JPH09308150A - 永久磁石回転電機 - Google Patents

永久磁石回転電機

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Publication number
JPH09308150A
JPH09308150A JP8116015A JP11601596A JPH09308150A JP H09308150 A JPH09308150 A JP H09308150A JP 8116015 A JP8116015 A JP 8116015A JP 11601596 A JP11601596 A JP 11601596A JP H09308150 A JPH09308150 A JP H09308150A
Authority
JP
Japan
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permanent magnet
electric machine
rotating electric
magnetic
rotor
Prior art date
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Pending
Application number
JP8116015A
Other languages
English (en)
Inventor
Ayanori Ishibashi
文徳 石橋
Takashi Nishizawa
隆志 西沢
Sukeyasu Mochizuki
資康 望月
Kazuto Sakai
和人 堺
Eiji Shimomura
英二 霜村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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  • Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 運転時において永久磁石ロータ側に発生する
表面損を抑制できて、永久磁石の温度上昇及びこれに伴
う特性悪化を防止可能とすること。 【解決手段】 ステータ1は、鉄心2に形成されたスロ
ット2a群にコイル3を収納した構成となっており、そ
の界磁空間内に永久磁石ロータ4が配置される。永久磁
石ロータ4は、シャフト5の周囲に2個の永久磁石6を
接着により取り付けた構成となっており、その永久磁石
6の表面には、アルミニウムや銅などのような導電性が
良好な材料より成る導電シート7、その外周面全体を被
覆するように貼り付けられる。この場合、矩形状をなす
導電シート7は、永久磁石ロータ4の回転方向の辺部が
折り曲げられて永久磁石6の端面に回り込んだ状態とさ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石ロータを
備えた永久磁石回転電機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】例えば永久磁石モータ
にあっては、コイルを収納したスロット群を有するステ
ータ鉄心内に、永久磁石ロータを配置した構成となって
おり、上記永久磁石ロータは、一般的には、ロータシャ
フトの周囲にバルク状の永久磁石を接着などにより固定
した構成となっている。
【0003】このような永久磁石モータが運転された状
態では、ロータの永久磁石に対して、ステータ鉄心のス
ロット及びティースが交互に対向される結果、ステータ
鉄心のスロット数とモータ回転数との積に比例した周波
数のスロットリップル磁束が発生して永久磁石に鎖交す
ることになる。従って、永久磁石モータの運転状態で
は、スロットリップル磁束による空間高調波磁界がバル
ク状の永久磁石に印加されることになるため、その永久
磁石の表面に大きな渦電流損(一般的には表面損と呼ば
れる)が発生する。
【0004】このため、永久磁石の表面が、上記表面損
によるジュール熱によって加熱されて昇温することにな
る。ところが、永久磁石には、温度上昇に応じて磁気エ
ネルギ及び発生磁束密度が急激に減少するという減磁が
つきものであり、また、温度上昇に応じて保持力も低下
するという特性がある。特に、永久磁石ロータに最も多
く利用されている高エネルギ磁石である焼結Nd磁石に
おいては、上記のような温度特性が悪いという一般的事
情がある。
【0005】従って、従来の永久磁石モータでは、その
運転状態において、永久磁石の温度上昇による発生磁束
密度の減少に起因した動作点の変化により、所望のトル
クを得られなくなることがあり、このような点が未解決
の課題となっていた。
【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、運転時において永久磁石ロータ側に
発生する表面損を抑制できて、永久磁石の温度上昇及び
これに伴う特性悪化を防止可能となる永久磁石回転電機
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記目的を達成するために、鉄心に形成されたスロット
群にコイルを収納して成るステータと、シャフトの周囲
に永久磁石を取り付けた永久磁石ロータとを備えた永久
磁石回転電機において、前記永久磁石ロータの表面を膜
状の導電性部材による被覆する構成としたものである。
【0008】この構成によれば、ステータからのスロッ
トリップル磁束が永久磁石ロータに鎖交する状態では、
導電性部材に比較的大きな渦電流が生成されるため、そ
の渦電流による逆磁界によって鎖交磁束が減衰されるよ
うになる。この場合、スロットリップル磁束は高調波磁
束であるため、上記のような鎖交磁束の減衰量は非常に
大きくなる。
【0009】このため、表面損により発生するジュール
熱が小さくなって永久磁石の温度上昇が抑制されるよう
になる。この結果、永久磁石として温度特性が悪いもの
が使用されるような状況下であっても、当該永久磁石の
温度上昇による特性劣化を防止できて、発生磁束密度の
減少を来たすことがなくなるから、発生トルクが不用意
に低下する事態を未然に防止できる。
【0010】この場合、前記永久磁石ロータの表面と前
記導電性部材との間に断熱部材を層状に介在させる構成
としても良い(請求項2)。この構成によれば、導電性
部材において渦電流により発生した熱が永久磁石側へ伝
わる事態が、断熱部材により抑制されるから、導電性部
材からの熱に起因した永久磁石の温度上昇を効果的に防
止できるようになる。
【0011】また、上記請求項1または2に記載された
導電性部材を、複数の孔部若しくはスリット部を備えた
構成とすることもできる(請求項3)。この構成によれ
ば、導電性部材及び永久磁石の熱膨張率の相違に起因し
て、両者の界面に作用する熱応力が孔部或いはスリット
部の存在により分散されることになるから、その導電性
部材及び永久磁石の界面で剥離が進行する事態を未然に
防止できるようになる。また、導電性部材における渦電
流路が狭められるようになるから、スロットリップル磁
束により発生する渦電流を抑制できて、表面損の一層の
低減も実現できることになる。
【0012】さらに、上記のように導電性部材を複数の
孔部若しくはスリット部を備えた構成とする場合には、
その導電性部材に対して、磁性粉或いは磁性コロイド材
料を混入・拡散した状態の絶縁用樹脂の含浸処理を施す
構成とすることができる(請求項4)。
【0013】この構成によれば、絶縁樹脂溶液中の磁性
粉或いは磁性コロイド材料は、永久磁石に引き付けられ
て当該導電性部材の孔部或いはスリット部分に磁性層を
形成するようになる。この場合、上記磁性層を構成する
磁性粉或いは磁性コロイドの周りには絶縁樹脂が存在す
ることになって、当該磁性層での渦電流路が非常に小さ
くなるから、その部分でスロットリップル磁束による表
面損はほとんど生じない。また、磁性層の透磁率は永久
磁石より大きくなるため、スロットリップル磁束は、主
に当該磁性層に鎖交するようになって永久磁石への鎖交
量が減少するようになる。従って、この面からも永久磁
石での表面損を低減できる。
【0014】この場合、上記磁性粉或いは磁性コロイド
材料を、永久磁石の粉体により構成するすることができ
る(請求項5)。この構成によれば、永久磁石のマスを
実効的に大きくできて磁気エネルギの増加を期待できる
ようになり、また、粉体の透磁率は極めて小さいから、
永久磁石からの漏れ磁束の増大を抑制できる利点もあ
る。
【0015】請求項6記載の発明は、鉄心に形成された
スロット群にコイルを収納して成るステータと、シャフ
トの周囲に永久磁石を取り付けた永久磁石ロータとを備
えた永久磁石回転電機において、前記永久磁石を、内周
側に位置された高エネルギ磁石と、外周側に位置された
耐熱性の良好な材料より成る薄肉状の補助磁石とにより
構成したものである。
【0016】この構成によれば、永久磁石ロータを構成
する永久磁石の外周側、つまり表面損により発熱する部
分に、耐熱性の良好な材料より成る補助磁石が配置され
た状態となるから、その補助磁石部分の磁石性能が温度
上昇により劣化する虞がなくなると共に、その内周側に
位置された高エネルギ磁石が表面損により温度上昇する
ことがなくなって、その磁石性能の劣化も抑止できるこ
とになる。この場合、補助磁石は、薄肉状に構成すれば
済むものであって、永久磁石の大部分は内周側に位置さ
れた高エネルギ磁石により構成できるから、結果的に、
表面損による温度上昇に対処しながら、磁気エネルギ及
び発生磁束密度を最大限高くできるようになって、トル
クが不用意に低下する事態を効果的に防止できるもので
ある。
【0017】請求項7記載の発明は、鉄心に形成された
スロット群にコイルを収納して成るステータと、シャフ
トの周囲に永久磁石を取り付けた永久磁石ロータとを備
えた永久磁石回転電機において、前記永久磁石を、内周
側に位置された高エネルギ磁石と、外周側に位置された
高抵抗率材料より成る薄肉状の補助磁石とにより構成し
たものである。
【0018】この構成によれば、スロットリップル磁束
が補助磁石に鎖交することにより生起される渦電流は、
その補助磁石が高抵抗率材料より成るものであるため、
小さなレベルに抑制されることになる。このため、主に
外周側の補助磁石で発生する表面損を低減できるように
なって、その表面損に起因した永久磁石の温度上昇を抑
制できるから、表面損による永久磁石の温度上昇に起因
して所望のトルクが得られなくなるという事態を確実に
防止できる。
【0019】上記請求項6或いは7で用いられる補助磁
石は、複数の孔部若しくはスリット部を備えた構成とす
ることもできる(請求項8)。この構成によれば、補助
磁石における渦電流路が狭められるようになるから、ス
ロットリップル磁束により発生する渦電流を抑制でき
て、表面損の一層の低減も実現できることになる。
【0020】請求項9記載の発明は、鉄心に形成された
スロット群にコイルを収納して成るステータと、シャフ
トの周囲に永久磁石を取り付けた永久磁石ロータとを備
えた永久磁石回転電機において、前記永久磁石の表層部
に複数の孔部若しくはスリット部を形成する構成とした
ものである。
【0021】この構成によれば、スロットリップル磁束
により永久磁石の表面に生起される渦電流の電流路が、
複数の孔部若しくはスリット部の存在により狭められる
ようになるから、その渦電流が小さくなって、表面損が
低減されるようになる。この結果、表面損により発生す
るジュール熱も小さくなって永久磁石の温度上昇が抑制
されるようになる。
【0022】請求項10記載の発明は、鉄心に形成され
たスロット群にコイルを収納して成るステータと、シャ
フトの周囲に永久磁石を取り付けた永久磁石ロータとを
備えた永久磁石回転電機において、前記永久磁石の表層
部に互いに繋がった状態の複数のスリット部を形成した
上で、そのスリット部を埋めるようにして導電体を配置
する構成としたものである。
【0023】この構成によっても、スロットリップル磁
束により永久磁石の表面に生起される渦電流の電流路
が、複数のスリット部の存在により狭められるから、表
面損が低減されて永久磁石の温度上昇が抑制される。ま
た、永久磁石の表面に互いに繋がった導電体が配置され
た状態となるから、当該導電体に生起される比較的大き
な渦電流による逆磁界によって、永久磁石に鎖交するス
ロットリップル磁束が減衰されるようになるから、この
面からも表面損を低減できるようになる。
【0024】請求項11記載の発明は、鉄心に形成され
たスロット群にコイルを収納して成るステータと、シャ
フトの周囲に永久磁石を取り付けた永久磁石ロータとを
備えた永久磁石回転電機において、前記永久磁石ロータ
の表面に、磁性材料より成るワイヤを各巻回部分を互い
に隣接させたトロイダル状に巻回する構成としたもので
ある。
【0025】この構成によれば、永久磁石の表面で隣接
した状態となるワイヤの各巻回部分間の接触抵抗値は、
当該ワイヤの抵抗値に比べて十分に高い状態となる。従
って、スロットリップル磁束によりワイヤに生起される
渦電流の電流路が、当該ワイヤの直径の範囲内に制限さ
れることになるから、その渦電流が小さくなって、表面
損が低減されるようになる。この結果、表面損により発
生するジュール熱も小さくなって永久磁石の温度上昇が
抑制されるようになるから、永久磁石として温度特性が
悪いものが使用される状況下であっても、発生磁束密度
の減少を来たすことがなくなる。
【0026】この場合、永久磁石ロータの表面に巻回さ
れた上記ワイヤに対し絶縁用樹脂の含浸処理を施す構成
とすることもできる(請求項12)。この構成によれ
ば、隣接するワイヤの各巻回部分間、並びにワイヤと永
久磁石との間が、絶縁用樹脂により強固に接着されるよ
うになるから、永久磁石の機械的な拘束状態を強固にで
きる。
【0027】また、上記前記絶縁用樹脂中に磁性粉或い
は磁性コロイド材料を混入・拡散する構成としても良い
(請求項13)。この構成によれば、絶縁樹脂溶液中の
磁性粉或いは磁性コロイド材料は、永久磁石及びワイヤ
に引き付けられて当該ワイヤの周り及びワイヤ間の空隙
部分に磁性層を形成するようになる。この場合、上記磁
性層を構成する磁性粉或いは磁性コロイドの周りには絶
縁樹脂が存在することになって、当該磁性層での渦電流
路が非常に小さくなるから、その部分でスロットリップ
ル磁束による表面損はほとんど生じない。また、磁性層
の透磁率は永久磁石より大きくなるため、スロットリッ
プル磁束は、主に当該磁性層に鎖交するようになって永
久磁石への鎖交量が減少するようになる。従って、この
面からも永久磁石での表面損を低減できるようになる。
【0028】この場合、上記磁性粉或いは磁性コロイド
材料を、永久磁石の粉体により構成するすることができ
る(請求項14)。この構成によれば、永久磁石のマス
を実効的に大きくできて磁気エネルギの増加を期待でき
るようになり、また、粉体の透磁率は極めて小さいか
ら、永久磁石からの漏れ磁束の増大を抑制できるように
なる。
【0029】請求項15記載の発明は、鉄心に形成され
たスロット群にコイルを収納して成るステータと、シャ
フトの周囲に永久磁石を取り付けた永久磁石ロータとを
備えた永久磁石回転電機において、前記永久磁石ロータ
の表面に非磁性材料より成るワイヤをトロイダル状に巻
回し、そのワイヤに対して、磁性粉或いは磁性コロイド
材料を混入・拡散した状態の絶縁用樹脂の含浸処理を施
す構成としたものである。
【0030】この構成によれば、絶縁樹脂溶液中の磁性
粉或いは磁性コロイド材料は、永久磁石に引き付けられ
てワイヤの周り及びワイヤ間の空隙部分に磁性層を形成
するようになるから、非磁性材料製のワイヤを利用した
場合でも、表面損を低減できるようになる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明を永久磁石モータに
適用した第1実施例について図1及び図2を参照しなが
ら説明する。永久磁石モータの横断面構造を概略的に示
す図1において、ステータ1は、鉄心2に形成されたス
ロット2a群にコイル3を収納した構成となっており、
その界磁空間内に永久磁石ロータ4が配置される。
【0032】上記永久磁石ロータ4は、図2にも示すよ
うに、シャフト5の周囲に例えば2個の永久磁石6を接
着により取り付けた構成となっている。尚、隣接する永
久磁石6間には所定の空隙が存するように構成されてい
るが、その空隙には、必要に応じて継鉄ブロックやスペ
ーサを配置しても良い。
【0033】永久磁石6の表面には、アルミニウムや銅
などのような導電性が良好な材料より成る導電シート7
(本発明でいう導電性部材に相当)が、その外周面全体
を被覆するように貼り付けられる。この場合、矩形状を
なす導電シート7は、永久磁石ロータ4の回転方向の辺
部が折り曲げられて永久磁石6の端面に回り込んだ状態
とされており、その回り込み部分の寸法は、当該永久磁
石6の径方向寸法の1/4程度に設定されている。
【0034】上記した構成によれば、コイル3に対する
通電に応じて永久磁石ロータ4が回転される運転状態で
は、その回転数と鉄心2のスロット数との積に比例した
周波数のスロットリップル磁束が発生し、その磁束が導
電シート7及び永久磁石6に鎖交することになる。これ
により、導電シート7には、上記のように鎖交するスロ
ットリップル磁束によって比較的大きな渦電流が生起さ
れ、その渦電流による逆磁界によって鎖交磁束が減衰さ
れるようになる。
【0035】この場合、スロットリップル磁束は高調波
磁束であるため、導電シート7部分での減衰量は非常に
大きくなる。このため、永久磁石6に鎖交するスロット
リップル磁束は大きく減衰された状態となり、当該永久
磁石6で発生する表面損は極めて小さくなる。従って、
表面損により発生するジュール熱も小さくなって永久磁
石6の温度上昇が抑制されるようになる。この結果、永
久磁石6として温度特性が悪いもの(例えば焼結Nd磁
石)が使用されるような状況下であっても、当該永久磁
石6の温度上昇による特性劣化を防止できて、発生磁束
密度の減少を来たすことがなくなるから、発生トルクが
不用意に低下する事態を未然に防止できる。
【0036】特に、本実施例においては、導電シート7
の端部が折り曲げられて永久磁石6の端面に回り込んだ
状態とされているから、永久磁石6に対して、その端面
から鎖交するスロットリップル磁束も抑制できることに
なり、上述した温度上昇抑制効果がさらに確実なものと
なる。
【0037】尚、上記第1実施例では、永久磁石6の表
面に導電シート7を貼り付ける構成としたが、永久磁石
6の表面に、アルミニウムなどより成る膜状の導電性部
材を蒸着手段やディップ手段などにより形成する構成と
しても良い。
【0038】図3には、上記第1実施例の構成に改良を
加えた本発明の第2実施例が示されており、以下これに
ついて異なる部分のみ説明する。即ち、前記第1実施例
では、導電シート7に生起される渦電流によって当該導
電シート7が発熱し、その熱が永久磁石6に伝えられる
ことになる。この場合、永久磁石ロータ1の周辺速度は
比較的大きく、また、導電シート7自体は放熱性が良好
であるから、通常の運転状態では導電シート7の表面か
らの放熱量が多くなって永久磁石6の温度上昇が抑制さ
れるようになる。しかし、永久磁石ロータ1が低速回転
される場合などのように上記放熱を十分に期待できない
状態では、導電シート7から永久磁石6への熱伝達が問
題になることがある。
【0039】斯かる問題点に対処するために、図3に示
す第2実施例では、永久磁石6の表面に、複合シート8
を貼り付ける構成としている。上記複合シート8は、断
熱性が良好な材料(例えばプラスチック)製の矩形状絶
縁シート8a(本発明でいう断熱部材に相当)の片面
に、アルミニウムや銅などのような導電性が良好な材料
より成る導電層8b(本発明でいう導電性部材に相当)
を設けて成るもので、絶縁シート8aが永久磁石6側と
なるように貼り付けられる。この構成により、導電層8
bと永久磁石との間に、絶縁シート8aが層状に介在さ
れた状態になる。
【0040】この第2実施例の構成においても、運転状
態で発生するスロットリップル磁束が複合シート8及び
永久磁石6に鎖交した場合に、その複合シート8の導電
層8b部分で渦電流が生起されて鎖交磁束が減衰される
から、永久磁石6での表面損が低減されるようになる。
特に、本実施例では、導電層8bと永久磁石6との間に
断熱性が良好な絶縁シート8aが介在された状態となっ
ているから、上記渦電流により発熱する導電層8bから
の熱が永久磁石6へ伝わりにくくなる。この結果、導電
層8bの表面からの放熱量が減少するような状況下で
も、永久磁石6の温度が導電層8bからの熱により上昇
する虞がなくなる。
【0041】図4には、前記第1実施例の構成に改良を
加えた本発明の第3実施例が示されており、以下これに
ついて異なる部分のみ説明する。即ち、第1実施例の構
成によれば、導電シート7に生起される渦電流が非常に
大きい場合や、導電シート7の放熱が不十分な場合など
に、導電シート7及び永久磁石6間の温度差が拡大する
ことがある。このとき、導電シート7が銅製の場合、そ
の熱膨張率は17 ppm/K程度であるのに対し、永久磁
石6の熱膨張率は1〜5 ppm/K(NeFeB磁石の場
合)に過ぎない。
【0042】従って、上記のように導電シート7及び永
久磁石6間の温度差が拡大した場合には、導電シート7
が永久磁石6に比べて大きく膨脹することになって、両
者の界面に非常に大きな熱応力が生起される。しかも、
導電シート7の温度上昇量は、ロータ1における各部の
放熱性能や発生表面損の分布が大きく異なるため、上記
界面には多様な応力が働くことになる。このため、経時
使用に応じて導電シート7及び永久磁石6の界面で剥離
が進行することが避けられず、これがモータ寿命に悪影
響を及ぼすという問題点が出てくる。
【0043】このような問題点に対処するために、図4
に示す第3実施例では、第1実施例における導電シート
7に代えて、多数の孔部9aをメッシュ状に備えた導電
シート9(本発明でいう導電性部材に相当)を用意し、
この導電シート9を永久磁石6の表面に第1実施例と同
様に貼り付ける構成としている。
【0044】このような構成とした場合、導電シート9
及び永久磁石6の熱膨張率の相違に起因して、両者の界
面に作用する熱応力が孔部9a群の存在により分散され
ることになるから、上記のような問題点を効果的に解決
できるようになる。また、この構成によれば、導電シー
ト9における渦電流路が狭められるようになるから、ス
ロットリップル磁束により発生する渦電流を抑制でき
て、表面損の一層の低減も実現できることになる。
【0045】尚、第2実施例で用いた複合シート8に対
して、上記第3実施例のような多数の孔部を形成する構
成とした場合でも、当該第3実施例と同様の効果が得ら
れるようになる。
【0046】また、上記第3実施例において、導電シー
ト9に対し、鉄或いはフェライトなどの磁性粉或いは磁
性コロイド材料を混入・拡散した状態の絶縁樹脂溶液の
含浸処理(硬化処理も含む概念である)を施す構成とし
ても良い。
【0047】このような含浸処理を行った場合、絶縁樹
脂溶液中の磁性粉或いは磁性コロイド材料は、永久磁石
6に引き付けられて当該永久磁石6の表面における孔部
9a部分に磁性層を形成するようになる。
【0048】このような構成とした場合、上記磁性層を
構成する磁性粉或いは磁性コロイドの周りには絶縁樹脂
が存在することになって、当該磁性層の電気的な抵抗は
十分に大きな状態となるから、上述した渦電流抑制効果
が阻害されることはない。しかも、上記磁性層の透磁率
は永久磁石6より大きくなるから、スロットリップル磁
束は、主に当該磁性層に鎖交するようになって永久磁石
6への鎖交量が減少するようになる。従って、この面か
らも永久磁石6での表面損を低減できるようになる。
【0049】さらに、上記のような含浸処理を行う場合
に、絶縁樹脂溶液中に混入・拡散する磁性粉或いは磁性
コロイド材料を、永久磁石の粉体により構成しても良
く、この構成によれば、永久磁石6のマスを実効的に大
きくできて磁気エネルギの増加を期待できるようにな
る。また、この場合、粉体を構成する永久磁石は透磁率
が1〜2程度しかないから、永久磁石6からの漏れ磁束
の増大を抑制できるようになる。
【0050】図5及び図6には本発明の第4実施例が示
されており、以下これについて前記第1実施例と異なる
部分のみ説明する。図5において、永久磁石ロータ10
は、シャフト11の周囲に例えば2個の永久磁石12を
取り付けた構成となっている。この永久磁石12は、内
周側に位置された高エネルギ磁石12aと、外周側に位
置された耐熱性の良好な材料より成る薄肉状の補助磁石
12bとにより構成されている。この実施例では、高エ
ネルギ磁石12aとして例えばNEOMAX−37(住
友特殊金属(株)製のNd磁石の商品名)を用い、補助
磁石12bとしてNEOMAX−28UH(同じく住友
特殊金属(株)製のNd磁石の商品名)を用いている。
【0051】ここで、NEOMAX−37は、高エネル
ギ磁石として有用なものであるが、温度特性が悪いとい
う事情がある。このため、図5において、永久磁石12
の全体をNEOMAX−37のような高エネルギ磁石に
より構成した場合には、次に述べるような問題点があっ
た。
【0052】つまり、図6には、NEOMAX−37の
減磁曲線が示されている。一般的に、NEOMAX−3
7のようにエネルギ密度及び発生磁束密度が高い永久磁
石にあっては、温度上昇による性能低下が極端であり、
図6の減磁曲線図のように、磁気エネルギ及び発生磁束
密度が、温度上昇に応じて急激に減少するという性質が
ある。
【0053】図6において、太線で示されたB−H曲線
に鎖交する直線Pが永久磁石の置かれている環境のパラ
メータであるパーミアンス係数を示すものであり、それ
らの交点が動作点Gとなる。このような動作点Gは、永
久磁石の温度が高くなった状態において、B−H曲線上
において発生磁束密度が急降下する領域に存在する可能
性が高くなる。
【0054】このように、永久磁石の温度上昇に伴っ
て、動作点GがB−H曲線上において発生磁束密度が急
降下する領域に存在する状況となった場合には、減磁が
非可逆的に発生するため、常温に戻ったときに元の磁石
性能に復帰せずに発生磁束密度の低下及び磁気エネルギ
の減退を伴うことになる。このような磁石性能の劣化
は、モータの運転に応じた表面損による発熱により引き
起こされるものであり、その運転及び停止が反復される
のに応じてますます進行し、結果的に所望のトルクを得
ることができなくなる。
【0055】これに対して、第4実施例では、永久磁石
12の外周側、つまり表面損により発熱する部分に、耐
熱性の良好な材料より成る補助磁石12bを配置する構
成としたから、補助磁石12b部分の磁石性能が温度上
昇により劣化する虞がなくなると共に、高エネルギ磁石
12aが表面損により温度上昇することがなくなって、
その磁石性能の劣化も抑止できることになる。この場
合、補助磁石12bは、薄肉状に構成されたもので、永
久磁石12の大部分は内周側に位置された高エネルギ磁
石12aにより構成されているから、結果的に、表面損
による温度上昇に対処しながら、磁気エネルギ及び発生
磁束密度を最大限高くできるようになり、上述したよう
なトルク低下という問題点を招く虞がなくなるものであ
る。
【0056】図7には本発明の第5実施例が示されてお
り、以下これについて前記第1実施例と異なる部分のみ
説明する。図7において、永久磁石ロータ13は、シャ
フト14の周囲に例えば2個の永久磁石15を取り付け
た構成となっている。この永久磁石15は、内周側に位
置された高エネルギ磁石15aと、外周側に位置された
高抵抗率材料より成る薄肉状の補助磁石15bとにより
構成されている。
【0057】この構成において、永久磁石ロータ13が
回転された状態ではスロットリップル磁束が発生して永
久磁石15に鎖交するため、その外周側の補助磁石15
bに渦電流が生起されるようになり、これに伴う表面損
は抵抗損失V/Rによるものとなる。但し、Vは鎖
交磁束による誘起電圧であり、スロットリップル磁束の
時間変化に比例する。また、Rは渦電流路の抵抗値であ
る。
【0058】要するに、誘起電圧Vは、ステータの定格
に依存したものとなるが、抵抗値Rは、磁石材料の抵抗
率により決まるものであるから、表面損は、補助磁石1
5bの抵抗率が大きい場合ほど小さくできることにな
る。この場合、本実施例では、補助磁石15bとして高
抵抗率材料より成るものを使用しているから、表面損を
低減できるようになって、その表面損に起因した永久磁
石15の温度上昇を抑制できることになる。この結果、
表面損による永久磁石15の温度上昇に起因して所望の
トルクが得られなくなるという事態を確実に防止できる
ようになる。
【0059】因みに、補助磁石15bのための抵抗率が
高い磁石材料としては、フェライト磁石が挙げられる。
つまり、フェライト磁石は、酸化物材料から成るもの
で、その抵抗率は100Ω・m程度の高い値を示す。こ
れに対して、現在市販されている磁石材料の中で最も高
エネルギとされているNeFeB磁石の抵抗率は150
×10−8Ω・mである。
【0060】図8には本発明の第6実施例が示されてお
り、以下これについて前記第1実施例と異なる部分のみ
説明する。即ち、本実施例では、第1実施例における導
電シート7を省略し、永久磁石6の表層部に、レーザ加
工や放電加工、或いはスリッタを使用した加工によって
複数のスリット部6aを形成した点に特徴を有する。
【0061】このような構成によれば、スロットリップ
ル磁束により永久磁石6の表面に生起される渦電流の電
流路が狭められるようになるから、その渦電流が小さく
なって、表面損が低減されるようになる。この結果、表
面損により発生するジュール熱も小さくなって永久磁石
6の温度上昇が抑制されるようになる。このため、永久
磁石6として温度特性が悪いものが使用される状況下で
あっても、発生磁束密度の減少を来たすことがなくなっ
て、発生トルクが不用意に低下する事態を未然に防止で
きるようになる。
【0062】また、上記のような温度上昇に応じた永久
磁石6での熱膨張は、その表層部に偏るようになって、
永久磁石6内に大きな熱応力が生ずることになるが、本
実施例のように永久磁石6の表層部にスリット部6aが
形成されていた場合には、スリット部6aによって表層
部の熱膨張が吸収されて、永久磁石6内で生起される熱
応力が緩和されるようになる。このため、機械的に比較
的脆いという事情がある永久磁石6に対し反復的に熱応
力が作用した場合でも、クラックが発生しにくくなるも
のであり、これにより寿命に対する信頼性が向上するよ
うになる。
【0063】尚、上記第6実施例において、スリット部
6aに代えて、複数の孔部を例えばメッシュ状に形成す
る構成としても良い。また、前述した第4実施例(図5
参照)及び第5実施例(図7参照)において、補助磁石
12b及び15bに対し、上記第6実施例と同様のスリ
ット部或いは孔部を形成する構成としても良い。特に、
このような構成を採用した場合には、補助磁石12b及
び15bにおける渦電流路が狭められるようになるか
ら、スロットリップル磁束により発生する渦電流を抑制
できて、表面損の一層の低減も実現できることになる。
【0064】図9及び図10には、上記第6実施例に改
良を加えた本発明の第7実施例が示されており、以下こ
れについて異なる部分のみ説明する。即ち、本実施例で
は、永久磁石6の表層部に互いに繋がった状態の複数の
スリット部6bを格子状に形成し、図10に示すよう
に、上記スリット部6bの全体に対し、アルミニウムな
どより成る導電体6cを蒸着や溶融流し込み(着磁前に
行う)などの手段を利用して所定深さまで埋め込んだ状
態としている。
【0065】この構成によっても前記第6実施例と同様
の効果を奏するものであり、特に本実施例では、永久磁
石6の表面に導電体6cが格子状に配置された状態とな
るから、当該導電体6cに生起される比較的大きな渦電
流による逆磁界によって、永久磁石6に鎖交するスロッ
トリップル磁束が減衰されるようになるから、表面損を
低減できるようになる。また、本実施例では、上記導電
体6cによって、スリット6bを形成したことに伴う永
久磁石6の強度低下を補強できるようになる利点もあ
る。
【0066】尚、前述した第4実施例(図5参照)及び
第5実施例(図7参照)において、補助磁石12b及び
15bに対し、上記第7実施例と同様のスリット部及び
導電体を設ける構成としても良い。
【0067】図11には本発明の第8実施例が示されて
おり、以下これについて前記第1実施例と異なる部分の
み説明する。図11において、永久磁石ロータ16は、
シャフト17の周囲に例えば2個の永久磁石18を取り
付けた構成となっており、それら永久磁石18間の空隙
には、中空状のスペーサ19が配置されている。上記永
久磁石ロータ16の表面には、磁性材料より成るワイヤ
20が、各巻回部分を互いに隣接させたトロイダル状に
巻回される。尚、上記ワイヤ20は、永久磁石18より
十分に大きな透磁率を持った磁性材料により構成され
る。
【0068】上記構成において、永久磁石18の表面で
隣接するワイヤ20の各巻回部分間の接触抵抗値は、当
該ワイヤ20の抵抗値に比べて十分に高い状態となる。
従って、スロットリップル磁束によりワイヤ20に生起
される渦電流の電流路が、当該ワイヤ20の直径の範囲
内に制限されることになるから、その渦電流が小さくな
って、表面損が低減されるようになる。この結果、表面
損により発生するジュール熱も小さくなって永久磁石1
8の温度上昇が抑制されるようになるから、永久磁石1
8として温度特性が悪いものが使用される状況下であっ
ても、発生磁束密度の減少を来たすことがなくなる。
【0069】因みに、ワイヤ20をアモルファス磁性材
料により形成した場合には、その表面に酸化層が存在す
る関係上、隣接するワイヤ20の各巻回部分間の接触抵
抗値は、当該ワイヤ20の抵抗値に比べて10オー
ダー程度高い状態となるから、上記のような渦電流の抑
制効果を十分に発揮できる。また、この場合には、永久
磁石18の透磁率が1〜2程度であるのに対して、ワイ
ヤ20の透磁率は10000以上になるから、スロット
リップル磁束が主にワイヤ20に鎖交することになっ
て、永久磁石18の温度上昇をさらに効率良く抑制でき
るようになる。
【0070】しかも、本実施例では、永久磁石18の周
りに密に巻回されたワイヤ20により当該永久磁石18
が機械的に拘束された状態なるから、永久磁石ロータ1
6の回転時に伴う遠心力や、その回転開始及び停止時の
衝撃などによって永久磁石18が飛散する事態を確実に
防止できるようになる。
【0071】また、永久磁石18間の空隙にスペーサ1
9が配設されているから、ワイヤ20の巻回時に十分な
テンションをかけることができて、その巻回状態を強固
なものにできる。この結果、経時使用に応じてワイヤ2
0の温度上昇が反復して行われた場合でも、そのワイヤ
20の巻回状態が緩む虞がなくなる。
【0072】尚、上記第8実施例において、ワイヤ20
に対しワニスなどの絶縁用樹脂の含浸処理を施す構成と
しても良く、この構成によれば、隣接するワイヤ20の
各巻回部分間、並びにワイヤ20と永久磁石18との間
が、上記絶縁用樹脂により強固に接着されるようになる
から、永久磁石18の機械的な拘束状態をさらに強固に
できる。尚、上記含浸は、最も簡単なディップ(どぶ付
け)処理で行った場合でも、絶縁用樹脂が毛細管現象に
よりワイヤ20間に浸透するようになるから、所期の目
的を十分に達成できるものである。
【0073】また、上記のように絶縁用樹脂の含浸処理
を行う場合、その絶縁用樹脂中に、鉄或いはフェライト
などの磁性粉或いは磁性コロイド材料を混入・拡散した
状態のとしても良い。
【0074】このような含浸処理を行った場合、絶縁樹
脂溶液中の磁性粉或いは磁性コロイド材料は、永久磁石
18及びワイヤ20に引き付けられてワイヤ20の周り
及びワイヤ20間の空隙部分に磁性層を形成するように
なる。
【0075】この構成の場合、上記磁性層を構成する磁
性粉或いは磁性コロイドの周りには絶縁樹脂が存在する
ことになって、当該磁性層での渦電流路が非常に小さく
なるから、その部分でスロットリップル磁束による表面
損はほとんど生じない。しかも、上記磁性層の透磁率は
永久磁石18より大きくなるから、スロットリップル磁
束は、主に当該磁性層に鎖交するようになって永久磁石
18への鎖交量が減少することになる。従って、この面
からも永久磁石18での表面損を低減できるようにな
る。
【0076】さらに、上記のような含浸処理を行う場合
に、絶縁樹脂溶液中に混入・拡散する磁性粉或いは磁性
コロイド材料を、永久磁石の粉体により構成しても良
く、この構成によれば、永久磁石18のマスを実効的に
大きくできて磁気エネルギの増加を期待できるようにな
る。また、この場合、粉体を構成する永久磁石は透磁率
が1〜2程度しかないから、永久磁石18からの漏れ磁
束の増大を抑制できるようになる。
【0077】また、上記のように鉄或いはフェライトな
どの磁性粉或いは磁性コロイド材料を混入・拡散した状
態の絶縁用樹脂の含浸処理を行う場合には、ワイヤ20
に代えて非磁性体材料より成るワイヤを用いる構成して
も良いものであり、この場合には、ワイヤ20による磁
性体としての機能を、前述のように形成される磁性層に
より肩代わりできることになる。
【0078】尚、上記した各実施例は、永久磁石モータ
を対象とした例で説明したが、本発明は永久磁石発電機
に適用することもできる。
【0079】
【発明の効果】以上の説明によって明らかなように、請
求項1記載の発明では、永久磁石ロータの表面を膜状の
導電性部材により被覆する構成とし、請求項6記載の発
明では、永久磁石ロータの永久磁石を、内周側に位置さ
れた高エネルギ磁石と、外周側に位置された耐熱性の良
好な材料より成る薄肉状の補助磁石とにより構成し、請
求項7記載の発明は、永久磁石を、内周側に位置された
高エネルギ磁石と、外周側に位置された高抵抗率材料よ
り成る薄肉状の補助磁石とにより構成し、請求項9記載
の発明では、永久磁石の表層部に複数の孔部若しくはス
リット部を形成する構成とし、請求項10記載の発明で
は、永久磁石の表層部に互いに繋がった状態の複数のス
リット部を形成すると共に、そのスリット部を埋めるよ
うにして導電体を配置する構成とし、請求項11記載の
発明では、永久磁石ロータの表面に、磁性材料より成る
ワイヤを各巻回部分を互いに隣接させたトロイダル状に
巻回する構成とし、さらに、請求項15記載の発明で
は、永久磁石ロータの表面に非磁性材料より成るワイヤ
をトロイダル状に巻回し、そのワイヤに対して、磁性粉
或いは磁性コロイド材料を混入・拡散した状態の絶縁用
樹脂の含浸処理を施す構成としたから、運転時において
永久磁石ロータ側に発生する表面損を抑制できて、永久
磁石の温度上昇及びこれに伴う特性悪化を防止可能とな
るという有益な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す横断面図
【図2】永久磁石ロータを一部破断して示す斜視図
【図3】本発明の第2実施例の永久磁石ロータを一部破
断して示す斜視図
【図4】本発明の第3実施例の永久磁石ロータを一部破
断して示す斜視図
【図5】本発明の第4実施例を示す永久磁石ロータの斜
視図
【図6】作用説明用の減磁曲線図
【図7】本発明の第5実施例を示す永久磁石ロータの斜
視図
【図8】本発明の第6実施例を示す永久磁石ロータの斜
視図
【図9】本発明の第7実施例を示す永久磁石ロータの斜
視図
【図10】部分拡大斜視図
【図11】本発明の第8実施例を示す永久磁石ロータの
斜視図
【符号の説明】
1はステータ、2は鉄心、2aはスロット、3はコイ
ル、4は永久磁石ロータ、5はシャフト、6は永久磁
石、6a、6bはスリット部、6cは導電体、7は導電
シート(導電性部材)、8は複合シート、8aは絶縁シ
ート(シート状断熱部材)、8bは導電層(導電性部
材)、9は導電シート(導電性部材)、10は永久磁石
ロータ、11はシャフト、12は永久磁石、12aは高
エネルギ磁石、12bは補助磁石、13は永久磁石ロー
タ、14はシャフト、15は永久磁石、15aは高エネ
ルギ磁石、15bは補助磁石、16は永久磁石ロータ、
17はシャフト、18は永久磁石、20はワイヤを示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堺 和人 横浜市鶴見区末広町2−4 株式会社東芝 京浜事業所内 (72)発明者 霜村 英二 横浜市鶴見区末広町2−4 株式会社東芝 京浜事業所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄心に形成されたスロット群にコイルを
    収納して成るステータと、シャフトの周囲に永久磁石を
    取り付けた永久磁石ロータとを備えた永久磁石回転電機
    において、 前記永久磁石ロータの表面を膜状の導電性部材により被
    覆したことを特徴とする永久磁石回転電機。
  2. 【請求項2】 前記永久磁石ロータの表面と前記導電性
    部材との間に断熱部材を層状に介在させたことを特徴と
    する請求項1記載の永久磁石回転電機。
  3. 【請求項3】 前記導電性部材は、複数の孔部若しくは
    スリット部を備えていることを特徴とする請求項1また
    は2記載の永久磁石回転電機。
  4. 【請求項4】 前記導電性部材に対して、磁性粉或いは
    磁性コロイド材料を混入・拡散した状態の絶縁用樹脂の
    含浸処理を施したことを特徴とする請求項3記載の永久
    磁石回転電機。
  5. 【請求項5】 前記磁性粉或いは磁性コロイド材料は、
    永久磁石の粉体より成ることを特徴とする請求項4記載
    の永久磁石回転電機。
  6. 【請求項6】 鉄心に形成されたスロット群にコイルを
    収納して成るステータと、シャフトの周囲に永久磁石を
    取り付けた永久磁石ロータとを備えた永久磁石回転電機
    において、 前記永久磁石を、内周側に位置された高エネルギ磁石
    と、外周側に位置された耐熱性の良好な材料より成る薄
    肉状の補助磁石とにより構成したことを特徴とする永久
    磁石回転電機。
  7. 【請求項7】 鉄心に形成されたスロット群にコイルを
    収納して成るステータと、シャフトの周囲に永久磁石を
    取り付けた永久磁石ロータとを備えた永久磁石回転電機
    において、 前記永久磁石を、内周側に位置された高エネルギ磁石
    と、外周側に位置された高抵抗率材料より成る薄肉状の
    補助磁石とにより構成したことを特徴とする永久磁石回
    転電機。
  8. 【請求項8】 前記補助磁石は、複数の孔部若しくはス
    リット部を備えていることを特徴とする請求項6または
    7記載の永久磁石回転電機。
  9. 【請求項9】 鉄心に形成されたスロット群にコイルを
    収納して成るステータと、シャフトの周囲に永久磁石を
    取り付けた永久磁石ロータとを備えた永久磁石回転電機
    において、 前記永久磁石の表層部に複数の孔部若しくはスリット部
    を形成したことを特徴とする永久磁石回転電機。
  10. 【請求項10】 鉄心に形成されたスロット群にコイル
    を収納して成るステータと、シャフトの周囲に永久磁石
    を取り付けた永久磁石ロータとを備えた永久磁石回転電
    機において、 前記永久磁石の表層部に互いに繋がった状態の複数のス
    リット部を形成し、 そのスリット部を埋めるようにして導電体を配置したこ
    とを特徴とする永久磁石回転電機。
  11. 【請求項11】 鉄心に形成されたスロット群にコイル
    を収納して成るステータと、シャフトの周囲に永久磁石
    を取り付けた永久磁石ロータとを備えた永久磁石回転電
    機において、 前記永久磁石ロータの表面に、磁性材料より成るワイヤ
    を各巻回部分を互いに隣接させたトロイダル状に巻回し
    たことを特徴とする永久磁石回転電機。
  12. 【請求項12】 永久磁石ロータの表面に巻回されたワ
    イヤに対し絶縁用樹脂の含浸処理を施したことを特徴と
    する請求項11記載の永久磁石回転電機。
  13. 【請求項13】 前記絶縁用樹脂中に磁性粉或いは磁性
    コロイド材料を混入・拡散したことを特徴とする請求項
    12記載の永久磁石回転電機。
  14. 【請求項14】 前記磁性粉或いは磁性コロイド材料
    は、永久磁石の粉体より成ることを特徴とする請求項1
    3記載の永久磁石回転電機。
  15. 【請求項15】 鉄心に形成されたスロット群にコイル
    を収納して成るステータと、シャフトの周囲に永久磁石
    を取り付けた永久磁石ロータとを備えた永久磁石回転電
    機において、 前記永久磁石ロータの表面に非磁性材料より成るワイヤ
    をトロイダル状に巻回し、そのワイヤに対して、磁性粉
    或いは磁性コロイド材料を混入・拡散した状態の絶縁用
    樹脂の含浸処理を施したことを特徴とする永久磁石回転
    電機。
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