JP2015074002A - 内部加工層形成単結晶部材およびその製造方法 - Google Patents

内部加工層形成単結晶部材およびその製造方法 Download PDF

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利香 松尾
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利香 松尾
信裕 篠塚
Nobuhiro Shinozuka
信裕 篠塚
順一 池野
Junichi Ikeno
順一 池野
直樹 三木
Naoki Miki
直樹 三木
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栄紀 小山
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Abstract

【課題】単結晶部材に形成した加工層から剥離させることで比較的大きくて薄い単結晶基板を形成するにあたり、加工時間の短縮化を図るとともに応力を負荷せずに剥離可能であり、剥離面の平坦性を確保することができる内部加工層形成単結晶部材およびその製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】内部加工層形成単結晶部材は、単結晶部材内部に形成された加工層と、加工層の両面側にそれぞれ隣接する非加工層と、を備える。加工層には、レーザ光の集光によって形成された変質部21cが配列され、各変質部21cは、回折光学素子で分割されてなる複数のレーザ光がそれぞれ集光したことによる複数の加工痕21sからなる。そして、加工層から応力を負荷せずに剥離可能となっている。【選択図】図5

Description

本発明は、単結晶部材の被照射側の表面から単結晶部材内部にレーザ光を集光することで、単結晶部材内部に加工層を形成した内部加工層形成単結晶部材およびその製造方法に関する。
従来、単結晶のシリコン(Si)ウエハに代表される半導体ウエハを製造する場合には、石英るつぼ内に溶融されたシリコン融液から凝固した円柱形のインゴットを適切な長さのブロックに切断して、その周縁部を目標の直径になるよう研削し、その後、ブロック化されたインゴットをワイヤソーによりウエハ形にスライスして半導体ウエハを製造するようにしている。
このようにして製造された半導体ウエハは、前工程で回路パターンの形成等、各種の処理が順次施されて後工程に供され、この後工程で裏面がバックグラインド処理されて薄片化が図られることにより、厚さが約750μmから100μm以下、例えば75μmや50μm程度に調整される。
従来における半導体ウエハは、以上のように製造され、インゴットがワイヤソーにより切断され、しかも、切断の際にワイヤソーの太さ以上の切り代が必要となるので、厚さ0.1mm以下の薄い半導体ウエハを製造することが非常に困難であり、製品率も向上しないという問題がある。
また近年、次世代の半導体として、硬度が大きく、熱伝導率も高いシリコンカーバイド(SiC)が注目されているが、SiCの場合には、Siよりも硬度が大きい関係上、インゴットをワイヤソーにより容易にスライスすることができず、また、バックグラインドによる基板の薄層化も容易ではない。
一方、集光レンズでレーザ光の集光点をインゴット(ウエハ)の内部に合わせ、そのレーザ光でインゴットを相対的に走査することにより、インゴットの内部に多光子吸収による面状の改質層(加工層)を形成し、この改質層を剥離面としてインゴットの一部を基板として剥離することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、この明細書中においては、別記する場合を除いてウエハのことを適宜に基板と称する。
特開2011−167718号公報
しかし、単結晶部材内部に改質層を形成する場合、1つのレーザパルスで1点(1つ)の加工痕を形成している。このため、その加工間隔である加工ピッチは、加工進行方向へのステージ移動速度とパルス周波数で決まる。また、この加工ピッチと、オフセット方向(加工進行方向に直交する方向)の間隔である加工オフセットと、によって、単結晶部材内部に形成される加工痕の数(加工数)が決まる。
仮に、加工ピッチを1μm、加工オフセットを2μmとすると、100mm角(一辺が100mmの正方形)の領域を加工するには50億パルスのレーザ光を照射する必要がある。この場合、パルス周波数を100kHzとするとステージ移動速度は100mm/sとなり、5000秒、すなわち14時間という長大な加工時間が必要となる。
また、仮に、加工ピッチと加工オフセットとを広げて剥離可能な条件を見い出したとしても、隣り合う加工痕の間の領域ではレーザ光による加工(改質)がなされていない。このため、例えば単結晶部材の厚み方向の位置によって剥離する高さ位置が異なり、剥離することが困難であったり、剥離できても剥離面の平坦性が低下することが考えられる。
一方、単結晶部材を形成した内部加工層から分断させて新たな単結晶部材を創成することができる。この分断方法としては、内部加工層を形成した単結晶部材を、接着剤を用いて金属板で挟持して固定した後、金属板を互いに離れる方向の力を加えることにより剥離する方法、単結晶基板の側面から応力を印加してクラックを伝搬させて剥離する方法などが例示されている。しかしながら、こうした従来の方法により加工層から単結晶部材を分断させる方法においては、単結晶部材に応力が負荷あるいは印加されることによって単結晶部材の非加工層領域に衝撃や変形などが生じ、欠陥や転移などを発生させる可能性が高い。その結果、分断され創成された単結晶部材の品質劣化につながり、実使用上の不具合が生じる。さらに、これらの分断方法が求められる内部加工層結晶部材は、内部加工層が応力を負荷あるいは印加させないと分離できない状態であることを示唆している。従って、応力を負荷あるいは印加させなくても、形成した内部加工層から単結晶部材を分断および分離可能な加工層の形成方法が求められる。
本発明は、上記課題に鑑み、シリコンの単結晶部材に形成した加工層から剥離させることで比較的大きくて薄いシリコンの単結晶基板を形成するにあたり、応力を負荷せずに剥離可能であり、剥離面の平坦性を確保しつつ加工時間の短縮化を図ることができる内部加工層形成単結晶部材およびその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様によれば、ビームスプリッタの機能を有する回折光学素子が設けられたレーザ集光手段を介してレーザ光を単結晶部材の被照射面から照射しつつ、前記単結晶部材と前記レーザ集光手段とを相対的に移動させることで、前記単結晶部材内部に形成された加工層と、前記加工層の両面側にそれぞれ隣接する非加工部と、を備え、前記加工層には、レーザ光の集光によって形成された変質部が配列され、各変質部は、前記回折光学素子で分割されてなる複数のレーザ光がそれぞれ集光したことによる複数の加工痕からなる内部加工層形成単結晶部材が提供される。
本発明の別の態様によれば、レーザ光を集光するレーザ集光手段を介してレーザ光を単結晶部材の被照射面から照射しつつ、前記単結晶部材と前記レーザ集光手段とを相対的に移動させることで、前記単結晶部材内部に加工層を形成して前記単結晶部材を内部加工層形成単結晶部材とする内部加工層形成単結晶部材の製造方法であって、前記レーザ集光手段に、ビームスプリッタの機能を有する回折光学素子を設け、該回折光学素子で分割された複数のレーザ光を前記単結晶部材に照射してそれぞれ前記単結晶部材内部に集光することで前記加工層を形成する内部加工層形成単結晶部材の製造方法が提供される。
本発明によれば、単結晶部材に形成した加工層から剥離させることで比較的大きくて薄い単結晶基板を形成するにあたり、応力を負荷せずに剥離可能であり、剥離面の平坦性を確保しつつ加工時間の短縮化を図ることができる内部加工層形成単結晶部材およびその製造方法を提供することができる。
第1実施形態で内部加工層形成単結晶部材を製造することを説明する模式的な鳥瞰図である。 第1実施形態で内部加工層形成単結晶部材を製造することを説明する模式的な側面断面図である。 第1実施形態の内部加工層形成単結晶部材の模式的な側面断面図である。 第1実施形態で、内部加工層形成単結晶部材を製造することを説明する側面図である。 図5(a)および(b)は、それぞれ、第1実施形態で、集光器から出射したレーザ光によって単結晶部材に加工層を形成することを説明する模式的な平面断面図および模式的な側面断面図である。 図6(a)および(b)は、それぞれ、第2実施形態で、集光器から出射したレーザ光によって単結晶部材に加工層を形成することを説明する模式的な平面断面図および模式的な側面断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、すでに説明したものと同一または類似の構成要素には同一または類似の符号を付し、その詳細な説明を適宜省略している。また、図面は模式的なものであり、寸法比などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法比などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための例示であって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。この発明の実施の形態は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態で、レーザ集光手段により単結晶部材10の被照射面(被照射側の表面)からレーザ光を集光して内部に加工層21を形成していくことを説明する模式的鳥瞰図である。図2は、レーザ光の照射により単結晶部材10の内部に加工層21を形成して内部加工層形成単結晶部材を形成することを説明する模式的断面図である。図3は、本実施形態で製造された内部加工層形成単結晶部材20の断面構造を説明する模式的側面断面図である。図4は、本実施形態で、内部加工層形成単結晶部材を製造することを説明する側面図であり、本実施形態におけるレーザ加工装置の一例の全体図も示している。図5(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態で、集光器から出射したレーザ光によって単結晶部材に加工層を形成することを説明する模式的平面図および模式的側面断面図である。
(概要説明)
本実施形態で製造する内部加工層形成単結晶部材20は、パルス状のレーザ光Bを単結晶部材10の被照射面20tから集光することで、この被照射面20tと離間しかつこの被照射面20tと平行に延在する加工層21と、その加工層21の両面側に隣接する非加工層22とを有する。
加工層21には、レーザ光Bの集光によって形成された変質部21c(図5参照)が規則的に配列されている。各変質部21cは、ビームスプリッタの機能を有する回折光学素子(DOE、Diffractive Optics Element)72で分割されてなる複数のレーザ光BDがそれぞれ集光したことによる複数の加工痕21s(図5参照)からなる。ここで、ビームスプリッタの機能を有する回折光学素子72で分割されてなる複数のレーザ光BDでは、各ビームのパワーが均一であるが、少なくとも、各ビームパワーの平均値に対してのばらつきが±0.5%以内であることが好ましい。
さらに、上記した変質層21cは複数の加工痕21sが一方向に連なった状態で形成されていることが、加工後の剥離工程において応力を負荷せずに分断あるいは剥離可能とする点で好ましい。本発明において、応力を負荷せずに単結晶部材を分断あるいは剥離可能とするというとは、内部加工層形成後に自ら分断あるいは剥離できる状態であり、剥離荷重は10N/cm2以下であることをいう。
内部加工層形成単結晶部材20を製造して単結晶基板を得るには、レーザ集光手段として例えば集光器(組レンズ)78により、単結晶部材10の被照射面20tに、調整したレーザ光Bを照射して単結晶部材10内部にレーザ光Bを集光しつつ、集光器78と単結晶部材10とを相対的に移動させて、単結晶部材10内部に、被照射面20tと平行に延在する加工層21を形成した内部加工層形成単結晶部材20を製造する。
その際、本実施形態では、レーザ集光手段に回折光学素子72を設け、ビームスプリッタ72で分割された複数のレーザ光BDを、集光器78を介して単結晶部材10の被照射面20tから照射して、複数の集光点Dを同時に形成していくことで加工層21を形成していく。単結晶部材10としては、レーザ光Bを照射する被照射面20t(第1面)と、被照射面20tに平行であって被照射面20tに照射したレーザ光Bが通過する光出射面20s(第2面)と、を有する部材を用いる。
(詳細説明)
以下、本実施形態をより詳細に説明する。本実施形態では、図4に示すように、レーザ加工装置は、レーザ発振器71、回折光学素子72、凸レンズ74、集光器78を順次備え、また、XYステージ80を備えている。集光器78は複数のレンズが組み合わされた組レンズとなっており、集光性能が高くされている。
本実施形態では、レーザ発振器71からのレーザ光Bは、回折光学素子72を通過することによって複数のレーザ光BDに分割される。そして、この複数のレーザ光BDは凸レンズ74、集光器78を順次通過し、単結晶部材10内部でレーザ光が集光されるようになっている。この構成により、回折光学素子72で分割された複数のレーザ光BDを集光する集光レンズ群82が、凸レンズ74および集光器78によって形成されている。
本実施形では、回折光学素子72は、1本のレーザ光が入射すると、同一平面内を進み、かつ、隣り合うレーザ光同士のなす角度が均等となるような複数のレーザ光に分割して出射するようになっている。本実施形態では、この同一平面は、レーザ光の走査方向Sに直交する平面となっているが、直交していなくてもよい。
レーザ光を照射する単結晶部材10のサイズは、例えばφ300mmの厚いシリコンウエハEからなり、レーザ光Bが照射される被照射面Etが予め平坦化されていることが好ましい。
レーザ光Bは、シリコンウエハ等の単結晶部材10の周面ではなく、上記の被照射面20tに集光器78を介して照射される。このレーザ光Bは単結晶部材10がシリコンの場合は、例えばパルス幅が1μs以下のパルスレーザ光からなり、900nm以上の波長、好ましくは1000nm以上の波長が選択され、YAGレーザ等が好適に使用される。
(作用、効果)
以下、本実施形態で内部加工層形成単結晶部材10を製造することについて説明する。本実施形態では、単結晶部材10をXYステージ上に載置し、真空チャック、静電チャックなどでこの単結晶部材10を保持する。そして、XYステージで単結晶部材10をX方向やY方向に移動させることで、レーザ集光手段(回折光学素子72、凸レンズ74、および、集光器78)と単結晶部材10とを、単結晶部材10の被照射面20tに平行に相対的に移動させながらレーザ光Bを照射することで、単結晶部材10の内部に集光したレーザ光Bによって加工層21を形成する。
その際、回折光学素子72に入射したレーザ光Bは複数のレーザ光BD(分岐レーザ光)となって凸レンズ74を通過し、更に、集光器78を通過する。集光器78から出射した複数のレーザ光は、被照射面20tでは集光せずに単結晶部材10の内部で集光して複数の集光点を形成する。この結果、図5に示すように、変質部21cがレーザ走査方向に一列に規則的に形成されていく。
本実施形態では、この変質部21cは、複数の加工痕21sが一方向に連なった擬似ライン状のものであり、この一方向は、レーザ光の走査方向S(加工進行方向)に直交する方向となっているが、直交していなくてもよい。複数のレーザ光BDは、例えば、20本のレーザ光であり、この場合、複数の加工痕21sの個数は20個となる。
また、本実施形態では、加工痕21sのピッチk(隣り合うレーザ光BDの照射中心同士の間隔)は、加工痕21sが連なるように1μm以下(例えば0.5μm)にされている。ピッチkは、分割された複数の各レーザ光のパワーなどに応じて決定することが好ましい。
変質部21cを一列に形成した後、単結晶部材10とレーザ集光手段とを、レーザ走査方向に直交するオフセット方向に相対的に移動させ、同様に変質部21cを一列に形成していく。オフセット間隔wは、例えば、14μmであり、加工層21の両側の非加工層22が剥離可能である限り自由に変更することが可能である。
加工層21が形成された結果、加工層21を挟んでレーザ光Bの照射方向とその反対側にそれぞれ非加工層22が加工層21に隣接して存在する。形成する加工層21の寸法、密度などは、剥離し易くする観点で、単結晶部材10の材質などを考慮して設定することが好ましい。
このように加工層21を形成した内部加工層形成単結晶部材20は、加工層21から分断させた新たな単結晶部材を創成することができる。これは、加工層21と非加工層22との剥離により行うが、このとき上記の加工痕21sおよび変質層21cによって、応力を負荷せずに分離可能とすることができる。
また、剥離しやすくするために、剥離を行なう前に内部加工層形成単結晶部材20の側面に加工層21を露出させても良い。露出させるには、例えば、非加工層22の所定の結晶面に沿ってへき開すると、非加工層22によって加工層21が挟まれた構造のものが得られる。加工層21が既に露出している場合や、加工層21の周縁と内部加工層形成単結晶部材20の側壁との距離が十分に短い場合には、この露出をさせる作業を省略することが可能である。
本実施形態では、先ず、内部加工層形成単結晶部材20の側面に加工層21を露出させる。露出させるには、例えば、非加工層22の所定の結晶面に沿ってへき開すると、非加工層22によって加工層21が挟まれた構造のものが得られる。加工層21が既に露出している場合や、加工層21の周縁と内部加工層形成単結晶部材20の側壁との距離が十分に短い場合には、この露出をさせる作業を省略することが可能である。
剥離後、この剥離面(加工層露出面)をラッピング加工およびポリシング加工により研磨加工する。研磨加工は例えばラッピング・ポリシング装置を利用して行うことができる。ラッピングでは研磨剤として粒径が1μmから数10μmの遊離砥粒を潤滑剤に混ぜたスラリーをラップ定盤と上記の加工層露出面との間に入れ加工する。このときの遊離砥粒としてはコロイダルシリカ、アルミナ、微粒ダイヤモンド、酸化セリウムなどが利用できる。ポリシング加工では粒径1μm以下の微細な研磨剤が使用され、研磨パッドを定盤に貼りつけて加工層露出面を研磨加工する。
以上説明したように、本実施形態では、加工層21を形成する際、1本のレーザ光Bを回折光学素子72で分割して複数のレーザ光BDにし、単結晶部材10内部でこの複数のレーザ光BDを集光させることで、複数の加工痕21sが連なってなる変質部21cを順次形成している。従って、1本のレーザ光Bを単結晶部材10に入射させて1つの集光点を形成する従来例に比べ、加工層21の形成速度を格段に速くすることができる。例えば、本実施形態で加工痕21cのピッチkを0.5μmにすると、回折光学素子72でレーザ光Bを20本に分割する場合には、変質部21cの長さdが約10μmとなり、この加工幅で走査方向Sに変質部21cを規則的に順次形成していくことができる。従って、一例として、従来では2μmであったオフセット間隔wを14μmにまで広げることができ、加工に必要な時間は従来の1/7となる。なお、変質部21cの長さdとは、図5に示すように、変質部21cの両端部に位置する加工痕21s同士の中心線間の距離のことである。
また、回折光学素子72で1本のレーザ光Bを複数のレーザ光BDに分割しているので、複数の集光点を単結晶部材10内部に形成するにあたってレーザ発振器71を複数台設ける必要がないので、装置構成を簡素にできる。
また、回折光学素子72はビームスプリッタの機能を有する。これにより、簡単な構造で複数のレーザ光(例えば3〜100本のレーザ光)に容易に分割することができ、しかも、各レーザ光の強度分布を均一にすることができる。その上、変質部21cを構成する複数の加工痕21sは同時に形成される。従って、加工痕が形成された後に更に加工痕が形成されてレーザ光の散乱などが生じることは回避されており、加工痕21sのサイズが安定する。よって、非加工層22の剥離面(加工層21からの剥離面)の平坦性が向上する。なお、レーザ光の出力、回折光学素子72の構造などに応じてレーザ光の分岐本数を適宜変更することが好ましい。
更に、変質部21cは、複数の加工痕21sが一方向に連なってなるものであり、この一方向はレーザ光の走査方向Sである。従って、剥離面がより平坦面になり易い。ここで、平坦面とは、JIS B0601における算術平均粗さRaで示され、このRaが5.0μm以下、より好ましくは3μm以下であることが、単結晶部材の後加工を容易にする点で好ましい。
また、集光器78は組レンズで構成されており、高い集光性能で単結晶部材10の内部で集光する。従って、加工精度が大きく向上する。
なお、本実施形態では、単結晶部材10としてシリコンウエハEを例に挙げて説明したが、単結晶部材10がインゴット状であって、加工層21を形成してレーザ光照射側の非加工層22を剥がすことを順次繰り返してもよく、単結晶部材10の寸法は特に限定しない。
また、単結晶部材10はシリコンウエハに限定されるものではなく、シリコンウエハのインゴット、単結晶のサファイア、SiCなどのインゴットやこれから切り出したウェハ、あるいはこの表面に他の結晶(GaN、GaAs、InPなど)を成長させたエピタキシャルウェハなどを適用可能である。また、単結晶部材10の面方位は(100)に限らず、他の面方位とすることも可能である。単結晶部材10が例えばシリコンカーバイド(SiC)である場合、シリコンである場合に比べて割れ易いので、複数のレーザ光BDの1本あたりのビームパワーを小さくすることが好ましい。
また、本実施形態では、単結晶部材10の被照射面20tと被照射面20tに平行な光出射面20sとの中間位置である中間面20mよりも光出射面20s側に、各分岐レーザ光の集光点Dを形成してもよい。集光点Dの基板深さ方向位置を調整するにあたり、集光器78に補正環(図示せず)を設け、シリコンの単結晶部材(単結晶基板)10の厚さや屈折率を考慮してこの補正環を適宜調整することが、簡素な構成で簡易に調整する観点で好ましい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、レーザ光をビーム状に分割する回折光学素子72に代えて、レーザ光をライン状にする回折光学素子(DOE、図示せず)を用いる。
図6(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態で、集光器から出射したレーザ光によって単結晶部材に加工層を形成することを説明する模式的平面図および模式的側面断面図である。本実施形態では、回折光学素子を通過したレーザ光が単結晶部材内部に集光することで変質部91がレーザ走査方向に一列に形成されていく。
この変質部91は、一本のライン状となっている。本実施形態では、この一方向は、レーザ光の走査方向Sに直交する方向となっているが、直交していなくてもよい。
変質部91を一列に形成した後、単結晶部材10とレーザ集光手段(DOE、凸レンズ74、および、集光器78)とを、レーザ光の走査方向Sに直交するオフセット方向に相対的に移動させ、同様に変質部91を一列に形成していく。オフセット間隔wは、例えば、14μmであり、変質部91が形成された加工層の両側の非加工層を剥離可能にすることを考慮してオフセット間隔wを設定することができる。
本実施形態により、第1実施形態と同様、1本のレーザ光Bを単結晶部材10に入射させて1つの集光点を形成する従来例に比べ、加工層の形成速度を格段に速くすることができる。
また、レーザ光Bは単結晶部材10内部でライン状に集光するので、第1実施形態に比べ、加工痕のピッチを考慮する必要がない。
<実験例>
本発明者は、以下の条件で実験を行い、得られた内部加工層形成単結晶部材の評価を行った。
加工試料 : 単結晶P型シリコンウエハ
1)厚さ: 625μm
2)大きさ : φ150mm
3)結晶方位 :(100)
レーザ発振器 : YAGパルスレーザ発振器
1)波長:1064nm
2)モード : シングルモード
3)パルス幅 : 120nm
ビームスプリッタ
1) 分岐ビーム数 : 6
加工条件 1)分岐ビーム加工ピッチ p: 2.0μm
k: 2.0μm
2)加工オフセット w: 8.0μm
3)分岐ビームパワー : 表1に示すパワー
Figure 2015074002
加工手順および評価 :
1)分岐ビームの焦点を試料ウエハ表面となるように集光器の高さ位置を調整する。
2)次に、その位置から集光器高さを試料ウエハ方向に80μm加工させ、分岐ビーム焦点を試料ウエハ内部に移動する。
3)上記加工条件で、φ150mmウエハ内部の100mm×100mmの部分にレーザを照射した。
4)この試料を2個作成した。
5)1個の試料を使用して、レーザ照射部分の1辺をダイシングにより切り出し、加工層を露出させ、50箇所の加工層の位置の差を共焦点レーザ顕微鏡(機種名:OLS−4000 オリンパス(株)製)により測定したところ、3μm以下であった。なお、加工層位置の測定結果を表2に示す。表2では、ウエハのレーザ照射面側の表面を基準にした測定結果を示している。
6)残りの1試料からレーザ照射領域部分を、ダイシングにより切り出した。その切り出したウエハは、切り出した状態で応力を負荷させることなく加工層で2枚に分断、剥離することができた。
7)剥離したウエハの表面粗さを非接触三次元測定装置(PF−60:三鷹光器(株)製)で測定した結果、表面粗さRa=2.8μmであった。
Figure 2015074002
本発明により薄い単結晶基板を効率良く形成することができることから、薄く切り出された単結晶基板は、Si基板(シリコン基板)であれば、太陽電池に応用可能であり、また、SiCなどであれば、SiC系パワーデバイスなどに応用可能であり、透明エレクトロニクス分野、照明分野、ハイブリッド/電気自動車分野など幅広い分野において適用可能である。
10 単結晶部材
20 内部加工層形成単結晶部材
20t 被照射面
21 加工層
21c 変質部
21s 加工痕
22 非加工層(非加工部)
72 回折光学素子(ビームスプリッタ、レーザ集光手段)
74 凸レンズ(凸レンズ、レーザ集光手段)
78 集光器
82 集光レンズ群
91 変質部
B レーザ光
BD レーザ光

Claims (4)

  1. ビームスプリッタの機能を有する回折光学素子が設けられたレーザ集光手段を介してレーザ光を単結晶部材の被照射面から照射しつつ、前記単結晶部材と前記レーザ集光手段とを相対的に移動させることで、前記単結晶部材内部に形成された加工層と、
    前記加工層の両面側にそれぞれ隣接する非加工部と、
    を備え、
    前記加工層には、レーザ光の集光によって形成された変質部が配列され、
    各変質部は、前記回折光学素子で分割されてなる複数のレーザ光がそれぞれ集光したことによる複数の加工痕からなることを特徴とする内部加工層形成単結晶部材。
  2. 各変質部では、前記加工痕が一方向に連なっていることを特徴とする請求項1記載の内部加工層形成単結晶部材。
  3. レーザ光を集光するレーザ集光手段を介してレーザ光を単結晶部材の被照射面から照射しつつ、前記単結晶部材と前記レーザ集光手段とを相対的に移動させることで、前記単結晶部材内部に加工層を形成して前記単結晶部材を内部加工層形成単結晶部材とする内部加工層形成単結晶部材の製造方法であって、
    前記レーザ集光手段に、ビームスプリッタの機能を有する回折光学素子を設け、
    該回折光学素子で分割された複数のレーザ光を前記単結晶部材に照射してそれぞれ前記単結晶部材内部に集光することで前記加工層を形成することを特徴とする内部加工層形成単結晶部材の製造方法。
  4. 前記回折光学素子で分割された複数のレーザ光を集光する集光器を用いて前記単結晶部材内部に集光することを特徴とする請求項3記載の内部加工層形成単結晶部材の製造方法。
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