JPH09316192A - ポリアミドの製造方法 - Google Patents

ポリアミドの製造方法

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JPH09316192A
JPH09316192A JP13855596A JP13855596A JPH09316192A JP H09316192 A JPH09316192 A JP H09316192A JP 13855596 A JP13855596 A JP 13855596A JP 13855596 A JP13855596 A JP 13855596A JP H09316192 A JPH09316192 A JP H09316192A
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mol
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polymer
polymerization
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JP13855596A
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English (en)
Inventor
Yoji Okushita
洋司 奥下
Tadashi Miura
正 三浦
Hideki Fujimura
英樹 藤村
Takashi Amane
隆志 天根
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の方法は、ジアミン成分としてのメタ
キシリレンジアミンを必須成分とし、特定の芳香族ジカ
ンルボン酸をジカルボン酸成分とし、これらと特定の脂
肪族ω−アミノカルボン酸を原料として用い、210℃
以下の温度で数平均分子量が1500以上のオリゴマー
を製造し、続いてこのオリゴマーを用いて、ポリマーの
融点+10℃〜280℃の温度で溶融重合するか、ある
いはポリマーのガラス転移温度〜融点−10℃の温度で
固相重合するか、または、前記範囲の温度で溶融重合し
た後、前記範囲の温度で固相重合することによりポリア
ミドを製造する方法に関する。 【効果】 本発明の方法によって得られるポリアミド
は、ゲルや黄着色のない均質で良好なポリアミドであ
り、食品、医薬品あるいは化粧品などの包装材料として
好適に使用され得るガスバリヤー性フィルムを提供する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の成分および
組成からなるポリアミドの製造方法に関する。さらに詳
しくは、メタキシリレンジアミン成分単位を必須成分と
するガスバリヤー性包装材料として好適なポリアミドの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】メタキシリレンジアミンを原料とするポ
リアミドの製造において、均質で良好なポリアミドを製
造するには、重合中にゲル化を起こさせないことが重要
である。それには、ゲル化の主要因と考えられているメ
タキシリレンジアミン2量化脱アンモニア反応によって
起こる第2級アミンの生成を極力抑えたポリアミドの製
造方法を確立することが要求される。
【0003】従来、メタキシリレンジアミンを原料とす
る均質で良好なポリアミドを製造する方法として、重合
温度、重合時間、水蒸気圧力などを厳密に管理してアミ
ノ基の分解を極力抑制する方法(特公昭35−7596
号公報参照)やε−カプロラクタムと共重合化すること
によって、得られるポリアミドの融点を低下させ、穏や
かな温度条件で製造する方法(特公昭40−1457号
公報参照)などが提案されている。また、特公昭47−
51480号公報には、メタキシリレンジアミンまたは
パラキシリレンジアミンを30モル%以下含むメタパラ
混合キシリレンジアミンを原料とするポリアミドの製造
において、着色やゲルのないポリアミドを得るために、
生成するポリアミドの相対粘度が特定の範囲となるよう
に重縮合系中に存在する水による逆反応を伴う反応を適
用することにより重縮合反応速度を制御し、最終工程を
加圧または常圧にして重縮合を完了する製造方法が報告
されている。
【0004】しかしながら、特公昭35−7596号公
報に記載の方法では、重合温度、重合時間および重合系
内の水蒸気圧力を厳密に管理することが必要で、ポリマ
ーの種類や製造のスケールが変わると、その都度製造条
件を変更しなければならず、工業的に利用するのに極め
て不便な方法である。また、特公昭40−1457号公
報に記載の方法は、主眼点が特定範囲の量のε−カプロ
ラクタムとの共重合化により、穏やかな条件でポリアミ
ドを製造し、アンモニアの生成を抑制することにあり、
メタキシリレンジアミンを原料とするポリアミドの製造
条件については言及していない。さらに、特公昭47−
51480号公報に記載の方法は、重合過程の最終工程
における水蒸気圧力のみを調節することによってゲルの
ない良好な重合物を製造する方法であるが、以下に詳述
する本発明者らの知見によれば、ゲル化を抑制するに
は、初期重合時の温度とその時に生成するポリアミドの
分子量の制御が極めて重要であり、当該方法における最
終工程での水蒸気圧力のみを適宜調節すれば得られるポ
リアミドのゲル化が抑えられるとは考え難い。
【0005】一方、特公平1−14925号公報には、
メタキシリレンジアミンを70モル%以上含有するジア
ミン成分とアジピン酸を80モル%以上含有するジカル
ボン酸成分とをジカルボン酸成分の融点以上の温度で常
圧下に重縮合反応せしめ、反応率が95%に達する以前
に反応系の温度を最終的に生成するポリアミドの融点よ
りも30℃低い温度以上に制御する、着色のない均質な
ポリアミドの製造方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法は、実質的にジカルボン酸成分としてアジピン酸やセ
バシン酸などのような脂肪族アルキレンジカルボン酸を
用いる場合にのみ可能であり、本発明の方法のように、
イソフタル酸やテレフタル酸のような高融点の芳香族ジ
カルボン酸をジカルボン酸成分として用いるポリアミド
の製造方法には実質的に用いることができない。そこ
で、本発明の目的は、ジアミン成分原料であるメタキシ
リレンジアミンを必須成分とし、下記一般式(I)
【化4】 で表わされる芳香族ジカルボン酸をジカルボン酸成分原
料とし、さらに、炭素原子数4〜12の脂肪族ω−アミ
ノカルボン酸を原料とするポリアミドを製造する方法に
おいて、メタキシリレンジアミン間の2量化脱アンモニ
ア反応によって生成する第2級アミンのアミノ基濃度
(〔NH〕)を実質的にゼロに抑えた、ゲルや黄着色の
ない均質で良好なフィルム成形性のあるポリアミドの製
造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ジアミン
成分としてのメタキシリレンジアミンと、ジカルボン酸
成分としての芳香族ジカルボン酸と、さらに、炭素原子
数4〜12の脂肪族ω−アミノカルボン酸とを原料とす
るゲルや黄着色のない均質で良好なポリアミドを製造す
る方法について鋭意検討を重ねた結果、まず初期重合に
おいて、ジアミン成分単位としてのメタキシリレンジア
ミン成分単位が25〜50モル%、ジカルボン酸成分単
位としての前記一般式(I)で表わされる芳香族ジカル
ボン酸成分単位が25〜50モル%、および、炭素原子
数が4〜12の脂肪族ω−アミノカルボン酸成分単位が
0〜50モル%(ただし、ジアミン成分単位とジカルボ
ン酸成分単位は等モル%であり、かつ、ジアミン成分単
位、ジカルボン酸成分単位および脂肪族ω−アミノカル
ボン酸成分単位の合計は100モル%である)から構成
される数平均分子量が1500以上のオリゴマーを21
0℃以下の温度で製造し、続いて、このオリゴマーを用
いて、得られるポリマーの融点より10℃高い温度以
上、280℃以下の範囲の温度で溶融重合するか、ある
いは得られるポリマーのガラス転移温度以上、融点より
10℃低い温度以下の範囲の温度で固相重合するか、ま
たは、得られるポリマーの融点より10℃高い温度以
上、280℃以下の範囲の温度で溶融重合した後、該ポ
リマーのガラス転移温度以上、融点より10℃低い温度
以下の範囲の温度で固相重合することにより、ゲルや黄
着色のない均質で良好なポリアミドが得られることを見
出し、本発明を完成するに到った。
【0008】すなわち、請求項1に記載の第1の発明
は、(A)ジアミン成分単位としてのメタキシリレンジ
アミン成分単位が25〜50モル%、(B)ジカルボン
酸成分単位としての前記一般式(I)で表わされる芳香
族ジカルボン酸成分単位が25〜50モル%、および、
(C)炭素原子数が4〜12の脂肪族ω−アミノカルボ
ン酸成分単位が0〜50モル%(ただし、成分単位
(A)と成分単位(B)は等モル%であり、かつ、成分
単位(A)、(B)および(C)の合計は100モル%
である)から構成される数平均分子量が1500以上の
オリゴマーを、210℃以下の温度での前重合によって
製造し、続いてこのオリゴマーを用いて、得られるポリ
マーの融点より10℃高い温度以上、280℃以下の範
囲の温度で溶融重合することを特徴とするポリアミドの
製造方法を提供することによって達成できる。
【0009】請求項2に記載の第2の発明は、(A)ジ
アミン成分単位としてのメタキシリレンジアミン成分単
位が25〜50モル%、(B)ジカルボン酸成分単位と
しての前記一般式(I)で表わされる芳香族ジカルボン
酸成分単位が25〜50モル%、および、(C)炭素原
子数が4〜12の脂肪族ω−アミノカルボン酸成分単位
が0〜50モル%(ただし、成分単位(A)と成分単位
(B)は等モル%であり、かつ、成分単位(A)、
(B)および(C)の合計は100モル%である)から
構成される数平均分子量が1500以上のオリゴマー
を、210℃以下の温度での前重合によって製造し、続
いてこのオリゴマーを用いて、得られるポリマーのガラ
ス転移温度以上でかつその融点より10℃低い温度以下
の範囲の温度において固相重合することを特徴とするポ
リアミドの製造方法を提供することによって達成でき
る。
【0010】そして、請求項3に記載の第3の発明は、
(A)ジアミン成分単位としてのメタキシリレンジアミ
ン成分単位が25〜50モル%、(B)ジカルボン酸成
分単位としての前記一般式(I)で表わされる芳香族ジ
カルボン酸成分単位が25〜50モル%、および、
(C)炭素原子数が4〜12の脂肪族ω−アミノカルボ
ン酸成分単位が0〜50モル%(ただし、成分単位
(A)と成分単位(B)は等モル%であり、かつ、成分
単位(A)、(B)および(C)の合計は100モル%
である)から構成される数平均分子量が1500以上の
オリゴマーを、210℃以下の温度での前重合によって
製造し、続いてこのオリゴマーを用いて、得られるポリ
マーの融点より10℃高い温度以上、280℃以下の範
囲の温度で溶融重合した後、該ポリマーのガラス転移温
度以上でかつその融点より10℃低い温度以下の範囲の
温度において固相重合することを特徴とするポリアミド
の製造方法を提供することによって達成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の方法について詳細
に説明する。本発明の方法により得られるポリアミドを
構成する成分の原料としては、ジアミン成分原料(A)
としてのメタキシリレンジアミンと、次に具体的に示す
ジカルボン酸、またはこれらから得られる塩、ω−アミ
ノカルボン酸、あるいは三員環以上のラクタムなどがそ
れぞれ好適に用いられる。ジカルボン酸成分原料(B)
としての前記一般式(I)で表わされる芳香族ジカルボ
ン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、
1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレン
ジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,
5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−
ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフ
タレンジカルボン酸、1,3−アントラセンジカルボン
酸、1,4−アントラセンジカルボン酸、1,5−アン
トラセンジカルボン酸、1,9−アントラセンジカルボ
ン酸、2,3−アントラセンジカルボン酸および9,1
0−アントラセンジカルボン酸などを挙げることができ
る。
【0012】また、炭素原子数が4〜12の脂肪族ω−
アミノカルボン酸単位を構成する成分(C)としては、
例えば、ε−アミノカプロン酸、ω−アミノヘプタン
酸、ω−アミノノナン酸、ω−アミノウンデカン酸およ
びω−アミノドデカン酸などのω−アミノカルボン酸、
ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ウン
デカンラクタム、ω−ドデカラクタム、α−ピロリド
ン、δ−メチルピロリドンおよびα−ピペリドンなどの
環状アミド化合物(三員環以上のラクタム)などを挙げ
ることができる。
【0013】本発明の初期重合(前重合工程)において
は、例えば、粉末状の上記原料(メタキシリレンジアミ
ンと芳香族ジカルボン酸またはこれらから得られる塩、
ω−アミノカルボン酸、あるいは三員環以上のラクタム
など)をドライブレンドするかあるいは塩および/また
はモノマーの水溶液の形で混合するかなどして、あらか
じめ所定の割合に混合されたこれらの原料あるいはこれ
らの原料と所定量の水とを重合槽に仕込み、攪拌しなが
ら所定条件で重合することによりオリゴマーを得ること
ができる。
【0014】本発明の方法において、前記各原料は、得
られるオリゴマーにおいて、(A)ジアミン成分単位と
してのメタキシリレンジアミン成分単位が25〜50モ
ル%、(B)ジカルボン酸成分単位としての前記一般式
(I)で表わされる芳香族ジカルボン酸成分単位が25
〜50モル%、および、(C)炭素原子数が4〜12の
脂肪族ω−アミノカルボン酸成分単位が0〜50モル%
(ただし、成分単位(A)と成分単位(B)は等モル%
であり、かつ、成分単位(A)、(B)および(C)の
合計は100モル%である)であるような割合で混合さ
れる必要がある。
【0015】本発明の加圧下での前重合工程における重
合温度は、210℃以下であるべきであり、好ましくは
150℃以上、210℃以下である。重合温度が210
℃を越えると、副反応によるオリゴマー中の第2級アミ
ンのアミノ基濃度(〔NH〕)の増大やオリゴマーの黄
着色、また、後重合時のゲル化などが発生するので好ま
しくない。また、重合温度が150℃未満であると、重
合時間が著しく長くなり効率的でなくなるので、生産性
の面からは望ましい状態とは言えない。本発明の方法に
おいて、前重合工程における重合系内の圧力は、その時
の前重合装置内の圧力であり、主としてオリゴマーと水
との混合物が示す重合平衡時の水蒸気圧力である。した
がって、重合系内の圧力、すなわち水蒸気圧力は、上述
の重合温度および後述する水の量によって飽和水蒸気圧
力以下の圧力に適宜調節することができ、特に制限はな
いが、3kgf/cm2 G(ただし、Gはゲージ圧を示
す。以下において同じ)以上飽和水蒸気圧力以下、好ま
しくは4kgf/cm2 G以上飽和水蒸気圧力以下の圧
力であるべきである。重合系内の圧力が3kgf/cm
2 Gより低いと、重合系が固相状態で不均一重合になる
可能性があり好ましくない。そして、重合系の圧力が3
kgf/cm2 G以上、4kgf/cm2 G未満の範囲
である場合は、上記の好ましくない現象が発生する傾向
が見られる。なお、この圧力は、例えば前重合装置に直
結された水蒸気の排出ライン内に設けられたバルブなど
によって調節することができる。
【0016】本発明の方法において、前重合時に所定量
の前記粉末状原料と所定量の水とを前重合装置に仕込む
場合、該前重合装置に供給される水としては、特に制限
されるものではないが、イオン交換水などの純水または
蒸留水などが好ましい。前重合装置内における水の存在
は、該前重合装置に供給される水、および、該前重合装
置に供給される前記原料の重縮合反応によって生成する
水に基づくものであり、この水の存在が、前重合装置内
における水蒸気圧力による前記圧力の保持を可能にする
とともに、得られるオリゴマーの分子量を決定するので
ある。
【0017】前重合装置内に存在する水の量は、前重合
装置の種類、形状や大きさなど、前重合装置への前記原
料あるいは前記原料と水の仕込量、および、前重合装置
の温度・圧力条件などによって決まってくるものであり
一概には言えないが、前重合装置への前記原料の仕込み
基準で、前記原料の合計量100重量部当たり100重
量部以下、好ましくは50重量部以下であることが望ま
しい。水の量が前記原料の合計量100重量部当たり1
00重量部より多いと、前記原料の、メタキシリレンジ
アミンと芳香族ジカルボン酸、またはこれらから得られ
る塩、あるいはω−アミノカルボン酸の重縮合反応、あ
るいはまた前記原料のラクタムの開環後の重縮合反応が
十分進行せず、得られるオリゴマーの重合度が小さくな
り、したがって、後重合工程において、重合度が上がら
ないので好ましくない。なお、水の量が前記原料の合計
量100重量部当たり50重量部を越え100重量部未
満の場合には、この好ましくない現象が発生することが
ある。
【0018】本発明の方法において、前記オリゴマーの
分子量は、該オリゴマーの末端基濃度(アミノ基濃度
(〔NH2 〕)およびカルボキシル基濃度(〔COO
H〕))から求められる数平均分子量(以下「Mn」と
略記する)が1500以上、好ましくは1500〜30
00であることが望ましい。そのために、前記条件(重
合温度、重合圧力、前記原料の仕込み量に対する水の供
給量比など)で前重合を行い、続いて、210℃以下の
温度において常圧以下の圧力まで放圧し、副生した縮合
水を除去した後に、後重合工程に移る必要がある。前記
オリゴマーのMnが1500未満であると、後重合時に
ジアミン成分の系外への留去による末端基濃度のアンバ
ランスを起こし、分子量が大きくならなかったり、メタ
キシリレンジアミン間の脱アンモニア2量化に伴う副反
応などを起こしやすく、第2級アミン濃度(〔NH〕)
が増大することがある。それは、後重合をまず溶融下で
行う場合、前記加圧下での前重合に比べてより高温で行
われる常圧下および/または減圧下における後重合にお
いて、先に述べた210℃を越える好ましくない温度で
前記原料モノマーを重合することと実質的に変わりがな
く、副反応が顕著になったり、ジアミン成分などの蒸発
により末端基濃度バランスが崩れたりして、最終的に得
られるポリアミドに対し物性的に好ましくない影響を与
えるのである。一方、前記オリゴマーのMnを3000
より大きくするには、前記前重合条件下での重合では長
時間の加熱状態に置く必要があるために、最終的に得ら
れるポリアミドの物性に好ましくない影響を与える可能
性がある。
【0019】そして、常圧以下の圧力まで放圧すること
による副生した縮合水の除去を行わなかった場合、続い
て行われる常圧下および/または減圧下での後重合工程
において、前記オリゴマーの重縮合反応が十分進行せ
ず、得られるポリアミドの分子量の上昇が十分でないの
で好ましくない。また、前重合後、210℃を越える温
度において常圧以下の圧力まで放圧した場合、副反応に
よる分岐構造の生成、着色および常圧下および/または
減圧下での後重合工程におけるゲル化などが発生するの
で好ましくない。
【0020】また、本発明の方法において、前重合を行
う装置(前重合装置)については、特に制限がなく、バ
ッチ反応釜、または1槽式ないし多槽式の連続反応装
置、管状連続反応装置など公知のものが使用できる。こ
れらの中でも、オリゴマーの重合時間を均一にするため
には、バッチ反応釜が好ましく用いられる。
【0021】本発明の方法においては、以上にようにし
て得られたオリゴマーは、次の後重合工程において高分
子量化され、フィルム成形性を有する、本発明に特徴的
な性質を持つポリアミドが得られるのである。
【0022】本発明の第1の発明の方法における常圧下
および/または減圧下での後重合工程では、最終的に得
られるポリアミドの融点+10℃〜280℃、好ましく
は該融点+20℃〜270℃の範囲の温度で溶融重合す
ることにより、最終的なポリアミドを得ることができ
る。溶融重合時の重合温度が最終的に得られるポリアミ
ドの融点+10℃より低いと、ポリマー(ポリアミド)
が完全に溶融していない場合があり、製造中に部分固化
するなどして目的のポリアミドを安定的に製造できなく
なる可能性がある。また、溶融重合時の重合温度が28
0℃より高くなると、熱劣化により最終的に得られるポ
リアミドの着色や機械的物性の低下をもたらすので好ま
しくない。なお、これらの好ましくない現象の発生を確
実に抑えるためには、溶融重合時の重合温度は上述の好
ましい範囲内とすることが必要である。
【0023】また、第2の発明の方法における常圧下お
よび/または減圧下での後重合工程では、最終的に得ら
れるポリアミドのガラス転移温度以上でかつその融点よ
り10℃低い温度以下の範囲の温度、好ましくは最終的
に得られるポリアミドのガラス転移温度以上でかつその
融点より20℃低い温度以下の範囲の温度において固相
重合することにより、最終的なポリアミドを得ることが
できる。固相重合時の重合温度が最終的に得られるポリ
アミドのガラス転移温度より低いと、実質的に重合は進
行せず、また、最終的に得られるポリアミドの融点より
10℃以内の低い温度であると、ポリマーが部分的に溶
融して安定的に固相重合できない可能性がある。なお、
これらの好ましくない現象の発生を確実に抑えるために
は、固相重合時の重合温度は上述の好ましい範囲内とす
ることが必要である。本発明の方法における固相重合
は、常圧下および/または減圧下において実施され、常
圧下においては重合中の酸化劣化、着色などを抑えるた
めに窒素ガスなどの不活性ガスの流通下において実施さ
れることが好ましい。
【0024】また、第3の発明の方法における常圧下お
よび/または減圧下での後重合工程では、最終的に得ら
れるポリアミドの融点+10℃〜280℃、好ましくは
該融点+20℃〜270℃の範囲の温度で溶融重合した
後、該ポリアミドのガラス転移温度以上でかつその融点
より10℃低い温度以下の範囲の温度、好ましくは該ポ
リアミドのガラス転移温度以上でかつその融点より20
℃低い温度以下の範囲の温度において固相重合すること
により、最終的なポリアミドを得ることができる。溶融
重合時や固相重合時の重合温度が上記範囲を外れる場
合、前述の第1の発明の方法や第2の発明の方法におけ
る常圧下および/または減圧下での後重合工程における
場合と同様な好ましくない現象が発生する可能性があ
る。また、溶融重合後の固相重合を常圧下で行う場合に
は、前記第2の発明の方法における後重合工程の場合と
同様、窒素ガスなどの不活性ガスの流通下において実施
することが好ましい。
【0025】次に、後重合時の圧力は、前述したよう
に、常圧および/または減圧であり、溶融重合を行う場
合、好ましくは50〜760mmHg、特に好ましくは
100〜760mmHgであり、固相重合を行う場合、
好ましくは1〜760mmHg、特に好ましくは10〜
760mmHgである。溶融重合を行う場合または固相
重合を行う場合における圧力が760mmHgを越える
加圧下では、オリゴマー中に含まれる水およびオリゴマ
ーの重縮合反応による副生水に基づく水蒸気の系外への
排気が積極的に行われず、したがって、オリゴマーの重
縮合反応が十分進行しないので好ましくない。また、圧
力が50mmHg未満(溶融重合を行う場合)もしくは
1mmHg未満(固相重合を行う場合)では、オリゴマ
ーの重縮合反応に対するそれ以上の促進効果が望めない
ばかりか、前記排気のための減圧設備に多大のコストが
かかるなど好ましくない。なお、上記排気は、後述する
後重合装置に少なくとも1個のベント口を設け、該ベン
ト口を大気開放状態にするか、あるいは、該ベント口を
ナッシュポンプ、メカニカルブースター、スチームエゼ
クターなどの公知の真空設備に接続して強制的に排気す
るなどして行われる。
【0026】上記常圧下および/または減圧下における
重合時間は、分子量が十分上がり、かつ、重合物(ポリ
アミド)が熱分解を生じないように選ばれるべきであ
り、通常、溶融重合を行う場合は0.1〜8時間であ
り、固相重合を行う場合は0.5〜20時間である。重
合時間が前記範囲より短いと、重合物の分子量の上昇が
十分でなく、長いと、重合物が熱劣化を起こし、いずれ
の場合も所望の物性を有するポリアミドを得ることがで
きなくなるので好ましくない。
【0027】本発明の方法においては、以上の諸条件に
よりポリアミドを得ることができるが、本発明のポリア
ミドを製造するためのプロセスは、特に制限はなく、バ
ッチプロセスであっても、連続プロセスであってもよ
い。バッチプロセスの場合、前記前重合工程と後重合工
程を一つの反応装置で行ってもよいし、あるいは、前重
合工程のみを加圧反応釜で行い、後重合工程において溶
融重合を行う(第1の発明の方法および第3の発明の方
法)なら、該溶融重合は、滞留時間は短いが、表面更新
性に優れる混練押出機(単軸型混練押出機、2軸型混練
押出機および多軸型混練押出機など)および特公平4−
32096号公報に開示された横型第二重合槽(二軸混
合攪拌機)などの装置を用いて行っても構わない。そし
て、後重合工程において固相重合を行う(第2の発明の
方法および第3の発明の方法)なら、該固相重合は、前
記加圧反応釜を用いて得られたオリゴマー、または、前
記加圧反応釜を用いた加圧前重合と前記混練押出機や二
軸混合攪拌機などを用いた溶融重合とを経て得られた重
合物を原料として、静置系あるいはブレンダーやナウタ
ーミキサーなどを用いた攪拌系で実施される。また、連
続プロセスの場合、1槽式ないし多槽式の連続反応装置
あるいは管状連続反応装置などの公知のものが使用され
得る。
【0028】このようにして得られる本発明のバリヤー
フィルム用ポリアミドは、前述したようなポリアミド形
成成分単位からなるホモポリアミドもしくはコポリアミ
ドであり、Mnが7000〜30000の範囲にあるも
のである。Mnが7000未満では、所望のフィルム物
性を有するポリアミドが得られないので好ましくなく、
30000を越えると、得られるポリアミドは、溶融時
の粘度が高くなり溶融成形が困難になるので好ましくな
い。
【0029】本発明の方法においては、前記前重合また
は後重合に際して、必要ならば重合促進剤として無機系
リン化合物などを添加しても問題はない。無機系リン化
合物としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリ
ン酸、ポリリン酸ならびにこれらのアルカリ金属塩やア
ルカリ土類金属塩などが好適に用いられる。これら無機
系リン化合物の添加量は、通常、得ようとするオリゴマ
ーあるいはポリマーに対して100〜5000ppmと
なるような量である。添加量がこの範囲から外れた場
合、100ppm未満であると、その添加効果はほとん
ど認められず、5000ppmを越えると重合物の分子
量の増大が著しく、最終的に得られるポリアミドの溶融
成形が困難になるなど、好ましくない現象が発生する。
また、添加方法は、特に制限がなく、例えば、前重合時
に原料モノマーにドライブレンドしたり、あるいは、前
重合時または後重合時に水溶液として供給するなどの方
法が好適である。
【0030】さらに、得られるポリアミドの成形加工時
の溶融粘度を安定化させるために、必要ならば、前重合
時または後重合時にアミンやカルボン酸などを分子量調
節剤として添加しても何ら問題はない。添加するアミン
やカルボン酸としては、一官能性および/または二官能
性のものであれば特に制限はなく、例えば、ラウリルア
ミン、ステアリルアミン、ベンジルアミンなどのモノア
ミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミ
ン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン
などのジアミン、酢酸、安息香酸、ラウリン酸、ステア
リン酸などのモノカルボン酸およびアジピン酸、ピメリ
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ
ンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などのジ
カルボン酸などが好適に挙げられる。これら分子量調節
剤の添加量は、最終的に得ようとするポリアミドの分子
量(Mn)が前述の7000〜30000の範囲になる
ように、適宜選択される。
【0031】さらにはまた、上述のようにして得られる
ポリアミドには、オリゴマーの製造時(つまり、前重合
時)あるいはオリゴマーの溶融重合時および/または固
相重合時(つまり、後重合時)に、必要に応じて、耐熱
剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、結晶核剤、帯電防止
剤、顔料、染料、アンチブロッキング剤などを物性を損
なわない範囲で添加することもできる。
【0032】本発明の方法においては、上記方法で得ら
れたポリアミドを成形することによって、食品、医薬品
あるいは化粧品などの包装材料として好適なガスバリヤ
ー性フィルムを製造するのであるが、該ポリアミドのフ
ィルム成形方法には特別な制限はない。例えば、押出成
形機を用いた公知のキャスト成形法やチューブラー成形
法が適用できる。キャスト成形法では、押出成形機のT
−ダイヘッドから本発明のポリアミドを溶融状態でフィ
ルム状に押出し、次いで、キャスティングドラム上で冷
却固化させて前記ガスバリヤー性フィルムを成形するこ
とができる。また、チューブラー成形法では、押出成形
機のリング状ダイヘッドから本発明のポリアミドを溶融
状態でチューブ状に押出し、続いて、そのチューブ状体
内に空気などを吹き込んだ後、さらにエアリングによる
空冷、または、水を直接接触させることによる水冷によ
り、冷却固化して、前記ガスバリヤー性フィルムを成形
することができる。
【0033】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて本発明
の方法をさらに詳しく説明する。ただし、本発明の方法
は、その要旨を越えない限り、これらの実施例および比
較例によって何ら限定されるものではない。なお、以下
の各実施例および比較例における重合物(オリゴマーお
よび/またはポリマー)の諸特性は、次のような方法で
測定した。 (1)相対粘度(ηr) JIS K6810に準じ、98重量%の濃硫酸を溶媒
として、1重量/容量%の重合物濃度で25℃において
測定した。
【0034】(2)末端アミノ基濃度(〔NH2 〕) 97重量%の重硫酸を溶媒として用いて、5重量%の重
合物濃度の試料溶液を作製し、日本電子(株)製JNM
−EX400型FT−NMRを用いて、室温で測定した
1H−NMRスペクトルから求めた。
【0035】(3)末端カルボキシル基濃度(〔COO
H〕) 97重量%の重硫酸を溶媒として用いて、5重量%の重
合物濃度の試料溶液を作製し、日本電子(株)製JNM
−EX400型FT−NMRを用いて、室温で測定した
1H−NMRスペクトルから求めた。
【0036】(4)第2級アミン濃度(〔NH〕) 97重量%の重硫酸を溶媒として用いて、20重量%の
重合物濃度の試料溶液を作製し、日本電子(株)製JN
M−EX400型FT−NMRを用いて、室温で測定し
13C−NMRスペクトルから求めた。
【0037】(5)数平均分子量(Mn) 前記(2)項に記載の方法により求めた末端アミノ基濃
度(〔NH2 〕)と前記(3)項に記載の方法により求
めた末端カルボキシル基濃度(〔COOH〕)の平均値
の逆数として求めた。
【0038】(6)ゲル 98重量%の濃硫酸に対する不溶部分の有無を目視で観
察することによって判定した。
【0039】(7)黄着色 目視で判定した。
【0040】(8)ガラス転移温度 試料ポリマーのガラス転移温度は、1−ヘプタンとイン
ジウムによって検定したパーキン−エルマー社製示差走
査熱量計DSC7を用いて測定した。試料ポリマーを液
体窒素によって−50℃まで冷却し、次に、10℃/m
inの昇温速度で200℃まで昇温した。なお、測定
中、試料ポリマーは、30cc/minの割合で供給さ
れるヘリウムガスの雰囲気下に保たれた。
【0041】(9)融点 試料ポリマーの融点は、インジウムによって検定した
(株)島津製作所製示差走査熱量計DSC−50を用い
て測定した。試料ポリマーを10℃/minの昇温速度
で300℃まで昇温した。なお、測定中、試料ポリマー
を30cc/minの割合で供給される窒素ガスの雰囲
気下に保った。
【0042】実施例1 攪拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口およ
び重合物取り出し口を備えた容量1リットルの圧力容器
に、メタキシリレンジアミンとイソフタル酸からなる等
モル塩(MXDI塩)210g(0.695モル)、メ
タキシリレンジアミンとテレフタル酸からなる等モル塩
(MXDT塩)90g(0.298モル)、イソフタル
酸3.3g(0.02モル)、水33gおよび次亜リン
酸ナトリウム1水和物0.23g(0.00217モ
ル)を仕込んだ。そこで、圧力容器内を十分窒素置換し
た後、攪拌下密閉状態で昇温し、前重合を210℃で8
時間行った。圧力は4kgf/cm2 Gに調節した。前
重合終了後、重合物(オリゴマー)を採取し、ηr、
〔NH2 〕および〔COOH〕を測定した。測定値は、
ηr=1.19、〔NH2 〕=57.6×10-5eq/
gおよび〔COOH〕=74.1×10-5eq/gであ
った。また、オリゴマーのMnは1518であり、〔N
H〕はゼロであった。
【0043】次に、圧力容器内の圧力を210℃におい
て常圧まで放圧し、続いて、該容器内に200cc/m
inの速度で窒素ガスを流しながら250℃まで昇温し
た。250℃に達したら、その温度、かつ圧力760m
mHgで3時間重縮合反応を進めた。反応終了後攪拌を
止め、生成した重合物(ポリマー)を圧力容器底部の重
合物取り出し口からひも状に取り出し、直ちに水槽で冷
却した後、円柱状チップに切断し、80℃で72時間真
空乾燥した。得られたポリマーは、無色透明であり、ゲ
ルもなかった。また、ηr=2.47、〔NH2 〕=
1.63×10-5eq/gおよび〔COOH〕=18.
4×10-5eq/gであった。さらに、このポリマーの
ガラス転移温度は160℃であった。しかし、このポリ
マーは、明瞭な融点を示さなかった。そして、このポリ
マーを、T−ダイスを装着した押出機〔スクリュー径
(D)=18mm、Dに対するスクリュー長さ(L)の
比(L/D)=25、バレル温度=260℃〕に供給す
ることにより、透明均質で良好なフィルムを成形するこ
とができた。
【0044】実施例2 実施例1と同様の圧力容器に、メタキシリレンジアミン
とイソフタル酸からなる等モル塩(MXDI塩)300
g(0.992モル)、イソフタル酸2.65g(0.
016モル)、水33gおよび次亜リン酸ナトリウム1
水和物0.22g(0.00208モル)を仕込んだ。
そこで、圧力容器内を十分窒素置換した後、攪拌下密閉
状態で昇温し、180℃で4時間、次いで210℃で6
時間前重合を行った。その間、圧力は4kgf/cm2
Gに調節した。前重合終了後、重合物(オリゴマー)を
採取し、ηr、〔NH2 〕および〔COOH〕を測定し
た。測定値は、ηr=1.21、〔NH 2 〕=54.6
×10-5eq/gおよび〔COOH〕=69.1×10
-5eq/gであった。また、オリゴマーのMnは161
9であり、〔NH〕はゼロであった。
【0045】次に、圧力容器内の圧力を210℃におい
て常圧まで放圧し、続いて、該容器内に200cc/m
inの速度で窒素ガスを流しながら240℃まで昇温し
た。240℃に達したら、その温度、かつ圧力760m
mHgで4時間重縮合反応を進めた。反応終了後攪拌を
止め、生成した重合物(ポリマー)を圧力容器底部の重
合物取り出し口からひも状に取り出し、直ちに水槽で冷
却した後、円柱状チップに切断し、80℃で72時間真
空乾燥した。得られたポリマーは、無色透明であり、ゲ
ルもなかった。また、ηr=2.22、〔NH2 〕=
0.66×10-5eq/gおよび〔COOH〕=17.
7×10-5eq/gであった。さらに、このポリマーの
ガラス転移温度は165℃であった。しかし、このポリ
マーは、明瞭な融点が現れなかった。そして、このポリ
マーを、T−ダイスを装着した押出機(D=18mm、
L/D=25、バレル温度=260℃)に供給すること
により、透明均質で良好なフィルムを成形することがで
きた。
【0046】実施例3 実施例1と同様の圧力容器に、メタキシリレンジアミン
とテレフタル酸からなる等モル塩(MXDT塩)180
g(0.595モル)、ε−カプロラクタム120g
(1.06モル)、テレフタル酸3.48g(0.02
1モル)、水33gおよび次亜リン酸ナトリウム1水和
物0.22g(0.00208モル)を仕込んだ。そこ
で、圧力容器内を十分窒素置換した後、攪拌下密閉状態
で昇温し、190℃で3時間、次いで200℃で3時
間、さらに210℃で4時間前重合を行った。その間、
圧力は4kgf/cm2 Gに調節した。前重合終了後、
重合物(オリゴマー)を採取し、ηr、〔NH2 〕およ
び〔COOH〕を測定した。測定値は、ηr=1.2
5、〔NH2 〕=43.6×10-5eq/gおよび〔C
OOH〕=54.7×10-5eq/gであった。また、
オリゴマーのMnは2035であり、〔NH〕はゼロで
あった。
【0047】次に、このオリゴマーを室温の大気中に放
出し、粉末状の重合物を得た。この重合物を容量1リッ
トルの圧力容器に仕込み、220℃、かつ圧力1mmH
gで12時間固相重合を行った。得られた重合物(ポリ
マー)は、白色であり、ゲルもなかった。また、ηr=
2.66、〔NH2 〕=0.6×10-5eq/gおよび
〔COOH〕=11.3×10-5eq/gであった。さ
らに、このポリマーのガラス転移温度は115℃、融点
は260℃であった。そして、このポリマーを、T−ダ
イスを装着した押出機(D=18mm、L/D=25、
バレル温度=270℃)に供給することにより、透明均
質で良好なフィルムを成形することができた。
【0048】比較例1 実施例1と同様の圧力容器に、メタキシリレンジアミン
とイソフタル酸からなる等モル塩(MXDI塩)300
g(0.992モル)、水33gおよび次亜リン酸ナト
リウム1水和物0.22g(0.00208モル)を仕
込んだ。そこで、圧力容器内を十分窒素置換した後、攪
拌下密閉状態で昇温し、前重合を240℃で1時間行っ
た。圧力は25kgf/cm2 Gに調節した。前重合終
了後、重合物(オリゴマー)を採取し、ηr、〔N
2 〕および〔COOH〕を測定した。測定値は、ηr
=1.1、〔NH2 〕=98.5×10-5eq/gおよ
び〔COOH〕=111.2×10-5eq/gであっ
た。また、オリゴマーのMnは954であり、〔NH〕
は13.4×10-5eq/gであった。
【0049】次に、圧力容器内の圧力を240℃におい
て常圧まで放圧し、続いて、その温度、かつ圧力760
mmHgで1時間重縮合反応を進めた。反応終了後攪拌
を止め、生成した重合物(ポリマー)を圧力容器底部の
重合物取り出し口からひも状に取り出そうとしたが、非
常に粘度が高くゴム状のポリマーであった。これをチッ
プ形状に切断し、80℃で72時間真空乾燥した。得ら
れたポリマーは、微黄色半透明で、98重量%濃硫酸に
膨潤した。このポリマーを用い、実施例1と同様な操作
によりフィルム成形を試みたが、ゲルが多く、良好に成
形できなかった。
【0050】比較例2 実施例1と同様の圧力容器に、メタキシリレンジアミン
とテレフタル酸からなる等モル塩(MXDT塩)300
g(0.992モル)、水33gおよび次亜リン酸ナト
リウム1水和物0.22g(0.00208モル)を仕
込んだ。そこで、圧力容器内を十分窒素置換した後、攪
拌下密閉状態で昇温し、前重合を230℃で5時間行っ
た。圧力は28kgf/cm2 Gに調節した。前重合終
了後、重合物(オリゴマー)を採取し、ηr、〔N
2 〕および〔COOH〕を測定した。測定値は、ηr
=1.2、〔NH2 〕=39.3×10-5eq/gおよ
び〔COOH〕=42.2×10-5eq/gであった。
また、オリゴマーのMnは2454であり、〔NH〕は
3.2×10-5eq/gであった。
【0051】次に、このオリゴマーを室温の大気中に放
出し、粉末状の重合物を得た。この重合物を容量1リッ
トルの圧力容器に仕込み、250℃、かつ圧力1mmH
gで6時間固相重合を行った。得られた重合物(ポリマ
ー)は、微黄色半透明で、98重量%濃硫酸に膨潤し
た。また、このポリマーを用い、実施例1と同様な操作
によりフィルム成形を試みたが、ゲルが多く、良好に成
形できなかった。
【0052】
【発明の効果】本発明の方法は、以上詳述したように、
メタキシリレンジアミンをジアミン成分原料とし、前述
の一般式(I)で表わされる芳香族ジカルボン酸をジカ
ルボン酸成分原料とし、さらに、炭素原子数が4〜12
の脂肪族ω−アミノカルボン酸を原料とするポリアミド
を製造する方法において、まず、210℃以下の温度で
前重合することによって数平均分子量が1500以上の
オリゴマーを製造し、続いてこのオリゴマーを用いて、
得られるポリマーの融点より10℃高い温度以上、28
0℃以下の範囲の温度で溶融重合するか、あるいは得ら
れるポリマーのガラス転移温度以上、融点より10℃低
い温度以下の範囲の温度で固相重合するか、または、得
られるポリマーの融点より10℃高い温度以上、280
℃以下の範囲の温度で溶融重合した後、該ポリマーのガ
ラス転移温度以上、融点より10℃低い温度以下の範囲
の温度で固相重合する製造方法を提供することができ
る。したがって、本発明の製造方法によって得られるポ
リアミドは、メタキシリレンジアミン間の2量化脱アン
モニア反応によって生成する第2級アミンのアミノ基濃
度(〔NH〕)を実質的にゼロに抑えた、ゲルや黄着色
のない均質で良好なフィルム成形性のあるポリアミドで
あり、食品、医薬品あるいは化粧品などの包装材料とし
て好適に使用され得るポリアミドである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天根 隆志 山口県宇部市西本町1丁目12番32号 宇部 興産株式会社高分子研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ジアミン成分単位としてのメタキ
    シリレンジアミン成分単位が25〜50モル%、(B)
    ジカルボン酸成分単位としての一般式(I) 【化1】 で表わされる芳香族ジカルボン酸成分単位が25〜50
    モル%、および、(C)炭素原子数が4〜12の脂肪族
    ω−アミノカルボン酸成分単位が0〜50モル%(ただ
    し、成分単位(A)と成分単位(B)は等モル%であ
    り、かつ、成分単位(A)、(B)および(C)の合計
    は100モル%である)から構成される数平均分子量が
    1500以上のオリゴマーを、210℃以下の温度での
    前重合によって製造し、続いてこのオリゴマーを用い
    て、得られるポリマーの融点より10℃高い温度以上、
    280℃以下の範囲の温度で溶融重合することによりゲ
    ルや黄着色のないポリマーを得ることを特徴とするポリ
    アミドの製造方法。
  2. 【請求項2】 (A)ジアミン成分単位としてのメタキ
    シリレンジアミン成分単位が25〜50モル%、(B)
    ジカルボン酸成分単位としての一般式(I) 【化2】 で表わされる芳香族ジカルボン酸成分単位が25〜50
    モル%、および、(C)炭素原子数が4〜12の脂肪族
    ω−アミノカルボン酸成分単位が0〜50モル%(ただ
    し、成分単位(A)と成分単位(B)は等モル%であ
    り、かつ、成分単位(A)、(B)および(C)の合計
    は100モル%である)から構成される数平均分子量が
    1500以上のオリゴマーを、210℃以下の温度での
    前重合によって製造し、続いてこのオリゴマーを用い
    て、得られるポリマーのガラス転移温度以上でかつその
    融点より10℃低い温度以下の範囲の温度において固相
    重合することによりゲルや黄着色のないポリマーを得る
    ことを特徴とするポリアミドの製造方法。
  3. 【請求項3】 (A)ジアミン成分単位としてのメタキ
    シリレンジアミン成分単位が25〜50モル%、(B)
    ジカルボン酸成分単位としての一般式(I) 【化3】 で表わされる芳香族ジカルボン酸成分単位が25〜50
    モル%、および、(C)炭素原子数が4〜12の脂肪族
    ω−アミノカルボン酸成分単位が0〜50モル%(ただ
    し、成分単位(A)と成分単位(B)は等モル%であ
    り、かつ、成分単位(A)、(B)および(C)の合計
    は100モル%である)から構成される数平均分子量が
    1500以上のオリゴマーを、210℃以下の温度での
    前重合によって製造し、続いてこのオリゴマーを用い
    て、得られるポリマーの融点より10℃高い温度以上、
    280℃以下の範囲の温度で溶融重合した後、該ポリマ
    ーのガラス転移温度以上でかつその融点より10℃低い
    温度以下の範囲の温度において固相重合することにより
    ゲルや黄着色のないポリマーを得ることを特徴とするポ
    リアミドの製造方法。
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