JP6004339B2 - 内部応力層形成単結晶部材および単結晶基板製造方法 - Google Patents

内部応力層形成単結晶部材および単結晶基板製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、内部応力層形成単結晶部材および単結晶基板製造方法に関し、特に、単結晶基板を薄く安定して切り出すのに用いられる内部応力層形成単結晶部材および単結晶基板製造方法に関する。
従来、単結晶のシリコン(Si)ウェハに代表される半導体ウェハを製造する場合には、石英るつぼ内に溶融されたシリコン融液から凝固した円柱形のインゴットを適切な長さのブロックに切断して、その周縁部を目標の直径になるよう研削し、その後、ブロック化されたインゴットをワイヤソーによりウェハ形にスライスして半導体ウェハを製造するようにしている。
このようにして製造された半導体ウェハは、前工程で回路パターンの形成等、各種の処理が順次施されて後工程に供され、この後工程で裏面がバックグラインド処理されて薄片化が図られることにより、厚さが約750μmから100μm以下、例えば75μmや50μm程度に調整される。
従来における半導体ウェハは、以上のように製造され、インゴットがワイヤソーにより切断され、しかも、切断の際にワイヤソーの太さ以上の切り代が必要となるので、厚さ0.1mm以下の薄い半導体ウェハを製造することが非常に困難であり、製品率も向上しないという問題がある。
また近年、次世代の半導体として、硬度が大きく、熱伝導率も高いシリコンカーバイド(SiC)が注目されているが、SiCの場合には、Siよりも硬度が大きい関係上、インゴットをワイヤソーにより容易にスライスすることができず、また、バックグラインドによる基板の薄層化も容易ではない。
一方、集光レンズでレーザ光の集光点をインゴットの内部に合わせ、そのレーザ光でインゴットを相対的に走査することにより、インゴットの内部に多光子吸収による面状の改質層を形成し、この改質層を剥離面としてインゴットの一部を基板として剥離する基板製造方法および基板製造装置が開示されている。
例えば特許文献1には、レーザ光の多光子吸収を利用し、シリコンインゴット内部に改質層を形成しシリコンインゴットから静電チャックを利用してウェハを剥離する技術が開示されている。
また、特許文献2では、NA0.8の対物レンズにガラス板を取り付けて、太陽電池用のシリコンウェハに向けてレーザ光を照射することで、シリコンウェハ内部に改質層を形成し、これをアクリル樹脂の板に瞬間接着剤で固定して剥離する技術が開示されている。
また、特許文献3では、特に段落0003〜0005、0057、0058に、シリコンウェハ内部にレーザ光を集光し多光子吸収を起こさせることで微小空洞を形成しダイシングを行う技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術では、大面積の基板(シリコン基板)を均一に剥離することは容易でない。
また、特許文献2の技術では、ウェハを剥離するには強力なシアノアクリレート系接着剤でアクリル樹脂板にウェハを固定する必要があり、剥離したウェハとアクリル樹脂板との分離が容易でない。さらに、NA0.5〜0.8のレンズでシリコン内部に改質領域を形成すると、改質層の厚みが100μ以上となって必要な厚みよりも大きくなるので、ロスが大きい。ここで、レーザ光を集光する対物レンズのNA(開口数)を小さくすることで改質層の厚みを小さくすることが考えられるが、基板表面でのレーザ光のスポット径が小さくなってしまう。このため、浅い深度に改質層を形成しようとすると、基板表面までが加工されてしまうという別の問題が発生する。
また、特許文献3の技術は、シリコンウェハを個片のチップに切り分けるダイシングに関する技術であり、これをシリコンなどの単結晶インゴットから薄板状のウェハを製造することに応用するのは容易ではない。
特開2005‐277136号公報 特開2010‐188385号公報 特開2005‐57257号公報
本発明は、上記課題に鑑み、比較的大きくて薄い単結晶基板を容易に製造することができる内部応力層形成単結晶部材および単結晶基板製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様によれば、単結晶部材の内部に、前記単結晶部材の被照射側の表面からレーザ光を集光することで、前記表面と離間しかつ前記表面と平行に延在する2次元状の応力層を形成したことを特徴とする内部応力層形成単結晶部材が提供される。
本発明の他の態様によれば、単結晶部材の内部に、前記単結晶部材の被照射側の表面からレーザ光を集光することで、前記表面から離間しかつ前記表面と平行に延在する2次元状の改質層を形成しつつ、該改質層の界面付近に応力層を形成してなる内部応力層形成単結晶部材を製造し、表面に酸化層を有する金属製基板を、前記改質層によって分断されてなる単結晶層の表面に接着して、前記金属製基板に力を加えて前記単結晶層を前記改質層から剥離することで単結晶基板を形成することを特徴とする単結晶基板製造方法が提供される。
本発明によれば、比較的大きくて薄い単結晶基板を容易に製造することができる内部応力層形成単結晶部材および単結晶基板製造方法を提供することができる。
第1実施形態に係る単結晶基板製造方法を説明する模式的鳥瞰図。 第1実施形態に係る単結晶基板製造方法を説明する模式的鳥瞰図。 第1実施形態に係る単結晶基板製造方法および内部応力層形成単結晶部材を説明する模式的斜視断面図。 第1実施形態で、レーザ光の照射により単結晶部材内部に多結晶部が形成されていることを示す模式的断面図。 第1実施形態で、内部応力層形成単結晶部材の側壁に改質層を露出させたことの模式的斜視断面図。 図5Aの部分拡大図。 図5Aの部分拡大図。 図5Aの部分拡大図。 第1実施形態で、内部応力層形成単結晶部材の上下面に金属製基板を接着させて改質層から単結晶層を剥離させることを説明する模式的断面図。 第1実施形態で、内部応力層形成単結晶部材の上下面に金属製基板を接着させて改質層から単結晶層を剥離させることを説明する模式的断面図。 第1実施形態の変形例を説明する模式的断面図。 第1実施形態の変形例を説明する模式的断面図。 第1実施形態の変形例を説明する模式的斜視断面図。 第1実施形態で、単結晶層の剥離面の例を示す光学顕微鏡写真。 試験例1の実施例1で、シリコンウェハのへき開面の光学顕微鏡写真。 試験例1の実施例2で、シリコンウェハのへき開面の光学顕微鏡写真。 試験例2で、単結晶基板の剥離面の凹凸寸法と表面粗さとの関係を示す図。 試験例3で、改質層の多結晶粒の粒径を示す光学顕微鏡写真。 試験例3で、改質層の多結晶粒の粒径を示す光学顕微鏡写真。 試験例3で、改質層の多結晶粒の粒径を示す光学顕微鏡写真。 試験例4で、X線回折(XRD)による測定結果を示すスペクトル図。 試験例5の実施例4で、内部応力層形成単結晶部材の断面の光学顕微鏡写真およびスペクトル図。 試験例5の比較例で、レーザ光をシリコンウェハに照射することを説明する模式的鳥瞰図。 試験例5の比較例で、内部応力層形成単結晶部材の断面の光学顕微鏡写真およびスペクトル図。 第2実施形態に係る単結晶基板製造方法および内部応力層形成単結晶部材を説明する上で用いる単結晶部材内部加工装置の模式的鳥瞰図。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
なお、第2実施形態では、すでに説明したものと同様の構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態で、レーザ集光手段により空気中でレーザ光を集光したことを説明する模式的鳥瞰図であり、図2は、本実施形態で、レーザ集光手段により単結晶部材内部にレーザ光を集光したことを説明する模式的鳥瞰図である。図3は、本実施形態に係る内部応力層形成単結晶部材11および単結晶基板製造方法を説明する模式的断面構造である。図4は、レーザ光の照射により単結晶部材内部に多結晶部12pが形成されていることを示す模式的断面図である。図5Aは、内部応力層形成単結晶部材11の側壁に、レーザ光の集光によって形成された応力層13および改質層12を露出させたことを示す模式的斜視断面図である。
本実施形態に係る内部応力層形成単結晶部材11は、レーザ光Bの被照射側の表面10tからレーザ光Bを集光することで、この表面10tと離間しかつこの表面10tと平行に延在する2次元状の応力層13u、13dと、単結晶が改質されてなる改質層12をこの応力層13u、13dに隣接して形成してなるものである。
具体的には、本実施形態では、レーザ集光手段(レーザ集光部)として集光レンズ15を単結晶部材10上に非接触に配置する工程と、集光レンズ15により、単結晶部材10の被照射側の表面10tにレーザ光Bを照射して単結晶部材10内部にレーザ光Bを集光する工程と、集光レンズ15と単結晶部材10とを相対的に移動させて、単結晶部材10内部に、表面10tと平行に延在する改質層12を形成しつつ、界面11uの付近に応力層13を形成してなる内部応力層形成単結晶部材11を形成する。ここで界面11uとは、改質層12と、改質層12によって分断されてなり改質層12の上側に隣接する単結晶層10uと、の界面のことである。そして、本実施形態では、単結晶層10uを改質層12から剥離させて、図7に示すような単結晶基板10sを形成する。ここで、図7は、改質層12から単結晶層10uを剥離させたことを説明する模式的断面図である。なお、以下の説明では、単結晶層10uを改質層12との界面11uから剥離させることで説明するが、本発明は界面11uから剥離させることに限られず、改質層12内で剥離が生じるようにしてもよい。
集光レンズ15は、単結晶部材10の屈折率に起因する収差を補正する構成になっている。具体的には、図1に示すように、本実施形態では、集光レンズ15は、空気中で集光した際に、集光レンズ15の外周部Eに到達したレーザ光が集光レンズ15の中央部Mに到達したレーザ光よりも集光レンズ側で集光するように補正する構成になっている。すなわち、集光した際、集光レンズ15の外周部Eに到達したレーザ光の集光点EPが、集光レンズ15の中央部Mに到達したレーザ光の集光点MPに比べ、集光レンズ15に近い位置となるように補正する構成になっている。
詳細に説明すると、集光レンズ15は、空気中で集光する第1レンズ16と、この第1レンズ16と単結晶部材10との間に配置される第2レンズ18と、で構成される。第1レンズ16および第2レンズ18は、何れもレーザ光を円錐状に集光できるレンズとされている。そして、レーザ光Bが照射される側の単結晶部材10の表面10t(被照射側の表面)から改質層12までの深さ(間隔)Dを、主に第1レンズ16とこの表面10tとの距離L1で調整する構成になっている。さらに、改質層12の厚みTを、主に第2レンズ18とこの表面10tとの距離L2で調整する構成になっている。従って、主に第1レンズ16で空気中での収差補正を行い、主に第2レンズ18で単結晶部材10内での収差補正を行うことになる。本実施形態では、表面10tから所定の深さDの位置に、厚みTが60μm未満の改質層12が形成されるように、第1レンズ16、第2レンズ18の焦点距離、および、上記の距離L1、L2を設定しておく。
第1レンズ16としては、球面または非球面の単レンズのほか、各種の収差補正や作動距離を確保するために組レンズを用いることが可能であり、NAが0.3〜0.7であることが好ましい。第2レンズ18としては、第1レンズ16よりも小さなNAのレンズで、例えば曲率半径が3〜5mm程度の凸ガラスレンズが、簡便に使用する観点で好ましい。
そして、レーザ光Bの照射によって単結晶部材10の表面10tにダメージを与えることなく単結晶部材10の内部に改質層12を形成する観点で、集光レンズ15の外周部Eに到達したレーザ光とその集光点EPで定義される空気中の集光レンズ15のNAは、0.3〜0.85にすることが好ましく、0.5〜0.85にすることがさらに好ましい。
なお、改質層12の厚みの調整が不要である場合、第1レンズ16および第2レンズ18に代えて、1枚のレンズのみを配置することも可能である。その場合には、単結晶部材内での収差補正をできる構造にしておくことが好ましい。
単結晶部材10のサイズは、特に限定されるものではないが、例えばφ300mmの厚いシリコンウェハからなり、レーザ光Bが照射される表面10tが予め平坦化されていることが好ましい。
レーザ光Bは、単結晶部材10の周面ではなく、上記の表面10tに照射装置(図示省略)から集光レンズ15を介して照射される。このレーザ光Bは、単結晶部材10がシリコンの場合には、例えばパルス幅が1μs以下のパルスレーザ光からなり、900nm以上の波長、好ましくは1000nm以上の波長が選択され、YAGレーザ等が好適に使用される。
集光レンズ15に上方からレーザ光を入光する形態については特にこだわらない。集光レンズ15の上方にレーザ発振器を配置して集光レンズ15に向けて発光する形態としてもよいし、集光レンズ15の上方に反射ミラーを配置しレーザ光をこの反射ミラーに向けて照射して反射ミラーで集光レンズ15に向けて反射する形態にしてもよい。
このレーザ光Bは、単結晶部材10として厚み0.625mmの単結晶基板に照射したときの光線透過率が1〜80%の波長であることが望ましい。例えば、単結晶部材10としてシリコンの単結晶基板を用いた場合、波長が800nm以下のレーザ光では吸収が大きいため、表面のみが加工され、内部の改質層12を形成することができないため、900nm以上の波長、好ましくは、1000nm以上の波長が選択される。また、波長10.64μmのCO2レーザでは、光線透過率が高すぎるため、単結晶基板の加工をすることが困難なため、YAG基本波のレーザなどが好適に使用される。
レーザ光Bの波長が900nm以上が好ましい理由は、波長が900nm以上であれば、シリコンからなる単結晶基板に対するレーザ光Bの透過性を向上させ、単結晶基板内部に改質層12を確実に形成することができるからである。レーザ光Bは、単結晶基板表面の周縁部に照射され、あるいは単結晶基板の表面の中心部から周縁部方向に照射される。
(応力層および改質層の形成)
以下、応力層13および改質層12を形成することについて詳細に説明する。本実施形態では、単結晶部材10をXYステージ(図示せず)上に載置し、真空チャック、静電チャックなどでこの単結晶部材10を保持する。
そして、XYステージで単結晶部材10をX方向やY方向に移動させることで、集光レンズ15と単結晶部材10とを、単結晶部材10の集光レンズ15が配置されている側の表面10tと平行な方向に相対的に移動させながらレーザ光Bを照射することで、単結晶部材10の内部に集光したレーザ光Bによって多数の多結晶部12pが形成される。この多結晶部12pの集合体が上述の改質層12である。この多結晶部12pが形成される際、単結晶の溶融、固化が生じるため、本実施形態では、多結晶部12pに上下側にそれぞれ隣接する応力層13u、13dも併せて形成される。応力層13u、13dの応力は圧縮応力となる。
図5B〜図5Dは、図5AのK部の拡大図である。応力層13uは、図5Bに示すように単結晶層10uに形成されていてもよいし、図5Cに示すように単結晶部10dに形成されていてもよいし、図5Dに示すように単結晶層10uと単結晶部10dとに跨っていてもよい。応力層13dについても同様である。
この改質層12および応力層13が形成された結果、内部応力層形成単結晶部材11が製造される。この内部応力層形成単結晶部材11は、この応力層13u、13dと改質層12と、改質層12の上側(すなわちレーザ光Bの被照射側)に単結晶層10uと、改質層12の下側に単結晶部10dと、を有する。単結晶層10uおよび単結晶部10dは、改質層12によって単結晶部材10が分断されたことにより形成されたものである。
なお、ステージの移動速度を抑えるために、ガルバノミラーやポリゴンミラーなどのレーザービーム偏向手段を用い、集光レンズ15の照射エリア内でレーザ光をスキャンすることを併用してもよい。また、このような内部照射を行って改質層12の形成の終了後、単結晶部材10の被照射側の表面10t、すなわち単結晶層10uの表面10tにレーザ光Bの焦点を合わせ、照射領域を示すマークを付け、その後、このマークを基準に単結晶部材10を切断(割断)して、後述するように、改質層12の周縁部を露出させた上で単結晶層10uの剥離を行ってもよい。
このような照射によって形成された改質層12では、レーザ光Bの照射軸BCに平行な多数の多結晶部12pが形成されている。例えば、改質層12の断面をエッチングして顕微鏡などで観察することによって、図4に示すように、レーザ光Bの照射軸BCに平行な多結晶部12pが並んで形成されていることが容易に確認される。形成する多結晶部12pの寸法、密度などは、改質層12から単結晶層10uを剥離し易くする観点で、単結晶部材10の材質などを考慮して設定することが好ましい。
なお、多結晶部12pを確認するには、レーザ光Bによる加工領域すなわち改質層12を横断するように内部応力層形成単結晶部材11をへき開し、へき開面(例えば図3、図5Aの14a〜d)をエッチングして走査電子顕微鏡もしくは共焦点顕微鏡で観察することで確認してもよいが、同一の材質の単結晶部材(例えばシリコンウェハ)に対し、同一の照射条件で、例えばYステージの送りを6〜50μm間隔で部材内部に線状の加工を行い、これを横断する形でへき開し、へき開面をエッチングして観察することで、容易に確認してもよい。
(剥離工程)
この後、改質層12と単結晶層10uとの剥離を行う。本実施形態では、まず、内部応力層形成単結晶部材11の側壁に改質層12を露出させる。露出させるには、例えば、単結晶部10d、単結晶層10uの所定の結晶面に沿ってへき開する。この結果、図5Aに示すように、単結晶層10uと単結晶部10dとによって改質層12が挟まれた構造のものが得られる。なお、単結晶層10uの表面10tはレーザ光Bの被照射側の面である。
改質層12が既に露出している場合や、改質層12の周縁と内部応力層形成単結晶部材11の側壁との距離が十分に短い場合には、この露出をさせる作業を省略することが可能である。
その後、図6に示すように、内部応力層形成単結晶部材11の上下面に、それぞれ、金属製基板28u、28dを接着する。すなわち、単結晶層10uの表面10tに金属製基板28uを接着剤34uで接着し、単結晶部10dの表面10bに金属製基板28dを接着剤34dで接着する。金属製基板28u、28dには、それぞれ、表面に酸化層29u、29dが形成されている。本実施形態では、酸化層29uを表面10tに、酸化層29dを表面10bに接着する。金属製基板28u、28dとしては、例えば、SUS製の剥離用補助板を用いる。接着剤としては、通常の半導体製造プロセスで使用される接着剤であって、市販のシリコンインゴット固定用の所謂ワックスとして使用される接着剤を用いる。特に、硬化後、温水中に浸けることで接着力が低下するタイプの接着剤は、接着させたものを水に浸けると接着剤の接着力が低下するので、接着剤と被接着物(単結晶層10u)とを容易に分離させることができるため好適に使用される。
この接着では、まず、金属製基板28uを単結晶層10uの表面10tに仮固定用接着剤で貼り付け、金属製基板28uを裏打ちし力を加えることで剥離する。
仮固定用接着剤の接着強度は、改質層12と単結晶層10uとの界面11uで剥離するのに必要な力よりも強ければよい。仮固定用接着剤の接着強度に応じ、形成する多結晶部12pの寸法、密度を調整してもよい。
仮固定用接着剤としては、例えば、金属イオンを反応開始剤として硬化するアクリル系2液モノマー成分からなる接着剤を用いる。この場合、未硬化モノマーおよび硬化反応物が非水溶性であると、水中で剥離した際に露出した単結晶層10uの剥離面10f(例えばシリコンウェハの剥離面)が汚染されることを防止できる。
仮固定用接着剤の塗布厚みは、硬化前で0.1〜1mmが好ましく、0.15〜0.35mmがより好ましい。仮固定用接着剤の塗布厚みが過度に大きい場合、完全硬化となるまでに長時間を必要とする上、単結晶部材(シリコンウェハ)の割断時に仮固定用接着剤の凝集破壊が起こりやすくなる。また、塗布厚みが過度に小さい場合、割断した単結晶部材の水中剥離に長時間を必要とする。
仮固定用接着剤の塗布厚みの制御は、接着する金属製基板28u、28dを任意の高さに固定する方法を用いることで行ってもよいが、簡易的にはシムプレートを用いて行うことができる。
接着した際に金属製基板28uと金属製基板28dとの平行度が十分に得られない場合には、1枚以上の補助板を使用して必要な平行度を得てもよい。
また、金属製基板28u、28dを仮固定用接着剤で内部応力層形成単結晶部材11の上下面に接着する際、片面ずつ接着してもよいし、両面同時に接着してもよい。
厳密に塗布厚みを制御したい場合には、一方の片面に金属製基板を接着させて接着剤が硬化した後、もう一方の片面に金属製基板を接着することが好ましい。このように片面ずつ接着する場合、仮固定用接着剤を塗布する面が内部応力層形成単結晶部材11の上面であっても下面であってもよい。その際、単結晶部材10の非接着面に接着剤が付着して硬化することを抑制するために、金属イオンを含まない樹脂フィルムをカバーレイヤーとして用いてもよい。
金属製基板としては、平行度および平坦度が得られるのであれば、装置固定用の抜き穴等の機械加工を行っていても構わない。接着する金属製基板は水中での剥離工程を経るため、シリコンウェハのコンタミ抑制目的では不動態層を形成するものであることが好ましく、水中剥離のタクトタイム短縮目的では形成する酸化層(酸化皮膜層)が薄い方が好ましい。
内部加工シリコンウェハ割断後に水中剥離を行うため、接着前の金属製基板については、通常行われる金属の脱脂処理を行うことが好ましい。
仮固定用接着剤と金属製基板との接着力を高めるには、機械的または化学的方法で金属表面の酸化層を落として活性な金属面を出すとともに、アンカー効果を得やすい表面構造にするのが好ましい。上記の化学的方法とは、具体的には薬品を用いた酸洗浄や脱脂処理などがある。上記の機械的方法とは、具体的にはサンドブラスト、ショットブラストなどが挙げられるが、サンドペーパーで金属製基板の表面を傷つける方法が最も簡便であり、その粒度は#80〜2000が好ましく、金属製基板の表面ダメージを考慮すると#150〜800がより好ましい。
金属製基板の接着後、図6に示したように、金属製基板28uに上方向の力Fuを、金属製基板28dに下方向の力Fdをそれぞれ加える。ここで、改質層12と単結晶部10dとの界面11dよりも、改質層12と単結晶層10uとの界面11uのほうが剥離しやすい。このため、力Fu、Fdによって、図7に示すように、改質層12と単結晶層10uとの界面11uで剥離する。この剥離によって、単結晶層10uを改質層12から剥離してなる薄い単結晶基板10sを得る。本実施形態では、改質層12の界面11u側に隣接する応力層13uが形成されており、その上、改質層12と単結晶層10uとの界面11uが形成されていることにより、比較的小さい力でこの剥離が生じ易い。
力Fu、Fdを加える手法は特に限定しない。例えば、図8に示すように、内部応力層形成単結晶部材11の側壁をエッチングして改質層12に溝36を形成し、図9に示すように、この溝36に楔状圧入材30(例えばカッター刃)を圧入することで力Fu、Fdを発生させてもよい。また、図10に示すように、内部応力層形成単結晶部材11に角方向から力Fを加えて、上方向の力成分Fuと下方向の力成分Fdとを発生させてもよい。
このようにして得られた単結晶基板10sの剥離面10fは、例えば図11に示すように、粗面である。ここで図11は、単結晶基板10sの剥離面10fの光学顕微鏡写真である。なお、図11では、写真画像を判りやすくするために、結晶方位面でへき開した面10Hも一部に生じさせて写している。
以上説明したように、本実施形態では、単結晶部材10の内部にレーザ光を集光することで、圧縮応力が生じた応力層13を形成している。従って、改質層12と応力層13との剥離が容易である。
さらに、改質層12として、レーザ光Bの照射軸BCと平行な多結晶部12pの集合体を形成している。これにより、改質層12と単結晶層10との剥離がさらに容易となっている。
また、大きなNAの集光レンズ15で、単結晶部材10内の薄い厚み部分にレーザ光Bによるエネルギーを集中させることができる。従って、単結晶部材10内に、厚みT(レーザ光Bの照射軸BCに沿った長さ)が小さい改質層(加工領域)12を形成した内部応力層形成単結晶部材11を製造することができる。そして、改質層12から単結晶層10uを剥離することで薄い単結晶基板10sを製造することが容易である。また、このような薄い単結晶基板10sを比較的短時間で容易に製造することができる。しかも、改質層12の厚みを抑えることで単結晶部材10から多数枚の単結晶基板10sが得られるので、製品率を向上させることができる。
さらに、改質層12から剥離させる際、界面11u、11dのうち、レーザ光の被照射側の界面11uから剥離させて剥離面10fを粗面としている。このような粗面化された剥離面10fを太陽光の被照射面として使用することで、太陽電池に適用する場合の太陽光の集光効率を高めることができる。
また、単結晶基板10sを形成する工程では、表面に酸化層29uを有する金属製基板28uを単結晶層10uの表面に接着して剥離させることで単結晶基板10sを得ている。従って、金属製基板との接着に、通常の半導体製造プロセスで使用される接着剤を用いることができ、アクリル板を接着させる際に用いる強力な接着力を有するシアノアクリレート系接着剤を用いなくて済む。しかも、剥離した後、水に浸けることで接着剤の接着力が大きく低減して剥がれ易くなるので、金属製基板28uから単結晶基板10sを容易に分離させることができる。
なお、上記実施形態では、レーザ光Bを集光することで応力層13と改質層12とを同時に形成することで説明したが、応力層13のみを形成して改質層12を形成しない内部応力層形成単結晶部材を形成してもよい。応力層13の存在によって改質層12と単結晶層10uとが剥がれ易くなっているので、本実施形態と同様にして、金属製基板28u、28dの接着を行って単結晶基板10sを改質層12から剥離させて単結晶基板10sを製造することができる。
また、応力層13による大きな応力が改質層12内で生じているときには改質層12内で剥離が生じ得る。上記実施形態では、単結晶層10uを改質層12との界面11uから剥離させることで説明したが、本発明は界面11uからの剥離に限られず、このように改質層12内で剥離して単結晶基板10sを製造することも含まれる。
また、本実施形態では、金属製基板28u、28dを内部応力層形成単結晶部材11の上下面にそれぞれ貼り付けて、金属製基板28u、28dに力を加えて剥離することで単結晶基板10sを形成することで説明したが、エッチングにより改質層12を除去することで剥離してもよい。
また、単結晶部材10はシリコンウェハに限定されるものではなく、シリコンウェハのインゴット、単結晶のサファイア、SiCなどのインゴットやこれから切り出したウェハ、あるいはこの表面に他の結晶(GaN、GaAs、InPなど)を成長させたエピタキシャルウェハなどを適用可能である。また、単結晶部材10の面方位は(100)に限らず、他の面方位とすることも可能である。
<試験例1>
本発明者は、単結晶部材10として鏡面研磨した単結晶のシリコンウェハ10(厚み625μm)を準備した。そして、実施例1として、このシリコンウェハ10をXYステージに載置し、シリコンウェハ10のレーザ光の被照射側の表面10tからの0.34mmの距離に、第2レンズ18として第2平凸レンズ18を配置した。この第2平凸レンズ18は、曲率半径7.8mm、厚み3.8mm、屈折率1.58のレンズである。また、第1レンズ16としてNAが0.55の第1平凸レンズ16を配置した。
そして、波長1064nm、繰り返し周波数100kHz、パルス幅60秒、出力1Wのレーザ光Bを照射し、第1平凸レンズ16、第2平凸レンズ18を通過させてシリコンウェハ10内部に改質層12を形成した。シリコンウェハ表面10tから加工領域までの深さD、つまり改質層12までの深さDは、第1平凸レンズ16とシリコンウェハ表面10tとの相互位置を調整することで制御した。改質層12の厚みTは第2平凸レンズ18とシリコンウェハ表面10tとの相互位置を調整することで制御した。
改質層12を形成する際には、Xステージで等速で15mm移動させながらレーザ光Bを照射し、次いでYステージで1μm送った後これを繰り返すことで15mm×15mmのエリアにレーザ光の内部照射を行うことで改質層12を形成した。この結果、改質層12の上側(すなわちレーザ光Bの被照射側)に単結晶層10uと、改質層12の下側に単結晶部10dとを有する内部応力層形成単結晶部材11が製造された。本実施形態では、単結晶層10u、単結晶部10dは、改質層12によってシリコンウェハ10が分断されたことにより形成されたものである。
この後、改質層12を横断するようにシリコンウェハ10をへき開してへき開面をエッチングし、光学顕微鏡(走査電子顕微鏡)で観察した。観察されたへき開面の光学顕微鏡写真を図12に示す。改質層12には1μm弱の幅の多結晶部12pが並んでいることが確認された。
また、実施例2として、上記実施条件のうち、Yステージで1μmではなく10μmで送ることのみ条件を変えて改質層12を形成した。そして、同様にして、改質層12を横断するようにシリコンウェハ10をへき開してエッチングし、へき開面を光学顕微鏡(走査電子顕微鏡)で観察した。観察されたへき開面の光学顕微鏡写真を図13に示す。改質層12には10μm弱の幅の多結晶部12pが並んでいることが確認された。
また、実施例3として、実施例2のようにレーザ光を照射した後、Xステージで10μm送った後にYステージで等速で移動させながらレーザ光を照射することを繰り返した。すなわち、格子状にレーザ光を照射した。そして同様にして、改質層12を横断するようにシリコンウェハ10をへき開してエッチングし、へき開面を光学顕微鏡(走査電子顕微鏡)で観察した。改質層12には10μm弱の幅の多結晶部12pが並んでいることが、実施例2よりもさらにはっきりと確認された。
<試験例2>
また、本発明者は、試験例1で用いたシリコンウェハ10と同様のシリコンウェハを用い、実施例1の実施条件で改質層12を形成してなる内部応力層形成単結晶部材11を製造した。そして、金属製基板28u、28dを用いて単結晶層10uを剥離し、単結晶基板10sを得た。この単結晶基板10sの剥離面10fをレーザ共焦点顕微鏡で観察したところ、図14に示す計測図が得られ、粒径50〜100μmの凹凸が剥離面10fに形成されていることが確認された。ここで、図14では、横軸が凹凸寸法(μm表示)であり、縦軸が表面粗さ(%表示)である。
<試験例3>
本発明者は、改質層12を単結晶層10uから剥離させた後、改質層12の状態を、深さ方向位置を順次変えて赤外線顕微鏡による透過光観察により測定した。測定で得られた赤外線顕微鏡写真を図15〜図17に示す。図15は改質層12の単結晶層10u側の剥離面の多結晶粒の状態を示し、図16はそれよりもやや深い位置での多結晶粒の状態を示し、図17はさらに深い位置での多結晶粒の状態を示す。
図15〜図17から判るように、レーザ光の被照射側から深さ方向にいくに従い、粒径が粗くなっていた。
<試験例4>
本発明者は、単結晶のシリコンウェハにレーザ光を照射して上記の改質層12をシリコンウェハ内部に形成した。そして、この改質層12について、X線回折(XRD)による測定を行って結晶性評価を行った。測定で得られた図を図18に示す。図18から判るように、単結晶シリコンが多結晶化していることが確認された。従って、レーザ光の照射によって溶融、固化のプロセスが生じていることが判明した。
<試験例5>
(実施例4)
本発明者は、単結晶部材10として両面を鏡面研磨した単結晶のシリコンウェハ10(厚み625μm)を準備した。そして、実施例4として、このシリコンウェハ10をXYステージに載置し、波長1064nmのパルスレーザ光を照射し、一辺が5mmの平面視正方形状の改質層12を形成した。そして、このシリコンウェハ(内部応力層形成単結晶部材)をへき開することで改質層12の断面を露出させ、この断面を走査型電子顕微鏡で観察した。改質層12の厚みTは30μmであった。
次いで、この断面のラマン分光スペクトルを測定した。測定で得られたスペクトル図を図19に示す。改質層12に相当する部分でスペクトルの半値幅が大きく変動しており、多結晶となっていることが確認された。そして、単結晶領域とこの多結晶の領域との界面付近で高波数側に大きなスペクトルのシフトが観察され、界面に大きな圧縮応力が生じていることも確認された。
(比較例)
また、本発明者は、実施例4で用いたシリコンウェハと同様のシリコンウェハを用い、以下のようにして比較例の試験を行った。図20は、本比較例で、レーザ集光手段により空気中でレーザ光を集光したことを説明する模式的鳥瞰図である。比較例では、実施例4に比べ、レーザ集光手段として、集光レンズ15に代えて集光レンズ115が配置されている。本比較例で用いるこの集光レンズ115は、平凸レンズである第1レンズ116と、第1レンズ116とシリコンウェハ100表面との間に配置された収差増強用のガラス板118と、で構成される。この収差増強用のガラス板118をこのように配置することによって、被照射体であるシリコンウェハ100の表面にレーザスポットSPを形成するレーザ光Bは、シリコンウェハ表面100tで屈折されてレーザ光としてシリコンウェハ内部に進入し、シリコンウェハ内部に集光点を結ぶ際に、所定の深さ位置および幅を有する像を結ぶことになる。すなわち、シリコンウェハ内部に改質層112(加工領域)を所定の深さ位置に所定の厚みVで形成することができる。ここで収差増強用のガラス板118によって収差が増強されているので、この所定の厚みVは、実施例4の改質層12の厚みTよりも大きくなる。
本比較例では、NA0.8、倍率100倍の顕微鏡用対物レンズに、収差増強用のガラス板118として直径0.15mmのカバーガラスを付けた。そして、波長1064nmのパルスレーザを、実施例4の場合と同じ周波数、出力でシリコンウェハ100に照射し、一辺が5mmの平面視正方形状の改質層112を形成した。そして、このシリコンウェハ100をへき開することでこの改質層112の断面を露出させ、この断面を走査型電子顕微鏡で観察した。この改質層112の厚みは80〜100μmであった。
次いで、この断面のラマン分光スペクトルを測定した。測定結果を図21に示す。改質層112に相当する部分でスペクトルの半値幅が大きく変動しており、多結晶となっていることが確認された。そして、この多結晶の領域周辺で大きな波数シフトは観察されず、この多結晶の領域と単結晶領域との界面で大きな応力が存在していないことが確認された。
従って、本試験例により、比較例に比べて実施例4では、シリコンウェハ内部(単結晶部材内部)にレーザ光で加工形成される改質層112の厚みが小さいため、加工に伴うエネルギーロスを低減できることが判った。
また、実施例4では、単結晶領域と多結晶領域との界面の近傍に大きな圧縮応力が存在するので、改質層12と単結晶層10uとの界面11uの近傍に大きな圧縮応力が存在する。この応力の存在によっても、比較例よりも実施例4のほうが単結晶層を改質層から剥離し易い。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図22は、本実施形態に係る単結晶基板製造方法および内部応力層形成単結晶部材を説明する上で用いる単結晶部材内部加工装置の模式的鳥瞰図である。
本実施形態で用いる単結晶部材内部加工装置69は、上面側に載置された単結晶部材10を保持する回転ステージ70と、回転ステージ70の回転数を制御する回転ステージ制御手段72とを有する基板回転手段74を備えている。そして、単結晶部材内部加工装置69は、レーザ光源76と、集光レンズ15と、集光レンズ15から回転ステージ70までの距離を調整する焦点位置調整具(図示せず)とを有する照射装置80を備えている。さらに、単結晶部材内部加工装置69は、回転ステージ70の回転軸70cと回転ステージ70の外周との間で、回転ステージ70と集光レンズ15とを相対的に移動させるX方向移動ステージ84およびY方向移動ステージ86を備えている。
本実施形態では、この単結晶部材内部加工装置69を用い、回転ステージ70に単結晶部材10を載置し、回転ステージ70で単結晶部材10を等速で回転させつつ、第1実施形態と同様にしてレーザ光Bを照射し、次いでX方向移動ステージ84やY方向移動ステージ86で回転ステージ70を移動させて、レーザ光Bの照射位置を回転ステージ70の半径方向に所定間隔(1μm、5μm、10μmなど)で送った後、照射を繰り返すことで、単結晶部材10の内部に2次元状の改質層を形成することができる。
本実施形態では、レーザ光Bの集光点の移動方向が円状となるので、レーザ光の集光によって発生する多結晶部がこの円上に位置している。そして、レーザ光Bの照射位置を回転ステージ70の半径方向に所定間隔で送った後、照射を繰り返すことで、多結晶部を同心円状に位置させることができる。そして、このような内部応力層形成単結晶部材を製造し、第1実施形態と同様にして剥離により単結晶基板を製造することができる。
なお、例えば正方形状の単結晶部材を、回転ステージ70上に、回転軸70cに対して対称に、間隔を置いて複数配置してもよい。これにより、レーザ光Bの集光による多結晶部を、円を部分的に構成する円弧上に配置することができる。
本発明により薄い単結晶基板を効率良く形成することができることから、薄く切り出された単結晶基板は、Si基板であれば、太陽電池に応用可能であり、また、GaN系半導体デバイスなどのサファイア基板などであれば、発光ダイオード、レーザダイオードなどに応用可能であり、SiCなどであれば、SiC系パワーデバイスなどに応用可能であり、透明エレクトロニクス分野、照明分野、ハイブリッド/電気自動車分野など幅広い分野において適用可能である。
10 単結晶部材、シリコンウェハ
10u 単結晶層
10s 単結晶基板
10t 表面
13u 応力層
13d 応力層
11 内部応力層形成単結晶部材
11u 界面
12 改質層
12p 多結晶部
28u 金属製基板
29u 酸化層
B レーザ光

Claims (1)

  1. 単結晶部材の内部に、前記単結晶部材の被照射側の表面からレーザ光を集光することで、前記表面から離間しかつ前記表面と平行に延在する2次元状の改質層を形成しつつ、該改質層の界面付近に応力層を形成する工程と
    前記単結晶部材側壁に前記改質層を露出させる工程と、
    露出させた前記改質層をエッチングすることで前記改質層にエッチング溝を形成する工程と、
    表面に酸化層を有する金属製基板を、前記改質層によって分断されてなる単結晶層の表面に接着して、前記エッチング溝に楔状圧入材を圧入しつつ、前記金属製基板に力を加えて前記単結晶層を前記改質層から剥離することで単結晶基板を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする単結晶基板製造方法。
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