JPH09319363A - 鍵盤楽器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で複数の演奏情報を表示すること
が可能な押鍵ガイド装置を備えた鍵盤楽器を提供するこ
と。 【解決手段】 複数の鍵を備えた鍵盤を有する楽器にお
いて、各鍵に対応して設けられ、色、輝度、点滅周期、
形状の少なくとも１つを変化させることが可能な表示手
段と、演奏情報からキーオンすべき鍵情報と共に、手の
左右の別、指情報、タッチ情報、演奏方法の内の少なく
とも２つ以上を抽出する情報抽出手段と、抽出手段によ
って抽出された情報をキーオンする鍵情報と共に表示手
段に表示する表示制御手段を備える。従って、キーオン
すべき鍵情報と同時に各種の情報を表示することが可能
となり、使用者は譜面を見ること無く、正しい運指や奏
方を練習することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は鍵盤楽器に関し、特
に同時に複数の情報を表示可能な演奏ガイド装置を備え
た鍵盤楽器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、アコースティックピアノや電子ピ
アノ、さらには両者の機能を持つ消音型ピアノ等の鍵盤
楽器において、各鍵ごとに例えばＬＥＤ（発光ダイオー
ド）を有し、予め定められたテンポで演奏情報に従って
キーオンすべき鍵を表示する押鍵表示装置を備えたもの
が提案されている。このような押鍵表示装置を有する鍵
盤楽器においては、記憶装置に記憶された演奏情報、あ
るいはＭＩＤＩシーケンサ等の外部装置から入力された
演奏情報に基づき、キーオンすべき鍵の位置を表示して
いた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本来、押鍵ガイド装置
は譜面を見ずに練習できることを目的としているが、上
記したような従来の鍵盤楽器における押鍵ガイド方式に
おいては、単にＬＥＤの点灯によってキーオンすべき鍵
の位置を表示しているのみであるので、例えば左右どち
らの手で押鍵すべきか、どの指で押鍵すべきか、あるい
はタッチの強さ、レガート、スタッカート等の演奏方法
が不明であり、譜面を見ないと正しい運指や奏方の練習
ができないという問題点があった。本発明の目的は、前
記のような従来技術の問題点を解決し、簡単な構成で複
数の演奏情報を表示することが可能な押鍵ガイド装置を
備えた鍵盤楽器を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、複数の鍵を備
えた鍵盤を有する楽器において、各鍵に対応して設けら
れ、色、輝度、点滅周期、形状の少なくとも１つを変化
させることが可能な表示手段と、演奏情報からキーオン
すべき鍵情報と共に、手の左右の別、指情報、手の位置
情報、タッチ情報、演奏方法の内の少なくとも２つ以上
を抽出する情報抽出手段と、抽出手段によって抽出され
た情報をキーオンする鍵情報と共に表示手段に表示する
表示制御手段を備えたことを特徴とする。

【０００５】本発明は上記のような構成により、キーオ
ンすべき鍵情報と共に、例えば手の左右の別、指情報、
手の位置情報、タッチ情報、演奏方法等の情報を表示す
ることが可能となり、使用者は譜面を見ること無く、正
しい運指や奏方を練習することができる。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して詳細に説明する。図１は、本発明を適用した
電子ピアノの構成を示すブロック図である。ＣＰＵ１
は、ＲＯＭ２に格納されている制御プログラムに基づ
き、電子ピアノ全体の制御を行う中央処理装置である。
ＣＰＵ１は、タイマ割り込み回路も備えている。ＲＯＭ
２には制御プログラム、音色パラメータ、演奏データ等
が記憶されている。音色パラメータには波形メモリに記
憶されている楽音波形のアドレス情報、エンベロープ制
御情報等がある。ＲＡＭ３はワークエリアおよびバッフ
ァとして使用される。また、バッテリ等によりバックア
ップされていてもよい。パネル回路４は、音色選択など
のための各種スイッチ、液晶やＬＥＤにより文字等を表
示する表示装置およびそれらのインターフェース回路か
らなる。

【０００７】キーボード５は、例えばそれぞれ２つのス
イッチを備えた複数の鍵から成るキーボードおよび、各
鍵のスイッチの状態をスキャンし、その変化を検出して
キーイベント情報やタッチ情報を生成する回路から成
る。ガイド表示回路６は、例えば図８に示すような各鍵
４０に対応した７セグメントのＬＥＤ表示装置５０、お
よびその駆動回路からなる。各ＬＥＤ表示装置５０は例
えば外部からの制御により異なる色（赤あるいは緑）で
数字を表示可能なものを使用する。

【０００８】楽音発生回路７は、波形読み出し方式によ
り所望の楽音信号を発生する回路であり、例えばデジタ
ル楽音波形サンプル値が記憶されている波形メモリか
ら、発音すべき音高に比例したアドレス間隔で順次波形
データを読み出し、補間演算を行って楽音波形信号を発
生させる。また、エンベロープ発生回路を有し、設定さ
れたエンベロープパラメータに基づいて発生したエンベ
ロープ信号を楽音波形信号に乗算してエンベロープを付
与し、楽音信号を出力する。楽音発生回路７は、複数
（例えば３２）の楽音発生チャネルを有しているが、実
際には、１つの楽音発生回路を時分割多重動作させるこ
とにより、同時に複数の楽音信号を独立して発生可能に
構成されている。

【０００９】Ｄ／Ａ変換器８はデジタル楽音信号をアナ
ログ信号に変換し、アンプ９によって増幅された楽音信
号はスピーカ１０から発音される。バス１１は電子ピア
ノ内の各回路を接続している。なお、必要に応じて、メ
モリカードインターフェース回路、フロッピィディスク
装置、ＭＩＤＩインターフェース回路等を備えていても
よい。

【００１０】図２は、ＣＰＵ１のメイン処理を示すフロ
ーチャートである。ステップＳ１においてはＲＡＭ３や
楽音発生回路７の内部状態を初期化する。ステップＳ２
においては、タイマ割り込み処理によってＲＡＭ３内の
所定のエリアにイベントが検出、登録されているか否か
が判定され、結果が肯定の場合にはステップＳ３に移行
する。ステップＳ３においては、登録されているイベン
トを読み出し、対応する処理を行う。

【００１１】図３は、タイマ割り込み処理を示すフロー
チャートである。このタイマ割り込み処理は、所定の周
期でＣＰＵ１に割り込みをかけるタイマ割り込み回路に
よって起動される。ステップＳ１０においては、タイマ
値Ｔに予め定められた値「スピード」を加算する。ステ
ップＳ１１においては、タイマ値Ｔが所定値Ｔ0 以上に
なったか否かが判定され、結果が肯定の場合にはステッ
プＳ１２に移行する。ステップＳ１２においては、各種
イベントを検出し、イベントが存在した場合にはＲＡＭ
３内の所定のエリアに書き込む。そして、タイマ値Ｔを
０にリセットする。

【００１２】図４は、図２のステップＳ３のイベント処
理の内容を示すフローチャートである。ステップＳ２０
においては、取り出したイベントがパネルイベントであ
るか否かが判定され、結果が肯定である場合にはステッ
プＳ２１に移行してパネル処理が行われる。

【００１３】図６は、パネル３０の本発明に関連する部
分を示す正面図である。モード選択用スイッチは発音モ
ード用スイッチ３１および非発音モード用スイッチ３２
の２つがあり、発音モードにした場合には押鍵ガイド表
示と同期して楽音が発生する。テンポスイッチは遅くす
るためのスイッチ３３および速くするためのスイッチ３
４からなり、それぞれのスイッチを操作することによ
り、押鍵ガイド表示のテンポが増減する。スタートスイ
ッチ３５は押鍵ガイド表示をスタートさせるためのスイ
ッチであり、ストップスイッチ３６によって押鍵ガイド
表示処理が終了する。なおこの他に曲選択用スイッチも
存在する。図４のステップＳ２１においては、パネル上
の各種スイッチ３１〜３６の状態変化に応じて対応する
処理を行う。

【００１４】ステップＳ２２においては、取り出したイ
ベントがキーイベントであるか否かが判定され、結果が
肯定の場合にはステップＳ２３に移行して周知のキーイ
ベント処理が行われる。即ち、キーオン情報である場合
には発音チャネルを割り当て、必要な発音パラメータを
セットして発音を開始する。またキーオフ情報の場合に
はレベルを減衰させ、チャネルを開放する。

【００１５】ステップＳ２４においては、取り出したイ
ベントがタイマイベントであるか否かが判定され、結果
が肯定の場合にはステップＳ２５に移行する。このタイ
マイベントは押鍵ガイド表示処理を行っている間、所定
の周期で発生するイベントであり、図示しないタイミン
グカウンタを歩進させて、ガイド表示のタイミングを制
御する。ステップＳ２５においては、押鍵ガイド表示用
の演奏データから次の音符データを読み出す。

【００１６】図５は、押鍵ガイド表示用の演奏データの
一例を示す説明図である。演奏データは、音符データ２
５の列集合からなり、各音符情報は、鍵データ（キーナ
ンバ）２０、ベロシティデータ２１（タッチ情報）、時
刻データ２２（発音タイミング情報）、左手／右手デー
タ２３、指番号データ２４等からなっている。なお、音
符データには発音長さデータが含まれるか、あるいはキ
ーオンおよびキーオフの２つの音符情報により１つの発
音を制御する。

【００１７】ステップＳ２６においては、ステップＳ２
５で読み出した音符データから発音タイミング情報であ
る時刻データ２２を抽出する。ステップＳ２７において
は、抽出した時刻情報とタイミングカウンタ値とを比較
し、音符データが発音タイミングに達したか否かが判定
される。そして、結果が肯定の場合にはステップＳ２８
に移行し、音符データから鍵番号データ２０を読み出
し、ステップＳ２９においては、指番号データ２４を読
み出す。

【００１８】ステップＳ３０においては、左手／右手デ
ータを抽出し、該音符データが左手で演奏すべきデータ
であるか否かが判定される。そして、結果が肯定の場合
にはステップＳ３１に移行して、音符データの鍵番号と
対応する表示器に「赤」で指番号が表示される。また、
結果が否定の場合にはステップＳ３２に移行して、音符
データの鍵番号と対応する表示器に「緑」で指番号が表
示される。

【００１９】図８は、押鍵ガイド表示例を示す説明図で
ある。各鍵４０と対応して設けられたＬＥＤ表示器５０
は、例えば赤あるいは緑で数字を表示可能な表示器であ
り、表示器５１が「赤」で「３」と表示されている場合
には、左手の３番、即ち中指で該鍵を押下すべきである
ことを表示している。また表示器５２が「緑」で「２」
と表示されている場合には、右手の２番、即ち人差し指
で該鍵を押下すべきであることを表示している。

【００２０】ステップＳ３３においては、図示しないモ
ードフラグを参照することによって、現在発音モードで
あるか否かが判定され、結果が肯定の場合にはステップ
Ｓ３４に移行し、該音符情報に基づき、発音処理を行
う。以上のような処理により、押鍵すべき鍵の位置情報
に加えて、手の左右の別や押下すべき指の情報をも表示
でき、譜面がなくても正確な運指の練習を行うことが可
能となる。

【００２１】図７は、本発明の第２の実施例における押
鍵ガイド装置の構成を示す正面図である。図８に示す第
１の実施例においては、数字の表示が可能な７セグメン
トのＬＥＤ表示器を各鍵毎に備える例を開示したが、該
構成では高価となり、駆動回路も複雑となる。第２の実
施例は、鍵対応に例えば２色あるいは３色の表示が可能
なＬＥＤランプ素子を配置した例である。

【００２２】この例においては、押鍵位置のＬＥＤを右
手は緑、左手は赤で表示し、更にタッチ情報によってＬ
ＥＤの輝度や点滅周期を変化させることにより、複数の
情報を表示している。また指情報を表示するために、押
鍵する指に応じて押鍵位置の左右のＬＥＤを指の数だけ
点灯させる。この場合には輝度を落としたり、色を変え
たりして押鍵位置が明確に認識できるようにする。例え
ば左手の中指で、ランプ４１に対応する鍵を押鍵する場
合には、ランプ４１を赤で点灯させると共に、その左右
のＬＥＤを２個づつ緑で、あるいは赤の輝度を落として
表示する。右手の場合には色を反転させる。

【００２３】多色表示可能なＬＥＤランプによる複数の
情報の表示方式としては、点灯／消灯に加えて輝度の変
化、点滅周期の変化、色の変化等によって付加情報を表
示することが考えられる。また付加する情報としては、
手の左右の別、指情報、手の位置情報、タッチ情報、レ
ガート、スタッカート等の演奏方法などの情報が考えら
れる。なおＬＥＤの輝度は、ＬＥＤの駆動周期を非常に
短くし、その点灯時間と消灯時間の比によって制御する
ことができる。

【００２４】図９は、図７の第２の実施例の押鍵ガイド
表示装置の変形例を示す説明図である。この図において
は、いずれの例も中指で押鍵すべきことを表している。
図９（ａ）は各鍵毎にＬＥＤランプを２個設けた例であ
る。この場合には押鍵位置５０の２個のＬＥＤを赤で点
灯させ、その左右の隣接するＬＥＤ２個づつを緑で点灯
し、更にその外側の下段のみのＬＥＤを緑で点灯させ
る。外側のＬＥＤを１つのみ点灯させるのは、手の形状
に近い表示を行うためである。また、この例において
は、押鍵位置５０のＬＥＤをタッチ強度に応じて、下段
のみ、上段のみ、上下段の双方を点灯させるように制御
すれば、強度の表示も可能である。

【００２５】図９（ｂ）は、各鍵毎にＬＥＤを３段設け
た例であり、より手の形状に近い表示が可能になると共
に、押鍵位置５１のＬＥＤをタッチ強度に応じて棒グラ
フ表示することができ、タッチ情報がより認識しやすく
なる。図９（ｃ）は、各鍵毎にＬＥＤを５個設けた例で
あり、この場合には押鍵位置５２のＬＥＤのみで指情報
を表示可能となる。従って、複数の押鍵位置が近接して
いる場合でも指情報が正確に認識可能となる。なお、Ｌ
ＥＤを複数段設けた場合に、各段にそれぞれ別の情報を
独立して表示させることも可能であり、例えば上段に押
鍵位置情報、下段に指情報、タッチ情報、演奏方法の情
報等を切り換えて表示可能に構成してもよい。

【００２６】以上、実施例を説明したが、発光素子とし
てはＬＥＤ以外に蛍光表示器、液晶表示装置等の任意の
表示器を使用可能である。また、本発明は電子ピアノや
消音型ピアノなど、鍵盤を有する任意の楽器に適用可能
である。

【００２７】

【発明の効果】以上述べたように、本発明においては、
簡単な構成で、キーオンすべき鍵情報と共に、例えば手
の左右の別、指情報、タッチ情報、演奏方法等の情報を
表示することが可能となり、使用者は譜面を見ること無
く、正しい運指や奏方を練習することができるという効
果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した電子ピアノの構成を示すブロ
ック図である。

【図２】ＣＰＵ１のメイン処理を示すフローチャートで
ある。

【図３】タイマ割り込み処理を示すフローチャートであ
る。

【図４】図２のＳ３のイベント処理の内容を示すフロー
チャートである。

【図５】押鍵ガイド表示用の演奏データの一例を示す説
明図である。

【図６】パネル３０の本発明に関連する部分を示す正面
図である。

【図７】第２実施例における押鍵ガイド装置の構成を示
す正面図である。

【図８】押鍵ガイド表示例を示す説明図である。

【図９】第２実施例の押鍵ガイド表示装置の変形例を示
す説明図である。

【符号の説明】

１…ＣＰＵ、２…ＲＯＭ、３…ＲＡＭ、４…パネル回
路、５…ＰＡＤ回路、６…ガイド表示回路、７…楽音発
生回路、８…Ｄ／Ａ変換器、９…アンプ、１０…スピー
カ、１１…バス

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の鍵を有する鍵盤を備えた鍵盤楽器
   において、 各鍵に対応して設けられ、色、輝度、点滅周期、形状の
   少なくとも１つを変化させることが可能な表示手段と、 演奏情報からキーオンすべき鍵情報と共に、手の左右の
   別、指情報、手の位置情報、タッチ情報、演奏方法の内
   の少なくとも２つ以上を抽出する情報抽出手段と、 抽出手段によって抽出された情報をキーオンする鍵情報
   と共に表示手段に表示する表示制御手段を備えたことを
   特徴とする鍵盤楽器。
2. 【請求項２】 前記表示手段は、各鍵に対応して設けら
   れた記号表示装置であることを特徴とする請求項１に記
   載の鍵盤楽器。
3. 【請求項３】 前記表示手段は、各鍵に対応して設けら
   れた、複数の異なる色で発光可能な発光素子から成るこ
   とを特徴とする請求項１に記載の鍵盤楽器。