JPH09316445A - エポキシ樹脂硬化物のエッチング液 - Google Patents

エポキシ樹脂硬化物のエッチング液

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JPH09316445A
JPH09316445A JP13778696A JP13778696A JPH09316445A JP H09316445 A JPH09316445 A JP H09316445A JP 13778696 A JP13778696 A JP 13778696A JP 13778696 A JP13778696 A JP 13778696A JP H09316445 A JPH09316445 A JP H09316445A
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JP
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epoxy resin
weight
solution
etching solution
etching
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Application number
JP13778696A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Ogawa
信之 小川
Hiroshi Shimizu
浩 清水
Akishi Nakaso
昭士 中祖
Koichi Tsuyama
宏一 津山
Naoyuki Urasaki
直之 浦崎
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Resonac Corp
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】濃硫酸、クロム酸、あるいはアルカリ過マンガ
ン酸塩を使用しないで、無変性のエポキシ樹脂の粗化や
エッチング除去を容易にすると共に、安全性に優れた、
エポキシ樹脂硬化物のエッチング液を提供すること。 【解決手段】二官能エポキシ樹脂とハロゲン化二官能フ
ェノール類を触媒の存在下、加熱して重合させたフィル
ム形成能を有する分子量100,000以上のエポキシ
重合体と、架橋剤と、多官能エポキシ樹脂とからなる、
熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物をエッチングする
溶液であって、アミド系溶媒とアルカリ金属化合物のア
ルコール系溶媒溶液からなり、引火点が90℃以上であ
ること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁材料、接着
剤、塗料などに用いられるフィルム化可能な熱硬化性エ
ポキシ樹脂硬化物を侵食するエッチング液に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は、ポリイミド樹脂と同様
にその電気特性、接着性に優れているため種々の分野で
利用されており、その用途が広がるにつれ、樹脂の一部
を粗化や除去して使用するような用途が出てきた。
【0003】ポリイミド樹脂を粗化したり除去するため
のエッチング液に関しては、特開昭50─4577号公
報、特開昭51─27464号公報、または特開昭53
─49068号公報等により提案されているように、ヒ
ドラジン等の塩基性溶液がよく知られている。
【0004】エポキシ樹脂を粗化したり除去するための
エッチング液に関しては、特開昭54─144968号
公報や特開昭62─104197号公報等により提案さ
れているように、プリント配線板に用いられるエポキシ
樹脂硬化物の表面粗化処理やデスミア処理、またはエッ
チバック処理等に用いられる、濃硫酸、クロム酸、ある
いはアルカリ過マンガン酸塩などのエッチング液が知ら
れている。
【0005】またエポキシ樹脂に、アルカリに可溶なア
クリル樹脂を添加して粗化やエッチング除去を容易にす
る方法も、特開平5─218651号公報により、提案
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】無変性のエポキシ樹脂
の硬化物を、粗化したり、エッチング除去するのは、濃
硫酸、クロム酸、あるいはアルカリ過マンガン酸塩を使
用しているが、これらの液は、労働安全衛生法の特定化
学物質に該当する薬品であり、取扱いに十分な注意が必
要であり、さらに取扱い者には定期的に健康診断が義務
付けられている等、安全に注意しなければならないとい
う課題がある。さらに、濃硫酸は、吸水性が強いため
に、十分な濃度管理を必要とし、アルカリ過マンガン酸
塩は、エポキシ樹脂を完全に除去するには、80℃前後
の高温と30分以上の時間が必要である。
【0007】また、エポキシ樹脂を、粗化したり、エッ
チング除去することを容易にするためにアクリル樹脂を
添加した変性エポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂
の耐熱性、耐薬品性等の優れた特性を低下させてしまう
という課題があった。
【0008】本発明は、濃硫酸、クロム酸、あるいはア
ルカリ過マンガン酸塩を使用しないで、無変性のエポキ
シ樹脂の粗化やエッチング除去を容易にすると共に、安
全性に優れた、エポキシ樹脂硬化物のエッチング液を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ハロゲン
化高分子量エポキシ重合体の分解反応について種々検討
した結果、ハロゲン化高分子量エポキシ重合体が、アミ
ド系溶媒中でアルカリ金属化合物により分解することを
見い出し、本発明を行うことができた。本発明のエポキ
シ樹脂硬化物のエッチング液は、二官能エポキシ樹脂と
ハロゲン化二官能フェノール類を触媒の存在下、加熱し
て重合させたフィルム形成能を有する分子量100,0
00以上のエポキシ重合体と、架橋剤と、多官能エポキ
シ樹脂とからなる、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化
物をエッチングする溶液であって、アミド系溶媒とアル
カリ金属化合物のアルコール系溶媒溶液からなり、引火
点が90℃以上であることを特徴とする。
【0010】本発明における熱硬化性エポキシ樹脂組成
物の硬化物は、二官能エポキシ樹脂とハロゲン化二官能
フェノール類を触媒の存在下、加熱して重合させたフィ
ルム形成能を有する分子量100,000以上のエポキ
シ重合体、架橋剤、多官能エポキシ樹脂からなる熱硬化
性エポキシ樹脂組成物の硬化物である。
【0011】フィルム形成能を有するエポキシ重合体
は、分子量が100,000以上の、いわゆる高分子量
エポキシ重合体であり、二官能エポキシ樹脂とハロゲン
化二官能フェノール類を二官能エポキシ樹脂とハロゲン
化二官能フェノール類の配合当量比をエポキシ基:フェ
ノール性水酸基=1:0.9〜1.1とし、触媒の存在
下、沸点が130℃以上のアミド系又はケトン系溶媒
中、反応固形分濃度50重量%以下で、加熱して重合さ
せて得られる。
【0012】この二官能エポキシ樹脂には、分子内に二
個のエポキシ基をもつ化合物であればどのようなもので
もよく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビ
スフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エ
ポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂などが使用でき
る。これらの化合物の分子量は、特に限定することなく
使用できる上、これらの化合物は、何種類かを併用する
ことができ、また、二官能エポキシ樹脂以外の成分が不
純物として含まれていても使用できる。
【0013】ハロゲン化二官能フェノール類には、ハロ
ゲン原子及び二個のフェノール性水酸基をもつ化合物で
あればどのようなものでもよく、例えば、単環二官能フ
ェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、カテコ
ール、多環二官能フェノールであるビスフェノールA、
ビスフェノールF、ナフタレンジオール類、ビスフェノ
ール類、これらのアルキル基置換体のハロゲン化物など
が使用できる。これらの化合物の分子量は、特に限定す
ることなく使用できる上、これらの化合物は、何種類か
を併用することができるし、ハロゲン化されていない二
官能フェノール類を併用してもよく、また、二官能フェ
ノール類以外の成分が不純物として含まれていても使用
できる。
【0014】触媒は、エポキシ基とフェノール性水酸基
のエーテル化反応を促進させるような触媒能をもつ化合
物であれば特に限定することなく使用でき、例えば、ア
ルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、イミダゾ
ール類、有機りん化合物、第二級アミン、第三級アミ
ン、第四級アンモニウム塩などが使用でき、なかでもア
ルカリ金属化合物が、好ましい触媒であり、アルカリ金
属化合物の例としては、ナトリウム、リチウム、カリウ
ムの水酸化物、ハロゲン化物、有機酸塩、アルコラー
ト、フェノラート、水素化物、ホウ水素化物、アミドな
どが使用でき、しかも、これらの触媒は、併用すること
ができる。
【0015】反応溶媒としては、アミド系又はケトン系
溶媒が好ましく、アミド系溶媒としては、沸点が130
℃以上で、原料となるエポキシ樹脂とフェノール類を溶
解すれば、特に制限はなく、例えば、ホルムアミド、N
−メチルホルムアミド、N,N─ジメチルホルムアミ
ド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N─
ジメチルアセトアミド、N,N,N´,N´─テトラメ
チル尿素、2─ピロリドン、N─メチル─2─ピロリド
ン、カルバミド酸エステルなどが使用でき、これらの溶
媒は、併用することができ、また、ケトン系溶媒、エー
テル系溶媒などに代表されるその他の溶媒と併用するこ
ともできる。
【0016】重合体の合成条件としては、二官能エポキ
シ樹脂とハロゲン化二官能フェノール類の配合当量比
は、エポキシ基:フェノール性水酸基=1:0.9〜
1.1であることが望ましく、エポキシ基1に対してフ
ェノール性水酸基が0.9未満の場合や、エポキシ基1
に対してフェノール性水酸基が1.1を超える場合に
は、エポキシ重合体の分子量が100,000未満とな
り、必要なフィルム形成能が得られない。
【0017】触媒の配合量は、特に制限はないが、一般
には、エポキシ樹脂1モルに対して触媒を0.0001
〜0.2モル程度とすることが好ましく、0.0001
モル未満では、触媒が不足するので反応速度が著しく低
下し、分子量が100,000以上のエポキシ重合体を
得るのが困難であり、0.2モルを超えると、エポキシ
基とフェノール性水酸基との反応以外の副反応が生じる
ためエポキシ重合体の分子量が低下する。
【0018】重合反応温度は、60〜150℃であるこ
とが望ましく、60℃未満では高分子量化反応が著しく
遅く、150℃を超えると副反応が多くなり、直鎖状に
高分子量化しない。
【0019】溶媒を用いた重合反応の際の固形分濃度
は、50重量%以下であればよいが、さらには30重量
%以下にすることが望ましく、50重量%を超えると、
反応中にゲル化が起こる。このようにしてフィルム形成
能を有する分子量が100,000以上の、いわゆる高
分子量エポキシ重合体を得られた。
【0020】この高分子量エポキシ重合体の架橋剤とし
て、架橋剤の反応性制御が容易でワニスの保存安定性が
確保し易いイソシアネート類を、他の活性水素をもつ化
合物でマスク(ブロック)したマスクイソシアネート類
を用いることができる。このイソシアネート類は、分子
内に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば
どのようなものでもよく、例えば、フェノール類、オキ
シム類、アルコール類などのマスク剤でマスクされたヘ
キサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレン
ジイソシアネートなどが挙げられ、特に、硬化物の耐熱
性の向上のためには、フェノール類でマスクされたイソ
ホロンジイソシアネートや、トリレンジイソシアネート
を用いることが好ましい。この架橋剤の量は、高分子量
エポキシ重合体のアルコール性水酸基1.0当量に対
し、イソシアネート基が0.1〜1.0当量の範囲にす
ることが好ましく、イソシアネート基が0.1未満であ
ると、架橋が十分でないため、硬化フィルムの強度が低
下し、イソシアネート基が1.0当量を超えると、過剰
のイソシアネート基が硬化フィルムに残存するため、硬
化フィルムの耐湿性等の信頼性が低下する。
【0021】多官能エポキシ樹脂としては、分子内に2
個以上のエポキシ基をもつ化合物であればどのようなも
のでもよく、例えば、フェノールノボラック型エポキシ
樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール
型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂など
のフェノール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹
脂や脂環式エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、
グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン
型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、可
とう性エポキシ樹脂などが使用でき、特に、ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂、又はビスフェノールA型エポキ
シ樹脂とノボラック型エポキシ樹脂との混合物は、耐熱
性の向上のために好ましい。この多官能エポキシ樹脂の
量は、高分子量エポキシ重合体に対し、20〜100重
量%の範囲にすることが好ましく、20重量%未満であ
ると、硬化フィルムの耐熱性が低下し、100重量%を
超えると、硬化フィルムが脆くなる。
【0022】これらの多官能エポキシ樹脂は、単独で又
は2種類以上混合して用いることができ、さらに、多官
能エポキシ樹脂の硬化剤及び硬化促進剤を用いることが
できる。エポキシ樹脂の硬化剤及び硬化促進剤として
は、ノボラック型フェノール樹脂、ジシアンジアミド、
酸無水物、アミン類、イミダゾール類、フォスフィン類
などが使用でき、これらを組み合わせて用いることもで
きる。さらに、接着強度の向上のために、シランカップ
リング剤を添加することもでき、添加するシランカップ
リング剤としては、エポキシシラン、アミノシラン、尿
素シラン等が好ましい。
【0023】本発明のエポキシ硬化物のエッチング液
は、アミド系溶媒と、アルカリ金属化合物のアルコール
系溶媒溶液を配合、混合して調整することにより得られ
る。このアミド系溶媒は、引火点が90℃以上であれば
どのようなものでもよく、例えば、アセトアミド、N─
メチルアセトアミド、2─ピロリドン、N─メチル─2
─ピロリドンなどが使用でき、これらのうちN─メチル
─2─ピロリドンには、エポキシ樹脂硬化物を膨潤させ
る効果があり、分解物の溶解性が良好なために特に好ま
しい。これらの溶媒は、いずれも併用することができ
る。
【0024】また、本発明に用いるアルカリ金属化合物
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セ
シウム等のアルカリ金属化合物でアルコール系溶媒に溶
解するものであればどのようなものでもよく、例えば、
リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウ
ム等の金属、水素化物、水酸化物、ホウ水素化物、アミ
ド、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ホウ酸塩、
リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩、フェノ
ール塩などが使用できる。これらのうち、安全性、取扱
い性、及びエッチング性の良好なことから、アルカリ金
属水酸化物が好ましく、水酸化リチウム、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウムが特に好ましい。
【0025】さらにまた、本発明に用いるアルコール系
溶媒は、引火点が90℃以上であればどのようなもので
もよく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレング
リコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコー
ル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、1,2─プロ
パンジオール、1,3─プロパンジオール、1,2─ブ
タンジオール、1,3─ブタンジオール、1,4─ブタ
ンジオール、2,3─ブタンジオール、1,5─ペンタ
ンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコールなど
がある。これらのうち、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレング
リコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ
ーテル、1,2─プロパンジオールは、アルカリ金属化
合物の溶解性が高いために、特に好ましい。これらの溶
媒は、何種類かを併用することもできる。
【0026】本発明のエポキシ樹脂硬化物のエッチング
液は、上記のどのアミド系溶媒に対しても、上記のどの
アルカリ金属化合物のアルコール系溶媒溶液をも用いる
ことができ、任意の組み合わせが可能である。配合量
は、アミド系溶媒50〜99重量%に対し、アルカリ金
属化合物のアルコール系溶媒溶液1〜50重量%の範囲
が好ましく、アミド系溶媒50〜99重量%に対し、ア
ルカリ金属化合物のアルコール系溶媒溶液が1重量%未
満であると、アルカリ濃度低下のためエッチング性が低
下し、アミド系溶媒50〜99重量%に対し、アルカリ
金属化合物のアルコール系溶媒溶液が50重量%を超え
ると、エポキシ樹脂硬化物の膨潤性、分解物の溶解性が
低下するため好ましくない。
【0027】アルコール系溶媒溶液のアルカリ金属化合
物濃度は、どのような濃度でも構わないが、0.5重量
%〜30重量%の範囲が好ましく、0.5重量%未満で
あると、エポキシ樹脂硬化物の分解速度が低下するため
好ましくなく、30重量%を超えると、アルコール系溶
媒にアルカリ金属化合物が完全に溶解できないので好ま
しくない。
【0028】また、エッチングの際に、エッチング液を
80℃前後まで加熱すると、分解速度が高まり作業性が
良くなるので好ましい。この際、作業上、火災爆発に対
する安全性を確保するため、エッチング液の引火点は、
90℃以上とする。エッチング方法としては、エポキシ
樹脂硬化物を、エッチング液中に浸してもよいし、さら
に気泡を発生させたり、超音波により振動を与えたりす
ることもでき、スプレー等による噴霧もでき、さらに高
圧をかけることもできる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施例に基づいて
具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0030】
【実施例】
実施例1 臭素化高分子量エポキシ重合体、フェノール樹脂マスク
化ジイソシアネート、クレゾールノボラック型エポキシ
樹脂からなる熱硬化性エポキシ接着フィルムであるAS
−3000E(日立化成工業株式会社製、商品名)のフ
ィルム厚50μmのものを、170℃、30分加熱し
て、エポキシ樹脂組成物の硬化フィルムを作製した。こ
の硬化フィルムは強靭であり、引っ張っても折っても割
れたり切れたりしなかった。エッチング液の組成とし
て、N─メチル─2─ピロリドン80重量%、水酸化ナ
トリウムのエチレングリコール溶液(水酸化ナトリウム
濃度:20重量%)20重量%の混合溶液を調製した。
硬化フィルムを、50℃のエッチング液に浸し、軽く振
とうしたところ、30分で粉末状に分解した。このエッ
チング液の引火点は92℃であった。
【0031】実施例2 エッチング液としてN−メチル─2−ピロリドン80重
量%、水酸化カリウムのエチレングリコール溶液(水酸
化カリウム濃度:20重量%)20重量%の混合溶液を
調製した。実施例1で作製した硬化フィルムを50℃の
エッチング液に浸し、軽く振とうしたところ、30分で
粉末状に分解した。このエッチング液の引火点は92℃
であった。
【0032】実施例3 エッチング液としてN−メチル─2−ピロリドン80重
量%、水酸化リチウムのエチレングリコール溶液(水酸
化リチウム濃度:2重量%)20重量%の混合溶液を調
製した。実施例1で作製した硬化フィルムを50℃のエ
ッチング液に浸し、軽く振とうしたところ、1時間で粉
末状に分解した。このエッチング液の引火点は92℃で
あった。
【0033】実施例4 エッチング液としてN−メチル─2−ピロリドン80重
量%、水酸化ナトリウムのジエチレングリコール溶液
(水酸化ナトリウム濃度:15重量%)20重量%の混
合溶液を調製した。実施例1で作製した硬化フィルムを
50℃のエッチング液に浸し、軽く振とうしたところ、
26分で粉末状に分解した。このエッチング液の引火点
は93℃であった。
【0034】実施例5 エッチング液としてN−メチル─2−ピロリドン80重
量%、水酸化ナトリウムのトリエチレングリコール溶液
(水酸化ナトリウム濃度:15重量%)20重量%の混
合溶液を調製した。実施例1で作製した硬化フィルムを
50℃のエッチング液に浸し、軽く振とうしたところ、
20分で粉末状に分解した。このエッチング液の引火点
は93℃であった。
【0035】実施例6 エッチング液としてN−メチル─2−ピロリドン80重
量%、水酸化ナトリウムのテトラエチレングリコール溶
液(水酸化ナトリウム濃度:15重量%)20重量%の
混合溶液を調製した。実施例1で作製した硬化フィルム
を50℃のエッチング液に浸し、軽く振とうしたとこ
ろ、18分で粉末状に分解した。このエッチング液の引
火点は93℃であった。
【0036】実施例7 エッチング液としてN−メチル─2−ピロリドン80重
量%、水酸化ナトリウムのポリエチレングリコール#3
00溶液(水酸化ナトリウム濃度:10重量%)20重
量%の混合溶液を調製した。実施例1で作製した硬化フ
ィルムを50℃のエッチング液に浸し、軽く振とうした
ところ、23分で粉末状に分解した。このエッチング液
の引火点は92℃であった。
【0037】実施例8 エッチング液としてN−メチル─2−ピロリドン80重
量%、水酸化ナトリウムのジエチレングリコールモノメ
チルエーテル溶液(水酸化ナトリウム濃度:15重量
%)20重量%の混合溶液を調製した。実施例1で作製
した硬化フィルムを50℃のエッチング液に浸し、軽く
振とうしたところ、16分で粉末状に分解した。このエ
ッチング液の引火点は92℃であった。
【0038】実施例9 エッチング液としてN−メチル─2−ピロリドン80重
量%、水酸化ナトリウムのジエチレングリコールモノエ
チルエーテル溶液(水酸化ナトリウム濃度:10重量
%)20重量%の混合溶液を調製した。実施例1で作製
した硬化フィルムを50℃のエッチング液に浸し、軽く
振とうしたところ、25分で粉末状に分解した。このエ
ッチング液の引火点は91℃であった。
【0039】実施例10 エッチング液としてN−メチル─2−ピロリドン80重
量%、水酸化ナトリウムのジエチレングリコールモノブ
チルエーテル溶液(水酸化ナトリウム濃度:8重量%)
20重量%の混合溶液を調製した。実施例1で作製した
硬化フィルムを50℃のエッチング液に浸し、軽く振と
うしたところ、27分で粉末状に分解した。このエッチ
ング液の引火点は91℃であった。
【0040】実施例11 エッチング液としてN−メチル─2−ピロリドン80重
量%、水酸化ナトリウムの1,2─プロパンジオール溶
液(水酸化ナトリウム濃度:15重量%)20重量%の
混合溶液を調製した。実施例1で作製した硬化フィルム
を50℃のエッチング液に浸し、軽く振とうしたとこ
ろ、27分で粉末状に分解した。このエッチング液の引
火点は93℃であった。
【0041】実施例12 エッチング液としてN−メチル─2−ピロリドン90重
量%、水酸化ナトリウムのエチレングリコール溶液(水
酸化ナトリウム濃度:20重量%)10重量%の混合溶
液を調製した。実施例1で作製した硬化フィルムを50
℃のエッチング液に浸し、軽く振とうしたところ、35
分で粉末状に分解した。このエッチング液の引火点は9
2℃であった。
【0042】比較例1 実施例1で作製した硬化フィルムを50℃のN,N─ジ
メチルホルムアミドに浸し、軽く振とうしたところ、2
4時間後でもフィルムは原型をとどめていた。
【0043】比較例2 実施例1で作製した硬化フィルムを50℃の20重量%
水酸化ナトリウムのエチレングリコール溶液に浸し、軽
く振とうしたところ、24時間後でもフィルムは原型を
とどめていた。
【0044】引火点測定法 使用機器:クリーブランド開放式 試料量 :80ml 昇温速度:5℃/分 測定頻度:1℃毎
【0045】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によっ
て、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物がエッチング
可能となったため、例えば多層配線板の絶縁層として使
用し、ドリルにより穴明けした際に発生したスミア除去
や接続信頼性を向上させるためのエッチバック処理に使
用が可能であり、特定化学物質を使用しなくともスミア
除去やエッチバック処理が可能となる。また、引火点が
90℃以上と高いことから、作業上火災爆発に対する安
全性も高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 津山 宏一 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社下館工場内 (72)発明者 浦崎 直之 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社下館研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二官能エポキシ樹脂とハロゲン化二官能フ
    ェノール類とを触媒の存在下、加熱して重合させたフィ
    ルム形成能を有する分子量100,000以上のエポキ
    シ重合体と、架橋剤と、多官能エポキシ樹脂とからな
    る、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物をエッチング
    する溶液であって、アミド系溶媒と、アルカリ金属化合
    物のアルコール系溶媒溶液とからなり、引火点が90℃
    以上であることを特徴とするエポキシ樹脂硬化物のエッ
    チング液。
  2. 【請求項2】アミド系溶媒が、N−メチル─2─ピロリ
    ドンであることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ
    樹脂硬化物のエッチング液。
  3. 【請求項3】アルカリ金属化合物が、水酸化リチウム、
    水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂硬
    化物のエッチング液。
  4. 【請求項4】アルコール系溶媒が、エチレングリコー
    ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
    テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、
    ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレン
    グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
    モノブチルエーテル、1,2─プロパンジオールのうち
    から選択されたものであることを特徴とする請求項1〜
    3のうちいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化物のエッチ
    ング液。
  5. 【請求項5】アミド系溶媒が50〜99重量%の範囲で
    あり、アルカリ金属化合物の濃度が0.5〜30重量%
    の範囲のアルカリ金属化合物のアルコール系溶媒溶液が
    1〜50重量%の範囲であることを特徴とする請求項1
    〜4のうちいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化物のエッ
    チング液。
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