JP2002088574A - 耐アルカリ加水分解性ポリエステル繊維 - Google Patents

耐アルカリ加水分解性ポリエステル繊維

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JP2002088574A
JP2002088574A JP2000246922A JP2000246922A JP2002088574A JP 2002088574 A JP2002088574 A JP 2002088574A JP 2000246922 A JP2000246922 A JP 2000246922A JP 2000246922 A JP2000246922 A JP 2000246922A JP 2002088574 A JP2002088574 A JP 2002088574A
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polyester fiber
alkali hydrolysis
polyester
alkali
dimer diol
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JP2000246922A
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Toshihiro Sasaki
敏弘 佐々木
Yoshihiro Naruse
恵寛 成瀬
Yuzo Shimizu
有三 清水
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエステル繊維の染色性、耐アルカリ加水
分解性の向上を図り、レギュラーポリエステルとの混繊
・混用用途に適したポリエステル繊維を提供することに
ある。 【解決手段】 特定の共重合化合物を含有させた繊維。
特定の共重合組成物を含有させることで、染色性、耐ア
ルカリ加水分解性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐アルカリ加水分
解性を有するポリエステル繊維に関する。更に詳しく
は、特定の成分を含有した、耐アルカリ加水分解性、染
色性に優れたポリエステル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルやポリアミドに代表される
熱可塑性合成繊維は機械的強度、耐薬品性、耐熱性など
に優れるため、衣料用途や産業用途などを主体に広く使
用されている。
【0003】しかしながら、これらの合成繊維は染色さ
れにくく、高温、高圧条件で染めるとか、キャリヤー染
色しなければならないなど、経済的、操業的な課題を持
つうえに、鮮明な色彩を出しにくいという品質上の欠点
を有する。
【0004】このような問題に対して、特開昭57−6
6119号公報では染色性を改良するために、ネオペン
チルグリコールのエチレンオキサイド付加物を共重合す
る方法が提案されているが、染色性の改善効果が十分で
ないばかりか、耐アルカリ加水分解性が十分でない問題
がある。
【0005】ポリエステル繊維の耐アルカリ加水分解性
を改良するために、ポリエステル中にダイマージオール
を共重合する方法が提案されている(特開平10−37
019号公報)。しかし、この方法を用いた場合、耐ア
ルカリ加水分解性は向上するものの、染色性が十分でな
かった。
【0006】また、鮮明発色性を得るためには、特公昭
34−10497号公報に記載されているように、芳香
族ポリエステルに5−ナトリウムスルホイソフタル酸の
ような染着座席を持つ化合物を共重合することによって
カチオン染料で染色可能とする試みが提案されている。
これらの方法を用いることで確かに鮮明発色性は向上す
るものの、この方法で得られるカチオン染料可染性ポリ
エステル繊維は、耐アルカリ加水分解性に劣っているた
め、織編物の風合いを良好にするためにレギュラーポリ
エステル繊維で通常行われているアルカリ減量処理を施
すと、アルカリによるカチオン染料可染性ポリエステル
繊維の溶解速度がレギュラーポリエステル繊維のそれに
比べ極めて大きいので、通常工業的に採用されている条
件では安定して減量処理加工することが困難であるのみ
ならず、アルカリ処理糸の強度低下が著しく大きいた
め、アルカリ減量処理加工の適用が困難であった。
【0007】そこでカチオン染料可染性ポリエステル繊
維の耐アルカリ加水分解性を改良するために、ポリエス
テル中に1,2−(4−カルボキシ)エタン成分を共重
合する方法が提案されている(特開昭62−97914
号公報、特開昭62−97915号公報および特開昭6
2−97916号公報)。しかしこれらの方法を持って
しても、実質的な耐アルカリ加水分解性の向上効果は少
なかった。
【0008】このように、染色性と耐アルカリ加水分解
性を同時に満足するレベルのポリエステル繊維は到底得
られなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を克服し、耐アルカリ加水分解性を向
上させかつ染色性を向上させて、他のポリエステル繊維
との混繊・混用等の用途に適した商品価値の高いポリエ
ステル繊維を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、ダイマージオールを0.1〜10モル%、分子量4
00〜6000のグリコール成分を0.1〜10重量%
共重合したポリエステル組成物よりなる耐アルカリ加水
分解性ポリエステル繊維によって達成することができ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に述べる。
【0012】本発明において、耐加水分解性、染色性を
同時に向上させるためにはダイマージオール、分子量4
00〜6000のグリコール成分が必須成分である。
【0013】本発明のポリエステル組成物に共重合され
るダイマージオールはその製法を特に限定するものでは
ないが、例えば不飽和脂肪酸の粘土触媒による低重合体
から、分離および水素添加によってトリマー酸、モノマ
ー酸等の副生成物を除去した後に得られるダイマー酸を
水素化して得られる脂肪族両末端ジオールである。具体
的には、ダイマージオールは下記一般(I−A)および
/または(I−B)で表される化合物である。
【0014】
【化1】 (但し、式中、R1およびR2は同一もしくは異なるアル
キル基、R3およびR4は同一もしくは異なるアルキレン
基であり、R1、R2、R3およびR4の炭素数の合計は2
4〜36の範囲である。
【0015】
【化2】 (但し、式中、R1’およびR2’は同一もしくは異なる
アルキル基、R3’およびR4’は同一もしくは異なるア
ルキレン基であり、R1’、R2’、R3’およびR4’の
炭素数の合計は27〜39の範囲である。) 前記(I−A)および(I−B)で表されるダイマージ
オールは、それぞれ単独でも、また両者の混合物のいず
れかであってもよい。このダイマージオールは、精製さ
れたものであって、95重量%以上の純度を有するもの
が有利に使用される。
【0016】具体的には、東亜合成(株)製ペスポール
HP−1000(炭素数36で脂環族タイプ/直鎖脂肪
族タイプ=75/25(mol%)の水素添加ダイマージオー
ル)等があげられる。
【0017】ダイマージオールのポリエステル中の共重
合量は、全ジオール成分に対して0.1〜10モル%、
好ましくは1.0〜7モル%である。共重合量を0.1
〜10モル%とすることで耐熱性を損なうことなく、耐
アルカリ分解性を向上させることができる。
【0018】また、本発明のダイマージオールは耐加水
分解性、染色性を高度に満足させるためにエチレンオキ
サイド付加物とすることが好ましい。ダイマージオール
のエチレンオキサイド付加物は、下記一般式(II−
A)および/または(II−B)で表される化合物であ
る。
【0019】
【化3】 (但し、式中、R1およびR2は同一もしくは異なるアル
キル基、R3およびR4は同一もしくは異なるアルキレン
基であり、R1、R2、R3およびR4の炭素数の合計は2
4〜36の範囲である。n,mは1〜14までの整数で
同一もしくは異なっていてもよい。)
【0020】
【化4】 (但し、式中、R1’およびR2’は同一もしくは異なる
アルキル基、R3’およびR4’は同一もしくは異なるア
ルキレン基であり、R1’、R2’、R3’およびR4’の
炭素数の合計は27〜39の範囲である。n’,m’は
1〜14までの整数で同一もしくは異なっていてもよ
い。) 前記(II−A)および(II−B)で表されるダイマ
ージオールエチレンオキサイド付加物は、それぞれ単独
でも、また両者の混合物のいずれかであってもよい。こ
のダイマージオールエチレンオキサイド付加物は、精製
されたものであって、95重量%以上の純度を有するも
のが有利に使用される。
【0021】具体的には、東亜合成(株)製ペスポール
HP−1000(炭素数36で脂環族タイプ/直鎖脂肪
族タイプ=75/25(mol%)の水素添加ダイマージオー
ル)にエチレンオキサイドを付加された化合物等があげ
られる。
【0022】さらに本発明のポリエステル組成物には前
記ダイマージオールの他に、染色性を向上するために分
子量400〜6000のグリコール成分が含有されてい
ることが必要である。ここでいう含有とは、ポリエステ
ル中に共重合されていてもいいし、共重合されていない
状態のどちらでもよく、特に限定されるものではない。
分子量400〜6000のグリコール成分の共重合量
は、ポリエステルに対して0.1〜10重量%、好まし
くは0.5〜7重量%である。共重合量を0.1〜10
重量%とすることで融点降下を抑え、染色性を向上させ
ることができる。
【0023】分子量400〜6000のグリコール成分
としては、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグ
リコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の化
合物にエチレンオキサイドを付加したジオール化合物お
よびプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重
合物、ポリオキシアルキレングリコールを挙げることが
できる。分子量は、400〜6000、好ましくは45
0〜4000、さらに好ましくは500〜2000であ
る。分子量を400〜6000とすることで共重合ポリ
エステルの融点降下を抑え、耐アルカリ分解、染色性の
両者を向上させることができる。本発明のポリエステル
とは、テレフタル酸を主たる酸性分とし、エチレングリ
コールを主たるジオール成分とするポリエチレンテレフ
タレートを主たる対象とする。
【0024】本発明のポリエステル組成物には本発明の
効果が実質的に損なわれない範囲内で、テレフタル酸以
外の二官能性カルボン酸成分および/またはエチレング
リコール以外のジオール成分をそれぞれ20モル%以
下、好ましくは10モル%以下共重合してもよいことを
意味する。
【0025】本発明者らが鋭意検討した結果、前記のご
とくダイマージオール、分子量400〜6000のグリ
コール成分を共重合したポリエステル組成物に対して、
さらにカチオン染着座席成分を共重合したポリエステル
組成物からの繊維は、カチオン可染性であるにも拘わら
ず、耐アルカリ加水分解性が向上し、さらに染色性も大
幅に向上することを見出した。
【0026】該カチオン染着座席成分の共重合率は全酸
成分に対して0.1〜10モル%が好ましく、さらに好
ましくは1.0〜4.0モル%であり、特に好ましくは
1.3〜2.0モル%である。共重合率は染色性や製糸
性の観点から決定される。
【0027】本発明のカチオン染着座席成分としては、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびそのエステル
誘導体、5−リチウムスルホイソフタル酸およびそのエ
ステル誘導体、5−(テトラアルキル)ホスホニウムス
ルホイソフタル酸およびその誘導体等が挙げられる。
【0028】さらにその他の共重合成分の具体的な二官
能性カルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、ナ
フタレン−2、6−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボ
ン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキ
シエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸等の二官能性
芳香族カルボン酸または、アジピン酸、セバシン酸等の
二官能性脂肪族カルボン酸または、1,4−シクロへキ
サンジカルボン酸等の二官能性脂環族カルボン酸を挙げ
ることができる。
【0029】また、エチレングリコール以外のジオール
成分としては、例えばジエチレングリコール、1,3−
プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレ
ングリコール等の分子量400以下のグリコール成分を
挙げることができる。
【0030】さらに本発明のポリエステル組成物におい
ては少量の三官能以上のポリカルボン酸やポリオール成
分を含むことができる。例えば、無水トリメリット酸、
ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメチロールプロ
パン、グリセリン、無水ピロメリット酸等がある。
【0031】本発明のポリエステル組成物は、任意の方
法によって合成される。例えばポリエチレンテレフタレ
ートについて説明すれば、通常テレフタル酸とエチレン
グリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタ
ル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステ
ルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか
またはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させ
るかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび/ま
たはその低重合体を生成させる第一段階の反応と、第一
段階の反応生成物を重合触媒の存在下で減圧加熱して所
望の重合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応
によって製造される。ダイマージオール、分子量400
〜6000のグリコール成分の添加時期としては特に限
定されないが例えば、エステル交換反応前、エステル交
換反応が実質的に終了した時点から重縮合反応が開始さ
れるまで、重縮合反応が実質的に終了した後などの任意
の段階に添加される。
【0032】またポリエステル組成物には、本発明の目
的を損なわない範囲で酸化チタン、カーボンブラック等
の顔料、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性
剤、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防
止剤等が添加されても勿論良い。
【0033】本発明において上記ポリエステル組成物を
用いる繊維の製法としては従来公知の方法で製造するこ
とができるが、例えば、500〜2500m/分の速度
で溶0融紡糸し、延伸、熱処理する方法、1500〜5
000m/分の速度で溶融紡糸し、延伸と仮撚加工とを
同時にまたは続いて行う方法、5000m/分以上の高
速で溶融紡糸し、用途によっては延伸行程を省略する方
法、など任意の製糸条件を採用することができる。
【0034】本発明の繊維の断面形状は丸ばかりでな
く、三角、偏平、多葉型、多角、H型、Π型などなどの
異形断面でもよい。また、該繊維の糸状形態は、フィラ
メント、ステープルのどちらでもよく、用途によって適
宜選定される。布帛形態としては、織物、編物、不織布
など目的に応じて適宜選択できる。
【0035】また、本発明のポリエステル繊維を減量す
る方法としては、プラズマ処理、レーザー処理、アルカ
リ減量処理等をあげることができるが、好ましいのはア
ルカリ減量処理である。アルカリとしては、NaOH、
KOH、LiOH等の化合物を水溶液として用いること
ができる。その濃度は0.5〜10%の範囲が好まし
い。
【0036】さらに本発明のポリエステル繊維を染色す
るためのカチオン染料としては、'Aizen Cathilon'(保
土ヶ谷化学工業(株)製)、'Kayacryl'(日本化薬
(株)製)、'Estrol,Sumiacryl'(住友化学工業(株)
製)、'Diacryl'(三菱化成工業(株)製)、'Maxilon'
(チバガイギー(株)製)、'Astrazon'(バイエルジャ
パン(株)製)等の冠称名染料が挙げられるがこれらに
限定されるものではなく、分散型カチオン染料を用いる
こともできる。本発明の効果を阻害しない範囲内の少量
であれば他の染料を併用してもよい。
【0037】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説
明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法によって
求めた。
【0038】A.ポリエステルの極限粘度 [η] オルトクロロフェノール溶液とし、25℃で求めた。
【0039】B.強度、伸度 東洋ボールドウィン社製テンシロン引張り試験機を用い
て試長20cm、引張り速度10cm/分の条件で応力−歪み曲
線から値を求めた。
【0040】強度が3.1cN/dtex未満であると仮撚時のケ
バ発生等があるため強度は3.1cN/dtex以上が良好であ
る。
【0041】C.融点(Tm) 共重合ポリエステルのTmはパーキンエルマー社製DS
C7装置を用い、昇温速度16℃/分で測定した。
【0042】Tmが235℃以下であると、仮撚加工時
の温度を上げられず、良好な仮撚捲縮が得られない。
【0043】D.ポリエステル繊維の耐アルカリ加水分
解性 ダイマージオール、分子量400〜6000のグリコー
ル成分を含有しないポリエステル繊維、ダイマージオー
ル、分子量400〜6000のグリコール成分を含有さ
せたポリエステル繊維をそれぞれ3g秤量し、98℃で
40分間、 NaOH 3%水溶液中で処理した後の重
量を測定し、それぞれの残存率を求 める。
【0044】残存率(%)=(減量前の重量−アルカリ
減量後の重量)/減量前の重量×100 残存率から下記式を用いて繊維の耐アルカリ指数を求め
た。
【0045】耐アルカリ加水分解指数={ダイマージオー
ル、分子量400〜6000のグリコール成分を含まな
いポリエステル繊維の残存率/ダイマージオール、分子
量400〜6000のグリコール成分を含むポリエステ
ルの残存率}×100 耐アルカリ加水分解指数は110を越えることが耐アル
カリ加水分解性が良好なことを表している。
【0046】E.染色性の評価 得られた83dtex−36フィラメントのポリエステ
ル繊維を2本引き揃えて24ゲージ天竺筒を作製し、”
サンデット”G−29(三洋化成(株)製)2g/l、
ソーダ灰5g/l、”デトロール”WR−14(明成化
学工業(株)製)2g/lを含む処理浴中で精練を行っ
た。乾燥後に170℃で中間熱セットを行い染色試料布
帛とした。
【0047】a.分散染料染色 染色布帛を、Samaron Blue GSL−40
0(タ゛イスター社製分散染料)の5%owf溶液中、130
℃で60分間、浴比1:50で染色を行い染色液をアセ
トン:水=1:1を用いて希釈し625nmの吸光度を
測定し、次式により染料吸尽率を求めた。 染料吸尽率a={(染色前の染液の吸光度−染色後の染
液の吸光度)/染色前の染液の吸光度}×100 染料吸尽率が高いほど染色性は良好で、本発明では染料
吸尽率は40%以上が良好とした。
【0048】b.カチオン染料染色 染色試料布帛を、カチオン染料Malachite G
reenシュウ酸塩3%owf、助剤として酢酸(80
%)0.5cc/lの浴で130℃で60分間染色した
(浴比1:100)。染色液を希釈し617.2nmの吸光
度を測定し、次式により染料吸尽率を求めた。 染料吸尽率b={(染色前の染液の吸光度−染色後の染
液の吸光度)/染色前の染液の吸光度}×100 染料吸尽率が高いほど染色性は良好で、本発明では、十
分な発色性を得るために、染料吸尽率は70%以上を良
好とした。
【0049】実施例1 ジメチルテレフタレート100kg、エチレングリコール61k
g、エステル交換触媒として酢酸マンガン4水和物40g、
重合触媒として三酸化アンチモン40gの混合物を140〜23
5℃まで撹拌しながら4時間かけて昇温しエステル交換
反応を終了した。次いで着色防止剤としてリン酸トリメ
チル45gを加え、さらにダイマージオール(東亜合成
(株)製ペスポールHP−1000(炭素数36で脂環
族タイプ/直鎖脂肪族タイプ=75/25(mol%)の水素
添加ダイマージオール)を5モル%、分子量400〜6
000のグリコール成分としてPEG1000を2重量
%となるよう添加し、重合反応を行うことにより、耐ア
ルカリ加水分解性ポリエステルを得た。このポリマの
[η]は0.68であった。
【0050】このポリマを乾燥後、紡糸機に供し、メル
ターにて溶融した後、計量し紡糸パック部から吐出し、
1350m/分の速度で引取った。得られた未延伸糸を
80℃で2.8倍に延伸した後、ローラー(125℃)
で熱セットし、83dtex36フィラメントの延伸糸
を得た。結果を表1に示した。耐アルカリ加水分解指数
は155、染料吸尽率aは58%と良好であった。
【0051】実施例2〜6、比較例1〜3 実施例1において、使用したダイマージオールの共重合
量、分子量400〜6000のグリコール成分種類、含
有量を変更させた以外は実施例1と同様な方法によりポ
リエステル繊維を得た。耐アルカリ加水分解指数、染料
吸尽率aは良好であった。比較例1においては、ダイマ
ージオールのみで分子量400〜6000のグリコール
成分を含有しないため染色性向上効果が十分に発揮され
ない。比較例2においては、ダイマージオールが本願発
明の範囲外であるためTmが低下し、耐熱性が劣り、商
品価値を損なう物となった。比較例3においては、分子
量400〜6000のグリコール成分のみを含有した物
を用いたが、染色性は向上するものの、耐アルカリ加水
分解指数は不十分であった。比較例4においては、分子
量400〜6000のグリコール成分の含有量が本願発
明の範囲外であるためTmが低下し、染色性は向上する
ものの、耐アルカリ加水分解指数は不十分であった。
【0052】実施例7 ジメチルテレフタレート150kg、カチオン染着座席成分
として5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル(N
SIP)4.7kg(共重合量2.0モル%)、エチレングリコー
ル94kg、エステル交換触媒として酢酸リチウム2水和物
210g、重合触媒として三酸化アンチモン60gの混合物を1
40〜235℃まで撹拌しながら4時間かけて昇温しエステ
ル交換反応を終了した。次いで着色防止剤としてリン酸
トリメチル64.5g加え、さらに実施例1と同様のダイマ
ージオールを5モル%、分子量400〜6000のグリコ
ール成分としてPEG1000を2重量%となるよう添
加し、重合反応を行うことにより、耐アルカリ加水分解
性カチオン可染ポリエステルを得た。このポリマの
[η]は0.64であった。
【0053】このポリマを乾燥後、紡糸機に供し、メル
ターにて溶融した後、計量し紡糸パック部から吐出し、
1350m/分の速度で引取った。得られた未延伸糸を
80℃で2.8倍に延伸した後、ローラー(125℃)
で熱セットし、83dtex36フィラメントの延伸糸
を得た。結果を表2に示した。耐アルカリ加水分解指数
は164、染料吸尽率bは80%と良好であった。
【0054】実施例8〜12、比較例5〜7 実施例7において、使用したダイマージオール、分子量
400〜6000のグリコール成分の種類、含有量を変
更させた以外は実施例7と同様な方法によりポリエステ
ル繊維を得た。耐アルカリ加水分解指数、染料吸尽率b
は良好であった。比較例5においては、分子量400〜
6000のグリコール成分を含有しないため染色性向上
効果が十分に発揮されない。比較例6においては、ダイ
マージオールの共重合量が本願発明の範囲外であるため
Tmが低下し、耐熱性が劣り、商品価値を損なう物とな
った。比較例7においては、分子量400〜6000の
グリコール成分のみを含有した物を用いたが、染色性は
向上するものの、耐アルカリ加水分解指数は不十分であ
った。
【0055】実施例13〜19 カチオン染着座席成分の含有量の変更、ダイマージオー
ルの変わりにダイマージオールのエチレンオキサイド付
加物の共重合量、分子量400〜6000のグリコール
成分の含有量を変更させた以外は実施例7と同様な方法
によりポリエステル繊維を得た。結果を表3に示した。
耐アルカリ加水分解指数、染料吸尽率bは良好であっ
た。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【発明の効果】本発明によって得られた耐アルカリ加水
分解性ポリエステル繊維は染色性、耐アルカリ加水分解
性を向上できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA03 AB07 AC02 AD10 AE02 BA03 BD06C BF26 BH02 CB06A CH02 CH03 CH06 DB01 DB07 DC08 HA01 HB01 JE182 JF022 JF032 KB02 4L035 BB31 BB89 BB91 CC03 EE04 EE08 EE20 FF10 HH01 HH10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ダイマージオールを0.1〜10モル%、
    分子量400〜6000のグリコール成分を0.1〜1
    0重量%共重合したポリエステル組成物よりなる耐アル
    カリ加水分解性ポリエステル繊維。
  2. 【請求項2】ポリエステル組成物の全酸成分に対し、カ
    チオン染着座席成分を0.1〜10モル%共重合したポ
    リエステル組成物よりなる請求項1に記載の耐アルカリ
    加水分解性ポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】ポリエステル組成物中のカチオン染着座席
    成分が5−スルホイソフタル酸成分であることを特徴と
    する請求項2に記載の耐アルカリ加水分解性ポリエステ
    ル繊維。
  4. 【請求項4】ポリエステル組成物中の分子量400〜6
    000のグリコール成分がポリアルキレングリコールで
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の耐アルカリ加水分解性ポリエステル繊維。
  5. 【請求項5】ポリエステル組成物中のダイマージオール
    がエチレンオキサイド付加物であることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれか1項に記載の耐アルカリ加水分解
    性ポリエステル繊維。
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