JPH093226A - 多孔性シート及びそれを用いた吸収性物品 - Google Patents

多孔性シート及びそれを用いた吸収性物品

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JPH093226A
JPH093226A JP7151917A JP15191795A JPH093226A JP H093226 A JPH093226 A JP H093226A JP 7151917 A JP7151917 A JP 7151917A JP 15191795 A JP15191795 A JP 15191795A JP H093226 A JPH093226 A JP H093226A
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crystalline polyolefin
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sheet
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吉晃 熊本
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勝司 前田
Osamu Yuasa
治 湯浅
Yoshihiro Sakai
吉弘 酒井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 通気性、透湿性、及び耐水性を有し、しかも
良好な風合い及び高強度(引裂強度及び引張破断点強度
が高い)を有しており、工業的に安全に且つ高速で連続
生産することが出来る多孔性シート及びそれを用いた吸
収性物品を提供すること。 【構成】 結晶性ポリオレフィン樹脂(a)50〜90
重量部、該結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の融点以上
の温度では該結晶性ポリオレフィン樹脂(a)に対して
混和性があり且つ該結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の
融点未満の温度では該結晶性ポリオレフィン樹脂(a)
と相分離を起こす有機化合物(b)50〜10重量部、
及び結晶核形成剤(c)0.01〜3重量部〔上記結晶
性ポリオレフィン樹脂(a)100重量部に対する量〕
からなる樹脂組成物の溶融混練物から成形したシート
を、少なくとも1つの方向に延伸してなる多孔性シート
であって、上記結晶核形成剤(c)は、芳香族系アルコ
ールのリン酸エステルの金属塩であることを特徴とする
多孔性シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔性シート及びそれ
を用いた吸収性物品に関するものであり、詳しくは引張
強度及び成形生産性に優れ、且つ透湿性、防水性等にも
優れる多孔性シート及びそれを用いた吸収性物品に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
多孔性シートの製造方法としては、ポリエチレンやポリ
プロピレン等のオレフィン系樹脂中に40重量部以上の
無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸ま
たは二軸方向に延伸する方法が知られている。このよう
にして得られた多孔性シートは、通気性及び透湿性に優
れ結露現象を生じないため壁紙や包装紙等に好適に用い
られている。また、このような多孔性シートの優れた性
質に更に柔軟性を付与することにより、使い捨ておむつ
等の吸収性物品の裏面材等に使用することができ、この
ような多孔性シートに柔軟性を付与するためには、オレ
フィン系樹脂として線状低密度ポリエチレンを用いるこ
と等が提案されている。
【0003】一般に多用されている使い捨ておむつは、
尿等の排泄物を吸収する吸収体と、該吸収体の表面を覆
い肌に当てられる表面材と、上記吸収体を覆い液漏れを
防ぐ裏面材とからなり、これらは接着して一体化されて
いる。また、胴周部、脚周部からの漏れを防ぐ為に設け
られた伸縮機能及びおむつを装着した時に背側胴周部と
腹側胴周部とを止着するテープ等からなる止着機能を備
えている。そして、この止着テープは利便性から約25
mm幅のものが好ましく多用されているが、おむつの装
着ミスまたは着用中の排尿点検等の為に止着テープを剥
がそうとすると、柔軟性を付与した上記の多孔性シート
を用いて形成した裏面材は強度不足で破れてしまい、新
しいおむつと交換せざるを得ないという問題がある。そ
こで、これを防止するために、使い捨ておむつの腹側胴
周囲部の裏面材に、前もって幅広い保持用テープ(通称
ランディングテープ)を貼り付けておき、装着時は止着
テープ(通称ファスニングテープ)をその上に貼ること
により止着テープを繰り返し付け剥がし出来るようにな
っている。
【0004】しかしながら、ランディングテープを用い
ることは、おむつ構成部材や製造工程が多くなるとい
う欠点、ランディングテープはおむつ素材の中で最も
高価であるので、そのテープを幅広く(多量に)用いる
ことはコストアップになるという欠点、ランディング
テープを幅広で用いても着用者の体型によってはファス
ニングテープがランディングテープ以外の裏面材に貼り
付くことがあり、ファスニングテープの付け剥がしが出
来なくなる場合があるという欠点がある。
【0005】そこで、高強度の多孔性シートとして、特
開平5−98057号公報において、特定のポリオレフ
ィンに充填材と特定の可塑剤とラジカル発生剤とを配合
してインフレーション成形し、さらに引き取り方向に一
軸延伸する製法により得られる多孔性シートが提案され
ている。しかし、該多孔性シートは、通常のオレフィン
系樹脂に無機充填材を溶融混練して成形したシートを延
伸した多孔性シートに比べ強度が向上するものの、使い
捨ておむつ等のランディングテープを省くことは出来な
い。更に、ラジカル発生剤を使用しているので、成形品
の溶融流動特性が成形前組成物のそれと異なるので、通
常の実生産工程で生じる端部等の不要部分のリサイクル
加工が困難となり、生産性が劣るという問題がある。
【0006】また、特公平5−38011号公報におい
ては、特定の結晶性ポリマーと特定の(該ポリマーに混
和性のある)化合物とを溶融ブレンドし、シート成形
し、冷却過程で相分離を起こさせ、そのシートを延伸す
ることにより製造される微孔質シートが開示されてい
る。しかし、これでも未だランディングテープを省ける
程度の強度には至っていない。
【0007】また、上記裏面材には、肌に接触する吸収
性物品の素材としてのソフトな感触/風合いが要求され
ているが、上記微孔質シートは、要求される強度、透湿
性を保持しているが、良好な風合いを有するものではな
い。
【0008】また、特開昭63−161035号公報で
は、多孔性シートの製造に際し、特定の化合物を結晶核
剤として添加することが開示している。しかし、該結晶
核剤の添加によりシート強度は高くなるものの、それに
伴い透湿性が低下してしまうという問題が解決されてお
らず、また、生産時の結晶核剤添加量の振れによるシー
ト物性の振れが大きいという課題も残されたままであっ
た。
【0009】従って、本発明の目的は、通気性、透湿
性、及び耐水性を有し、しかも良好な風合い及び高強度
(引裂強度及び引張破断強度が高い)を有しており、工
業的に安全に且つ高速で連続生産することが出来る多孔
性シート及びそれを用いた吸収性物品を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するために、鋭意検討した結果、特定の結晶性
ポリオレフィン樹脂と特定の有機化合物と特定の結晶核
形成材とを特定量溶融混練して得られた多孔性シートが
上記目的を達成することを知見した。
【課題を解決するための手段】
【0011】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)50〜90重量
部、該結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の融点以上の温
度では該結晶性ポリオレフィン樹脂(a)に対して混和
性があり且つ該結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の融点
未満の温度では該結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と相
分離を起こす有機化合物(b)50〜10重量部、及び
結晶核形成剤(c)0.01〜3重量部〔上記結晶性ポ
リオレフィン樹脂(a)100重量部に対する量〕から
なる樹脂組成物の溶融混練物から成形したシートを、少
なくとも1つの方向に延伸してなる多孔性シートであっ
て、上記結晶核形成剤(c)は、芳香族系アルコールの
リン酸エステルの金属塩であることを特徴とする多孔性
シートを提供するものである。
【0012】また、本発明は、液透過性の表面材と、防
漏性の裏面材と、これら両面材の間に配置された吸収体
とからなる吸収性物品において、上記裏面材として、上
述の多孔性シートを用いることを特徴とする吸収性物品
を提供するものである。
【0013】以下、先ず、本発明の多孔性シートについ
て詳述する。本発明の多孔性シートは、樹脂組成物の溶
融混練物から成形したシートを延伸処理してなる多孔性
シートであり、該樹脂組成物は特定の結晶性ポリオレフ
ィン樹脂(a)と特定の有機化合物(b)と特定の結晶
核形成剤(c)とを特定の配合割合で含み、必要に応じ
て安定剤、着色剤等を含む組成物である。
【0014】本発明において上記組成物に用いられる上
記特定の結晶性ポリオレフィン樹脂(a)は、主にポリ
プロピレン樹脂であることが好ましく、その他にプロピ
レンと結晶性を阻害しない程度にエチレンもしくは他の
ビニルモノマー等を含む共重合樹脂でもよい。具体的に
は、ポリプロピレン樹脂、プロピレン−エチレンブロッ
ク共重合樹脂、プロピレン−エチレンランダム共重合樹
脂、又はプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合樹
脂等が挙げられる。本発明においては、上記樹脂を単独
で用いることもでき、又は二種以上を混合して用いるこ
ともできる。また、風合、強度等の物性の改善を目的と
して、本来の性質を損なわない範囲で、ポリエチレン樹
脂、エチレンと他のビニルモノマーとの共重合樹脂、ポ
リスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系
樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリアクリル系樹脂、
又はポリメタアクリル系樹脂等の樹脂をブレンドするこ
とができる。
【0015】また、上記結晶性ポリオレフィン樹脂
(a)が、上記共重合樹脂又は上記結晶性ポリエチレン
樹脂を含む場合には、エチレンとプロピレンのモノマー
換算重量比(エチレンの重量%/プロピレンの重量%)
が4/96〜40/60であることが好ましく、8/9
2〜30/70であることが更に好ましい。上記モノマ
ー換算重量比が上記範囲内であることにより、本発明の
多孔性シートは、特に風合いと強度(引裂強度及び引張
降伏点強度)との観点から使い捨ておむつ等の吸収性物
品の裏面材として用いるのに好適なシートとなる。
【0016】上記結晶性ポリオレフィン樹脂(a)は、
メルトインデックスが3g/10分以下であるのが好ま
しく、0.2〜3g/10分であることが更に好まし
い。上記メルトインデックスが3g/10分を超える
と、得られる多孔性シートの引裂強度や、引っ張り強度
が低下し、例えば、使い捨ておむつ等の吸収性物品の裏
面材としての必要な強度を得ることが難しくなるので、
上記範囲内とするのが好ましい。また、この場合に所望
の強度を得るために多孔性シートの厚みを厚くしてもよ
いが、多孔性シートの厚みを厚くすると透湿度が低下す
ると共にその製品のコストアップを招く。また、上記メ
ルトインデックスが0.2g/10分未満であると、シ
ート成形時の押出成形で大きな動力を必要とする不都合
が生じて生産性が低下するので、上記範囲内とするのが
好ましい。
【0017】尚、本発明において、上記メルトインデッ
クスとはASTM D−1238に準拠して測定した値
である。上記結晶性ポリオレフィン樹脂(a)として
は、メルトインデックスが0.2〜2g/10分の結晶
性ポリプロピレン樹脂、結晶性エチレン−プロピレン共
重合樹脂、及びこれらの樹脂とポリエチレン樹脂との混
合物を好適に用いることができる。
【0018】本発明において、上記樹脂組成物に用いら
れる特定の有機化合物(b)は、上記結晶性ポリオレフ
ィン樹脂(a)の融点以上の温度では上記結晶性ポリオ
レフィン樹脂(a)に対して混和性があり、上記結晶性
ポリオレフィン樹脂(a)の融点未満の温度では上記結
晶性ポリオレフィン樹脂(a)と相分離を起こす化合物
である。上記化合物(b)は、延伸によりシートに透湿
性を付与し得る内部構造を、上記結晶性ポリオレフィン
(a)の結晶化に伴う相分離によって成形するために、
上記結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の融点以上の温度
では上記結晶性ポリオレフィン樹脂(a)に対して混和
性があり、上記結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の融点
未満の温度では上記結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と
相分離を起こす化合物である必要がある。
【0019】上記化合物(b)としては、例えば、鉱物
油、合成潤滑油、流動パラフィン、パラフィンワックス
又は分子内にエステル結合を有する化合物等が挙げられ
る。上記鉱物油としては、天然から採取され、低揮発分
が除去された芳香族/脂環族/脂肪族からなる炭化水
素、及びこれらに水素添加等をして芳香族を除去した脂
環族/脂肪族からなる炭化水素等が挙げられ、合成鉱物
油と呼ばれるエチレン/α−オレフィンオリゴマー等も
挙げられる。
【0020】上記合成潤滑油としては、エチレン/α−
オレフィンオリゴマー(ルーカント、三井石油化学工業
(株)製)、ポリブテン(日石ポリブテン、日本石油化
学(株)製)等が挙げられる。
【0021】上記流動パラフィンとしては、市販されて
いるダイアナプロセスオイル(出光興産(株)製)、ル
ブフレックス、シェルフレックス、デュートレックス
(シェル化学(株)製)、モレスコホワイト(松村石油
研究所(株)製)等が挙げられる。上記パラフィンワッ
クスとしては、各種石油ワックス(日本精蝋(株)等が
挙げられる。
【0022】上記の分子内にエステル結合を有する化合
物としては、脂肪族もしくは芳香族の一塩基もしくは
多塩基カルボン酸と、脂肪族、脂環族若しくは芳香族の
一価もしくは多価アルコールとを脱水縮合して得られる
エステル化合物;又は分子内にヒドロキシル基とカル
ボキシル基との両方を有する化合物を脱水縮合反応して
得られるエステル化合物(即ち、モノ又はポリエステル
化合物)等が挙げられる。
【0023】また、上記の分子内にエステル結合を有す
る化合物は、カルボン酸の1種以上とアルコールの1種
以上とから調製することができる。また、該分子内にエ
ステル結合を有する化合物の製造方法に特に制限はな
く、従来公知の如何なるエステル化方法も用いることが
できる。また、上記の分子内にエステル結合を有する化
合物はカルボン酸中のカルボキシル基及びアルコール中
のヒドロキシル基のすべてが完全に反応した化合物のみ
でなく、カルボン酸中のカルボキシル基及び/又はアル
コール中のヒドロキシル基の一部が未反応のままである
部分エステル化化合物であってもよい。
【0024】また、上記の分子内にエステル結合を有す
る化合物としては、合成品に限らず、天然物、例えば、
椰子の実、大豆等から採取され精製されたエステル化化
合物であってもよい。
【0025】上記化合物(b)の具体例としては、鉱物
油としては石油各社から販売されている機械潤滑油、ゴ
ム用プロセスオイル、繊維用流動パラフィン等が挙げら
れ、分子内にエステル結合を有する化合物としては、ジ
ステアリルフタレート、トリオクチルトリメリテート、
テトラオクチルピロメリテート、ジステアリルアジペー
ト、ジステアリルセバテート、トリメチロールプロパン
トリラウレート、ペンタエリスリトールテトラカプレー
ト等を挙げることができる。また、これらは結晶性ポリ
オレフィン樹脂(a)の溶解度パラメーターと数単位
(上記結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の溶解度パラメ
ーターと上記化合物の溶解度パラメーターとの差が好ま
しくは2〜3)以内の組み合わせから選ぶことができ
る。本発明においては、上記鉱物油、合成潤滑油、パラ
フィンワックス又は分子内にエステル結合を有する化合
物を単独で用いることもでき、又は二種以上を混合して
用いることもできる。
【0026】本発明においては、上記組成物は、上記結
晶性ポリオレフィン樹脂(a)及び上記有機化合物
(b)と共に上記特定の結晶核形成剤(c)を含む。一
般的に、結晶性ポリオレフィン樹脂と化合物とからなる
溶融混合物から成形したシートを延伸することにより得
られる多孔性シートにおいては、結晶核形成剤の添加を
行わなければそのシートは脆く必要量の延伸が不可能で
あるか、または延伸できたとしても伸びが悪く破断強度
の低いシートとなってしまう。そこで、延伸性の改良及
び強度と透湿性とをバランス良く向上させることを目的
として溶融混合物に結晶核形成剤を添加することが行わ
れている。
【0027】従来は、結晶核形成剤としてタルク、二酸
化チタン等の無機フィラー、ジベンジリデンソルビトー
ル等のソルビトール系核形成剤、アジピン酸、安息香酸
等を用いているが、タルク、二酸化チタン等の無機フィ
ラーでは核形成剤としての効果は不十分なものであっ
た。また、ソルビトール系核形成剤、アジピン酸、安息
香酸等は、核形成剤としての効果はあるものの下記の問
題点があった。即ち、延伸性を良くし且つ引張破断強度
を向上させるためには、核形成剤の添加量を増加させる
必要があるが、核形成剤の増加は強度の向上とともに急
激に透湿性を低下させてしまうため、上記の物性を共に
高いレベルで保つことが不可能であった。また、最適な
核形成剤の添加量の近傍では、添加量の振れによるシー
トの物性の変化、特に透湿性の変化が著しく、生産時の
添加量の不均一は、そのままシート物性のバラツキを生
む原因となっていた。
【0028】本発明においては、上記結晶核形成剤
(c)を添加することにより、透湿性を低下させずに引
張強度を向上した多孔性シートを製造することができる
とともに、最適な添加量の近傍におけるシート物性の変
化を小さくすることができ極めて安定な生産が可能とな
る。
【0029】上記結晶核形成剤(c)は、芳香族系アル
コールのリン酸エステルの金属塩であり、特開昭58−
1736号公報等に開示されている化合物を好適に用い
ることができる。上記結晶核形成剤(c)としては、例
えば、リン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert
−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2−メチレ
ンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リチウ
ム、リン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−
ブチルフェニル)カルシウム、リン酸2,2−メチレン
ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)バリウム、
リン酸2,2−メチレンビス(4−メチル、6−tert−
ブチルフェニル)ナトリウム、ジ−4−tert−ブチルフ
ェニルリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0030】本発明に用いる上記樹脂組成物における上
記結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と上記有機化合物
(b)との上記特定の配合割合は、上記結晶性ポリオレ
フィン樹脂(a)50〜90重量部に対し、上記有機化
合物(b)50〜10重量部であり、好ましくは上記結
晶性ポリオレフィン樹脂(a)60〜80重量部に対
し、上記有機化合物(b)40〜20重量部である。上
記有機化合物(b)の配合割合が50重量部を超える
と、樹脂組成物のシート成形性が劣り、且つ延伸処理し
て得られる多孔性シートが強度不足となり、しかも長時
間保存中に該シートから該有機化合物(b)がブリード
アウトするため実用性に欠ける。また、10重量部未満
であると延伸処理で所望の透湿度を満たす多孔性シート
を得ることが出来ない。
【0031】本発明に用いる上記樹脂組成物における上
記結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と上記結晶核形成剤
(c)との上記特定の配合割合は、上記結晶性ポリオレ
フィン樹脂(a)100重量部に対し、上記結晶核形成
剤(c)0.01〜3重量部であり、好ましくは上記結
晶性ポリオレフィン樹脂(a)100重量部に対し、
0.01〜1重量部である。上記結晶核形成剤樹脂
(c)の配合割合が3重量部を超えると、多孔性シート
の透湿性は必要な値を下回り、また、0.01重量部未
満であると、多孔性シートの強度は不十分なものとな
る。
【0032】また、上記樹脂組成物には必要に応じて酸
化防止剤等の安定剤、酸化チタン等の着色剤等を添加剤
として添加することができる。その他の安定剤、着色剤
としては、公知のものが特に制限されず用いられる。更
に、必要に応じて本発明の多孔性シートの基本物性に悪
影響しない程度に少量の帯電防止剤、炭酸カルシウム、
タルク等の通常の樹脂物性改良剤を添加剤として用いる
ことも出来る。これらの添加剤は、樹脂組成物の全量に
対して、好ましくは0.01〜10重量%、更に好まし
くは0.1〜5重量%添加することができる。
【0033】而して、本発明の多孔性シートは、上記樹
脂組成物の溶融混練物から成形したシートを、少なくと
も1つの方向に延伸してなる多孔性シートである。上記
の「成形」及び「延伸」については、後述する「製造方
法」の説明において詳述する。
【0034】そして、本発明の多孔性シートは、その透
湿度が好ましくは0.2〜4.0g/100cm2 ・H
rであり、更に好ましくは0.5〜2.5g/100c
2・Hrである。透湿度が0.2g/100cm2
Hr未満であると、吸収性物品の裏面材として用いた場
合にムレ防止等の効果が劣り、また、4.0g/100
cm2 ・Hrを超えると、耐水圧が低下し、防漏性が低
下する。また、該多孔性シートを使い捨ておむつ等の吸
収性物品の裏面材に使用する場合には、該多孔性シート
の耐水圧は好ましくは1.5m以上、特に好ましくは
2.0m以上である。
【0035】また、本発明の多孔性シートは、その引張
破断点強度が最も強度の低い方向(一軸延伸の場合、一
般的には延伸方向と直角方向)において好ましくは10
0kgf/cm2 以上であり、更に好ましくは130k
gf/cm2 以上であり、最も好ましくは160kgf
/cm2 以上である(破断伸度は好ましくは200%以
上、更に好ましくは300%以上、最も好ましくは40
0%以上である)。また、その引裂強度は好ましくは2
00gf/mm以上であり、更に好ましくは300gf
/mm以上である。
【0036】本発明の多孔性シートは、使い捨ておむつ
等の吸収性物品の裏面材として好適である他、織布、不
織布、紙等と貼り合わせて、防水、防寒、防菌、テン
ト、寝具用、包袋、ハップ材の基材等衣料用及び医療
用、鮮度保持、小動物、種子等の生命保持、腐敗防止用
包装材、果実等の熟成材、遮光材、濾過、拡散防止の分
離膜等の材料として用いることができる。
【0037】次に、本発明の多孔性シートの好ましい製
造方法について説明する。本発明の多孔性シートを製造
するには、先ず上記樹脂組成物の溶融混練物を成形して
シートとする。ここで、上記溶融混練物は、通常用いら
れる二軸混練押出機による混練方法により、上記樹脂組
成物を混練することにより好ましく得られる。実生産に
際してはホッパー部より上記結晶性ポリオレフィン樹脂
(a)、上記結晶核形成剤(c)及び必要に応じて用い
られる上記安定剤や上記着色剤を定量フィーダーを用い
て供給し、樹脂が可塑化している押出機の混練部(中腹
部)より、上記有機化合物(b)を定量ポンプで圧入す
る方法が好ましい。上記化合物(b)の融点が常温より
高いときは、該化合物を融点以上に加熱して液状にして
注入するのが好ましい。また、安定剤や着色剤を添加す
る場合には、上記のように樹脂と一緒にホッパーから投
入してもよく、又は上記有機化合物(b)と予備混合し
ておいたものを上記有機化合物(b)とともに圧入して
もよい。
【0038】上記成形を行いシートを得るには、上記溶
融混練物を二軸混練押出機と単軸押出機とをタンデムに
組み合わせ、該単軸押出機を経てダイに供給する方法に
より得ることができる。
【0039】また、二軸混練押出機により、一旦、溶融
混練物(コンパウンド)をフィラメント状に押出した
後、これをカッティングして、ペレットを得、得られた
ペレットを、ダイを取り付けた単軸押出機にてシート成
形することもできる。また、上記成形は、フラットダ
イ、サーキュラーダイのいずれを用いて行っても良い
が、シートの歩留りの観点からサーキュラーダイを用い
て成形するのが好ましい。
【0040】更に、本発明の多孔性シートを歩留り良く
得る為には、溶融混練物の上記成形における冷却条件が
重要である。即ち、溶融樹脂組成物の冷却による結晶性
ポリオレフィン樹脂の結晶生成(結晶の大きさ、好まし
くは2〜8μm)を制御する必要があり、例えば、著し
い徐冷による極大結晶の生成、及び著しい急冷による微
細結晶の生成は、次の延伸処理における均一な延伸を妨
げ、得られる多孔性シートの強度が弱かったり、透湿度
が低くなってしまう場合があり好ましくない。本発明に
おいては、核形成剤(c)の添加量と合わせて最適な冷
却条件により多孔性シートを製造することが好ましい。
好ましい冷却条件は、樹脂組成物の溶融混練物の温度が
ダイ吐出時の温度から結晶性ポリオレフィン樹脂(a)
の融解温度に迄冷却される時間が0.1〜3secであ
り、融解温度から更に100℃下がる時間が2〜20s
ecであるのが望ましい。例えば、上記結晶性ポリオレ
フィン樹脂(a)が融点175℃の結晶性ポリプロピレ
ンである場合は溶融混練温度は220〜240℃であ
り、融解温度は158〜160℃であり、融解温度にま
で冷却される時間は0.8〜2.0sec、更に100
℃下がる時間は5〜20secとするのが好ましい。
【0041】次いで、上記シートの延伸を行う。該延伸
には、縦方向(MD)に延伸する一軸延伸法、縦方向へ
の一軸延伸後引き続きテンター延伸機、エアーインフレ
ッション延伸機又はマンドレル延伸機等により横方向
(TD)に延伸する逐次二軸延伸法、又は縦方向及び横
方向に同時に延伸する同時二軸延伸法がある。これらの
場合の延伸温度は、一般に常温以上で樹脂組成物の融点
より10℃以上、更には30℃以上低い温度であること
が好ましい。また、延伸倍率は一軸方向に少なくとも
1.1倍(元の長さ1.0に対し延伸後の長さ1.1)
以上、好ましくは1.2〜4、更に好ましくは1.3〜
4倍、即ち一軸延伸の場合は縦方向に、また二軸延伸の
場合は縦方向及び横方向にそれぞれ1.1〜4倍とする
ことが力学的バランスや強度の保持、優れた透湿性及び
耐水性を発現させるために好ましい。
【0042】次に、本発明の吸収性物品について、図1
を参照して詳細に説明する。尚、ここでは、使い捨てお
むつを例示して説明するが、この他に、失禁ブリーフや
生理用ナプキン等にも適用することができる。本発明の
吸収性物品としての図1に示す使い捨ておむつ1は、液
透過性の表面材2と、防漏性の裏面材3と、これら両面
材の間に配置される吸収体(図示せず)とからなり、上
記裏面材3として、上記の本発明の多孔性シートを用い
ている。
【0043】更に詳細には、上記使い捨ておむつ1は、
尿等の排泄物を吸収する吸収体と、該吸収体の表面を覆
い肌に当てられる表面材2と、上記吸収体を覆い液漏れ
を防ぐ裏面材3とからなり、これらは接着して一体化さ
れている。また、胴周部5、5’、脚周部6からの漏れ
を防ぐために設けられた弾性部材7及びおむつを装着し
た時に背側胴周部5’と腹側胴周部5とを止着する止着
テープ11を備えている。この止着テープとしては、利
便性から約25mm幅のものが好ましく多用されてい
る。
【0044】而して、上記裏面材3には上述の本発明の
多孔性シートが用いられる。上記裏面材の厚さは、通
常、使い捨ておむつに必要な柔軟性、使い捨ておむつの
組立加工時に必要なシートの腰及び裏面材があることの
安心感を付与する点、並びに使い捨ておむつに必要な柔
軟性及びコスト面から、好ましくは25〜55μm、更
に好ましくは30〜45μmである。
【0045】上述の如く構成された本発明の吸収性物品
としての上記使い捨ておむつ1においては、いわゆるラ
ンディングテープを省いてファスニングテープを直接裏
面材に付け剥がしをするために必要な裏面材の強度は、
引裂強度で使用されるシート厚さにおいて8gf以上、
好ましくは10gf以上、最も好ましくは12gf以上
である。従って、例えば、厚さ35μmの裏面材で8g
fの引裂強度を得るためには228gf/mmの引裂強
度が必要となる。また、引張破断強度では強度の最も低
い方向においてシート幅1cm当たり350gf以上、
好ましくは450gf以上、最も好ましくは550gf
以上である。従って、例えば、厚さ35μmで1cm当
たり350gfの引張破断強度を得るには100kgf
/cm2 以上の強度が裏面材に必要となる。
【0046】そして、本発明の吸収性物品としての上記
使い捨ておむつは、その裏面材として本発明の多孔性シ
ートを用いており、該多孔性シートの引裂強度は230
gf/mm以上、引張破断強度が100kgf/cm2
以上であるので、十分な強度を有することになる。従っ
て、本発明の吸収性物品においては、ランディングテー
プを使用する必要がなくなるのでおむつの装着ミスが生
じることがなく、また着用中に排尿点検のために上記止
着テープを剥がしても、裏面材が破れることはない。ま
た、裏面材の透湿度が上記範囲にあればムレ等が生じ
ず、快適な着用感が維持できる。
【0047】
【実施例】本発明を以下の実施例を用いて更に具体的に
説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるもの
ではない。
【0048】〔実施例1〜6及び比較例1〜8(多孔性
シートの実施例)〕結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と
して下記結晶性ポリオレフィン(a)−及び(a)−
、有機化合物(b)として下記有機化合物(b)−
〜(b)−、結晶核形成剤(c)として下記結晶核形
成剤(c)−〜(c)−をそれぞれ〔表1〕に示す
組成とした樹脂組成物を用い、後述の成形方法に従って
成形して、シートを得た。
【0049】結晶性ポリオレフィン樹脂(a)−;密
度0.91g/cm3 、メルトインデックス0.5g/
10分、融点169℃の結晶性ホモポリプロピレン樹脂
(チッソ石油化学(株)製、WT6048)。 結晶性ポリオレフィン樹脂(a)−;密度0.91g
/cm3 、メルトインデックス0.5g/10分、融点
169℃の結晶性ホモポリプロピレン樹脂(チッソ石油
化学(株)製、HT1050)。 有機化合物(b)−;鉱物油(出光興産(株)製、ダ
イアナプロセスオイルPW−90、引火点=272℃、
アニリン点=127.7℃、アロマ系/ナフテン系/パ
ラフィン系=0/29/71;略称PW−90)。 有機化合物(b)−;鉱物油(出光興産(株)製、ダ
イアナプロセスオイルPW−380、引火点=300
℃、アニリン点=144.0℃、アロマ系/ナフテン系
/パラフィン系=0/27/73;略称PW−38
0)。 結晶核形成剤(c)−;リン酸2,2−メチレンビス
(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウム(旭
電化工業(株)製、アデカスタブNA−11、融点=4
00℃以上;略称NA−11)。 結晶核形成剤(c)−;1,3,2,4−ジベンジリ
デンソルビトール(イーシー化学(株)製、EC−1、
融点=215〜220℃;略称EC−1)。 結晶核形成剤(c)−;二酸化チタン(石原産業
(株)製、タイペークCR−60、平均粒径=209n
m;略称TiO2 )。尚、上記有機化合物(b)−〜
(b)−は、上記結晶性ポリオレフィン樹脂(a)−
及び(a)−の融点以上の温度では該結晶性ポリオ
レフィン樹脂と混和性があるが、該融点未満の温度では
該結晶性ポリオレフィン樹脂と相分離を起こす化合物で
ある。
【0050】
【表1】
【0051】成形は以下に示す方法に従って行った。 ・混練方法 二軸混練押出機(φ45mm、L/D=30)を用い、
ホッパーから結晶性ポリオレフィン樹脂(a)及び結晶
核形成剤(c)を供給し、二軸混練押出機の中腹部か
ら、有機化合物(b)をギヤポンプで注入し、溶融混練
した。有機化合物(b)の粘度により、必要に応じて有
機化合物(b)を100℃以下の温度に加熱して供給し
た。混練物を吐出口よりストランド状に押出し、水冷に
より固化させた後。ペレット化した。この時の、吐出量
は20kg/hrとした。また、この時の設定温度は押
出機のシリンダーC1(ホッパー側)部を150℃、C
2・C3部を220℃、C4部を200℃、C5〜C7
部及びヘッド部を180℃とした。
【0052】得られたペレットを、下記製膜方法に従っ
て製膜し、シート化した。 ・製膜方法 一軸押出機(φ40mm、L/D=28)の先端(吐出
口)にサーキュラーダイ(φ200mm)を接続し、ダ
イからニップロールまでの間が5mの空冷インフレーシ
ョン成形設備を用い、得られたペレットを製膜した。こ
の時の設定温度はC1(ホッパー側)部を190℃、C
2・C3部を220℃、C4部及びダイ部を200℃と
した。そして、エアーリングから20℃の空気をバブル
に吹き付け強制空冷しながら引き取り速度6mで製膜を
行い、シート折り幅60cm、厚み40〜45μmのシ
ートを得た。
【0053】次いで、得られたシートを、下記延伸処理
方法に従って延伸し、多孔性シートを得た。 ・延伸処理方法 幅1mのロール延伸機を用い、上記シートを成形方向に
50℃で1.4倍に延伸し、続いて120℃でアニーリ
ングを行った。得られたシートの厚みはすべて35〜4
0μmであった。
【0054】得られた多孔性シートについて、下記評価
基準に従って、それぞれ評価を行った。その結果を〔表
2〕に示す。
【0055】・多孔性シートの評価基準 (1)引裂強度;60mm×30mmの切片を、その長
辺がシートの延伸方向に等しくなるように切り出し、さ
らに上記切片の中心から短辺の一端まで剃刀の刃で長辺
に平行になるように切り込みを入れ試料とした。次い
で、テンシロン引っ張り試験機を用い、該試料の切り込
みにより形成された2つの末端をチャックに固定して、
試料をT字とし、300mm/minにてシート延伸方
向への引裂測定を行い。得られた測定チャートから平均
の荷重を求めて引裂強度とした。
【0056】(4)引張破断強度・伸度;延伸方向と直
角方向に10mm幅で切り出したシートをテンシロン引
っ張り試験機でチャック間距離50mm、引っ張り速度
300mm/minで測定して求めた。 (5)透湿度;JIS Z0208に準拠して測定。 (6)耐水圧;JIS L1093B法に準拠して測
定。
【0057】
【表2】
【0058】結晶核形成剤(c)(NA−11)を含有
する樹脂組成物から製造された実施例1〜3の多孔性シ
ートは、各物性の変化が小さく安定しており、且つ物性
バランスに優れたものであった。実施例1の多孔性シー
トを製造する樹脂組成物から結晶核形成剤(c)を除い
た樹脂組成物から製造された比較例1の多孔性シート
は、強度が非常に弱く、延伸時に透湿性を付与するのに
十分な延伸倍率に達する前に破断してしまった。実施例
1〜3の多孔性シートを製造する樹脂組成物中の結晶核
形成剤(c)をEC−1に代えた樹脂組成物から製造さ
れた比較例2〜4の多孔性シートは、EC−1の添加量
の振れによって各物性が大きく変化し、且つ物性のバラ
ンスは実施例1〜3の多孔性シートに比較して非常に劣
ったものであった。結晶核形成剤として二酸化チタンを
用いた組成物から製造された比較例5の多孔性シート
は、二酸化チタンの結晶核形成剤としての効果は非常に
低く、約3%まで添加量を増加しても、比較例1の多孔
性シートと同様に十分な延伸を行う前に破断してしまっ
た。
【0059】実施例4〜6及び比較例6〜8の多孔性シ
ートは、実施例1〜3及び比較例2〜4の多孔性シート
を製造する樹脂組成物中の有機化合物を代え、更に二酸
化チタンを結晶核形成剤としてでなく隠ぺい性を付与す
ることを目的として添加した組成物から製造された多孔
性シートである。実施例4〜6の多孔性シートは、物性
のバランスと、結晶核形成剤の添加量による振れに対す
る安定性にきわめて優れたものであり、優れた品質の多
孔性シートであった。比較例6〜8の多孔性シートは、
比較例2〜4の多孔性シートと同様、物性のバランスに
おいて劣ったものであった。
【0060】〔実施例7〜9及び比較例9〜11(吸収
性物品の実施例)〕実施例1〜3及び比較例2〜4で得
られた多孔性シートを裏面材に用い、表面材、吸収体、
裏面材及び止着テープからなる図1に示す吸収性物品と
しての使い捨ておむつ(ランディングテープを使用せ
ず)をそれぞれ製造した(順に実施例7〜9、比較例9
〜11とする)。
【0061】実施例7〜9、比較例9〜11の使い捨て
おむつを10人のモニターに対して使用テストを行っ
た。実施例6〜10の使い捨ておむつは、裏面材の風合
い(肌触り、柔軟性、カサカサ音が小さい)及びファス
ニングテープの付け剥がしが良好であり、ムレにくく、
かぶれにくいものであった。これに対し、比較例10の
使い捨ておむつはファスニングテープの付け剥がしによ
り裏面材の破れが生じた。また、比較例11の使い捨て
おむつは透湿性に劣るためムレやすく、かぶれやすいも
のであった。
【0062】
【発明の効果】本発明の多孔性シートは、通気性、透湿
性、及び耐水性を有するもので、しかも良好な風合い及
び高い強度(引裂強度及び引張破断強度が高い)とを有
しており、工業的に安全且つ高速で連続生産することの
出来る生産性に優れたものである。また本発明の吸収性
物品は、ランディングテープを使用しなくてもファスニ
ングテープの付け剥がしが可能なので、利便性に優れる
と共に経済的にも有利なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の吸収性物品としての使い捨て
おむつの1例を示す斜視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湯浅 治 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 酒井 吉弘 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリオレフィン樹脂(a)50〜
    90重量部、該結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の融点
    以上の温度では該結晶性ポリオレフィン樹脂(a)に対
    して混和性があり且つ該結晶性ポリオレフィン樹脂
    (a)の融点未満の温度では該結晶性ポリオレフィン樹
    脂(a)と相分離を起こす有機化合物(b)50〜10
    重量部、及び結晶核形成剤(c)0.01〜3重量部
    〔上記結晶性ポリオレフィン樹脂(a)100重量部に
    対する量〕からなる樹脂組成物の溶融混練物から成形し
    たシートを、少なくとも1つの方向に延伸してなる多孔
    性シートであって、 上記結晶核形成剤(c)は、芳香族系アルコールのリン
    酸エステルの金属塩であることを特徴とする多孔性シー
    ト。
  2. 【請求項2】 液透過性の表面材と、防漏性の裏面材
    と、これら両面材の間に配置される吸収体とからなる吸
    収性物品において、上記裏面材として、請求項1記載の
    多孔性シートを用いることを特徴とする吸収性物品。
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