JPH09399U - スローアウェイチップ及びスローアウェイ式カッタ - Google Patents

スローアウェイチップ及びスローアウェイ式カッタ

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JPH09399U
JPH09399U JP56497U JP56497U JPH09399U JP H09399 U JPH09399 U JP H09399U JP 56497 U JP56497 U JP 56497U JP 56497 U JP56497 U JP 56497U JP H09399 U JPH09399 U JP H09399U
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切削抵抗によるたわみが生じても平面加工が
できる。 【解決手段】 チップの側面23の下面と交差する側に
工具本体装着時の位置決め基準とされる平坦な取付面2
4を形成する。主切刃26は円弧形状とし、上面と直交
する方向から平面視した状態で、取付面24に平行な主
切刃26の接線l 2と主切刃26の先端T1との距離をA
1とし、接線l2と主切刃26の後端T2との距離をA2
したときに、A1<A2となるよう、主切刃26の曲率中
心O3を先端T1寄りに位置させる。工具本体にチップ2
0を装着する際、外周側に位置する主切刃26の接線l
2を工具軸線Oと平行にする。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、スローアウェイチップに係り、詳しくは、エンドミル等の転削工 具で被削材の溝加工や側面加工を行う際に用いて好適なスローアウェイチップに 関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンドミル等の切削工具を用いて被削材の溝加工や側面加工を行う場合 、工具本体に装着されるスローアウェイチップ(以下、チップと称する。)の主 切刃を凸円弧状に形成することが、加工面の平面度等を向上させる上で効果的で あることが知られている。 例えば、図7ないし図9は、従来からエンドミルに使用されていたチップの一 例を示すものである。 このチップ1は、略三角形状を呈する上面2と、この上面2と対向する下面3 と、これら上下面2、3の周縁に配置された側面4とを有してなるもので、前記 側面4を、上面2に対して所定の逃げ角γで傾斜する平坦な取付面5と、当該チ ップ1の外方へ突出する凸曲面6とから構成することにより、これら凸曲面6と 上面2との稜線部に形成される主切刃7を凸円弧状に湾曲させている。
【0003】 そして、このように構成されたチップ1は、図10ないし図12に示すように 、サポータ8の凹部9にその下面3及び二つの取付面5を密着させて装着された 上で、該サポータ8とともに工具本体10の取付溝11に挿入され、この後、楔 部材12、13で押さえ付けられて工具本体10のチップ取付座11aに着脱自 在に装着されるが、この際、主切刃7に対するすくい面とされる上面2は、図1 2に示すように工具軸線Oに対して傾けられて所定のすくい角θが与えられる。 ここで、上面2に任意のすくい角θが与えられる場合、仮に主切刃7が直線状 であれば、図13に示すように、主切刃7の中央部が両端T1、T2の描く円弧状 の回転軌跡Rよりも工具中心側へ後退するので、図14に示すように、被削材1 4に形成される溝部壁面14aが断面円弧状に削成されて平面度が劣化すること になる。
【0004】 ところが、上述した図7ないし図9に示すチップ1は、その主切刃7が凸円弧 状とされているため、図15に示すようにチップ1を上述のように傾けて装着し ても主切刃7の中央部は上面2のすくい角θに応じて工具径方向外周側へ膨らむ こととなる。従って、主切刃7の曲率半径Rを前記すくい角θに応じて適当に定 めることにより、主切刃7の工具軸線O回りの回転軌跡Rの半径を、主切刃7の 先端T1から後端T2に至るまで一致させることができ、これにより、理論的には 被削材14の溝部壁面14aを平面に切削できることとなる(図16参照)。 なお、このようなチップ1を使用するにあたっては、チップ1を工具本体10 へ装着した際に主切刃7の両端T1、T2から工具軸線Oまでの距離が一致するこ とが必要とされ、このため、前記主切刃7は、当該チップ1の平面視(図7)に おいて、チップ中心O1を通過して取付面5と直交する法線l1に対して主切刃7 が対称をなすように、換言すれば、主切刃7の曲率中心O2が前記法線l1上に位 置するように形成されている。また、工具本体10側の構成も、チップ1の取付 面5と密着するサポータ8の凹部側面9a、9bが当該凹部9を工具径方向に貫 く中心線mに対して対称をなすようにその形状及び寸法が定められている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、上述したチップ1を用いて被削材14の切削を行う場合でも、実際 には工具本体10の先端部に加わる切削抵抗によって工具先端部が側面14aか ら離間する方向へたわむため、主切刃7の先端部T1が後端T2よりも大きく工具 径方向の中心側へ後退してその切込量が減少し、この結果、図17に示すように 被削材14の溝部壁面14aが溝部底面14bに対して鈍角をなす傾斜面に加工 されてしまうという欠点があった。 特に、図18に示すように工具本体10を軸線方向へ送り出すことによって被 削材14を複数回に分けて切削する場合には、先に主切刃7の先端側で切削され た加工面が、次回の切削時に主切刃7の後端側で削り取られて加工面に段差が生 じてしまい、この結果、壁面14aが鋸刃状態に形成されてその平面度が著しく 悪化することさえあった。
【0006】 この考案は、このような背景の下になされたもので、工具先端側が切削抵抗に よってたわみ変形しても、被削材を正確に平面加工できるチップを提供すること を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためにこの考案のチップは、主切刃が、当該チップをその 上面と直交する方向から平面視した状態において、前記上面の中心を通過してチ ップ側面の取付面と直交する方向に延びる法線と主切刃との交点をP1とし、工 具本体への装着時に工具先端側に向けられる主切刃の先端T1と前記交点P1を通 過する主切刃の接線との距離をA1とし、前記工具本体への装着時に工具基端側 に向けられる前記主切刃の後端T2と前記接線との距離をA2としたときに、A1 <A2となる凸曲線を描くように形成されてなるものである。
【0008】
【作用】
上記構成によれば、当該チップを、工具外周側を向く一の主切刃の前記接線が チップ上面と直交する方向からの平面視において工具軸線と平行をなすように、 かつ、上面が所定のすくい角で傾斜するように工具本体へ装着した場合に、前記 一の主切刃の先端T1が後端T2よりも前記距離A1、A2の差(A2−A1)に応じ て工具外周側へ突出する。 そして、かかる状態で切削を行った場合には、工具先端部のたわみに伴って、 主切刃の先端T1側が後端T2側よりも被削材の側面から大きく後退して前記距離 差(A2−A1)が吸収される。従って、距離差(A2−A1)を工具のたわみ量に 応じて適当に定めることにより、前記一の主切刃の被削材への切込量を先端T1 から後端T2まで一致させて被削材の壁面を平面加工できる。
【0009】
【考案の実施の形態】 以下、図1ないし図6を参照して、本考案の実施の形態を説明する。なお、本 考案のチップが装着される工具本体側の構成は、上述した図10ないし図12に 示す従来例と同様であり、従って、以下の説明では工具本体の構成要素に同一符 号を付し、その説明を省略する。 図1ないし図3に示すように、本実施の形態のチップ20は、上述した図7な いし図9に示す従来のチップ1と同様に、平面視略三角形状をなす上面21と、 この上面21と対向する下面22と、これら上下面21、22の周縁に配置され た側面23とによって全体がほぼ正三角形平板状に形成され、しかも、前記側面 23の下面22と交差する側に上面21に対して所定の逃げ角γ1で傾斜す る平 坦な取付面24が形成されることによっていわゆるポジチップ形状を呈している 。
【0010】 前記側面23の上面21と交差する側には、当該チップ20の外方へ円弧状に 突出する凸曲面25が形成されており、これにより各側面23と上面21との稜 線部には凸円弧状をなす主切刃26が形成されている。 前記凸曲面25は、前記取付面24を、その両端側へ向うほどチップ中心側へ 大きく削り込むことによって形成されてなるもので、該凸曲面25が上面21と 直交する断面において上面21となす逃げ角γ2は、前記取付面24の逃げ角γ1 よりも小さく定められている。 そして、前記主切刃26は、チップ20を上面21と直交する方向から平面視 した状態で(図1)、チップ中心O1を通過して取付面24と直交する法線l1と 主切刃26との交点をP1とし、この交点P1を通過して法線l1と直交する接 線 l2と主切刃26の先端T1との距離をA1とし、接線l2と主切刃26の後端T2 との距離をA2としたときに、A1<A2となる一の円弧を描くように形成され、 より具体的には、その曲率中心O3が前記法線l1に対して主切刃26の先端T1 側へ所定幅Wだけ偏心する円弧を描くように形成されている。
【0011】 ここで、前記主切刃26の前記距離A1、A2の差(A1−A2)については、当 該チップ20を工具本体10(図10参照)に装着した際の主切刃26の回転半 径γ1(図4参照)や上面21のすくい角θに応じて適宜変更されるが、なるべ くは0.02mm〜0.1mmの範囲に定めることが好ましい。また、主切刃2 6の曲率中心O3と法線l1との偏心量W及び曲率半径γ2は前記すくい角 θに応 じて適宜変更されるものであり、例えば回転半径γ1が25mm、すくい 角θが 16°の場合で、偏心量Wが1.8mm、曲率半径γ2が300mmに設 定され る。 一方、前記取付面24は、当該チップ20を工具本体10へ装着する際に、サ ポータ8の凹部側面9a、9bと密着して当該チップ20の位置決めに供される ものであり、その形状は従来のチップと同様に、一の取付面24と直交する前記 法線l1に対して残りの2つの取付面24が対称形状をなすように形成されてい る。 また、各側面23の端部には所定幅Sの副逃げ面27及び湾曲面28が形成さ れ、これにより、前記一の主切刃26の先端T1と、これに隣接する主切刃26 の後 端T2との間には、前記法線l1とほぼ平行に伸びる副切刃29と、該副切 刃29に連なって所定の曲率半径γ3で湾曲するコーナ刃30とが形成されてい る。
【0012】 しかして、以上のように構成されたチップ20は、図10ないし図12に示す 上述した従来のチップと同様に、一の主切刃26の先端T1側が工具先端側を 向 くようにしてサポータ8とともに工具本体10の取付溝11に挿入され、この後 、取付溝11に挿入される楔部材12、13で締め付けられて工具本体10に取 り付けられる。 ここで、上述したように、前記チップ20の各取付面24は、一の取付面24 と直交する一の法線l1に対して残りの二の取付面24が対称をなすように形成 さ れているので、上述した従来のチップが装着されるサポータ8等に本実施の 形態のチップ20を装着した場合、当該チップ20は、その工具外周側を向く一 の主切刃26の接線l2が上面21と直交する平面視において工具軸線Oと平行 をなすよ うに位置決めされる。また、上面21には、従来のチップと同様に所 定のすくい角θが与えられる。
【0013】 これにより、図4に示すように、前記一の主切刃26は、その後端T2が、 先 端T1の工具軸線O回りの回転軌跡Rよりも工具径方向中心側へ向って(A2−A 1 )だけ後退した状態に保持されることとなり、かかる状態のまま切削を行っ た 場合、理論的には図5に示すように被削材14の溝部壁面14aが溝部底面14 bに対して鋭角に傾斜する傾斜面状に形成されることになる。
【0014】 しかしながら、実際にチップ20を工具本体10の先端部に装着して被削材1 4の壁面14aを切削した場合、工具本体10の先端部に加わる切削抵抗によっ て工具本体10の先端部が壁面14aから離間する方向へたわむため、前記主切 刃26の先端T1側は工具径方向中心側へ後退し、これにより、前記主切刃26 の 先端T1と後端T2との距離差(A2−A1)が吸収されて主切刃26の回転軌 跡Rがその先端T1から後端T2まで一致する。 従って、本実施の形態のチップ20によれば、図6(a)に示すように被削材 14の壁面14aを溝部底面14bに対して直交する平面に加工することができ 、また、図6(b)に示すように工具本体10を軸線方向に送り出して被削材1 4を複数回に分けて切削する場合でも、副切刃29と加工面との干渉がなくなる ので壁面14aを平面に形成できるのである。
【0015】 また、本実施の形態のチップ20においては、サポータ8の凹部9に密着せし められる取付面24や下面22が従来のチップと何等異なるところがないので、 サポータ8や工具本体10は従来のままでもチップ20を所定位置に位置決めで き、専用の工具本体やサポータを用意する必要がない。従って、特に主切刃26 の被削材14に対する切込量が小さくて工具先端部の変形が問題とならないよう な場合には、当該チップ20に代えて従来のチップを用いることもでき、工具本 体側の汎用性が何等損なわれないという効果をも奏する。
【0016】 なお、本実施の形態では、特に主切刃26の前記距離A1、A2に差を付けるた めに、主切刃26の曲率中心O3をl1に対して偏心させているが、本考案はこれ に限るものではない。例えば、主切刃26の曲率半径γ2をその先端T1から後端 T2に かけて変化させることによっても上記距離A1、A2に差を付けることは可 能であり、要は前記距離A1、A2の差(A2−A1)を切削時における主切刃両端 T1、 T2のたわみ量の差に一致させ、かつ工具本体10の先端側がたわんだ状 態で主 切刃26が工具軸線回りに一の円筒面状の回転軌跡を描くように主切刃 26の先端T1から後端T2までの湾曲を決定すればよいのである。 また、本実施の形態では特に3枚の主切刃26を有する正三角形状のチップを 例に挙げて説明したが、本考案はこれに限るものではなく、例えば正方形状のチ ップであっても当然に適用できるものである。
【0017】
【考案の効果】
以上説明したように、この考案のチップによれば、切削時に工具先端部に生じ るたわみ変形の大きさに応じて主切刃の両端T1、T2と主切刃の接線との間の距 離A1、A2の差を定めることにより、工具先端部がたわみ変形した状態で主切刃 の各部が工具軸線回りに描く円弧状の回転軌跡の半径を、主切刃の先端から後端 まで一致させることができるので、被削材を精度良く平面加工できるという効果 を奏する。 また、この考案のチップによれば、チップを工具本体へ装着する際の位置決め 基準となる取付面及び下面が従来のチップと異なるところがないので、特に新た な工具本体を用意する必要もなく、この結果、工具本体側の汎用性も損なわれな いという効果を奏する。
【提出日】平成9年2月18日
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】考案の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】 【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、スローアウェイチップ及びスローアウェイ式カッタに係り、詳し くは、エンドミル等で被削材の溝加工や側面加工を行う際に用いて好適なスロー アウェイチップ及びスローアウェイ式カッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンドミル等の切削工具を用いて被削材の溝加工や側面加工を行う場合 、工具本体に装着されるスローアウェイチップ(以下、チップと称する。)の主 切刃を凸円弧状に形成することが、加工面の平面度等を向上させる上で効果的で あることが知られている。 例えば、図7ないし図9は、従来からエンドミルに使用されていたチップの一 例を示すものである。 このチップ1は、略三角形状を呈する上面2と、この上面2と対向する下面3 と、これら上下面2、3の周縁に配置された側面4とを有してなるもので、前記 側面4を、上面2に対して所定の逃げ角γで傾斜する平坦な取付面5と、当該チ ップ1の外方へ突出する凸曲面6とから構成することにより、これら凸曲面6と 上面2との稜線部に形成される主切刃7を凸円弧状に湾曲させている。
【0003】 そして、このように構成されたチップ1は、図10ないし図12に示すように 、サポータ8の凹部9にその下面3及び二つの取付面5を密着させて装着された 上で、該サポータ8とともに工具本体10の取付溝11に挿入され、この後、楔 部材12、13で押さえ付けられて工具本体10のチップ取付座11aに着脱自 在に装着されるが、この際、主切刃7に対するすくい面とされる上面2は、図1 2に示すように工具軸線Oに対して傾けられて所定のすくい角θが与えられる。 ここで、上面2に任意のすくい角θが与えられる場合、仮に主切刃7が直線状 であれば、図13に示すように、主切刃7の中央部が両端T1、T2の描く円弧状 の回転軌跡Rよりも工具中心側へ後退するので、図14に示すように、被削材1 4に形成される溝部壁面14aが断面円弧状に削成されて平面度が劣化すること になる。
【0004】 ところが、上述した図7ないし図9に示すチップ1は、その主切刃7が凸円弧 状とされているため、図15に示すようにチップ1を上述のように傾けて装着し ても主切刃7の中央部は上面2のすくい角θに応じて工具径方向外周側へ膨らむ こととなる。従って、主切刃7の曲率半径Rを前記すくい角θに応じて適当に定 めることにより、主切刃7の工具軸線O回りの回転軌跡Rの半径を、主切刃7の 先端T1から後端T2に至るまで一致させることができ、これにより、理論的には 被削材14の溝部壁面14aを平面に切削できることとなる(図16参照)。 なお、このようなチップ1を使用するにあたっては、チップ1を工具本体10 へ装着した際に主切刃7の両端T1、T2から工具軸線Oまでの距離が一致するこ とが必要とされ、このため、前記主切刃7は、当該チップ1の平面視(図7)に おいて、チップ中心O1を通過して取付面5と直交する法線l1に対して主切刃7 が対称をなすように、換言すれば、主切刃7の曲率中心O2が前記法線l1上に位 置するように形成されている。また、工具本体10側の構成も、チップ1の取付 面5と密着するサポータ8の凹部側面9a、9bが当該凹部9を工具径方向に貫 く中心線mに対して対称をなすようにその形状及び寸法が定められている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、上述したチップ1を用いて被削材14の切削を行う場合でも、実際 には工具本体10の先端部に加わる切削抵抗によって工具先端部が側面14aか ら離間する方向へたわむため、主切刃7の先端部T1が後端T2よりも大きく工具 径方向の中心側へ後退してその切込量が減少し、この結果、図17に示すように 被削材14の溝部壁面14aが溝部底面14bに対して鈍角をなす傾斜面に加工 されてしまうという欠点があった。 特に、図18に示すように工具本体10を軸線方向へ送り出すことによって被 削材14を複数回に分けて切削する場合には、先に主切刃7の先端側で切削され た加工面が、次回の切削時に主切刃7の後端側で削り取られて加工面に段差が生 じてしまい、この結果、壁面14aが鋸刃状態に形成されてその平面度が著しく 悪化することさえあった。
【0006】 この考案は、このような背景の下になされたもので、工具先端側が切削抵抗に よってたわみ変形しても、被削材を正確に平面加工できるスローアウェイチップ 及びスローアウェイ式カッタ を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためにこの考案のチップは、すくい面とされる上面と、こ の上面と対向する下面と、これら上下面の周縁に配置される側面とによって全体 が多角形平板状に構成され、側面のうち、上面と交差する側が凸曲面状に形成さ れることによって側面と上面との稜線部に凸曲線状をなす主切刃が形成されると ともに、側面の下面と交差する側に工具本体装着時の位置決め基準とされる平坦 な取付面が形成されてなるスローアウェイチップであって、 主切刃は、上面と直交する方向から平面視した状態で、取付面に平行な主切刃 の接線と工具本体への装着時に工具先端側に向けられる主切刃の先端(T1)と の距離をA1とし、上記主切刃の接線と工具本体への装着時に工具基端側に向け られる主切刃の後端(T2)との距離をA2としたときに、A1<A2となる凸曲線 を描くように形成されていることを特徴とする。
【0008】 また、本考案に係るスローアウェイ式カッタは、工具軸線を中心に回転する工 具本体の先端外周側にスローアウェイチップを装着し、このスローアウェイチッ プの外周側に位置する主切刃が凸曲線状をなすスローアウェイ式カッタにおいて 、工具軸線に平行な主切刃の接線と主切刃の先端(T1)との距離をA1とし、上 記主切刃の接線と主切刃の後端(T2)との距離をA2としたときに、A1<A2 されていることを特徴とする。
【0009】
【作用】
上記構成のスローアウェイチップによれば、当該チップを、工具外周側を向く 主切刃の接線がチップ上面と直交する方向からの平面視において工具軸線と平行 をなすように、かつ、上面が所定のすくい角で傾斜するように工具本体へ装着し た場合に、主切刃の先端T1が後端T2よりも距離A1、A2の差(A2−A1)に応 じて工具外周側へ突出する。 そして、かかる状態で切削を行った場合には、工具先端部のたわみに伴って、 主切刃の先端T1側が後端T2側よりも被削材の側面から大きく後退して距離差( A2−A1)が吸収される。従って、距離差(A2−A1)を工具のたわみ量に応じ て適当に定めることにより、主切刃の被削材への切込量を先端T1から後端T2ま で一致させて被削材の壁面を平面加工できる。
【0010】
【考案の実施の形態】
以下、図1ないし図6を参照して、本考案の実施の形態を説明する。なお、本 考案のチップが装着される工具本体側の構成は、上述した図10ないし図12に 示す従来例と同様であり、従って、以下の説明では工具本体の構成要素に同一符 号を付し、その説明を省略する。 図1ないし図3に示すように、本実施の形態のチップ20は、上述した図7な いし図9に示す従来のチップ1と同様に、平面視略三角形状をなす上面21と、 この上面21と対向する下面22と、これら上下面21、22の周縁に配置され た側面23とによって全体がほぼ正三角形平板状に形成され、しかも、側面23 の下面22と交差する側に上面21に対して所定の逃げ角γ1で傾斜す る平坦な 取付面24が形成されることによっていわゆるポジチップ形状を呈している。
【0011】 側面23の上面21と交差する側には、当該チップ20の外方へ円弧状に突出 する凸曲面25が形成されており、これにより各側面23と上面21との稜線部 には凸円弧状をなす主切刃26が形成されている。 凸曲面25は、取付面24を、その両端側へ向うほどチップ中心側へ大きく削 り込むことによって形成されてなるもので、凸曲面25が上面21と直交する断 面において上面21となす逃げ角γ2は、前記取付面24の逃げ角γ1よりも小さ く定められている。 そして、主切刃26は、チップ20を上面21と直交する方向から平面視した 状態で(図1)、チップ中心O1を通過して取付面24と直交する法線l1に対し て、主切刃26の先端T1側に所定幅Wだけ平行移動させた線l3上に主切刃26 の曲率中心O3を位置させる。そして、この線l3と主切刃26との交点をP1 し、この交点P1を通過する接線l2は法線l1と直交し、取付面24と平行にな る。 しかも接線l2と主切刃26の先端T1との距離をA1とし、接線l2と主切刃2 6の後端T2との距離をA2としたときに、主切刃26はA1<A2となる一の円弧 を描くように形成されている。即ち、主切刃26は、曲率中心O3が法線l1に対 して主切刃26の先端T1 側へ所定幅Wだけ偏心する円弧を描くように形成され ている。
【0012】 ここで、主切刃26の距離A1、A2の差(A1−A2)については、当該チップ 20を工具本体10(図10参照)に装着した際の主切刃26の回転半径γ1( 図4参照)や上面21のすくい角θに応じて適宜変更されるが、なるべくは0. 02mm〜0.1mmの範囲に定めることが好ましい。また、主切刃26の曲率 中心O3と法線l1との偏心量W及び曲率半径γ2はすくい角 θに応じて適宜変更 されるものであり、例えば回転半径γ1が25mm、すくい 角θが16°の場合 で、偏心量Wが1.8mm、曲率半径γ2が300mmに設 定される。 一方、取付面24は、当該チップ20を工具本体10へ装着する際に、サポー タ8の凹部側面9a、9bと密着して当該チップ20の位置決めに供されるもの であり、その形状は従来のチップと同様に、一の取付面24と直交する法線l1 に対して残りの2つの取付面24が対称形状をなすように形成されている。 また、各側面23の端部には所定幅Sの副逃げ面27及び湾曲面28が形成さ れ、これにより、一の主切刃26の先端T1と、これに隣接する主切刃26の後 端T2との間には、法線l1とほぼ平行に伸びる副切刃29と、該副切刃29に連 なって所定の曲率半径γ3で湾曲するコーナ刃30とが形成されている。
【0013】 しかして、以上のように構成されたチップ20は、図10ないし図12に示す 上述した従来のチップと同様に、一の主切刃26の先端T1側が工具先端側を 向 くようにしてサポータ8とともに工具本体10の取付溝11に挿入され、この後 、取付溝11に挿入される楔部材12、13で締め付けられて工具本体10に取 り付けられる。 ここで、上述したように、チップ20の各取付面24は、一の取付面24と直 交する一の法線l1に対して残りの二の取付面24が対称をなすように形成さ れ ているので、上述した従来のチップが装着されるサポータ8等に本実施の形態の チップ20を装着した場合、当該チップ20は、その工具外周側を向く一の主切 刃26の接線l2が上面21と直交する平面視において工具軸線Oと平行をなす ように位置決めされる。また、上面21には、従来のチップと同様に所定のすく い角θが与えられる。
【0014】 これにより、図4に示すように、一の主切刃26は、その後端T2が、先端T1 の工具軸線O回りの回転軌跡Rよりも工具径方向中心側へ向って(A2−A1)だ け後退した状態に保持されることとなり、かかる状態のまま切削を行っ た場合 、理論的には図5に示すように被削材14の溝部壁面14aが溝部底面14bに 対して鋭角に傾斜する傾斜面状に形成されることになる。 しかしながら、実際にチップ20を工具本体10の先端部に装着して被削材1 4の壁面14aを切削した場合、工具本体10の先端部に加わる切削抵抗によっ て工具本体10の先端部が壁面14aから離間する方向へたわむため、主切刃2 6の先端T1側は工具径方向中心側へ後退し、これにより、主切刃26の先端T1 と後端T2との距離差(A2−A1)が吸収されて主切刃26の回転軌跡Rがその 先端T1から後端T2まで一致する。
【0015】 従って、本実施の形態のチップ20及びカッタによれば、図6(a)に示すよ うに被削材14の壁面14aを溝部底面14bに対して直交する平面に加工する ことができ、また、図6(b)に示すように工具本体10を軸線方向に送り出し て被削材14を複数回に分けて切削する場合でも、副切刃29と加工面との干渉 がなくなるので壁面14aを平面に形成できるのである。 また、本実施の形態のチップ20においては、サポータ8の凹部9に密着せし められる取付面24や下面22が従来のチップと何等異なるところがないので、 サポータ8や工具本体10は従来のままでもチップ20を所定位置に位置決めで き、専用の工具本体やサポータを用意する必要がない。従って、特に主切刃26 の被削材14に対する切込量が小さくて工具先端部の変形が問題とならないよう な場合には、当該チップ20に代えて従来のチップを用いることもでき、工具本 体側の汎用性が何等損なわれないという効果をも奏する。
【0016】 なお、本実施の形態では、特に主切刃26の前記距離A1、A2に差を付けるた めに、主切刃26の曲率中心O3を法線l1に対して偏心させているが、本考案は これに限るものではない。例えば、主切刃26の曲率半径γ2をその先端T1から 後端T2に かけて変化させることによっても上記距離A1、A2に差を付けること は可能であり、要は前記距離A1、A2の差(A2−A1)を切削時における主切刃 両端T1、 T2のたわみ量の差に一致させ、かつ工具本体10の先端側がたわん だ状態で主 切刃26が工具軸線回りに一の円筒面状の回転軌跡を描くように主 切刃26の先端T1から後端T2までの湾曲を決定すればよいのである。 また、本実施の形態では特に3枚の主切刃26を有する正三角形状のチップを 例に挙げて説明したが、本考案はこれに限るものではなく、例えば正方形状のチ ップであっても当然に適用できるものである。
【0017】
【考案の効果】
以上説明したように、この考案のスローアウェイチップ及びスローアウェイ式 カッタ によれば、切削時に工具先端部に生じるたわみ変形の大きさに応じて主切 刃の両端T1、T2と主切刃の接線との間の距離A1、A2の差を定めることにより 、工具先端部がたわみ変形した状態で主切刃の各部が工具軸線回りに描く円弧状 の回転軌跡の半径を、主切刃の先端から後端まで一致させることができるので、 被削材を精度良く平面加工できるという効果を奏する。 また、この考案のチップによれば、チップを工具本体へ装着する際の位置決め 基準となる取付面及び下面が従来のチップと異なるところがないので、特に新た な工具本体を用意する必要もなく、この結果、工具本体側の汎用性も損なわれな いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の実施の形態を示すスローアウェイチ
ップの平面図である。
【図2】 図1のI方向からの矢視図である。
【図3】 図1のII-II線における断面図である。
【図4】 工具本体に装着されたチップを工具先端側か
ら投影した図である。
【図5】 実施の形態のチップで切削加工を行ったとき
の理論的な加工面を示す図である。
【図6】 実施の形態のチップで実際に切削を行ったと
きの被削材の加工面を示す図で、(a)は被削材を一回
で加工したときの加工面を示す図、(b)は被削材を複
数回に分けて加工したときの加工面を示す図である。
【図7】 従来のスローアウェイチップの平面図であ
る。
【図8】 図7のIII方向からの矢視図である。
【図9】 図7のIV-IV線における断面図である。
【図10】 従来のチップが装着されたエンドミルを示
す側面図である。
【図11】 従来のチップが装着されたエンドミルを示
す底面図である。
【図12】 従来のチップが装着されたエンドミルを示
す工具先端外周部の拡大図である。
【図13】 従来のチップの主切刃を直線状とした上で
工具本体に装着した場合におけるチップの工具先端側か
らの投影図である。
【図14】 従来のチップの主切刃を直線状とした場合
の被削材加工面を示す図である。
【図15】 円弧状の主切刃をもつ従来のチップを工具
本体に装着したときのチップの工具先端側からの投影図
である。
【図16】 従来の凸円弧状の主切刃による被削材の理
論的な加工面を示す図である。
【図17】 従来の凸円弧状の主切刃によって被削材を
加工したときの実際の加工面を示す図である。
【図18】 複数回に分けて被削材を切削したときの実
際の加工面を示す図である。
【符号の説明】
10 工具本体 20 スローアウェイチップ 21 上面 22 下面 23 側面 24 取付面 25 凸曲面 26 主切刃 l1 法線 l2 主切刃の接線。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年2月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】考案の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【考案の名称】 スローアウェイチップ及びスローア
ウェイ式カッタ
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【実用新案登録請求の範囲】

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 すくい面とされる上面と、この上面と対
    向する下面と、これら上下面の周縁に配置される側面と
    によって全体が多角形平板状に構成され、前記側面のう
    ち、前記上面と交差する側が凸曲面状に形成されること
    によって前記各側面と前記上面との稜線部に凸曲線状を
    なす主切刃が形成されるとともに、前記各側面の前記下
    面と交差する側に工具本体装着時の位置決め基準とされ
    る平坦な取付面が形成されてなるスローアウェイチップ
    であって、 前記主切刃は、前記上面と直交する方向から平面視した
    状態で、前記上面の中心を通過して前記取付面と直交す
    る方向に延びる法線と前記主切刃との交点をP 1とし、
    前記工具本体への装着時に工具先端側に向けられる前記
    主切刃の先端T1と前記交点P1を通過する前記主切刃の
    接線との距離をA1とし、前記工具本体への装着時に工
    具基端側に向けられる前記主切刃の後端T2と前記接線
    との距離をA2としたときに、A1<A2となる凸曲線を
    描くように形成されていることを特徴とするスローアウ
    ェイチップ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016030326A (ja) * 2014-07-30 2016-03-07 京セラ株式会社 切削インサートおよびスローアウェイ式カッタ
JP6858354B1 (ja) * 2019-12-13 2021-04-14 株式会社タンガロイ 切削インサート

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