JP3345551B2 - S−フェニル−l−システインの製造方法 - Google Patents

S−フェニル−l−システインの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はS−フェニル−L−
システインの製造法に関する。詳しくは、チオフェノー
ルとL−セリンとをトリプトファンシンターゼの作用に
より反応させ、S−フェニル−L−システインを生成さ
せる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】S−置換システイン誘導体は、医薬、農
薬の中間体としての用途が期待され、その合成法も検討
されているが、工業化された例はなく、安価な製造法が
望まれている。その中でも、S−フェニル−L−システ
インは、アスパラテックプロテアーゼのヒドロキシエチ
ルアミンジペプチドアイソスターの構成要素のアミノ酸
として、最近、抗エイズ薬であるHIVプロテアーゼ・
インヒビターの部分構造としての用途が見い出され、そ
の安価で純度の高い製造法が望まれている。
【0003】S−フェニル−L−システインは、L−セ
リンとチオフェノールとから、システインデスルフヒド
ラーゼの作用による酵素反応によって合成可能なことが
知られている(特公昭58−13154)。しかしなが
ら、この場合は反応速度が極めて小さく、実用化は困難
である。
【0004】また、S−フェニル−L−システインは、
L−セリンとチオフェノールとから、トリプトファンシ
ンターゼの作用による酵素反応によっても合成可能なこ
とが知られている(特公平2−54077)。しかし、
この場合においても反応収率が低く、工業化に充分な収
率は得られていない。
【0005】上記のようにL−セリンとチオフェノール
から、システインデスルフヒドラーゼあるいはトリプト
ファンシンターゼを用いてS−フェニル−L−システイ
ンを製造する方法は、実験室レベルを出ておらず、工業
化に耐えられる収率が得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高収
率でS−フェニル−L−システインの製造が可能な方法
を提供することである。本発明者らは、トリプトファン
シンターゼを用いたS−フェニル−L−システインの製
造法について鋭意検討した結果、チオフェノールとL−
セリンとをトリプトファンシンターゼの作用により反応
させる際、酵素反応を特定のpHの水溶液中において行
うことによって、驚くべきことに、飛躍的にS−フェニ
ル−L−システインの収率を高められることを見い出
し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、チオフェノールとL
−セリンとをトリプトファンシンターゼの作用により反
応させ、S−フェニル−L−システインを生成させる
際、酵素反応をpH9.0〜10.5の水溶液中におい
て行うことを特徴とするS−フェニル−L−システイン
の製造法である。トリプトファンシンターゼは、工業的
には一般に、インドールとL−セリンからL−トリプト
ファンを合成する酵素として知られており、この場合は
反応の至適pHは8.0〜8.5であることが一般に知
られている。
【0008】ところが、同じトリプトファンシンターゼ
を用いる酵素反応でありながら、チオフェノールとL−
セリンからS−フェニル−L−システインを合成する酵
素反応の場合には、上記至適PHとは異なるpH9.0
〜10.5のアルカリ性下で反応を行うことにより高い
反応速度と収率が得られないことを、本発明者らは見い
出したのである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明方法に用いられるトリプト
ファンシンターゼの生産菌としては、エシェリヒア・コ
リなど原核細胞の微生物あるいは該酵素の生産性を高め
たDNA組み替え技術の応用により創成された形質転換
微生物であっても良い。また、トリプトファンシンター
ゼがサッカロミセス・セレヴィシエ、あるいはカビなど
真核細胞の微生物から得られたものであってもよく、そ
れら真核細胞微生物の該酵素の生産性を高めるためDN
A組み替え技術の応用により創成された形質転換微生物
であっても良い。
【0010】好ましくは、エシェリヒア・コリ MT−
10242(FERM BP−20)、ノイロスポラ・
クラッサ ATCC 14692などが挙げげられる。
より好ましくは微生物乾燥菌体1g当たり1時間に1g
以上のトリプトファンを合成できるトリプトファンシン
ターゼ活性を有する微生物である。
【0011】トリプトファンシンターゼ生産菌を培養す
るための培地としては、炭素源、窒素源、無機物および
必要に応じて少量の微量栄養素を含むものであれば、合
成培地または天然培地のいずれも使用可能である。しか
し、一般には、微量のトリプトファン、アントラニル酸
またはインドールを培地に添加することが好ましい。培
地に使用する炭素源および窒素源は使用菌の利用可能な
ものならばいずれの種類を用いてもよい。炭素源として
は、グルコ−ス、グリセロール、フラクトス、シュクロ
ース、マルトース、マンノース、澱粉、澱粉加水分解
物、糖蜜など種々の炭水化物が使用できる。窒素源とし
ては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニ
ム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどの各種の
無機および有機アンモニウム塩類、または肉エキス、酵
母エキス、コーン・スティープ・リカー、カゼイン加水
分解物、フィッシュミールあるいはその消化物、脱脂大
豆粕あるいはその消化物などの天然有機窒素源が使用可
能である。天然有機窒素源の多くの場合は窒素源である
とともに炭素源にもなり得る。無機物としては、燐酸一
水素カリウム、燐酸二水素カリウム、塩化カリウム、硫
酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄などが必
要に応じて使用できる。
【0012】培養は、振とう培養あるいは通気撹拌深部
培養などの好気的条件下で行う。培養温度は好ましくは
20〜50℃、特に好ましくは30〜37℃の範囲であ
る。培養中の培地のpHは中性付近に維持することが望
ましい。培養時間は通常1〜3日間である。
【0013】エシェリヒア・コリの培養菌体からのトリ
プトファンシンターゼの抽出法は、ザ・ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー(The Jour
nal of Biological Chemist
ry)(V ol.252,No.19, p.659
4〜6599(1977))、ノイロスポラ・クラッサ
の培養菌体からの抽出法は同誌Vol.250, N
o.8,2941〜2946(1975)に記載されて
いるが、本発明に使用されるトリプトファンシンターゼ
は、必ずしも純粋である必要はない。すなわち、トリプ
トファンシンターゼ生産菌の培養物、培養物から遠心分
離などの方法によって採取した生菌体、その乾燥菌体、
あるいは菌体を破砕、自己消化、超音波処理などによっ
て得られた菌体処理物、さらにはこれらの菌体よりの抽
出物ならびに該抽出物より得られる酵素の粗精製物であ
っても利用可能である。また、これらの固定化酵素また
は固定化菌体でもよい。
【0014】本発明における、酵素反応によるS−フェ
ニル−L−システインの合成原料はL−セリンとチオフ
ェノールであり、いずれも市販されており容易に入手で
きる。反応液中のL−セリンの濃度は特に制限ないが、
好ましくは1〜10重量%である。
【0015】反応液中のチオフェノールの濃度は、酵素
反応を阻害しない範囲でなければならず好ましくは10
重量%以下の濃度で使用される。なお、反応中にチオフ
ェノールを逐次添加してもよい。また、反応に際して、
基質の他に補酵素であるピリドキサルリン酸を0.1〜
100ppmの範囲で添加することが望ましい。反応液
に添加するトリプトファンシンターゼの量は、基質濃
度、反応時間、その他の条件によって適時変更し得る。
【0016】本発明のS−フェニル−L−システイン合
成酵素反応はpH9.0〜10.5のアルカリ性下で行
われる。好ましくはpH9.0〜10.0の範囲であ
る。用いるアルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、アンモニア水などが使用可能である。
【0017】pHが9.0より低いと、S−フェニル−
L−システインを合成する酵素反応速度が極めて小さい
ため、原料であるL−セリンは充分にS−フェニル−L
−システインに転換されない。特にトリプトファンシン
ターゼを純粋でない状態で使用する場合、微生物にはL
−セリン分解活性を持つ酵素が存在するので、pHが
9.0より低い場合は S−フェニル−L−システイン
の合成速度に比して、L−セリンの分解速度が大きいた
め、原料であるL−セリンの分解が優先的に進行し、S
−フェニル−L−システインの収率は低くなる。なお、
アンモニウム塩を添加すると、L−セリンの分解活性が
抑制されるが、pHが9.0より低ければS−フェニル
−L−システインを合成する酵素反応速度が小さいの
で、効果は少ない。
【0018】pH9.0〜10.5においてはS−フェ
ニル−L−システインを合成する酵素反応速度が飛躍的
に増加し、一方、都合のよいことにL−セリンの分解速
度は低下し、S−フェニル−L−システインの生成が優
先的となる。したがって、pH9.0〜10.5での反
応においてはS−フェニル−L−システインの反応収率
が飛躍的に向上する。pHが10.5を超えるとS−フ
ェニル−L−システインを合成する酵素反応速度は再び
低下し、収率は減少する。
【0019】pH9.0以上で酵素反応を行う場合で
も、L−セリンの分解酵素活性を抑制する目的でアンモ
ニウム塩を添加することは、反応収率を高める上で好ま
しい。アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、硫
酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム
などが使用できる。
【0020】本発明の酵素反応の温度は好ましくは20
〜60℃で行われるが、酵素の安定性と反応速度の点
で、特に好ましくは、30〜40℃である。なお、反応
はチオフェノールの酸化を防止するため、窒素雰囲気下
で行うことが好ましい。
【0021】また、反応は、バッチ法もしくは固定化酵
素を用いた連続法により、静置もしくは撹拌下に行われ
る。5%以上のチオフェノール濃度で反応する場合は、
攪拌は、ゆるやかに行う方が反応収率がよい。
【0022】5重量%〜10重量%のチオフェノール濃
度で反応する場合は、反応液の攪拌動力を、20KW/
3以下にて行うことが望ましい。反応時間は通常5〜
40時間である。
【0023】S−フェニル−L−システインは水に対す
る溶解度が低く、通常、酵素反応の進行にともない、S
−フェニル−L−システインが反応液中で結晶となって
析出する。酵素反応の終了した反応液からS−フェニル
−L−システインを精製するには、反応液のpHを塩酸
または硫酸などの適当な酸によって酸性に調整し、反応
液中に析出した結晶を溶解させた後、活性炭吸着処理な
どにより微生物細胞もしくは酵素と未反応のチオフェノ
ールを除去し、その後、適当なアルカリで中和すれば、
S−フェニル−L−システインの結晶が析出するので、
濾過等の手段で容易に単離できる。逆に、反応終了液を
強アルカリ性に調整してS−フェニル−L−システイン
の結晶を溶解させ、微生物細胞もしくは酵素を除去した
後に、適当な酸で中和して結晶を得ることも可能である
が、微生物細胞の破壊によって細胞成分が不純物となる
可能性がある。
【0024】反応終了液を酸性にしてS−フェニル−L
−システイン結晶を溶解させる場合、pHは1.5以下
に調整することが好ましい。S−フェニル−L−システ
インは、水溶液のpHが1.5以下でないと1重量%以
上の濃度で溶解させることができず、容積効率が悪くな
るためである。
【0025】反応液中に析出したS−フェニル−L−シ
ステイン結晶を強酸性で溶解した後、酵素または微生物
細胞あるいは微生物細胞由来成分と未反応チオフェノー
ルを除去するためには、活性炭吸着処理を行うが、この
場合は、S−フェニル−L−システインを強酸性で溶解
させた溶液に活性炭を添加して好ましくは40〜90
℃、特に好ましくは40〜60℃に加熱し、酵素または
微生物細胞あるいは微生物細胞由来成分と未反応チオフ
ェノールを活性炭に吸着させて濾過を行えば、S−フェ
ニル−L−システイン溶液から、酵素または微生物細胞
あるいは微生物細胞由来成分および未反応のチオフェノ
ールを除去できる。活性炭としては、PM−SX、PM
−PA、PM−KI、PM−KS、PM−AA(以上、
三井製薬)、WPH、PCB−G、ADP(以上、東洋
カルゴン)、白鷺A、白鷺M、白鷺C、カルボラフィン
(以上、武田薬品工業)、太閤Sタイプ、太閤Kタイプ
(以上、二村化学)などを用いることができる。活性炭
の添加量は、通常、溶液の質量に対して0.5〜6%の
量を添加するが、酵素反応のトリプトファンシンターゼ
源として用いた酵素または微生物細胞の量および未反応
チオフェノールの量によって、活性炭の添加量は変更し
得る。
【0026】酵素反応液中に析出したS−フェニル−L
−システイン結晶を強酸性で溶解した溶液中には、未反
応のチオフェノールが残存するが、未反応チオフェノー
ルの一部は活性炭処理の際、活性炭に吸着されるが、充
分には吸着除去されない。しかしながら、活性炭処理を
行う際、同時に、溶液に空気あるいは酸素を通気する
と、残存する未反応チオフェノールを除去することが可
能である。活性炭未吸着のチオフェノールが酸化され、
不溶性の固体となって濾過除去されるためである。40
℃以上の温度での通気処理は、チオフェノールを酸化す
る効果が特に高い。通気量は、好ましくは0.01〜
6.0倍容積比/Hrである。
【0027】また活性炭処理を行う際の温度は、S−フ
ェニル−L−システインのラセミ化防止の観点から60
℃以下が好ましい。活性炭処理は40〜60℃で行うこ
とが特に好ましい。特に、活性炭存在下での加熱によっ
てラセミ化が促進されるので、加熱下での活性炭との接
触時間は不必要に長くしないことが必要である。以上の
理由から活性炭との接触時間は12時間以内が好まし
い。
【0028】酵素または微生物細胞あるいは微生物細胞
由来成分と、未反応チオフェノールが除去されたS−フ
ェニル−L−システインの酸性溶液から、S−フェニル
−L−システインを結晶として得るためには、適当なア
ルカリを加えて中和晶析を行えばよい。中和晶析を行う
際、pHは2.5〜5に調整すると、純白の結晶が得ら
れる。pH6〜7で晶析を行うと結晶は得られるが結晶
の色が灰色から黄色みがかったものとなる場合がある。
中和に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、アンモニア水などが使用可能である。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。なお、S−フェニル−L−システインおよびL−セ
リンの定量はHPLCによって行った。
【0030】S−フェニル−L−システインのHPLC
分析条件 カラム;Inertsil ODS−2(GLサイエン
ス製) 移動相;8.6mM KH2PO4(pH4リン酸で調
整):MeOH=7:3 温 度;40℃ 流 速;1.0ml/min 検 出;UV 254nm L−セリンのHPLC分析条件 カラム;Shodex RSpak NN−814(昭
和電工製) 移動相;10mM NaH2PO4 + 1.2mM リ
ン酸 温 度;40℃ 流 速;1.0ml/min 検 出;OPA試薬 Ex=365nm Em=455
nm
【0031】実験例1 トリプトファンシンターゼ生産菌であるエシェリヒア・
コリ MT−10242(FERM BP−20)を、
第1表に示す組成の培地150ml が入った500m
l容の坂口フラスコに接種し、30℃で24時間振とう
培養した。この培養液600ml(フラスコ4本分)を
第2表に示す組成の培地10lを仕込んだ20lのジャ
ーファーメンターに接種し、30℃、pH6.8(濃ア
ンモニア水でコントロール)で、グルコースを逐時添加
しながら40時間通気培養した。培養終了後、遠心分離
により菌体を集菌し、得られた湿菌体をトリプトファン
シンターゼ源とした。菌体のL−トリプトファン合成活
性、S−フェニル−L−システイン合成活性、L−セリ
ン分解活性について、それぞれ反応液のpHを変化させ
て測定した。各pHにおけるそれぞれの活性を第1図に
示す。
【0032】L−トリプトファン合成活性測定方法 調製試薬1;L−セリン溶液 L−セリン10.6gを約450mlの純水に溶解し、
水酸化カリウム水溶液でpHを7〜11の各pHに調整
した後、純水で500mlにしたもの。 調製試薬2;PLP溶液 ピリドキサルリン酸50mgを約950mlの純水に溶
解し、水酸化カリウム水溶液でpHを7〜11の各pH
に調整した後、純水で1000mlにしたもの。 菌体懸濁液 湿菌体1gを10mlのPLP溶液(pH8.5に調整
したもの)に懸濁したもの。
【0033】インドール0.4gを100ml容の三角
フラスコに秤量し、TritonX−100 1mlを
加え、加温してインドールを溶解する。これに、L−セ
リン溶液18mlとPLP溶液0.5mlを加えて35
℃で5分間インキュベートした後、菌体懸濁液0.5m
lを加えて60分間振とうしながらインキュベートす
る。60分後、5N−NaOH 10mlを加えて反応
を停止した後、リン酸0.5mlを加えて中和する。こ
の溶液の1mlをマイクロチューブに分取し、ジクロロ
メタン1mlを加えてよく混和させる。その後、遠心分
離を行って水相と有機相に分液し、水相中のL−トリプ
トファン濃度をHPLCで定量する。L−トリプトファ
ンのHPLC分析条件はS−フェニル−L−システイン
のHPLC分析条件と同様である。乾燥菌体1g当たり
1時間に生成するL−トリプトファンの量(g)をL−
トリプトファン合成活性と定義した。
【0034】S−フェニル−L−システイン合成活性測
定方法 調製試薬1;L−セリン溶液 L−セリン15.5g、塩化アンモニウム5.6gを約
450mlの純水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液で
pHを7〜11の各pHに調整した後、純水で500m
lにしたもの。 調製試薬2;PLP溶液 ピリドキサルリン酸50mgを約15mlの純水に溶解
し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを7〜11の各pH
に調整した後、純水で20mlにしたもの。 菌体懸濁液 湿菌体1gを10mlのPLP溶液(pH8.5に調整
したもの)に懸濁したもの。
【0035】100ml容の三角フラスコにL−セリン
容液19mlとPLP溶液0.2mlを取り、チオフェ
ノール0.5mlを加えて35℃で5分間インキュベ−
トした後、菌体懸濁液0.5mlを加えて60分間振と
うしながらインキュベ−トする。60分後、35%塩酸
1mlを加えて反応を停止し、溶液中のS−フェニル−
L−システイン濃度をHPLCで定量する。乾燥菌体1
g当たり1時間に生成する S−フェニル−L−システ
インの量(g)をS−フェニル−L−システイン合成活
性と定義した。
【0036】L−セリン分解活性測定方法 調製試薬1;L−セリン溶液 L−セリン15.5gを約450mlの純水に溶解し、
水酸化ナトリウム水溶液でpHを7〜11の各pHに調
整した後、純水で500mlにしたもの。 調製試薬2;PLP溶液 ピリドキサルリン酸50mgを約15mlの純水に溶解
し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを7〜11の各pH
に調整した後、純水で20mlにしたもの。 菌体濁液 湿菌体1gを10mlのPLP溶液(pH8.5に調整
したもの)に懸濁したもの。
【0037】100ml容の三角フラスコにL−セリン
容液19mlとPLP溶液0.2mlを取り、35℃で
5分間インキュベートした後、菌体懸濁液0.5mlを
加えて60分間振とうしながらインキュベートする。6
0分後、35%塩酸1mを加えて反応を停止し、溶液中
のL−セリン濃度をHPLCで定量する。乾燥菌体1g
当たり1時間に分解するL−セリンの量(g)をL−セ
リン分解活性と定義した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】実施例1 実験例1と同様の方法でエシェリヒア・コリMT−10
242の集菌体を得た。得られた菌体は、乾燥菌体1g
当たり1時間に5gのトリプトファンを合成できるトリ
プトファンシンターゼ活性を有していた。L−セリン3
%、チオフェノール3.1%、塩化アンモニウム1%、
ピリドキサルリン酸25ppmを含むpH9.0( N
aOHで調整)の水溶液500gに上記遠心菌体を乾燥
菌体換算で0.7%濃度となるように加えた。35℃で
15時間、窒素雰囲気下で撹拌した。生成したS−フェ
ニル−L−システインのL−セリンに対するモル収率は
85%であった。
【0041】反応終了後、反応液に濃塩酸を加えてpH
0.5とし、活性炭(PM−SX三井製薬製)を10g
加えて50℃にて3時間加熱した。この際、液中に空気
を通気しながら攪拌した。その後、濾過を行い、濾液を
NaOHでpH3に調整し、10℃に冷却後、濾過を行
ってS−フェニル−L−システインの結晶を分離した。
結晶を乾燥後、20gのS−フェニル−L−システイン
を得た。得られた結晶の元素分析を行ったところ、C;
54.48%、H;5.69%、N;7.64%、S;
15.57%であった(理論値 C;54.82%、
H;5.58%、N;7.11%、S;16.24
%)。MSスペクトル分析の結果、親イオンピークとし
てm/z=197が検出された。IRスペクトル分析で
は、2900cm-1以上にNH + 3、COOHの伸縮振
動が見られた。1620〜1200cm-1付近にアミノ
酸特有の NH + 3、COO~、アルキルの伸縮および変
角振動が見られた。735、689cm-1にモノ置換ベ
ンゼンの面外変角振動が見られた。NMRスペクトルの
シグナル帰属結果は、S−フェニル−L−システインの
構造を満足した。また、Ramanスペクトル分析によ
り、C−S結合の存在を確認した。
【0042】さらに、光学分割クロマトグラフィー用カ
ラム TSKgel Enantio L1(東ソー
製)を用いたHPLC分析により、結晶の光学活性はL
−体であり、光学純度は100%であることを確認し
た。以上の機器分析結果から、得られた結晶はS−フェ
ニル−L−システインであることを確認した。
【0043】実施例2 実験例1と同様の方法でエシェリヒア・コリ MT−1
0242の集菌体を得た。L−セリン6%、チオフェノ
ール6.2%、ピリドキサルリン酸25ppmを含むp
H9.5(NaOHで調整)の水溶液500gに菌体を
乾燥菌体換算で0.8%濃度となるように加え、35℃
で20時間、窒素雰囲気下で撹拌した。この際、反応液
1l当たりの攪拌動力を16Wに制御した。生成したS
−フェニル−L−システインの仕込みL−セリンに対す
るモル収率は87%であった。
【0044】反応終了後、反応液に濃塩酸を加えてpH
0.5とした後、純水500gを加えてS−フェニル−
L−システインの析出結晶を完全に溶解させた。活性炭
(PM−SX 三井製薬製)を10g加えて50℃にて
3時間加熱した。この際、液中に空気を通気しながら攪
拌した。その後、濾過を行い、濾液を NaOHでpH
3に調整し、10℃に冷却後、濾過を行ってS−フェニ
ル−L−システインの結晶を分離した。結晶を乾燥後、
40gのS−フェニル−L−システインを得た。光学純
度は100%であった。
【0045】実施例3 実験例1と同様の方法でエシェリヒア・コリ MT−1
0242の集菌体を得た。L−セリン10%、チオフェ
ノール10%、ピリドキサルリン酸25ppmを含むp
H10.0(NaOHで調整)の水溶液500gに菌体
を乾燥菌体換算で0.9%濃度となるように加え、35
℃で20時間、窒素雰囲気下で撹拌した。この際、反応
液1l当たりの攪拌動力を10Wに制御した。生成した
S−フェニル−L−システインの仕込みL−セリンに対
するモル収率は85%であった。
【0046】実施例4 実験例1と同様の方法でエシェリヒア・コリ MT−1
0242の集菌体を得た。L−セリン3%、チオフェノ
ール3.1%、ピリドキサルリン酸25ppmを含むp
H10.5(NaOHで調整)の水溶液500gに菌体
を乾燥菌体換算で0.7%濃度となるように加え、35
℃で15時間、窒素雰囲気下で撹拌した。生成したS−
フェニル−L−システインの仕込みL−セリンに対する
モル収率は70%であった。
【0047】
【発明の効果】本発明によればS−フェニル−L−シス
テインを高収率で得ることができ、工業的規模での製造
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】反応液のpHを変化させて測定した、菌体のL
−トリプトファン合成活性、S−フェニル−L−システ
イン合成活性、L−セリン分解活性である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−146287(JP,A) 特開 昭62−111694(JP,A) 特開 平2−100691(JP,A) 特開 昭56−134992(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 13/00 - 13/24 C12N 9/00 - 9/99 JICSTファイル(JOIS) BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チオフェノールとL−セリンとをトリプ
    トファンシンターゼの作用により反応させ、S−フェニ
    ル−L−システインを生成させる際、酵素反応をpH
    9.0〜10.5の水溶液中において行うことを特徴と
    するS−フェニル−L−システインの製造法。
  2. 【請求項2】 pH9.0〜10.0の水溶液中におい
    て反応させる請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 20〜60℃で反応させる請求項1〜2
    の方法。
  4. 【請求項4】 トリプトファンシンターゼがエシェリヒ
    ア・コリから得られたものである請求項1〜3の方法。
  5. 【請求項5】 エシェリヒア・コリがMT−10242
    (FERM BP−20)である請求項4の方法。
  6. 【請求項6】 トリプトファンシンターゼがノイロスポ
    ラ・クラッサから得られたものである請求項1〜3の方
    法。
  7. 【請求項7】 ノイロスポラ・クラッサがATCC14
    692である請求項6の方法。
  8. 【請求項8】 L−セリン濃度を1〜10重量%として
    反応させる請求項1の方法。
  9. 【請求項9】 チオフェノールの濃度を10重量%以下
    で反応させる請求項1の方法。
  10. 【請求項10】 ピリドキサルリン酸を0.1〜100
    ppm存在させて反応させる請求項1の方法。
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