で弱酸性(約pH 2.0〜4.0)溶液とした後、その精製が
行なわれる。
【0003】そのため、バンコマイシン系抗生物質を晶
析するには、通常、その弱酸性溶液を等電点付近の弱ア
ルカリとする。この弱酸性溶液を弱アルカリとすると
き、pH6〜7において、バンコマイシン系抗生物質は微細
な結晶または不定形となり、濾過または遠心分離による
固液分離が極めて困難になる。
【0004】バンコマイシン自体も上記性質を有し、そ
の晶析は困難であった。これを解決するため、沈殿が始
まる前に、バンコマイシン水溶液と塩基水溶液とを迅速
に混合して溶液のpHを少なくとも約7.8にし、撹拌せず
に沈殿させ続ける方法が提案されている(特開平1-2243
88)。また、バンコマイシンは高温ほど沈殿速度が速い
ため、約20℃〜約25℃で沈殿させるのが好ましいとされ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】バンコマイシン系抗生
物質の弱酸性溶液を弱アルカリにする操作は、例え迅速
に行なっても、pH6〜7を必ず通過するため、バンコマイ
シン系抗生物質が微細な結晶または不定形となることを
防ぐのは困難である(参考例1参照)。本発明者らは、
バンコマイシン系抗生物質の弱酸性溶液を一気に弱アル
カリにする方法として、弱アルカリ性の緩衝液または水
に、バンコマイシン系抗生物質の弱酸性溶液と塩基性水
溶液を同時に加え撹拌する方法を試みたが、余分の緩衝
液または水を要するため、得られる溶液中のバンコマイ
シン系抗生物質濃度が低くなり、収率が低かった(参考
例2参照)。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、バンコマイシ
ン系抗生物質の弱酸性溶液を、晶析が始まる前に冷却し
pHを等電点付近に調整した後、得られた溶液を昇温する
ことによりバンコマイシン系抗生物質を晶析させること
を特徴とするバンコマイシン系抗生物質の晶析方法を提
供する。
【0007】バンコマイシン系抗生物質の弱酸性溶液
を、晶析が始まる前に冷却することにより、バンコマイ
シン系抗生物質の晶析が極めて遅くなるため、この状態
で溶液がpH6〜7となっても、微細な結晶または不定形と
なるものは極めて少ない。従って、バンコマイシン系抗
生物質の弱酸性溶液を、晶析が始まる前に冷却したま
ま、pHを等電点付近に調整する。冷却する温度は0〜15
℃、望ましくは0〜12℃である。
【0008】pHの調整については、塩基性溶液であれば
如何なるものでも用いることができるが、水酸化ナトリ
ウムが望ましい。調整するpHは、晶析すべきバンコマイ
シン系抗生物質の等電点によって異なるが、通常7.8〜
8.5、好ましくは7.8〜8.2である。低温下ではバンコマ
イシン系抗生物質の晶析が極めて遅いため、このpH調整
は特に迅速に数分以内に行なう必要は無く、数十分から
数時間、好ましくは、10分から1時間要してもよい。
【0009】溶液のpHを等電点付近にした後、温度を上
昇させる。バンコマイシン系抗生物質は、温度が高い方
が晶析速度が速いため、この昇温操作により、効率的に
晶析させることができる。昇温する温度は20〜30℃、望
ましくは25〜30℃である。この温度に、数十分から数時
間保持することにより、溶液中に含有されるほとんどの
バンコマイシン系抗生物質が晶析される。しかし、バン
コマイシン系抗生物質はこの温度範囲では比較的不安定
で、長時間高温に保持しておくことは望ましくなく、ま
た、上記pH範囲では着色しやすいため、数十分から数時
間、好ましくは、30分〜1時間保持した後、再冷却し、
数十分〜1夜、好ましくは、2時間〜1夜静置するなどし
て、バンコマイシン系抗生物質を完全に晶析させるのが
望ましい。
【0010】さらに、結晶の回収率を上げるために、晶
析の時、溶液中に、エタノ−ル、メタノ−ルなどのアル
コ−ル、アセトン、種晶などを加えてもよい。上記晶析
操作は、常に、緩やかに撹拌しながら行なうことが望ま
しい。得られた結晶は、カラムクロマトグラフィ−など
により精製した後、再度、上記の晶析方法を適用するこ
とにより、さらに純度の高い結晶を得ることができ、こ
の操作を繰り返すことにより、ほぼ純粋なバンコマイシ
ン系抗生物質を得ることができる。
【0011】本発明の晶析方法が適用できるバンコマイ
シン系抗生物質としては、PA-45052-Bが挙げられるが、
これに限定されるものではない。PA-45052-Bは、ノカル
ディア・オリエンタリス PA-45052株に産生されるグリ
コペプチド系(バンコマイシン系)抗生物質である(特
開平1-240196)。この菌株は、昭和62年3月26日か
ら茨城県つくば市東1丁目1番3号の微生物工業技術研
究所にノカルディア・オリエンタリス PA-45052 (Nocar
dia orientalis PA-45052) 、微工研条寄第1320号
(FERM BP-1320) として、ブダペスト条約に基づき寄託
されている。
【0012】
【実施例】実施例1 PA-45052-B産生菌ノカルディア・オリエンタリスを、特
開平1-240196に記載の方法で培養し、発酵液から菌体を
除去して得られた発酵濾液をダイアイオンHP-20カラム
(三菱化成)に通し、9 mM 硫酸/15 % メタノ−ルで溶
出し、PA-45052-B含有画分を得た。この溶出液を逆浸透
膜(NTR-7250、日東電工)およびエバポレイションで3
70gまで濃縮した(pH 3.0)。この溶液中には、PA-4
5052-Bが135 mg/mlの濃度で含まれていた。この濃縮液
を氷水浴中で10℃以下まで冷却し、20 % 水酸化ナト
リウムでpHを7.8に調整した。pHを調整するのに要した
時間は20分であった。その後、液温を25℃に昇温する
と、結晶が析出し始めた。緩やかに撹拌しながら、pH
7.8、液温25℃に30分間保持し結晶を析出させた後、10
℃以下に再冷却した。メタノ−ル74 mlを30分間で投入
し、1夜(16 h)冷蔵庫(5℃)内で静置した。結晶を
グラスフィルタ−で濾過し、10 mM リン酸緩衝液(pH7.
0)30 mlで洗浄した。得られた結晶は、HPLC純度88 %、
回収率93.8 %であった。
【0013】実施例2 実施例1と同様にして調整した結晶をダイアイオンHP-2
0SSカラム(三菱化成)に吸着させ、10 mM 塩酸/10 %
メタノ−ルで溶出した。溶出液をエバポレイションによ
り濃縮、脱メタノ−ルし、PA-45052-B 100 mg/mlの濃縮
液を得た。この溶液500 mlを氷水浴中で10℃以下まで冷
却し、20 % 水酸化ナトリウムでpH 7.8に調整した。pH
を調整するのに要した時間は30分であった。種晶50 mg
を添加し、温度を25℃まで昇温した。25℃で1時間緩や
かに撹拌し結晶を析出させた後、10℃以下まで再冷却し
た。メタノ−ル160 mlを40分かけてゆっくりと添加し
た。冷却下、2時間緩やかに撹拌し、結晶をグラスフィ
ルタ−で濾過、冷水で洗浄した。得られた結晶はHPLC純
度97 %、回収率95 %であった。
【0014】実施例3 実施例1と同様にして調整した結晶をダイアイオンHP-2
0SSカラムに吸着させ、10 mM 塩酸/10 % メタノ−ルで
溶出した。逆浸透膜で濃縮し、メタノ−ルを除去した。
この濃縮液を1 mM 塩酸で平衡化したHP-20SSカラムに通
過させた。通過液250 mlを12℃以下に冷却し、20 % 水
酸化ナトリウムでpH 8.0に調整した。pHを調整するのに
要した時間は30分であった。その後30℃まで昇温し、1
時間保持して結晶を析出させた後、12℃まで再冷却し
た。メタノ−ル80 mlを35分間かけてゆっくり添加し
た。冷却下、4時間緩やかに撹拌し、濾過した後、冷水
20 mlで洗浄した。得られた結晶は、HPLC純度98 %、回
収率94.5 %であった。
【0015】
【参考例】参考例1 実施例1と同様にして得られた濃縮液(pH 3.0)を、室
温下、20 % 水酸化ナトリウムでpH 7.8に1〜2分で調整
した。pH 6〜7で微細な沈殿が発生し始め、グラスフィ
ルタ−(G4)で濾過を試みたが、目詰まりを起こし、濾
過不能となった。
【0016】参考例2 実施例1と同様にして得られた濃縮液370 gを市水316 g
に滴下すると同時に、20 % 水酸化ナトリウムを用いてp
H 8.0にコントロ−ルした。PA-45052-Bの濃度が高くな
ってくると、結晶が析出しはじめた。添加終了後、5℃
まで冷却し、メタノ−ル250 mlを1時間かけてゆっくり
と添加した。その後、1夜冷蔵庫内に静置し、グラスフ
ィルタ−(G4)で濾過し、10 mM リン酸緩衝液(pH 7.
8、30 ml)で洗浄した。得られた結晶はHPLC濃度88 %、
回収率89 %であった。
【0017】
【発明の効果】本発明の晶析操作で得られる結晶は、粒
径の大きな結晶、PA-45052-Bでは八面体の結晶となり、
容易に濾過することができるため、本発明の晶析方法は
商業的スケ−ルのバンコマイシン系抗生物質の製造に極
めて有用である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バンコマイシン系抗生物質の弱酸性溶液
    を、晶析が始まる前に冷却しpHを等電点付近に調整した
    後、得られた溶液を昇温することによりバンコマイシン
    系抗生物質を晶析させることを特徴とするバンコマイシ
    ン系抗生物質の晶析方法。
  2. 【請求項2】 該バンコマイシン系抗生物質がPA-45052
    -Bである請求項1に記載の晶析方法。
  3. 【請求項3】 冷却する温度が0〜15℃、好ましくは0〜
    12℃である請求項1または2に記載の晶析方法。
  4. 【請求項4】 昇温する温度が20〜30℃、好ましくは25
    〜30℃である請求項1または2に記載の晶析方法。
  5. 【請求項5】 調整するpHが7.8〜8.5、好ましくは7.8
    〜8.2である請求項1または2に記載の晶析方法。
  6. 【請求項6】 pHの調整が10分から1時間で行なわれる
    請求項1または2に記載の晶析方法。
JP33993991A 1991-11-27 1991-11-27 バンコマイシン系抗生物質の晶析方法 Pending JPH05244964A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008194027A (ja) * 2007-02-14 2008-08-28 Biongene Co Ltd Amycolatopsisorientalis変異株および塩酸バンコマイシン調製プロセス
US8161605B2 (en) 2004-07-29 2012-04-24 Norma Sweden Ab Hose clamp
JP2012515159A (ja) * 2009-01-13 2012-07-05 サムヤン ジェネックス コーポレイション バンコマイシン湿体の精製方法

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