JPH0932695A - 燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料の微粒化の良い燃料噴射弁を提供するこ
と。 【解決手段】 バルブボデー１の内壁面のシール部１１
より下流の部分１３は下流側に向かうにつれて中心軸線
１００に近づきながら、バルブボデー１の先端に配設さ
れた計量部材３の中心軸線に対してほぼ直角に形成され
た上流側の面３１に達する様に形成され、ニードルバル
ブ２の外壁面のシール部２１の下流の部分は直線部２４
を含んで下流側に向かうにつれて中心軸線に近づきなが
ら前記計量部材の上流側の面に略平行に形成された底面
２５に達する様に形成され、ニードルバルブ開弁時、前
記直線部２４を下流側に延長した線が前記計量部材の上
流側の面と交差する点Ｘが、計量部材に配設された噴孔
４の上流側開口４１の外接円よりも外側になる様に形成
される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、燃料噴射弁、特
に、バルブボデーの先端部に噴孔を有する計量部材を配
置し、該噴孔から燃料を噴射することにより燃料の計量
と噴射方向の決定をおこなう形式の燃料噴射弁に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】バルブボデーの先端部に形成された燃料
吐出通路出口に複数の噴孔を有する計量部材を配設し、
該噴孔から燃料を噴射することにより燃料の計量と噴射
方向の決定をおこなうタイプの燃料噴射弁が公知である
（実開平３−９２５６４号公報、実開平３−１０４１６
６号公報参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記公報の燃料噴射弁
では、一般に燃料の流路を開閉するニードルバルブのシ
ール部を通過した燃料はそのまま噴孔に導かれる構成と
されているために、燃料の持っている運動エネルギの減
衰は抑制されるが、逆に燃料が液柱、液膜の状態で燃焼
室に入り込み、燃料の微粒化が十分におこなわれないと
いう問題がある。そこで、本願出願人は先に提出した特
願平７−０７８９２０号において、前記ニードルバルブ
の先端に燃料吐出通路に臨む突起を設け、この突起の外
周の延長線が計量部材の噴孔の外接円の外側になる様に
構成し、シール部を通過した燃料を先ず計量部材に向か
って流れる様にし、計量部材に当たった後計量部材にそ
って、中心方向に向かわしめ、噴孔入口で燃料が剥離し
やすい様にして、燃料の液柱、液膜の自励振動を活発化
し燃料の微粒化を促進する様に構成した燃料噴射弁を提
案している。しかしながら、上記の出願の様な構成の場
合には、シール部を通過した燃料は縦方向の流れの強い
燃料が急激に横方向の流れに変換されるために、運動エ
ネルギの減衰が大きく、噴孔入口で燃料の剥離が充分に
行われず燃料の運動エネルギを有効に微粒化に用いるこ
とができないという問題点があった。本発明は、上記問
題に鑑み、バルブボデーの先端部に噴孔を有する計量部
材を配設した燃料噴射弁において、燃料の運動エネルギ
の減衰を抑制し、噴孔入口における燃料の流れを剥離し
易くして、燃料の微粒化を向上することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、バルブボデーと、前記バルブボデ
ー内部に受容されシール部において燃料の流路を開閉す
るニードルバルブと、前記バルブボデーの先端部に配設
され複数の噴孔を有し燃料の計量と噴射方向の決定をお
こなう計量部材を具備する燃料噴射弁において、前記バ
ルブボデーのシール部下流の内壁面が前記計量部材の上
流側の面に緩やかに連続する様に形成され、前記ニード
ルバルブのシール部と最下流側の底面は、ニードルバル
ブ開弁時に前記バルブボデーのシール部下流の内壁面と
共働して燃料を前記計量部材に配設された噴孔に導入す
る内側下流に傾斜した燃料流路を形成する中間面を介し
て連結され、前記ニードルバルブの前記中間面は、ニー
ドルバルブ開弁時において、それ自身を前記計量部材の
上流側の面にむけて延長したときに、前記計量部材の上
流側の面と交差して形成される交線が、前記計量部材に
配設された噴孔の上流側開口の外接円よりも外側になる
様に形成されていることを特徴とする燃料噴射弁が提供
される。またニードルバルブの前記中間面は、円錐面形
状、または、球面形状とされる。

【０００５】本発明の燃料噴射弁は、上記の様に構成さ
れるので、ニードルバルブ開弁時、燃料はシール部の隙
間から、その下流側のニードルバルブの前記中間面とバ
ルブボデーの内壁面の間に形成された前記内側下流に傾
斜した燃料流路を通って、弁中心に向かって斜めに流
れ、計量部材に当たるとニードルバルブの最下流側の底
面と計量部材の上流側の面との間を通って弁中心に向っ
て横方向に流れ、弁中心に至る途中に配置された噴孔に
入口で剥離しながら流入して出口から排出される。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下添付図面を用いて本発明の実
施の形態を説明する。図１は本発明による燃料噴射弁の
第１の実施の形態の構造を示す断面図であって、バルブ
ボデー１の内部にニードルバルブ２が受容され、またバ
ルブボデー１の下流側の端部には計量部材３が取り付け
られており、計量部材３は複数の噴孔４を有している。

【０００７】図２は図１のＡの部分を拡大して示した図
であって、燃料が噴射される時の状態を示している。図
２において、１０はバルブボデー１の内壁面の全体を、
２０はニードルバルブ２の外壁面の全体を示し、１１と
２１はバルブボデー１のシール部とニードルバルブ２の
シール部であって、燃料を噴射しない期間には互いに当
接して燃料の流れを遮断する。

【０００８】バルブボデー１の内壁面１０は、シール部
１１の部分の上流側の部分１２から下流側の部分１３に
かけて一様に、下流側に向かうにつれて燃料噴射弁の中
心軸１００に近づく様に形成されている。なお、図中、
バルブボデー１と計量部材４との間に中心軸１００に平
行な部分が示されているがこれはバルブボデー１を加工
するときにできるものである。

【０００９】ニードルバルブ２の外壁面２０は、シール
部２１の上流側では、中心軸１００にほぼ平行な部分２
２から、曲面部２３を経て、シール部２１に達し、シー
ル部２１の下流側では、円錐面形状とされた中間面であ
る直線部２４を経て底面２５に達している。直線部２４
と底面２５の間は曲面部２６によって滑らかに結ばれて
いる。また、底面２５は中心軸１００に対して直角に形
成されている。

【００１０】計量部材３の上面３１と下面３２はそれぞ
れ中心軸１００に対して直角に形成されている。したが
って、計量部材３の上面３１とニードルバルブ２の底面
２５は平行である。噴孔４はその中心軸４０を上流側に
延長すると中心軸１００に交わる様に形成されていて入
口側開口部４１は出口側開口部４２よりも内側に位置す
る。ここで、ニードルバルブ２の外壁面２０のシール部
２１の下流側の直線部２４を下流側に延長した線が計量
部材３の上面３１に交わる点Ｘは、図示される様に計量
部材３の噴孔４の入口側開口部４１の最外縁４３よりも
外側にある。

【００１１】図３は図１のＩ−Ｉ線に沿って見た図であ
って、３３はニードルバルブ２の外面２０のシール部２
１の下流側の直線部２４を下流側に延長した線が計量部
材３の上面３１に交わる点Ｘを結んだ円を表しており、
また４６は噴孔４の入口側開口部４１の最外縁４３を結
んだ外接円を表している。

【００１２】次に上記の様に形成された本発明の実施の
形態における燃料の流れについて説明する。ニードルバ
ルブ開弁時、燃料はバルブボデー１のシール部１１とニ
ードルバルブ２のシール部２１の隙間を通った後、バル
ブボデー１の下流側部分１３とニードルバルブ２の下流
側の直線部２４の間に形成される内側下流に傾斜した燃
料流路を図２の矢印Ｆ１で示される様に流れる。そし
て、計量部材３の上面３１に衝突した後は、計量部材３
の上面３１とニードルバルブ２の底面２５の間を矢印Ｆ
２にそって、中心軸１００の方に向かって流れる。

【００１３】その後、噴孔４に入口側開口部４１から流
入し、出口開口部４２から液柱、液膜となって排出され
るが、噴孔４に流入する時に入口側開口部４１で剥離す
るので、入口の直後流部分で燃料の流れには周期的な渦
が発生し、その結果、噴孔４の内部を通過する燃料は図
２の矢印Ｃの方向に幅が変化し、排出される燃料の液
柱、液膜が自励振動し燃料は微粒化される。

【００１４】ここで、本発明では上述の様に、燃料はシ
ール部の下流側で先ず、矢印Ｆ１に示される様に流れ、
次に矢印Ｆ２に示される様に向きを変えるが、その角度
は大きくないので、燃料はこの方向変換によって運動エ
ネルギを大きく損失することはない。したがって、噴孔
４の入口側開口部４１に達した時も比較的大きな運動エ
ネルギを有しているので燃料は入口側開口部４１の最外
縁４３から剥離しやすい。その結果、強い渦が発生し、
液柱、液膜の自励振動が強くなり燃料の微粒化が良い。

【００１５】図４に示すのは、本発明の第２の実施形態
の構造を示す図であって、ニードルバルブ２のシール部
２１と底面２５を結ぶ中間面の断面は、点２００を中心
とした半径Ｒの円で結ばれている点、すなわち、中間面
が球面形状とされている点が第１の実施形態と異なりそ
の他の部分は同じである。そして、この円が、底面２５
と交わる点２８を通る接線２９が計量部材３の上面３１
と交わる点Ｘ’は、噴孔４の入口側開口部４１の最外縁
４３の外側に位置する様にされている。燃料は、第１の
実施形態とほぼ同様に、図中Ｆ１’、Ｆ２’で示される
様に流れ、同様の効果を示すが、シール部より下流の流
れの曲がりがより滑らかになるので、運動エネルギの減
衰が小さく、その分、噴孔４の入口側開口部４１の最外
縁４３から剥離がよくなるので、燃料の微粒化はさらに
よくなる。また、閉弁時のデッドボリュームが小さくな
り、ニードルバルブ閉弁時に、シール部の下流側に残
り、その後、吸入負圧によって吸引される燃料の量が減
少するので、吸入される燃料の量の精度が向上する。

【００１６】なお、上述した各実施の形態におけるニー
ドルバルブ２の底面２５を、色々に変形することも可能
であって、例えば、球面状にしたり、円錐状にしたり、
あるいは凹面状にすること等が考えられる。図５と図６
に、第２の実施形態におけるニードルバルブ２の底面２
５を球面状にしたものと円錐状にしたものをそれぞれ示
す。この様にすれば、さらに、デッドボリュームが小さ
くなり精度がさらに向上する。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、噴孔の入口において燃
料が剥離しやすくなり、燃料の液柱、液膜の自励振動が
促進され燃料の微粒化が向上し、その結果、燃焼が良く
なり、出力の向上あるいは排気ガスエミッションの低減
を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態の構造を示す図であ
る。

【図２】図１のＡ部を拡大した図である。

【図３】図１にＩ−Ｉ線に沿って見た図である。

【図４】本発明の第２の実施の形態の構造を示す拡大図
である。

【図５】第２の実施の形態の変形例である。

【図６】第２の実施の形態の他の変形例である。

【符号の説明】

１…バルブボデー ２…ニードルバルブ ３…計量部材 ４…噴孔 １００…中心軸

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バルブボデーと、前記バルブボデー内部
   に受容されシール部において燃料の流路を開閉するニー
   ドルバルブと、前記バルブボデーの先端部に配設され複
   数の噴孔を有し燃料の計量と噴射方向の決定をおこなう
   計量部材を具備する燃料噴射弁において、 前記バルブボデーのシール部下流の内壁面が前記計量部
   材の上流側の面に緩やかに連続する様に形成され、 前記ニードルバルブのシール部と最下流側の底面は、ニ
   ードルバルブ開弁時に前記バルブボデーのシール部下流
   の内壁面と共働して燃料を前記計量部材に配設された噴
   孔に導入する内側下流に傾斜した燃料流路を形成する中
   間面を介して連結され、 前記ニードルバルブの前記中間面は、ニードルバルブ開
   弁時において、それ自身を前記計量部材の上流側の面に
   むけて延長したときに、前記計量部材の上流側の面と交
   差して形成される交線が、前記計量部材に配設された噴
   孔の上流側開口の外接円よりも外側になる様に形成され
   ていることを特徴とする燃料噴射弁。
2. 【請求項２】 前記ニードルバルブの前記中間面が円錐
   面形状とされていることを特徴とする請求項１に記載の
   燃料噴射弁。
3. 【請求項３】 前記ニードルバルブの前記中間面が球面
   形状とされていることを特徴とする請求項１に記載の燃
   料噴射弁。