JP3556304B2 - 多孔性シート及びその製法並びにそれを用いた吸収性物品 - Google Patents

多孔性シート及びその製法並びにそれを用いた吸収性物品 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、多孔性シート及びその製法並びにそれを用いた吸収性物品に関するものであり、詳しくは、伸縮性に優れ、且つ透湿性、耐水圧性等を有する多孔性シート及びその製法並びにそれを用いた吸収性物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、多孔性シートの製造方法として、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に40重量%以上の無機充填材を混合しシート状に成形した後、一軸または二軸方向に延伸する方法が知られている。このようにして得られた多孔性シートは、通気性及び透湿性に優れ結露現象を生じないため壁紙や包装用シート等に好適に用いられている。また、このような多孔性シートの優れた性質に更に柔軟性を付与することにより、これを例えば、使い捨てオムツ、生理用ナプキン等の吸収性物品の裏面材等に用いること等が提案されている。
【0003】
一般に多用されている使い捨てオムツは、尿等の排せつ物を吸収する吸収体と、該吸収体の表面を覆い肌に当てられる表面材と、上記吸収体を覆い液漏れを防ぐ裏面材とからなり、これらは接着して一体化されている。また、装着した時に止着するテープ等からなる止着機能及び胴周部、脚周部からの漏れを防ぐ為に設けられた伸縮機能を備えている。この伸縮機能は通常ゴム糸、ゴムテープ等を伸長しながら表面材または裏面材に接着して、吸収体が吸収しきれなかった尿等の排せつ物をオムツの外側に漏らさないように、また、止着機能を補助べくオムツの縁部を人体に密着させるようになっている。
【0004】
しかしながら、上記縁部で漏れを防ぐにはゴム等により強い収縮力を付与しなければならず、人体、特に幼児の肌を強く圧迫して、かゆみや痛みを与えるという問題がある。更に、ゴム等による強い収縮力は、透湿性の無い裏面材を用いたオムツではムレてかぶれを促進させる原因となっている。
【0005】
このため、裏面材の全体に或は部分的に伸縮性を付与した、縁部の収縮力を必要以上に強くすることなく、或は該縁部にゴムのような弾性部材を用いることなく、弱い(優しい)収縮力でオムツを人体にフィットさせ、尿等の排泄物のオムツ外への漏れを防ぐことができる、使い捨てオムツの開発が要望されている。
【0006】
本発明者らは、先に特願平5−170389号により、伸縮性に優れ、且つ、透湿性で耐水圧性に優れた多孔性シートの製法として、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーに充填材を混合しシート状に成形した後、これを延伸する方法を提案した。同様に伸縮性を有する透湿シートとして特開平5−310980号公報において、常温でゴム状弾性を示す高分子物質(A)100重量部と、この高分子物質(A)に対して相溶性の乏しい熱可塑性樹脂(B)10〜100重量部を溶融混練して製膜したフィルムまたはシートを、高分子物質(A)及び熱可塑性樹脂(B)の溶融点よりも低い温度で延伸する方法が提案されている。
しかし、上述の多孔性シートは透湿性域と伸縮性域が同じ領域内のため、伸ばされている時(張力がかかっている)と、伸ばされていない時の透湿性、耐水圧が異なり、伸ばされた時は耐水圧が下がり(防漏性が劣り)、伸ばされていない時は透湿性が劣る欠点を有する。
【0007】
従って、本発明の目的は、伸縮性に優れ、且つ透湿性、耐水圧性等を有する多孔性シート及びその製法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、吸収した体液を漏らさずに気化放出して、ムレることが無く、優しい装着性と快適な装着感を与える吸収性物品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記した如き方法に準じポリオレフィン系樹脂、充填材及び柔軟剤よりなる組成物と熱可塑性エラストマーとから、特に伸縮性に優れ、且つ透湿性、耐水性(防漏性)に優れた多孔性シートを生産性よく得る目的で種々検討した結果、特定の機能を有する2種の領域を交互に配した多孔性シートが上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、伸縮性を有しないが透湿性を有する領域(a)と、透湿性は有しないが伸縮性を有する領域(b)とを共押出成形によって交互に多列状に配したことを特徴とする多孔性シートを提供することにより上記目的を達成したものである。
【0010】
また、本発明は、上記多孔性シートの好ましい製法として、上記領域(a)の形成材料及び上記領域(b)の形成材料を用い、共押出成形によって上記領域(a)及び上記領域(b)が交互に配された多列シートに成形し、該多列シートを延伸することを特徴とする多孔性シートの製法を提供するものである。
【0011】
更に、本発明は、液透過性の表面材と、防漏性の裏面材と、これら両面材の間に配置される吸収体からなる吸収性物品において、上記裏面材として、本発明の上記多孔性シートを用いることを特徴とする吸収性物品を提供することにより、上記の別の目的を達成したものである。
【0012】
以下、本発明の多孔性シートについて説明する。
上記多孔性シート全体の透湿性は、0.4〜4g/100cm・hrであることが好ましく、特に好ましくは0.8〜3g/100cm・hrである。透湿度がこれ未満では本発明の多孔性シートを吸収性物品に用いた際にムレが生じ、透湿度がこれを超えると耐水圧が落ちる可能性があるので上記範囲内とするのが好ましい。
また、上記多孔性シートは、耐水圧(JIS L−1092)が約2m以上であるのが好ましい。
【0013】
本発明の多孔性シートを構成する前記領域(a)は、多孔性シートに透湿性及び耐水圧性等を付与する領域であり、上記領域(a)の透湿性は0.5〜6.0g/100cm・Hrであるのが好ましい。
【0014】
上記領域(a)の形成材料としては、透湿性シートを形成する材料であれば特に制限はなく、例えば熱可塑性樹脂と無機充填剤とから成る組成物等を使用することができるが、下記組成物▲1▼〜▲3▼が特に好ましく用いられる。
組成物▲1▼:ポリオレフィン樹脂100重量部、充填剤50〜400重量部及び柔軟化剤0.1〜20重量部からなる組成物。
組成物▲2▼:結晶性ポリオレフィン65〜90重量部と、該結晶性ポリオレフィンの融点以上の温度では、該結晶性ポリオレフィンに対し混和性があり溶解するが、該結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度では、該結晶性ポリオレフィンに対し相分離を起こす化合物35〜10重量部とを溶融混練することにより得られる組成物。
組成物▲3▼:ポリオレフィン樹脂100重量部と、該ポリオレフィン樹脂に対し非相溶性の熱可塑性樹脂10〜100重量部とを溶融混練することにより得られる組成物。
【0015】
以下、上記組成物▲1▼〜▲3▼について詳細に説明する。
先ず、上記組成物▲1▼について、説明する。
上記組成物▲1▼に用いられる上記ポリオレフィン樹脂としては、オレフィンのホモポリマー又はコポリマーやオレフィンと他のモノマーとのコポリマーを使用することができる。オレフィンとしてはエチレン又はプロピレンが好適に使用される。上記ポリオレフィン樹脂としては、具体的には、特に高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンが好ましく用いられ、なかでも密度が0.910〜0.940g/cmでメルトフローレート(MFR)が0.1〜5g/10分の線状低密度ポリエチレンが好ましく用いられる。
また、上記ポリオレフィン樹脂としては、上記のホモポリマーやコポリマーを2種類以上配合して用いることも好ましい。特に、結晶性ポリオレフィンと、X線による結晶化度5〜25%で且つ密度0.86〜0.90g/cmである(エチレン−α−オレフィン)コポリマーとの配合物は、得られる多孔性シートに柔軟性が付与され、特に引っ張り・引き裂き強度に優れるので、好ましく用いられる。また、上記(エチレン−α−オレフィン)コポリマーの配合量は、一般に結晶性ポリオレフィン100重量部に対して20〜100重量部の割合である。尚、上記ポリオレフィン樹脂には、上記ポリオレフィン樹脂の特性を失わない範囲で上述のポリオレフィン以外の他の樹脂を配合してもよい。
【0016】
上記組成物▲1▼に用いられる上記充填剤としては、通常、ゴム又はプラスチック中に混合される充填剤であれば特に制限されずに用いることができるが、例えば、炭酸カルシウム、石膏、硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、水和けい酸、無水ケイ酸、ソーダ灰、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、各種セメント、火山灰、シラス、酸化チタン、酸化鉄及びカーボンブラックのような無機充填剤;種々の金属粉;その他の無機物及び無機物を主体とする有機金属塩等が挙げられる。また、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びポリアクリル酸ソーダ等の熱硬化性樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリアクリル酸エステル等の熱可塑性樹脂を放射線等で架橋した樹脂;或いは融解温度が多孔性シートの成形温度よりも高い樹脂のようなポリマーを用いることもできる。
上記充填剤は、平均粒径が、好ましくは50μm以下、更に好ましくは0.05〜30μmの範囲、最も好ましくは0.1〜5μmの範囲である粉粒体として用いることが望ましい。平均粒径がこれを超える場合には、得られる透湿性シートの孔の緻密性が低下し、また平均粒子径がこれ以下の場合には、延伸ムラが生じ易く良好な透湿性シートが得られないので上記範囲内とするのが好ましい。
【0017】
上記ポリオレフィン樹脂と上記充填剤との配合割合は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して充填剤が50〜400重量部、好ましくは60〜300重量部であるのが望ましい。充填剤がこれ未満では、得られる透湿性シートに形成される連通孔の数が少なくなるため透湿性が小さくなり、充填剤がこれを超えると、シートの成形及び延伸が困難になる。
【0018】
上記組成物▲1▼に用いられる柔軟化剤としては、通常ゴムやプラスチックに配合される可塑剤や滑剤を使用することができ、例えば、脂肪酸と脂肪族アルコールとからなるモノエステル、芳香族カルボン酸と脂肪族アルコールとからなるモノエステル又はポリエステル、脂肪族ポリカルボン酸とポリアルコールとからなるポリエステル、モノカルボン酸及び/又はポリカルボン酸とモノアルコール及び/又はポリアルコールとからなるポリエステル、アルコール及び/又はカルボン酸の一部を残したエステル又はポリエステル、脂肪族アミド、芳香族アミド、脂肪酸の金属石鹸、芳香族カルボン酸の金属石鹸、ブタジエンオリゴマー、ブテンオリゴマー、イソブチレンオリゴマー、イソプレンオリゴマー、石油樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、塩素化パラフィン、シリコーン油、流動パラフィン、ポリエチレンワックスが挙げられる。
【0019】
上記ポリオレフィン樹脂と上記柔軟化剤との配合割合は、上記柔軟化剤と上記ポリオレフィン樹脂との親和性、上記柔軟化剤と上記充填剤との親和性及び多孔性シートに要求される柔軟性によって任意であるが、上記ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、上記柔軟化剤を好ましくは0〜20重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部である。柔軟化剤が20重量部より多くなると多孔性シート表面に柔軟化剤がブリードアウトしてベタツキが生じるため上記範囲とするのが好ましい。
【0020】
次に、上記組成物▲2▼について説明する。
上記組成物▲2▼に用いられる上記結晶性ポリオレフィンは、主にポリプロピレン樹脂からなるが、その他にプロピレンとエチレンとの共重合樹脂や、プロピレンとエチレン及び/又は結晶性を阻害しない程度含まれる他のビニルモノマーとの共重合樹脂でもよい。また、ポリプロピレン樹脂またはエチレン、プロピレン共重合樹脂とポリエチレン樹脂のブレンド系でもよい。
また、上記結晶性ポリオレフィン樹脂は、そのメルトインデックスが好ましくは5g/10分以下、更に好ましくは0.2〜4g/10分である。中でも一般に押出成形に用いられるメルトインデックスが0.2〜3g/10分の結晶性ポリプロピレン樹脂、結晶性エチレン−プロピレン共重合樹脂、及び、これらの樹脂とポリエチレン樹脂とのブレンド系が特に好ましく用いられる。特に風合いと強度(降伏点強度)との観点から吸収性物品の裏面材として用いる場合には、エチレン−プロピレンブロック共重合樹脂、該樹脂及び/またはポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂とのブレンド系が好ましい。このようなブレンド系において、エチレンとプロピレンとのモノマー換算重量比(エチレン重量/プロピレン重量)が4/96〜40/60の結晶性樹脂組成が最も好ましい。また、上記の如き重合体(樹脂)あるいは共重合体(共重合樹脂)を2種以上混用することもできる。
【0021】
上記結晶性ポリオレフィンのメルトインデックスが5g/10分より大きいものを多孔性シートに用いると、その強度が低下して使い捨てオムツ等の裏面材としての必要な強度を得ることが難しくなる。また必要な強度を得るために多孔性シートの厚みを厚くすることが考えられるが、厚くするとその透湿性が低下すると共にその製品のコストアップを招く。また、上記結晶性ポリオレフィンのメルトインデックスが0.2g/10分に満たない場合は、そのシート成形時の押出成形で大きな動力を必要とする不都合が生じてくる。
尚、上記メルトインデックスは、ASTM D−1238に準拠して、ポリプロピレン樹脂及びポリプロピレン系共重合樹脂は230℃、2.16Kgfで、ポリエチレン樹脂は190℃、2.16Kgfで測定した値である。
【0022】
上記組成物▲2▼に用いられる上記化合物は、上記結晶性ポリオレフィンの融点以上の温度では上記結晶性ポリオレフィンに対して相溶性があり、且つ、上記結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度では上記結晶性ポリオレフィンと相分離を起こすものである。このような化合物としては、例えば鉱物油及び分子内にエステル結合を有する化合物を挙げることができる。
【0023】
上記鉱物油は、天然から採取され、低揮発分を除去された芳香族/脂環族/脂肪族からなる炭素水素、及びこれらを水素添加等により芳香族を除去した脂環族/脂肪族からなる炭素水素が用いられる。更にまた、合成鉱油と呼ばれるエチレン/αオレフィンオリゴマーが用いられる。
【0024】
また、上記の分子内にエステル結合を有する化合物としては、脂肪族もしくは芳香族の一塩基もしくは多塩基カルボン酸と脂肪族、脂環族もしくは芳香族の一価もしくは多価アルコールの各々組み合わせ、または分子内にヒドロキシル基とカルボキシル基の両方を有する化合物の組み合わせによる脱水縮合反応から得られるエステル化合物(つまり、モノ又はポリエステル)が挙げられる。
上記脂肪族及び芳香族カルボン酸としては、多塩基カルボン酸が好ましく、特に芳香族多塩基カルボン酸では芳香族ジカルボン酸、トリカルボン酸及びテトラカルボン酸が好ましく、例えばフタル酸、トリメリット酸及びピロメリット酸等が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸及びトリカルボン酸が好ましく、例えば、アジピン酸、セバチン酸若しくはクエン酸等が挙げられる。
上記アルコールとしては、一価のアルキルアルコール等が好ましく、例えば、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0025】
上記の分子内にエステル結合を有する化合物としては、特に、芳香族多塩基カルボン酸と一価のアルキルアルコールから得られるエステル化合物(つまり、モノ又はポリエステル)や、脂肪族多塩基カルボン酸と一価のアルキルアルコールから得られるエステル化合物(つまり、モノ又はポリエステル)が好ましい。
また、多価アルコール(特に多価のアルキルアルコール)とモノカルボン酸(特に脂肪族モノカルボン酸)とのエステル化合物(つまり、モノ又はポリエステル)も好ましく、具体的には例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール又はソルビタン等の多価アルコールと、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はオレイン酸等の脂肪族モノカルボン酸とから得られるエステル化合物等が好ましく挙げられる。
また、得られたエステル化合物がゲル化しない程度に少量のアジピン酸等ポリカルポン酸をエステルに加えることもできる。
更に、環境汚染防止、安全性の観点からは脂肪族カルボン酸と脂肪族アルコールから得られるポリエステルが好ましい。
【0026】
上記の分子内にエステル結合を有する化合物は、上記カルボン酸の1種又はそれ以上と上記アルコールの1種又はそれ以上から調整することができ、調整方法は特に制限されずに従来公知の如何なるエステル化方法も用いることができる。また、上記の分子内にエステル結合を有する化合物はカルボン酸中のカルボキシル基及びアルコール中のヒドロキシル基のすべてが完全に反応したエステル化合物でなくてもよく、カルボン酸中のカルボキシル基及び/又はアルコール中のヒドロキシル基の一部が未反応のまま残された部分エステルであってもよい。
【0027】
また、上記化合物は、常圧での揮発温度が好ましくは200℃以上、更に好ましくは240℃以上、最も好ましくは260℃以上であり、また、融点は好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
本発明における上記組成物▲2▼のシート成形温度は好ましくは180〜250℃、更に好ましくは190〜240℃であり、上記化合物の常圧での揮発温度が200℃未満であると、シート成形時に揮発物の発煙が生じ易くなる。該揮発物の発煙は環境汚染や引火の危険性があるのみでなく、揮発物がダイリップに付着して通称「目ヤニ」と呼ばれている焼け発生の原因となるため、シート成形を一旦中断してダイリップの分解掃除をたびたび行わねばならず、工業的な生産性が著しく劣る。
【0028】
また、融点が100℃以下であるのが好ましいのは、成形されたシートを延伸処理する時、該化合物が延伸温度で軟化又は溶融している方が、シートが容易に微多孔化するためである。
尚、本明細書で用いる「揮発温度」とは熱天秤を用い、窒素気流中(30ml/min)、昇温速度10℃/min、サンプル10mgで測定、加熱減量曲線を描き、その減量1%の温度を意味する。
【0029】
上記化合物の好ましい具体例としては、鉱物油としては石油各社から販売されている機械潤滑油、ゴム用プロセスオイル、繊維用流動パラフィン等が挙げられ、分子内にエステル結合を有する化合物としては、ジステアリルフタレート、トリオクチルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート、ジステアリルアジペート、ジステアリルセバテート、トリメチロールプロパントリラウレート、ペンタエリスリトールテトラカプレート等を挙げることができる。また、これらは結晶性ポリオレフィンの溶解度パラメーターと数単位以内の組み合わせから選ぶことができる。
【0030】
上記結晶性ポリオレフィンと上記化合物との配合割合は、上記結晶性ポリオレフィン65〜90重量部に対して、上記化合物35〜10重量部であるのが好ましい。
上記結晶性ポリオレフィンの配合割合がこれ未満の場合には、マトリックスとなるポリマーの割合が少ないために、延伸して得られた多孔性シートの微細孔が潰れたり鉱油等の液状物がにじみ出したりする。また、上記結晶性ポリオレフィンの配合割合がこれを超える場合には、シートを延伸しても透湿性を付与するような微細孔を形成することができない。
【0031】
また、組成物▲2▼には、任意成分として、結晶核剤、裂け防止用無機フィラー、無機フィラー及び/又は着色剤を添加してもよい。
上記結晶核剤としては、結晶性ポリオレフィン、特に上記結晶性ポリプロピレンの結晶の大きさを制御するものであり、例えばp−tert−ブチル安息香酸アルミニウム塩、1,2,3,4−ジベンジリデンソルビトール及び1,2,3,4−ジ−(p−エチルベンジリデン)ソルビトール等を使用することができる。上記結晶核剤は、上記組成物▲2▼の全量に対して0.5wt%以下添加することが好ましい。
上記裂け防止用無機フィラーとしては、無水シリカやゼオライト等を使用することができ、組成物▲2▼の全量に対して1wt%以下添加することが好ましい。
上記無機フィラーは、透湿性シートに隠蔽性を付与するためのものであり、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及びタルク等を使用することができる。無機フィラーは、上記組成物▲2▼の全量に対して20wt%以下添加することが好ましい。
上記着色剤としては、例えばフタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサンバイオレット及びイソインドリノン等を使用することができ、上記組成物▲2▼の全量に対して0.05wt%以下添加することが好ましい。
【0032】
更に、上記組成物▲3▼について説明する。
上記組成物▲3▼に用いられる上記ポリオレフィン樹脂としては、特に制限はなく、例えば上記組成物▲1▼に用いられる上記ポリオレフィン樹脂と同様のものを使用することができる。
また、上記組成物▲3▼に用いられる上記ポリオレフィン樹脂に対して非相溶性の上記熱可塑性樹脂としては、例えば汎用ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体のようなスチレン系ポリマー;ポリメチルメタクリレート;ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6及びナイロン66等のポリアミド;ポリカーボネート;ポリアクリロニトリル;並びにこれらの変成物及び誘導体の中から少なくとも1種類以上を選んで用いることができる。
また、上記熱可塑性樹脂には、熱可塑性エラストマー、例えばスチレン系ポリマー、ポリオレフィン類、ポリウレタン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリ(1,2−ブタジエン)、ポリ(トランス−1,4−イソプレン)等から選択される1種又はそれ以上のポリマーを添加することにより、該熱可塑性樹脂の分散性を容易にコントロールできる。
また、上記熱可塑性樹脂は、上記ポリオレフィン樹脂との組成物とした際に、平均粒径が好ましくは50μm以下、更に好ましくは0.05〜30μmの範囲、特に好ましくは0.1〜5μmの範囲で分散されるようにするのが望ましい。平均粒径がこれを超える場合には、得られる透湿性シートの孔の緻密性が低下し、平均粒子径がこれ未満の場合には、延伸ムラが生じ易く良好な透湿性シートが得られないので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0033】
また、上記組成物▲3▼には、シートを延伸した際の孔の大きさや数をコントロールするために、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル共重合体及びエチレン−無水マレイン酸−アクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種又は2種以上のエチレン系共重合体を添加することもできる。
【0034】
上記熱可塑性樹脂の融解温度が上記ポリオレフィン樹脂のシート成形温度に近いに場合は、該ポリオレフィンの溶融粘度と該熱可塑性樹脂の溶融粘度とをコントロールすることにより、シート成形の際に該ポリオレフィン樹脂にかかる該熱可塑性樹脂の剪断力を少なくすることが重要である。この場合、組成物▲3▼に柔軟化剤を添加することにより、該ポリオレフィン及び該熱可塑性樹脂の溶融粘度及び延伸開孔性を目的のものにすることができる。
上記柔軟化剤としては、上記組成物▲1▼に用いられる上記柔軟化剤と同様のものを用いることができる。
【0035】
上記組成物▲3▼における上記ポリオレフィン樹脂と、上記熱可塑性樹脂との配合割合は、ポリオレフィン100重量部に対して該熱可塑性樹脂が10〜100重量部、好ましくは20〜100重量部である。熱可塑性樹脂の配合割合がこれ未満では、得られる透湿性シートにおける連通孔が少なくなるため透湿性が小さくなり、また熱可塑性樹脂の配合割合がこれを超えると、透湿性シートのマトリックス相と分散相とが相反転するために好ましくない。
【0036】
上記組成物▲1▼及び組成物▲3▼は、一般にヘンシェルミキサー等の高速攪拌(混合)機を用いて、各成分を混合して調製することができ、好ましくは、混合後に混合物を二軸押出機等によって溶融混練し、ストランドに押し出して、切断し、ペレットにすることにより、組成物として得ることができる。かかる調製においては、少量の安定剤、着色剤及び/又は滑剤を同時にあるいは別途に混合することもできる。
【0037】
上記組成物▲2▼は、一般に二軸押出機を用いて各成分を溶融混練し、ペレットに成形して調製することができる。調製の際には、二軸押出機中で溶融状態にあるポリオレフィンに、上記化合物をギアポンプ等により二軸押出機へ注入することにより、溶融混練に供することができる。
【0038】
本発明の多孔性シートを構成する前記領域(b)は、多孔性シートに伸縮性等を付与するための領域であり、上記領域(b)の伸縮性は50%伸張後張力を解除した時の残留歪が20%以下であるのが好ましい。
【0039】
本発明において、上記領域(b)を形成する形成材料としては、熱可塑性エラストマーが好ましく、該熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、フッ素系エラストマー、その他アイオノマー樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの混合物等が挙げられ、中でも、スチレン系エラストマー又はオレフィン系エラストマーが好ましい。
【0040】
更に、前記領域(b)を前記領域(a)と同時に延伸した時、前記領域(b)が一時、収縮するのを防ぐ(固定する)ために、前記領域(b)の形成材料として上記熱可塑性エラストマーに、更に熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂を加えて組成物とするのが好ましい。この際、上記熱可塑性エラストマーとしては、その中でも、上記ポリオレフィン系樹脂との親和性等からスチレン系エラストマー又はオレフィン系エラストマーが好ましく用いられる。
また上記ポリオレフィン系樹脂としては、上述した上記領域(a)の形成材料として用いられる上記ポリオレフィン樹脂と同じものを用いることができる。
該スチレン系エラストマー又は該オレフィン系エラストマーとポリオレフィン系樹脂との配合比(重量比)は、好ましくは80/20〜20/80、更に好ましくは70/30〜30/70である。
【0041】
上記スチレン系エラストマーとしては、シェル化学製の商品名「クレイトン」、「カリフレックス」、旭化成工業製の商品名「タフプレン」、「ソルプレン」等が挙げられ、上記オレフィン系エラストマーとしては三井石油化学工業製の商品名「ミラストマー」、住友化学工業製の商品名「住友TPE」等が挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーそれぞれの代表的グレードは、昭和57年5月31日に(株)シーエムシーから発行されているテクニカルリポート(Technical Report) No21 「熱可塑性エラストマー」に記載されている。また、工業調査会から発行されているプラスチックスVol.44,No.11,39頁に「熱可塑性エラストマーの物性と成形性」の項で新グレードを中心に、同誌10頁に「熱可塑性エラストマー成形加工技術の現状と課題」の項で欧米で市販されている最近の熱可塑性エラストマーが記載されている。
【0042】
また、前記領域(b)の形成材料として、スチレン系エラストマーを用いた組成物を用いる場合の該組成物の最も好ましい組成は、下記(イ)成分0.3〜0.7重量部、下記(ロ)成分0.2〜0.6重量部及び下記(ハ)成分0.05〜0.3重量部からなる組成である。
(イ)成分;芳香族ビニル化合物の含有量が10〜40重量%の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体で共役ジエン部分が水素添加されてなるスチレン系エラストマー。
(ロ)成分;ポリオレフィン系樹脂。
(ハ)成分;融点又は軟化点が80℃以上で、平均分子量が400〜2000の樹脂。
【0043】
前記(イ)成分は、芳香族炭化水素重合体系TPEであって、少なくとも一つの芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと、少なくとも一つの共役ジエンの重合体ブロックの水素添加物を含むものである。また、その構造は(A−B)n型、(A−B)n−A型、(A−B)n−C型のいずれでもよく〔式中Aは芳香族ビニル化合物の重合体ブロック(以下、「重合体ブロックA」という)、Bは共役ジエンの重合体ブロックの水素添加物(以下、「重合体ブロックB」という)、Cはカップリング剤残基、nは1以上の整数を示す)、これらは直鎖型でもランダム型でもよい。
ジエン部分の水素添加誘導体を得る方法については制限されないが、前記領域(b)に熱伸縮性を付与するためにはこれらの共役ジエンブロックの80%以上が水素添加された水素添加誘導体であることが好ましい。
【0044】
上記重合体ブロックAを構成する単量体は、スチレン系のモノビニル置換芳香族炭化水素であり、好ましくはスチレンであるがα−メチルスチレン等も用いられる。
また、上記重合体ブロックBを構成する単量体は、共役ジエンであり、具体的には、ブタジエン、イソプレン又は両者の混合物が好ましく用いられる。そして、上記重合体ブロックBにおける上記水素添加の割合は、80%以上〔水素添加された重合体ユニットの数/重合体ブロック全体のユニットの数)×100(%)≧80%〕であるのが好ましい。
また、重合体ブロックAと重合体ブロックB(Cを含む組成の時はCもBに含める)との重量比は、10/90〜40/60である。Aの重量比が10未満では伸縮性が劣り、40を超えると熱伸縮性が低下するので上記範囲内とするのが好ましい。また、重合体ブロックAと重合体ブロックBとを合わせた分子量は、HPCによる数平均分子量で好ましくは20000以上であり、更に好ましくは30000〜250000であり、最も好ましくは40000〜200000である。分子量が上記範囲外であると、熱伸縮性が悪くなるので上記範囲内であるのが好ましい。
かかる(イ)成分としては、シェルジャパン(株)1992年版「Shell Elastomers Cariflex TR / Kraton G 」に記載の代表的な芳香族炭化水素重合体系TPEである、「クレイトンG」シリーズ等が挙げられる。
【0045】
前記(ロ)成分であるオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィンの単独または共重合体からなるオレフィン系熱可塑性樹脂が用いられ、通常熱可塑成形に用いられる樹脂が使用される。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンの射出成形物又は押出成形物が好ましく、おむつのように柔軟性を要求される用途には、ポリエチレンの中でも低密度ポリエチレンが適しており、線状低密度ポリエチレン(L−LD−PE)が最も適している。
【0046】
前記(ハ)成分である樹脂は、融点または軟化点が好ましくは80℃以上、更に好ましくは100℃以上で、平均分子量が好ましくは400〜2000、更に好ましくは600〜1500の樹脂であり、具体的には水添テルペン樹脂、脂環族添加水素樹脂等が用いられる。
融点または軟化点が80℃未満であると、予伸張状態での形状保持性が劣ると共に表面粘着性となるので好ましくない。
かかる樹脂の代表的なものとしては、安原油脂(株)製,商品名「クリアロン」、荒川化学工業(株)製,商品名「アルコン」が挙げられる。
【0047】
次いで、本発明の多孔性シートの製法について説明する。
本発明の多孔性シートの製法を実施するには、上記領域(a)の形成材料及び上記領域(b)の形成材料を用い、共押出成形によって上記領域(a)及び上記領域(b)が交互に配された多列シートに成形し、該多列シートを延伸することによって、行うことができる。
【0048】
即ち、本発明の多孔性シートの製法は、上記領域(a)と領域(b)とを幅(シート成形と直角)方向に交互に多列に配した多列シートを延伸することを特徴とし、これにより、シート状物の成形及びその延伸を極めて容易に行うことができ、しかも透湿性、耐水圧性を保持したまま、伸縮性に優れた多孔性シートが得られるものである。
【0049】
ここで、上記領域(a)の形成材料及び上記領域(b)の形成材料は、該形成材料が組成物である場合には、一般にヘンシェルミキサー等の高速攪拌(混合)機を用いて、上述の形成材料を混合した後、該混合により得られる混合物を二軸押出機等によって溶融混練し、ペレット状に成形して、上記押出成形に供するのが好ましい。
なお、この際少量の安定剤、着色剤、あるいは滑剤を同時に或いは別途に混合することもできる。

【0050】
また、上記共押出成形により上記領域(a)と上記領域(b)とが交互に配された多列シートを成形するには、2以上の押出機を用いて、上記領域(a)の形成材料と上記領域(b)の形成材料とが交互に配されるように、共押出しすることにより行うのが好ましく、2以上の押出機を用いることにより、上記領域(a)と領域(b)との繰り返し数(領域(a)−領域(b)−領域(a)−・・・・)が多くなってもダイ製作によって操作でき、製造上なんら負担増にならない。
【0051】
上記共押出成形は、具体的には、インフレーション法(サーキュラーダイ法)やTダイ法(フラットダイ法)等により行うことができ、例えば、特公昭60−30259号公報、特開昭63−28622号公報、特開昭63−130328号公報に開示されている方法等が用いられる。
この際の成形温度は、インフレーション法では領域(a)の形成材料及び領域(b)の形成材料の軟化点より20℃〜90℃高い温度が好ましく、Tダイ法の場合は更に20℃〜50℃高い温度が好ましい。
また、上記共押出成形においては、領域(a)の形成材料及び領域(b)の形成材料は、各々別の押出機で可塑化され供給されるので、軟化温度が異なっていてもよいが、ダイ温度は各々の組成域に20℃以上の温度差をつけることが難しいため、20℃以内で両者の溶融粘度、溶融張力等溶融流動特性を同じにするのが好ましい。
【0052】
次に、上記多列シートを延伸するには、一般にロール延伸法による一軸延伸、または一軸延伸後、引続きテスター延伸機、エアーインフレーション延伸機又はマンドレル延伸機などにより横方向に逐次に二軸延伸するか、あるいは同時に縦及び横方向に延伸する方法が採用される。
この際の延伸温度は、一般に常温以上で、用いるポリオレフィン樹脂の融点以下、特に融点より10〜50℃低い温度が好ましい。
また、延伸倍率は少なくとも一軸方向に1.2倍以上4倍以下、即ち一軸延伸の場合は縦(MD)方向に、また二軸延伸の場合は、縦(MD)、横(TD)方向にそれぞれ1.2倍以上4倍以下とすることが、力学的バランスや強度の保持と同時に優れた透湿性および耐水圧を示すために好ましい。
さらに、一般には上記延伸に次いで、緊張下で熱処理を行った後、延伸温度以下に室温まで冷却するのが好ましい。また、上記多列シートの印刷性や接着力を改良するために、コロナ放電処理等の表面処理を行うこともできる。
【0053】
【実施例】
以下、図面を参照して、本発明の多孔性シート及びその製法並びにそれを用いた吸収性物品を詳細に説明すると共に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
先ず、図1を参照して、本発明の多孔性シートの一実施例を説明する。
ここで、図1(A)は、本発明の多孔性シートの一実施例を示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す多孔性シートのP−P断面図である。
図1(A)及び(B)に示す本発明の多孔性シート1は、領域(a)2と領域(b)3とが、シートの幅方向に向けて交互に多列に配されており、該領域(a)2と該領域(b)3とは、両者の当接する面において固着されて、一体のシートをなしている。
【0055】
本発明の多孔性シートにおいては、上記領域(a)と上記領域(b)とは、両者が交互に多列に配されていれば、両者の数等は特に制限されないが、透湿性と伸縮性との観点から、上記領域(a)と上記領域(b)との面積比が、20〜95/80〜5であること、即ち、上記領域(a)の面積が多孔性シート全体に対して20〜95%であるのが好ましく、50〜80%であるのが特に好ましい。また、伸縮性面から領域(a)と領域(b)との幅を同じ幅として繰り返してもよいが、例えば吸収性物品、特に使い捨てオムツに用いる場合には、そのウエスト部又は幅方向端部に位置する部分が領域(b)のみであるか、または領域(b)の面積比が密であるようにするのが好ましい。
【0056】
本発明の多孔性シートにおいては、上記領域(a)で防漏性(防水性、耐水圧性)を保持したまま透湿性を発現し、且つ領域(b)で伸縮性を分担するので、総合的に、透湿性、耐水圧、伸縮性に優れた多孔性シートであり、スポーツウェア、レインウェア、サポータ、ハップ材の基材(湿布用基材)、包帯、バンソーコの基材等に用いられる他、特に、使い捨てオムツ、生理用ナプキン等の吸収性物品の裏面材として好適である。
【0057】
次に、図2を参照して、本発明の多孔性シートの製法について説明する。
ここで、図2(A)は、多列シートの1例を示す平面図であり、図2(B)は、該多列シートを延伸した状態を示す平面図である。
【0058】
本発明の多孔性シートの製法においては、先ず、上述の共押出成形を行い、図2(A)に示す、上記の領域(a)の形成材料からなる領域(a’)2’と上記の領域(b)の形成材料からなる領域(b’)3’とにより形成されてなる多列シート1’を形成する。
次いで、該多列シート1’を図2(B)に示すように延伸する。そして、延伸を解除することにより、シートが延伸方向に収縮して図1に示す多孔性シートが得られる。
【0059】
尚、本発明の多孔性シートの長さLは、上記多列シートの長さLと同じである。即ち、延伸前の多列シートの長さは、該多列シートを延伸した後延伸状態を解除して延伸方向に収縮させたシート(本発明の多孔性シート)の長さと同じである。
【0060】
次に、図1に示す多孔性シートを用いた本発明の吸収性物品の第1の実施例について、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、本発明の吸収性物品としての使い捨ておむつの一実施例を示す斜視図であり、図4は、図3のR−R線に沿う断面図である。
図3及び図4に示す本発明の吸収性物品としての使い捨てオムツ10は、液透過性の表面材12と、防漏性の裏面材13と、これら両面材の間に配置される吸収体14とからなり、使用者の胴周りにフィットするウエストギャザー部15と、脚周部にフィットするレッグギャザー部16とが形成されてなる。この構成は従来の使い捨ておむつ(パンツ型使い捨ておむつ)と同様である。
【0061】
而して、本実施例の使い捨てオムツ10は、上記裏面材13として図1に示す本発明の多孔性シート1を用いており、オムツの上下方向に向けて領域(a)2と領域(b)3とが交互に多列に配されている。そして、上記ウエストギャザー部15に近い部分程上記各領域(b)間の間隔が密になるようになされている。また、上記領域(a)2は、裏面材13の面積の50〜80%の範囲を占めるように構成するのが好ましく、また、領域(b)3−領域(a)2の繰り返し数は製造される吸収性物品に要求される伸縮性と透湿性によって適宜選択される。
【0062】
次に、本発明の多孔性シート、その製法及び吸収性物品の他の実施例について図5及び図6を参照して説明する。尚、オムツの構成等特に詳述しない点は上述の第1の実施例と同じである。
ここで、図5は、本発明の多孔性シートを裏面材として用いた吸収性物品である使い捨てオムツの一実施例を示す斜視図であり、図6(A)は図1の吸収性物品の裏面材に用いられた本発明の多孔性シートの平面図であり、図6(B)は図6(A)上T−T線に沿う(MD方向)断面図である。
【0063】
本実施例の使い捨てオムツ1は、図5に示すように、上記裏面材13として図6(A)及び(B)に示す本発明の多孔性シートを用いており、該多孔性シートは、図5に示すように、おむつの幅方向両側縁部が上記領域(b)3で形成され、巾方向中央部が領域(a)2で形成されている。即ち、上記裏面材13は、上記領域(a)2と領域(b)3とが、その幅方向に領域(b)3−領域(a)2−領域(b)3の順で3列に配された多孔性シートにより形成されている。このように、使い捨てオムツ10(おおむね200〜6000mm幅)の裏面材13に上記多孔性シートを用いる場合は、上述した領域(b)3−領域(a)2−領域(b)3の構成以外の構成の多孔性シートを用いることもでき、例えば、領域(b)3−領域(a)2−領域(b)3−領域(a)2−領域(b)3の構成の多孔性シートが好ましい。また、上記領域(a)2が、裏面材13の面積の50〜80%の範囲を占めるように構成された多孔性シートを用いることが特に好ましい。領域(b)3−領域(a)2の繰り返し数は製造される吸収性物品に要求される伸縮性と透湿性によって適宜選択される。
【0064】
次いで、図7及び図8を参照して上記裏面材13を用いた図5に示す使い捨てオムツ10の製造方法について説明する。
ここで、図7は、裏面材13を用いたおむつの製造工程での裏面材等の形状を示す概略図で、(A)は裏面材13として用いる多孔性シートの平面図、(B)は図7(A)に示す多孔性シートをMD方向(矢印方向)に延伸した状態を示す平面図、(C)は図7(B)に示す多孔性シートをおむつサイズに裁断し、脚周部をカッティングして形成した裏面材を示す平面図、(D)は図7(C)に示す裏面材を用いて形成したおむつの斜視図である。
また、図8は、裏面材13を用いた別のおむつの製造工程での裏面材等の形状を示す概略図で、(A)は裏面材13として用いる多孔性シートの平面図、(B)は図8(A)に示す多孔性シートをMD方向(矢印方向)に延伸した状態を示す平面図、(C)は図8(B)に示す多孔性シートをおむつサイズに裁断し、MD方向に直角に半転させて、更に脚周部をカッティングして形成した裏面材を示す平面図、(D)は図8(C)に示す裏面材を用いて形成したおむつの斜視図である。
【0065】
図5に示す上記使い捨てオムツ10を製造するには、図7(A)に示す領域(a)と領域(b)とを幅方向に領域(b)3−領域(a)2−領域(b)3の順で3列に配してなる本発明の多孔性シートを、図7(B)に示すように該多孔性シートのMD方向〔図7(B)の矢印方向〕に延伸する。次いで、図7(B)に示す延伸した多孔性シートを図7(C)に示すように、該多孔性シートの幅方向及び長手方向の側縁を所望のおむつのサイズに合わせて裁断し、脚周部をカッティングした後、通常公知の方法により、吸収体及び表面材等と接合して、図7(D)に示す如きおむつを製造することができる。
【0066】
また、上述の如くおむつを形成した後、更に加熱処理を行い、上記領域(b)を収縮させて、更に領域(b)の伸縮性を向上させることもできる。
【0067】
また、図8(A)〜(D)に示す如くして、本発明の吸収性物品である使い捨てオムツを製造することもできる。
即ち、図8(A)に示す領域(a)と領域(b)とを幅方向に領域(b)3−領域(a)2−領域(b)3の順で3列に配してなる本発明の多孔性シートを、図8(B)に示すように該多孔性シートのMD方向〔図8(B)の矢印方向〕に延伸する。次いで、図8(B)に示す延伸した多孔性シートを図8(C)に示すように、該多孔性シートを直角(吸収性物品の製造ライン方向に対して直角)方向に半転させて、該多孔性シートの幅方向及び長手方向の側縁を所望のおむつのサイズに合わせて裁断し、脚周部をカッティングした後、通常公知の方法により、吸収体及び表面材等と接合して、図8(D)に示すようにおむつを製造することができる。
尚、この方法により製造した場合には、図8(D)に示すように、ウエストギャザー部5が上記領域(b)3で形成されたおむつとなる。
【0068】
次いで、本発明の多孔性シートについて、実施例及び比較例により、具体的に説明する。
【0069】
〔実施例1〕
下記配合▲1▼の領域(a)の形成材料(組成物)及び下記配合▲2▼の領域(b)の形成材料(熱可塑性エラストマーの組成物)をそれぞれ下記調整法▲3▼によりペレットとした。
▲1▼線状低密度ポリエチレン(ウルトゼックス2520F、三井石油化学工業(株))100重量部、表面処理炭酸カルシウム(1.1μm)150重量部、及びポリエステル(トリメチロールプロパン/アジピン酸/ステアリン酸=2モル/1モル/4モルからなるSV=240、AV=1 、OHV=8)5重量部
▲2▼スチレン系エラストマー(クレイトンG−1652、シェルジャパン(株))40重量部、線状低密度ポリエチレン(ウルトゼックス15100C、三井石油化学工業(株))40重量部、水添テルペン樹脂(クリアロンP−105、安原油脂(株))20重量部、酸化チタン(タイペークR−550、石原産業(株))3重量部
▲3▼上記配合の組成物を各々100Lヘンシェルミキサーで混合し、次いで径45mmの二軸押出機で混練してペレット状に成形した。
【0070】
次いで、下記の如くシート成形を行い、多列シートを得た。
領域(a)の組成物用押出機として径32mmの単軸押出機(以降、「a押出機」と略す)を、領域(b)の組成物用押出機として径25mmの単軸押出機(以降、「b押出機」と略す)を用い、それ自体公知の共押出Tダイ(ダイリップでの各組成物流路幅が領域(b)−領域(a)−領域(b)=60mm−120mm−60mm)にて下記成形条件で多列シートを成形した。
Figure 0003556304
【0071】
次いで、得られた多列シートを下記の如く延伸成形して、本発明の多孔性シートを得た。
径100mm、幅500mmのロール延伸機を用い、これを上記の多列シートの成形機に連結して、ネッキングで厚くなった両端部を切断し、領域(b)−領域(a)−領域(b)の各々の幅が40−120−40mmである厚さ60μmのシートを80℃で2.3倍に延伸した。延伸後のシート厚さは領域(b)が約32μm、領域(a)が約45μmであった。
そして、得られた多孔性シートについて、下記評価1〜4の評価を行った。
【0072】
○評価−1:領域(a)−領域(b)の境界域の接着強度;
得られた多孔性シート3をCD方向に幅20mmに裁断し、テンシロン引っ張り試験機で200mm/minにて引っ張ったところ、(a)−(b)境界域で切れることなく、領域(a)が伸びて最後に領域(a)内で破断した。
○評価−2:領域(a)の透湿性;
得られた多孔性シート3の領域(a)の透湿度をJIS Z0208に準拠して測定した結果、1.8g/100cm・Hrであった。
○評価−3:領域(a)の耐水圧;
得られた多孔性シート3の領域(a)の耐水圧をJIS L1092Bに準拠して測定した結果、>2.0mであった。
【0073】
○評価−4:領域(b)の伸縮性;
得られた多孔性シート3の領域(b)の伸縮性を下記4−1)及び4−2)に示すようにして求めた。
4−1) ヒステリシス比(HR)=伸長曲線下の面積/弛緩曲線下の面積
尚、試料をテンシロン引っ張り試験機にチャック間で50mmとなるように固定し、次いで試料を100mm/min の速度で引っ張り50%(元の長さの1.5倍)伸長し、引続き同速度で緩めて初めの長さ(50mm)になった所で止め、各々引っ張り曲線下の面積、弛緩曲線下の面積を測定し、上式で算出した。
4−2) 残留歪(%)=(L1 −L0 )×100/L0
上記4−1)と同じ方法で50%伸長後、張力を開放し、5秒後の長さ(L1 )を測定し、元の長さ(L0 )から上式で算出した。
その結果、HRは1.7、残留歪は6%であった。
尚、評価−1〜4の結果及びシート厚さの結果、並びにシート厚さを〔表1〕に示す。
【0074】
〔実施例2〕
領域(a)の形成材料として、線状低密度ポリエチレン100重量部(「ウルトゼックス2520F」商品名、三井石油化学工業)、表面処理炭酸カルシウム(「ライトン22S」商品名、白石工業)150重量部、及びポリエステル(トリメチロールプロパン/アジピン酸/ステアリン酸=2モル/1モル/4モルからなるSV=240、AV=1、OHV=8)5重量部からなる配合の組成物(a)を用い、該組成物(a)をヘンシェルミキサーで混合し、次いで径45mmの二軸混練機で混練ペレットとした。
また、領域(b)の形成材料として、スチレン系熱可塑性エラストマー〔「クレイトンG1652」商品名、シェルジャパン(株)〕40重量部、線状低密度ポリエチレン〔「ウルトゼックス15100C」商品名、三井石油化学工業〕40重量部及び水添テルペン樹脂〔「クリアロンP−105」商品名、安原油脂(株)〕3重量部からなる組成物(b)を用いた。
【0075】
そして、組成物(a)用の押出機として径32mmの単軸押出機を用い、また、組成物(b)用の押出機として径25mmの単軸押出機を用い、それ自体公知の共押出Tダイにて、幅240mmの多列シートを成形した。この際、組成物(a)を幅10mm、組成物(b)を幅5mmとなるように製膜した。
次いで、上記多列シートを、径100mm、幅500mmのロール延伸機を用い、80℃で延伸して、延伸倍率2.3倍で、領域(a)と領域(b)とが交互に多列に配されてなる本発明の多孔性シートを得た。
得られた多孔性シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果をシート厚さと併せて〔表1〕に示す。
【0076】
〔実施例3〕
領域(a)の形成材料として、ポリプロピレン68重量部(「B200」商品名、三井石油化学工業)、化合物としてのオイル(「PW−90」商品名、出光)30重量部、および結晶造核剤マスターバッチ(安息香酸アルミ5wt%)2重量部からなる配合の組成物(a)を用い、該組成物(a)を、45mmの二軸混練機で混練ペレットとした。
領域(b)の形成材料としてスチレン系熱可塑性エラストマー〔「クレイトンG1652」商品名、シェルジャパン(株)〕40重量部、線状低密度ポリエチレン〔「ウルトゼックス15100C」商品名、三井石油化学工業〕40重量部及び水添テルペン樹脂〔「クリアロンP−105」商品名、安原油脂(株)〕3重量部からなる配合の組成物(b)を用いた。
【0077】
そして、上記組成物(a)及び(b)を用いて、実施例1と同様にして、幅240mmの多列シートを成形した。この際、組成物(a)を幅10mm、組成物(b)を幅5mmとなるように製膜した。また、引き取り用チルロールは冷却せず95℃の条件で行った。
次いで、上記多列シートを、径100mm、幅500mmのロール延伸機を用い、50℃で延伸して、延伸倍率1.3倍で、領域(a)と領域(b)とが交互に多列に配されてなる本発明の多孔性シートを得た。
得られた多孔性シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果をシート厚さと併せて〔表1〕に示す。
【0078】
〔実施例4〕
領域(a)の形成材料として、線状ポリエチレン100重量部、ポリエチレンテレフタレート〔「エリーテルMA2100」商品名、ユニチカ〕60重量部、第3成分としてポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体(SIS、シェルジャパン(株)、「カリフレックス」商品名)5重量部、第4成分としてエチレン−無水マレイン酸−アクリル酸エステル共重合体(E−EA−MAH/住友化学(株)、「ボンダイン」商品名)10重量部からなる配合の組成物(a)を用い、該組成物(a)をヘンシェルミキサーで混合し、次いで径45mmの二軸混練機で混練ペレットとした。
領域(b)の形成材料として、スチレン系熱可塑性エラストマー〔「クレイトンG1652」商品名、シェルジャパン(株))40重量部、線状低密度ポリエチレン〔「ウルトゼックス15100C」商品名、三井石油化学工業〕40重量部、水添テルペン樹脂〔「クリアロンP−105」商品名、安原油脂(株)〕3重量部からなる配合の組成物(b)を用いた。
【0079】
そして、上記組成物(a)及び(b)を用い、実施例1と同様にして、幅240mmの多列シートを成形した。この際、組成物(a)を幅10mm、組成物(b)を幅5mmとなるように成膜した。
次いで、上記多列シートを、径100mm、幅500mmのロール延伸機を用い、80℃で延伸して、延伸倍率3倍で、領域(a)と領域(b)とが交互に多列に配されてなる本発明の多孔性シートを得た。
得られた多孔性シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果をシート厚さと併せて〔表1〕に示す。
【0080】
比較例1
上記実施例の領域(a)の組成物のペレットのみを用い、通常のTダイフィルム成形機で実施例と同じ温度、引取り速度で厚さ60μmのシートを成形、両端の厚い部分を切断しながら実施例と同じ条件で延伸した。
これにより、図6−2(A)及び(B)に示す多孔シート3が得られ、得られたシート厚さは約43μmであった。
実施例1と同様にして、得られた多孔性シート3を評価した結果、透湿性は1.8g/100cm・Hr、耐水圧は>2.0m、伸縮性は、HRは>5.0、残留歪は48%であった。
【0081】
比較例2
上記実施例の(b)組成物のペレットを用い、通常のTダイフィルム成形機で実施例と同じ温度、引取り速度で厚さ60μmのシートを成形、両端の厚い部分を切断しながら実施例と同じ条件で延伸した。得られたシート厚さは約35μmであった。
このシートを実施例1と同様にして評価した結果、透湿性は<0.1g/100cm・Hr、耐水圧は>2.0m,伸縮性は、HRは1.7、残留歪は6%であった。
【0082】
【表1】
Figure 0003556304
【0083】
また、前記実施例1及び比較例1の多孔性シートを裏面材として用い図3及び図4に示すパンツ型構成の使い捨てオムツを製造したところ、実施例1の多孔性シートを用いたおむつは、比較例1の多孔性シートを用いて形成した裏面材(従来の透湿シート)を有するおむつに比してフィット性がよく、液漏れがなく、更に透湿性とソフトな収縮性を有しているのでムレ、カブレの無い快適な装着性を有するものであった。
【0084】
【発明の効果】
本発明の多孔性シートは、伸縮性に優れ、且つ透湿性、耐水圧性等を有するものであり、また本発明の多孔性シートの製法によれば、上記多孔性シートを容易に製造することができる。
また、本発明の吸収性物品は、吸収した体液を漏らさずに気化放出して、ムレることが無く、優しい装着性と快適な装着感を与えるものである。
更に詳細には、本発明の多孔性シートは、伸縮性に優れ、且つ透湿性、耐水圧性等にも優れており、また、本発明の多孔性シートを裏面材として用いた吸収性物品は、フィット性が良く、排泄された体液を漏らさずに気化放出するため、ムレることが無く、快適な装着感を与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、本発明の多孔性シートの一実施例を示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す多孔性シートのP−P断面図である。
【図2】図2(A)は、多列シートの1例を示す平面図であり、図2(B)は、該多列シートを延伸した状態を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明の吸収性物品としての使い捨ておむつの一実施例を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3のR−R線に沿う断面図である。
【図5】図5は、本実施例のパンツ型の使い捨ておむつを示す斜視図である。
【図6】図6(A)は、吸収性物品に用いられる裏面材の平面図、図6(B)は、T−T線に沿う(幅方向)断面図である。
【図7】図7は、裏面材13を用いたおむつの製造工程での裏面材等の形状を示す概略図で、(A)は裏面材13として用いる多孔性シートの平面図、(B)は図7(A)に示す多孔性シートをMD方向(矢印方向)に延伸した状態を示す平面図、(C)は図7(B)に示す多孔性シートをおむつサイズに裁断し、脚周部をカッティングして形成した裏面材を示す平面図、(D)は図7(C)に示す裏面材を用いて形成したおむつの斜視図である。
【図8】図8は、裏面材13を用いた別のおむつの製造工程での裏面材等の形状を示す概略図で、(A)は裏面材13として用いる多孔性シートの平面図、(B)は図8(A)に示す多孔性シートをMD方向(矢印方向)に延伸した状態を示す平面図、(C)は図8(B)に示す多孔性シートをおむつサイズに裁断し、MD方向に直角に半転させて、更に脚周部をカッティングして形成した裏面材を示す平面図、(D)は図8(C)に示す裏面材を用いて形成したおむつの斜視図である。
【図9】図9(A)は、比較例1で得られた多孔性シートの平面図、(B)はそのT−T線に沿う幅方向の断面図である。
【符号の説明】
1 多孔性シート
2 領域(a)
3 領域(b)
10 使い捨てオムツ
12 表面材
13 裏面材
14 吸収体
15 ウエストギャザー部
16 レッグギャザー部

Claims (11)

  1. 伸縮性を有しないが透湿性を有する領域(a)と、透湿性は有しないが伸縮性を有する領域(b)とを共押出成形によって交互に多列状に配したことを特徴とする多孔性シート。
  2. 上記領域(a)と上記領域(b)との面積比〔(a)/(b)〕が、20〜95/80〜5であることを特徴とする請求項1記載の多孔性シート。
  3. 上記領域(b)が、熱可塑性エラストマーにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の多孔性シート。
  4. 上記熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマー又はオレフィン系エラストマーであることを特徴とする請求項3記載の多孔性シート。
  5. 上記領域(a)は、ポリオレフィン樹脂100重量部、充填剤50〜400重量部及び柔軟化剤0〜20重量部からなる組成物(1)により形成されていることを特徴とする請求項1記載の多孔性シート。
  6. 上記領域(a)は、結晶性ポリオレフィン65〜90重量部と、該結晶性ポリオレフィンの融点以上の温度では、該結晶性ポリオレフィンに対し混和性があり溶解するが、該結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度では、該結晶性ポリオレフィンに対し相分離を起こす化合物35〜10重量部とを溶融混練することにより得られる組成物(2)により形成されていることを特徴とする請求項1記載の多孔性シート。
  7. 上記領域(a)は、ポリオレフィン樹脂100重量部と、該ポリオレフィン樹脂に対し非相溶性の熱可塑性樹脂10〜100重量部とを溶融混練することにより得られる組成物(3)により形成されていることを特徴とする請求項1記載の多孔性シート。
  8. 上記領域(a)の透湿性が、0.5〜6.0g/100cm2・Hrであることを特徴とする請求項1記載の多孔性シート。
  9. 上記領域(b)の伸縮性が、50%伸張後張力を解除した時の残留歪が20%以下であることを特徴とする請求項1記載の多孔性シート。
  10. 請求項1〜9記載の多孔性シートの製法であって、上記領域(a)の形成材料及び上記領域(b)の形成材料を用い、共押出成形によって上記領域(a)及び上記領域(b)が交互に配された多列シートに成形し、該多列シートを延伸することを特徴とする多孔性シートの製法。
  11. 液透過性の表面材と、防漏性の裏面材と、これら両面材の間に配置される吸収体からなる吸収性物品において、上記裏面材として、請求項1〜9記載の多孔性シートを用いることを特徴とする吸収性物品。
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