JPH09317984A - 管内防汚性を維持する管体及びその製造方法 - Google Patents

管内防汚性を維持する管体及びその製造方法

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JPH09317984A
JPH09317984A JP13677996A JP13677996A JPH09317984A JP H09317984 A JPH09317984 A JP H09317984A JP 13677996 A JP13677996 A JP 13677996A JP 13677996 A JP13677996 A JP 13677996A JP H09317984 A JPH09317984 A JP H09317984A
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JP
Japan
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tube
photocatalytic
semiconductor material
layer containing
tubular body
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Application number
JP13677996A
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English (en)
Inventor
Mitsuhide Shimobukikoshi
光秀 下吹越
Makoto Hayakawa
信 早川
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L58/00Protection of pipes or pipe fittings against corrosion or incrustation
    • F16L58/02Protection of pipes or pipe fittings against corrosion or incrustation by means of internal or external coatings
    • F16L58/04Coatings characterised by the materials used

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、液体を流通する管体の内表
面を、長期にわたって汚れの付着を防止し、内表面の自
己浄化(セルフクリーニング)性あるいは清掃容易性を
維持することができる、管内防汚性を維持する管体及び
その製造方法を提供することである。 【解決手段】 光触媒のバンドギャップエネルギーより
高いエネルギーの波長をもった光を十分な時間及び照度
で照射し光励起すると、光触媒は超親水性を呈する。液
体を流通する管体の内表面にこの光触媒を含む層を形成
し、紫外線を照射して高度の親水性にすることにより、
長期にわたって汚れの付着を防止し、内表面の自己浄化
性あるいは清掃容易性を維持することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管内防汚性を維持
する管体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液体の流通路が内部に設けられた管体は
身の回りのありとあらゆる場所、場面において用いられ
ている。例えば住宅設備においても多数存在し、用途と
しては水道管や庭の散水用ゴムホース、雨どいなどがあ
り、それらとして使用されている材質は主に樹脂製ある
いは金属製の管である。
【0003】このような管体においては、液体中に含ま
れる煤塵や粒子が管体内部を通過する時に、内壁の表面
に付着し汚れとなりこびりつく。さらに、内壁の表面に
こびりついたこれらの汚れや通水後に残る滞留水に、藻
類やカビ、菌などが繁殖することがある。このため管内
から異臭が発生したり、人体その他に有害な物質が生成
される場合もあり衛生上問題がある。特に管体を水道管
として用いる場合、水と一緒に汚れあるいは有害な物質
が人体に取り込まれてしまう危険性がある。最近では、
住宅の水道管あるいは高層建築物の貯水槽に発生する藻
類、カビ、菌などの有害物質が社会問題となっている。
【0004】また台所のキッチンシンク等の排水管にお
いては、調理などによって発生する汚れが水と一緒に流
されるため、油性の汚れなどが付着しカビや菌の繁殖が
起こりやすい。また、これを放置しておくと、汚れの付
着により管体の内径が細くなり、通水抵抗が増加し最終
的には詰まってしまうこともある。
【0005】この他に管体内部の液体と接する表面に液
体中に含まれる汚れが付着し、あるいはこの付着した汚
れまたは通水後の滞留水に藻類、カビ、菌が発生する可
能性があるものには、ホース、パイプ、シャワーヘッ
ド、ウォシュレットノズル、便器トラップ、水栓金具、
給湯器、浴槽追焚通路などがある。
【0006】これらの管内部に滞留した汚れを除去する
ための清掃は、管体の形状や、床下または壁内、機器内
に配置されているという設置上の問題から、容易に行え
るものではない。管体の内径が人が入れる大きさ、ある
いは人の手指が入る大きさであれば、洗浄用ブラシなど
で定期的に清掃を行うことも可能であるが、内径の小さ
な管や複雑に屈曲した管の内表面を物理的に清掃するこ
とは非常に困難である。
【0007】従来より、このように清掃することが非常
に困難な管体の内部の清掃方法としては、(1)薬剤を
投じて管体内壁表面の汚れを化学的に分解する方法、
(2)管体の一方から高水圧のジェット水流を流し、そ
の水圧によって内壁表面の汚れを剥離し押し流すことに
より除去する方法、などがある。
【0008】また、管内への汚染物質付着防止及び防汚
対策として、管内の材質を工夫する方法がある。例え
ば、管自体をポリテトラフルオロエチレンなどの撥水性
樹脂で製造する方法、撥水性化合物を含んだ組成物を内
表面に塗布する方法、および親水性化合物を含んだ組成
物を内表面に塗布する方法がある。親水性塗料を塗布す
る方法に用いる塗料は、実開平5−68006号公報や
実開平5−72004号公報に記載された親水性塗料が
ある。アクリルシリコン系樹脂、水性シリコーンコーテ
ィング剤、シリコーン樹脂とアクリル樹脂のグラフト重
合体(実開平5−68006号)、シリコーン樹脂とア
クリル樹脂のブロック重合体、アクリル樹脂、アクリル
−スチレン樹脂、ソルビタン脂肪酸エチレンオキサイ
ド、ウレタン系アセテート、ソルビタン脂肪酸エステル
(実開平5−72004号)、ポリカーボネートジオー
ル及び/又はポリイソシアネートからなる架橋型ウレタ
ン、ポリアクリル酸アルキルエステル架橋体等である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前述した
従来の管体内表面に付着した汚れを定期的に清掃する方
法や、管内への汚染物質付着防止及び防汚対策として管
内の材質を工夫する方法には、それぞれ以下のような問
題点が存在する。薬剤を投じて管体内壁表面の汚れを化
学的に分解する方法や、高水圧のジェット水流により内
壁表面の汚れを除去する方法では、清掃直後には汚れが
除去されるが、清掃後からまた汚れが滞留していく。こ
のため清掃後しばらく時間が経過すると管体の内壁表面
に汚れが付着し、藻類、カビ、菌などが再び繁殖してし
まうという問題がある。定期的な清掃の間隔を短くする
ことにより、管体内壁表面に付着する汚れが増えること
を防止することは可能であるが、本質的な解決策ではな
く、かつコストがかかる。また、管体の形状により効果
的に汚染物質を十分除去できない場合もある。
【0010】また、管自体を撥水性樹脂で製造する方法
では、管内の液体が完全に流通もしくは乾燥した後に油
などの疎水性の汚れがそのまま残留する。それらが、却
って汚染物質を付着しやすくする。撥水性化合物を含ん
だ組成物を内表面に塗布する方法では、効果はあくまで
一時的なもので、液体流通や接触によって容易に取り除
かれ、早期に効果を失うという難点がある。さらに管体
の内径が小さい場合、管体設置後に内壁表面に塗布する
作業は困難を極める。これらの撥水性塗料もしくは樹脂
材料では、疎水性の汚れが材料表面となじみやすいた
め、付着した汚染物質は流通する液体により流されにく
く、むしろ管内表面に滞留しやすい。
【0011】また、親水性化合物を含んだ組成物を内表
面に塗布する方法では、その親水性が十分であれば確か
に汚れよりも水もしくは液体になじむため防汚性が期待
できるが、前述した塗料を塗布した表面と水との接触角
はせいぜい70°から50°程度であり、防汚性におい
て十分な効果を奏する親水性を備えているとは言い難
い。本発明が解決しようとする課題は、以上の従来の技
術における問題に鑑みてなされたもので、液体を流通す
る管体の内表面を、長期にわたって汚れの付着を防止
し、内表面の自己浄化(セルフクリーニング)性あるい
は清掃容易性を維持することができる、管内防汚性を維
持する管体及びその製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、以上の課題
を達成するために種々検討し、光触媒を光励起すると光
触媒の表面が高度に親水化されることを世界で初めて知
見した。具体的には、光触媒性酸化チタンを紫外線で光
励起すると、水との接触角が10°以下、より詳しくは
5°以下、特に約0°になる程度に表面が高度に親水化
される。本発明はこの発見に基づくもので、液体を流通
する管体の内表面に光触媒を含む層を形成し、紫外線を
照射して高度の親水性にすることにより、長期にわたっ
て汚れの付着を防止し、内表面の自己浄化性あるいは清
掃容易性を維持することができる。
【0013】前記課題を解決するため、請求項1に記載
の管体は、液体と接する内表面に光触媒性半導体材料を
含む層を備えてなることを特徴とする。したがって、光
触媒性半導体材料を含む層を光励起することにより管内
表面が親水化されるため、汚れ等を含む液体が流通する
管の内表面を防汚できる。
【0014】請求項2に記載の管体は、請求項1に記載
の管体において、光触媒性半導体材料が、TiO2 ,Z
nO,SnO2 ,SrTiO3 ,WO3 ,Bi2 3
Fe2 3 からなる群から選ばれた1種の酸化物を含む
ことを特徴とする。したがって、様々な光触媒を用いる
ことができる。
【0015】請求項3に記載の管体は、請求項1に記載
の管体において、光触媒性半導体材料を含む層の表面
が、光励起時に水との接触角に換算して約10°以下の
水濡れ性を呈することを特徴とする。したがって、光触
媒性半導体材料を含む層を光励起することにより管内表
面が高度に親水化されるため、汚れ等を含む液体が流通
する管の内表面を防汚でき、付着した汚染物を容易に除
去できる。
【0016】請求項4に記載の管体は、請求項1に記載
の管体において、光触媒性半導体材料を含む層の表面
が、光励起時に水との接触角に換算して約5°以下の水
濡れ性を呈することを特徴とする。したがって、光触媒
性半導体材料を含む層を光励起することにより管内表面
が高度に親水化されるため、汚れ等を含む液体が流通す
る管の内表面を防汚でき、付着した汚染物を容易に除去
できる。
【0017】請求項5に記載の管体は、請求項1に記載
の管体において、光触媒性半導体材料を含む層が、A
g,Cu,Znからなる群から選ばれた1種の金属を含
むことを特徴とする。したがって、表面に付着した細菌
を死滅させることができる。さらに、この光触媒性半導
体材料を含む層は、黴、藻、苔のような微生物の成長を
抑制するので長期間にわたって清潔に維持することがで
きる。
【0018】請求項6に記載の管体は、請求項1に記載
の管体において、光触媒性半導体材料を含む層が、P
t,Pd,Rh,Ru,Os,Irからなる群から選ば
れた1種の金属を含むことを特徴とする。したがって、
光触媒の酸化還元反応を増強させることができ、表面に
付着した汚染物質を分解することができる。
【0019】請求項7に記載の管体は、請求項1〜6の
いずれか一に記載の管体において、金属材料、樹脂材
料、ゴム材料からなる群から選ばれた1種からなること
を特徴とする。したがって、様々な種類の管体内壁に光
触媒性半導体材料を含む層を形成することができる。
【0020】請求項8に記載の管体は、請求項7に記載
の樹脂材料において、紫外線透過樹脂材料からなること
を特徴とする。したがって、管体内壁に形成した光触媒
性半導体材料を含む層に、光励起するに十分な紫外線を
到達させることができる。
【0021】請求項9に記載の管体は、請求項1〜8の
いずれか一に記載の管体において、光触媒性半導体材料
を含む層の下層に紫外線発生素子を備えてなることを特
徴とする。したがって、光不透過性の管体の場合にも管
内表面に形成された光触媒性半導体材料を含む層を光励
起できる。
【0022】請求項10に記載の管内防汚性を維持する
管体の製造方法は、管体を準備する工程と、液体と接す
る管内表面を光触媒性半導体材料を含む層で被覆する工
程と、光触媒性材料に紫外線照射する工程を有すること
を特徴とする。したがって、光触媒性半導体材料を含む
層を管内表面に形成するので、紫外線照射により高度な
親水性となし、結果管内表面の防汚性を発現できる。
【0023】請求項11に記載の管内防汚性を維持する
管体の製造方法は、紫外線透過性樹脂からなる管体を準
備する工程と、液体と接する管内表面を光触媒性半導体
材料を含む層で被覆する工程と、光触媒性材料を必要に
応じ管体に紫外線を照射する工程を有することを特徴と
する。したがって、光触媒性半導体材料を含む層を紫外
線透過性の管内表面に形成するので、高度な親水性とな
すための紫外線を外部から得ることができ、結果管内表
面の防汚性を発現できる。
【0024】請求項12に記載の管内防汚性を維持する
管体の製造方法は、管内表面に紫外線発生素子を備えた
管体を準備する工程と、液体と接する表面を光触媒性半
導体材料を含む層で被覆する工程と、紫外線発生素子に
より前記光触媒性材料に紫外線を照射する工程を有する
ことを特徴とする。したがって、光触媒性半導体材料を
含む層を管内表面に形成するので、光不透過性の管体の
場合にもを光励起でき、結果管内表面の防汚性を発現で
きる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明による管内防汚性を維持す
る管体及びその製造方法の一実施の形態について説明す
る。本発明者は、光触媒を光励起すると光触媒の表面が
高度に親水化されることを世界で初めて発見した。光触
媒のバンドギャップエネルギーより高いエネルギーの波
長をもった光を充分な時間及び照度で照射すると、光触
媒の表面は超親水性を呈する。ここで用いる“超親水
性”又は“超親水性の”の用語は、水との接触角に換算
して約10°以下、好ましくは約5°以下の高度の親水
性を意味する。同様に、“超親水化”又は“超親水化す
る”の用語は、表面を水との接触角に換算して約10°
以下、好ましくは約5°以下の高度の親水性にすること
を意味する。
【0026】この光触媒を、親水化することを望む基材
の表面にコーティングすることで、親水性機能を持たせ
ることができる。光触媒含有コーティングに使用可能な
光触媒としては、酸化チタン(アナターゼ型及びルチル
型)、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、酸
化タングステン、三酸化二ビスマス、酸化鉄のような金
属酸化物がある。中でも酸化チタンは無害であり、化学
的に安定であり、かつ市場で安価に入手可能である。
【0027】光触媒を管体内表面にコーティングするに
は以下の4つの例のいずれの方法によっても行うことが
できる。以下、光触媒材料として酸化チタンを用いた場
合を例に示す。 (1)管体の内表面を無定形酸化チタンで被覆し、次に
焼成により無定形酸化チタンを結晶性酸化チタン(アナ
ターゼ又はルチル)に相変化させる方法。 (2)酸化チタンと酸化シリコンとの混合物からなる光
触媒性コーティングを管体の内表面に形成する方法。 (3)酸化チタンと酸化錫との混合物からなる光触媒性
コーティングを管体の内表面に形成する方法。 (4)未硬化の若しくは部分的に硬化したシリコーン
(オルガノポリシロキサン)又はシリコーンの前駆体か
らなる塗膜形成要素に酸化チタンゾルの粒子を分散させ
た塗料用組成物を用い、この塗料用組成物を管体の内表
面に塗布し、塗膜形成要素を硬化させる方法。
【0028】(1)の方法は、管体が金属、セラミック
ス、ガラスのような耐熱性の材料で形成されている場合
に行うことが可能である。管体が、ナトリウムなどのア
ルカリ網目修飾イオンを含む場合には、アルカリ網目修
飾イオンの作用により光触媒コーティングの超親水化が
阻害される恐れがある。この場合、基材と無定形酸化チ
タン層との間にあらかじめ酸化シリコン等の中間層を形
成しておくと、無定形酸化チタンの焼成中にアルカリ網
目修飾イオンが管体から光触媒性コーティング中に拡散
するのが抑止され、超親水性が実現される。(2)や
(3)の光触媒に酸化シリコンや酸化錫を添加する方法
では、(1)の例のようにあらかじめ管体と無定形酸化
チタン層との間に酸化シリコン等の中間層を形成するこ
となく、アルカリ網目修飾イオンの拡散の影響を克服で
きる利点がある。(4)の方法には、幾つかの利点があ
る。光触媒含有シリコーン塗料は常温又は比較的低温で
硬化させることができるので、管体がプラスチック、ゴ
ムのような非耐熱性の材料で形成されている場合や管体
が塗料で塗装されている場合に適用することができる。
さらに、鋼管のような塑性加工可能な管体に塗膜を形成
した場合には、塗膜を硬化させた後、光励起する前に、
鋼管を必要に応じ容易に塑性加工することができる。光
励起前には、シリコーン分子のケイ素原子には有機基が
結合しており、従って塗膜は充分な可撓性を備えている
ので、塗膜を損傷させることなく容易に鋼管を塑性加工
することができる。塑性加工後には、光触媒を光励起す
ればシリコーン分子のケイ素原子に結合した有機基は光
触媒作用により水酸基に置換され、塗膜の表面は超親水
化される。
【0029】光触媒性コーティングは非常に薄くしても
超親水性を発現し、特に金属酸化物からなる光触媒半導
体材料は充分な硬度を有するので、光触媒性コーティン
グは充分な耐久性と耐摩耗性を有する。
【0030】光触媒性コーティングにはAg,Cu,Z
nのような金属をドーピングすることができる。光触媒
にこれらの金属ををドーピングするためには、光触媒粒
子の懸濁液にこれらの金属の可溶性塩を添加し、得られ
た溶液を用いて光触媒性コーティングを形成することが
できる。あるいは、光触媒性コーティングを形成後、こ
れらの金属の可溶性塩を塗布し、光照射により光還元析
出させてもよい。Ag、Cu、又はZnでドーピングさ
れた光触媒性コーティングは、表面に付着した細菌を死
滅させることができる。さらに、この光触媒性コーティ
ングは、黴、藻、苔のような微生物の成長を抑制する。
したがって、例えば上水道管等の内表面を長期間にわた
って清浄に維持することができる。
【0031】また光触媒性コーティングには、更に、P
t,Pd,Rh,Ru,Os,Irのような白金族金属
をドーピングすることができる。これらの金属も、同様
に、光還元析出や可溶性塩の添加により光触媒にドーピ
ングすることができる。光触媒を白金族金属でドーピン
グすると、光触媒の酸化還元活性を増強させることがで
き、表面に付着した汚染物質を分解することができる。
【0032】光励起は、表面の水との接触角が約10°
以下、好ましくは約5°以下、特に約0°になるまで行
わせる。一般には、0.001mW/cm2 の紫外線照
度で光励起すれば、数日で水との接触角が約0°になる
まで超親水化することができる。
【0033】管体が、アクリルまたは透明ゴムといった
紫外線あるいは可視光透過性樹脂から成り、光励起可能
な光触媒で光触媒性コーティングを形成した場合には、
これにより外部から照射された紫外線または可視光は管
体の内壁まで透過させ、内壁表面の光触媒を光励起する
ことができる。しかしながら、金属等紫外線を透過しな
い管体ではその材質及び形状の特性上、液体と接する内
壁表面全体に直接紫外線あるいは可視光を十分に照射す
ることは難しい。このような場合、光照射の困難を克服
するために液体と接する表面層と外側の金属層との間の
中間層に紫外線を発光する素子を埋め込み、中間層から
紫外線を放出することにより、前記表面層の光触媒性コ
ーティングを光励起する。中間層を形成する素子として
は、有機−無機ハイブリッド材料であるポリシランを用
いた紫外線電解発光素子(化学工業日報 1996年3
月26日)が期待される。
【0034】光触媒含有シリコーン塗料からなる光触媒
性コーティングの利点は、表面が一旦超親水化された後
には、暗所に保持しても長期間超親水性を維持し、か
つ、蛍光灯のような室内照明灯の光でも超親水性を回復
することである。このため暗所に配置された紫外線ある
いは可視光透過性の管体は、定期的に太陽光あるいは室
内照明灯等の光を照射することが望ましい。表面が一旦
高度に親水化された後は、親水性は夜間や暗所でも持続
する。再び紫外線を含む光にさらされる度に親水性は回
復され、維持される。本発明の光触媒性コーティングで
被覆された基材を使用者に提供するに際しては、光触媒
性コーティングをあらかじめ超親水化しておくのが望ま
しい。
【0035】
【実施例】
実施例1 紫外線を透過する管内表面への光触媒コーティング及び
管内の防汚性 第一の実施例として、紫外線を透過するアクリル管を用
いて管内表面に光触媒コーティングを形成し、その超親
水及び防汚性を確かめた。光触媒コーティングの形成方
法は、シリコーン塗料に光触媒を分散させ硬化させる方
法を採った。管材としては長さ50cm、内径3cmの
アクリル樹脂管(#1試料)を使用した。まず、アクリ
ル樹脂管が光触媒により劣化するのを防止するため、管
内表面をあらかじめシリコーン層で被覆した。このた
め、日本合成ゴム(東京)の塗料用組成物“グラスカ”
のA液(シリカゾル)とB液(トリメトキシメチルシラ
ン)を、シリカ重量とトリメトキシメチルシランの重量
の比が3になるように混合し、この混合液をアクリル樹
脂管(#1試料)内表面に塗布し、100℃の温度で硬
化させ、膜厚3μmのシリコーンのベースコートで被覆
された複数のアクリル樹脂管(#2試料)を得た。
【0036】次に、光触媒を含有する高分子塗料により
#2試料のシリコーンベースコート上を被覆した。塗料
の塗膜形成要素が光触媒の光酸化作用によって劣化する
のを防止するため、塗膜形成要素としてシリコーンを選
んだ。より詳しくは、アナターゼ型チタニアゾル(日産
化学、TA−15)と“グラスカ”のA液を混合し、エ
タノールで希釈後、さらに“グラスカ”のB液を添加
し、コーティング液を調整した。このコーティング液の
組成は、チタニア重量とシリカ重量とトリメトキシメチ
ルシラン重量との和に対するチタニアの重量の比が、5
0%になるように調整した。そのコーティング液をシリ
コーン層が被覆されたアクリル樹脂管の内表面に塗布
し、100℃の温度で硬化させ、アナターゼ型チタニア
粒子がシリコーン塗膜中に分散された層を形成し、#3
試料を得た。
【0037】#1〜#3試料にBLB蛍光灯を0.5m
W/cm2 の照度で紫外線を照射した。管内部に紫外線
量測定装置のセンサー部を挿入し、紫外線の透過量を測
定した。
【0038】また、これらの試料に同じ照度で管の外側
から72時間紫外線を照射した後の試料管を縦半分に切
断して水平に置き、内表面に水滴を落とし水との接触角
を接触角測定器(ERMA社製、形式G−I−100
0、低角度側検出限界3°)で測定した。結果を表1に
示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1から分かるように、光励起し親水化さ
れるのに充分な紫外線量が透過され、#3試料は親水化
された。
【0041】#1〜#3試料を台所キッチンシンク下の
排水口管途中に垂直に挿入配置し、約50cm離れた場
所からBLB蛍光灯で0.5mW/cm2 の照度の紫外
線を照射した。照射は2時間連続照射を10時間間隔で
行った。通常の家庭排水の流通と停止を繰り返した。#
1及び#2の試料では、それぞれ4日及び6日経過後か
ら汚れが表面に付着していることが目視にて観察され
た。それに対して、#3試料では、汚れは観察されなか
った。これは試料表面の親水性が高いので、汚れを含ん
だ家庭排水が流通されても、あるいは流通後に排水が滞
留しても、排水中の汚れが親水性表面に付着しにくいこ
と、汚れが通水により洗い流されたことによると考えら
れる。
【0042】
【発明の効果】液体を流通する管体の液体と接する内壁
表面に光触媒性コーティングを設け、光励起により表面
を超親水化することにより、表面が汚れるのを防止する
ことができる。超親水化された内壁表面は、通水中に液
体中に浮遊する汚染物、あるいは通水後の滞留液中に存
在する汚染物が、表面に付着するのを阻止する。
【0043】また、管内の自己浄化(セルフクリーニン
グ)が可能な、あるいは清掃が容易な方法を提供する。
通水量が不定である場合に、通水している液体の一部が
滞留水として通水の経路に残り、滞留水中に含まれる汚
染物質が滞留水と共に管内表面に堆積あるいは付着して
いる時に通水が行われると、通水時の水圧によって前記
堆積物は容易に除去される。したがって、前述の防汚対
策と相俟って、液体と接する表面はほぼ恒久的に高度に
清浄に維持される。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体と接する内表面に光触媒性半導体材料
    を含む層を備えてなる管体。
  2. 【請求項2】光触媒性半導体材料が、TiO2 ,Zn
    O,SnO2 ,SrTiO3 ,WO3,Bi2 3 ,F
    2 3 からなる群から選ばれた1種の酸化物を含む請
    求項1に記載の管体。
  3. 【請求項3】光触媒性半導体材料を含む層の表面が、光
    励起時に水との接触角に換算して約10°以下の水濡れ
    性を呈する請求項1に記載の管体。
  4. 【請求項4】光触媒性半導体材料を含む層の表面が、光
    励起時に水との接触角に換算して約5°以下の水濡れ性
    を呈する請求項1に記載の管体。
  5. 【請求項5】光触媒性半導体材料を含む層が、Ag,C
    u,Znからなる群から選ばれた1種の金属を含む請求
    項1に記載の管体。
  6. 【請求項6】光触媒性半導体材料を含む層が、Pt,P
    d,Rh,Ru,Os,Irからなる群から選ばれた1
    種の金属を含む請求項1に記載の管体。
  7. 【請求項7】管体が、金属材料、樹脂材料、ゴム材料か
    らなる群から選ばれた1種からなる請求項1〜6のいず
    れか一に記載の管体。
  8. 【請求項8】樹脂材料が、紫外線透過樹脂材料からなる
    請求項7に記載の管体。
  9. 【請求項9】管体が、光触媒性半導体材料を含む層の下
    層に紫外線発生素子を備えてなる請求項1〜8のいずれ
    か一に記載の管体。
  10. 【請求項10】管体を準備する工程と、液体と接する管
    内表面を光触媒性半導体材料を含む層で被覆する工程
    と、光触媒性材料に紫外線照射する工程を有する管内防
    汚性を維持する管体の製造方法。
  11. 【請求項11】紫外線透過性樹脂からなる管体を準備す
    る工程と、液体と接する管内表面を光触媒性半導体材料
    を含む層で被覆する工程と、光触媒性材料を必要に応じ
    管体に紫外線を照射する工程を有する管内防汚性を維持
    する管体の製造方法。
  12. 【請求項12】管内表面に紫外線発生素子を備えた管体
    を準備する工程と、液体と接する表面を光触媒性半導体
    材料を含む層で被覆する工程と、紫外線発生素子により
    前記光触媒性材料に紫外線を照射する工程を有する管内
    防汚性を維持する管体の製造方法。
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