JPH0939833A - 自動車のフロントピラー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部の物体との干渉によりフロントピラーに
前方から外力が作用した時に、ピラー本体および前記物
体への影響を小さくする。 【解決手段】 ピラー本体５の外面前部７ａに沿わせ
て、薄金属板から成り前記外面７ａとともに閉断面を形
成するよう外側へ膨出８ｃした緩衝パネル８を配設、固
着する。緩衝パネル８の外表面上に樹脂製のカバー部材
９を添設してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自動車におけるフロ
ントピラーの構造に関する。

【０００２】

【従来技術】従来、自動車車体に側方から作用する外力
に対してそのエネルギを吸収するために、センタピラー
に各種の緩衝手段を設けることが、例えば実開平４−１
２５９５３号公報、実開平５−１９０１０号公報等によ
り知られている。

【０００３】

【解決しようとする課題】ところで、フロントピラーに
は、前記側方から作用する外力だけでなく、例えば前方
の物体との干渉により前方からの外力も作用することが
考えられ、かかる前方からの外力に対しては前記公報記
載の緩衝手段は有効でない。

【０００４】そこで本発明は、フロントピラーの構造を
改良して、外部の物体との干渉によりフロントピラーに
前方から外力が作用した時、ピラー本体に伝達されるエ
ネルギを適当に吸収することにより、前記物体への反力
を小さくして該物体への影響も少くできるようにしよう
とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このため、本発明のフロ
ントピラーにおいては、ピラー本体の外面前部に沿わせ
て、薄金属板から成り前記外面とともに閉断面を形成す
るよう外側へ膨出した緩衝パネルを配設、固着する。

【０００６】上記本発明のフロントピラーに外部の物体
が前方から当る時、該物体は先ずピラー本体の前部に膨
出している緩衝パネルに当るが、該緩衝パネルは薄金属
板から成っているので、衝突エネルギが或る程度大きく
なると塑性変形により圧潰し、これによって該エネルギ
を有効に吸収する。従ってピラー本体に伝達される力お
よび外部物体に作用する反力が小さくなり、これらの損
傷が有効に防止される。

【０００７】フロントピラーの外観を向上させるため、
前記緩衝パネルの外表面上に樹脂製のカバー部材を添設
してもよい。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は本発明を適用した自動車の
フロントピラー近傍を示す概略斜視図で、１はフロント
ピラー、２はドア、３はドアガラス、４はフロントウイ
ンドガラスである。

【０００９】図２は、図１のII−II線に沿うフロントピ
ラー１の横断面図であり、図３はフロントピラー１の全
体構成を示すために、フロントピラー１の長手方向に延
びる構成部材を個々に分解しかつ簡略化して示した概略
斜視図である。

【００１０】図２において５はフロントピラー１の骨格
をなすピラー本体で、ピラーインナ６とピラーアウタ７
とから成り、ピラーインナ６とピラーアウタ７は両側縁
に沿って互いに固着されるとともに、中間部において互
いに離隔して、閉断面構造のピラー本体５を形成してい
る。

【００１１】ピラー本体５の外面すなわちピラーアウタ
７の外面上には緩衝パネル８が配設されている。緩衝パ
ネル８は厚さ0.6 mm程度の薄い鉄板で形成され、その両
側部８ａ，８ｂはそれぞれピラーアウタ７の対応する外
面に沿わされて溶接等により該外面に固着されている
が、ピラーアウタ７の前面部分７ａに対応する位置にお
いて前方へ張り出して膨出部８ｃとなっている。そして
この膨出部８ｃと前記ピラーアウタ７の前面部分７ａと
によって閉断面が形成されている。

【００１２】上記膨出部８ｃの、車体前方へ面した外表
面部分には、樹脂製のカバー部材すなわち樹脂ガーニッ
シュ９が添着されている。すなわち、樹脂ガーニッシュ
９の裏側には係止片（図示せず）が突出しており、この
係止片を緩衝パネル８側に設けられた係止穴11（図３）
に挿入、固定することにより、樹脂ガーニッシュ９が緩
衝パネル８に取付けられている。

【００１３】なお、図２において、12はウインドモー
ル、13はドアサッシ、14はウエザストリップ、15は接着
剤（シーラント）である。

【００１４】図３から分るように、前記ピラー本体５の
ピラーアウタ７は、ボディアウタパネル16をフロントピ
ラー部分において凹入させ該凹入部分をピラーアウタ７
とすることにより、ボディアウタパネル16と一体に形成
されている。そしてこのピラーアウタ７上に緩衝パネル
８を重ねて、膨出部８ｃによりピラーアウタ７との間に
閉断面を形成する。

【００１５】膨出部８ｃの外面はボディアウタパネル16
の外面とほぼ同一面をなすので、これらの外面にまたが
って樹脂ガーニッシュ９を重ね、前記係止片と係止穴11
により膨出部８ｃに固定する。樹脂ガーニッシュ９のボ
ディアウタパネル16上に延びた端部は、該パネル16上の
樹脂ガーニッシュ９ａに連続的に接合されて一体観を与
える。

【００１６】車両の走行中にフロントピラー１に外部の
物体が干渉すると、図２に矢印で示すように、前後方向
の力Ｆが先ず樹脂ガーニッシュ９に作用し、次いで緩衝
パネル８を経てピラー本体５に伝達されるが、緩衝パネ
ル８は厚さ0.6 mm程度の薄い鉄板から成り、かつ力Ｆは
閉断面を形成する膨出部８ｃに作用するので、力Ｆが或
る程度以上大きくなると、膨出部８ｃが圧潰状に塑性変
形し、これによりエネルギを吸収する。

【００１７】この結果、ピラー本体５に伝達される力お
よび前記外部物体に作用する反力が小さくなり、これら
の損傷が防止される。良好な損傷防止効果を発揮させる
ためには、膨出部８ｃの膨出高さを少くとも約35mm程度
とし、圧潰時に約25mm程度のストロークを許すようにす
るのが望ましい。

【００１８】図４は本発明の他の実施形態を示す図２と
同様な横断面図であり、前記実施形態と同様な部分には
同じ参照符号を付してある。本実施形態は、緩衝パネル
８の膨出部８ｃの前面に樹脂ガーニッシュが添着されて
いない点で、前記実施形態と相違しているが、外力に対
する緩衝効果においては両者間に著しい差異はない。

【００１９】さらに本実施形態においては、ウインドモ
ールとして接着モール17が使用されている。このモール
17を使用することにより、モールのピラーへの取付構造
が不要となるので、衝撃吸収上有利である。10は両面テ
ープである。

【００２０】

【発明の効果】本発明によれば、外部の物体との干渉に
よりフロントピラーに前方から外力が作用した時、ピラ
ー本体に添設した緩衝プレートによりエネルギを有効に
吸収して、該本体および前記物体への影響を小さくする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した自動車のフロントピラー近傍
を示す概略斜視図である。

【図２】図１のII−II線に沿うフロントピラーの横断面
図である。

【図３】フロントピラーの長手方向に延びる構成部材を
分解しかつ簡略化して示した概略斜視図である。

【図４】本発明の他の実施形態を示す図１と同様な横断
面図である。

【符号の説明】

１…フロントピラー、２…ドア、３…ドアガラス、４…
フロントウインドガラス、５…ピラー本体、６…ピラー
インナ、７…ピラーアウタ、８…緩衝パネル、９…樹脂
ガーニッシュ、10…両面テープ、11…係止穴、12…ウイ
ンドモール、13…ドアサッシ、14…ウエザストリップ、
15…シーラント、16…ボディアウタパネル、17…接着モ
ール。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピラー本体の外面前部に沿わせて、薄金
   属板から成り前記外面とともに閉断面を形成するよう外
   側へ膨出した緩衝パネルを配設、固着したことを特徴と
   する自動車のフロントピラー。
2. 【請求項２】 前記緩衝パネルの外表面上に樹脂製のカ
   バー部材を添設した請求項１の自動車のフロントピラ
   ー。