JPH0931578A - 電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質箔 - Google Patents

電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質箔

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JPH0931578A
JPH0931578A JP7203941A JP20394195A JPH0931578A JP H0931578 A JPH0931578 A JP H0931578A JP 7203941 A JP7203941 A JP 7203941A JP 20394195 A JP20394195 A JP 20394195A JP H0931578 A JPH0931578 A JP H0931578A
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JP
Japan
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foil
aluminum
amount
electrolytic capacitor
precipitation
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JP7203941A
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Kaneshige Yamamoto
兼滋 山本
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Nippon Foil Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Nippon Foil Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安定して高静電容量の電極箔を得ることがで
きる、電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質箔を
提供する。 【構成】 この電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム
硬質箔は、アルミニウム純度が99.9重量%以上であ
る。そして、Fe:0.0010〜0.0100重量
%、Si:0.0015〜0.0150重量%、Cu:
0.0001〜0.0050重量%、その他不可避不純
物元素を含有している。Fe,Si及びCuの析出量の
合計は、Fe,Si及びCuの含有量の合計に対して、
10%未満に規制されている。Fe,Si及びCuの析
出量は、熱フェノール溶解法によって、誤差等を生じる
ことがなく、正確に測定される。また、Feの析出量
は、Fe,Si及びCuの析出量の合計に対して、5〜
60%の範囲に規制されていることが好ましい。Cuの
析出量は、Fe,Si及びCuの析出量の合計に対し
て、50%以下に規制されていることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電容量の高い電解コ
ンデンサ用低圧電極箔を得ることのできる電解コンデン
サ電極用アルミニウム硬質箔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、電解コンデンサ用電極箔を製
造するためには、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
にエッチング処理を施し、箔表面に微細な孔(エッチン
グピット)を多数形成して、箔表面の表面積を拡大する
ことが行われている。この表面積の拡大は、電解コンデ
ンサ用電極箔の静電容量を高めるために、最も有効な方
法である。従って、高静電容量の電解コンデンサ用電極
箔を得るためには、エッチング特性の良好な電解コンデ
ンサ電極用アルミニウム箔を使用して製造する必要があ
る。一方、エッチング処理としては、使用耐電圧に適し
たエッチングピットが得られるように、種々のエッチン
グ方法が採用されている。例えば、低圧用陽極箔或いは
陰極箔には、海綿状のエッチングピットが形成されてい
るのが好ましく、これに適するエッチング法として交流
エッチング法が採用されている。
【0003】どのような電解コンデンサ低圧電極用アル
ミニウム箔が、良好なエッチング特性を示すかについて
は、従来より種々検討が行われている。例えば、刊行物
「住友軽金属技報」(1990年10月号)の第10〜
17頁に掲載された「電解コンデンサ用アルミニウム箔
の交流エッチング後の静電容量に及ぼす析出ケイ素の影
響」と題する論文には、アルミニウム箔中の析出Si周
辺部を開始点としてエッチングが進行するため、析出S
iの多いアルミニウム箔が電解コンデンサ電極用として
良好に使用しうることが開示されている(特に、第17
頁右欄第1〜8行目)。
【0004】また、特開昭63−265416号公報に
は、アルミニウム箔中のFe及びSiの析出量の各々
を、それぞれの含有量に対して10%以下に規制したも
のが知られている。しかしながら、この先行技術におい
ては、Fe及びSiの析出量を、液体窒素中での電気抵
抗法によって測定しており、以下の如き欠点があった。
(i)電気抵抗法では、アルミニウム箔中において析出
している全ての元素の影響で、電気抵抗値が増減し、F
eのみの析出量又はSiのみの析出量を測定すること
は、極めて困難であった。従って、アルミニウム箔中に
Fe又はSiのみが含有されている場合はともかく、他
のCu,Zn,Mn等の元素が含有されていると、現実
的にはFe又はSiのみの析出量を測定することはでき
なかった。(ii)Fe又はSiの析出量による電気抵抗
値の液体窒素中における減少量について、確定した値は
知られていない。従って、現実に、電気抵抗値の増減に
よって、Fe又はSiの析出量を知ることは困難であ
る。なお、20℃で測定した、Siの析出量による電気
抵抗値の減少量(又はSiの固溶量による電気抵抗値の
増加量)についても、その値は未確定である(刊行物
「軽金属」1985年第35巻第3号第162〜167
頁に掲載された「アルミニウムの再結晶に及ぼすけい素
および鉄,けい素共存の影響」と題する論文、特にその
第163頁左欄第5〜8行目を参照のこと。)。即ち、
液体窒素中での電気抵抗法により、種々の不純物元素を
含有するアルミニウム箔中のFe又はSiの析出量を知
ることは、現実的には不可能とも言えるのである。従っ
て、特開昭63−265416号公報記載の方法によっ
て、高静電容量の電解コンデンサ用電極箔を安定して得
ることができる、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
を製造することは、実質的に不可能であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、
アルミニウム箔中で析出している各元素毎に、その析出
量を測定できる方法を採用し、種々研究を行った。その
結果、Fe,Si及びCuの含有量に対して、Fe,S
i及びCuが一定の割合で析出しているアルミニウム箔
は、エッチング特性が良好で、高静電容量を持つ電解コ
ンデンサ用電極箔を安定して製造しうることを見出し、
既に特願平7−37620号として特許出願(以下、
「先願」と言う。)を行っている。ここで、先願に係る
発明は、最終焼鈍という熱処理が施されることによっ
て、不純物元素個々の析出量が調整された電解コンデン
サ電極用アルミニウム軟質箔に関するものである。そし
て、本発明は、一般的な最終焼鈍が施されていない(不
純物元素の析出を促進させるという実質的な最終焼鈍が
施されていないことを意味しており、最終焼鈍が全く施
されていないということを意味するものではない。)電
解コンデンサ電極用アルミニウム硬質箔に係るものであ
る。このような硬質箔は、軟質箔に比較すると表面に形
成されている酸化皮膜の厚さが薄くなっており、軟質箔
をエッチングして電解コンデンサ用電極箔とする場合の
エッチング処理条件と同様の条件でエッチングすると、
表面が過溶解になって、エッチングが良好に進行しない
場合がある。従って、電解コンデンサ電極箔を製造する
際のエッチング条件についても、軟質箔のエッチング条
件とは異なる条件を採用する場合が多い。以上のよう
に、先願に係る発明と本発明とは、実質的に最終焼鈍が
施されているか否の点で相違するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、アルミ
ニウム純度が99.9重量%以上であって、Fe:0.
0010〜0.0100重量%、Si:0.0015〜
0.0150重量%、Cu:0.0001〜0.005
0重量%、その他不可避不純物元素を含有し、熱フェノ
ール溶解法によって測定されるFe,Si及びCuの析
出量の合計が、Fe,Si及びCuの含有量の合計に対
して、10%未満に規制されていることを特徴とする電
解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質箔に関するも
のである。また、上記した条件に加えて、更にFeの析
出量が、Fe,Si及びCuの析出量の合計に対して、
5〜60%の範囲に規制されている電解コンデンサ電極
用アルミニウム硬質箔、又はCuの析出量が、Fe,S
i及びCuの析出量の合計に対して、50%以下に規制
されている電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質
箔に関するものである。
【0007】まず、本発明において、前提となること
は、電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質箔のア
ルミニウム純度が99.9重量%以上であるということ
である。純度が99.9重量%未満であると、相対的に
不純物が多くなって、いかに各Fe,Si及びCuの析
出量を規制しても、他の不純物元素による析出物の存在
のため、エッチング時に過溶解が生じやすくなり、表面
積を十分に拡大することができない。従って、エッチン
グ特性の良好な電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム
硬質箔が得られにくくなり、高静電容量の電解コンデン
サ用低圧電極箔が得られにくくなるため、好ましくな
い。
【0008】電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬
質箔中には、Feが0.0010〜0.0100重量
%、好ましくは0.0030〜0.0100重量%含有
されている。Feが0.0010重量%未満であると、
アルミニウム箔が高純度になり、高価になるので好まし
くない。更に、Feの量が少なくなりすぎて、Feを析
出させることが困難になる。逆に、Feが0.0100
重量%を超えると、Feの析出量を本発明において規制
した範囲内とすることは容易であるが、析出Feの絶対
量が多くなって、エッチング時に過溶解が生じやすくな
り、高静電容量の電解コンデンサ用低圧電極箔が得られ
にくくなるため、好ましくない。
【0009】また、電解コンデンサ低圧電極用アルミニ
ウム硬質箔中には、Siが0.0015〜0.0150
重量%含有されている。Siが0.0015重量%未満
であると、アルミニウム箔が高純度になり、高価になる
ので好ましくない。逆に、Siが0.0150重量%を
超えると、析出Siの絶対量が多くなって、エッチング
時に過溶解が生じやすくなり、高静電容量の電解コンデ
ンサ用低圧電極箔が得られにくくなるため、好ましくな
い。
【0010】更に、電解コンデンサ低圧電極用アルミニ
ウム硬質箔中には、Cuが0.0001〜0.0050
重量%含有されている。Cuが0.0001重量%未満
であると、Cuの量が少なくなりすぎて、Cuを析出さ
せることが困難になる。逆に、Cuが0.0050重量
%を超えると、析出Cuの絶対量が多くなって、エッチ
ング時に過溶解が生じやすくなり、高静電容量の電解コ
ンデンサ用低圧電極箔が得られにくくなるため、好まし
くない。なお、本発明に係る電解コンデンサ低圧電極用
アルミニウム硬質箔中には、他の不純物元素、例えばZ
nやMnなどを含有していてもよい。
【0011】本発明に係る電解コンデンサ低圧電極用ア
ルミニウム硬質箔中には、Fe,Si及びCuの含有量
の合計に対して、Fe,Si及びCuの析出量の合計が
10%未満となるように、これらの元素が析出してい
る。ここで、10%未満の技術的意義については、0%
を含まないものであり、Fe,Si及びCuが極めて少
量であっても析出しており、その析出量の合計が、F
e,Si及びCuの含有量の合計に対して10%以上に
ならないことを意味している。この析出量の合計が10
%以上であると、電解コンデンサ低圧電極用アルミニウ
ム硬質箔にエッチング処理を施すと、Fe,Si及びC
uの析出量が増大し、過溶解が生じて表面積の十分な拡
大が図れず、高静電容量の電解コンデンサ用低圧電極箔
が得られにくくなる。
【0012】更に、本発明においては、Fe,Si及び
Cuの析出量の合計に対して、Feの析出量を5〜60
%の範囲に規制することが好ましい。Feの析出量が5
%未満であると、エッチング開始点となるFe析出物の
割合が相対的に少なくなり、エッチング特性が低下する
傾向が生じる。逆に、Feの析出量が60%を超える
と、Fe析出物が多すぎて、過溶解を生じやすくなり、
表面積の拡大が図れなくなる傾向が生じる。
【0013】また、本発明においては、Fe,Si及び
Cuの析出量の合計に対して、Cuの析出量を50%以
下に規制することが好ましい。ここで、50%以下の技
術的意義については、0%を含まないものであり、Cu
が極めて少量であっても析出しており、その析出量が、
Fe,Si及びCuの析出量の合計に対して50%を超
えないことを意味している。Cuの析出物自体は貴な電
位を示すため、全体の析出物中に含まれるCu析出物が
多くても、過溶解を生じる恐れがある。従って、Cuの
析出量は50%以下に規制されているのが好ましい。こ
こで、Cuは単独では析出しにくいものであり、Feや
Si等の析出物中に、化合物の形で又は固溶した形で存
在する。本発明においては、熱フェノール溶解法によっ
て、FeやSiと共に定量分析されたCuの量を、Cu
の析出量としているものである。また、この定量分析さ
れたCuを、Cu析出物(厳密にはCu析出物と言えな
いかもしれないが)と言っているのである。
【0014】なお、Siは、単体で析出することもあれ
ば、Al−Fe−Si系の化合物の形でも析出し、Si
単独の影響について定量化するのが困難であるため、S
iの析出量には言及しなかった。しかし、Siの析出量
はエッチング特性に影響を及ぼすものであるため、本発
明においては、Fe,Si及びCuの含有量の合計に対
する、Fe,Si及びCuの析出量の合計という形で言
及した。
【0015】本発明においては、Fe,Si及びCuの
析出量は、以下に説明する熱フェノール溶解法によって
測定する。熱フェノール溶解法の基本的な考え方は、次
のとおりである。即ち、約443Kに熱したフェノール
中でアルミニウム硬質箔を溶解させると、析出物以外の
アルミニウム及びアルミニウム中に固溶している各元素
は容易に溶解する。その後、溶解しなかった析出物を適
当な孔径のフィルターを介して瀘過し、フィルター上に
捕集された析出物を塩酸溶液に溶解し、この溶解溶液を
定量分析することによって、Fe,Si,Cuの個々の
析出量を測定するのである。熱フェノール溶解法を採用
した場合の具体的測定方法は、次のとおりである。ま
ず、種々の方法により調整して作製したアルミニウム硬
質箔を適当な大きさに切断採取し、適当な前処理方法に
よって切断時等に付着した不純物を除去する。この除去
方法としては、例えば、水酸化ナトリウム溶液やエタノ
ール等で洗浄する方法が採用される。その後、一定の容
量のフェノールを秤量して、これが蒸発して減少しない
ように還流しながら、443〜453Kに加熱する。こ
の加熱したフェノール中に、準備したアルミニウム硬質
箔を投入し、アルミニウム及びアルミニウム中に固溶し
ている各元素を溶解させる。その後、フェノールは約3
13Kの温度にて凝固するので、一定量のベンジルアル
コールをフェノールに添加し、液体状態を維持させたま
ま、アルミニウムを溶解させたフェノールを適切な孔径
のフィルターを用いて瀘過する。そして、フィルター上
に捕集された析出物を一定の濃度の塩酸溶液で溶解す
る。この溶解溶液を、原子吸光法又はICP発光分析法
等の方法で分析して、各元素含有量を測定する。以上の
ようにして、準備したアルミニウム硬質箔中に析出して
いたFe,Si及びCuの量を求めることができる。そ
して、個々の元素の析出量と、アルミニウム硬質箔中に
含有されていた個々の元素の含有量を用いて、本発明に
おけるFe,Si,Cuの析出割合を計算することがで
きるのである。
【0016】熱フェノール溶解法によって、各析出物を
フィルター上に捕集すれば、粒径分布を求めることがで
きる。即ち、フィルター上に捕集された析出物を、走査
型電子顕微鏡にて観察し、その結果を画像解析して粒径
分布を求めるのである。そして、本発明者がこの粒径分
布に関して研究したところ、2μm以下の析出物の数
が、析出物全体の数に対して、50%以上を占めている
と、エッチング特性が良好になる傾向があった。2μm
以下の析出物の数が全体の50%未満であると、エッチ
ング開始点が少なくなって、エッチング特性が低下する
のではないかと考えられる。なお、電解コンデンサ低圧
用陽極箔又は陰極箔を製造する際には、箔表面に微細な
エッチングピットを形成することが要求されるので、2
μmを超える析出物の数はなるべく少ない方が好まし
い。つまり、2μmを超える析出物は、エッチング時
に、比較的大きなエッチングピット形成の開始点となる
のである。
【0017】また、本発明に係るアルミニウム硬質箔の
引張強さは、98MPa以上であるのが好ましい。引張
強さが98MPa未満のアルミニウム箔は、一般的には
軟質又は半硬質のものであるが、アルミニウム純度が高
い場合には硬質であることもある。引張強さが98MP
a未満であると、一般的に、Fe,Si及びCuの析出
量が多く、エッチング時に、過溶解となって表面積の十
分な拡大が図れない傾向が生じる。引張強さを98MP
a以上とするには、圧延され、加工歪を持つ硬質のアル
ミニウム箔に、焼鈍処理の如く高温下での加熱処理を施
さなければ良い。なお、引張強さ(MPa)は、インス
トン型万能引張試験機を用いて、10mm巾に切断した
アルミニウム箔をクロスヘッド速度:2×10-4m/s
ec、ゲージ長さ:50mmの条件で引張試験を行っ
て、測定したものである。
【0018】以上のように、Fe,Si及びCuの析出
量を、Fe,Si及びCuの含有量に対して、10%未
満に規制した本発明に係る電解コンデンサ低圧電極用ア
ルミニウム硬質箔を製造する方法としては、例えば、所
定の速度にてアルミニウム鋳塊を鋳造後、適切な温度で
均質化処理し、所定の温度で熱間圧延や中間焼鈍等を行
う方法を挙げることができる。特に、均質化処理の温度
や時間、熱間圧延の温度や時間、中間焼鈍の温度や時間
等を調整することによって、Fe,Si及びCuの析出
量を10%未満に規制することができる。このようにし
て得られた電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質
箔に、所定の条件でエッチング処理を施すと、箔表面に
微細なエッチングピットが形成され、表面積の拡大した
高静電容量の電解コンデンサ電極箔が得られるのであ
る。そして、この電解コンデンサ電極箔は、特に、低圧
用陽極箔や陰極箔として好適に使用することができる。
【0019】
【実施例】実施例1厚さ400mmで、Al純度99.
98重量%、Fe:0.0035重量%、Si:0.0
040重量%、Cu:0.0030重量%、その他不可
避不純物元素を含有するアルミニウム鋳塊を準備した。
このアルミニウム鋳塊に、873K×21.6Ks(6
00℃×6時間)の条件で均質化処理を施した。その
後、熱間圧延開始温度813K(540℃),熱間圧延
終了温度503K(230℃),熱間圧延開始から終了
までの時間を7分間として、熱間圧延を施した。次い
で、常法により冷間圧延を施して、厚さ0.1mmのア
ルミニウム硬質箔を得た。このアルミニウム硬質箔を、
界面活性剤を含有するアルカリ溶液にて脱脂洗浄を行っ
て、電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質箔を得
た。
【0020】実施例2熱間圧延開始温度853K(58
0℃),熱間圧延終了温度503K(230℃),熱間
圧延開始から終了までの時間を14分間とした他は、実
施例1と同様の方法によって、電解コンデンサ低圧電極
用アルミニウム硬質箔を得た。
【0021】実施例3均質化処理を833K×21.6
Ks(560℃×6時間)で行い、熱間圧延開始温度を
793K(520℃)で行う他は、実施例1と同様の方
法によって、電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬
質箔を得た。
【0022】比較例1熱間圧延開始温度853K(58
0℃),熱間圧延終了温度533K(260℃),熱間
圧延開始から終了までの時間を14分間とした他は、実
施例1と同様の方法によって、電解コンデンサ低圧電極
用アルミニウム硬質箔を得た。
【0023】比較例2実施例1で使用したアルミニウム
鋳塊に、実施例1と同一の条件で均質化処理を施した。
その後、熱間圧延開始温度853K(580℃),熱間
圧延終了温度533K(260℃),熱間圧延開始から
終了までの時間を14分間として、熱間圧延を施した。
次いで、常法により一次冷間圧延を施した後、633K
×18Ks(360℃×5時間)の条件で中間焼鈍を施
した。その後、常法により二次冷間圧延を施した後、厚
さ0.1mmのアルミニウム硬質箔を得た。このアルミ
ニウム硬質箔を、界面活性剤を含有するアルカリ溶液に
て脱脂洗浄を行って、電解コンデンサ低圧電極用アルミ
ニウム硬質箔を得た。
【0024】上記方法により得た5種類の電解コンデン
サ低圧電極用アルミニウム硬質箔について、Fe,Si
及びCuの析出量を熱フェノール溶解法により測定し、
表1に記載した各析出量の割合を求めた。また、各電解
コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質箔中における2
μm以下の析出物が占める割合も求めた。これらの結果
を表1に示した。更に、各電解コンデンサ低圧電極用ア
ルミニウム硬質箔の引張強さ測定し、それらの結果を表
1に示した。
【0025】そして、各電解コンデンサ低圧電極用アル
ミニウム硬質箔に、以下の条件でエッチング処理及び化
成処理を施して、以下に示す条件で静電容量(μF/c
2)を測定した。[エッチング処理]:303K(3
0℃)の(7.7wt.%HCl+19.7wt.%A
lCl36H2O+0.1wt.%C2242H2O)溶
液中に、電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質箔
を浸漬し、電流密度+0.4A/cm2で50Hzの矩
形波交流を330秒間施して、エッチング処理を行っ
た。[化成処理]:エッチング処理後のアルミニウム箔
を巾1cm×長さ5cmの大きさに裁断し、この1枚を
液温353K(80℃)の13wt.%アジピン酸アン
モニウム水溶液中に浸漬し、対向電極をsus 304
として、20Vで15分間の条件で化成処理を行った。
[静電容量]:化成処理した低圧電極箔(大きさ巾1c
m×長さ5cm)1枚を、303K(30℃)の13w
t.%アジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬し、対向
電極を、静電容量が40000μF以上のエッチドアル
ミニウム箔として、120Hzの直列等価回路でLCR
メーターを用いて、静電容量(μF/cm2)を測定し
た。なお、表1に示した静電容量(%)は、Fe:0.
004重量%、Si:0.004重量%、Cu:0.0
03重量%、その他不可避不純物元素を含有する純度9
9.98%のアルミニウム鋳塊を使用し、実施例1と同
一の方法で得られたアルミニウム箔に、前記したエッチ
ング処理及び化成処理を施した低圧電極箔の静電容量を
100%として、これとの相対比較で求めたものであ
る。
【0026】
【表1】
【0027】実施例4まず、表2に示した元素組成を持
つアルミニウム鋳塊を準備した。このアルミニウム鋳塊
に、873K×21.6Ks(600℃×6時間)の条
件で均質化処理を施した。その後、熱間圧延開始温度8
33K(560℃),熱間圧延終了温度503K(23
0℃),熱間圧延開始から終了までの時間を8分間とし
て、熱間圧延を施した。次いで、常法により冷間圧延を
施して、厚さ0.1mmのアルミニウム硬質箔を得た。
このアルミニウム硬質箔を、界面活性剤を含有するアル
カリ溶液にて脱脂洗浄を行って、電解コンデンサ低圧電
極用アルミニウム硬質箔を得た。
【0028】実施例5〜7アルミニウム鋳塊の元素組成
を、表2に示したものに変更した他は、実施例4と同一
の方法によって電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム
硬質箔を得た。
【0029】実施例8表2に示した元素組成を持つアル
ミニウム鋳塊に、793K×36Ks(520℃×10
時間)の条件で均質化処理を施した。その後、熱間圧延
開始温度753K(480℃),熱間圧延終了温度52
3K(250℃),熱間圧延開始から終了までの時間を
12分間として、熱間圧延を施した。その後は、実施例
4と同一の方法によって電解コンデンサ低圧電極用アル
ミニウム硬質箔を得た。
【0030】比較例3表2に示した元素組成を持つアル
ミニウム鋳塊を準備した。このアルミニウム鋳塊に、7
53K×36Ks(480℃×10時間)の条件で均質
化処理を施した。その後、熱間圧延開始温度713K
(440℃),熱間圧延終了温度523K(250
℃),熱間圧延開始から終了までの時間を15分間とし
て、熱間圧延を施した。次いで、一次冷間圧延を施した
後、中間焼鈍を623K×18Ks(350℃×5時
間)の条件で施し、更に二次冷間圧延を施し、厚さ0.
1mmのアルミニウム硬質箔を得た。このアルミニウム
硬質箔を、界面活性剤を含有するアルカリ溶液にて脱脂
洗浄を行って、電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム
硬質箔を得た。
【0031】比較例4〜6アルミニウム鋳塊の元素組成
を、表2に示したものに変更した他は、比較例3と同一
の方法によって電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム
硬質箔を得た。
【0032】
【表2】
【0033】以上の実施例4〜8及び比較例3〜6で得
られた電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質箔に
ついて、Fe,Si及びCuの析出量を熱フェノール溶
解法により測定し、表3に記載した各析出量の割合を求
めた。また、各電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム
硬質箔中における2μm以下の析出物が占める割合も求
めた。これらの結果を表3に示した。更に、各電解コン
デンサ低圧電極用アルミニウム箔の引張強さを測定し、
それらの結果を表3に示した。また、実施例1と同一の
方法で静電容量を測定し、それらの結果も表3に示し
た。
【0034】
【表3】
【0035】以上の実施例1〜8及び比較例1〜6の結
果から明らかなように、Fe,Si及びCuの析出量
が、Fe,Si及びCuの含有量に対して、10%未満
に規制されている電解コンデンサ低圧電極用アルミニウ
ム硬質箔を使用し、所定の条件でエッチング処理を行っ
た低圧電極箔は、高静電容量を有していることが分か
る。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る電解
コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質箔は、その硬質
箔中に含有されているFe、Si及びCuの析出量を、
Fe,Si及びCuの含有量に対して、10%未満に規
制したので、所定のエッチング処理を施すことによっ
て、安定して高静電容量の低圧電極箔を得ることができ
る。更に、Fe又はCuの各析出物の析出量を、特定の
範囲に規制した場合には、より安定して高静電容量の低
圧電極箔を得ることができる。また、各析出物の大きさ
や数を特定の範囲に規定したり、若しくはアルミニウム
硬質箔中の引張強さを特定の範囲に規定した場合にも、
より安定して高静電容量の低圧電極箔を得ることができ
るという効果を奏する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム純度が99.9重量%以上
    であって、Fe:0.0010〜0.0100重量%、
    Si:0.0015〜0.0150重量%、Cu:0.
    0001〜0.0050重量%、その他不可避不純物元
    素を含有し、熱フェノール溶解法によって測定されるF
    e,Si及びCuの析出量の合計が、Fe,Si及びC
    uの含有量の合計に対して、10%未満に規制されてい
    ることを特徴とする電解コンデンサ低圧電極用アルミニ
    ウム硬質箔。
  2. 【請求項2】 熱フェノール溶解法によって測定される
    Feの析出量が、Fe,Si及びCuの析出量の合計に
    対して、5〜60%の範囲に規制されている請求項1記
    載の電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質箔。
  3. 【請求項3】 熱フェノール溶解法によって測定される
    Cuの析出量が、Fe,Si及びCuの析出量の合計に
    対して、50%以下に規制されている請求項1又は2記
    載の電解コンデンサ低圧電極用アルミニウム硬質箔。
  4. 【請求項4】 2μm以下の析出物の数が、析出物全体
    の数に対して、50%以上を占めている請求項1及至3
    のいずれか一項に記載の電解コンデンサ低圧電極用アル
    ミニウム硬質箔。
  5. 【請求項5】 引張強さが98MPa以上である請求項
    1及至4のいずれか一項に記載の電解コンデンサ低圧電
    極用アルミニウム硬質箔。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001073054A (ja) * 1999-09-06 2001-03-21 Nippon Foil Mfg Co Ltd 電解コンデンサ陽極低圧用アルミニウム圧延箔及びその製造方法

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Title
第83回秋期大会講演概要, JPNX006018092, 5 October 1994 (1994-10-05), JP, pages 81 - 82, ISSN: 0000732244 *
第83回秋期大会講演概要, JPNX006041647, 5 October 1994 (1994-10-05), JP, pages 81 - 82, ISSN: 0000770476 *

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