JP3544041B2 - 多孔性シート及びその製造方法並びに該多孔性シートを用いた吸収性物品 - Google Patents

多孔性シート及びその製造方法並びに該多孔性シートを用いた吸収性物品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔性シート及びその製造方法並びに吸収性物品に関し、更に詳しくは、透湿性及び耐水圧性を有し、シート強度に優れ且つ吸収性物品等に用いた際に良好な使用感を有する多孔性シート及びその製造方法並びに該多孔性シートを用いた吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記多孔性シートの製造方法としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂100重量部中に40重量部以上の無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸して多孔性シートを得る方法が知られている。
【0003】
そして、上記の製造方法により得られた多孔性シートは、通気性及び透湿性に優れ且つ結露現象を生じないため、壁紙や包装用シート等に好適に用いられている。また、上記の優れた性質に更に柔軟性が付与された多孔性シートは、例えば、使い捨てオムツの裏面材等の吸収性物品の形成材料として好適に使用することができるので、上記オレフィン系樹脂として線状低密度ポリエチレンを用いる等して上記の優れた特性に加えて更に柔軟性を付与した多孔性シートも提案されている。
【0004】
しかし、上述の従来の多孔性シートでは、使い捨ておむつ等の吸収性物品の形成材料として用いるには、下記するような問題があった。
【0005】
例えば、一般に多用されている使い捨てオムツは、尿等の排泄物を吸収する吸収体と、該吸収体の表面を覆い肌に当てられる表面材と、上記吸収体を覆い液漏れを防ぐ裏面材とからなり、これらは接着されて一体化されている。また、上記使い捨てオムツは、更に、胴周部及び脚周部からの漏れを防ぐために上記胴周部及び脚周部に設けられた伸縮機能及び使用者に装着した時におむつを固定するために設けられたテープ等からなる止着機能を備えている。そして、上記多孔性シートは、上記裏面材として用いられている。
ここで、上記止着機能として設けられている上記テープ(通称ファスニングテープ)は、利便性から約25mm〜35mm幅のものが好ましく多用されているが、オムツの装着ミス又は着用中の排尿点検のために剥がそうとすると柔軟性を付与した裏面材は強度不足のため破れてしまい新しいオムツと交換せざるを得ない。このために、胴周腹部の裏面材に前もって剥離性を有する幅広いテープ(通称ランディングテープまたはターゲットテープ)を張り付けておき、オムツの装着時には上記ファスニングテープを該ランディングテープ等の上に貼ることにより繰り返し付け剥がしできるようになされている。
【0006】
しかし、上記ランディングテープを用いることは、▲1▼オムツ構成部材及び製造工程が多くなる点、▲2▼上記ランディングテープ等はオムツ素材の中でも高価なものであり、これを幅広く(多量に)用いることはコストアップに繋がる点、▲3▼幅広で用いても着用者の体型によってはファスニングテープがランディングテープ以外の部分、即ち裏面材に直接貼付くことがあり、上記の付け剥がしができなくなる場合がある点等多くの欠点がある。
【0007】
そこで、上記ランディングテープを省くために、高強度の多孔性シートとして、特開平5−98057号公報において、「特定のポリオレフィンに充填材と特定の可塑剤とラジカル発生剤とを配合してインフレーション成形し、更に引取方向に一軸延伸することにより得られる多孔性シート」が提案されている。
しかし、上記公報における多孔性シートは、従来の製法(オレフィン系樹脂に無機充填剤を溶融混練シート成形して延伸)により得られる上記多孔性シートに比べて、強度を2倍弱向上させてはいるものの、未だランディングテープを省くことができる程度の強度には至っていない。
更に、上記多孔性シートでは、ラジカル発生剤を使用しているが、該ラジカル発生剤を使用することにより、成形品の溶融流動特性が成形前の組成物のそれとは異なってしまうため、通常の実生産で行われている端部等次の加工に使われなかった部分のリサイクル成形が困難であり、生産性が劣るという問題もある。
【0008】
また、同様の目的で、特公平5−38011号公報には、「特定の結晶性ポリマーと特定の(該結晶性ポリマーと混和性である)化合物とを溶融ブレンドし、シート成形し、冷却過程で相分離を起こさせ、該シートを延伸することにより得られる微孔質シート」が提案されている。
しかし、上記公報における微孔質シートは、従来の製法(オレフィン系樹脂に無機充填材溶融混練シート成形して延伸)によって得られた上記多孔性シートに比べて、強度が2〜3倍に向上されてはいるものの、これでも未だランディングテープを省ける強度には至っていない(本発明者等の検討では従来の製法によって得られる上記多孔性シートの少なくとも4倍、好ましくは5倍の強度が必要である)。
【0009】
更に、上記公報における微孔質シートの製造方法では、上記多孔性シートの製造方法に比して、無機充填材の飛散による作業環境の汚染等の問題や、スクリューの磨耗、樹脂の焼けの発生を引き起こす原因となり、成形を中断して、成形機を頻繁に分解掃除しなければならず、工業的な生産性が著しく劣るという問題もある。
更に、かかる微孔質シートの製造方法では、使用される化合物の揮発温度が低いので、シート成形時に発煙による環境汚染や引火の危険性があるのみでなく、揮発物がダイリップに付着して通称「目ヤニ」と呼ばれている焼けの発生の原因ともなる。従って、成形を中断しての分解掃除が頻発して工業的に生産性が著しく劣るという問題があった。
更にまた、上記の裏面材には、肌に接触する吸収性物品の素材としてソフトな感触/風合いが重要視されるが、上記微孔性シートでは要求される強度、透湿性を保持しながら良好な風合いを得ることが出来ない。
【0010】
要するに、従来の多孔性シートは、吸収性物品の裏面材等として上記ランディングテープを省けるだけの十分な強度と良好な使用感との双方を満足するものではなく、これらの双方を満足する多孔性シートの開発が要望されているのが現状である。
【0011】
従って、本発明の目的は、柔軟で優れた風合いを有し、且つファスニングテープを付け剥しする時に破れない横引っ張り強度を有し、通気性、透湿性、及び耐水性を有するものであって、工業的に安全且つ高速で連続生産することの出来る生産性に優れた多孔性シート及びその製造方法並びにそれを用いた吸収性物品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するために、貫通した孔を有する領域と有しない領域とを具備し、リブを有しない多孔性シートが、上記目的を達成しうることを知見した。
【0013】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、結晶性ポリオレフィン50〜90重量部と、該結晶性ポリオレフィンの融点以上の温度では該結晶性ポリオレフィンに対し混和性があり溶解するが、該結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度では、該結晶性ポリオレフィンに対し相分離を起こす化合物50〜10重量部とを溶融混合して、該結晶性ポリオレフィンと該化合物とからなる樹脂組成物の溶融物を得、該溶融物からシートを形成し、次いで該シートを少なくとも一つの方向に延伸することによりシートの表面から裏面まで貫通した微細孔を形成させてなる多孔性シートであって、上記多孔性シートは、多数の上記微細孔を有する孔質領域と、上記微細孔を有しない非孔質領域とを具備し、リブを有しないことを特徴とする多孔性シートを提供するものである。
【0014】
また、本発明は、結晶性ポリオレフィン50〜90重量部と、該結晶性ポリオレフィンの融点以上の温度では該結晶性ポリオレフィンに対し混和性があり溶解するが、該結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度では、該結晶性ポリオレフィンに対し相分離を起こす化合物50〜10重量部とを溶融混合して、該結晶性ポリオレフィンと該化合物とからなる樹脂組成物の溶融物を得、該溶融物からシートを形成し、次いで該シートを少なくとも一つの方向に延伸することによりシートの表面から裏面まで貫通した微細孔を形成させてなる多孔性シートであって、上記多孔性シートは、多数の上記微細孔を有する孔質領域と、上記微細孔を有しない非孔質領域とを具備する多孔性シートの製造方法として、上記溶融物からシートを形成するシート形成工程と、得られたシートを少なくとも一つの方向に延伸するシート延伸工程とを具備してなり、上記シート形成工程は、シート状になされた上記溶融物又は形成されたシートを部分的に冷却速度に差異を設けて冷却する冷却工程を有することを特徴とする多孔性シートの製造方法を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、液透過性の表面材と、防漏性の裏面材と、これらの間に配置される吸収体とを具備してなる吸収性物品において、上記裏面材として上記多孔性シートを用いることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、先ず、本発明の多孔性シートについて詳述する。
本発明の多孔性シートの形成材料は、結晶性ポリオレフィン50〜90重量部と、該結晶性ポリオレフィンの融点以上の温度では該結晶性ポリオレフィンに対し混和性があり溶解するが、該結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度では、該結晶性ポリオレフィンに対し相分離を起こす化合物(以下、「化合物A」という)50〜10重量部とを溶融混合することにより得られる、該結晶性ポリオレフィンと該化合物Aとからなる樹脂組成物である。
【0017】
上記樹脂組成物に用いられる上記結晶性ポリオレフィンとしては、アイソタクチックポリプロピレン、ポリプロピレン−αオレフィンコポリマー、ポリプロピレン−ポリエチレンブロックポリマー、ポリエチレン−ポリプロピレンランダムコポリマー及びポリエチレンからなる群より選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。
【0018】
また、上記結晶性ポリオレフィンは、そのメルトインデックスが好ましくは3g/10分以下、更に好ましくは0.2〜3g/10分である。中でも一般に押出成形に用いられるメルトインデックスが0.2〜2g/10分の結晶性エチレンとプロピレンとのブロック共重合樹脂、該ブロック共重合樹脂及び/又はポリプロピレン樹脂とのブレンド品が特に好ましく用いられる。
ここで、上記メルトインデックスが3g/10分を超える結晶性ポリオレフィンを多孔性シートに用いると、該多孔性シートの引き裂き強度、引っ張り強度が低下して使い捨てオムツ等の裏面材としての必要な強度を得ることが難しくなり、また必要な強度を得るために該多孔性シートの厚みを厚くすることが考えられるが、該厚みを厚くすると該多孔性シートの透湿性が低下すると共にその製品のコストアップを招く。また、上記メルトインデックスが0.2g/10分未満の結晶性ポリオレフィンを多孔性シートに用いると、該多孔性シート成形時の押出成形で大きな動力を必要とする不都合が生じてくる。
【0019】
尚、上記メルトインデックスは、ASTM D−1238に準拠して、ポリプロピレン樹脂及びポリプロピレン系共重合樹脂は230℃、2.16Kgfで、ポリエチレン樹脂は190℃、2.16Kgfで測定した値をいう。
【0020】
上記樹脂組成物に用いられる上記化合物Aは、上記結晶性ポリオレフィンの融点以上の温度では上記結晶性ポリオレフィンに対して相溶性があり、且つ、上記結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度では上記結晶性ポリオレフィンと相分離を起こすものである。該化合物Aとしては、例えば鉱物油及び分子内にエステル結合を有する化合物を挙げることができる。
【0021】
上記鉱物油は、天然から採取され、低揮発分を除去された芳香族/脂環族/脂肪族からなる炭化水素、及びこれらを水素添加等により芳香族を除去した脂環族/脂肪族からなる炭化水素が用いられる。更にまた、合成鉱油と呼ばれるエチレン/αオレフィンオリゴマーが用いられる。
【0022】
また、上記の分子内にエステル結合を有する化合物としては、脂肪族若しくは芳香族の一塩基もしくは多塩基カルボン酸と脂肪族、脂環族もしくは芳香族の一価もしくは多価アルコールの各々組み合わせ、または分子内にヒドロキシル基とカルボキシル基の両方を有する化合物の組み合わせによる脱水縮合反応から得られるエステル化合物(つまり、モノ又はポリエステル)が挙げられる。
上記脂肪族及び芳香族カルボン酸としては、多塩基カルボン酸が好ましく、特に芳香族多塩基カルボン酸では芳香族ジカルボン酸、トリカルボン酸及びテトラカルボン酸が好ましく、例えばフタル酸、トリメリット酸及びピロメリット酸等が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸及びトリカルボン酸が好ましく、例えば、アジピン酸、セバチン酸若しくはクエン酸等が挙げられる。
上記アルコールとしては、一価のアルキルアルコール等が好ましく、例えば、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0023】
上記の分子内にエステル結合を有する化合物としては、特に、芳香族多塩基カルボン酸と一価のアルキルアルコールから得られるエステル化合物(つまり、モノ又はポリエステル)や、脂肪族多塩基カルボン酸と一価のアルキルアルコールから得られるエステル化合物(つまり、モノ又はポリエステル)が好ましい。
また、多価アルコール(特に多価のアルキルアルコール)とモノカルボン酸(特に脂肪族モノカルボン酸)とのエステル化合物(つまり、モノ又はポリエステル)も好ましく、具体的には例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール又はソルビタン等の多価アルコールと、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はオレイン酸等の脂肪族モノカルボン酸とから得られるエステル化合物等が好ましく挙げられる。
また、得られたエステル化合物がゲル化しない程度に少量のアジピン酸等ポリカルボン酸をエステルに加えることもできる。
更に、環境汚染防止、安全性の観点からは脂肪族カルボン酸と脂肪族アルコールから得られるポリエステルが好ましい。
【0024】
上記の分子内にエステル結合を有する化合物は、上記カルボン酸の1種又はそれ以上と上記アルコールの1種又はそれ以上から調製することができ、調製方法に特に制限されずに従来公知の如何なるエステル化方法も用いることができる。また、上記の分子内にエステル結合を有する化合物は、カルボン酸中のカルボキシル基及びアルコール中のヒドロキシル基のすべてが完全に反応したエステル化合物でなくてもよく、カルボン酸中のカルボキシル基及び/又はアルコール中のヒドロキシル基の一部が未反応のまま残された部分エステルであってもよい。
【0025】
また、上記化合物Aは、常圧での揮発温度が好ましくは240℃以上、更に好ましくは250℃以上であり、また、融点は好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
【0026】
本発明における上記樹脂組成物の溶融物のシート形成温度は、好ましくは180〜250℃、更に好ましくは190℃〜240℃であり、上記化合物Aの常圧での揮発温度が240℃未満であると、シート形成時に揮発物の発煙が生じ易くなる。該揮発物の発煙は環境汚染や引火の危険性があるのみでなく、揮発物がダイリップに付着して通称「目ヤニ」と呼ばれている焼け発生の原因となるため、シート成形を一旦中断してダイリップの分解掃除をたびたび行わねばならず、工業的な生産性が著しく劣る。
【0027】
また、上記化合物Aの融点が100℃以下であるのが好ましいのは、成形されたシートを延伸処理する時、該化合物Aが延伸温度で軟化又は溶融している方が、シートが容易に微多孔化するためである。
尚、本明細書で用いる「揮発温度」とは熱天秤を用い、窒素気流中(30ml/min)、昇温速度10℃/min、サンプル10mgで測定、加熱減量曲線を描き、その減量1%の温度を意味する。
【0028】
上記化合物Aの好ましい具体例としては、鉱物油としては石油各社から販売されている機械潤滑油、ゴム用プロセスオイル、繊維用流動パラフィン等が挙げられ、分子内にエステル結合を有する化合物としては、ジステアリルフタレート、トリオクチルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート、ジステアリルアジペート、ジステアリルセバテート、トリメチロールプロパントリラウレート、ペンタエリスリトールテトラカプレート等を挙げることができる。また、これらは結晶性ポリオレフィンの溶解度パラメーターと数単位以内の組み合わせから選ぶことができる。
【0029】
上記結晶性ポリオレフィンと上記化合物Aとの配合割合は、上記結晶性ポリオレフィン50〜90重量部に対して、上記化合物A50〜10重量部であり、好ましくは、上記結晶性ポリオレフィン65〜80重量部に対して、上記化合物A35〜20重量部である。
上記結晶性ポリオレフィンの配合割合が50重量部未満の場合には、樹脂組成物のシート成形性が劣り、且つ延伸処理して得られる多孔性シートが強度不足となり、しかも長時間保存中に該多孔性シートから上記化合物Aがブリードアウトする等実用性に欠ける。また、上記結晶性ポリオレフィンの配合割合が90重量部を超える場合には、延伸処理で十分な透湿度を満たす多孔性シートを得ることが出来ない。
【0030】
また、上記樹脂組成物には、必要に応じて充填剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤等通常の樹脂物性改良剤、核剤(結晶造核剤)等の添加剤を添加することができる。
上記充填剤としては、シート成形温度において溶融しないものであり、通常ゴムやプラスチック等に用いられる充填剤であれば特に制限されずに用いることができるが、例えば、炭酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、タルク、クレー、シリカ、酸化チタン、金属粉その他無機物または無機質を主体とする有機物金属塩や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂又はポリアクリル酸ソーダ等の熱硬化性樹脂の粒状物、粉状物等が挙げられる。
上記充填剤は、平均粒径が好ましくは20μm以下、更に好ましくは5nm〜5μmの範囲である粉粒体として用いることが好ましい。該平均粒径が20μmを超える場合には、得られるシートの引き裂き強度が低下する場合があるため好ましくない。また、5nm未満の場合には、実質的に延伸開孔性に寄与しない場合がある。
尚、上記充填剤として、シート形成温度で溶融するものを用いた場合には、成形シート中での必要とされる粒径に制御し難いので、本発明においては、シート形成温度において溶融しないものが用いられる。
【0031】
上記充填剤を添加した多孔性シートは、該充填剤を添加しない多孔性シートより低延伸倍率で開孔し、要求される透湿度が得られるため、シート強度、特に引き裂き強度が向上する。特に、エチレンとプロピレンとのブロック共重合樹脂、及び該ブロック共重合樹脂とポリエチレン樹脂とのブレンド品においては、該エチレン含量が多くなるに従って透湿度が低下するが、上記充填剤を添加することにより上述の効果を発現させることができる。
【0032】
また、上記安定剤、着色剤は、通常公知のものを特に制限されることなく用いることができ、更に、上記樹脂物性改良剤は、本発明の多孔性シートの基本物性に悪影響しない程度に少量用いることができる。
【0033】
更に、上記核剤は、その働きが重要であり、上記結晶性ポリオレフィンの市販品には、高剛性、ハイサイクルグレードを付与するため、該核剤が配合される。また、該核剤が配合されていなくても実質的に核剤機能を有するものであれば該核剤を配合しなくてもよい。上記「充填剤」も、その一部が該核剤機能を有する。該核剤が添加されていないもの及び添加されているが核剤機能の劣るものには、必要に応じて上記核剤を添加することが好ましい。
上記核剤は、通常公知の核剤を特に制限なく用いることができるが、例えば、プラスチックス(工業調査会発行)Vol.43 No.11、113〜116頁に「プラスチック配合剤の機能と効果=核剤」に記載の核剤が挙げられる。具体的には芳香族カルボン酸の金属塩(Al−PTBBA等)、ソルビトール系誘導体、有機リン酸塩(PTBNa)等高融点ポリマー核剤、無機系核剤としてのタルク等が挙げられる。
【0034】
上記添加剤の添加量は、上記樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは0.01〜21重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部である。
【0035】
本発明の多孔性シートは、上記樹脂組成物の溶融物を得、該溶融物からシートを形成し、次いで該シートを少なくとも一つの方向に延伸することによりシートの表面から裏面まで貫通した微細孔を形成させてなり、リブを有しないものである。
【0036】
而して、本発明の多孔性シートは、多数の上記微細孔を有する孔質領域と、上記微細孔を有しない非孔質領域とを有し、リブを有しないことを特徴とする。
【0037】
上記孔質領域は、多数の上記微細孔を有する、即ち、シートの表面から裏面まで貫通した微細孔を多数有する領域であり、該微細孔は、厚さ方向に沿って貫通していても、また該厚さ方向に沿わずに(例えば折れ線や曲線を描くような方向、斜め方向等に)貫通していてもよい。
【0038】
また、上記孔質領域は、多数の上記微細孔を有するため、透湿性を有しており、該孔質領域の透湿度は、好ましくは0.5〜4.0g/100cm・ hrであり、更に好ましくは0.5〜2.5g/100cm・ hrである。
【0039】
また、上記孔質領域の耐水圧は、好ましくは1.5mAq以上、更に好ましくは2.0mAq以上である。
【0040】
また、上記孔質領域は、引き裂き強度が好ましくは180gf/mm以上、更に好ましくは250gf/mm以上であり、また、引張破断強度が好ましくは110kgf/cm以上、更に好ましくは130kgf/cm以上である。
【0041】
また、上記孔質領域の平面形状は、所望の透湿度及び強度が得られれば任意である。
【0042】
また、上記非孔質領域は、上記微細孔を有しない領域であり、シートの厚み方向に連続している必要はなく、部分的であってもよい。
本発明においては、上記非孔質領域は、シートの縦方向又は横方向に所定間隔をおいて多列に存在することが好ましく、網目状に連続して又はMD方向若しくはCD方向に連続して存在することが更に好ましい。
【0044】
上記非孔質領域は上述のように上記微細孔を有しないため、該非孔質領域の透湿度は、好ましくは0.5g/100cm2 ・Hr未満である。従って、上記非孔質領域においては、例えば、吸収性物品のムレを防止する程度の透湿性は発現し得ない。
【0045】
また、上記非孔質領域の耐水圧は、好ましくは1.5mAq以上、更に好ましくは2.0mAq以上である。
【0046】
また、上記非孔質領域は、上記孔質領域に比して強度が高く、該非孔質領域の引き裂き強度は好ましくは250gf/mm以上、更に好ましくは330gf/mm以上であり、また、引張破断強度は好ましくは130kgf/cm以上、更に好ましくは150kgf/cm以上である。
【0047】
上記非孔質領域の平面形状は、所望の透湿度及び強度が得られれば任意である。
【0048】
本発明の多孔性シートは、その透湿度が好ましくは0.5〜4.0g/100cm・Hr、更に好ましくは1.0〜2.5g/100cm・Hrである。該透湿度が0.5g/100cm・Hr未満の場合には、吸収性物品の裏面材としてのムレ防止等の効果が劣り、また4.0g/100cm・Hrを超える場合には、耐水圧が低下し、防漏性が低下する傾向にあるので好ましくない。
【0049】
また、本発明の多孔性シートを使い捨てオムツ等の吸収性物品に使用する場合には、該多孔性シートの耐水圧は、好ましくは1.5mAq以上、更に好ましくは2.0mAq以上である。
【0050】
また、本発明の多孔性シートは、引き裂き強度が好ましくは180gf/mm以上、更に好ましくは250gf/mm以上、最も好ましくは330gf/mm以上であり、また、引張破断強度が好ましくは110kgf/cm以上、更に好ましくは130kgf/cm以上、最も好ましくは150kgf/cm以上である。
【0051】
上述のように、本発明の多孔性シートは、高強度でかつ十分な透湿を有している。従って、本発明の多孔性シートは、生理用ナプキン、使い捨てオムツ等の吸収性物品に裏面材として好適である他、フィルター、医療用材料、衣料用材料に用いることができる。
【0052】
本発明の多孔性シートについて、図1(a)〜(c)を参照して更に詳述する。
図1(a)は、図4(a)に示す平織りネットを使用して製造した本発明の多孔性シートの模式図である。図1(b)は、図1(a)に示す多孔性シートの拡大図であり、図1(c)は、図1(a)に示す多孔性シートのA−A拡大断面図である。尚、図1(b)及び(c)に示す微細孔は、本発明を説明するために、模式的に示したものである。
【0053】
図1(a)〜(c)に示す本発明の一実施形態の多孔性シート1は、多数の上記微細孔4を有し、正方形状に形成された複数の孔質領域2と、該孔質領域2を区切るように碁盤の目状に配され、網目状に連続して存在する上記微細孔4を有しない非孔質領域3とを有する。また、上記実施形態の多孔性シート1においては、上記孔質領域2及び上記非孔質領域3には、それぞれシートの表面から裏面まで貫通していない孔5が存在する。
【0054】
上記微細孔4は、図1(b)に示すように、上記孔質領域2に存在するものであり、また図1(c)に示すように、シートの表面から裏面まで貫通しているものである。
上記微細孔4の平均孔径及び密度は、上述した透湿度及び強度を満足すれば任意である。
【0055】
本発明の多孔性シート1において、上記孔質領域2が占める面積の割合は、シート全体に対して20〜80%であるのが好ましく、40〜60%であるのが更に好ましい。
【0056】
また、本発明の多孔性シ−ト1の厚さは、20〜55μmであるのが好ましく、30〜40μmであるのが更に好ましい。
【0057】
また、本発明の多孔性シートの他の態様を図2(a)及び(b)に示す。図2(a)は、図5(a)に示す開口部を有するスチールベルトを使用して製造した多孔性シートの模式図であり、図2(b)は、図5(b)に示す開口部を有するスチールベルトを使用して製造した多孔性シートの模式図である。
【0058】
図2(a)に示す本発明の多孔性シートは、多数の上記微細孔4を有し、長方形状に形成された複数の孔質領域2と、該孔質領域2を区切るようにあみだ状に配され連続して存在する上記微細孔4を有しない非孔質領域3とを有する。
また、図2(b)に示す本発明の多孔性シートは、多数の上記微細孔4を有し、六角形状に形成された複数の孔質領域2と、該孔質領域2を区切るように六角格子状に配され連続して存在する上記微細孔4を有しない非孔質領域3とを有する。
上記の図2(a)及び(b)に示す本発明の多孔性シートにおける上記孔質領域2及び上記非孔質領域3の構造、上記孔質領域2が占める上記の面積の割合、並びに多孔性シートの厚さ等については、上記の図1(a)に示す本発明の多孔性シートにおける場合と同様であるのが好ましい。
【0059】
次に、本発明の多孔性シートの製造方法について詳述する。
本発明の多孔性シートの製造方法は、上記溶融物からシートを形成するシート形成工程を行い、得られたシートを少なくとも一つの方向に延伸するシート延伸工程を行い、該シート形成工程において、シート状になされた上記溶融物又は形成されたシートを部分的に冷却速度に差異を設けて冷却する冷却工程を行うことにより実施することができる。
【0060】
上記冷却工程において、シート状になされた上記溶融物又は形成されたシートを部分的に冷却速度に差異を設けるというのは、具体的には、上記溶融物又はシートを所定の部分において上記結晶性ポリオレフィンの結晶をある程度の大きさまで成長させて、結晶化温度に達した時点で上記結晶性ポリオレフィンの結晶化及び相分離が起こるように上記結晶性ポリオレフィンの融点に達するまで徐々に冷却する部分を設けると共に、その他の部分において上記溶融物又はシートを上記結晶性ポリオレフィンの結晶成長を妨げ、微細結晶を形成させて、相分離がほとんど起こらず、且つ延伸しても貫通孔が生成せず、強度が非常に高くなるように急激に冷却する部分を設けて冷却を行うことをいう。
【0061】
上記の徐々に冷却する部分においては、冷却速度を、好ましくは15〜400℃/秒、更に好ましくは30〜200℃/秒である。
【0062】
また、上記の急激に冷却する部分においては、冷却速度を、好ましくは20〜800℃/秒、更に好ましくは20〜600℃/秒が望ましい。
【0063】
本発明の多孔性シートの製造方法は、具体的には、以下の▲1▼〜▲3▼の方法により実施するのが好ましい。
【0064】
▲1▼ 上記冷却工程は、平織り若しくは綾織りネット、又は開口部を有するスチールベルト若しくはドラム上に上記溶融物を流延することによって行う。
▲2▼ 上記冷却工程は、表面温度が10〜90℃の急冷部と表面温度が該急冷部に比して10〜100℃高い徐冷部とを有するキャスティングロール上に上記溶融物を流延することによって行う。
▲3▼ 上記シート形成工程は、上記溶融物を環状ダイスに供給して、チューブ状のシートに形成することにより行い、上記冷却工程は、チューブ状の上記シートの周方向に配置されたシート全面を冷却するエアリングを用いて行うと共に、a)該シートの周方向に所定間隔をおいて配置された、シートを部分的に且つ急速に冷却するエアノズルを用いて行うか、又はb)該シートの周方向に所定間隔をおいて配置された、シートを部分的に且つ急速に冷却する冷却バー若しくは冷却ロールに接触させることにより行う。
この場合、特に、上記環状ダイスは、その周方向に回転されるのが好ましく、また、上記エアリング及び/又は上記エアノズルを回転させるのが好ましい。
【0065】
更に具体的に、本発明の多孔性シートの好ましい製造方法(上記▲1▼〜▲3▼の方法)について、図3、図4(a)及び(b)、図5(a)及び(b)、図6、図7並びに図8を参照しながら説明する。
図3は、本発明の多孔性シートの製造方法に用いられる製造装置の一例を示す概略図であり、図4(a)は、図3に示す製造装置に用いられる平織りネットの拡大平面図であり、図4(b)は、図4(a)に示す平織りネットのB−B断面図であり、図5(a)及び(b)は、図3に示す製造装置に用いられる開口部を有するスチールベルトの拡大図であり、図6は、本発明の多孔性シートの製造方法に用いられる製造装置の他の例を示す概略図であり、図7は、図6に示す製造装置に用いられるキャスティングロールの拡大斜視図であり、図8は、本発明の多孔性シートの製造方法に用いられる製造装置の更に他の例を示す概略図である。
【0066】
まず、上記▲1▼の方法について、具体的に説明する。
上記▲1▼の方法に用いられる製造装置100は、図3に示すように、上記樹脂組成物の溶融物1”を押し出すTダイ11を備えた単軸押出機10と、押出された該溶融物1”を流延して冷却する冷却媒体としての平織りネット20と、該平織りネット20を冷却する冷却ロール40と、該冷却ロールを通過した該シート1’をMD方向(シート1’の流れに沿う方向、縦方向)に延伸するMD方向延伸機60と、該シート1’をCD方向(シート1’の流れと直角の方向、横方向)に延伸するCD方向延伸機70と、該シート1’を延伸して形成された多孔性シート1を巻取る巻き取り機80と、ガイドローラー50、51、52とからなる。
【0067】
ここで、上記平織りネット20は、図4に示すように、格子模様21と該格子模様21により形成された多数の開孔22とを有するものであり、該格子模様21は、それぞれ平行に且つ多列に(上記MD方向に対応する方向に向けて)配列された多数の線材23と、該線材23と直行するように且つ多列に(上記CD方向に対応する方向に向けて)該線材23に織り込まれた多数の線材24とからなる。また、上記平織りネット20は、ベルトコンベア状になされており、シート1’を矢印方向に搬送できるようになされている。
上記線材23、24の線ピッチ及び線幅(線径)は、所望の多孔性シートの孔質領域及び非孔質領域の形状に応じて任意であり、該線ピッチ及び線幅(線径)を適宜選定することにより、本発明の多孔性シートの透湿量と強度とを所望の値とすることができる。
また、上記線材23、24の形成材料は、上記溶融物が載置され、シート1’を形成するのに支障を来さないものであれば特に制限されないが、金属などが好ましく用いられる。
【0068】
上記単軸押出機10及びTダイ11のサイズや、上記平織りネット20の幅、長さは、所望の多孔性シートのサイズに応じて任意である。
【0069】
而して、本発明の多孔性シートの製造方法は、上記溶融物1”からシート1’を形成するシート形成工程と、得られたシート1’を少なくとも一つの方向に延伸するシート延伸工程とを具備してなり、上記シート形成工程が、シート状になされた上記溶融物1”又は形成されたシート1’を部分的に冷却効率に差異を設けて冷却する冷却工程を有するものである。
【0070】
上記製造方法を実施するには、図3に示すように、上記シート形成工程において、上記樹脂組成物を単軸押出機10に投入し、該樹脂組成物を溶融混合して溶融物1”を得、該溶融物1”をTダイ11から押し出し、冷却ロール40により冷却されている上記平織りネット20上に流延して冷却する上記冷却工程を行いシート1’を形成する。更に、上記シート延伸工程において、該シート1’をMD方向、CD方向、又はMD方向及びCD方向に延伸することにより行うことができる。
【0071】
詳細には、上記シート形成工程において、上記Tダイ11の設定温度は、190〜300℃とするのが好ましい。そして、押し出された上記溶融物1”は、上記コベア状の平織りネット20が矢印方向に転動することにより、矢印方向に搬送されてシート状に形成される。
この際、上記平織りネット20の速度は、シート1’の引き取り速度に対応しており、該引き取り速度は、5〜200m/分とするのが好ましい。
【0072】
また、上記冷却工程において、上記平織りネット20を冷却する上記冷却ロール40の温度は、0〜90℃であるのが好ましく、15〜40℃であるのが更に好ましい。
従って、上記平織りネット20の温度は、上記の急激に冷却する部分及び上記の徐々に冷却する部分の冷却速度が上記範囲となるように、線材23,24部分が0〜90℃であるのが好ましく、15〜40℃であるのが更に好ましい。
【0073】
更に、上記シート延伸工程において、得られたシート1’を冷却ロール40を通過させ、次いでガイドローラー50を介してMD方向延伸機60及びCD方向延伸機70に供給する。
上記MD方向延伸機60及び上記CD方向延伸機70のうち、何れか一方のみを稼働させれば、MD方向もしくはCD方向の何れか一方のみに延伸された多孔性シート1を得ることができ、両方を稼働させれば、両方向に延伸された多孔性シートを得ることができる。
ここで、上記延伸は、通常の延伸方法に従って行うことができ、延伸倍率は、MD方向、CD方向共に1〜4倍とするのが好ましい。
そして、延伸された多孔性シート1をガイドローラー51,52を介して、巻取機80で巻き取る等して種々の成形品の製造工程に供給することができる。
【0074】
このように、上記平織りネット20上に溶融物1”を押し出して、部分的に冷却効率に差異を設けて該溶融物1”を冷却することにより、該平織りネット20の格子模様21に対応した上記非孔質領域が形成され、該平織りネット20の開孔22に対応した上記孔質領域が形成された上記多孔性シート1が得られる。
【0075】
また、上記製造装置100においては、上記冷却媒体として、上記平織りネット20に代えて、図5(a)に示すあみだ状の構造を有するスチールベルト25又は図5(b)に示す六角形状のハニカム構造を有するスチールベルト25’や、表面にハニカム構造を有するドラムもしくは上記平織りネット20や上記スチールベルト25,25’をドラム状にしたものを用いてもよく、この場合においても、上記平織りネット20を用いた場合と同様の条件で行うことができる。
ここで、上記スチールベルト25は、図5(a)に示すように、多数の棒状の開口部26と該開口部26を囲むようにあみだ状に連続するスチール部28とを有するものである。また、上記スチールベルト25’は、図5(b)に示すように、多数の六角形状の開口部27と該開口部27を囲むようにあみだ状に連続するスチール部28’とを有するものである。
上記開口部26,27の開口率は、所望の多孔性シートの孔質領域及び非孔質領域の形状に応じて任意であり、該開口率を適宜選定することにより、本発明の多孔性シートの透湿量と強度とを所望の値とすることができる。
【0076】
また、上記スーチールベルト25,25’の温度は、上記の急激に冷却する部分及び上記の徐々に冷却する部分の冷却速度が上記範囲となるように、スチール部28,28’が0〜90℃であるのが好ましく、15〜40℃であるのが更に好ましい。
このように、上記スーチールベルト25,25’上に溶融物1”を押し出して、部分的に冷却効率に差異を設けて該溶融物1”を冷却することにより、該スーチールベルト25,25’のスチール部28,28’に対応した上記非孔質領域が形成され、該スーチールベルト25,25’の開口部26,27に対応した上記孔質領域が形成された上記多孔性シート1が得られる。
【0077】
次に、上記▲2▼の方法について、具体的に説明する。
上記▲2▼の方法に用いられる製造装置200は、図6に示すように、平織りネット20をキャスティングロール30に換え、またその周囲を換えた以外はほどんど該製造装置100と同様の装置である。即ち、該製造装置200は、上記樹脂組成物の溶融物1”を押し出すTダイ11を備えた単軸押出機10と、該単軸押出機10から押出された溶融物1”を流延して冷却を行うための冷却部材としてのキャスティングロール30と、該キャスティングロール30に溶融物1”を押しつける押しつけロール41と、該押しつけロール41を通過した該シート1’をMD方向に延伸するMD方向延伸機60と、該シート1’をCD方向に延伸するCD方向延伸機70と、該シート1’を延伸して形成された多孔性シート1を巻取る巻き取り機80と、ガイドローラー50、51、52とからなる。
【0078】
上記製造方法を実施するには、図6に示すように、上記シート形成工程において、上記樹脂組成物を単軸押出機10に投入し、該樹脂組成物を溶融混合して溶融物1”を得、該溶融物1”を、キャスティングロール30上に流延して冷却する上記冷却工程を行いシート1’を形成する。更に、上記シート延伸工程において、該シート1’をMD方向、CD方向、又はMD方向及びCD方向に延伸することにより行うことができる。
【0079】
詳細には、上記キャスティングロール30は、図7に示すように、円柱状のロールであり、その円周表面上に、表面温度が10〜90℃の急冷部31と表面温度が該急冷部31に比して10〜100℃、好ましくは20〜100℃、更に好ましくは30〜100℃高い徐冷部32とを有するものである。
上記急冷部31と上記徐冷部32との表面温度の差が10℃未満であると、上記孔質領域と上記非孔質領域とを有する多孔性シート1が得られず、また、100℃を超えると、溶融物1”の高温部分の冷却が不十分となり多孔性シート1の形成が安定しない場合がある。
また、上記急冷部31の形状や面積は、所望の多孔性シートの非孔質領域の形状に応じて任意であり、上記徐冷部32の形状や面積は、所望の多孔性シートの孔質領域の形状に応じて任意である。上記急冷部31と上記徐冷部32の形状や面積を適宜選定することにより、本発明の多孔性シートの透湿量と強度とを所望の値とすることができる。
【0080】
また、上記単軸押出機10及びTダイ11のサイズや、上記キャスティングロール30の幅、長さは、所望の多孔性シートのサイズに応じて任意である。
【0081】
また、上記Tダイ11の設定温度は、190〜300℃とするのが好ましい。そして、押し出された上記溶融物1”は、上記キャスティングロール30と押しつけロール41との間にTダイ11から押し出して供給し、該押しつけロール41により押しつけることによりシート1’を形成する。
この際、上記キャスティングロール30は、矢印方向に回転しており、押しつけロール41は矢印P方向に向けて圧力がかかるようになされている。
また、上記キャスティングロール30の回転速度は、シート1’の引き取り速度に対応しており、該引き取り速度は、5〜200m/分とするのが好ましい。
【0082】
上記キャスティングロール30の温度は、上記急冷部及び上記徐冷部の冷却効率が上記範囲となるように、急冷部31が10〜90℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのが更に好ましく、また、徐冷部32が20〜190℃であるのが好ましく、80〜120℃であるのが更に好ましい。
【0083】
得られたシート1’は、ガイドローラー50を介してMD方向延伸機60及びCD方向延伸機70に供給する。
上記シート延伸工程については、上記▲1▼の方法における場合と同様にして行うことができる。
【0084】
このように、上記キャスティングロール30上に溶融物1”を押し出して、部分的に冷却効率に差異を設けて該溶融物1”を冷却することにより、該キャスティングロール30の急冷部31に対応した上記非孔質領域が形成され、該キャスティングロール30の徐冷部32に対応した上記孔質領域が形成された上記多孔性シート1が得られる。
【0085】
更に、上記▲3▼の方法について、具体的に説明する。
上記▲3▼の方法に用いられる製造装置300は、図8に示すように、上記樹脂組成物の溶融物1”を押し出す環状ダイス12を備えた単軸押出機10と、該単軸押出機10から押出された溶融物1”を吹き上げてインフレーション形成したチューブ状のシート1’全面を冷却するエアリング42と、該シート1’を部分的に且つ急速に冷却するエアノズル43と、該エアリング42及び該エアノズル43により冷却されたチューブ状の該シート1’を供給して折り畳むガイド板90及びニップロール91と、更に該シート1’をMD方向に延伸するMD方向延伸機60と、該シート1’をCD方向に延伸するCD方向延伸機70と、該シート1’を延伸して形成された多孔性シート1を巻取る巻き取り機80と、ガイドローラー50、51、52とからなる。
【0086】
上記製造方法を実施するには、図8に示すように、上記シート形成工程において、上記樹脂組成物を環状ダイス12を有する単軸押出機10に投入し、該樹脂組成物を溶融混合して溶融物1”を得、得られた溶融物1”を該環状ダイス12に供給して吹き上げ、該環状ダイス12を矢印の方向に回転させて、シート1’をインフレーション形成してチューブ状にし、また、上記冷却工程において、チューブ状の該シート1’全面を、該シート1’の周方向に配置されたエアリング42である程度冷却した後、更に該シート1’をその周方向に所定の間隔をおいて配置されたエアノズル43によって部分的に且つ急速に冷却する。そして、冷却されたチューブ状の該シート1’をガイド板90及びニップロール91に供給して折り畳む。次いで、上記シート延伸工程において、該シート1’をMD方向、CD方向、又はMD方向及びCD方向に延伸することにより行うことができる。
【0087】
この際、上記シート形成工程において、上記単軸押出機10及び上記環状ダイス12のサイズや、該環状ダイス12の押出スリットやみぞの深さ等は、所望の多孔性シートのサイズに応じて任意である。
また、本発明においては、上記環状ダイス12は、その周方向に回転させながら上記シート1’を形成するのが好ましい。
【0088】
また、上記インフレーション形成におけるダイス設定温度は、190〜250℃とするのが好ましく、引取速度は5〜100m/分とするのが好ましい。
【0089】
また、上記冷却工程において、上記エアリング42及び上記エアノズル43の種類、大きさは、所望の多孔性シートの孔質領域及び非孔質領域の形状に応じて任意である。
【0090】
上記エアリング42による冷却は、上記徐冷部の冷却速度が上記範囲となるように、チューブ状の上記シート1’全面に、好ましくは0〜50℃、更に好ましくは0〜20℃のエアーを吹きつけることにより行うことができる。
このとき、該エアリング42により冷却されたチューブ状の上記シート1’の全面は、100〜200℃であるのが好ましく、110〜150℃であるのが更に好ましい。
【0091】
また、上記エアノズル43による冷却は、上記急冷部の冷却速度が上記範囲となるように、チューブ状の上記シート1’に、好ましくは−20〜50℃、更に好ましくは0〜20℃のエアーを部分的に且つ急速に吹きつけることにより行うことができる。
このとき、該エアノズル43により部分的に且つ急速に冷却されたチューブ状の上記シート1’における急冷部は、50〜160℃であるのが好ましく、50〜100℃であるのが更に好ましい。
【0092】
上記エアリング42及び上記エアノズル43による上記エアーの温度を上記の範囲とすることにより、本発明の多孔性シートの透湿量と強度とを所望の値とすることができる。
【0093】
また、上記冷却工程においては、上記エアリング42及び/又は上記エアノズル43を回転させながら上記シート1’を形成するのが好ましく、これにより、MD方向に対して所定の角度を有する上記非孔質部分を形成することができ、特に多孔性シートの横強度(MD方向の強度)を向上させることができる。また、上記エアノズル43を上記冷却ロール又は上記冷却バーに代えて行う場合にも、これらを回転させながら上記シート1’の形成を行うのが好ましい。
【0094】
また、上記シート延伸工程については、上記▲1▼の方法における場合と同様にして行うことができる。
【0095】
このように、上記エアノズル43によってチューブ状の上記シート1’を、部分的に且つ急速に冷却することにより、該エアノズル43によってできた急冷部分に対応した上記非孔質領域が形成され、該急冷部分以外の部分に対応した上記孔質領域が形成された上記多孔性シート1が得られる。
【0096】
また、上記製造装置300においては、上記a)で用いられる上記エアノズル43に代えて、上記b)で用いられる冷却バー又は冷却ロールを用いてチューブ状の上記シート1’を部分的に且つ急速に冷却することができ、該冷却バー又は冷却ロールは、チューブ状の上記シート1’の周方向に配置して該シート1’に接触させることにより行うことができる。この場合にも、上記エアノズル43を用いた場合と同様の条件により行うことができる。
上記冷却バー又は冷却ロールを用いる際の該冷却バー又は冷却ロールの温度は、上記急冷部の冷却速度が上記の範囲となるように、−20〜90℃とするのが好ましく、0〜50℃とするのが更に好ましい。
また、上記冷却バー又は冷却ロールの温度を上記の範囲とすることにより、本発明の多孔性シートの強度を所望の値とすることができる。
【0097】
次に、本発明の吸収性物品について詳述する。
本発明の吸収性物品は、液透過性の表面材と、防漏性の裏面材と、これらの間に配置される吸収体とを具備してなる。このような構成及び上記表面材及び上記吸収体の形成材料等は従来公知の構成及び形成材料と同様である。
而して、本発明の吸収性物品においては、上記裏面材として上記の本発明の多孔性シートが用いられている。
尚、本発明の吸収性物品としては、例えば、使い捨てオムツ、失禁ブリーフ、生理用ナプキン等が挙げられ、上記多孔性シートは、吸収性物品の用途に応じて所望の形状として用いられる。
【0098】
本発明の吸収性物品を使い捨てオムツとして用いる場合、該使い捨てオムツは、尿等の排泄物を吸収する吸収体と、該吸収体の表面を覆い肌に当てられる表面材と、上記吸収体を覆い液漏れを防ぐ裏面材とからなり、これらは接着して一体化されている。また、上記使い捨てオムツは、胴周部、脚周部からの漏れを防ぐ為に設けられた伸縮機能及びオムツを装着した時に背側胴周部と腹側胴周部とを止着する止着テープ等からなる止着機能を備えている。該止着テープは、利便性から約25mm幅のものが好ましく多用されている。
【0099】
上記使い捨てオムツに使用される上記裏面材は、その厚さが、通常、オムツに必要な柔軟性、オムツの組立加工時に必要なシートの腰、裏面材を用いている安心感から20μm以上、特に30μm以上とするのが好ましく、一方、オムツに必要な柔軟性、コスト面から55μm以下、特に40μm以下とするのが好ましい。
従って、上記使い捨てオムツに使用される上記裏面材の厚さは、20〜55μmであるのが好ましく、30〜40μmであるのが更に好ましい。
【0100】
また、上記使い捨てオムツに使用される上記裏面材は、いわゆるランディングテープを省いてファスニングテープを直接上記裏面材に付け剥がしするための強度が必要である。該裏面材の引き裂き強度は、使用されるシート厚さにおいて好ましくは10gf以上、更に好ましくは14gf以上、最も好ましくは18gf以上である。従って、厚さ55μmで10gfに耐えるためには、上記裏面材に182gf/mmの引き裂き強度が必要となる。
また、該裏面材の引張破断強度は、シート幅1cm当たり好ましくは500gf以上、更に好ましくは600gf以上、最も好ましくは700gf以上である。従って、厚さ35μmで1cm当たり500gfに耐えるためには、上記裏面材に143kgf/cm以上の強度が必要となる。
【0101】
このように、上記使い捨てオムツに使用される裏面材は、その引張破断強度が上述のように500gf以上となることにより十分な強度を有することになる。従って、上記ランディングテープを使用する必要がなくなるので、オムツの装着ミスが生じず、また着用中に排尿点検の為に剥がした場合でも、裏面材が破れることはない。また、上記裏面材は、その透湿度が上述した本発明の多孔性シートの透湿度の範囲にあれば、ムレ等が生じず、快適な着用感を維持できる。
【0102】
【実施例】
以下、本発明の多孔性シートについて、実施例及び比較例により、具体的に説明する。尚、特にことわりのない限り、「部」は「重量部」のことを示す。
【0103】
実施例1
下記〔配合組成〕に示す組成物を用い、下記〔二軸混練押出機〕により溶融混練を行ってフィラメント状に押出し、これをカッティングして、ペレットとした後、Tダイを取り付けた。下記〔単軸押出機〕に供給して、再溶融し、シート成形をした。この時、上記二軸混練押出機のホッパーより「樹脂」と「粒状物」を供給し、樹脂が可塑化し、粒状物が分散している押出機の中腹部から、「化合物」を定量ポンプで圧入した。尚、製造装置としては、図3に示す製造装置100(冷却媒体としてスチールベルトを使用)を用いた。
【0104】
〔配合組成〕
・ホモポリプロピレン XF1932(チッソ石油化学(株)製);44.2部
・ブロックポリプロピレン WT6052(チッソ石油化学(株)製);19.8部
・酸化チタンマスターバッチ(濃度60%)(東洋インキ製造(株)製);5部
・プロセスオイル PW380(出光興産(株)製);31部
〔二軸混練押出機〕;PCM45(φ43mm、L/D=30)(株)池貝製
〔単軸押出機〕;YE50(φ50mm、L/D=28)(株)山口製作所製
【0105】
Tダイから押し出した上記溶融物を、温度30℃の開口部を有するスチールベルト上に流延することによって冷却を行い、さらにMD方向に1.5倍延伸することによって厚み35ミクロンの多孔性シートを得た。尚、上記スチールベルトとしては、図5(b)に示す六角形状のハニカム構造を有するスチールベルト25’を用いた。また、その開口率は51%であった。
そして、得られた多孔性シートについて、下記1)〜4)の評価を行った。その結果を下記〔表1〕に示す。
【0106】
〔評価及び評価基準〕
1)透湿度:JIS ZO 208に準拠して測定した。
2)耐水圧:JIS L 1093B法に準拠して測定した。
3)引っ張り強度:得られた多孔性シートを、延伸方向と該延伸方向に対して直角方向にそれぞれ10mm幅で切り出し、テンシロン引張試験機にかけ、チャック間50mm、引張速度300mm/分にて測定した。
4)引裂強度:得られた多孔性シートの60mm×30mmの切片を、その長片がシートの延伸方向に等しくなるように切り出し、さらに上記切片の中心から短片の一端まで剃刀の刃で長辺に並行に切り込みを入れ試料とした。次いで、テンシロン引張試験機を用い、該試料の切り込みにより形成された2つの末端をチャックに固定して、試料をT字とし、引張速度300mm/minにてシート延伸方向への引き裂き測定を行い、得られた測定チャートから平均の荷重を求め引裂強度とした。
【0107】
比較例1
実施例1と同様にして、Tダイから押し出した上記溶融物を、温度30℃の開口部の無いスチールベルト上に流延することによって冷却を行い、さらにMD方向に1.5倍延伸することによって厚み35ミクロンの多孔性シートを得た。得られた多孔性シートについて、実施例1と同様にして評価した。その結果を〔表1〕に示す。
【0108】
比較例2
実施例1と同様にして、Tダイから押し出した上記溶融物を、温度95℃の開口部の無いスチールベルト上に流延することによって冷却を行い、さらにMD方向に1.5倍延伸することによって厚み35ミクロンの多孔性シートを得た。得られた多孔性シートについて、実施例1と同様にして評価した。その結果を〔表1〕に示す。
【0109】
【表1】
Figure 0003544041
【0110】
【発明の効果】
本発明の多孔性シートは、透湿性及び耐水圧性を有し、シート強度に優れ且つ吸収性物品等に用いた際に良好な使用感を有するものである。
また、本発明の多孔性シートの製造方法によれば、上記多孔性シートを容易に製造することができる。
また、本発明の吸収性物品は、上記多孔性シートを裏面材として用いているのでテープ止着部に補強テープがなくても、使用時にテープ等により接着固定しても、着用中又は着脱中に該シートが破れることがなく、またテープをどの位置にも付け剥がしができるため使用感に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、図4(a)に示す平織りネットを使用して製造した本発明の多孔性シートの模式図であり、図1(b)は、図1(a)に示す多孔性シートの拡大平面図であり、図1(c)は、図1(a)に示す多孔性シートのA−A拡大断面図である。
【図2】図2(a)は、図5(a)に示す開口部を有するスチールベルトを使用して製造した本発明の多孔性シートの模式図であり、図2(b)は、図5(b)に示す開口部を有するスチールベルトを使用して製造した本発明の多孔性シートの模式図である。
【図3】図3は、本発明の多孔性シートの製造方法に用いられる製造装置の一例を示す概略図である。
【図4】図4(a)は、図3に示す製造装置に用いられる平織りネットの拡大平面図であり、図4(b)は、図4(a)に示す平織りネットのB−B断面図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、図3に示す製造装置に用いられる開口部を有するスチールベルトの拡大平面図である。
【図6】図6は、本発明の多孔性シートの製造方法に用いられる製造装置の他の例を示す概略図である。
【図7】図7は、図6に示す製造装置に用いられるキャスティングロールの拡大斜視図である。
【図8】図8は、本発明の多孔性シートの製造方法に用いられる製造装置の更に他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 多孔性シート
1’ シート
1” 溶融物
2 孔質領域
3 非孔質領域
4 微細孔
5 孔
10 単軸押出機
11 Tダイ
12 環状ダイス
20 平織りネット
21 格子模様
22 開孔
23,24 線材
25,25’スチールベルト
26,27 開口部
28,28’スチール部
30 キャスティングロール
31 急冷部
32 徐冷部
40 冷却ロール
41 押しつけロール
42 エアリング
43 エアノズル
50,51,52 ガイドローラー
60 MD方向延伸機
70 CD方向延伸機
80 巻取機
90 ガイド板
91 ニップローラー
100 前記▲1▼の方法に用いられる製造装置
200 前記▲2▼の方法に用いられる製造装置
300 前記▲3▼の方法に用いられる製造装置

Claims (10)

  1. 結晶性ポリオレフィン50〜90重量部と、該結晶性ポリオレフィンの融点以上の温度では該結晶性ポリオレフィンに対し混和性があり溶解するが、該結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度では、該結晶性ポリオレフィンに対し相分離を起こす化合物50〜10重量部とを溶融混合して、該結晶性ポリオレフィンと該化合物とからなる樹脂組成物の溶融物を得、該溶融物からシートを形成し、次いで該シートを少なくとも一つの方向に延伸することによりシートの表面から裏面まで貫通した微細孔を形成させてなる多孔性シートであって、上記多孔性シートは、多数の上記微細孔を有する孔質領域と、上記微細孔を有しない非孔質領域とを具備し、リブを有しないことを特徴とする多孔性シート。
  2. 上記非孔質領域は、網目状に連続して又はMD方向若しくはCD方向に連続して存在することを特徴とする請求項1記載の多孔性シート。
  3. 上記多孔性シートは、その透湿度が0.5〜4.0g/100cm・ hrであることを特徴とする請求項1記載の多孔性シート。
  4. 結晶性ポリオレフィン50〜90重量部と、該結晶性ポリオレフィンの融点以上の温度では該結晶性ポリオレフィンに対し混和性があり溶解するが、該結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度では、該結晶性ポリオレフィンに対し相分離を起こす化合物50〜10重量部とを溶融混合して、該結晶性ポリオレフィンと該化合物とからなる樹脂組成物の溶融物を得、該溶融物からシートを形成し、次いで該シートを少なくとも一つの方向に延伸することによりシートの表面から裏面まで貫通した微細孔を形成させてなる多孔性シートであって、上記多孔性シートは、多数の上記微細孔を有する孔質領域と、上記微細孔を有しない非孔質領域とを具備する多孔性シートの製造方法であって、上記溶融物からシートを形成するシート形成工程と、得られたシートを少なくとも一つの方向に延伸するシート延伸工程とを具備してなり、上記シート形成工程は、シート状になされた上記溶融物又は形成されたシートを部分的に冷却速度に差異を設けて冷却する冷却工程を有することを特徴とする多孔性シートの製造方法。
  5. 上記冷却工程は、平織り若しくは綾織りネット、又は開口部を有するスチールベルト若しくはドラム上に上記溶融物を流延することによって行うことを特徴とする請求項4記載の多孔性シートの製造方法。
  6. 上記冷却工程は、表面温度が10〜90℃の急冷部と表面温度が該急冷部に比して10〜100℃高い徐冷部とを有するキャスティングロール上に上記溶融物を流延することによって行うことを特徴とする請求項4記載の多孔性シートの製造方法。
  7. 上記シート形成工程は、上記溶融物を環状ダイスに供給して、チューブ状のシートに形成することにより行い、上記冷却工程は、チューブ状の上記シートの周方向に配置されたシート全面を冷却するエアリングを用いて行うと共に、a)該シートの周方向に所定間隔をおいて配置された、シートを部分的に且つ急速に冷却するエアノズルを用いて行うか、又は該シートの周方向に所定間隔をおいて配置された、シートを部分的に且つ急速に冷却する冷却バー若しくは冷却ロールに接触させることにより行う、ことを特徴とする請求項4記載の多孔性シートの製造方法。
  8. 上記環状ダイスは、その周方向に回転されることを特徴とする請求項7記載の多孔性シートの製造方法。
  9. 上記エアリング及び/又は上記エアノズルを回転させることを特徴とする請求項7記載の多孔性シートの製造方法。
  10. 液透過性の表面材と、防漏性の裏面材と、これらの間に配置される吸収体とを具備してなる吸収性物品において、上記裏面材として請求項1〜3記載の多孔性シートを用いることを特徴とする吸収性物品。
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