JPH09302522A - ポリエステル部分配向未延伸糸およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル部分配向未延伸糸およびその製造方法

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JPH09302522A
JPH09302522A JP11753596A JP11753596A JPH09302522A JP H09302522 A JPH09302522 A JP H09302522A JP 11753596 A JP11753596 A JP 11753596A JP 11753596 A JP11753596 A JP 11753596A JP H09302522 A JPH09302522 A JP H09302522A
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polyester
epoxy compound
yarn
partially oriented
compound
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JP11753596A
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Yoshitaka Aranishi
義高 荒西
Mototada Fukuhara
基忠 福原
Masaharu Taniguchi
雅春 谷口
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紡糸速度を速くしても分子配向度の上昇が少
なく、延伸性および延伸仮撚加工性に優れたポリエステ
ル部分配向未延伸糸を提供する。 【解決手段】 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
レートであり、グリシジルエーテル型の2官能性エポキ
シ化合物が特定量配合されてなるポリエステルより形成
されており、複屈折率が0.02〜0.05の範囲であ
ることを特徴とするポリエステル部分配向未延伸糸およ
びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル部分配
向未延伸糸およびその製造方法に関する。さらに詳しく
は、延伸性および延伸仮撚加工性に優れたポリエステル
部分配向未延伸糸およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートをはじめと
するポリエステル繊維は種々の特性に優れることから多
量にかつ広い分野にわたって用いられている。なかでも
引取速度を2000〜4000m/minとした部分配
向未延伸糸(以下POYと略記する)は、延伸用に用い
うることは勿論のこと、そのまま延伸仮撚加工にも供し
うる利点を有しているため、工業的に重要な位置を占め
るようになった。仮撚加工糸に関しては、このPOYを
用いて延伸と仮撚を同時に行う延伸仮撚加工を採用する
ことにより、旧来の延伸糸を仮撚する加工方法に比べて
大幅な生産性の向上が達成された。
【0003】しかし、さらなる生産性の向上に対する要
求が高まると共に、未延伸糸の紡糸速度を速くすること
によって、単位時間当たりの生産性を向上させようとい
う試みが行われるようになった。しかしながら、ポリエ
ステル繊維の場合には、紡糸速度の増大と共に配向結晶
化がすすみ、繊維の機械的性質が変わってしまうという
問題がある。この問題を解決し、紡糸速度を速くした場
合にも同等の特性の繊維を得るという目的で、紡糸速度
が速くなるに伴って増大するポリエステルの分子配向を
抑制する手段が数多く検討されてきた。
【0004】例えば、特開昭57−11211号公報に
よって開示されているように、ポリエチレンテレフタレ
ートに異方性溶融物を数%ブレンドする方法や、特開昭
56−91013号公報によって開示されているよう
に、ポリエステルに非相溶のポリマ、例えばポリスチレ
ンを数%ブレンドする方法が知られている。これらの手
法では配向抑制効果は非常に大きいものの、残念ながら
異質なポリマが存在することによる不具合、すなわち繊
度斑の悪化や染色異常、さらには毛羽が発生しやすく高
次加工の工程通過性に劣るなどの欠点があった。
【0005】また、特開昭58−144117号公報に
よって開示されているように、ポリエチレンテレフタレ
ートに別の脂肪族ポリエステルを共重合させ、配向結晶
化を抑制する方法が知られている。しかしこの場合に
は、脂肪族ポリエステルを含有するために、耐熱性や染
色堅牢性が劣るという問題点があった。
【0006】また、ポリエステルを重合させる工程にお
いてトリメリット酸等の三官能カルボン酸を共重合させ
ることによって枝分かれ構造を形成し、このポリマを用
いることによって低配向の繊維を得ようという特開平3
−33234号公報の方法、また同様の手法ながらオキ
シシリケートを用いる特開平3−19914号公報の手
法も知られている。しかし、これらの手法ではポリエス
テルの分子量が増加してゆく、いわいる重縮合過程の中
で枝分かれ構造が発達するため、ポリエステルの分子量
を所望の値にまであげることが困難であるし、またゲル
化を抑制するためには重合条件を厳密に管理しなくては
ならないこと、溶融粘度が高くなることによってパック
圧が上昇することなど、繊維の製造に際して数々の不具
合が生じるという問題を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術の問題点を解消し、分子配向が抑制されたポリ
エステル未延伸糸を提供することにある。すなわち、延
伸性、延伸仮撚加工性に優れるポリエステル部分配向未
延伸糸を提供すること、および該ポリエステル部分配向
未延伸糸を工程上の問題なく安定してかつ効率的に生産
する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、紡糸速度
の上昇と共に増大する分子配向を抑制し、延伸性および
延伸仮撚加工性の良好なポリエステル部分配向未延伸糸
を得るため鋭意検討を重ねてきた。その中で、ある特定
のエポキシ化合物をポリエステルにごく少量添加するこ
とによってポリエステルの配向度が減少することを見い
だし、本発明に到達したものである。
【0009】すなわち、本発明は主たる繰り返し単位が
エチレンテレフタレートであり、ジグリシジルエーテル
型2官能性エポキシ化合物が0.01〜1.0重量%の
割合で配合されてなるポリエステルより形成された、複
屈折率が0.02〜0.05であることを特徴とするポ
リエステル部分配向未延伸糸を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明でいうポリエステルとは、
テレフタル酸成分とエチレングリコール成分とからな
る、いわいるポリエチレンテレフタレートを主として意
味しているが、本発明の主旨を損ねない範囲で他の第3
成分が共重合されていても良い。テレフタル酸の代わり
に用いうるジカルボン酸化合物としては、例えば、イソ
フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ
ルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸、5ーナトリウムスルホイソ
フタル酸、5−テトラブチルホソホニウムイソフタル酸
等の芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸およびそれら
の誘導体を挙げることができる。エチレングリコールの
代わりに用いうるジオール化合物としては、プロピレン
グリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、ビス
フェノールA、ビスフェノールSのような芳香族、脂肪
族、脂環族のジオール化合物を挙げることができる。ま
た、本発明のポリエステルは艶消剤、顔料や染料などの
発色剤、難燃剤、耐候剤、滑剤等の添加剤を少量含有し
ても良い。
【0011】本発明におけるポリエステル部分配向未延
伸糸は、実質的に直鎖状で両分子鎖末端にエポキシ基を
有するジグリシジルエーテル型の2官能性エポキシ化合
物が添加混合されてなることが必要である。
【0012】この2官能性エポキシ化合物の好適な例と
しては、下記一般式Iで表されるビスフェノールAとエ
ピクロロヒドリンとの反応によって合成されるビスフェ
ノールA型と呼ばれる化合物、ビスフェノールFとエピ
クロロヒドリンとの反応によって合成されるビスフェノ
ールF型と呼ばれる化合物、ビスフェノールSとエピク
ロロヒドリンとの反応によって合成されるビスフェノー
ルS型と呼ばれる化合物、[ ビス(ヒドロキシフェニ
ル)] サルファイドとエピクロロヒドリンとの反応によ
って合成される化合物等を挙げることができる。
【化3】 また、これら一般式Iで表される2官能性エポキシ化合
物の中でも、ポリエステルとの混和性がよいこと、反応
性が不必要に高くないこと、昇華性が低いこと等の観点
から、エポキシ当量400以上のものが好適である。エ
ポキシ当量とは1グラム当量のエポキシ基を含有する化
合物のグラム数を意味しており、エポキシ当量400以
上とは式I中のXの構造によって異なるものの、分子量
で言えばおおよそ800以上にあたる。
【0013】また、本発明で用いうるエポキシ化合物は
2官能性の化合物である。1価のモノエポキシドを用い
た場合には、本発明の目的である配向抑制効果はほとん
ど得られないし、3価以上のエポキシ化合物を用いた場
合には、紡糸条件によっては架橋反応が進むためポリエ
ステルが一部ゲル化することによる不具合が生じるので
好ましくない。
【0014】2官能性エポキシ化合物の配合量は、ポリ
エステルに対し0.01〜1.0重量%の範囲である
が、0.05〜0.5重量%であることがより好まし
い。0.01重量%未満では配向抑制効果はほとんど見
られない。2官能性エポキシ化合物の配合量が増えるほ
ど配向抑制効果も大きくなるが、1.0重量%より多い
2官能性エポキシ化合物を配合した場合には、紡糸張力
に対し繊維の強度が低すぎるためか、紡糸時の毛羽や単
糸切れ等、POYの製糸性の悪化を招いてしまう。ま
た、本発明における2官能性エポキシ化合物におけるエ
ポキシ基はグリシジルエーテルタイプである。グリシジ
ルエーテル型エポキシ化合物のエポキシ基はポリエステ
ルのカルボキシル基との反応性が比較的穏やかなので、
エポキシ開環触媒等を用いなければ架橋反応が起こって
ゲル化するようなことはない。
【0015】ポリエステル繊維にエポキシ化合物を添加
すること自体は公知であり、例えば特開昭54−609
8号公報や特開昭59−192712号公報あるいは特
開昭60−119216号公報などに示されている。た
だし、これらの目的は本発明とは全く異なり、耐加水分
解性を向上させるために、ポリエステルの末端カルボキ
シル基を反応により封鎖するというものである。したが
って、用いられるエポキシ化合物は主としてモノエポキ
シドであり、その添加量もかなり多い。さらには反応性
を高めるために有機金属塩あるいは第3級アミン等が触
媒として含有されている。
【0016】また、単官能エポキシ化合物ではなく、ジ
エポキシ化合物を添加する例も特開平7−166419
号公報に見られる。しかし、この技術も耐加水分解性を
向上させるためポリエステルのカルボキシル末端基を反
応により封鎖しようとするものであり、そのため、用い
られる化合物は、グリシジルエステルタイプの構造を有
している。グリシジルエステルタイプのエポキシ化合物
は、カルボキシル基との反応性がグリシジルエーテルタ
イプの化合物に比べて格段に高い。そのため、この場合
には末端カルボキシル基を封鎖するだけでなく、分子鎖
を連結する効果があると述べられている。しかしながら
このようなジエポキシ化合物は、反応が進行すると必然
的に架橋反応を伴うので、ポリエステルと混合した後の
熱履歴によってゲル化のなどの好ましくない状態を生じ
る恐れがある。これに対し、本発明において用いられる
2官能性エポキシ化合物はカルボキシル基との反応性が
低いグリシジルエーテルタイプの化合物であるため、エ
ポキシ化合物の配合量を多少増やしても、ゲル化を回避
することができる。
【0017】以上のように、本発明はエポキシ化合物を
用いてカルボキシル基末端を封鎖しようという公知の技
術とはその内容を全く異にしている。また、これら公知
の例においては本発明の目的である分子配向の抑制効果
に関しては全く示唆されていない。
【0018】本発明のジグリシジルエーテル型エポキシ
化合物を配合してなるPOYは、2官能性エポキシ化合
物を配合しない旧来のPOYに比べて同一引取速度で引
取った場合に低い配向度を示す。2官能性エポキシ化合
物を配合することによりPOYの配向度が抑制される理
由については明確ではないが、溶融紡糸時の繊維内部構
造の形成過程において、ポリエステル末端基とエポキシ
化合物のエポキシ基との間の強い相互作用、およびエポ
キシ化合物のエポキシ基とポリエステルの極性部分(エ
ステル結合部)との強い相互作用により、擬似的網目構
造が形成され、分子配向が抑制されるものと思われる。
本発明の特定の2官能性エポキシ化合物を用いた場合に
は、ポリエステル紡出糸の固有粘度(IV値)および末
端カルボキシル基の量はほとんど変化せず、いわいる化
学結合を伴う枝分かれである「架橋」は生成していない
か、たとえ生成していてもごく僅かであると考えられ
る。本発明のポリエステル部分配向未延伸糸は、分子配
向度を示す指標である複屈折率が0.02〜0.05の
範囲内にあることが必要であるが、その際、下記式IIで
表される複屈折率減少率Dが5%以上であることが好ま
しい。
【数1】 複屈折率が0.02以下のPOYを用いると、延伸仮撚
加工の際の熱処理工程で融着の問題があるし、0.05
以上のPOYを用いると捲縮発現性の良い仮撚加工糸は
得られない。本発明のPOYは2官能性エポキシ化合物
を配合しないPOYに比べて同じ紡糸条件で引取ったと
きに、より低い配向度を示す。前述の式IIで表される複
屈折率減少率Dを5%以上とすることにより、紡糸速度
および/または延伸倍率を上げても同等の特性を持つP
OYとすることが可能になる。この複屈折率減少率Dが
大きいほど、紡糸速度および/または延伸倍率を大きく
することができ、生産性が向上するので、複屈折率減少
率Dは7%以上であることがより好ましい。
【0019】本発明のポリエステル部分配向未延伸糸
は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とす
るポリエステルの重縮合反応が終了した時点以降の段階
において、下記一般式Iで表される2官能性エポキシ化
合物を該ポリエステルに対し、0.01〜1.0重量%
の割合となるように添加混合し、得られたポリエステル
混合物を紡糸速度2000〜4500m/minの引取
速度で溶融紡糸することによって製造できる。
【0020】
【化4】 エポキシ化合物の添加は、ポリエステルの重縮合反応が
終了した時点より後の、任意の段階において行うことが
できる。ポリエステルの重縮合反応は高真空下での反応
であるため、重合時にエポキシ化合物が存在すると、そ
の一部が糸外へ溜出する傾向にある。この場合にはポリ
エステル内における化合物の含量が保障されず、糸物性
のバラツキにつながるので好ましくない。本発明の方法
では重縮合反応が終了した時点以降、即ち常圧において
添加するので、ポリエステル内の化合物の含量は一定で
あり、均一性の高い未延伸糸を安定して生産することが
できる。また、本発明においては含有される2官能性エ
ポキシ化合物の量がごく少量であり、またこの化合物は
エポキシ基の反応性が比較的穏やかであるジグリシジル
エーテルタイプであるため、2官能性エポキシ化合物を
添加した後もポリエステルの固有粘度およびカルボキシ
ル基末端量は大きく上昇したり大きく低下することはな
い。
【0021】2官能性エポキシ化合物の添加方法も任意
に選択できるが、例えば、重縮合が終了し未だ溶融状態
にあるポリエステルに化合物を添加してから吐出するよ
うにしても良いし、一旦チップ化したポリエステルと本
発明の2官能性エポキシ化合物をエクストルーダー等で
溶融混練あるいはV型ブレンダー等でドライブレンド
し、得られた混合物を用いるようにしても良い。さらに
は、高濃度で2官能性エポキシ化合物を含有するマスタ
ーチップを別途作成しておき、紡糸に当たってこれを配
合しても良い。
【0022】本発明のPOYは配向抑制効果を有してい
ることに起因する様々の良好な特性を有している。こと
に、延伸或いは延伸仮撚加工を行う際にその効果が顕著
であり、引取速度および/または延伸倍率を高く取るこ
とができるという利点の他にも、繊度斑、染め斑の低
減、より高い発色性および捲縮特性(加工糸)といった
好ましい特性を有している。これらの有用な特性は、特
定の2官能エポキシ化合物を特定量配合するという簡易
な方法によって得られることから、本発明は工業的観点
から見て非常に有意義であると考えられる。
【0023】以下実施例により、本発明を具体的かつよ
り詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に制
限されるものではない。なお、実施例中の物性値は以下
の方法によって測定した。
【0024】A.固有粘度(IV値) 常法によりオルソクロロフェノール中25℃で測定し
た。
【0025】B.末端カルボキシル基含有率 0.5gのポリエステル試料を10mlのオルソクレゾ
ールに溶解し、KOHを用いる中和滴定法によって求め
た。単位はポリエステル106 g当たりのカルボキシル
基の当量で表した。
【0026】C.複屈折率(△N) OLYMPUS社製BH−2偏光顕微鏡コンペンセータ
ーを用い、通常の干渉縞法によって、レターデーション
と繊維径より求めた。
【0027】D.繊度斑(U%) チェルベガーウスター社製ウスター斑試験機を用いて、
糸速100m/分、測定タイプノーマルで測定し、U%
値を求めた。
【0028】E.加工糸の捲縮特性(CR値) 繊維を10回巻のカセ状にし、無荷重下、90℃,20
分間の温水処理を行う。一晩風乾した後、20℃の水中
にて、繊維のデニールの0.04倍の初荷重と繊維のデ
ニールの2.0倍の実荷重をカセに掛け、2分後にカセ
の長さを測定する(L1)。すぐに実荷重を取り外し2
分後に再度長さを測定する(L2)。このようにして求
めたL1とL2をもとに、{(L1−L2)/L1}×
100をもってCR値とした。
【0029】F.染地L値 加工糸において、筒編状のサンプルを作成し、下記の条
件で染色後、スガ試験機(株)製のデジタル測色色差計
にてL値を求めた。L値は濃色なほど値が小さく、淡色
であるほど値が大きい。 ・分散染料 Sumikaron Navy Blue S-2GL :0.6%owf Tetorosin Pen :5.0%owf Sun Salt #1200 :1.0%owf ・昇温速度 98℃×60分 ・浴比 1:50
【0030】G.毛羽 東レ(株)製フライカウンターを用いて、給糸速度20
0m/min、測定感度0.1の条件で、30時間(積
算時間)の測定を行い、カウントされた毛羽の個数とし
た。
【0031】実施例1〜5 IV値が0.65であり、艶消剤として二酸化チタンを
0.4%含有するポリエチレンテレフタレート乾チップ
と、式III に示す化学式で表されるジグリシジルエーテ
ル型のエポキシ化合物(a)(油化シェル(株)製エピ
コート1001;エポキシ当量475,分子量約90
0)の粉末を、V型ブレンダーを用いて、所定の割合と
なるようにドライブレンドした。
【化5】 この混合物を単軸エクストルーダーで温度285℃で溶
融し、紡糸温度290℃で、孔径0.23mmの細孔を
18ホール有する紡糸口金から押し出した。この紡出糸
を、15m/minのチムニー風により冷却し、油剤を
付与して集束した後、3000m/minの紡糸速度で
引き取って135D−36fのPOYを得た。
【0032】得られた繊維の複屈折率および強度、伸度
を表1に示す。POYの複屈折率は化合物(a)の配合
量が増えるに従って単調に減少する。0.05重量%の
添加の際には、得られた繊維の複屈折率が33.2×1
-3となり、この時すでに複屈折率減少率Dは6.2%
である。POYの伸度も化合物(a)の添加に伴い増加
する。また、ポリエステルの末端カルボキシル基濃度お
よびIV値は、化合物(a)の配合によってほとんど変
化しない。
【0033】比較例1 2官能性エポキシ化合物を配合しないこと以外は、実施
例1と同様に溶融紡糸を行い、135D−36fのPO
Yを得た。表1に示すように、複屈折率は35.4と、
同一の引取速度(3000m/min)で得た本発明の
POYに比べ高い値を示す。伸度も対応する本発明のP
OYの伸度に比べ低い値を示した。製糸性には問題な
く、糸切れなく紡糸できたが、繊維の糸斑を示すU%は
高い値を示した。
【0034】比較例2 2官能性エポキシ化合物(a)の配合量を1.2%とす
る以外は実施例1と同様に溶融紡糸を行い、135D−
36fのPOYを得た。複屈折率は同一の引取速度(3
000m/min)で得た本発明のPOYよりさらに低
い値となったが、強度が低いためか紡糸時に糸切れが多
発し、製糸性が不良であった。
【0035】比較例3 2官能性エポキシ化合物として下記化学式IVで表される
グリシジルエステル型のエポキシ化合物(b)(分子量
275)を用いること以外は、実施例4と同様に溶融紡
糸を行い、135D−36fのPOYを得た。表1に示
すようにポリエステルのカルボキシル基濃度が低下して
おり、この化合物が化学反応を伴ってポリエステル主鎖
中に取り込まれたことが知られた。また、この場合配向
抑制効果はほとんど認められない。さらには単糸流れお
よびゴデットローラーへの巻付きが散発した。
【0036】
【化6】 実施例6〜7 巻取速度を3500m/minとする以外は実施例1と
同様に溶融紡糸を行い、135D−36fのPOYを得
た。複屈折率は低い値であり、0.1重量%のエポキシ
化合物を配合した場合には、エポキシ化合物を含まず、
3000m/minで引き取った繊維の複屈折率の値と
同等であった。また、繊度斑も良好で、製糸性も問題は
なかった。
【0037】比較例4 2官能性エポキシ化合物を配合しないことおよび巻取速
度を3500m/minとすること以外は、実施例1と
同様に溶融紡糸を行い、135D−36fのPOYを得
た。複屈折率は47.6×10-3と高い値であった。
【0038】
【表1】 実施例8〜9 実施例3によって得られたPOYを用いて、第1ホット
ローラー温度90℃、第2ホットローラー温度130
℃、延伸倍率1.80倍および1.92倍、延伸速度6
00m/minの条件で延伸を行った。断糸、巻き付き
等はなく問題なく製造でき、表2に示す如く得られた繊
維の強伸度特性も満足のいく値であった。伸度が35%
の延伸糸を得るには1.92倍の延伸倍率を採用するこ
とができる(従来品は1.80倍;比較例4)。また、
繊維の繊度斑の指標であるU%の値も十分小さいもので
あり、均一性が良好であった。
【0039】実施例10 実施例4によって得られたPOYを用いる以外は実施例
8〜9と同様に延伸加工を行った。伸度35%の延伸糸
を得るには2.00倍の延伸倍率を採用することができ
る(従来糸は1.80倍;比較例4)。
【0040】比較例5 比較例1によって得られた2官能性エポキシ化合物を配
合しないPOYを用いる以外は、実施例8〜10と同様
に延伸を行った。得られた延伸糸は、強伸度特性は満足
できる値を示したが、U%の値が大きく均一性に難があ
ることが知られた。また、伸度35%の延伸糸を得るに
は1.80倍の延伸倍率しかとれないことから、高率の
延伸は難しいことが知られた。
【0041】実施例11 実施例7で得られたエポキシ化合物(a)を0.1重量
%配合され、3500m/minの紡糸速度で得られた
POYを用いる以外は実施例8〜10と同様に延伸加工
を行った。伸度35%の延伸糸を得るには1.74倍の
延伸倍率が適用できることが知られた。
【0042】
【表2】 実施例12〜14 実施例3によって得られたPOYを用いて、熱板温度2
05℃、ツイスター回転数6800rpm、延伸倍率
1.80,1.90倍,2.00倍の条件で延伸仮撚加
工を行った。得られた加工糸の特性を表3に示した。機
械的特性も優れ、捲縮特性も良好であった。さらには毛
羽の発生も少なく加工性良好であることが知られた。
【0043】比較例6 比較例1によって得られたPOYを用いること以外は、
実施例12〜14と同様に延伸仮撚加工を行った。表3
に示すように、捲縮発現率は本発明のPOYに比べ劣っ
ていた。また、仮撚加工糸の毛羽は3.6×105 mあ
たり3.1コであり、工程通過性不良であった。
【0044】実施例15 実施例7によって得られたPOYを用いること以外は、
実施例12〜14と同様に延伸仮撚加工を行なった。C
R値は33.9、染地のL値は34.4であった。
【0045】比較例7 比較例4で得られたPOYを用いること以外は、実施例
12〜14と同様に延伸仮撚加工を行なった。CR値は
30.2と本発明のPOYに比べ低い値であり、染地の
L値も38.2とかなり淡染であることが知られた。ま
た、毛羽は3.6×105 mあたり5.0コと工程通過
性の悪い加工糸しか得られなかった。
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】本発明のポリエステル部分配向未延伸糸
は紡糸速度を速くしても従来のものに比べて分子配向度
の上昇が少ないため、紡糸速度および/または延伸倍率
を高く取ることができ、生産性が向上する。また、延伸
加工あるいは延伸仮撚加工に供した際の工程通過性に優
れており、高品位の織編物が得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
    レートであり、ジグリシジルエーテル型2官能性エポキ
    シ化合物が0.01〜1.0重量%の割合で配合されて
    なるポリエステルより形成された、複屈折率が0.02
    〜0.05であることを特徴とするポリエステル部分配
    向未延伸糸。
  2. 【請求項2】 ジグリシジルエーテル型2官能性エポキ
    シ化合物が下記一般式Iで表される化合物であることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載のポリエステル部
    分配向未延伸糸。 【化1】
  3. 【請求項3】 エチレンテレフタレートを主たる繰り返
    し単位とするポリエステルの重縮合反応が終了した時点
    以降の段階において、下記一般式Iで表される2官能性
    エポキシ化合物を該ポリエステルに対し、0.01〜
    1.0重量%の割合となるように配合し、得られたポリ
    エステル混合物を2000〜4500m/minの引取
    速度で溶融紡糸することを特徴とするポリエステル部分
    配向未延伸糸の製造方法。 【化2】
JP11753596A 1996-05-13 1996-05-13 ポリエステル部分配向未延伸糸およびその製造方法 Pending JPH09302522A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000032854A1 (en) * 1998-12-03 2000-06-08 The Dow Chemical Company Thermoplastic fibers and fabrics

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