JPH0932494A - トンネル覆工用コンクリート供給管の吹き出し方向制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 裏込め注入作業を不要とし、掘削壁面２０に
確実に付着するライニング層を形成することのできるＮ
ＡＴＭ工法に用いるのに適したトンネル覆工用コンクリ
ート供給管２１の吹き出し方向制御装置１０を提供す
る。 【解決手段】 トンネル覆工用コンクリート供給管２１
の先端に固定される取付け部１１と、この取付け部１１
からトンネル覆工用コンクリート供給管２１の先端外方
に広がり、この供給管２１の先端から吹き出されるコン
クリート材料２５の拡散を制限する制御板１２とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、トンネル覆工用コ
ンクリート供給管の吹き出し方向制御装置に関し、更に
詳細には例えばトンネル掘削面の一次覆工を吹き付けコ
ンクリートにより行うＮＡＴＭ工法に利用するのに好適
なトンネル覆工用コンクリート供給管の吹き出し方向制
御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】トンネルの覆工方法にＮＡＴＭ工法があ
る。このＮＡＴＭ工法では、地盤の掘削後に、ロックボ
ルトと吹き付けコンクリートにより、一次覆工がなされ
る。

【０００３】このコンクリートの吹き付けでは、吹き付
けコンクリート材料が圧縮空気と共にノズルに供給さ
れ、ノズルから比較的広範囲で掘削壁面に吹き付けられ
る。そのため、悪質地山や低強度地山のような未固結地
山の覆工にＮＡＴＭ工法を適用した場合、ノズルから掘
削面にコンクリートが吹き付けられると、この吹き付け
コンクリートが掘削面から土粒子を吹き飛ばし、この土
粒子が跳ね返ることから、吹き付けコンクリートの掘削
面への付着性が問題となることがある。

【０００４】この吹き付けコンクリートの掘削面への付
着性の改善のために、掘削面に金網を配置し、この金網
を通して掘削壁面にコンクリート材料を吹き付けること
が提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ように金網を通して掘削壁面にコンクリート材料を吹き
付ける場合、吹き付けコンクリートの金網への付着によ
り、吹き付けコンクリートの付着性の改善は見られる
が、掘削壁面からの土粒子の飛散を充分には防止するこ
とはできない。そのために、金網への吹き付けコンクリ
ートの付着により形成されたライニング層と、土粒子が
飛散した掘削壁面との間に空隙を生じることがあり、こ
の空隙の充填のために、改めてコンクリート材料での裏
込め注入作業が必要となる。この裏込め注入作業は、危
険と作業の不確実性とを伴う。

【０００６】そこで、本発明の目的は、このような危険
を伴う裏込め注入作業を不要とし、掘削壁面に確実に付
着するライニング層を形成することのできるＮＡＴＭ工
法に用いるのに適したトンネル覆工用コンクリート供給
管の吹き出し方向制御装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明はトンネル覆工用
コンクリート供給管の吹き出し方向制御装置であり、前
述の技術的課題を解決するため以下のように構成されて
いる。すなわち、本発明は、トンネル覆工用コンクリー
ト供給管の先端に固定される取付け部と、この取付け部
からトンネル覆工用コンクリート供給管の先端外方に広
がり、この供給管の先端から吹き出されるコンクリート
材料の拡散を制限する制御板とを備えることを特徴とす
る（請求項１に対応）。以下、各構成要素について説明
する。

【０００８】（取付け部）取付け部は、トンネル覆工用
コンクリート供給管に固定される部分であり、この取付
け部から制御板が伸長する。

【０００９】（制御板）制御板は、取付け部からトンネ
ル覆工用コンクリート供給管の先端外方に広がり、この
供給管から吹き出されるコンクリート材料が制御板の背
面側に拡散することを防止することにより、コンクリー
ト材料の拡散範囲に制限を与える。強度的に、鋼板製と
することが望ましい。

【００１０】本発明のトンネル覆工用コンクリート供給
管の吹き出し方向制御装置は、前述した必須の構成要素
からなるが、これらの構成要素の一つである取付け部
を、供給管の外周面に沿った全体にＣ字状横断面形状を
有する筒状の円筒部分およびこの円筒部分の互いに対向
する縁部から互いに平行に円筒部分の径方向外方に伸長
するフランジ部分と、このフランジ部分を介して円筒部
分を供給管の外周面に解除可能に締め付ける締結具とか
ら構成することにより、トンネル覆工用コンクリート供
給管から取り外し可能とすることが望ましい（請求項２
に対応）。

【００１１】本発明のトンネル覆工用コンクリート供給
管の吹き出し方向制御装置では、この供給管から吹き出
されるコンクリート材料が供給管の先端外方に広がる制
御板により、その背面側に拡散することを防止されてい
ることから、制御板の位置を考慮してトンネル覆工用コ
ンクリート供給管を配置することにより、制御板の大き
さおよび形状に応じた制御板の背面側の特定の範囲にコ
ンクリート材料が吹き付けられることを防止することが
できる。

【００１２】従って、例えばトンネル掘削面の一次覆工
を吹き付けコンクリートの吹き付けにより行うＮＡＴＭ
工法において、掘削面から間隔をおいてこの掘削面に沿
って支保工を配置し、この支保工に支持される型枠を掘
削面から間隔をおいて配置し、この掘削面と型枠との間
に覆工用コンクリートを充填するに際し、覆工用コンク
リート供給管に本発明に係る吹き出し方向制御装置を設
けることにより、コンクリート材料が掘削面に直接吹き
付けられることを確実に防止することができる。このこ
とから、たとえ悪質地山や低強度地山のような未固結地
山の覆工であっても、覆工用コンクリートが掘削面の土
粒子を吹き飛ばすことを確実に防止することができ、そ
の結果、覆工用コンクリートのライニング層を確実かつ
強固に掘削面に結合することができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明のトンネル覆工用コ
ンクリート供給管の吹き出し方向制御装置を図に示され
る実施例について更に詳細に説明する。図１ないし図３
は本発明の一実施形態に係るトンネル覆工用コンクリー
ト供給管の吹き出し方向制御装置を示す。

【００１４】本発明に係る吹き出し方向制御装置１０
は、図１ないし図３に示されているように、コンクリー
ト供給管への取付け部１１と、この取付け部１１の一端
からその長手方向外方へ平面的に伸長する制御板１２と
を備える。取付け部１１は、筒状部分１３を備え、該筒
状部分の一端から制御板１２が一体に伸長する。この筒
状部分１３および制御板１２は、例えば鋼のような金属
材料から形成されている。 筒状部分１３には、図３に
明確に示されているように、筒状部分１３をその長手方
向に貫通するスリット１４が設けられており、これによ
り、筒状部分１３はほぼＣ字状の横断面形状を有する。
スリット１４を規定する筒状部分１３の両縁部には、互
いに平行に筒状部分１３の径方向外方へ対向して伸長す
る一対のフランジ部分１５が形成されている。

【００１５】一対のフランジ部分１５には、これを貫通
するボルト部材１６およびこのボルト部材１６に螺合す
るナット部材１７とからなる締結具が設けられている。
締結具１５、１６の締付により、一対のフランジ部分１
５を相互に締め付けることができ、これにより筒状部分
１３の内径φを絞ることができ、また締結具１５、１６
を緩めることにより、内径φを元に戻すことができる。

【００１６】制御板１２は、筒状部分１３の一端でほぼ
その外径に等しい幅寸法を有し、筒状部分１３の軸線方
向外方へ向けて幅寸法を漸増させ、全体に末広がり状の
三角平面形状を有する。また、制御板１２は、図２に明
確に示されているように、筒状部分１３の軸線１８と角
度θの広がり角を有する姿勢で筒状部分１３に連なる。
この制御板１２の姿勢および形状は、後に説明する吹き
付けコンクリートの拡散度合いに適合するように、適宜
選択することができる。また、制御板１２を筒状部分１
３と別体に形成した後、該筒状部分に一体的に結合する
ことができ、また筒状部分１３に対してその姿勢を可変
とするように調整機構を介して筒状部分１３に結合する
こともできる。

【００１７】図４は、本発明のトンネル覆工用コンクリ
ート供給管の吹き出し方向制御装置１０の使用例を示す
ＮＡＴＭ工法の概略図である。ＮＡＴＭ工法では、地盤
１９に形成された掘削壁面２０をコンクリートで一次覆
工するために、コンクリート供給管２１を経て吹き付け
コンクリートが壁面２０に供給される。ＮＡＴＭ工法で
の吹き付けコンクリートとして、例えば、骨材、セメン
トからなる空練り材料、水、およびコンクリートの固化
を促進する急結剤がそれぞれ圧縮空気により個別の供給
路（図示せず）からコンクリート供給管２１の先端へ向
けて供給され、これらの混合物が吹き付けコンクリート
としてコンクリート供給管２１の先端から吹き出され
る。

【００１８】このコンクリート供給管２１からの吹き付
けコンクリートの吹き出しに先立ち、図示の例では、掘
削壁面２０から覆工コンクリートによるライニング層の
厚さ寸法に応じて適正な間隔をおいて配置される型枠２
２が、複数の支保工（図示せず）によって支持され、こ
れにより、地盤１９の掘削壁面２０から所定の間隔をお
いて壁体２４が形成される。

【００１９】この壁体２４と、掘削壁面２０との間に、
コンクリート供給管２１から供給される覆工用吹き付け
コンクリート２５が充填されるが、このコンクリートの
供給に際しては、コンクリート供給管２１から吹き出す
コンクリートが直接に掘削壁面２０に吹き付けられるこ
とを確実に防止するために、本発明に係る吹き出し方向
制御装置１０が用いられる。

【００２０】吹き出し方向制御装置１０は、その締結具
１５、１６を緩めた状態で、制御板１２がコンクリート
供給管２１の先端側に位置するように、このコンクリー
ト供給管２１の先端に筒状部分１３が嵌合され、その
後、締結具１５、１６の締付により、吹き出し方向制御
装置１０がコンクリート供給管２１の先端部に固定され
る。

【００２１】吹き出し方向制御装置１０の制御板１２
は、コンクリート供給管２１の先端から吹き出される吹
き付けコンクリートの拡散を規制し、制御板１２の背面
に回り込むことを防止する。従って、図４に示されてい
るように、制御板１２を掘削壁面２０側に位置するよう
にその姿勢を調節することにより、コンクリート供給管
２１から吹き出すコンクリートが掘削壁面２０に直接に
吹き付けられることを確実に防止することができ、掘削
壁面２０からの土粒子の飛散を確実に防止することがで
きる。

【００２２】従って、壁体２４と、掘削壁面２０との間
への吹き付けコンクリートの供給により、掘削壁面２０
からの土粒子の飛散を招くことなく、壁体２４と、掘削
壁面２０との間をコンクリートで充填することができ、
掘削壁面２０に強固に結合されたコンクリートライニン
グ層を形成することができる。

【００２３】吹き付けコンクリートの供給に先立って、
掘削壁面２０を覆うように金網を配置することにより、
コンクリートライニング層と壁面１２との結合を一層強
固にすることができる。また、吹き付けコンクリートに
代えて、コンクリート供給管１３への供給に先立って予
め練り混ぜた生コンクリートを用いることができる。

【００２４】先に説明したところでは、本発明の吹き出
し方向制御装置を、ＮＡＴＭ工法における吹き付けコン
クリートの一次覆工に用いたトンネル覆工用コンクリー
ト供給管に組み付けて使用した例に付いて説明したが、
本発明の吹きだし方向制御装置は、このＮＡＴＭ工法に
限らず、吹き付けコンクリートの拡散範囲に制限を与え
ることが望ましい環境下で、種々のトンネル覆工用コン
クリート供給管に組み付けてあるいはこれに固定的に設
けて使用することができる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のトンネル
覆工用コンクリート供給管の吹き出し方向制御装置によ
れば、覆工用コンクリート供給管の先端外方に広がる制
御板がその背面側へのコンクリート材料の吹き付けを防
止することから、例えばＮＡＴＭ工法における覆工コン
クリート供給管に適用することにより、掘削面への覆工
コンクリートの直接の吹き付けを防止し、たとえ悪質地
山や低強度地山のような未固結地山の覆工であっても、
覆工用コンクリートが掘削面の土粒子を吹き飛ばすこと
を確実に防止することができることから、危険を伴う裏
込め注入作業を不要とし、掘削壁面に確実かつ強固に付
着するライニング層を形成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のトンネル覆工用コンクリート供給管の
吹き出し方向制御装置を示す正面図である。

【図２】本発明のトンネル覆工用コンクリート供給管の
吹き出し方向制御装置を示す平面である。

【図３】本発明のトンネル覆工用コンクリート供給管の
吹き出し方向制御装置を示す側面である。

【図４】本発明のトンネル覆工用コンクリート供給管の
吹き出し方向制御装置の使用例を示すＮＡＴＭ工法の概
略図である。

【符号の説明】

１０ 吹き出し方向制御装置 １１ 取付け部 １２ 制御板 １３ 筒状部分 １４ スリット １５ フランジ部分 １６、１７ 締結具 １９ 地盤 ２０ 掘削壁面 ２１ コンクリート供給管 ２５ 覆工用吹き付けコンクリート

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トンネル覆工用コンクリート供給管の先
   端に固定される取付け部と、この取付け部から前記供給
   管の先端外方に広がり、前記供給管の先端から吹き出さ
   れるコンクリート材料の拡散を制限する制御板とを備え
   ることを特徴とする、トンネル覆工用コンクリート供給
   管の吹き出し方向制御装置。
2. 【請求項２】 前記取付け部は、前記供給管の外周面に
   沿った全体にＣ字状横断面形状を有する筒状の円筒部分
   および該円筒部分の互いに対向する縁部から互いに平行
   に前記円筒部分の径方向外方に伸長するフランジ部分
   と、該フランジ部分を介して前記円筒部分を前記供給管
   の外周面に解除可能に締め付ける締結具とを備える請求
   項１に記載のトンネル覆工用コンクリート供給管の吹き
   出し方向制御装置。