JPH09296039A - 活性化ポリ−l−グルタミン酸、これを用いた止血用・医療用接着キット、および該キットの使用方法 - Google Patents

活性化ポリ−l−グルタミン酸、これを用いた止血用・医療用接着キット、および該キットの使用方法

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JPH09296039A
JPH09296039A JP8111495A JP11149596A JPH09296039A JP H09296039 A JPH09296039 A JP H09296039A JP 8111495 A JP8111495 A JP 8111495A JP 11149596 A JP11149596 A JP 11149596A JP H09296039 A JPH09296039 A JP H09296039A
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glutamic acid
poly
gelatin
activated poly
hemostatic
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JP8111495A
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Kenji Mihashi
橋 謙 二 三
Yoshito Ikada
義 人 筏
Hiroo Iwata
田 博 夫 岩
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Eiweiss KK
Original Assignee
Eiweiss KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、活性エステル化ポリ−L−グルタ
ミン酸を溶液とする場合に、その活性度保持時間(ポッ
トライフ)をより長くするとともに、ゼラチンとの架橋
反応によって、速やかにゲル化し、十分な接着強度を発
現する医用接着剤を提供することを目的としている。 【解決手段】 本発明に係る活性化ポリ−L−グルタミ
ン酸は、ポリ−L−グルタミン酸と、N−ヒドロキシア
ミン系活性エステル誘導性化合物とを反応させて得ら
れ、反応前のポリ−L−グルタミン酸中の全カルボキシ
ル基の35〜70%が、活性エステル化されてなること
を特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、活性エステル基の導入率
の高い、新規な活性化ポリ−L−グルタミン酸に関す
る。また本発明は、この活性化ポリ−L−グルタミン酸
を用いた止血用・医療用接着キットならびにその使用方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】医用の接着剤あるいは止血剤には、生体
適合性、無毒性等が要求される。このため、血液由来の
フィブリン糊が止血剤あるいは医療用接着剤として用い
られている。
【0003】しかしながら、フィブリン糊は、血液由来
であるため、その絶対的供給量には限界があり、また感
染症の原因となる危険性もある。このため、非血液系の
止血用・医療用接着剤の開発が種々検討されている。
【0004】このような止血用・医療用接着剤には、次
にような条件が要求されている。すなわち、1)出血部
に塗布する前は液状であり、塗布後はできる限り速やか
にゲル化すること、2)ゲル化物は生体組織によく接着
し、出血を阻止できること、3)ゲル化物は出血部の創
傷治癒を邪魔しないこと、4)そのゲル化物は、創傷治
癒後、できるだけ速やかに体内において分解し、消滅す
ること、5)原料も分解生成物も毒性を示さないこと、
6)高価でないこと、などである。
【0005】ところで、ゼラチンは生体に含まれるコラ
ーゲンから得られるタンパク質として知られ、安全性に
優れ、また、生体内で分解、消失する特性を活かし、医
療分野ではカプセル剤をはじめとする多岐の応用されて
いる。また、かかるゼラチンをゲル化し、生体に対する
接着剤、止血剤として用いる試みもなされている。
【0006】このような状況下で、本発明者らは、ゼラ
チンと活性化ポリ−L−グルタミン酸との架橋反応に着
目し、検討を行ってきた。種々の活性化ポリ−L−グル
タミン酸の中でも、無毒性等の点から、スクシンミド化
ポリ−L−グルタミン酸が好ましいと考えられる。
【0007】ところで、スクシンミド化ポリ−L−グル
タミン酸を用いる場合には、その活性度保持時間(ポッ
トライフ)が短いことが実用上の欠点として挙げられ
る。医療現場においては、活性化ポリ−L−グルタミン
酸を何らかの溶媒に溶解し、この活性化ポリ−L−グル
タミン酸溶液とゼラチン溶液とを用いて接着作業が行わ
れることになる。
【0008】しかしながら、スクシンイミド基の導入率
の低いポリ−L−グルタミン酸を溶液の状態に保つと、
溶解後短時間で失活してしまい、ゼラチン溶液と反応さ
せてもゲル化しなくなり、接着できなくなってしまう。
このため、医療現場において、スクシンイミド化ポリ−
L−グルタミン酸溶液調製のタイミングが重要になり、
時間的な制約を受けることになる。
【0009】さらに、スクシンイミド基の導入率の低い
ポリ−L−グルタミン酸とゼラチンとの架橋物では、ゲ
ル化速度や接着強度が、フィブリン糊と比し、十分では
ないという欠点もある。
【0010】
【発明の目的】本発明は、活性化ポリ−L−グルタミン
酸を溶液とする場合に、その活性度保持時間(ポットラ
イフ)をより長くするとともに、ゼラチンとの架橋反応
によって、速やかにゲル化し、十分な接着強度を発現す
る止血用・医療用接着剤を提供することを目的としてい
る。
【0011】
【発明の概要】本発明に係る活性化ポリ−L−グルタミ
ン酸は、ポリ−L−グルタミン酸と、N−ヒドロキシア
ミン系活性エステル誘導性化合物とを反応させて得ら
れ、反応前のポリ−L−グルタミン酸中の全カルボキシ
ル基の35〜70%が、活性エステル化されてなること
を特徴としている。
【0012】本発明に係る止血用・医療用接着キット
は、上記の活性化ポリ−L−グルタミン酸と、ゼラチン
とから構成される。上記の活性化ポリ−L−グルタミン
酸は、濃度5〜100mg/mlに溶解して用いることが好
ましい。また、該活性化ポリ−L−グルタミン酸は、p
H7.0〜8.0の緩衝液に溶解して用いることが好ま
しい。
【0013】さらに、本発明においては、ゼラチンとし
て、自然ゲル化温度が20〜27℃のゼラチンを用いる
ことが特に好ましい。上記のような活性エステル基の導
入率の高い活性化ポリ−L−グルタミン酸は、溶液にし
た場合の活性度保持時間が長く、医療現場での実用性の
向上に大きく寄与する。また、かかる活性化ポリ−L−
グルタミン酸とゼラチンとの架橋反応によって、速やか
にゲル化し、接着強度の大きな接着剤が形成される。
【0014】
【発明の具体的説明】本発明に係る活性化ポリ−L−グ
ルタミン酸は、ポリ−L−グルタミン酸と、N−ヒドロ
キシアミン系活性エステル誘導性化合物とを脱水縮合剤
の存在下に反応させることで得られる。
【0015】ポリ−L−グルタミン酸は、たとえば、
「Ajikoat (味の素社製)」の商品名で市販されている
ポリ−L−グルタミン酸ナトリウム水溶液を透析するこ
とで得られる。
【0016】N−ヒドロキシアミン系活性エステル誘導
性化合物としては、たとえば、N−ヒドロキシスクシン
イミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−
ジカルボン酸イミド、2−ヒドロキシイミノ−2−シア
ノ酢酸エチルエステル、2−ヒドロキシイミノ−2−シ
アノ酢酸アミド、N−ヒドロキシピペリジン等のペプチ
ド合成において汎用の活性エステル誘導性化合物が用い
られる。これらの中でも、本発明においては、特にN−
ヒドロキシスクシンイミドが好ましい。
【0017】脱水縮合剤としては、たとえば1-エチル-3
-ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(ED
C・HCl)、1-シクロヘキシル-(2-モルホニル-4-エ
チル)-カルボジイミド・メソp-トルエンスルホネート等
のペプチド合成において汎用の水溶性縮合剤が用いられ
る。
【0018】本発明の活性化ポリ−L−グルタミン酸で
は、反応前のポリ−L−グルタミン酸中の全カルボキシ
ル基の35〜70モル%、好ましくは40〜65モル%
が、上記活性エステル誘導性化合物によって活性エステ
ル化されてなる。
【0019】このような活性エステル基の導入率の高い
活性化ポリ−L−グルタミン酸は、溶液にした場合にも
活性を長く持続し、その活性度持続時間は、室温におい
て、10分以上、特に良好なものでは10分〜30分程
度あるいはそれ以上である。一方、活性エステル基の導
入率が低いと、活性度持続時間は比較的短く、医療現場
における要求に応えることは難しい。
【0020】活性エステル基の導入率を高くするには、
脱水縮合反応時におけるN−ヒドロキシアミン系活性エ
ステル誘導性化合物の仕込量を調製すればよく、具体的
には、ポリ−L−グルタミン酸の全カルボキシル基のモ
ル数に対し、40モル%を超え、好ましくは45〜70
モル%のN−ヒドロキシアミン系活性エステル誘導性化
合物を仕込めばよい。
【0021】この際、脱水縮合剤は、N−ヒドロキシア
ミン系活性エステル誘導性化合物1モルに対し、1〜3
モル、好ましく1.0〜1.5モル程度の量で用いられ
る。反応溶媒は、特に限定はされないが、非プロトン性
極性溶媒を好ましく用いられ、特にDMSOが好ましく
用いられる。
【0022】反応温度は、−10〜70℃、好ましくは
0〜40℃程度であり、反応時間は反応温度により様々
であるが、通常は1〜48時間、好ましくは3〜24時
間程度である。
【0023】反応終了後、未反応物、副生成物、反応溶
媒を再沈・濾過・洗浄等の手段で除去し、本発明に係る
活性化ポリ−L−グルタミン酸が得られる。この活性化
ポリ−L−グルタミン酸は固体状態で安定であり、その
活性エステル基導入率は、たとえば、Biochemistry vo
l.14, No.7 (1975), 1535-1541 に記載の方法に準じて
決定される。
【0024】本発明に係る止血用・医療用接着キット
は、上記の活性化ポリ−L−グルタミン酸と、ゼラチン
とから構成されている。本発明におけるゼラチンとして
は、ヒト、牛、豚等の生体に含まれる骨あるいは皮膚等
から得たものが使用できる。このようなゼラチンは、コ
ラーゲンを酸、アルカリ、酵素等により適宜処理して得
られる。
【0025】本発明に係る止血用・医療用接着キットを
医療現場で使用する際には、まず上記の活性化ポリ−L
−グルタミン酸を適宜な溶媒に溶解して活性化ポリ−L
−グルタミン酸溶液を調製するとともに、ゼラチンを適
宜な溶媒に溶解してゼラチン溶液を調製しておく。次い
で、接着の直前に上記の2液を混合して、接着、止血が
必要とされる創部に塗布するか、あるいは上記の2液を
別々に塗布することもできる。この結果、活性化ポリ−
L−グルタミン酸とゼラチンとのゲル化反応が起こり、
短時間、好ましくは30秒以内にゲル化・接着が完了す
る。
【0026】この際、ゼラチン(固形分)100重量部
に対して、活性化ポリ−L−グルタミン酸(固形分)
は、好ましくは1〜100重量部、特に好ましくは2〜
70重量部の量で用いられる。
【0027】上記の止血用・医療用接着キットを使用す
る場合、前記活性化ポリ−L−グルタミン酸を、濃度5
〜100mg/ml、好ましくは濃度7〜60mg/mlに溶解
して用いることが望ましい。
【0028】特に、本発明においては、前記活性化ポリ
−L−グルタミン酸を、pH7.0〜8.0、好ましく
はpH7.4〜7.8の緩衝液に溶解して用いることが
望ましい。pH7未満であると、活性化ポリ−L−グル
タミン酸が溶解しにくくなる場合がある。このような緩
衝液としては、具体的には、Mcllvaine の緩衝液(リン
酸水素2ナトリウム−クエン酸)、Atkins-Pantin の緩
衝液(ホウ酸+塩化カリウム−炭酸ナトリウム)、Pali
tzsch の緩衝液(ホウ酸+塩化ナトリウム−4ホウ酸ナ
トリウム)、Hasting-Sendroy の緩衝液(リン酸水素2
ナトリウム−リン酸2水素カリウム)、Britton-Robins
onの広域緩衝液(酸混合液−水酸化ナトリウム)等が用
いられる。これらの中でも、Hasting-Sendroy の緩衝液
(リン酸水素2ナトリウム−リン酸2水素カリウム)が
好ましい。
【0029】また、本発明においては、ゼラチンとし
て、自然ゲル化温度が20〜27℃、好ましくは20〜
25℃のゼラチンを用いることが望ましい。ここで、自
然ゲル化温度とは、加熱溶解したゼラチン溶液を冷却し
ながら攪拌し、自然に固まった時点の温度をいう。この
ような自然ゲル化温度を有するゼラチンは、汎用のゼラ
チンを、加熱下でのアルカリ加水分解によって、低分子
量化することで得られる。加熱は、オートクレーブ、沸
騰水等により行われる。このようなゼラチンを用いる
と、操作性、接着強度、ゲル化速度がさらに向上する。
【0030】本発明の止血用・医療用接着キットを使用
する場合、上記のゼラチンは、水、生理食塩水、炭酸水
素ナトリウム、緩衝液等に溶解して用いる。この際の濃
度は、好ましくは20〜1000mg/ml、特に好ましく
は50〜500mg/ml程度である。ゼラチンの溶解に炭
酸水素ナトリウムを用いる場合には、7%溶液(pH
8.3)を用いることが好ましい。このような炭酸水素
ナトリウム溶液を用いると、ゲル化速度をさらに向上す
ることができる。また、ゼラチンの溶解に緩衝液を用い
る場合、そのpHは、好ましくは7.0〜8.0、特に
好ましくは生体適合性のある7.2〜7.6程度であ
る。このような緩衝液を用いることにより、接着力をさ
らに向上することができる。
【0031】以上のようにゲル化されるゼラチンは、ゲ
ル化を直接患部で行いこれによる作用を発現させる、た
とえば、生体接着剤あるいは、止血剤、血管塞栓剤、動
脈瘤の封止剤等に用いることができる。また、一旦ゲル
化させた後に、癒着防止剤あるいは薬物担体として用い
ることもできる。
【0032】なお、かかるゲルは、上記の用途に適用し
た後は、生体内で分解し、一定期間経過すると、吸収さ
れ、消失する特性があり、体内に異物として残存するこ
とがない。
【0033】
【発明の効果】上記のような活性エステル基の導入率の
高い活性化ポリ−L−グルタミン酸は、溶液にした場合
の活性度保持時間が長く、医療現場での実用性の向上に
大きく寄与する。また、かかる活性化ポリ−L−グルタ
ミン酸とゼラチンとの架橋反応によって、速やかにゲル
化し、接着強度の大きな接着剤が形成される。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて、さらに具
体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
【0035】なお、本実施例において、活性エステル基
として、スクシンイミド基を採用した。スクシンイミド
基の導入率は、以下のように決定した。 〔スクシンイミド基導入率の決定方法〕まず、ヒドロキ
シスクシンイミドキャリブレーション標準溶液を調製
し、次いでその補正式内におさまるように、活性化ポリ
−L−グルタミン酸のNaOH溶液を調製した。各濃度
ヒドロキシスクシンイミド標準溶液1mlに対し、2N−
NaOHを0.2ml加え、活性化ポリ−L−グルタミン
酸溶液とともに、60℃、10分加熱して加水分解を行
った。加熱後、2N−HClを0.2ml加えて中和し、
さらに0.85N−HClを1ml加え、活性化ポリ−L
−グルタミン酸溶液は、析出したポリマーを遠心分離器
で除去した。除去後、0.05%FeCl3/1N−H
Cl溶液を0.5ml加え、吸光度を3回測定し、この結
果からスクシンイミド基の導入率を算出した。
【0036】
【実施例1】脱塩したポリ−L−グルタミン酸(0.5
g、3.88ミリモル)を、10mlのDMSOに溶解さ
せ、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.22g、1.
94ミリモル)と、1−エチル−3−ジメチルアミノプ
ロピルカルボジイミド塩酸塩(0.37g、1.94ミ
リモル)を加えた後、22時間室温にて振とうした。反
応後、無水アセトンにて再沈澱し、デカンテーションに
よってさらに2回洗浄してから、エーテルにて置換した
後、生成物を減圧乾燥した。
【0037】この結果、スクシンイミド基の導入率が6
2.9モル%の活性化ポリ−L−グルタミン酸0.72
gが得られた。
【0038】
【比較例1】脱塩したポリ−L−グルタミン酸(0.5
g、3.88ミリモル)を、10mlのDMSOに溶解さ
せ、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.178g、
1.55ミリモル)と、1−エチル−3−ジメチルアミ
ノプロピルカルボジイミド塩酸塩(0.30g、1.5
5ミリモル)を加えた後、22時間室温にて振とうし
た。反応後、無水アセトンにて再沈澱し、デカンテーシ
ョンによってさらに2回洗浄してから、エーテルにて置
換した後、生成物を減圧乾燥した。
【0039】この結果、スクシンイミド基の導入率が3
2.7モル%の活性化ポリ−L−グルタミン酸0.48
gが得られた。
【0040】
【比較例2】脱塩したポリ−L−グルタミン酸(0.5
g、3.88ミリモル)を、10mlのDMSOに溶解さ
せ、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.31g、2.
72ミリモル)と、1−エチル−3−ジメチルアミノプ
ロピルカルボジイミド塩酸塩(0.52g、2.72ミ
リモル)を加えた後、22時間室温にて振とうした。反
応後、アセトンにて再沈澱したが、凝集してしまい、こ
れ以上の処理ができなかった。
【0041】
【試験例1】 〔活性度持続試験〕実施例1および比較例1で得られた
活性化ポリ−L−グルタミン酸の活性度の持続性を以下
の方法により評価した。 〔評価法〕 実施例1および比較例1で得られた活性化
ポリ−L−グルタミン酸を、それぞれ、pH7.0、
7.4、8.0のHasting-Sendroy リン酸緩衝液およ
び、pH8.3炭酸水素ナトリウム溶液(7%)に、2
w/v %となるように溶解させた。
【0042】一方、ゼラチンをリン酸緩衝液(pH7.
4)に20w/v %に溶解し、16φの試験管に500μ
l とり、37℃の恒温水槽に漬けて、1cmのスターラー
チップを一定速度で回転させた。
【0043】攪拌中のゼラチン溶液に、上記の活性化ポ
リ−L−グルタミン酸を加えた際のゲル化時間を、活性
化ポリ−L−グルタミン酸溶液調製後の経過時間毎に測
定し、活性度の持続性を評価した。なお、ゲル化時間と
は、活性化ポリ−L−グルタミン酸溶液添加後の、スタ
ーラーチップが停止するまでの時間をいう。
【0044】結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】上記の結果より、スクシンイミド基の導入
率の高い活性化ポリ−L−グルタミン酸の方が、活性度
の持続時間が長いことが判明した。また、pHが高いと
ゲル化速度は速くなるが、失活も速くなり、一方、pH
が低いとゲル化速度は遅いが、活性度が持続することが
判った。特に、pH7.4〜7.8において最も良好な
結果が得られると考えられる。
【0047】
【試験例2】実施例1で得られた活性化ポリ−L−グル
タミン酸を用い、表2に示すA−およびA−溶液を
調製した。一方、自然ゲル化温度が24℃のゼラチンを
用いて、表2に示すB−およびB−溶液を調製し
た。
【0048】
【表2】
【0049】上記のA−およびA−溶液および、B
−およびB−溶液を用いて、試験例1と同様にして
ゲル化時間を測定した。結果を図1に示す。臨床応用さ
れる際に、20分程度その活性を維持できていれば操作
性は充分と考えられるため、ゼラチン溶液をリン酸緩衝
液(pH7.4)または7%炭酸水素ナトリウム溶液
(pH8.3)のどちらにしても失活に対する問題はな
いと考えられる。
【0050】
【試験例3】 〔低分子量化したゼラチンと活性化ポリ−L−グルタミ
ン酸とのゲル化時間の測定による最適自然ゲル化温度の
決定〕 〔試験方法〕 ゼラチンを20w/v %になるように蒸留
水に溶解し、10N−NaOH水溶液にてpHを11に
調製した。そのゼラチン溶液を沸騰水中にて加熱し、そ
の加熱時間によって加水分解を調節した。得られた低分
子量ゼラチンの自然ゲル化温度は、24℃と、22℃
で、加熱後、7.2N−HClにより中和し、アセトン
再沈澱にて回収後、減圧乾燥した。
【0051】実施例1で得られた活性化ポリ−L−グル
タミン酸を、pH7.4のリン酸緩衝液に2w/v %とな
るように溶解し、上記ゼラチン溶液を用いて、試験例1
と同様にしてゲル化時間を測定した。
【0052】結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】臨床で用いられる時に、手術室の温度は約
25℃以上であることから、自然ゲル化温度が25℃以
下でかつ最も25℃に近いものが望ましい。表3から、
22℃のものよりも24℃のものの方がゲル化時間が速
く、また25℃に近いことから最適であると判断され
る。
【0055】
【試験例4】 〔接着試験〕 新鮮な豚皮を3×3cm四方に切り、その
うち3×0.5cmを切り取って、露出した真皮部分を接
着面とした。両接着面に、実施例1で得られた活性化ポ
リ−L−グルタミン酸10mgをリン酸緩衝液(pH7.
4)500μl に溶解させたものと、表4に示す20w/
v %ゼラチン各溶液をそれぞれ100μlずつ塗布し、
1分間750gの荷重をかけた後、10分間放置後の接
着強度をオートグラフ(引張試験機)を用いて測定し
た。なお、ゼラチンは、自然ゲル化温度24℃のものを
用いた。
【0056】結果を表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】図1および表4より、ゼラチンをリン酸緩
衝液に溶解した場合(図1の○プロット参照)、ゲル化
速度は比較的遅いが、接着強度に優れることが判明し
た。一方、ゼラチンを7%炭酸水素ナトリウム溶液に溶
解した場合(図1の△プロット参照)、ゲル化速度に優
れるものの、接着強度が比較的低いことが判った。この
ことから、前者は生体接着剤として、後者は止血剤とし
ての用途が期待できる。
【0059】
【試験例5】 〔イヌの肝臓断端面を用いた止血試験〕イヌの肝臓断端
面を用いた止血試験をおこなった。
【0060】イヌの腹部を開いて肝臓を露出させ約1×
2〜3cmの肝断面を作り、電気メスで焼き、ある程度止
血した。そこに表2に示すA−溶液およびB−溶液
を、二液同時注射器を用いて塗布した(全量10ml)。
15日後そのイヌを犠牲死させて肝臓を取り出したとこ
ろ、ほとんど治癒していて、創傷面の確認が困難であっ
た。このことから、本発明に係る活性化ポリ−L−グル
タミン酸を用いた止血剤は、フィブリン糊よりも止血効
果が高く、自然治癒を妨げないことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、試験例2の結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 89/04 LSE C08L 89/04 LSE //(C08L 77/04 89:04)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ−L−グルタミン酸と、N−ヒドロ
    キシアミン系活性エステル誘導性化合物とを反応させて
    得られ、 反応前のポリ−L−グルタミン酸中の全カルボキシル基
    の35〜70%が、活性エステル化されてなることを特
    徴とする活性化ポリ−L−グルタミン酸。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の活性化ポリ−L−グル
    タミン酸と、ゼラチンとから構成される止血用・医療用
    接着キット。
  3. 【請求項3】 前記活性化ポリ−L−グルタミン酸を、
    濃度5〜100mg/mlに溶解して用いることを特徴とす
    る請求項2に記載の止血用・医療用接着キットの使用方
    法。
  4. 【請求項4】 前記活性化ポリ−L−グルタミン酸を、
    pH7.0〜8.0の緩衝液に溶解して用いることを特
    徴とする請求項2に記載の止血用・医療用接着キットの
    使用方法。
  5. 【請求項5】 前記ゼラチンとして、自然ゲル化温度が
    20〜27℃のゼラチンを用いることを特徴とする請求
    項2に記載の止血用・医療用接着キットの使用方法。
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