JP5040441B2 - 電動機 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性体により主磁気回路が形成され、この磁性体に巻回された巻線への通電がインバータ制御されることで主磁気回路に交番磁束が流れる電動機に関し、特に、磁性体における鉄損の発生部位を制御する技術に関する。
電動機の鉄損は、固定子や可動子を構成する磁性体(コア材)を磁化したときに失われる電気エネルギであり、励磁用の巻線の抵抗によって失われるエネルギ(銅損)と合わせて、電動機の効率低下の要因となることが知られている。鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損の和として表されるが、この鉄損は、主磁気回路となる磁性体を通過する交番磁束の高調波成分ほど損失の比率が大きくなる。また、鉄損は磁性体の熱エネルギに変換されて失われるため、鉄損が大きくなると磁性体の発熱量が大きくなり、例えば、磁性体に永久磁石を埋め込み或いは接着させた構造の永久磁石型の電動機では、永久磁石の減磁による性能低下につながる。
そこで、主磁気回路を通過する磁束の高調波成分による鉄損を低減させる技術が種々検討されており、例えば特許文献1においては、集中巻の巻線を備えた回転電機において、固定子の突極部(ステータティース)の半径方向に沿って、例えばギャップを介在させる、或いは透磁率の低い部材を設置するなどの手法で磁気抵抗障壁を設けることで、ひとつの突極内で短絡してトルクに寄与しない磁束成分を低減させ、鉄損を低減させるという技術が提案されている。
特表2003−518904号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、磁気抵抗を増大させる磁気抵抗障壁を磁路中に設けるようにしているため、主磁気回路を通過する磁束のトルクに寄与する基本波磁束成分までも低下させてしまい、トルクの低下を招くという問題点があった。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、トルクの低下を招くことなく、主磁気回路を通過する交番磁束の高調波成分を特定の部位で消費させることで主磁気回路のその他の部位で生じる鉄損を低減することができる電動機を提供することを目的としている。
本発明に係る電動機は、主磁気回路を形成する磁性体の一部として、所定のカットオフ周波数以上の高調波の交番磁束の通過を抑制する高調波磁束抑制要素を設け、高調波磁束抑制要素のカットオフ周波数fcは、高調波磁束抑制要素を構成する磁性体の断面積と磁路方向の厚みと磁性体材料の透磁率とから決定される磁気抵抗Rmと、磁性体材料のBH特性から決定される磁束の時間変化についての比例定数Lmとから、fc=Rm/(2πLm)にて求められ、電動機の使用条件から決定される基本周波数と高調波成分の周波数とに基づいて、高調波磁束抑制要素のカットオフ周波数fcを設定することで、前記課題を解決する。
本発明によれば、主磁気回路を形成する磁性体の一部として高調波磁束抑制要素を設けることにより、主磁気回路を流れる交番磁束の高調波成分によるエネルギが高調波磁束抑制要素で消費されるので、主磁気回路を形成する磁性体の他の部分での鉄損を効果的に低減させることができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、ここでは永久磁石型同期電動機に本発明を適用した例について説明するが、本発明は、永久磁石型同期電動機に限らず、固定子および可動子を構成する磁性体により主磁気回路が形成され、巻線への通電により電磁力を発生させる構成のあらゆるタイプの電動機に対して広く適用可能である。
図1は、本発明を適用した永久磁石型同期電動機の一例を示す図であり、同永久磁石型同期電動機の回転軸方向に対して垂直な方向の断面図である。
この図1に示す永久磁石型同期電動機1は、ラジアルギャップのインナーロータ型として構成されており、断面がリング状のステータ(固定子)2と、このステータ2の内周側にエアギャップを介して配置され、シャフト3に連結されたロータ(可動子)4とを備える。
ステータ2は、例えば磁性体の電磁鋼板を積層して形成されており、ロータ4側に突出する複数の突極部(ステータティース)2aと、これら複数の突極部2aをその基端側で連結するバックヨーク部2bとを有している。このステータ2の各ステータティース2aには、インシュレータ(絶縁部材)5を介してステータ巻線6が各々巻回されている。また、ステータ2は、バックヨーク部2b側をステータケース7に密着させてこのステータケース7の内部に格納され、固定保持されている。ステータケース7には冷媒が流れる冷媒流路8が形成されており、この冷媒流路8を流れる冷媒との熱交換によって、永久磁石型同期電動機1の動作に伴い発生する熱が放熱される。
一方、ロータ4は、例えばシャフト3のまわりに磁性体の電磁鋼板を積層することで形成されており、その内部に、複数の永久磁石9が周方向に等間隔となるように埋め込まれている。永久磁石型同期電動機1では、このロータ4に埋め込まれた永久磁石9と、ロータ4自体を構成する磁性体(電磁鋼板)と、ステータ2を構成する磁性体(電磁鋼板)とによって、図1中破線で示すような主磁気回路MCが形成される。そして、永久磁石9からの磁石磁束、及びステータ巻線6をインバータ制御により通電することで発生する交番磁束が、この主磁気回路MCを流れることで電磁力によるトルクが発生し、ロータ4及びこれに連結されたシャフト3が回転する。
ここで、特に本発明を適用した永久磁石型同期電動機1では、主磁気回路MCを形成する磁性体の一部として、高調波磁束抑制要素10を設けるようにしている。高調波磁束抑制要素10は、主磁気回路MCを流れる磁束のうち、所定のカットオフ周波数以上の高調波の交番磁束の通過を抑制する磁性体であり、主磁気回路MCの経路の途中に組み込まれている。つまり、本発明を適用した永久磁石型同期電動機1では、主磁気回路MCを流れる磁束の中で、高調波磁束抑制要素10の特性によって決まるカットオフ周波数以上の高調波の交番磁束が、この高調波磁束抑制要素10によって通過が抑制され、高調波の交番磁束が減衰することで主磁気回路MCを流れる磁束の波形の歪率が低減されて基本波成分比率が高められる。高調波の交番磁束のエネルギは、この高調波磁束抑制要素10での局部的な鉄損(渦電流損失やヒステリシス損失)として消費される。これにより、主磁気回路MCを形成する磁性体のうちで、高調波磁束抑制要素10を除く他の部分(以下、一般部という。)における鉄損が低減されることになる。
高調波磁束抑制要素10は、例えば図1に示すように、ステータ2の隣り合う突極部2aの間に位置するバックヨーク部2bに配置される。この図1に例示する高調波磁束抑制要素10は、断面T字型の形状に成形され、一部がステータ2のバックヨーク部2bを分断して主磁気回路MCを通る磁束と鎖交するようにロータ4側に向かって延在し、他の部分がステータ2の外周面に沿ってステータケース7と密着するように配置されている。
高調波磁束抑制要素10に用いる磁性体は、主磁気回路MCの一般部を形成する磁性体(例えば電磁鋼板の積層体)と比較して、鉄損が大きい(鉄損が発生しやすい)磁性体である。高調波磁束抑制要素10の磁性材料としては、例えばフェライトや純鉄などが用いられる。また、高調波磁束抑制要素10の構造としては、表面に絶縁処理を施した磁性材薄板を複数枚重ねて積層した積層構造、または、磁性材料の微細粒子を高電気抵抗となるようバインダを介して圧縮成形した圧粉体構造とすることが望ましい。
高調波磁束抑制要素10は、上述したように、所定のカットオフ周波数以上の交番磁束の通過を抑制して、主磁気回路MCの一般部における鉄損を低減させるといった機能を有するものである。ここで、高調波磁束抑制要素10によるカットオフ周波数が過度に小さいと、高調波の交番磁束だけでなく、永久磁石型同期電動機1のトルクに寄与する基本波成分までも減少させてしまうことになる。一方、高調波磁束抑制要素10によるカットオフ周波数が過度に大きいと、主磁気回路MCの一般部における鉄損を低減させるという本来の機能を達成できなくなる。このため、高調波磁束抑制要素10は、永久磁石型同期電動機1の性能や用途に応じた最適なカットオフ周波数特性が得られるようにしておくことが望まれる。
高調波磁束抑制要素10のカットオフ周波数特性は、高調波磁束抑制要素10を構成する材料そのもののヒステリシス特性と、高調波磁束抑制要素10の体積抵抗率及び形状寸法から決まる渦電流特性とによって定まるものである。ここで、高調波磁束抑制要素10を例えば無垢のブロック材として構成した場合、ブロック中に渦電流ループが形成されるために、カットオフ周波数が極端に小さくなることが懸念される。また、無垢のブロック材として構成した高調波磁束抑制要素10で任意のカットオフ周波数特性を得ようとする場合、制御パラメータがブロック材の体積低効率のみであり、制御自由度が低く、所望のカットオフ周波数特性を得ることが難しい。これに対して、高調波磁束抑制要素10を例えば圧粉体構造とした場合には、磁性材料の微細粒子のヒステリシス特性、粒子そのものの体積低効率、粒子間介在物の体積低効率、成形体の寸法形状といった多くのパラメータで制御が可能であり、ブロック材として構成した場合に比べて制御自由度が大きい。また、高調波磁束抑制要素10を薄板の積層構造とした場合にも、圧粉体構造と比較すると制御自由度は減少するが、薄板の板厚、絶縁層の低効率など、ブロック材として構成した場合に比べると多くの制御パラメータを有することになり、制御自由度が大きい。このような観点から、高調波磁束抑制要素10の構造としては、圧粉体構造または薄板の積層構造とすることが望ましい。
また、高調波磁束抑制要素10を薄板の積層構造とした場合、主磁気回路MCの一般部を構成する電磁鋼板の積層体の形状に追従させやすいといった利点も得られる。また、高調波磁束抑制要素10を圧粉体構造とした場合にも、圧粉体は金型成形により任意の形状に成形できるので形状の自由度が大きく、積層構造とした場合と同様、主磁気回路MCの一般部を構成する電磁鋼板の積層体の形状に追従させやすいといった利点も得られる。さらに、高調波磁束抑制要素10を圧粉体構造とした場合には、主磁気回路MCの一般部を構成する電磁鋼板の積層体の間に後工程で圧粉材料を投入して成形することも可能であり、接合部分の密着性を良好にして磁気抵抗を低く抑えることができるといった利点も得られる。
図2は、高調波磁束抑制要素10によるカットオフ周波数特性(フィルタ特性)の一例を示したものである。高調波磁束抑制要素10のカットオフ周波数fcは、下記の式(1)により求めることができる。下記式(1)において、Rmは高調波磁束抑制要素10を構成する磁性体の断面積と磁路方向の厚みと磁性体材料の透磁率とから決定される磁気抵抗であり、Lmは高調波磁束抑制要素10を構成する磁性体材料のBH特性から決定される磁束の時間変化についての比例定数である。
fc=Rm/(2πLm) ・・・(1)
高調波磁束抑制要素10のカットオフ周波数fcは、この式(1)を用い、永久磁石型同期電動機1の使用条件から決定される基本周波数と高調波成分の周波数とに基づいて、最適な値に設定される。具体的には、永久磁石型同期電動機1の最高回転数における電気角基本波周波数以上で、且つ、主磁気回路MCを通過する磁束に含まれる高調波成分の周波数以下となるように、高調波磁束抑制要素10のカットオフ周波数fcが設定される。
主磁気回路MCを構成する磁性体の一部として以上のような高調波磁束抑制要素10が設けられていない場合、主磁気回路MCを通過する磁束には、トルクに寄与する基本波成分のほかに、トルクに寄与しない高調波成分が含有された状態となっている。このため、主磁気回路MC中を流れる磁束密度の波形は、図3に示すデータD1のようになる。
一方、主磁気回路MCを構成する磁性体の一部として、例えば図2に示したようなフィルタ特性を有する高調波磁束抑制要素10を設けた場合、主磁気回路MC中を流れる磁束密度の波形は、図3に示すデータD2のように、基本波成分の減少率よりも大きい減少率で高調波成分が大きくカットされる。この様子を模式的に示したのが図4である。この図4から分かるように、永久磁石型同期電動機1の使用条件から決定される基本周波数と高調波成分の周波数とに基づいて、カットオフ周波数fcが最適な値に設定された高調波磁束抑制要素10を主磁気回路MCの経路に配置することによって、主磁気回路MCを流れる磁束の基本波成分は大きく減少させることなく、高調波成分のみを大きく減少させることが可能となる。なお、図4中の破線で示しているのが図3のデータD1に対応する磁束密度の大きさであり、図4中の実線で示しているのが図3のデータD2に対応する磁束密度の大きさである。
主磁気回路MCの経路中に高調波磁束抑制要素10が設けられていない場合と高調波磁束抑制要素10を設けた場合との差異を、損失(発熱量)で表したものを図5に示す。図5中左側が高調波磁束抑制要素10が設けられていない場合の鉄損による発熱量(比較例)であり、右側が高調波磁束抑制要素10を設けた場合の鉄損による発熱量を示している。この図5から、主磁気回路MCの経路中に高調波磁束抑制要素10を設けることにより、主磁気回路MC全体としてのトータルの発熱量に顕著な変化はないが、一般部での発熱が高調波磁束抑制要素10での発熱へと変化していることが分かる。これは、主磁気回路MCの一般部での鉄損が低減して、一般部に分布していた鉄損によるエネルギが高調波磁束抑制要素10に集約され、高調波磁束抑制要素10での発熱として消費されていることを意味する。
以上のように、本発明を適用した永久磁石型同期電動機1では、主磁気回路MCの経路中に高調波磁束抑制要素10が設けられていることで、主磁気回路MCを流れる磁束のトルクに寄与する基本波成分を維持したまま、高調波成分のみを減衰させることができ、主磁気回路MCの一般部における鉄損を低減することが可能となる。また、高調波成分のエネルギが高調波磁束抑制要素10に集約されてこの高調波磁束抑制要素10での発熱として消費されるので、永久磁石型同期電動機1の動作に伴う熱を放熱するための放熱機構としては、この高調波磁束抑制要素10の熱を集中的に放熱できる構造とすればよく、放熱機構の構造の簡素化を実現できる。例えば、高調波磁束抑制要素10が図1に示した位置に配置されている場合、上述したように、ステータ2を格納するステータケース7に冷媒流路8を設け、この冷媒流路8内を流れる冷媒との熱交換により高調波磁束抑制要素10の熱を放熱できるようにすれば、永久磁石型同期電動機1の動作に伴って発生する熱を効率よく放熱することが可能となり、放熱機構の構造を簡素化することが可能となる。
なお、図1に示した例では、高調波磁束抑制要素10をステータ2の隣り合う突極部2aの間に位置するバックヨーク部2bに配置しているが、高調波磁束抑制要素10は、主磁気回路MCを形成する磁性体の一部として、主磁気回路MCの経路中に設けられていればよく、様々な配置のバリエーションが考えられる。例えば図6に示すように、ステータ2の各突極部2aとバックヨーク部2bとの境界部分に高調波磁束抑制要素10を配置するようにしてもよいし、図7に示すように、ロータ4に対してエアギャップを介して対向するステータ2の各突極部2aの先端面に高調波磁束抑制要素10を配置するようにしてもよい。また、図8に示すように、ロータ4のシャフト3に近接した位置に高調波磁束抑制要素10を配置することもできる。これら図6乃至図8の例のように、主磁気回路MCの経路中に、主磁気回路MCを形成する磁性体の一部として高調波磁束抑制要素10を配置することによって、図1に示した例と同様に、主磁気回路MCを流れる磁束の高調波成分を減衰させて、主磁気回路MCの一般部における鉄損を低減させることができる。
また、図6や図7の例のように、ステータ2側に高調波磁束抑制要素10を配置した場合には、主磁気回路MCを流れる磁束の高調波成分による熱エネルギがステータ2側の高調波磁束抑制要素10に集約されるので、図1に示した例と同様、ステータ2を格納するステータケース7に冷媒が流通する冷媒流路8を設けて高調波磁束抑制要素10の熱を放熱できるようにすれば、永久磁石型同期電動機1の動作に伴う熱を効率よく放熱することが可能となり、放熱機構の構造を簡素化することが可能となる。なお、図1に示した例と図6や図7に示した例とを比較すると、放熱特性は図1に示した例が最も有利であるが、図6に示した例ではステータ2のバックヨーク部2bを円環状の一体構造にでき、また、図7に示した例ではステータ2全体を一体構造にできるので、ステータ2の剛性確保や真円度の確保が容易であるといった利点がある。
また、図8に示す例のように、ロータ4側に高調波磁束抑制要素10を巻回した場合には、主磁気回路MCを流れる磁束の高調波成分による熱エネルギがロータ4側の高調波磁束抑制要素10に集約されるので、例えば、ロータ4の中央に連結されたシャフト3内などに冷媒流路11を設けて、この冷媒流路11内を流れる冷媒との熱交換により高調波磁束抑制要素10の熱を放熱できるようにすれば、上述した例と同様に、永久磁石型同期電動機1の動作に伴う熱を効率よく放熱することが可能となり、放熱機構の構造を簡素化することが可能となる。
永久磁石型同期電動機1では、上述したように、ロータ4に永久磁石9が埋め込まれた構成となっているため、高調波磁束抑制要素10の機能により主磁気回路MCの一般部における鉄損が低減して、一般部での発熱が抑えられれば、ロータ4に埋め込まれた永久磁石9の温度上昇も抑制することができ、永久磁石9の温度上昇による減磁を抑制する効果も期待できる。永久磁石9の減磁が抑制できれば、主磁気回路MCの設計の自由度が向上し、また、磁石厚さを薄く設定できるので、磁石量の低減によるコストダウン、小型化といった利点が得られる。また、希土類磁石に配合されるDy等の高価な元素の添加量の少ない安価な磁石を使用できるといった利点や、保持力が低く、残留磁束密度の高い磁石を用いることができるので、トルクを向上することができるといった利点も得られる。
ところで、高調波磁束抑制要素10の機能としては、上述したように、主磁気回路MCを流れる磁束のトルクに寄与しない高調波成分を減衰させて一般部での鉄損を低減させる機能を基本とするが、カットオフ周波数特性の設定の仕方によっては、高調波磁束抑制要素10に、永久磁石型同期電動機1において一般的に行われている弱め界磁制御を不要にする機能を持たせることも可能である。すなわち、永久磁石型同期電動機1では、基底回転数以上の高回転領域のときに永久磁石9からの磁束がステータ巻線6を横切る速度が速くなり、ステータ巻線6に高い誘起電圧が発生して電源側に悪影響を及ぼす懸念がある。そこで、高回転領域においては、ステータ巻線にd軸電流を流して永久磁石9の磁束を打ち消す磁束を発生させて装置保護を図る、弱め界磁制御と呼ばれる制御を行っているのが一般的である。
高調波磁束抑制要素10は、主磁気回路MCを流れる磁束のカットオフ周波数以上の周波数成分をカットするフィルタであるので、永久磁石型同期電動機1が基底回転数以上の高回転数の領域で動作するときに、トルクに寄与しない高調波成分だけでなく、トルクに寄与する基本波成分の一部もカットするように、高調波磁束抑制要素10のカットオフ周波数特性(フィルタ特性)を設定するようにすれば、弱め界磁制御を不要にすることが可能となる。
具体的には、高調波磁束抑制要素10のカットオフ周波数fcを、永久磁石型同期電動機1の無負荷磁束、インダクタンス、電源電圧、電流容量等から決定される基底回転数における電気角基本波周波数をfbとし、基底回転数における基本波磁束減少比率をζとしたときに、fc=fb×√(ζ/(1−ζ))相当に設定する。これにより、永久磁石型同期電動機1が基底回転数以上の高回転数領域において動作するときには、主磁気回路MCを流れる磁束のトルクに寄与しない高調波成分に加えて、トルクに寄与する基本波成分の一部も減少しはじめるので、ステータ巻線6における誘起電圧を抑えて装置保護を図ることができ、通常の永久磁石型同期電動機において基底回転数以上の高回転数領域で行っていた弱め界磁制御を不要とすることができる。また、弱め界磁制御が不要になるので、永久磁石9に対する反磁界も低減されることになり、永久磁石9の減磁耐力を向上させることができる。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、以上の実施形態の説明で開示した内容に限定されるものではなく、この開示から容易に導き得る様々な代替技術も含まれることは勿論である。例えば、以上の実施形態は、永久磁石型同期電動機に対して本発明を適用した例であるが、本発明は、例えば、スイッチトリラクタンスモータ、シンクロナスリラクタンスモータ、インダクションモータ、直流モータなど、様々なタイプの電動機に対して有効に適用可能であり、高調波磁束抑制要素10の形状や配置などの詳細については、適用対象となる電動機の構造の違いなどに応じて適宜変更することが可能である。また、以上の実施形態では、高調波磁束抑制要素10の熱を放熱する放熱機構として冷媒流路に冷媒を流す構造を説明したが、その他、ヒートシンクを設けたり、ファンによる送風など、様々な放熱機構が利用可能である。
本発明を適用した永久磁石型同期電動機の一例を示す図であり、同永久磁石型同期電動機の回転軸方向に対して垂直な方向の断面図である。 高調波磁束抑制要素によるカットオフ周波数特性(フィルタ特性)の一例を示す図である。 主磁気回路中を流れる磁束密度の波形を、高調波磁束抑制要素が設けられていない場合と高調波磁束抑制要素を設けた場合とで対比しながら示す図である。 高調波磁束抑制要素を設けたことで磁束の高調波成分が減衰している様子を示す図である。 主磁気回路を形成する磁性体における損失(発熱量)を、高調波磁束抑制要素が設けられていない場合と高調波磁束抑制要素を設けた場合とで対比しながら示す図である。 高調波磁束抑制要素の配置のバリエーションを示す図である。 高調波磁束抑制要素の配置のバリエーションを示す図である。 高調波磁束抑制要素の配置のバリエーションを示す図である。
符号の説明
1 永久磁石型同期電動機
2 ステータ(固定子)
2a 突極部
2b バックヨーク部
3 シャフト
4 ロータ(可動子)
5 インシュレータ
6 ステータ巻線
7 ステータケース
8 冷媒流路
9 永久磁石
10 高調波磁束抑制要素
21 冷媒流路

Claims (12)

  1. 固定子および可動子を構成する磁性体により主磁気回路が形成され、前記磁性体をコアとして巻回した巻線への通電がインバータにより制御されることで前記主磁気回路に交番磁束が流れる電動機において、
    前記主磁気回路を形成する磁性体の一部として、所定のカットオフ周波数以上の高調波の交番磁束の通過を抑制する高調波磁束抑制要素が設けられ、前記高調波磁束抑制要素のカットオフ周波数fcは、当該高調波磁束抑制要素を構成する磁性体の断面積と磁路方向の厚みと磁性体材料の透磁率とから決定される磁気抵抗Rmと、前記磁性体材料のBH特性から決定される磁束の時間変化についての比例定数Lmとから、fc=Rm/(2πLm)にて求められ、電動機の使用条件から決定される基本周波数と高調波成分の周波数とに基づいて、前記高調波磁束抑制要素のカットオフ周波数fcが設定されることを特徴とする電動機。
  2. 前記高調波磁束抑制要素は、前記主磁気回路を形成する磁性体の他の部分と比較して鉄損が発生しやすい磁性体より構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動機。
  3. 前記高調波磁束抑制要素は、表面に絶縁処理を施した磁性材薄板を複数積層した積層構造とされていることを特徴とする請求項2に記載の電動機。
  4. 前記高調波磁束抑制要素は、磁性材料の微細粒子をバインダを介して圧縮成形した圧粉体構造とされていることを特徴とする請求項2に記載の電動機。
  5. 前記固定子は、ギャップを介して前記可動子と対向する複数の突極部と、複数の突極部を連結するバックヨーク部とを有し、
    前記高調波磁束抑制要素は、前記固定子の隣り合う突極部の間に位置する前記バックヨーク部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動機。
  6. 前記固定子は、ギャップを介して前記可動子と対向する複数の突極部と、複数の突極部を連結するバックヨーク部とを有し、
    前記高調波磁束抑制要素は、前記固定子の各突極部と前記バックヨーク部との境界部分に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動機。
  7. 前記固定子は、ギャップを介して前記可動子と対向する複数の突極部と、複数の突極部を連結するバックヨーク部とを有し、
    前記高調波磁束抑制要素は、前記固定子の前記可動子と対向する各突極部の先端面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動機。
  8. 前記固定子を格納するケースを備え、
    前記ケースに、前記高調波磁束抑制要素の熱を放熱する放熱機構が設けられていることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の電動機。
  9. 前記可動子はシャフトに連結されており、
    前記高調波磁束抑制要素は、前記可動子の前記シャフトに近接した位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動機。
  10. 前記シャフトに、前記高調波磁束抑制要素の熱を放熱する放熱機構が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の電動機。
  11. 前記高調波磁束抑制要素のカットオフ周波数fcは、電動機の最高回転数における電気角基本波周波数以上で、且つ、前記主磁気回路を通過する磁束に含まれる高調波成分の周波数以下に設定されていることを特徴とする請求項に記載の電動機。
  12. 前記電動機は永久磁石型同期電動機であり、
    前記高調波磁束抑制要素のカットオフ周波数fcは、電動機の無負荷磁束、インダクタンス、電源電圧、電流容量等から決定される基底回転数における電気角基本波周波数をfbとし、基底回転数における基本波磁束減少比率をζとしたときに、fc=fb×√(ζ/(1−ζ))相当に設定されていることを特徴とする請求項に記載の電動機。
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