JP2669218B2 - 難燃性エポキシフィルム - Google Patents

難燃性エポキシフィルム

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JP2669218B2
JP2669218B2 JP25399591A JP25399591A JP2669218B2 JP 2669218 B2 JP2669218 B2 JP 2669218B2 JP 25399591 A JP25399591 A JP 25399591A JP 25399591 A JP25399591 A JP 25399591A JP 2669218 B2 JP2669218 B2 JP 2669218B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性、耐湿性、耐薬
品性などの特性に優れた難燃性エポキシフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】エピハロヒドリンとハロゲン化二官能フ
ェノール類を重合させて得た高分子量エポキシ重合体、
または低分子量エポキシ樹脂とハロゲン化二官能フェノ
ール類を重合させて得た高分子量エポキシ重合体のいず
れかを用いた難燃性エポキシフィルムは、特許公報や文
献には見当たらない。
【0003】ハロゲン化直鎖状高分子量エポキシ重合体
に関する文献としては、米国特許3,277,048号
明細書がある。これは、二官能エポキシ樹脂と臭素化ま
たは塩素化ビスフェノールとを反応させて得た分子量3
0,000以上の熱可塑性樹脂を配合して、機械的性質
の良好な難燃性エポキシ樹脂硬化物を得るというもので
ある。実施例で得られた重合体の分子量は61,000
とされるが、測定方法については述べられていない。ま
た得られたシートの厚さは0.125inch、すなわ
ち約3mmである。さらに合成時には溶媒を用いていな
い。
【0004】比較的低分子量の二官能エポキシ樹脂と二
官能フェノール類を原料として高分子量エポキシ重合体
を製造する方法は一般に二段法と呼ばれ、この方法に関
する最初の文献は米国特許第2,615,008号明細
書であり、日本国内においては、同じ出願人による特公
昭28−4494号公報がある。この文献では、重合触
媒として水酸化ナトリウムを用い、無溶媒下、150〜
200℃で反応させることにより、エポキシ当量が5,
600の高分子量エポキシ重合体を得ている。この重合
体の平均分子量は、約11,000と推定できる。な
お、これらの文献にも、溶媒を使用した実施例はない。
【0005】溶媒を使用することを記載している文献の
例としては、米国特許3,306,872号明細書があ
る。また、実施例中に溶媒を使用したものとしては、特
開昭54−52200号公報、特開昭60−11875
7号公報、特開昭60−144323号公報、特開昭6
0−144324号公報などがある。これらの文献で使
用されている溶媒は、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコール
モノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエ
ーテルなどである。これらの溶媒は、ケトン系およびエ
ーテル系(セロソルブ系)溶媒に分類される。
【0006】米国特許3,306,872号明細書の記
載では、溶媒としてメチルエチルケトン、エチレングリ
コールモノメチルエーテルのいずれかを用いており、溶
液の固形分濃度は20〜60%である。触媒としてはア
ルカリ金属またはベンジルトリメチルアンモニウムの水
酸化物またはフェノラートを用いている。重合反応温度
を75〜150℃とし、生成した高分子量エポキシ重合
体の重量平均分子量が少なくとも40,000以上にな
るまで反応を続けている。平均分子量は粘度法によって
求めており50,000〜1,000,000と測定さ
れている。しかしながら、粘度法は算出時に用いるパラ
メータの設定によって、算出値が大きく左右されること
が分かっている。したがって、正確な分子量測定法では
ない。
【0007】また溶媒中で重合させることにより高分子
量エポキシ重合体が得られていると考えられる実施例と
しては、特開昭54−52200号公報に溶媒としてエ
チレングリコールモノエチルエーテルを用いて、平均分
子量45,500の高分子量エポキシ重合体を得たこと
が記載されている。特開昭60−118757号公報に
は、溶媒にメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ン、エチレングリコールモノエチルエーテルを用いて、
平均分子量が最大31,000の高分子量エポキシ重合
体を得たことが、特開昭60−144323号公報に
は、溶媒にメチルエチルケトンを用いて、平均分子量5
3,200の高分子量エポキシ重合体を得たことが記載
されている。また、特開昭60−144323号公報に
は、溶媒にメチルエチルケトンを用いて、平均分子量5
3,200の高分子量エポキシ重合体を得たことが、特
開昭60−144324号公報には、溶媒にメチルエチ
ルケトンを用いて、平均分子量66,000の高分子量
エポキシ重合体を得たことが記載されている。上記4件
の公報によれば、いずれもゲル浸透クロマトグラフィー
によって平均分子量を測定しているが、測定条件および
算出方法等については記載されていない。ゲル浸透クロ
マトグラフィーによって得た分子量は、使用した充填剤
の種類、溶離液の種類などの測定条件および算出方法な
どによって大きく異なり、正確な値を得ることは困難で
あり、必ずしも正確な平均分子量が測定されているとは
いえない。
【0008】前記のいずれの文献においても、フィルム
形成能を有するという趣旨の記載はなく、実施例もな
い。またジエチレングリコール系以外の溶媒に溶解する
ことなどから、十分な強度のフィルム形成能を有するま
でに直鎖状に高分子量化した高分子量エポキシ重合体は
得られていないことも明らかである。
【0009】高分子量エポキシ重合体を用いて、エポキ
シ樹脂シートを製造する方法については、特開昭51−
87560号公報で明らかにされている。すなわち、直
鎖状高分子量エポキシ重合体と低分子量エポキシ樹脂を
加熱溶融させ、有機カルボン酸塩を混合して、厚さが
0.3〜0.5mmのシートを得る方法である。得られ
たシートの特性は引張り強度が約10MPa、伸びが3
50〜870%である。ここで用いられる直鎖状高分子
量エポキシ重合体の分子量は30,000〜250,0
00とされる。直鎖状高分子量エポキシ重合体の合成方
法については、明らかにされていない。また分子量測定
方法については記載されていない。一般にゲル浸透クロ
マトグラフィーによって測定された平均分子量は、測定
条件によって大きく異なることが知られている。シート
厚に関する制限はなされていないが、シートの引張強度
から推定して、300μm以下のシートはできないと考
えられる。またこのシートには難燃性は付与されていな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術において
は、耐熱性、耐湿性、耐薬品性、接着性などの特性に優
れたエポキシ樹脂あるいはエポキシ重合体をベースフィ
ルムとした難燃性フィルムは作製することができなかっ
た。さらに従来の技術においては、エポキシフィルムま
たはエポキシシートについても、一般にフィルムあるい
は薄膜といわれるような100μm以下のフィルムは作
製することができなかった。
【0011】本発明は、難燃性エポキシベースフィルム
が高強度であることから100μm以下の薄膜化が可能
であり、しかも耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れた難燃
性エポキシフィルムを提供することを目的とするもので
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、二官能エポキシ樹脂とハロゲン化二官能
フェノール類とを、エポキシ基/フェノール性水酸基=
1:0.9〜1.1の当量比で、触媒の存在下、ジエチ
レングリコール系溶媒中、濃度50重量%以下、反応温
度60〜150℃の条件下で、加熱して重合させて得た
高分子量エポキシ重合体を用いてなる難燃性エポキシフ
ィルムに関するものである。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける二官能エポキシ樹脂は、分子内に二個のエポキシ
基をもつ化合物であればどのようなものでもよく、例え
ば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノール
F型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、
脂肪族鎖状エポキシ樹脂、その他、二官能フェノール類
のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジ
グリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリ
シジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水
素添加物などがある。これらの化合物の分子量はどのよ
うなものでもよい。これらの化合物は何種類かを併用す
ることができる。また二官能エポキシ樹脂以外の成分
が、不純物として含まれていても構わない。
【0014】本発明におけるハロゲン化二官能フェノー
ル類は、ハロゲン原子および二個のフェノール性水酸基
をもつ化合物であればどのようなものでもよく、例え
ば、単環二官能フェノールであるヒドロキノン、レゾル
シノール、カテコール、多環二官能フェノールであるビ
スフェノールA、ビスフェノールF、ナフタレンジオー
ル類、ビフェノール類およびこれらのアルキル基置換体
のハロゲン化物などがある。これらの化合物の分子量は
どのようなものでもよい。これらの化合物は何種類かを
併用することができる。また二官能フェノール類以外の
成分が、不純物として含まれていても構わない。
【0015】本発明における触媒は、エポキシ基とフェ
ノール性水酸基のエーテル化反応を促進させるような触
媒能をもつ化合物であればどのようなものでもよく、例
えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、イ
ミダゾール類、有機りん化合物、第二級アミン、第三級
アミン、第四級アンモニウム塩などがある。なかでもア
ルカリ金属化合物が最も好ましい触媒であり、アルカリ
金属化合物の例としては、ナトリウム、リチウム、カリ
ウムの水酸化物、ハロゲン化物、有機酸塩、アルコラー
ト、フェノラート、水素化物、ホウ水素化物、アミドな
どがある。これらの触媒は併用することができる。
【0016】本発明におけるジエチレングリコール系溶
媒は、原料となるエポキシ樹脂とフェノール類を溶解す
れば、どのようなものでもよく、例えばジエチレングリ
コール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレング
リコールモノブチエーテル、ジエチレングリコールジエ
チルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル
などがある。これらの溶媒は併用することができる。ま
たアミド系、ケトン系、エーテル系溶媒などに代表され
るその他の溶媒と併用しても構わない。
【0017】本発明における重合体合成条件としては、
二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類の配合当量比
は、エポキシ基/フェノール性水酸基=1:0.9〜
1.1であることが望ましい。0.9当量より少ない
と、直鎖状に高分子量化せずに、副反応が起きて架橋
し、溶媒に不溶になる。1.1当量より多いと、高分子
量化が進まない。
【0018】触媒の配合量はいくらでもかまわないが、
一般にはエポキシ樹脂1モルに対して触媒は0.000
1〜0.2モル程度である。この範囲より少ないと高分
子量化反応が著しく遅く、この範囲より多いと副反応が
多くなり直鎖状に高分子量化しない。
【0019】重合反応温度は、60〜150℃であるこ
とが望ましい。60℃より低いと高分子量化反応が著し
く、150℃より高いと副反応が多くなり直鎖状に高分
子量化しない。
【0020】溶媒を用いた重合反応の際の固形分濃度は
50%以下であればよいが、好ましくは40%以下がよ
い。さらに好ましくは30%以下にすることが望まし
い。高濃度になるにしたがい副反応が多くなり、直鎖状
に高分子量化しにくくなる。したがって、比較的高濃度
で重合反応を行い、しかも直鎖状の高分子量エポキシ樹
脂を得ようとする場合には、反応温度を低くし、触媒量
を少なくする必要がある。
【0021】本発明における多官能エポキシ樹脂は、分
子内に二個以上のエポキシ基をもつ化合物であればどの
ようなものでもよく、例えば、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェ
ノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポ
キシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビス
フェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、
脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキ
シ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイ
ン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、
その他、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化
物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、
およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などがある。
これらの化合物の分子量はどのようなものでもよい。こ
れらの化合物は何種類かを併用することができる。また
二官能エポキシ樹脂以外の成分が、不純物として含まれ
ていても構わない。
【0022】本発明における硬化剤は、エポキシ樹脂を
硬化させるものであればどのようなものでもよいが、代
表的なものとしては多官能フェノール類、アミン類、イ
ミダゾール化合物、酸無水物などがある。
【0023】多官能フェノール類の例としては、単環二
官能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、
カテコール、多環二官能フェノールであるビスフェノー
ルA、ビスフェノールF、ナフタレンジオール類、ビフ
ェノール類およびこれらのハロゲン化物、アルキル基置
換体などがある。さらにこれらのフェノール類とアルデ
ヒド類との重縮合物であるノボラック、レゾールがあ
る。
【0024】アミン類の例としては、脂肪族の1級、2
級、3級アミン、芳香族の1級、2級、3級アミン、グ
アニジン類、尿素誘導体などがあり、具体的には、トリ
エチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、ジア
ミノジフェニルエーテル、ジシアンジアミド、トリルビ
グアニド、グアニル尿素、ジメチル尿素などがある。
【0025】イミダゾール化合物の例としては、アルキ
ル基置換イミダゾール、ベンズイミダゾールなどがあ
る。
【0026】酸無水物の例としては、無水フタル酸、ヘ
キサヒドロ無水フタル酸、ピロメリット酸二無水物、ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などがある。
【0027】必要に応じて硬化促進剤を配合してもよ
い。代表的なエポキシ樹脂用硬化促進剤としては、3級
アミン、イミダゾール、4級アンモニウム塩などがあ
る。
【0028】また必要に応じて、難燃剤、無機充填剤な
どを配合してもよい。難燃剤としてはテトラブロモビス
フェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、臭素化
フェノール樹脂などの臭素化合物と、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物がある。無
機充填剤としては、アルミナ、シリカ、ガラス、炭酸カ
ルシウム、クレーなどがある。さらに必要に応じて、合
成溶媒以外の溶媒を任意の量添加してもよい。これらの
高分子量エポキシ重合体、多官能エポキシ樹脂、硬化
剤、硬化促進剤は、いかなる方法で混合してもよい。
【0029】溶媒の除去方法としては,加熱乾燥による
方法と減圧乾燥による方法がある。乾燥温度は、高分子
量エポキシ重合体の分解温度(約320℃)以下であれ
ば何度でもよい。乾燥時の雰囲気は、窒素、アルゴン、
ヘリウムなどの不活性ガスか、空気が好ましい。減圧乾
燥における圧力は、大気圧未満であればどの程度であっ
てもよいが、20kPa 以下であることが好ましい。また合
成反応溶媒をその他の溶媒に交換した後に、上記の方法
による溶媒除去を行ってもよい。これらの溶媒除去方法
は、併用することが可能である。
【0030】本発明のフィルム形成能を有するハロゲン
化高分子量エポキシ重合体から得た難燃性エポキシフィ
ルムは、従来のエポキシフィルムでは不可能であった厚
さ100μm以下のフィルムを形成することが可能であ
り、しかも優れた難燃性を有する。また優れた、耐熱
性、耐薬品性、耐溶剤性、引張強度を有する。そして、
熱可塑性樹脂をベースフィルム材料として用いている難
燃性フィルムに比較して、エポキシ樹脂の長所である耐
熱性、耐湿性、耐薬品性、接着性に優れた難燃性エポキ
シフィルムを得ることができる。
【0031】
【作用】本発明者等は、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂とビスフェノールAまたはその誘導体とを原料とする
高分子量エポキシ重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィ
ーによるスチレン換算重量平均分子量が100,000
を越える場合にはアミド系溶媒およびジエチレングリコ
ール系溶媒以外には溶解しないことを確認している。ス
チレン換算重量平均分子量が100,000を越え、し
かもアミド系またはジエチレングリコール系溶媒以外の
溶媒に溶解する場合には、枝分かれの多い高分子量エポ
キシ重合体であることも同時に確認している。
【0032】例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
とテトラブロモビスフェノールAを用いて、エポキシ基
/フェノール性水酸基の当量比を1/0.60〜1/
0.80にして重合させた高分子量エポキシ重合体は、
枝分かれが多いと考えられるが、この範囲の当量比で得
たスチレン換算重量平均分子量130,000の高分子
量エポキシ重合体は、ケトン系溶媒であるメチルエチル
ケトンに溶解する。それに対して、エポキシ基/フェノ
ール性水酸基の当量比を1/0.99〜1/1.01に
して、ジエチレングリコール系溶媒中で重合させたスチ
レン換算重量平均分子量98.000の高分子量エポキ
シ重合体は、直鎖状の高分子量エポキシ重合体と考えら
れるが、メチルエチルケトンには溶解しない。直鎖状高
分子量エポキシ重合体がメチルエチルケトンにすべて溶
解するためには、スチレン換算重量平均分子量は、約2
0,000以下であることが必要である。
【0033】直鎖状高分子の枝分かれの程度を正確に測
定することは現在はできないが、分子量が同じであれ
ば、枝分かれが多いほど直鎖部分の長さが短くなり、種
々の特性に影響を与えると考えられる。物性面では、直
鎖状高分子の熱可塑性樹脂と、枝分かれの多い架橋高分
子である熱硬化性樹脂とを比較すればよいと考えられ
る。直鎖状高分子である熱可塑性樹脂は、一般的には熱
硬化性樹脂に比べて、耐衝撃性が強く、伸びが大きい。
その結果、ほとんどの熱可塑性樹脂は、十分な強度のフ
ィルム形成能を有する。
【0034】本発明にかかるエポキシ重合体は直鎖状構
造を有し、難燃性エポキシベースフィルムが高強度であ
ることから、100μm以下の薄膜化が可能であり、し
かも耐熱性、耐湿性、耐薬品性も良好である。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】[実施例1]二官能エポキシ樹脂としてビ
スフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:17
1.5)171.5g、ハロゲン化二官能フェノール類
としてテトラブロモビスフェノールA(水酸基当量:2
71.9)271.9g、エーテル化触媒として水酸化
ナトリウム1.20gをジエチレングリコール系溶媒で
あるジエチレングリコールモノメチルエーテル103
7.4gに溶解させ、反応系中の固形分濃度を30%と
した。これを機械的に攪拌しながら、オイルバス中で反
応系中の温度を100℃に保ち、そのまま8h保持し
た。その結果、粘度が7,200mPa.sで飽和し、
反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重合体の重
量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって
測定した結果では182,000、光散乱法によって測
定した結果103,000であった。また稀薄溶液の還
元粘度は0.95dl/gであった。得られた溶液をガ
ラス板に塗布し、乾燥器中で200℃/1h加熱乾燥す
ることによって溶媒を除去し、厚さ25μmの難燃性エ
ポキシフィルムを得た。フィルムの引張強さは54MP
a、引張弾性率は2,400MPa、伸びは10%、T
gは122℃、熱分解温度は330℃であった。12.
7mm×127mmに切断したフィルムをガスバーナの火炎
中に10秒間さらした後、火炎から遠ざけて、燃焼して
いる時間は平均2秒であった。
【0037】[実施例2]実施例1における触媒である
水酸化ナトリウム1.20gの代わりに水酸化リチウム
0.66gを用いた以外は、実施例1と同様にして、高
分子量エポキシ重合体を得た。ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテルの30%溶液粘度は19,700mP
a.s、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ
ーによって測定した結果では285,000、光散乱法
によって測定した結果では198,000であった。ま
た稀薄溶液の還元粘度は1.19dl/gであった。得
られた高分子量エポキシ重合体溶液から実施例1と同様
にして、厚さ27μmの難燃性エポキシフィルムを得
た。フィルムの引張強さは65MPa、引張弾性率は
2,900MPa、伸びは16%、Tgは126℃、熱
分解温度は331℃であった。12.7mm×127mmに
切断したフィルムをガスバーナの火炎中に10秒間さら
した後、火炎から遠ざけて、燃焼している時間は平均1
秒であった。
【0038】[実施例3]実施例2における反応溶媒で
あるジエチレングリコールモノメチルエーテルの代わり
にジエチレングリコールモノエチルエーテルを用いた以
外は、実施例2と同様にして、高分子量エポキシ重合体
を得た。ジエチレングリコールモノエチルエーテルの3
0%溶液粘度は15,800mPa.s、重量平均分子
量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した結
果では172,000、光散乱法によって測定した結果
では103,000であった。また稀薄溶液の還元粘度
は1.18dl/gであった。得られた高分子量エポキ
シ重合体溶液から実施例1と同様にして、厚さ22μm
の難燃性エポキシフィルムを得た。フィルムの引張強さ
は60MPa、引張弾性率は2,200MPa、伸びは
7%、Tgは125℃、熱分解温度は329℃であっ
た。12.7mm×127mmに切断したフィルムをカスバ
ーナの火炎中に10秒間さらした後、火炎から遠ざけ
て、燃焼している時間は平均3秒であった。
【0039】[実施例4]実施例2で得た高分子量エポ
キシ重合体溶液に、多官能エポキシ樹脂としてクレゾー
ルノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:198)
146g、硬化剤としてフェノールノボラック(水酸基
当量:106)78g、硬化促進剤として2−エチル−
4メチルイミダゾール0.73gを配合し、希釈溶媒と
してN,N−ジメチルアセトアミドを加えて濃度を20
%とした後、機械的に1h攪拌した。得られたワニスを
ガラス板上に塗布し、真空乾燥器中で110℃/1h減
圧乾燥して、厚さ28μmの難燃性エポキシ接着フィル
ムを得た。難燃性エポキシ接着フィルムの引張強さは5
8MPa、引張弾性率は2,700MPa、伸びは10
%、Tgは95℃、軟化点は107℃、熱分解温度は3
29℃であった。12.7mm×127mmに切断したフ
ィルムをガスバーナの火炎中に10秒間さらした後、火
炎から遠ざけて、燃焼している時間は平均3秒であっ
た。難燃性エポキシ接着フィルムを35μm厚の銅箔に
挟んで170℃/10min、1MPaの条件で成形し
た場合の銅箔引き剥がし強さは1.4kN/mであっ
た。硬化したフィルムのTgは、130℃であった。ト
ルエン、塩化メチレン、10%塩酸、10%水酸化ナト
リウム水溶液に30min浸しても異常はなかった。
【0040】[実施例5]実施例4における硬化剤であ
るフェノールノボラックをジシアンジアミド4.5gに
代えた以外は実施例4と同様にして厚さ30μmの難燃
性エポキシ接着フィルムを得た。難燃性エポキシ接着フ
ィルムの引張強さは62MPa、引張弾性率は2,50
0MPa、伸びは6%、Tgは79℃、軟化点は95
℃、熱分解温度は315℃であった。実施例4と同様に
して測定した燃焼時間は7秒であった。実施例4と同様
に成形した場合の銅箔引き剥がし強さは1.9kN/で
あった。硬化したフィルムのTGは、138℃であっ
た。また耐溶剤性、耐薬品性も良好であった。
【0041】[実施例6]実施例4における硬化剤であ
るフェノールノボラックを2−フェニルイミダゾール3
gに代えた以外は実施例4と同様にして厚さ25μmの
難燃性エポキシ接着フィルムを得た。難燃性エポキシ接
着フィルムの引張強さは61MPa、引張弾性率は2,
300MPa、伸びは8%、TGは88℃、軟化点は9
7℃、熱分解温度は327℃であった。実施例4と同様
にして測定した燃焼時間は3秒であった。実施例4と同
様に成形した場合の銅箔引き剥がし強さは1.6kN/
mであった。硬化したフィルムのTgは、149℃であ
った。また耐溶剤性、耐薬品性も良好であった。
【0042】[実施例7]実施例4における接着フィル
ムの作製方法である、ワニスをガラス板上に塗布した
後、真空乾燥器中で100℃/1h減圧乾燥することに
代えて、ワニスをガラス板に塗布した後、イソプロパノ
ール中に30min浸漬し、続いて乾燥器中で100℃
/0.5h加熱乾燥した以外は、実施例4と同様にして
厚さ31μmの難燃性エポキシ接着フィルムを得た。難
燃性エポキシ接着フィルムの引張強さは63MPa、引
張弾性率は2,600MPa、伸びは15%、Tgは8
4℃、軟化点は92℃、熱分解温度は325℃であっ
た。実施例4と同様にして測定した燃焼時間は4秒であ
った。実施例4と同様に成形した場合の銅箔引き剥がし
強さは1.7kN/mであった。硬化したフィルムのT
gは、140℃であった。また耐溶剤性、耐薬品性も良
好であった。
【0043】[比較例1]難燃性高分子量エポキシ樹脂
であるフェノキシ樹脂YP50P(東都化成)の平均分
子量を測定した。ゲル浸透クロマトグラフィーによるス
チレン換算重量平均分子量は、68,000、光散乱に
よる平均分子量は58,000であった。また稀薄溶液
の還元粘度は0.48dl/gであった。この樹脂はメ
チルエチルケトンに容易に溶解した。またN,N−ジメ
チルアセトアミド20%溶液の粘度は200mPa.s
であった。得られたワニスをガラス板に塗布し、乾燥器
中で170℃/1h加熱乾燥することによって溶媒を除
去したが、厚さ200μm以下の引張強度10MPa以
上のエポキシフィルムは得られなかった。
【0044】[比較例2]実施例1における反応溶媒で
あるジエチレングリコールモノエチルエーテルをメチル
イソブチルケトンに代えた以外は、実施例1と同様にし
て高分子量エポキシ重合体を得た。メチルイソブチケト
ンの30%溶液粘度は、150mPa.s、重量平均分
子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した
結果では38,000、光散乱法によって測定した結果
では21,000であった。また稀薄溶液の還元粘度は
0.27dl/gであった。得られた高分子量エポキシ
重合体溶液から実施例1と同様にして、難燃性エポキシ
フィルムを得ようとしたが,厚さ200μm以下の引張
強度10MPa以上のエポキシフィルムは得られなかっ
た。
【0045】以上の実施例および比較例における実験方
法の詳細を以下に示す。フェノール配合当量は、エポキ
シ樹脂1.000当量に対するフェノール類の配合当量
である。粘度はEMD型粘度計(東京計器)を用いて測
定した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に使用
したカラムは、TSKgeIG6000+G5000+G4000+G3000+G2000
である。溶離液には、N,N−ジメチルアセトアミドを
使用し、試料濃度は2%とした。様々な分子量のスチレ
ンを用いて分子量と溶出時間の関係を求めた後、溶出時
間から分子量を算出し、スチレン換算重量平均分子量と
した。
【0046】光散乱光度計は、大塚電子(株)製DLS
−700を用いた。稀薄溶液の還元粘度は、ウベローデ
粘度計を用いて測定した。引張強度、伸び、引張弾性率
は、東洋ボールドウィン製テンシロンを用いた。フィル
ム試料サイズは50×10mm、引張り速度は5mm/
minとした。
【0047】ガラス転移温度(Tg)は、デュポン社製
910示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。熱
分解温度は、真空理工製の示差熱天秤TGD−3000
を用いて、空気中での減量開始温度を熱分解温度とし
た。
【0048】比較例1に示すように、市販の高分子量エ
ポキシ重合体であるフェノキシ樹脂を用いた場合には、
200μm以下のエポキシフィルムは成形できなかっ
た。また、比較例2に示すように、アミド系以外の溶媒
であるメチルイソブチルケトンを反応溶媒として用いた
場合にも、200μm以下のエポキシフィルムは成形で
きなかった。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、従来得られなかった2
00μm以下、さらには100μm以下で十分な強度を
有する難燃性エポキシフィルムの提供が可能になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−56722(JP,A) 特開 平1−304110(JP,A) 特開 昭62−79224(JP,A) 特公 昭38−20988(JP,B1)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二官能エポキシ樹脂とハロゲン化二官能
    フェノール類を、エポキシ基/フェノール性水酸基=
    1:0.9〜1.1の当量比で、触媒の存在下、ジエチ
    レングリコール系溶媒中、反応濃度50重量%以下、反
    応温度60〜150℃の条件下で、加熱して重合させて
    得た高分子量エポキシ重合体からなることを特徴とする
    難燃性エポキシフィルム。
  2. 【請求項2】 二官能エポキシ樹脂とハロゲン化二官能
    フェノール類を、エポキシ基/フェノール性水酸基=
    1:0.,9〜1.1の当量比で、触媒の存在下、ジエ
    チレングリコール系溶媒中、濃度50重量%以下、反応
    温度60〜150℃の条件下で、加熱して重合させて得
    た高分子量エポキシ重合体に、多官能エポキシ樹脂、硬
    化剤を配合して成ることを特徴とする難燃性エポキシフ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 高分子量エポキシ重合体のゲル浸透クロ
    マトグラフィーによるスチレン換算重量平均分子量また
    は光散乱法による平均分子量が50,000以上である
    ことを特徴とする請求項1乃至2に記載の難燃性エポキ
    シフィルム。
  4. 【請求項4】 高分子量エポキシ重合体の稀薄溶液の還
    元粘度が0.50dl/g以上であることを特徴とする
    請求項1乃至2に記載の難燃性エポキシフィルム。
  5. 【請求項5】 高分子量エポキシ重合体の稀薄溶液の還
    元粘度が0.70dl/g以上であることを特徴とする
    請求項1乃至2に記載の難燃性エポキシフィルム。
  6. 【請求項6】 得られた100μm以下の難燃性エポキ
    シフィルムの引張り強さが10MPa以上であることを
    特徴とする請求項1乃至2に記載の難燃性エポキシフィ
    ルム。
  7. 【請求項7】 得られた難燃性エポキシフィルムの厚さ
    が200μm以下であることを特徴とする請求項1乃至
    2に記載の難燃性エポキシフィルム。
  8. 【請求項8】 高分子量エポキシ重合体合成時の固形分
    濃度が30%以下であることを特徴とする請求項1乃至
    2に記載の難燃性エポキシフィルム。
  9. 【請求項9】 ハロゲン化二官能フェノール類が臭素化
    ビスフェノールAであることを特徴とする請求項1乃至
    2に記載の難燃性エポキシフィルム。
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