JPH09331077A - 太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

太陽電池およびその製造方法

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JPH09331077A JP8147038A JP14703896A JPH09331077A JP H09331077 A JPH09331077 A JP H09331077A JP 8147038 A JP8147038 A JP 8147038A JP 14703896 A JP14703896 A JP 14703896A JP H09331077 A JPH09331077 A JP H09331077A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶半導体の無駄を生じることなく太陽電池
を安価に製造することができる方法および安価な太陽電
池を提供することである。 【解決手段】 予めp型の多結晶シリコンインゴット2
の所定の深さに水素をイオン注入する。原子状水素4が
注入された多結晶シリコンインゴット2を導電性接着剤
3を用いてステンレス基板1の表面に接着する。熱処理
により多結晶シリコンインゴット2から原子状水素4を
析出させて空孔4aを形成する。熱衝撃により多結晶シ
リコンインゴット2を空孔4aの領域で切断することに
よりステンレス基板1上にp型シリコン層2aを形成す
る。p型シリコン層2aにn型ドーパントをドーピング
し、熱処理を行うことによりn型シリコン層5を形成す
る。その後、n型シリコン層5の表面に電極6および反
射防止膜7を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶系太陽電池お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の結晶系シリコン太陽電池は、例え
ば次のようにして製造される。引き上げ法や鋳造法によ
り作製された多結晶または単結晶のシリコンインゴット
(塊状結晶)を薄いウエハ状に切断する。そして、この
ウエハの表面に拡散法またはイオン注入法によりpn接
合を形成し、さらに真空蒸着法、印刷焼成法やメッキ法
により電極を形成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来の結晶系シ
リコン太陽電池の製造方法においては、多結晶または単
結晶のシリコンインゴットからウエハを切り出す際に、
切り代が発生する。例えば、15cm径または15cm
角のシリコンインゴットから数百μmの厚さのウエハを
切り出す場合には、ウエハと同程度の厚さ、すなわち数
百μmの厚さの切り代が発生する。そのため、実際に使
用するシリコンウエハと同程度の厚さのシリコンの無駄
が生じる。
【0004】また、結晶系シリコン太陽電池において光
電変換に寄与する厚さは100μm以下であるが、シリ
コンインゴットを100μm以下の厚さのウエハに切断
することは困難である。そのため、実際の結晶系シリコ
ン太陽電池では必要以上の厚さのシリコンを用いている
ことになり、無駄が生じている。
【0005】本発明の目的は、結晶半導体の無駄を生じ
ることなく結晶系太陽電池を安価に製造することができ
る方法および安価な結晶系太陽電池を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
に係る太陽電池の製造方法は、第1導電型の結晶半導体
の所定の深さに所定の元素を層状にイオン注入した後、
その結晶半導体を基板上に接着し、熱処理により結晶半
導体から上記所定の元素を析出させて結晶半導体中に層
状に分布した空孔を形成し、熱処理により結晶半導体を
層状に分布した空孔の領域で切断して基板上に第1導電
型の半導体層を形成し、第1導電型の半導体層中または
第1導電型の半導体層上に第2導電型の半導体層を形成
するものである。
【0007】本発明に係る太陽電池の製造方法において
は、結晶半導体の所定の深さに層状に注入された所定の
元素を結晶半導体から析出させることにより結晶半導体
中に層状に分布した空孔を形成し、その層状に分布した
空孔の領域で結晶半導体を切断することにより基板上に
第1導電型の半導体層を形成することができる。この第
1導電型の半導体層の厚さは上記所定の元素の注入深さ
に相当するので、注入深さを調整することにより基板上
に任意の厚さの第1導電型の半導体層を形成することが
できる。
【0008】したがって、第1導電型の半導体層を光電
変換に必要な薄い厚さに容易に形成することが可能とな
る。また、層状に分布した空孔の領域で切断された結晶
半導体の残りの部分を別の太陽電池の製造に再利用する
ことができる。そのため、結晶半導体の無駄が生じず、
太陽電池の製造コストが低減される。
【0009】特に、上記所定の元素が水素または希ガス
であることが好ましい。この場合、熱処理により結晶半
導体から上記所定の元素を容易に析出させて結晶半導体
中に層状に分布した空孔を容易に形成することができ
る。
【0010】また、上記所定の深さは100μm以下で
あることが好ましい。特に、結晶半導体がシリコンであ
る場合には、上記所定の深さが20μm以上100μm
以下であることが好ましい。また、結晶半導体がガリウ
ム砒素である場合には、上記所定の深さが2μm以上1
0μm以下であることが好ましい。これにより、第1導
電型の半導体層が光電変換に十分に寄与しかつ無駄の生
じない厚さとなる。
【0011】本発明に係る太陽電池の製造方法が、第1
導電型の結晶半導体の所定の深さに所定の元素を層状に
イオン注入する第1の工程と、第1の工程で所定の元素
が注入された結晶半導体を基板上に接着する第2の工程
と、熱処理により結晶半導体から上記所定の元素を析出
させて結晶半導体中に層状に分布した空孔を形成する第
3の工程と、熱処理により結晶半導体を層状に分布した
空孔の領域で切断して基板上に第1導電型の半導体層を
形成する第4の工程と、第1導電型の半導体層中または
第1導電型の半導体層上に第2導電型の半導体層を形成
する第5の工程とを備えてもよい。
【0012】特に、第4の工程で第1導電型の半導体層
から切断された結晶半導体を第1の工程で再利用できる
ことが大きな利点である。これにより、結晶半導体の無
駄が生じず、太陽電池の製造コストが低減される。
【0013】結晶半導体は、単結晶半導体であってもよ
く、多結晶半導体であってもよい。また、所定の元素は
水素または希ガスであることが好ましい。これにより、
第3の工程で熱処理により結晶半導体から上記所定の元
素を容易に析出させて結晶半導体中に層状に分布した空
孔を容易に形成することができる。
【0014】また、上記所定の深さは100μm以下で
あることが好ましい。特に、結晶半導体がシリコンであ
る場合には、上記所定の深さが20μm以上100μm
以下であることが好ましい。また、結晶半導体がガリウ
ム砒素である場合には、上記所定の深さが2μm以上1
0μm以下であることが好ましい。これにより、基板上
に光電変換に十分に寄与しかつ無駄の生じない薄い厚さ
の第1導電型の半導体層を形成することができる。
【0015】また、基板が帯状基板からなり、第2、第
3、第4および第5の工程を帯状基板を移送しつつそれ
ぞれ独立の反応室で連続的に行うことが好ましい。これ
により、帯状基板上に複数の太陽電池を連続的に作製す
ることが可能となる。
【0016】本発明に係る太陽電池は、基板と、その基
板上に形成された厚さ100μm以下の第1導電型の結
晶半導体層と、第1導電型の結晶半導体中または結晶半
導体層上に形成された第2導電型の結晶半導体層とを備
えたものである。
【0017】特に、第1導電型の結晶半導体層がシリコ
ンである場合には、上記所定の深さが20μm以上10
0μm以下であることが好ましい。また、第1導電型の
結晶半導体層がガリウム砒素である場合には、上記所定
の深さが2μm以上10μm以下であることが好まし
い。
【0018】本発明に係る太陽電池においては、第1導
電型の結晶半導体層がシリコンである場合、20μm以
上100μm以下、ガリウム砒素である場合には、2μ
m以上10μm以下の厚さを有するので、安い材料コス
トで十分な光電変換を行うことができる。したがって、
安価な太陽電池が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例における
太陽電池の製造方法を示す模式的工程図である。
【0020】図1において、ロール101に厚さ0.2
mmおよび幅900mm程度の帯状のステンレス基板1
が巻かれている。このステンレス基板1を、矢印Aで示
すように、2本のロール101,102間で移送しなが
ら工程(a)〜(h)を別々の反応室で行う。各々の反
応室の間はエアカーテンまたは差動排気で遮断すること
によりプロセスガスの相互混入が防がれている。
【0021】予め工程(i)で、例えば15cm角のp
型の鋳造多結晶シリコンインゴット2にH(水素)をイ
オン注入する。これにより、多結晶シリコンインゴット
2中に原子状水素4の注入領域が形成される。多結晶シ
リコンインゴット2の比抵抗は10-1Ω・cm〜数Ω・
cmである。イオン注入の条件としては、水素イオン
(H+ )の加速エネルギーを2MeVとし、ドーズ量を
1×1017cm-2とする。この場合、注入深さDは約5
0μmであり、注入領域の厚さtは約0.7μmであ
る。
【0022】一方、工程(a)では、スパッタリング装
置10を用いてステンレス基板1の表面をAr(アルゴ
ン)によるイオンスパッタクリーニングで清浄にする。
あるいは、有機溶剤または/および酸溶液により清浄に
してもよい。次に、工程(b)において、原子状水素4
が注入された多結晶シリコンインゴット2をSn(ス
ズ)等の低融点金属からなる導電性接着剤3を用いてス
テンレス基板1の表面に200℃で接着する。あるい
は、有機溶剤に金属粒子を分散させた導電性接着剤で接
着してもよい。
【0023】次に、工程(c)において、300℃で熱
処理を行う。これにより、原子状水素4が水素分子ガス
として多結晶シリコンインゴット2の内部に析出され、
多結晶シリコンインゴット2の約50μmの深さに層状
に分布する多数の空孔4aが形成される。次いで、工程
(d)において、500℃で熱処理を行うことにより、
熱衝撃で多結晶シリコンインゴット2を空孔4aの領域
で切断する。それにより、ステンレス基板1上に厚さ約
50μmのp型シリコン層2aが形成される。p型シリ
コン層2aの表面は0.01〜0.1μm程度の粗さを
有する。
【0024】次に、工程(e)において、n型ドーパン
ドとしてP(燐)をイオン注入によりp型シリコン層2
aに0.06μm程度の深さまでドーピングする。イオ
ン注入の条件としては、燐イオン(P+ )の加速エネル
ギーを50keVとし、ドーズ量を1×1016cm-2
する。
【0025】さらに、工程(f)において、Xe(キセ
ノン)ランプ11を用いて短時間熱処理(フッシュアニ
ール)を行う。それにより、p型シリコン層2aにドー
プされたPが活性化され、p型シリコン層2aの表面に
約0.06μmの厚さを有するn型シリコン層5が形成
される。
【0026】次に、工程(g)において、n型シリコン
層5の表面にスクリーン印刷により電極6を形成する。
最後に、工程(h)において、n型シリコン層5上にC
VD法(化学的気相成長法)等により窒化シリコン膜等
からなる反射防止膜7を形成する。このようにして、ス
テンレス基板1上に太陽電池セル8が形成される。
【0027】一方、工程(d)で切断された多結晶シリ
コンインゴット2は、表面が研磨された後、工程(i)
で再利用される。このようにして、ステンレス基板1上
にドライプロセスにより複数の太陽電池セル8が連続的
に製造される。この太陽電池セル8においては、ステン
レス基板1が裏面電極となり、電極6が表面電極とな
る。
【0028】上記のようにして製造された太陽電池セル
8では、p型シリコン層2aが約50μmと薄く、しか
も、工程(d)で切断された多結晶シリコンインゴット
2の残部が工程(i)で何度も再利用されるので、多結
晶シリコンインゴット2の無駄が生じない。そのため、
太陽電池セル8の製造コストが低減される。
【0029】また、工程(d)で形成されたp型シリコ
ン層2aの表面は、0.01〜0.1μm程度の粗さを
有するので、太陽電池セル8内に入射した太陽光がp型
シリコン層2aの表面で多重反射され、太陽電池セル8
内の全体に再度進入し、利用される。そのため、実効的
な入射光の反射率が波長に依らず減少し変換効率が向上
する。例えば、〈100〉面の単結晶インゴットを用い
ると、水素ガスが選択的に(111)面に析出するの
で、切断面が(111)面の凹凸のあるテクスチャ構造
となり、実効反射率を1/2に減少できる。
【0030】工程(a)の前に、図2に示すように、工
程(a’)により、ステンレス基板1上にCVD法等に
より、酸化シリコン膜等からなる絶縁層1’を形成して
おくと、複数の太陽電池セル8を互いに絶縁することが
でき、それらの複数の太陽電池セル8を直列接続するこ
とが可能になる。それにより、出力電圧を高くすること
ができる。
【0031】図3(a)は図1の太陽電池を用いたハイ
ブリット型太陽電池モジュールの模式的断面図であり、
図3(b)は図2(a)のX−X線断面図である。図3
に示すように、ステンレス基板1の上面には図1に示し
た方法で複数の太陽電池セル8が形成されている。ステ
ンレス基板1の下面には複数の金属パイプ31が配設さ
れている。金属パイプ31の内部には水が循環する。
【0032】図3のハイブリット型太陽電池モジュール
では、太陽光のエネルギーが太陽電池セル8により電気
エネルギーに変換されるとともに、太陽光のエネルギー
が金属パイプ31内で熱エネルギーに変換されて温水が
供給される。
【0033】このハイブリット型太陽電池モジュールで
は、図1の太陽電池を用いることにより製造コストの低
下と温水利用による付加価値の向上が図れる。太陽電池
の変換効率は温度が上昇すると低下する。図3のハイブ
リッド型太陽電池モジュールでは、金属パイプ31内に
循環する水が太陽電池セル8を冷却するための冷却水と
しても働くので、エネルギーの有効利用が図られる。
【0034】なお、上記実施例では、工程(c)で空孔
4aを形成するために、工程(a)でHをイオン注入し
ているが、Hの代わりにHe(ヘリウム)等の希ガスを
用いることもできる。Heをイオン注入する場合には、
加速エネルギーを10MeV程度とする。
【0035】多結晶シリコンインゴット2の代わりに単
結晶シリコンインゴットを用いてもよい。また、シリコ
ンインゴットの代わりに板状シリコンを用いてもよい。
さらに、シリコンインゴットの代わりに光吸収係数が大
きいガリウム砒素(GaAs)のインゴットを用いても
よい。この場合、光吸収係数がシリコンに比べ大きいの
で、半導体層をシリコンよりも薄い2μm以上10μm
以下にできるので、半導体の使用料をさらに低減し、水
素イオン注入エネルギーをシリコンの場合の数分の1に
低下できる。
【0036】また、ステンレス基板1の代わりにガラス
基板を用いてもよい。ガラス基板側から太陽光を入射す
る場合、ガラス基板とシリコン層との間に透明電極を形
成する。
【0037】さらに、上記実施例では、p型の多結晶シ
リコンインゴットを用いているが、n型の多結晶または
単結晶のシリコンインゴットを用いてn型シリコン層を
形成し、n型シリコン層上にp型シリコン層を形成して
もよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における太陽電池の製造方法
を示す模式的工程図である。
【図2】図1の最初の工程の前に追加可能な工程を示す
図である。
【図3】図1の太陽電池を用いたハイブリット型太陽電
池モジュールの模式的断面図である。
【符号の説明】
1 ステンレス基板 1’ 絶縁膜 2 多結晶シリコンインゴット 2a p型シリコン層 3 導電性接着剤 4 原子状水素 4a 空孔 5 n型シリコン層 6 電極 7 反射防止膜 8 太陽電池セル

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型の結晶半導体の所定の深さに
    所定の元素を層状にイオン注入した後、前記結晶半導体
    を基板上に接着し、熱処理により前記結晶半導体から前
    記所定の元素を析出させて前記結晶半導体中に層状に分
    布した空孔を形成し、熱処理により前記結晶半導体を前
    記層状に分布した空孔の領域で切断して前記基板上に第
    1導電型の半導体層を形成し、前記第1導電型の半導体
    層中または前記第1導電型の半導体層上に第2導電型の
    半導体層を形成することを特徴とする太陽電池の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記所定の元素は水素または希ガスであ
    ることを特徴とする請求項1記載の太陽電池の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記所定の深さは100μm以下である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 第1導電型の結晶半導体の所定の深さに
    所定の元素を層状にイオン注入する第1の工程と、 前記第1の工程で前記所定の元素が注入された前記結晶
    半導体を基板上に接着する第2の工程と、 熱処理により前記結晶半導体から前記所定の元素を析出
    させて前記結晶半導体中に層状に分布する空孔を形成す
    る第3の工程と、 熱処理により前記結晶半導体を前記層状に分布した空孔
    の領域で切断して前記基板上に第1導電型の半導体層を
    形成する第4の工程と、 前記第1導電型の半導体層中または前記第1導電型の半
    導体層上に第2導電型の半導体層を形成する第5の工程
    とを備えたことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第4の工程で前記第1導電型の半導
    体層から切断された結晶半導体を前記第1の工程で再利
    用することを特徴とする請求項4記載の太陽電池の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記基板は帯状基板からなり、前記第
    2、第3、第4および第5の工程を前記帯状基板を移送
    しつつそれぞれ独立の反応室で連続的に行うことを特徴
    とする請求項4または5記載の太陽電池の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記所定の元素は水素または希ガスから
    なることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の
    太陽電池の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記所定の深さは100μm以下である
    ことを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の太陽
    電池の製造方法。
  9. 【請求項9】 基板と、 前記基板上に形成された厚さ100μm以下の第1導電
    型の結晶半導体層と、 前記第1導電型の結晶半導体層上に形成された第2導電
    型の結晶半導体層とを備えたことを特徴とする太陽電
    池。
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