JP5487622B2 - 電動機制御装置 - Google Patents

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本発明は、電動機制御装置に関する。
電動機の鉄損は、固定子や可動子を構成する磁性体(コア材)を磁化したときに失われる電気エネルギであり、励磁用の巻線の抵抗によって失われるエネルギ(銅損)と合わせて、電動機の効率低下の要因となることが知られている。鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損の和として表されるが、この鉄損は、主磁気回路となる磁性体を通過する交番磁束の高調波成分ほど損失の比率が大きくなる。また、鉄損は磁性体の熱エネルギに変換されて失われるため、鉄損が大きくなると磁性体の発熱量が大きくなり、例えば、磁性体に永久磁石を埋め込み或いは接着させた構造の永久磁石型の電動機では、永久磁石の減磁による性能低下につながる。
そこで、主磁気回路を通過する磁束の高調波成分による鉄損を低減させる技術が種々検討されている。例えば、特許文献1には、主磁気回路を形成する磁性体の一部として、所定のカットオフ周波数以上の高調波の交番磁束の通過を抑制する高調波磁束抑制要素が設けた電動機が開示されている。
特開2007−1388058号公報
ところで、特許文献1に開示された手法によれば、高周波磁束抑制要素により磁束にフィルタをかけて高周波のゲインを下げている。そのため、磁束の位相も変化させてしまう。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高調波の交番磁束の通過を抑制する高調波磁束抑制要素を備える電動機において、ベクトル制御のメリットを生かして制御性の向上を図ることである。
かかる課題を解決するために、本発明において、制御装置は、高調波磁束抑制要素による磁束位相の変化に応じて、電動機における電流位相を補正する補正手段を有する。
本発明によれば、高周波磁束抑制要素による磁束位相の変化分を補正できるため、ベクトル制御のメリットを生かしつつ、制御性の向上を図ることができる。
第1の実施形態にかかる電動機1および制御装置30を概略的に示す構成図 電動機1の構成を模式的に示す説明図 第2の実施形態にかかる電動機1および制御装置30を概略的に示す構成図 第3の実施形態にかかる電動機1および制御装置30を概略的に示す構成図
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる電動機1および制御装置30を概略的に示す構成図である。本実施形態は電気自動車に適用されており、この電気自動車は、駆動モーターである電動機1と、電源10と、電動機制御装置とを備えている。ここで、電動機制御装置は、インバータ20と、制御装置30とを主体に構成されている。
図2は、電動機1の構成を模式的に示す説明図であり、回転軸に対して垂直方向の断面を示す図である。電動機1は、永久磁石型同期電動機であって、ラジアルギャップのインナーロータ型として構成されている。電動機1は、断面がリング状のステータ(固定子)2と、このステータ2の内周側にエアギャップを介して配置され、シャフト3に連結されたロータ(可動子)4とを有している。
ステータ2は、例えば、磁性体の電磁鋼板を軸方向に複数積層して形成されており、ロータ4側に突出する複数の突極部(ステータティース)2aと、これら複数の突極部2aをその基端側で連結するバックヨーク部2bとを有している。このステータ2の各突極部2aには、インシュレータ(絶縁部材)5を介してステータ巻線6が巻回されている。また、ステータ2は、円筒状のステータケース7に嵌合させることにより、このステータケース7の内部に格納され、固定保持されている。
ロータ4は、例えば、シャフト3のまわりに磁性体の電磁鋼板を軸方向に複数積層することで形成されており、その内部には、複数の永久磁石8が周方向に沿って等間隔となるように埋め込まれている。電動機1では、このロータ4に埋め込まれた永久磁石8と、ロータ4自体を構成する磁性体(電磁鋼板)と、ステータ2自体を構成する磁性体(電磁鋼板)とによって、破線で示すような主磁気回路MCが形成される。そして、永久磁石8からの磁石磁束、および、ステータ巻線6をインバータ制御により通電することで発生する交番磁束が、この主磁気回路MCを流れることで電磁力によるトルクが発生する。これにより、ロータ4およびこれに連結されたシャフト3が回転する。
この電動機1では、主磁気回路MCを形成する磁性体(磁束経路に対応する磁性体)の一部に、高調波磁束抑制要素9を設けるようにしている。高調波磁束抑制要素9は、主磁気回路MCを流れる磁束のうち、所定のカットオフ周波数以上の高調波の交番磁束の通過を抑制する磁性体であり、主磁気回路MCの経路の途中に組み込まれている。つまり、この電動機1では、主磁気回路MCを流れる磁束の中で、高調波磁束抑制要素9の特性によって決まるカットオフ周波数以上の高調波の交番磁束が、高調波磁束抑制要素9によって通過が抑制される。そのため、高調波の交番磁束が減衰することとなり、主磁気回路MCを流れる磁束の波形の歪率が低減され、これにより、基本波成分比率が高められる。高調波の交番磁束のエネルギは、この高調波磁束抑制要素9での局部的な鉄損(渦電流損失やヒステリシス損失)として消費される。これにより、主磁気回路MCを形成する磁性体のうちで、高調波磁束抑制要素9を除く他の部分(以下「一般部」という)における鉄損が低減されることになる。
高調波磁束抑制要素9は、例えば図2に示すように、ステータ2において、隣り合う突極部2aの間に位置するバックヨーク部2bに配置される。この高調波磁束抑制要素9は、断面T字形状に成形され、一部がステータ2のバックヨーク部2bを分断して主磁気回路MCを通る磁束と鎖交するようにロータ4側に向かって延在し、他の部分がステータ2の外周面に沿って密着するように配置されている。
高調波磁束抑制要素9に用いる磁性体は、主磁気回路MCの一般部を形成する磁性体(例えば電磁鋼板の積層体)と比較して、鉄損が大きい(鉄損が発生しやすい)磁性体である。高調波磁束抑制要素9の磁性材料としては、例えばフェライトや純鉄などが用いられる。また、高調波磁束抑制要素9の構造としては、表面に絶縁処理を施した磁性材薄板を複数枚重ねて積層した積層構造、または、磁性材料の微細粒子を高電気抵抗となるようバインダを介して圧縮成形した圧粉体構造とすることが望ましい。
高調波磁束抑制要素9は、上述したように、所定のカットオフ周波数以上の交番磁束の通過を抑制して、主磁気回路MCの一般部における鉄損を低減させる機能を担っている。ここで、高調波磁束抑制要素9によるカットオフ周波数が過度に小さいと、高調波の交番磁束だけでなく、永久磁石型同期電動機1のトルクに寄与する基本波成分までも減少させてしまうことになる。一方、高調波磁束抑制要素9によるカットオフ周波数が過度に大きいと、主磁気回路MCの一般部における鉄損を低減させるという本来の機能を達成できなくなる。このため、高調波磁束抑制要素9は、永久磁石型同期電動機1の性能や用途に応じた最適なカットオフ周波数特性が得られるようにしておくことが望まれる。
高調波磁束抑制要素9のカットオフ周波数特性は、高調波磁束抑制要素9を構成する材料そのもののヒステリシス特性と、高調波磁束抑制要素9の体積抵抗率および形状寸法から決まる渦電流特性とによって定まるものである。ここで、高調波磁束抑制要素9を例えば無垢のブロック材として構成した場合、ブロック中に渦電流ループが形成されるために、カットオフ周波数が極端に小さくなることが懸念される。また、無垢のブロック材として構成した高調波磁束抑制要素9で任意のカットオフ周波数特性を得ようとする場合、制御パラメータがブロック材の体積低効率のみであり、制御自由度が低く、所望のカットオフ周波数特性を得ることが難しい。
これに対して、高調波磁束抑制要素9を例えば圧粉体構造とした場合には、磁性材料の微細粒子のヒステリシス特性、粒子そのものの体積低効率、粒子間介在物の体積低効率、成形体の寸法形状といった多くのパラメータで制御が可能であり、ブロック材として構成した場合に比べて制御自由度が大きい。また、高調波磁束抑制要素9を薄板の積層構造とした場合にも、圧粉体構造と比較すると制御自由度は減少するが、薄板の板厚、絶縁層の低効率など、ブロック材として構成した場合に比べると多くの制御パラメータを有することになり、制御自由度が大きい。このような観点から、高調波磁束抑制要素9の構造としては、圧粉体構造または薄板の積層構造とすることが望ましい。
また、高調波磁束抑制要素9を薄板の積層構造とした場合、主磁気回路MCの一般部を構成する電磁鋼板の積層体の形状に追従させやすいといった利点も得られる。また、高調波磁束抑制要素9を圧粉体構造とした場合にも、圧粉体は金型成形により任意の形状に成形できるので形状の自由度が大きく、積層構造とした場合と同様、主磁気回路MCの一般部を構成する電磁鋼板の積層体の形状に追従させやすいといった利点も得られる。さらに、高調波磁束抑制要素9を圧粉体構造とした場合には、主磁気回路MCの一般部を構成する電磁鋼板の積層体の間に後工程で圧粉材料を投入して成形することも可能であり、接合部分の密着性を良好にして磁気抵抗を低く抑えることができるといった利点も得られる。
高調波磁束抑制要素9のカットオフ周波数fcは、下式により求めることができる。下式において、Rmは高調波磁束抑制要素9を構成する磁性体の断面積と磁路方向の厚みと磁性体材料の透磁率とから決定される磁気抵抗であり、Lmは高調波磁束抑制要素9を構成する磁性体材料のBH特性(磁束密度−磁界特性)から決定される磁束の時間変化についての比例定数である。
(数式1)
fc=Rm/(2π・Lm)
高調波磁束抑制要素9のカットオフ周波数fcは、電動機1の使用条件から決定される基本周波数と高調波成分の周波数とに基づいて、最適な値に設定される。具体的には、永久磁石型同期電動機1の最高回転数における電気角基本波周波数以上で、かつ、主磁気回路MCを通過する磁束に含まれる高調波成分の周波数以下となるように、高調波磁束抑制要素9のカットオフ周波数fcが設定される。
主磁気回路MCを構成する磁性体の一部として、高調波磁束抑制要素9が設けられていない場合、主磁気回路MCを通過する磁束には、トルクに寄与する基本波成分のほかに、トルクに寄与しない高調波成分が含有された状態となっている。一方、主磁気回路MCを構成する磁性体の一部として、高調波磁束抑制要素9を設けた場合、主磁気回路MC中を流れる磁束密度の波形は、基本波成分の減少率よりも大きい減少率で高調波成分が大きくカットされる。
電動機1の使用条件から決定される基本周波数と高調波成分の周波数とに基づいて、カットオフ周波数fcが最適な値に設定された高調波磁束抑制要素9を主磁気回路MCの経路に配置することによって、主磁気回路MCを流れる磁束の基本波成分は大きく減少させることなく、高調波成分のみを大きく減少させることが可能となる。また、主磁気回路MCの経路中に高調波磁束抑制要素9を設けることにより、主磁気回路MC全体としてのトータルの発熱量に顕著な変化はないが、一般部での発熱が高調波磁束抑制要素9での発熱へと変化している。これは、主磁気回路MCの一般部での鉄損が低減して、一般部に分布していた鉄損によるエネルギが高調波磁束抑制要素9に集約され、高調波磁束抑制要素9での発熱として消費されている。
このような構成の電動機1に対する電力供給はインバータ20を介して行われる。インバータ20は、電源10からの直流電力をインバータ20で3相交流に変換して3相交流同期モーターである電動機1に供給する。インバータ20は、制御装置30から出力されるインバータ駆動信号に応じてスイッチング素子をオン動作またはオフ動作することにより制御される。
制御装置30は、インバータ20から供給される交流電流の出力を制御することにより、電動機1を制御する装置である。この制御装置30は、フィルタ位相補償部31と、電流指令値演算部32と、dq電流制御部33と、非干渉制御部34と、3相/dq変換部35と、dq/3相変換部36とで構成されている。制御装置30は、後述するように、この電流指令値演算部32が出力したd軸およびq軸電流指令値id*,id*を実現するため、電流のフィードバック制御を行ってインバータ2のスイッチング素子をオンオフさせるインバータ駆動信号を生成する。
まず、前提として、電動機1の制御において、ロータ4の回転速度と、電動機1の目標トルクとに応じて、ベータ角βと、ステータ巻線6に供給する交流電流の振幅に相当する電流ベクトルの長さIとが決定される。ここで、ベータ角βは、電動機1のステータ巻線6に供給する電流を界磁分電流(d軸電流)とトルク分電流(q軸電流)とに分けてベクトル表示したとき、電流ベクトルがq軸となす角度(電流位相角)に相当する。決定された電流ベクトルの長さIは、電流指令値演算部32へ入力されるとともに、ベータ角βは、フィルタ位相補償部31へ入力される。
フィルタ位相補償部31は、電動機1の高調波磁束抑制要素9による磁束位相の変化分を補償する機能を担っており、これにより、高調波磁束抑制要素9による磁束位相の変化に応じて、電動機1における電流位相を補正する(補正手段)。フィルタ位相補償部31は、下式に示すように、ベータ角βの補正を行うことにより、高調波磁束抑制要素9による磁束位相の変化分を補償する。
(数式2)
β_cmp=β−φps
同数式において、β_cmpは、ベータ角βの補正値であり、φpsは、高調波磁束抑制要素9による位相変化量に対応する補正パラメータである。位相変化量φpsは、各運転条件時に予め測定した値をデータとしてメモリに格納し、運転条件に応じた最適値φpsを随時メモリから読み込む。また、位相変化量φpsは、主磁気回路MCから下式に基づいてその値を決定してもよい。
(数式3)
φps=tan−1(磁気抵抗虚数部/磁気抵抗実数部)
電流指令値演算部32には、電流ベクトルの長さIと、フィルタ位相補償部31から出力されるベータ角βの補正値β_cmpとが入力されている。電流指令値演算部32は、電流ベクトルの長さIと、ベータ角βの補正値β_cmpとに基づいて、d軸電流指令値id*と、q軸電流指令値iq*とを算出する。このd軸およびq軸電流指令値id*,iq*は、電流ベクトルの長さIとベータ角βの補正値β_cmpとから、事前に用意されたマップを参照することで得られる。
電動機1の各相の電流、すなわち、U相電流iuと、V相電流ivと、W相電流iwとは、各相に対応して設けられた電流センサ40でそれぞれ検出される。3相/dq変換部35は、位相θに基づいて、検出された3相交流iu,iv,iwを、d軸電流idとq軸電流iqに座標変換を行う。ここで、dq軸座標系は、電動機1の機械的な回転速度の整数倍の電気的な回転速度で回転するd軸とq軸から成る直交座標系である。したがって、3相同期モーターである電動機1の場合は、dq軸座標系はモーター回転に同期して回転する。
この3相/dq変換部35の演算において必要となる位相θは、ロータ4の位置を電気的な位相として表すものであり、エンコーダやレゾルバなどの位置・速度検出センサ(図示せず)によって位置検出を行うことにより、位置・速度検出部41において求められる。また、位置・速度検出部41は、電動機1の位相θを時間微分することにより、電動機1の電気的角速度座標ωを演算する。
dq電流制御部33には、電流指令値演算部32から出力されるd軸およびq軸電流指令値id*,iq*から、3相/dq変換部35から出力されるd軸およびq軸電流id,iqをそれぞれ減算した値が入力される。dq電流制御部33は、d軸およびq軸に関する減算値を入力として、d軸およびq軸電流指令値id*,iq*とd軸およびq軸電流id,iqとの差がそれぞれ0になるように、PI制御を用いてd軸およびq軸制御電圧Vd,Vqを出力する。
非干渉制御部34は、電動機1の速度起電力に対するフィードフォーワード補償部であり、下式から、d軸およびq軸補償電圧Vd_cmp,Vq_cmpを演算する。
(数式4)
Vd_cmp=−Lp・ω・iq*
Vq_cmp=ω・(Ld・id*+k)
ここで、Lpは、q軸インダクタンスの基本波成分であり、Ldは、d軸インダクタンスの基本波成分である。また、kは、磁石磁束による誘起電圧の定数である。
dq/3相変換部36には、dq電流制御部33から出力されるd軸およびq軸制御電圧Vd,Vqと、非干渉制御部34から出力されるd軸およびq軸補償電圧Vd_cmp,Vq_cmpとをそれぞれ加算した値が入力される。dq/3相変換部36は、位置・速度検出部41において演算される位相θを参照した上で、d軸およびq軸補償電圧Vd_cmp,Vq_cmpが加算されたd軸およびq軸制御電圧Vd,Vqから、各相に対応する電圧指令値vu,vv,vwに座標変換を行う。座標変換された各相に対応する電圧指令値vu,vv,vwは、インバータ駆動信号としてインバータ2に入力される。このインバータ駆動信号によって、インバータ2のスイッチング素子がオンオフ動作し、電動機端子に電圧が印加され、電流が流れる。これによって、モータートルクが発生し、電動機1が駆動される。
このように本実施形態において、電動機制御装置1は、高調波磁束抑制要素9による磁束位相の変化に応じて、電動機1における電流位相を補正するフィルタ位相補償部31を有している。かかる構成によれば、高周波磁束抑制要素9による磁束位相の変化分を補正できるため、ベクトル制御のメリットを生かしつつ、制御性の向上を図ることができる。
電動機1における各相電流の位相を進角することにより、ステータ2とロータ4との磁束を対向させることで誘起電圧が低減する。これにより、誘起電圧によるロータ4の速度制限を改善させることとなる。すなわち、適切な弱め界磁制御を行う事ができ、誘起電圧の低減および可動子の速度制限を改善させる事ができる。
一方、電動機1における各相電流の位相を遅角することにより、ステータ2とロータ4との磁束を同一方向にすることで、磁石を減磁から保護するこことなる。すなわち、適切な強め界磁制御を行うことができ、磁石を減磁から保護する事ができる。
また、突極比が1よりも大きい場合には、電流位相を進角させ、突極比が1よりも小さい場合には、電流位相を遅角させる。ここで、突極比は、電動機1のインダクタンスによって決まるパラメータであり、具体的には、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの比である。すなわち、電動機構造による電流量あたりのトルクの向上を図ることができ、銅損を低減させられる。
また、電流の位相を進角することにより、ステータ2とロータ4との磁束を対向させることで、磁束を低減させることができる。これにより、電動機1の鉄損を改善を図ることができる。すなわち、適切な鎖交磁束量あたりのトルク向上制御ができ、鉄損を低減させられる。
また、本実施形態において、フィルタ位相補償部31は、高調波磁束抑制要素9による磁束位相の変化に対応する補正パラメータ(本実施形態では、ベータ角βを補正するパラメータ)φpsを示すマップを保持しており、マップに従って得られる補正パラメータφpsに基づいて電流位相の補正を行う。かかる構成によれば、予め計測してデータ化することで少ない演算時間で補正を適切に行うことができる。
また、本実施形態において、フィルタ位置補償部31は、運転条件に応じて補正パラメータを可変に設定することができる。これにより、運転条件に応じて電流位相を変化させることとなり、電動機1の効率改善を図ることができる。この場合、電流量あたりのトルク向上制御と鎖交磁束量あたりのトルク向上制御を組み合わせることで高効率制御が可能となる。また、上記の手法によれば、運転条件に応じて電流位相を変化させることとなり、電動機1の力率改善を図ることができる。この場合、皮相電力の低減を図ることができる。
なお、フィルタ位相補償部31は、数式3に示すように、主磁気回路MCの特性をモデル化した関数を保持しており、高調波磁束抑制要素9による磁束位相の変化に対応する補正パラメータφpsを関数に従って演算し、この演算された補正パラメータφpsに基づいて電流位相の補正を行ってもよい。かかる構成によれば、より精度よく位相補償を行うことができる。
また、制御装置30は、電動機1のロータ4を回転駆動させる駆動信号として矩形波駆動信号を生成する。かかる構成によれば、高周波磁束抑制要素9による磁束位相の変化分を補正して矩形波駆動制御を行うことができる。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態にかかる電動機1および制御装置30を概略的に示す構成図である。本実施形態にかかる制御装置30が、第1の実施形態のそれと相違する点は、高調波磁束抑制要素9による磁束位相の変化分の補正手法である。なお、電動機1、インバータ10および制御装置30の基本的な構成については第1の実施形態と同様であり、重複する構成については省略することとし、以下、相違点を中心に説明を行う。
本実施形態において、第1の実施形態に示すフィルタ位相補償部31に代えて、フィルタ位相補償部38が設けられている。よって、電流指令値演算部32には、ロータ4の回転速度と、電動機1の目標トルクとに応じて決定されるベータ角βと電流ベクトルの長さIとが入力される。
フィルタ位相補償部38は、電動機1の高調波磁束抑制要素9による磁束位相の変化分を補償する機能を担っており、これにより、高調波磁束抑制要素9による磁束位相の変化に応じて、電動機1における電流位相を補正する(補正手段)。本実施形態において、フィルタ位相補償部38は、下式に示すように、位置・速度検出部41において求められる位相θによって補正を行う。
(数式5)
θ_cmp=θ−φps
ここで、θ_cmpは、位相θの補正値であり、φpsは、高調波磁束抑制要素9による位相変化量に対応する補正パラメータである。位相変化量φpsは、各運転条件時に予め測定した値をデータとしてメモリに格納し、随時メモリから読み込んでもよいし、主磁気回路MCから数式3に基づいて値を決定する。
フィルタ位相補償部38において算出された位相θの補正値θ_cmpは、3相/dq変換部35およびdq/3相変換部36に出力され、上述した第1の実施形態における位相θに代えて参照される。
このように本実施形態において、フィルタ位相補償部38は、高調波磁束抑制要素9による磁束位相の変化に対応する補正パラメータによって、ロータ4の位置を電気的に表す位相θを補正することにより、電動機1における電流位相を補正する。かかる構成によれば、高周波磁束抑制要素9による磁束位相の変化分を補正できるため、制御性の向上を図ることができる。
(第3の実施形態)
図4は、本発明の第3の実施形態にかかる電動機1および制御装置30を概略的に示す構成図である。本実施形態にかかる制御装置30が、第2の実施形態のそれと相違する点は、複数の周波数成分に応じて、高調波磁束抑制要素9による磁束位相の変化分の補正を行うことである。なお、電動機1、インバータ10および制御装置30の基本的な構成については第1の実施形態と同様であり、重複する構成については省略することとし、以下、相違点を中心に説明を行う。
本実施形態の特徴の一つとして、制御装置30は、基本波電流制御部と、高調波電流制御部とを備えている。
基本波電流制御部は、電動機1の回転に同期して回転するdq軸座標系で電動機1の電流iu,iv,iwの基本波成分を制御する回路である。この基本波電流制御部は、電流指令値演算部32と、dq電流制御部33と、非干渉制御部34と、3相/dq変換部35と、dq/3相変換部36と、フィルタ位相補償部38とで構成されている。なお、個々の要素についての機能は、上述した第2の実施形態と同様である。
高調波電流制御部は、基本波電流制御部のみで電動機1の電流iu,iv,iwを制御した場合に発生する所定次数の高調波成分の周波数で回転する直交座標系(以下「高調波座標系」またはdhqh軸座標系という)、換言すれば、電動機1の電流iu,iv,iwの基本波成分の周波数の整数倍の周波数で回転する高調波座標系でモーター電流iu,iv,iwに含まれる高調波成分を制御する回路である。この高調波電流制御回路は、電流指令値演算部50と、dq_n電流制御部33と、3相/dq変換部52と、dq/3相変換部53と、フィルタ位相補償部(補正手段)54とで構成されている。電流指令値演算部50、dq_n電流制御部33、3相/dq変換部52、dq/3相変換部53およびフィルタ位相補償部54は、基本波電流制御部における電流指令値演算部32と、dq電流制御部33と、3相/dq変換部35と、dq/3相変換部36と、フィルタ位相補償部38と対応する機能を担っており、モーター電流iu,iv,iwに含まれる高調波成分に対して処理を行う(なお、図中において、高調波電流制御部に対応するパラメータには「_n」を付している)。
インバータ2には、基本波電流制御部側において出力される電圧指令値vu,vv,vwと、高調波電流制御部側において出力される電圧指令値vu_n,vv_n,vw_nとをそれぞれ加算した加算値がインバータ駆動信号として入力される。
このように本実施形態において、制御装置30は、電動機1に供給される電流について複数の周波数成分毎に制御を行っている。ここで、フィルタ位相補償部31は、複数の周波数成分のそれぞれを対象として、高調波磁束抑制要素9による磁束位相の変化分を補正する。かかる構成によれば、高周波磁束抑制要素9による複数の磁束位相変化分を補正できるため、制御性の向上を図ることができる。
1…電動機
2…ステータ
3…シャフト
4…ロータ
6…ステータ巻線
7…ステータケース
8…永久磁石
9…高調波磁束抑制要素
10…電源
20…インバータ
30…電動機制御装置
31…フィルタ位相補償部
32…電流指令値演算部
33…dp電流制御部
34…非干渉制御部
35…3相/dp変換部
36…dp/3相変換部
38…フィルタ位相補償部
40…電流センサ
41…位置・速度検出部
50…電流指令値演算部
51…dp_n電流制御部
52…3相/dp変換部
53…dp/3相変換部
54…フィルタ位相補償部

Claims (5)

  1. 電源から供給される電力を電力変換した上で電動機に供給する電力変換器と、
    前記電力変換器の出力を調整することにより前記電動機の駆動を制御する制御装置とを有し、
    前記電動機は、固定子および可動子を構成する磁性体により主磁気回路が形成され、前記磁性体をコアとして巻回した巻線への通電が前記電力変換器により制御されることで前記主磁気回路に交番磁束が流れるとともに、所定のカットオフ周波数以上の高調波の交番磁束の通過を抑制する高調波磁束抑制要素が前記主磁気回路を通る磁束と鎖交するように設定されており、
    前記制御装置は、前記高調波磁束抑制要素による磁束位相の変化に応じて、前記電動機における電流位相を補正する補正手段を有し、
    前記補正手段は、前記主磁気回路の特性をモデル化して前記高調波磁束抑制要素による磁束位相の変化に対応する補正パラメータを演算する関数として、
    補正パラメータ=tan −1 (磁気抵抗虚数部/磁気抵抗実数部)
    を保持しており、前記補正パラメータを前記関数に従って演算し、当該演算された補正パラメータに基づいて電流位相の補正を行うことを特徴とする電動機制御装置。
  2. 電源から供給される電力を電力変換した上で電動機に供給する電力変換器と、
    前記電力変換器の出力を調整することにより前記電動機の駆動を制御する制御装置とを有し、
    前記電動機は、固定子および可動子を構成する磁性体により主磁気回路が形成され、前記磁性体をコアとして巻回した巻線への通電が前記電力変換器により制御されることで前記主磁気回路に交番磁束が流れるとともに、所定のカットオフ周波数以上の高調波の交番磁束の通過を抑制する高調波磁束抑制要素が前記主磁気回路を通る磁束と鎖交するように設定されており、
    前記制御装置は、前記高調波磁束抑制要素による磁束位相の変化に応じて、前記電動機における電流位相を補正する補正手段を有し、
    前記補正手段は、前記高調波磁束抑制要素による磁束位相の変化に対応する補正パラメータを示すマップとして、前記高調波磁束抑制要素による磁束位相の変化を予め計測してデータ化したマップを保持しており、当該マップに従って得られる補正パラメータに基づいて電流位相の補正を行うことを特徴とする電動機制御装置。
  3. 前記補正手段は、運転条件に応じて前記補正パラメータを可変に設定することを特徴とする請求項1または2に記載された電動機制御装置。
  4. 前記制御装置は、前記電動機の可動子を回転駆動させる駆動信号として矩形波駆動信号を生成することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載された電動機制御装置。
  5. 前記制御装置は、前記電動機に供給される電流について複数の周波数成分毎に制御を行っており、
    前記補正手段は、前記複数の周波数成分のそれぞれを対象として、前記高調波磁束抑制要素による磁束位相の変化分を補正することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載された電動機制御装置。
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