JPH09307483A - 反響消去装置 - Google Patents

反響消去装置

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JPH09307483A
JPH09307483A JP13979096A JP13979096A JPH09307483A JP H09307483 A JPH09307483 A JP H09307483A JP 13979096 A JP13979096 A JP 13979096A JP 13979096 A JP13979096 A JP 13979096A JP H09307483 A JPH09307483 A JP H09307483A
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勝美 菊池
Suehiro Shimauchi
末廣 島内
Yoichi Haneda
陽一 羽田
Shoji Makino
昭二 牧野
Junji Kojima
順治 小島
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Iwatsu Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】反響推定回路の動作を停止させたり収束速度を
遅くさせることなく、前記誤適応を発生させないように
した反響消去装置を提供する。 【解決手段】音響側においては受話信号判定回路が真の
受話信号なのか誤適応に至る回線側残差信号なのかを判
定し受信信号が誤適応に至る回線側残差信号であると判
定した場合には転送判定回路が良好な推定がなされたと
は判定せず、FG側擬似反響路はBG側擬似反響路24
のタップ係数を新たなタップ係数とはしない。また回線
側においては送話信号判定回路が真の送話信号なのか誤
適応に至る音響側残差信号なのかを判定し送話信号が誤
適応に至る回線側残差信号であると判定された場合には
転送判定回路が良好な推定がなされたとは判定せず、F
G側擬似反響路はBG側擬似反響路のタップ係数を新た
なタップ係数とはしない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は音響側反響消去回路
と回線側反響消去回路とから構成される反響消去装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】ハンズフリー通話を実現するために従来
から反響消去装置が利用されており、高速に積和演算を
実行できるDSP(Digital Signal Processor)を用い
て実現される。ハンズフリー通話を行うには電話回線の
2線4線変換部分で生じる回線反響信号と、室内壁面反
射等によりスピーカ出力音声がマイクロホンに回り込む
ことで生じる音響反響信号とを消去しハウリング等の現
象が発生しないようにしなければならない。
【0003】図6にハンズフリー通話を可能にする従来
の反響消去装置を示す。図6において回線反響消去回路
6は電話回線の2線4線変換回路1で生じる回線反響信
号w(n)を推定し擬似反響信号w’(n)を発生させ
る。減算器3は回線反響信号を含む受話信号u(n)か
ら擬似反響信号w’(n)を差し引き回線反響信号w
(n)を取り除く。音響反響消去回路8はスピーカ5か
らマイクロホン13への音響系で生じる音響反響信号z
(n)を推定し擬似反響信号z’(n)を発生させる。
減算器11は音響反響信号z(n)を含む受話信号y
(n)から擬似反響信号z’(n)を差し引き音響反響
信号z(n)を取り除く。このように回線反響消去回路
6と音響反響消去回路8を用いることでハウリングやエ
コーのないハンズフリー通話が可能となる。なお図6に
おいてA/D変換器2,12およびD/A変換器4,1
0はDSPにより信号処理を行うのに必要となるアナロ
グ信号のディジタル変換あるいはその逆を行う。
【0004】つぎに音響反響消去回路8を例に反響信号
推定動作を図7を用いて説明する。この場合の音響反響
消去回路8の目的は反響信号z(n)と送話信号s
(n)の和であるマイクロホン13の出力信号y(n)
から、反響信号z(n)を消去することにある(nはサ
ンプル時刻を表す)。反響推定回路41は反響路のイン
パルス応答すなわち反響路の特性を推定し、それに対応
した擬似反響路42のk個のタップ係数hi (n)を更
新する(i=0,…,k−1)。擬似反響路42はスピ
ーカ5への入力信号である受話信号x(n−i)とタッ
プ係数hi (n)の畳み込み演算を実行し、擬似反響信
号z’(n)を生成する。反響路の推定が良好に行われ
れば、反響信号z(n)と擬似反響信号z’(n)は同
じとなり、マイクロホン13の出力信号y(n)から
z’(n)を減算器11により差し引くことにより、反
響信号z(n)のみを消去することができる。反響推定
回路41で用いられる適応アルゴリズムとしてはLMS
法,学習同定法などが一般的であり、受話信号x(n)
と残差信号e(n)および擬似反響路42に記憶されて
いる1サンプル時刻前のタップ係数hi (n−1)を用
いて、e(n)の電力が最小になるようにタップ係数h
i (n)を定める。回線反響消去回路6の動作は音響信
号消去回路8と同様であり説明を省略する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図6のように回線反響
消去回路6と音響反響消去回路8を併設した場合、次の
ような誤適応の問題が生じる。たとえば送話信号s
(n)のみが存在し電話回線からの受話信号が無い場合
を想定する(送話状態)。この場合、回線反響信号w
(n)は発生するが音響反響信号z(n)は発生しない
から、回線反響消去回路6ではタップ係数の更新が行わ
れ音響反響消去回路8ではタップ係数の更新がなされな
いはずである。しかし実際には回路反響消去回路6での
反響推定動作が未収束の状態にあると、回線反響信号w
(n)の一部が受話信号x(n)として出力され音響反
響消去回路8に0でない電力をもった信号が入力され
る。音響反響消去回路8の反響推定回路41はこの入力
信号x(n)をもとに推定を行うが、音響反響信号z
(n)を消去するようにタップ係数を定めていたにもか
かわらず入力と出力が無相関であるときには、全く異な
る方向にタップ係数を修正し適応してしまう。当然なが
ら次に受話信号が電話回線から到来した場合には音響反
響信号z(n)を消去できなくなる。回線反響消去回路
6についても、同様に電話回線からの受話信号のみが存
在し送話信号が存在しない状態すなわち受話状態におい
て、音響反響消去回路8内の反響推定動作の未収束が原
因し出力される音響反響信号z(n)の残差信号v
(n)により本来推定すべき経路とは全く異なる経路に
対し適応してしまう。
【0006】このような問題に対処するため、従来は送
話状態においては音響反響消去装置の推定動作を停止さ
せ、受話状態においては回線反響消去装置の推定動作を
停止させることによって誤適応を回避している。しかし
送話状態,受話状態を時間遅れなくかつ正確に検出する
ことは難しく、すなわち正確さのために平均化処理を用
いて検出すると検出遅延が生じ、遅延無く検出しようと
すると正確さが犠牲になるため、停止しなければならな
い時間に停止が行われず前記誤適応の問題が発生する。
そこで検出の遅れあるいは不正確さを補うため反響推定
回路における収束速度を下げることにより、誤適応があ
ってもタップ係数の誤修正が深く進行しないようにして
いる。しかし、音響反響消去回路8あるいは回線反響装
置6において推定動作を停止させたり収束速度を遅くし
たりすると、ハンズフリー電話のように話者が動き回る
ことを前提とした装置すなわち反響路が頻繁に変動する
ことを前提とした装置では反響路伝達関数が常に変わる
ため、追従が十分でなく収束残差が大きくなり反響消去
性能が大きく劣化する。
【0007】従って、本発明の目的は、反響推定回路の
動作を停止させたり収束速度を遅くさせることなく、前
記誤適応を発生させないようにした反響消去装置を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るためにポイントによる反響消去装置は、受話信号x
(n)が真の受話信号であるか否かを判定し判定結果を
出力する受話信号判定回路と、第1のBG側擬似反響信
号zb(n)を発生する第1のBG側擬似反響路と、該
第1の前記BG側擬似反響路のタップ係数を設定する第
1の反響推定回路と、前記第1のBG側擬似反響信号z
b(n)を送話信号y(n)から差し引く第1の減算器
と、前記受話信号判定回路での判定結果を参照してBG
側のタップ係数が良好な条件のもとに推定されたか否か
を判定する第1の転送判定回路と、該第1の転送判定回
路での判定結果に応じて前記第1のBG側擬似反響路の
タップ係数を新たなタップ係数として更新し音響側擬似
反響信号z’(n)を発生させる第1のFG側擬似反響
路とを有する音響反響消去回路と、送話信号v(n)が
真の送話信号であるか否かを判定し判定結果を出力する
送話信号判定回路と、第2のBG側擬似反響信号wb
(n)を発生する第2のBG側擬似反響路と、該第2の
BG側擬似反響路のタップ係数を設定する第2の反響推
定回路と、前記第2のBG側擬似反響信号wb(n)を
受話信号u(n)から差し引く第2の減算器と、前記送
話信号判定回路での判定結果を参照してBG側のタップ
係数が良好な条件のもとに推定されたか否かを判定する
第2の転送判定回路と、該第2の転送判定回路32での
判定結果に応じて前記第2のBG側擬似反響路のタップ
係数を新たなタップ係数として更新し回線側擬似反響信
号w’(n)を発生させる第2のFG側擬似反響路とを
有する回線反響消去回路とを備えた構成を有している。
【0009】
【発明の実施の形態】このような手段を備えることによ
り、音響側においては受話信号判定回路7が真の受話信
号なのか誤適応に至る回線側残差信号なのかを判定し受
信信号が誤適応に至る回線側残差信号であると判定した
場合には転送判定回路22が良好な推定がなされたとは
判定せずしたがってFG側擬似反響路21はBG側擬似
反響路24のタップ係数を新たなタップ係数とはしない
ので、また回線側においては送話信号判定回路9が真の
送話信号なのか誤適応に至る音響側残差信号なのかを判
定し送話信号が誤適応に至る回線側残差信号であると判
定された場合には転送判定回路32が良好な推定がなさ
れたとは判定せず、従ってFG側擬似反響路31はBG
側擬似反響路34のタップ係数を新たなタップ係数とは
しないので、音響側および回線側の反響消去装置が誤適
応に至ることを防ぐことができる。
【0010】
【実施例】以下図面に基づき本発明の一実施例を説明す
る。まず本発明による反響消去装置の全体構成を図1を
用いて説明する。図1において、1は2線4線変換を行
うハイブリッド回路、2および11はアナログ信号をデ
ィジタル信号に変換するA/D変換器、3および11は
反響信号を差し引く減算器、4および10はディジタル
信号をアナログ信号に変換するD/A変換器、5はスピ
ーカ、6は回線側の反響信号を推定するFG/BG方式
の回線反響消去回路、7は受話信号が真の受話信号なの
か誤適応の原因となる残差信号なのかを判定する受話信
号判定回路、8は音響側の反響信号を推定するFG/B
G方式の音響反響消去回路、9は送話信号が真の送話信
号なのか誤適応の原因となる残差信号なのかを判定する
送話信号判定回路、13はマイクロホン、w(n)はハ
イブリッド回路1で生じる回線反響信号、u(n)は電
話回線の受話信号、w’(n)は回線反響消去回路6で
生成される擬似回線反響信号、x(n)は受話信号u
(n)から擬似回線反響信号w’(n)を差し引いた受
話信号、z(n)は音響側の音響反響信号、s(n)は
送話者の音声である送話信号、y(n)はマイクロホン
13の出力で音響反響信号z(n)を含む送話信号、
z’(n)は音響反響消去回路8で生成される擬似音響
反響信号、v(n)は送話信号y(n)から擬似音響反
響信号z’(n)を差し引いた送話信号、db(n)は
回線反響消去回路6のBG側の減算器から出力される残
差信号、eb(n)は音響反響消去回路8のBG側の減
算器から出力される残差信号、TSは送話信号か誤適応
の原因となる残差信号かを表示する判定信号、RSは受
話信号か誤適応の原因となる残差信号かを表示する判定
信号である。
【0011】次に本発明の反響消去装置の全体的な動作
を図1を用いて説明する。ハイブリッド回路1では電話
回線に出力する送話信号v(n)と受信する受話信号u
(n)とをブリッジ回路のバランスによって分離する
が、電話回線のインピーダンスが一定しないため不平衡
が生じ、受話信号u(n)に回線反響信号w(n)が含
まれてしまう。回線反響消去回路6は回線反響信号w
(n)を除去するために、送話信号v(n)を内部の擬
似反響路に通し擬似回線反響信号w’(n)を発生させ
る。減算器3は受話信号u(n)から擬似回線反響信号
w’(n)を差し引き、反響分が低減された受話信号x
(n)を出力する。受話信号x(n)は適度に増幅され
スピーカ5から拡声出力となって出力される。拡声出力
は室内の壁面等で反射を受け音響反響信号z(n)とな
って送話信号s(n)に加算されマイクロホン13に入
力される。音響反響消去回路8は音響反響信号z(n)
を除去するために、受話信号x(n)を内部の擬似反響
路に通し擬似音響反響信号z’(n)を発生させる。減
算器11はマイクロホン13から出力された送話信号y
(n)から擬似音響反響信号z’(n)を差し引き、反
響分が低減された送話信号v(n)を出力する。
【0012】次に音響反響消去回路8の詳細な動作を図
2を用いて説明する。図2において、21は擬似反響信
号z’(n)を発生させるための畳み込み演算を行うF
G側擬似反響路、22はBG側の反響信号推定が良好に
行われたかどうかを判定する転送判定回路、23はBG
側擬似反響路24のタップ係数を更新するため反響信号
推定演算を行う反響推定回路、24は擬似反響信号zb
(n)を発生させるための畳み込み演算を行うBG側擬
似反響路、25はBG側で送話信号y(n)から擬似反
響信号zb(n)を差し引き残差信号eb(n)を発生
させる減算器である。FG/BG方式の反響消去装置で
は、まず反響推定回路23において反響路のインパルス
応答を推定し、BG側の擬似反響路24のタップ係数h
i (n)を更新し、次にBG側の擬似反響路24にお
いて、hbi (n)と受話信号x(n−i)との畳み込
み演算を実行して擬似反響信号zb(n)を生成する。
そして減算器25において、マイクロホン13の出力信
号y(n)から擬似反響信号zb(n)を差し引きテス
ト信号である残差信号eb(n)を得る。一方、FG側
では擬似反響路21において過去にBG側から転送され
たタップ係数hfi(n)を用いて受話信号x(n−
i)との畳み込み演算を実行し擬似反響信号z’(n)
を生成し、減算器11でy(n)から減算し、反響消去
回路8の出力である送話信号v(n)を得る。FG側擬
似反響路21は転送許可信号BFTを受けたときBG側
擬似反響路21のタップ係数hbi (n−1)を取り込
みタップ係数の更新を行う。転送判定回路22ではイン
パルス応答の推定が良好に行われたと判断したときFG
側擬似反響路21に向けて転送許可信号BFTを出力す
る。
【0013】すなわち転送判定回路22では以下の4条
件を満たしたときに転送許可信号BFTを出力する。 受話信号x(n)の電力が所望の閾値以上である。 BG側の残差信号eb(n)の電力がy(n)の電
力に比べ所定以上に小さい。 BG側の残差信号eb(n)の電力がFG側の残差
信号である送話信号v(n)の電力よりも小さい。 受話信号判定回路からの出力である判定信号RSが
真の受話信号であること表示している。 これらの条件のうち、は零に近い数値で除算を行った
場合には演算精度不足によりBG側のタップ係数が異常
になる可能性が高くこのような場合を除いて転送するた
めの条件であり、は擬似反響信号により反響信号が消
去され反響消去量が十分に確保されていることを確認す
るための条件であり、はFG側で記憶されているタッ
プ係数よりもBG側で新たに推定したタップ係数の方が
より正確である場合に限り転送を行うための条件であ
り、は音響反響消去回路の入力信号が真の受話信号で
あるときに限り転送を行い、前記誤適応を排除するため
の条件で、本発明の目的を達成するのに重要な関わりを
持つ条件である。
【0014】以上の音響反響消去回路に関する説明から
明らかなように、本発明ではBG側で常時推定動作を行
い、その判定結果の確からしい時のみFG側の擬似反響
路のタップ係数を更新し、不確実な時には更新しない。
従って、FG側のタップ係数は常に最適な値に保たれ、
またBG側ではタップ係数修正結果が直ちに反響信号消
去に反映しないので収束速度の速い推定を行えるし停止
させる必要もない。また、〜の条件を測定あるいは
検出するに際しての遅延があっても、BG側のタップ係
数修正結果に影響を与えるだけでFG側のタップ係数に
は影響を与えないので、平均化等を行い正確さを向上さ
せることができる。
【0015】次に回線反響消去回路6の動作を図3を用
いて説明する。回線反響消去回路6の構成は音響反響消
去回路8の全体構成と同様であり、動作も同様である。
図3において、31は擬似反響信号w’(n)を発生さ
せるための畳み込み演算を行うFG擬似反響路、32は
BG側の反響信号推定が良好に行われたかどうかを判定
する転送判定回路、33はBG側擬似反響路34のタッ
プ係数を更新するため反響信号推定演算を行う反響推定
回路、34は擬似反響信号wb(n)を発生させるため
の畳み込み演算を行うBG側擬似反響路、35はBG側
で受話信号u(n)から擬似反響信号wb(n)を差し
引き残差信号db(n)を発生させる減算器である。F
G/BG方式の反響消去回路では、まず反響推定回路3
3において反響路のインパルス応答を推定し、BG側の
擬似反響路34のタップ係数gbi (n)を更新し、次
にBG側の擬似反響路34において、gbi (n)と送
話信号v(n−i)との畳み込み演算を実行して擬似反
響信号wb(n)を生成する。そして減算器35におい
て、ハイブリッド回路からの出力信号u(n)から擬似
反響信号wb(n)を差し引きテスト信号である残差信
号db(n)を得る。一方、FG側では擬似反響路31
において過去にBG側から転送されたタップ係数gfi
(n)を用いて送話信号v(n−i)との畳み込み演算
を実行し擬似反響信号w’(n)を生成し、減算器3で
u(n)から減算し、反響消去回路6の出力である受話
信号x(n)を得る。FG側擬似反響路31は転送許可
信号BFTを受けたときBG側擬似反響路34のタップ
係数gbi (n)を取り込みタップ係数の更新を行う。
転送判定回路32ではインパルス応答の推定が良好に行
われたと判断したときFG側擬似反響路31に向けて転
送許可信号BFTを出力する。
【0016】すなわち転送判定回路32では以下の4条
件を満たしたときに転送許可信号BFTを出力する。 送話信号v(n)の電力が所望の閾値以上である。 BG側の残差信号db(n)の電力がu(n)の電
力に比べ所定以上に小さい。 BG側の残差信号db(n)の電力がFG側の残差
信号である送話信号x(n)の電力よりも小さい。 送話信号判定回路9からの出力である判定信号TS
が真の送話信号であることを表示している。
【0017】受話信号判定回路7の動作を説明するフロ
ーチャートを図4に示す。受話信号判定回路7は先ず受
話信号x(n)を入力し電力x2 (n)を計算し(ステ
ップS1)、次に残差信号eb(n)を入力し電力eb
2 (n)を計算する(ステップS2)。受話信号判定回
路7の役割は真の受話信号かそうでないかを判定するこ
とであるが、本発明では受話信号電力の大きさとBG側
残差信号電力の大きさを比較して判定する。その根拠を
如何に述べる。 真の受話信号が存在し送話信号が無い場合には、音
響反響消去回路8のBG側の推定は正しく行われるの
で、残差信号電力eb2 (n)は受話信号電力x
2 (n)より小さくなる。 送話信号が回線側で十分消去されずに回り込むため
前記誤適応が発生するような場合は、その回り込み(受
話信号)の電力x2 (n)は小さく、残差信号電力eb
2 (n)には送話信号が含まれるので大きくなる。すな
わち、残差信号電力eb2 (n)は受話信号電力x
2 (n)より大きい。従って、真の受話信号の場合(ス
テップ3Yes )には判定信号RSに“真の受話信号”を
出力し(ステップS4)、誤適応の場合(ステップ3N
o)には判定信号RSに“誤適応の可能性”を出力する
(ステップS5)。
【0018】送話信号判定回路9の動作を説明するフロ
ーチャートを図5に示す。送話信号判定回路9は先ず送
話信号v(n)を入力し電力v2 (n)を計算し(ステ
ップS11)、次に残差信号db(n)を入力し電力d
2 (n)を計算する(ステップS12)。受話信号判
定回路7とは同様な根拠により、真の送話信号の場合
(ステップ13Yes )には判定信号TSに“真の送話信
号”を出力し(ステップS14)、誤適応の場合(ステ
ップ13No)には判定信号TSに“誤適応の可能性”を
出力する(ステップS15)。
【0019】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば、音響反響消去回路では少なくとも真の受話信号が存
在するときに限りBG側の擬似反響路のタップ係数をF
G側の擬似反響路タップ係数とするようにし、回線反響
消去回路においては真の送話信号があるときに限りBG
側の擬似反響路のタップ係数をFG側の擬似反響路タッ
プ係数とするようにしたので、いずれの反響消去回路に
おいてもBG側のタップ係数を推定する反響推定回路を
停止させる必要がないし収束速度を遅くする必要もな
い。従って、反響路が頻繁に変動し反響路伝達関数が常
に反動しても十分に追従することができる。また、音響
反響消去回路においては受話信号とBG側残差信号の電
力比較で、回線反響消去回路においては送話信号とBG
側残差信号の電力比較で誤適応に至る状況か否かを判定
するようにしたので確実に誤適応を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明に用いられる音響反響消去回路の構成例
を示すブロック図である。
【図3】本発明に用いられる回線反響消去回路の構成例
を示すブロック図である。
【図4】本発明に用いられる受話信号判定回路の動作を
説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に用いられる送話信号判定回路の動作を
説明するためのフローチャートである。
【図6】従来の反響消去装置の構成と動作を説明するた
めのブロック図である。
【図7】従来の反響消去装置の反響信号推定動作を説明
するためのブロック図である。
【符号の説明】
1 ハイブリッド回路 2 A/D変換器 3 減算器 4 D/A変換器 5 スピーカ 6 回線反響消去回路 7 受話信号判定回路 8 音響反響消去回路 9 送話信号判定回路 10 D/A変換器 11 減算器 12 D/A変換器 13 マイクロホン 21 FG側擬似反響路 22 転送判定回路 23 反響推定回路 24 BG側擬似反響路 31 FG側擬似反響路 32 転送判定回路 33 反響推定回路 34 BG側擬似反響路 41 反響推定回路 42 擬似反響路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 羽田 陽一 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 牧野 昭二 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 小島 順治 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受話信号x(n)が真の受話信号である
    か否かを判定し判定結果を出力する受話信号判定回路
    と、 第1のBG側擬似反響信号zb(n)を発生する第1の
    BG側擬似反響路と、該第1の前記BG側擬似反響路の
    タップ係数を設定する第1の反響推定回路と、前記第1
    のBG側擬似反響信号zb(n)を送話信号y(n)か
    ら差し引く第1の減算器と、前記受話信号判定回路での
    判定結果を参照してBG側のタップ係数が良好な条件の
    もとに推定されたか否かを判定する第1の転送判定回路
    と、該第1の転送判定回路での判定結果に応じて前記第
    1のBG側擬似反響路のタップ係数を新たなタップ係数
    として更新し音響側擬似反響信号z’(n)を発生させ
    る第1のFG側擬似反響路とを有する音響反響消去回路
    と、 送話信号v(n)が真の送話信号であるか否かを判定し
    判定結果を出力する送話信号判定回路と、 第2のBG側擬似反響信号wb(n)を発生する第2の
    BG側擬似反響路と、該第2のBG側擬似反響路のタッ
    プ係数を設定する第2の反響推定回路と、前記第2のB
    G側擬似反響信号wb(n)を受話信号u(n)から差
    し引く第2の減算器と、前記送話信号判定回路での判定
    結果を参照してBG側のタップ係数が良好な条件のもと
    に推定されたか否かを判定する第2の転送判定回路と、
    該第2の転送判定回路32での判定結果に応じて前記第
    2のBG側擬似反響路のタップ係数を新たなタップ係数
    として更新し回線側擬似反響信号w’(n)を発生させ
    る第2のFG側擬似反響路とを有する回線反響消去回路
    と、 を備えた反響消去装置。
  2. 【請求項2】 受話信号判定回路は、残差信号電力eb
    2 (n)が受話信号電力x2 (n)より大きいとき誤適
    応の可能性がある信号が前記第1の反響推定回路および
    前記第1のBG側反響路の入力信号となっていると判定
    し、前記送話信号判定回路は残差信号電力db2 (n)
    が送話信号電力v2 (n)より大きいとき誤適応の可能
    性がある信号が前記第2の反響推定回路および前記第2
    のBG側擬似反響路の入力信号となっていると判定する
    ように構成されていることを特徴とする請求項1に記載
    の反響消去装置。
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