JP6664686B2 - 基板加工方法及び剥離基板製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコンカーバイド、サファイア、窒化ガリウムなどの基板加工方法及び剥離基板製造方法に関し、より具体的にはレーザ加工による基板加工方法及び剥離基板製造方法に関する。
従来、シリコン(Si)ウェハに代表される半導体ウェハを製造する場合には、石英るつぼ内に溶融されたシリコン融液から凝固した円柱形のインゴットを適切な長さのブロックに切断して、その周縁部を目標の直径になるよう研削し、その後、ブロック化されたインゴットをワイヤソーによりウェハ形にスライスして半導体ウェハを製造するようにしている。なお、この明細書中においては、別記する場合を除いてウェハのことを適宜に基板と称する。
このようにして製造された半導体ウェハは、前工程で回路パターンの形成等、各種の処理が順次施されて後工程に供され、この後工程で裏面がバックグラインド処理されて薄片化が図られる。
また近年、硬度が大きく、熱伝導率も高いシリコンカーバイド(SiC)が注目されているが、結晶シリコンよりも硬度が大きい関係上、インゴットをワイヤソーにより容易にスライスすることができず、また、バックグラインドによる基板の薄層化も容易ではない。さらにサファイア基板や窒化ガリウム基板も難加工材として、加工技術が求められている。
一方、高開口数の集光レンズにガラス板からなる収差増強材を組み合わせ、パルス状レーザをウェハの内部に照射して加工層を形成した後、これを剛性基板に貼りあわせ、加工層で剥離することで薄い剥離基板を得る技術が開示されている(下記特許文献1を参照)。
特開2014−19120号公報
しかしながら、剥離基板を作成するために、SiC、サファイア、窒化ガリウムのウェハなどの結晶材料をレーザにより加工し、内部に加工層を形成しようとすると、加工により結晶方位に沿ってクラックが発生しやすく、安定した加工層の形成が困難であった。
本発明は、上述の実情に鑑みて提供されるものであって、結晶材料についてクラックの発生を抑制し、安定して加工層を形成することができるような基板加工方法及びこのような基板加工方法を適用した剥離基板製造方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本願に係る基板加工方法は、結晶基板の内部に加工層を形成するように基板を加工する基板加工方法であって、パルス照射のレーザ光源からのレーザ光をレーザ集光手段によって前記基板の表面に向けて照射し、前記基板の表面から所定の深さにレーザ光を集光するレーザ集光ステップと、前記レーザ集光手段を前記基板に相対的に移動させて位置決めをする位置決めステップと、を含み、前記レーザ集光ステップは、前記レーザ光源からのレーザ光を複数の分岐レーザ光に分岐させる回折光学素子を用い、前記分岐レーザ光の強度が異なるようにするレーザ光調整ステップを含み、前記分岐レーザ光において相対的に強度が高い分岐レーザ光により加工層を伸張させて基板を加工するとともに、前記分岐レーザ光において相対的に強度が低い分岐レーザ光により前記加工層の伸長を抑制するものである。ここで、相対的とは、複数の分岐レーザ光のうちで他の分岐レーザ光との相対的な比較の結果を意味している。
前記レーザ光調整ステップは、前記分岐レーザ光の強度が1.1〜5.0の範囲にある倍率で異なるようにすることが好ましい。前記レーザ光調整ステップは、前記複数の分岐レーザ光を前記基板の内部において一列または複数列もしくはパターン状に配置させることが好ましい。
前記レーザ光調整ステップは、レーザ光を複数の分岐レーザ光に分岐させ、前記一列または複数列もしくはパターン状に配置された複数の分岐レーザ光の端部に配置された少なくとも一つの分岐レーザ光の強度を相対的に低くすることが好ましい。前記レーザ光調整ステップは、前記一列に配置された複数の分岐レーザ光の相対的な強度が1.1〜5.0の倍率の範囲にあるようにすることが好ましい。
前記レーザ光調整ステップは、レーザ光を複数の分岐レーザ光に分岐させ、相対的にレーザ光の強度に強弱を設ける配置としたものであり、前記レーザ光調整ステップは、前記一列または複数列、もしくはパターン状に配置された複数の分岐レーザ光の相対的な強度が1.1〜5.0の倍率の範囲にあるようにすることが好ましい。
前記位置決めステップは、前記基板の表面において、前記一列または複数列もしくはパターン状の方向に所定角度をなす走査方向に前記レーザ集光手段を所定速度で移動させることが好ましい。前記走査方向は、前記一列または複数列もしくはパターン状の方向に直交する方向を含むことが好ましい。
前記位置決めステップは、前記基板の表面において、前記走査方向に前記レーザ集光手段を所定速度で移動させる動作を、前記走査方向とは直交する方向に前記レーザ集光手段を所定距離にわたってシフトさせる動作を挟んで繰り返すことが好ましい。
本願に係る剥離基板製造方法は、前記基板加工方法により前記基板に加工層を形成するk基板加工ステップと、前記基板加工ステップにより加工層が形成された前記基板を前記加工層にて剥離して剥離基板を作成する基板剥離ステップとを含むものである。
本発明によると、結晶材料についてクラックの発生を抑制し、安定した加工層を形成することができ、また、このような安定した加工層が形成された基板を提供することができる。さらに、加工層で基板を剥離することにより、剥離基板を容易に製造することができる。
基板加工装置の斜視図である。 基板を載置したステージの上面図である。 基板を載置したステージの断面図である。 基板における加工層の形成を説明する図である。 基板に照射した3本の分岐レーザ光を示す図である。 隣接する加工痕の間隔の調整を説明する図である。 レーザ光により基板内部に形成された加工痕を示す顕微鏡写真である。 実施例1を示す写真である。 実施例1の剥離面における表面粗さの測定結果である。 実施例2を示す写真である。 実施例2の剥離面における表面粗さの測定結果である。 実施例3を示す写真である。 実施例3の剥離面における表面粗さの測定結果である。 実施例4を示す写真である。 実施例4の剥離面における表面粗さの測定結果である。 実施例5を示す写真である。 実施例5の剥離面における表面粗さの測定結果である。 複数の分岐レーザ光の強度の分布の例を示すグラフである。 複数列又はパターン状に配置された複数の分岐レーザ光を示す図である。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための方法や基板を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
図1は、基板加工装置100の構成を示す斜視図である。基板加工装置100は、ステージ110と、ステージ110がXY方向に移動可能なように支持するステージ支持部120と、ステージ110上に配置され、基板10を固定する基板固定具130とを有している。この基板10には、インゴットを切断したシリコンカーバイド(SiC)ウェハを使用することができる。
また、基板加工装置100は、レーザ光源150と、レーザ光源150から発したレーザ光190を集光して基板10に向けて照射するレーザ集光部160を有している。レーザ集光部160は、回折光学素子(DOE)170及び対物レンズ180を有している。
回折光学素子170は、入射されたレーザ光190を所定の本数の分岐レーザ光に分岐させる。分岐レーザ光は、対物レンズ180で集光され、レーザ集光部160の焦点位置において一列に並ぶように配置される。なお、図中で回折光学素子170は3本の分岐レーザ光を生成しているが、これに限定されない。分岐レーザ光は、2本以上の複数の分岐レーザ光であればよい。
回折光学素子170は、複数の分岐レーザ光の強度が異なるように調整する。ここで、複数の分岐レーザ光の強度が異なるとは、複数の分岐レーザ光の内の少なくとも一つの強度が他の分岐レーザ光の強度と異なることを意味する。例えば、隣接する分岐レーザ光の強度が互いに異なってもよい。
本実施の形態では、複数の分岐レーザ光の相対的な強度が1.1〜5.0の範囲にある倍率で異なるようにすることができる。この倍率は、1.2〜3の範囲にあることが好ましく、1.5〜2.5の範囲にあることがより好ましく、1.8〜2.2の範囲にあることがさらに好ましい。
本実施の形態では、回折光学素子170によって分岐された複数の分岐レーザ光の強度が異なるように調整することにより、基板10の内部に加工痕を形成するときに発生するクラックを制御するようにしている。
本実施の形態では、複数の分岐レーザのうちの相対的に強度の高いビームによって、レーザの照射方向に対して直角にクラックが進展する剥離可能な加工状態を形成している。また、相対的に強度の低いビームによってクラックが進展しない加工層を形成し、強度の高いビームによって形成されたクラックが結晶方位に沿って意図に反して進展しないようなストッパー的な役割をさせている。
図2は、ステージ110上に置いた基板10を示す上面図である。図3は、ステージ110上に置いた基板10を示す断面図である。
基板10は、ステージ110上において基板固定具130によって保持されている。基板固定具130は、その上に設けられた固定テーブル125によって基板10を固定している。固定テーブル125には、通常の粘着層、機械的なチャック、静電チャックなどが適用可能である。
基板10に集光して照射されるレーザ光190の集光点Pは、基板10の内部において、表面から所定の深さの領域に所定の形状の加工痕12を形成する。この加工痕12は、ステージ110に保持された基板10に対してレーザ集光部160が相対的に移動して位置決めされることにより、基板10の内部に所定のパターンに従い形成される。
例えば、所定の走査方向に所定速度で集光点Pを移動する動作を、走査方向とは直交する方向に集光点Pを所定距離にわたりシフトさせる動作を挟んで繰り返すことにより、直線状の加工痕12を2次元状に配置した加工層14を形成することができる。
図4は、基板10における加工層14の形成を説明する図である。基板加工装置100において、レーザ光190は、レーザ集光部160の回折光学素子170及び対物レンズ180を介して基板10に向けて照射され、分岐ビームは基板10内部の集光点Pにそれぞれ集光され、集光点Pに加工痕12が形成される。
レーザ集光部160は、基板10の所定の深さの範囲tにおいて分岐レーザ光の径を実質的に絞るように集光し、加工痕12が連結された加工層14の形成に必要なエネルギー密度を確保するようにしている。図中においては、基板10の表面側から入射した分岐レーザ光により、集光点Pを含む所定の深さの範囲tに形成された加工層14が示されている。
加工層14は、基板10に照射された各分岐レーザ光による衝撃により形成された結晶構造が異なる加工痕が連結してなるものである。このように形成された加工層14は、隣接する分岐レーザ光が所定間隔であるため、所定の周期的構造を有している。
図5は、基板10に照射した3本の分岐レーザ光を示す図である。図5(a)は基板10の上面図、図5(b)は基板10の断面図である。基板10の表面に向けて照射された3本の分岐レーザ光L1,L2,L3は、基板10の表面において一列に配置された3つのビームスポットR1,R2,R3を形成して基板10に入射し、基板10の内部において3つの集光点F1,F2,F3を形成する。これらの集光点F1,F2,F3によりそれぞれ加工痕12が形成される。
基板10は、SiCなどの結晶基板であるため、加工痕F1,F2,F3を形成する際に結晶方位に沿ってクラックが発生しやすい性質がある。本実施の形態では、隣接する分岐レーザ光の強度が異なるように調整することにより、クラックの発生を制御している。
このとき、分岐レーザ光L1、L3の強度は集光点F1、F3から加工痕が結晶方位に進展しない程度の強度であって、基板の剥離に必要な加工痕が得られる最小強度に設定することが必要である。
例えば、中央の分岐レーザ光L2の強度を両側の分岐レーザ光L1,L3の強度より大きくすることにより、中央の集光点F2によって加工痕12を形成する際に発生したクラックが両側の集光点F1,F3の方向に進展しても、両側の集光点F1,F3により形成された加工痕12によってクラックの進展を止めるようにすることができる。
3本の分岐ビームの強度は、両側の分岐レーザ光L1、L3の強度に対する中央の分岐レーザ光L2の強度の倍率が、1.1〜5.0の範囲にある倍率で異なるようにすることができる。この倍率は、1.2〜3の範囲にあることが好ましく、1.5〜2.5の範囲にあることがより好ましく、1.8〜2.2の範囲にあることがさらに好ましい。
図6は、基板10に形成される隣接する加工痕12の間隔の調整を説明する図である。基板10の表面には、光集光部16から供給された3本の分岐レーザ光L1,L2,L3によって、一列に配置された3つのビームスポットR1,R2,R3が形成されている。3本の分岐レーザ光は、これらのビームスポットR1,R2,R3を介して基板10の内部の集光点F1,F2,F3に集光され、集光点F1,F2,F3においてそれぞれ加工痕が形成される。
3つのビームスポットR1,R2,R3は、所定の走査方向に所定速度で走査される。レーザ光源150からはパルスレーザ光が供給され、ビームスポットR1,R2,R3は、走査方向について所定間隔で形成される。この走査方向の間隔は、任意に設定が可能である。
また、3つのビームスポットR1,R2,R3を配置した列の方向を調整することにより、ビームスポットR1,R2,R3を介して形成される3本の加工痕12の間隔を調整することが可能である。
図6(a)は、3つのビームスポットR1,R2,R3を配置した列の方向が走査方向に直交するように設定した場合を示している。このとき、走査方向に直交する方向について、3つのビームスポットR1,R2,R3の隣接する距離が最大になり、したがって3つのビームスポットR1,R2,R3を介して形成される加工痕12の間隔も最大になる。
図6(b)は、3つのビームスポットR1,R2,R3を配置した列の方向と走査方向の直交方向がθ=45°の角度をなすように設定した場合を示している。角度θは45°に限られることはなく、角度θが大きくなるほど、走査方向に直交する方向についてビームスポットR1,R2,R3の隣接する距離が短くなり、したがってビームスポットR1,R2,R3を介して形成される加工痕12の間隔も短くなる。
本実施の形態では、上述のように加工層14が形成された基板10を加工層14で割断し、基板10を加工層14で剥離することにより、剥離基板を作成することができる。加工層14においては加工痕が連結しているため、基板10は加工層14に沿って容易に割断して剥離することができる。
以下では、本実施の形態を適用した実施例を説明する。本実施例では、基板加工装置100のレーザ光源150にInnolight製HALO GN 35k-100のレーザ発振器を用いた。このレーザ光源150は、表1に示すようなレーザ光190を供給することができる。
回折光学素子170には、レーザ光190から強度1:2:1の3本の分岐レーザ光を分岐させる古河機械金属工業製のものを用いた。対物レンズ180には、LCPLN 100×IRを用いた。
基板10には、表面が鏡面仕上げされた結晶構造4Hの多結晶のSiC基板を用いた。そして、加工痕12の性質を明らかにするため、表2のような条件で基板10を加工した。表2において、回折光学素子の角度とは、走査方向に直交する方向と一列に配置された3つのレーザスポットR1,R2,R3の方向がなす角度である。また焦点の深さとは、集光点Pに相当する焦点の基板10の表面からの深さである。
図7は、このような加工により基板10に形成された加工痕12を示す顕微鏡写真である。図7(a)は、透明なSiCの基板10の上面から観察したものであり、3つのレーザスポットR1,R2,R3を介して形成された3本の加工痕12が示されている。ここで、回折光学素子170は、強度1:2:1の3本の分岐レーザ光L1,L2,L3を生成するため、中央の加工痕12がやや太く、両側の加工痕12がやや細くなっている。
図7(b)には、加工痕12の延びる方向に略垂直な断面において、基板10に形成された加工痕12を観察したものであり、3本の加工痕12が示されている。ここで、各加工痕12から横方向にクラックが進展し、中央の加工痕12から進展したクラックは、両側の加工痕12にまで進展するが、両側の加工痕12にて止められていることがみられた。したがって、これら3本の加工痕12は、クラックによって連結されるとともに、クラックのさらなる進展は制御されていることが明らかになった。
次に、基板10の全面にわたって形成した加工痕12により加工層14を作成した後、基板10を加工層14で割断することにより剥離して剥離基板を作成し、剥離基板における剥離面の性質を調べた。実施例1では、表3の実施例1の欄に示す条件で加工層14を形成した。表3に示した条件を除き、前記実施例と同一の条件を用いた。例えば、基板10には結晶構造4Hの多結晶のSiC基板を用い、回折光学素子170には3本の分岐レーザ光に分岐させるものを用いた。
図8は、実施例1を示す写真である。図8(a)及び図8(b)は、基板10に形成されたスクライブ前及びスクライブ後の加工痕を示す顕微鏡写真である。図8(c)はレーザ顕微鏡による基板10の断面の顕微鏡写真であり、図8(d)は図8(c)の枠内を拡大した拡大顕微鏡写真である。
図8(c)及び図8(d)により、基板10の表面に平行な方向であり、図中横方向に加工痕12が連結された加工層14が形成されていることがみられる。図8(d)は、引っ張り試験機を用いて加工層14にて割断された剥離基板の剥離面を示す写真である。この実施例1では、剥離基板の表面の全体に対し、90%の部分で剥離面が形成された。
続いて、剥離基板における剥離面の表面粗さを測定した。レーザ集光部160に向かうレーザ照射側にある上面では、Ra(μm)について図9(a)、Rz(μm)について図9(b)のような形状になり、表4に示すような結果が得られた。この表4においては、表面粗さの3点測定値とそれらの平均値が示されている。以下でも同様である。
なお、走査方向とはレーザ光を走査する方向での粗さ、オフセット方向とは走査方向に対して90°の方向で分岐ビーム間に形成される粗さを示す。
また、ステージ110に載置される側にある下面では、Ra(μm)について図9(c)、Rz(μm)について図9(d)のような形状になり、表5に示すような結果が得られた。
実施例2では、表3の実施例2の欄に示す条件で加工層14を形成した。表3で示した条件を除き、実施例1と同じ条件で行った。この実施例2では、剥離基板の表面の50%に剥離面が形成された。
剥離基板の剥離面の表面粗さについては、レーザ照射側の上面ではRa(μm)について図11(a)、Rz(μm)について図11(b)のような形状になり、表6に示すような結果が得られた。また、ステージ側の下面では、Ra(μm)について図11(c)、Rz(μm)について図11(d)のような形状になり、表7に示すような結果が得られた。
実施例3では、表3の実施例3の欄に示す条件で加工層14を形成した。表3で示した条件を除き、実施例1と同じ条件で行った。この実施例3では、剥離基板の表面の30%に剥離面が形成された。
剥離基板における剥離面の表面粗さについては、レーザ照射側の上面ではRa(μm)について図13(a)、Rz(μm)について図13(b)のような形状になり、表8に示すような結果が得られた。また、ステージ側の下面では、Ra(μm)について図13(c)、Rz(μm)について図13(d)のような形状になり、表9に示すような結果が得られた。
実施例4では、表3の実施例4の欄に示す条件で加工層14を形成した。表3で示した条件を除き、実施例1と同じ条件で行った。この実施例4では、剥離基板の表面の98%に剥離面が形成された。
剥離基板における剥離面の表面粗さについては、レーザ照射側の上面ではRa(μm)について図15(a)、Rz(μm)について図15(b)のような形状になり、表10に示すような結果が得られた。また、ステージ側の下面では、Ra(μm)について図15(c)、Rz(μm)について図15(d)のような形状になり、表11に示すような結果が得られた。
実施例5では、表3の実施例5の欄に示す条件で加工層14を形成した。表3で示した条件を除き、実施例1と同じ条件で行った。この実施例5では、剥離基板の表面の10%に剥離面が形成された。
剥離基板における剥離面の表面粗さについては、レーザ照射側の上面ではRa(μm)について図17(a)、Rz(μm)について図17(b)のような形状になり、表12に示すような結果が得られた。また、ステージ側の下面では、Ra(μm)について図17(c)、Rz(μm)について図17(d)のような形状になり、表13に示すような結果が得られた
以上の実施例1〜5によって、3本の分岐レーザ光に分割する回折光学素子170を用いて結晶構造4HのSiCによる基板10に加工層14を形成し、加工層14にて割断することにより剥離することにより、剥離基板を容易に作成することができることが明らかになった。また、表面粗さの測定により、剥離基板には滑らかな剥離面が形成されていることが認められた。
なお、実施例1〜5においては、加工速度、レーザ光の強度についての明確な依存性は見られなかった。このことは、加工に用いたSiCの基板10が多結晶構造であるためであると考えられる。
なお、実施例1〜5においては、結晶構造4Hの多結晶のSiCの基板10を用いたが、このことに限定されることはなく、結晶構造6HのSiCの基板、単結晶のSiCの基板にも同様に適用することができる。また、SiCの基板に限定されることはなく、サファイアの基板などにも同様に適用することができる。
また、実施例1〜5においては、基板10の表面に平行に加工層14を1層のみ形成したが、レーザ集光部160によって集光点Pの深さを適宜に設定することにより、2層以上の加工層14を形成し、これらの加工層14において基板10を割断して剥離するようにすることもできる。
なお、本実施の形態においては、複数の分岐レーザ光の例として3本の分岐レーザ光を例示したが、本発明はこれに限定されない。複数の分岐レーザ光は、2本以上の分岐レーザ光であり、強度が異なるものであればよい。例えば、図18に示すように、9本の分岐レーザ光であってもよい。複数の分岐レーザ光は一列に配置され、図18(a)では両端の分岐レーザ光の強度が小さく、中央の分岐レーザ光の強度が両端の分岐レーザ光の強度より大きい。図18(b)では両端と中央の分岐レーザ光の強度が小さい。なお、剥離に影響するため、加工層の安定化のためには、複数の分岐レーザ光に同一の強度の分岐レーザ光が含まれることが好ましい。
また、本実施の形態においては、複数の分岐レーザ光の例として一列に配置されたものを例示したが、本発明はこれに限定されない。複数の分岐レーザ光は、複数列に配置されてもよいし、パターン状に配置されてもよい。
図19は、基板10に照射された分岐レーザ光のビームスポットが複数列又はパターン状に配置された状態を示す上面図である。分岐レーザ光は、図中に一点鎖線で示された走査方向に直交する方向に第1列の4つのビームスポットR11、R12、R13、R14、第2列の4つのビームスポットR21、R22、R23、R24、第3列の4つのビームスポットR31、R32、R33、R34、第4列の4つのビームスポットR41、R42、R43、R44を形成している。
これらのビームスポットは、第1列から第4列の計4列からなる複数列の配置を形成している。また、走査方向に4列、走査方向に直交する方向に4列の計4×4の16個のビームスポットによるパターンも形成している。これらのビームスポットのうち、中央の4つのビームスポットR22、R23、R32、R33は、これらを取り囲む他のビームスポットR11、R12、R13、R14、R21、R24、R31、R34、R41、R42、R43、R44よりも相対的な強度が大きく、例えば1.1〜5.0の倍率の範囲にあってもよい。
なお、ビームスポットが形成する複数列は2列以上であればよく、ビームスポットのパターンは3つ以上のビームスポットが形成する特定のパターンであればよい。
本発明の基板加工方法により剥離基板を効率良く薄く形成することができることから、剥離基板は、GaN系半導体デバイスなどのサファイア基板などであれば、発光ダイオード、レーザダイオードなどに応用可能であり、SiCなどであれば、SiC系パワーデバイスなどに応用可能であり、透明エレクトロニクス分野、照明分野、ハイブリッド/電気自動車分野など幅広い分野において適用可能である。
10 基板
14 加工層
100 基板加工装置
150 レーザ光源
160 レーザ集光部
170 回折光学素子
180 対物レンズ

Claims (9)

  1. 結晶基板の内部に加工層を形成するように基板を加工する基板加工方法であって、
    パルス照射のレーザ光源からのレーザ光をレーザ集光手段によって前記基板の表面に向けて照射し、前記基板の表面から所定の深さにレーザ光を集光するレーザ集光ステップと、
    前記レーザ集光手段を前記基板に相対的に移動させて位置決めをする位置決めステップと、を含み、
    前記レーザ集光ステップは、前記レーザ光源からのレーザ光を複数の分岐レーザ光に分岐させる回折光学素子を用い、前記分岐レーザ光の強度が異なるようにするレーザ光調整ステップを含み、
    前記分岐レーザ光において相対的に強度が高い分岐レーザ光により加工層を伸張させて基板を加工するとともに、前記分岐レーザ光において相対的に強度が低い分岐レーザ光により前記加工層の伸長を抑制すること
    を特徴とする基板加工方法。
  2. 前記レーザ光調整ステップは、前記分岐レーザ光の強度を1.1〜5.0の範囲にある倍率で異なるようにすることを特徴とする請求項1に記載の基板加工方法。
  3. 前記レーザ光調整ステップは、前記複数の分岐レーザ光を前記基板の内部において一列または複数列もしくはパターン状に配置させることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板加工方法。
  4. 前記レーザ光調整ステップは、レーザ光を複数の分岐レーザ光に分岐させ、前記一列または複数列もしくはパターン状に配置された複数の分岐レーザ光のうち、端部に配置された少なくとも一つの分岐レーザ光の強度を相対的に低くすることを特徴とする請求項3に記載の基板加工方法。
  5. 前記レーザ光調整ステップは、前記一列または複数列もしくはパターン状に配置された複数の分岐レーザ光の強度が1.1〜5.0の範囲にある倍率で異なるようにすることを特徴とする請求項4に記載の基板加工方法。
  6. 前記位置決めステップは、前記基板の表面において、前記一列または複数列もしくはパターン状の方向に所定角度をなす走査方向に前記レーザ集光手段を所定速度で移動させる請求項3〜5のいずれかに記載の基板加工方法。
  7. 前記走査方向は、前記一列または複数列もしくはパターン状の方向に直交する方向を含む請求項6に記載の基板加工方法。
  8. 前記位置決めステップは、前記基板の表面において、前記走査方向に前記レーザ集光手段を所定速度で移動させる動作、前記走査方向とは直交する方向に前記レーザ集光手段を所定距離にわたってシフトさせる動作を挟んで繰り返すことを特徴とする請求項6又は7に記載の基板加工方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の基板加工方法により前記基板に加工層を形成する基板加工ステップと、
    前記基板加工ステップにより加工層が形成された前記基板を前記加工層にて剥離して剥離基板を作成する基板剥離ステップと
    を含む剥離基板製造方法。
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