JPH1077571A - 可溶性止血セルロース繊維 - Google Patents

可溶性止血セルロース繊維

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JPH1077571A
JPH1077571A JP8252200A JP25220096A JPH1077571A JP H1077571 A JPH1077571 A JP H1077571A JP 8252200 A JP8252200 A JP 8252200A JP 25220096 A JP25220096 A JP 25220096A JP H1077571 A JPH1077571 A JP H1077571A
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JP
Japan
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cellulose
cellulose fiber
hemostatic
fiber
treated
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JP8252200A
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Shigeki Suzuki
茂樹 鈴木
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MIC Co Ltd
Original Assignee
MIC Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体内あるいは生体外おいて出血している創
傷面に適用した場合に、その止血材が容易に溶解しなが
ら素早い止血効果をあげれると共に、なんら他の止血剤
を添加することなく、血液凝固障害があるような患者に
対しても良好な止血効果をあげれる新規な止血材を提供
する。 【解決手段】 天然もしくは再生セルロース繊維を、ア
ルカリ金属水酸化物のアルコール性水溶液で処理し、次
いでモノハロゲン化酢酸と反応させ、セルロース分子を
構成する無水グルコース単位中の水酸基を部分的にカル
ボキシメチル化し、精製して得た可溶性止血セルロース
繊維、ならびに天然もしくは再生セルロース繊維を酸化
し、オキシセルロース−セルロース構造単位からなる繊
維とした後、アルカリ金属水酸化物のアルコール性水溶
液で処理し、次いでモノハロゲン化酢酸と反応させ、セ
ルロース分子の無水グルコース単位中の水酸基を部分的
にカルボキシメチル化し、精製して得た可溶性止血セル
ロース繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可溶性止血セルロ
ース繊維およびその製造法に係り、詳細には、天然もし
くは再生セルロース繊維を化学的に処理して得られる可
溶性止血セルロース繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より外傷、外科手術中の腔内出血、
火傷、産婦人科的処置、口腔および歯科における抜歯手
術、痔核切除等の手術時における止血材として種々のも
のが提案されてきている。例えば、日常的に生じる簡単
な外傷での止血材としての止血用パウダー、あるいは体
内吸収型の止血材としてのゼラチンスポンジ(コラーゲ
ン海綿)、止血ガーゼ等などが提案されている。これら
止血材は、出血している創傷面に直接適用されるもので
あるが、いまだ十分な効果をあげることはできていな
い。例えば、止血用パウダーは、他の止血剤を添加しな
ければならず、またパウダー自体の高温高圧消毒による
変質の問題があり、更に用いるパウダーの多くは溶解性
が低いため体内に吸収されにくく、異物反応を生じやす
い。ゼラチンスポンジ(コラーゲン海綿)は体内に吸収
される伝統的な外科用止血材であるが、その成分がタン
パク質であり、適用部位の環境により簡単に腐りを生
じ、感染症の原因ともなりかねない。さらには、ゼラチ
ンスポンジは粘度が低いため創傷面より脱落しやすく、
血餅充満性に影響を及ぼすものである。一方、止血ガー
ゼとしてのオキシセルロース(酸化セルロース)は、吸
収型の止血材であり広く適用されてきている。しかしな
がらこのものは難溶性であり、吸収に時間がかかる問題
点があるうえ、比較的高価なために日常的には普及しに
くいものである。したがって、生体における出血のコン
トロールを的確に行えると共に迅速な止血効果が得ら
れ、創傷面で溶解し、なんら異物反応がなく、しかも幅
広く普及でき得る新しい止血材の開発が求められている
のが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる現状
を鑑み、生体内あるいは生体外おいて出血している創傷
面に適用した場合に、その止血材が容易に溶解しながら
素早い止血効果をあげれると共に、なんら他の止血剤を
添加することなく、血液凝固障害があるような患者に対
しても良好な止血効果をあげれる新規な止血材を提供す
ることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決すべく
本発明者は鋭意検討した結果、天然もしくは再生セルロ
ース繊維を化学的に処理して得られた繊維が、血液等の
組織液の吸収性に優れ、吸収後の体積はもとの約5倍程
度に膨張し、特に血液と接触した場合には迅速に溶解し
て血液と共にゼラチン状を呈して創傷面を覆い、止血効
果をあげることを新規に見いだした。しかも、本発明が
提案する化学的に処理して得られたセルロース繊維にあ
っては、化学的に安定なものであり、血液との溶解後に
大量の陰電荷を帯び、凝血因子XII の活性化を加速する
ことにより凝血酵素の生成を促し、血漿繊維蛋白質は凝
血酵素を触媒として速やかに繊維蛋白に転化され、凝血
塊を生成して止血・傷口保護を行えるものであること、
さらに異物反応が極めて少ないものであることを確認
し、本発明を完成させたのである。
【0005】しかして、本発明の第一の目的は、天然も
しくは再生セルロース繊維をある特定の化学的処理、す
なわち、アルカリ金属水酸化物のアルコール性水溶液で
処理し、次いでモノハロゲン化酢酸と反応させ、セルロ
ース分子の無水グルコース単位中の水酸基を部分的にカ
ルボキシメチル化し、精製して得た可溶性止血セルロー
ス繊維を提供する。特に本発明の可溶性止血セルロース
繊維は、上記の処理により、セルロース分子の無水グル
コース単位中の第1級水酸基を部分的にカルボキシメチ
ル化したものである。すなわち、セルロース分子の無水
グルコース単位の中には3個の水酸基があり、理論的に
はカルボキシメチル基によりエーテル化度が3となるも
のであるが、本発明の可溶性止血セルロース繊維は、特
にエーテル化度が1.0以上のものである。かかるエー
テル化度を有するが故に、本発明の可溶性止血セルロー
ス繊維は、血液等の組織液の吸収性に優れ、吸収後の体
積の膨張をきたし、特に血液と接触した場合には迅速に
溶解して血液と共にゼラチン状を呈して創傷面を覆い、
止血効果をあげることとなるのである。
【0006】かくして、本発明の好ましい可溶性止血セ
ルロース繊維は、セルロースを構成する構造単位とし
て、次式(I):
【0007】
【化1】
【0008】で示される化学式をもって表すこともでき
る。なお、本発明の可溶性止血セルロース繊維は、上記
の化学式で表されるものに限定されず、天然もしくは再
生セルロース繊維をアルカリ金属水酸化物のアルコール
性水溶液で処理し、次いでモノハロゲン化酢酸と反応さ
せた場合に、セルロース分子の無水グルコース単位中の
いずれかの水酸基が部分的にカルボキシメチル化(エー
テル化)されており、目的とする可溶性止血効果を発揮
するものであれば、本発明の範囲内に包含されることは
いうまでもない。
【0009】更に本発明の第二の目的は、天然もしくは
再生セルロース繊維を、更に異なる化学的処理、すなわ
ち、天然もしくは再生セルロース繊維を酸化し、オキシ
セルロース−セルロース構造単位からなる繊維とした
後、アルカリ金属水酸化物のアルコール性水溶液で処理
し、次いでモノハロゲン化酢酸と反応させ、セルロース
分子の無水グルコース単位中の水酸基を部分的にカルボ
キシメチル化し、精製して得た可溶性止血セルロース繊
維を提供するものである。
【0010】この場合にあっても、第二の目的である本
発明の可溶性止血セルロース繊維は、上記の処理によ
り、オキシセルロール−セルロース構造単位を構成する
分子の無水グルコース単位中の第1級水酸基を部分的に
カルボキシメチル化したものである。したがって、本発
明の別の好ましい可溶性止血セルロース繊維は、オキシ
セルロース−セルロースを構成する構造単位として、次
式(II):
【0011】
【化2】
【0012】で示される化学式をもって表されるセルロ
ースを、上記の化学的な処理を行うことにより、セルロ
ース分子中の無水グルコース単位中の第1級水酸基を部
分的にカルボキシメチル化したものであることより、そ
の構造単位として、次式(III):
【0013】
【化3】
【0014】で示される化学式をもって表すこともでき
る。なおこの場合にあっても、本発明の可溶性止血セル
ロース繊維は、上記の化学式で表されるものに限定され
ず、天然もしくは再生セルロース繊維を、オキシセルロ
ース−セルロース構造単位とした後、アルカリ金属水酸
化物のアルコール性水溶液で処理し、次いでモノハロゲ
ン化酢酸と反応させた場合に、セルロース分子の無水グ
ルコース単位中のいずれかの水酸基が部分的にカルボキ
シメチル化(エーテル化)されており、目的とする可溶
性止血効果を発揮するものであれば、本発明の範囲内に
包含されることはいうまでもない。
【0015】
【発明の好ましい形態】本発明で提供される第一の目的
である可溶性止血セルロース繊維は、天然もしくは再生
セルロース繊維を特定の化学的処理、すなわち、アルカ
リ金属水酸化物のアルコール性水溶液で処理し、次いで
モノハロゲン化酢酸と反応させ、セルロース分子の無水
グルコース単位中の水酸基を部分的にカルボキシメチル
化し、精製して得た可溶性止血セルロース繊維である
が、この場合のアルカリ金属水酸化物としては、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。
なかでも水酸化ナトリウムによる処理が特に好ましい。
この水酸化ナトリウムのアルコール性水溶液としては、
メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げら
れるが、エタノールが好ましい。かかる水酸化ナトリウ
ムのエタノール水溶液としては、所望の反応を完結させ
るのに必要な濃度、具体的には40〜50%、好ましく
は約45%程度の水酸化ナトリウム水溶液と、90〜9
8%、より好ましくは約95%程度のエタノールとの混
合溶液として、室温下にて反応させるのが良いことが判
明した。
【0016】ついで、かくして処理された天然もしくは
再生セルロース繊維を、モノハロゲン化酢酸、好ましく
はモノクロロ酢酸の反応性溶液と処理し、セルロース分
子の無水グルコース単位の水酸基をカルボキシメチル化
する。この場合のモノクロロ酢酸の反応性溶液として
は、モノクロロ酢酸の95%程度のエタノール溶液が好
ましい。反応は、室温下にて上記のように処理した繊維
をモノクロロ酢酸の反応性溶液と共に6ないし10時間
程度撹拌することにより完結する。このようにして処理
された繊維を、20%程度の塩酸及び70〜85%のエ
タノール、好ましくは75%程度のエタノール混合溶液
を用いてpH=6.5〜7.5に調整し、さらに繊維中
のNaClの含有量が1重量%以下になるまで75%程
度のエタノールで洗浄精製を行い、乾燥、滅菌し、本発
明の第一の目的である可溶性止血セルロース繊維を得る
ことができる。かくして製造された可溶性止血セルロー
ス繊維の化学構造は、次式(I)で表されるものであっ
た。
【0017】
【化4】
【0018】また、本発明の第二の目的である可溶性止
血セルロース繊維は以下のようにして製造することがで
きる。すなわち、天然もしくは再生セルロース繊維を酸
化し、オキシセルロース−セルロースの構造単位からな
るセルロースとする。かかる酸化反応は、好ましくは、
天然もしくは再生セルロース繊維を次亜塩素酸ナトリウ
ム溶液で処理した後、次いで過酸化水溶液で酸化を行う
ことにより達成される。かかる酸化反応条件は一概に限
定し得ないが、次亜塩素酸ナトリウム溶液での処理は、
アルカリ条件下、好ましくはpH9〜10.5で40〜
60分程度撹拌処理することにより行われ、次いで同様
のアルカリ条件下に、少量のピロリン酸ナトリウムの存
在下3%程度の過酸化水溶液と90〜100℃にて50
〜70分程度処理することにより行うのが良い。次いで
処理された繊維を洗浄し、目的とするオキシセルロース
−セルロースの構造単位を有するセルロースとすること
ができる。このようにして処理されたオキシセルロース
−セルロースの構造単位を有するセルロースは、その化
学構造として、次式(II)で表されるものであった。
【0019】
【化5】
【0020】次いで、以上のようにして処理し得られた
オキシセルロース−セルロースの構造単位を有するセル
ロースを、本発明の第一の目的である可溶性止血セルロ
ース繊維を製造する場合と同様の特定の化学的処理、す
なわち、アルカリ金属水酸化物のアルコール性水溶液で
処理し、次いでモノハロゲン化酢酸と反応させ、セルロ
ース分子の無水グルコース単位中の水酸基を部分的にカ
ルボキシメチル化し、精製することにより本発明の第二
の目的である可溶性止血セルロース繊維を得ることがで
きる。この場合のアルカリ金属水酸化物としては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる
が、中でも水酸化ナトリウムによる処理が特に好まし
い。この水酸化ナトリウムのアルコール性水溶液として
は、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙
げられるが、エタノールが好ましい。かかる水酸化ナト
リウムのエタノール水溶液としては、所望の反応を完結
させるのに必要な濃度、具体的には40〜50%、好ま
しくは約45%程度の水酸化ナトリウム水溶液と、90
〜98%、より好ましくは約95%程度のエタノールと
の混合溶液として、室温下にて反応させるのが良いこと
が判明した。
【0021】ついで、かくして処理された繊維を、モノ
ハロゲン化酢酸、好ましくはモノクロロ酢酸の反応性溶
液と処理し、セルロース分子の無水グルコース単位の水
酸基をカルボキシメチル化する。この場合のモノクロロ
酢酸の反応性溶液としては、モノクロロ酢酸の95%程
度のエタノール溶液が好ましい。反応は、室温下にて上
記のように処理した繊維をモノクロロ酢酸の反応性溶液
と共に6ないし10時間程度撹拌することにより完結す
る。このようにして処理された繊維を、20%程度の塩
酸及び70〜85%のエタノール、好ましくは75%程
度のエタノール混合溶液を用いてpH=6.5〜7.5
に調整し、さらに繊維中のNaClの含有量が1重量%
以下になるまで75%程度のエタノールで洗浄精製を行
い、乾燥、滅菌し、目的とする第二の可溶性止血セルロ
ース繊維を得ることができる。かくして製造された可溶
性止血セルロース繊維の化学構造は、次式(III) で表さ
れるものであった。
【0022】
【化6】
【0023】以上のようにして製造された本発明の第一
並びに第二の目的である可溶性止血セルロース繊維は、
創傷面と接触しながら、血液あるいは組織液の濃度およ
び粘度を増加させ、血液あるいは組織液の流れる速度を
減少させるように例えば血液中の多量の水分を吸収し、
その間にもとの体積の5倍以上に膨張すると共に、水の
吸収後はコロイドを形成し、その結果創傷面を覆い、毛
細血管の末端をブロックし、効果的な止血作用を発揮す
るのである。このような止血作用は、以下の化学的、物
理的並びに機械的止血作用として説明することができ
る。
【0024】1.化学的止血作用:本発明の可溶性止血
セルロース繊維は、血液や組織液に対して大量の陰イオ
ンを産生し、凝固因子III とVII を活性化し、トロンビ
ン産生を促進させる。その結果、トロンビンの触媒作用
により血漿フィブリノーゲンは速やかにフィブリンに変
換され、凝血塊を形成し、出血を止めるのである。 2.物理的止血作用:本発明の可溶性止血セルロース繊
維は、血液や組織液と接触することにより繊維性の一種
のコロイドを形成し、末梢血管を塞ぎ、出血を止め、凝
血塊と共に傷を覆って、これを保護し、止血するのであ
る。 3.機械的止血作用:本発明の可溶性止血セルロース繊
維は、血液と接触することにより血液を吸収して膨張
(通常は、もとの体積の5倍以上に膨張)し、傷を圧迫
して出血を止めるのである。なお、本発明の可溶性止血
セルロース繊維は、室温下に2年間保存した場合であっ
ても、その止血効果は何ら変わることはなかった。
【0025】以下に本発明の可溶性止血セルロース繊維
の具体的製造例ならびに止血効果を試験例にて立証す
る。
【0026】製造例1:本発明の第一の目的である可溶
性止血セルロース繊維の製造: 天然もしくは再生セルロース繊維35.0gを室温下に
500mlの回転式反応容器中に入れ、45%水酸化ナ
トリウム水溶液の38容量部と95%エタノール62容
量部とからなる水酸化ナトリウムのエタノール溶液17
5mlを加え、2時間撹拌した。次いでこの反応液中
に、モノクロロ酢酸40重量部と95%エタノール60
重量部とからなるモノクロロ酢酸反応性溶液105ml
を加え、同様6時間撹拌を行った。反応終了後、得られ
た繊維のpHを20%塩酸−75%エタノール混合液に
て6.5〜7.0に調整し、さらに繊維中のNaClの
含有量が1%以下となるまで75%エタノールにて洗浄
した。かくして処理されたセルロース繊維を、乾燥、滅
菌し、目的物である可溶性止血セルロース繊維を得た。
このものの化学構造は、次式(I)で表されるものであ
った。
【0027】
【化7】
【0028】このものを水に対する溶解性を検討したと
ころ、数秒のうちに水を吸収し膨潤し、良好なコロイド
状を呈した。
【0029】製造例2:本発明の第二の目的である可溶
性止血セルロース繊維の製造: 天然セルロースもしくは再生セルロース繊維5.0gを
室温下に500mlの回転式反応容器中に入れ、次亜塩
素酸ナトリウム水溶液350mlをpH9〜10.5の
範囲内にて添加し、混合物を1時間撹拌した。次いで、
次亜塩素酸ナトリウムを除去し、水にて洗浄を行い処理
した繊維を取り出した。この繊維を再度500mlの反
応容器中に入れ、0.3%の過酸化水溶液350mlお
よびピロリン酸ナトリウム1.4gを添加し、混合物を
pH9〜10.5にて、1時間95〜100℃にて撹拌
を行った。反応終了後、過酸化水溶液を除去し、得られ
た繊維を水にて洗浄した。かくしてオキシセルロース−
セルロースの構造単位を有するセルロースが得られた。
【0030】次いでこのセルロースを同じ500mlの
反応容器中に入れ、45%水酸化ナトリウム水溶液の3
8容量部と95%エタノール62容量部とからなる水酸
化ナトリウムのエタノール溶液290mlを加え、2時
間撹拌した。次いでこの反応液中に、モノクロロ酢酸4
0重量部と95%エタノール60重量部とからなるモノ
クロロ酢酸反応性溶液105mlを加え、同様6時間撹
拌を行った。反応終了後、得られた繊維のpHを20%
塩酸−75%エタノール混合液にて6.5〜7.0に調
整し、さらに繊維中のNaClの含有量が1%以下とな
るまで75%エタノールにて洗浄した。かくして処理さ
れたセルロース繊維を、乾燥、滅菌し、目的物である可
溶性止血セルロース繊維を得た。このものの化学構造
は、次式(III) で表されるものであった。
【0031】
【化8】
【0032】なお、このものを水に対する溶解性を検討
したところ、数秒のうちに水を吸収し膨潤し、良好なコ
ロイド状を呈した。
【0033】試験例:ラット創傷面に対する止血効果: 方法:SD系雄性成年ラット(体重:300〜400
g)を用い、その背中を剪毛し、背中の片側の皮膚に切
り口をつけ、その皮下に本発明の第一の目的物である可
溶性止血セルロース繊維のガーゼ(1×1cm2 )を埋
め込み、同時に他方の片側に同様の処置を行ったが無処
置として対照とした。ラットを20匹使用し、1群5匹
としてそれぞれ1週間、1か月、3か月及び6か月目に
可溶性止血セルロース繊維を埋め込んだ処置部および対
照部の組織を取り、病理検査を行った。病理検査は、組
織標本を10%ホルマリンで固定した後、パラフィン包
理法で切片を作成し、HE染色し、顕微鏡観察を行っ
た。
【0034】結果: 1.肉眼的観察:処置群において、1週間目に傷口に局
所的腫張が見られ、これに触れると小さな硬結が認めら
れた。2週目には傷口の腫張が消失し、3週目には傷口
は完全に正常に回復した。 2.顕微鏡的観察:顕微鏡的観察では、可溶性止血ガー
ゼの残存痕跡の有無、止血ガーゼ吸収後に残る組織間隙
の有無、炎症性細胞反応の有無、多形核球の滲出および
リンパ球・単核細胞の浸潤などを含む食細胞の有無、異
物巨細胞反応および繊維結合組織増殖状況の観察を行っ
た。その結果、止血ガーゼは1週間後において体内への
吸収が観察され始め、1か月後においてはガーゼの痕跡
が認められるもののかなり小さなものであり(組織間隙
が認められた)、3か月および6か月後においては止血
ガーゼは完全に体内吸収され、痕跡も認められなかった
(組織間隙も認められなかった。)。他の病理的観察に
おいても止血ガーゼの処理に本質的に起因すると思われ
るものは観察されなかった。
【0035】3.結論: 1)本発明の止血セルロース繊維は、体内で吸収される
ため、傷口組織に永久的、破壊的変化を残すことはな
い。 2)本発明の止血セルロース繊維は、実験動物での局部
組織に壊死、化膿などの反応を引き起こすことはなかっ
た。 3)実験動物の本発明の止血セルロース繊維に対する異
物巨細胞反応および繊維結合組織増殖反応はいずれも比
較的軽いものであり、時間の経過とともに消滅し、正常
に回復した。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明の可溶性止血セル
ロース繊維は、天然もしくは再生セルロース繊維を特定
の化学的処理をしたものであり、血液等の組織液の吸収
性に優れ、吸収後の体積はもとの約5倍程度に膨張し、
特に血液と接触した場合には迅速に溶解して血液と共に
ゼラチン状を呈して創傷面を覆い、止血効果をあげる利
点を有する。しかも、本発明の可溶性止血セルロース繊
維にあっては、化学的に安定なものであり、血液との溶
解後に大量の陰電荷を帯び、凝血因子XII の活性化を加
速することにより凝血酵素の生成を促し、血漿繊維蛋白
質は凝血酵素を触媒として速やかに繊維蛋白に転化さ
れ、凝血塊を生成して止血・傷口保護を行えるものであ
ること、さらに異物反応が極めて少ないものであること
より、臨床的にも安全に使用でき、その効果は多大なも
のである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然もしくは再生セルロース繊維を、ア
    ルカリ金属水酸化物のアルコール性水溶液で処理し、次
    いでモノハロゲン化酢酸と反応させ、セルロース分子を
    構成する無水グルコース単位中の水酸基を部分的にカル
    ボキシメチル化し、精製して得た可溶性止血セルロース
    繊維。
  2. 【請求項2】 天然もしくは再生セルロース繊維を、ア
    ルカリ金属水酸化物のアルコール性水溶液で処理し、次
    いでモノハロゲン化酢酸と反応させ、セルロース分子を
    構成する無水グルコース単位中の第1級水酸基を部分的
    にカルボキシメチル化し、精製して得た可溶性止血セル
    ロース繊維。
  3. 【請求項3】 天然もしくは再生セルロース繊維を酸化
    し、オキシセルロース−セルロース構造単位からなる繊
    維とした後、アルカリ金属水酸化物のアルコール性水溶
    液で処理し、次いでモノハロゲン化酢酸と反応させ、セ
    ルロース分子の無水グルコース単位中の水酸基を部分的
    にカルボキシメチル化し、精製して得た可溶性止血セル
    ロース繊維。
  4. 【請求項4】 天然もしくは再生セルロース繊維を酸化
    し、オキシセルロース−セルロース構造単位からなる繊
    維とした後、アルカリ金属水酸化物のアルコール性水溶
    液で処理し、次いでモノハロゲン化酢酸と反応させ、セ
    ルロース分子の無水グルコース単位中の第1級水酸基を
    部分的にカルボキシメチル化し、精製して得た可溶性止
    血セルロース繊維。
JP8252200A 1996-09-04 1996-09-04 可溶性止血セルロース繊維 Pending JPH1077571A (ja)

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JP8252200A Pending JPH1077571A (ja) 1996-09-04 1996-09-04 可溶性止血セルロース繊維

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JP (1) JPH1077571A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000028978A1 (fr) * 1998-11-18 2000-05-25 Medical Industries Corp. Agents utiles pour reparer des sites tissulaires endommages
KR20020025564A (ko) * 2000-09-29 2002-04-04 신재균 수용성 부직포 및 그 제조방법

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