JP2015096081A - 止血材 - Google Patents
止血材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015096081A JP2015096081A JP2012044508A JP2012044508A JP2015096081A JP 2015096081 A JP2015096081 A JP 2015096081A JP 2012044508 A JP2012044508 A JP 2012044508A JP 2012044508 A JP2012044508 A JP 2012044508A JP 2015096081 A JP2015096081 A JP 2015096081A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- type
- acid
- carboxymethyl cellulose
- alkali metal
- fiber layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L15/00—Chemical aspects of, or use of materials for, bandages, dressings or absorbent pads
- A61L15/16—Bandages, dressings or absorbent pads for physiological fluids such as urine or blood, e.g. sanitary towels, tampons
- A61L15/22—Bandages, dressings or absorbent pads for physiological fluids such as urine or blood, e.g. sanitary towels, tampons containing macromolecular materials
- A61L15/28—Polysaccharides or their derivatives
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L15/00—Chemical aspects of, or use of materials for, bandages, dressings or absorbent pads
- A61L15/16—Bandages, dressings or absorbent pads for physiological fluids such as urine or blood, e.g. sanitary towels, tampons
- A61L15/42—Use of materials characterised by their function or physical properties
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L24/00—Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices
- A61L24/001—Use of materials characterised by their function or physical properties
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L24/00—Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices
- A61L24/04—Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices containing macromolecular materials
- A61L24/08—Polysaccharides
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Public Health (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Surgery (AREA)
- Hematology (AREA)
- Materials For Medical Uses (AREA)
Abstract
【課題】静脈出血だけでなく、動脈出血のような圧力を伴う出血に対しても適用可能な止血材を提供する。【解決手段】前記止血材は、1つの酸型カルボキシメチルセルロース繊維層と2つのアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層とを少なくとも含み、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層−酸型カルボキシメチルセルロース繊維層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の順に積層されている。【選択図】なし
Description
本発明は、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層−酸型カルボキシメチルセルロース繊維層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の三層構造を有する止血材に関する。
従来の止血材として、酸化セルロース製剤、ゼラチン製剤、微繊維性コラーゲン製剤、血液凝固蛋白質を含む微繊維性コラーゲン製剤の4種が知られ、医薬品或いは医療機器として既に使用されている。
酸化セルロース製剤は、主構造を構成しているポリ無水グルコン酸がヘモグロビンと著しい親和性をもち、これと塩を形成することによって止血作用を示す。この凝血促進作用は血液凝固機序に対する作用ではなく、寧ろ物理的効果と考えられている。即ち、血液の浸潤により酸化セルロース製剤が膨張し褐色若しくは黒色のゼラチン状の塊となって凝血物の形成を促進し、局部の止血補助剤として効果を発揮し、約2週間で患部から消失吸収されるものである。
微繊維性コラーゲン製剤は、牛真皮などから抽出した天然コラーゲンを主な構成物としており、血液との接触により血小板凝集の形成を介して止血を行う。
また、凝固蛋白質を含む微繊維性コラーゲン製剤は、微繊維性コラーゲンの作用の他、内在するトロンビンとフィブリノーゲンの反応により直接フィブリンを形成して止血する。
酸化セルロース製剤は、主構造を構成しているポリ無水グルコン酸がヘモグロビンと著しい親和性をもち、これと塩を形成することによって止血作用を示す。この凝血促進作用は血液凝固機序に対する作用ではなく、寧ろ物理的効果と考えられている。即ち、血液の浸潤により酸化セルロース製剤が膨張し褐色若しくは黒色のゼラチン状の塊となって凝血物の形成を促進し、局部の止血補助剤として効果を発揮し、約2週間で患部から消失吸収されるものである。
微繊維性コラーゲン製剤は、牛真皮などから抽出した天然コラーゲンを主な構成物としており、血液との接触により血小板凝集の形成を介して止血を行う。
また、凝固蛋白質を含む微繊維性コラーゲン製剤は、微繊維性コラーゲンの作用の他、内在するトロンビンとフィブリノーゲンの反応により直接フィブリンを形成して止血する。
しかしながら、酸化セルロース製剤は血液凝固機序に直接作用しないため、凝血作用が弱く、更に処置した患部から完全に吸収されるのに約2週間を要するため、その間患部の炎症、癒着を引き起こす原因となる。
ゼラチン製剤は動物由来の材料であるため、狂牛病、ウィルス性肝炎をはじめとする様々な感染症の要因となる可能性が高い。
また、微繊維性コラーゲン製剤は完全に吸収されるのに1ヶ月以上要し、その間患部の炎症、癒着を起こす可能性が高い。更に材料が牛由来のため、狂牛病、未知のウィルスによる感染等の危険性を持っている。
すなわち、上記各止血材を用いた従来の方法による止血は、体内吸収性が悪く、炎症、癒着などを引き起こし易く、さらには未知の感染症に罹患する可能性がある危険性を有するものである。
ゼラチン製剤は動物由来の材料であるため、狂牛病、ウィルス性肝炎をはじめとする様々な感染症の要因となる可能性が高い。
また、微繊維性コラーゲン製剤は完全に吸収されるのに1ヶ月以上要し、その間患部の炎症、癒着を起こす可能性が高い。更に材料が牛由来のため、狂牛病、未知のウィルスによる感染等の危険性を持っている。
すなわち、上記各止血材を用いた従来の方法による止血は、体内吸収性が悪く、炎症、癒着などを引き起こし易く、さらには未知の感染症に罹患する可能性がある危険性を有するものである。
また、特許文献1には、天然或いは再生セルロース繊維のセルロース分子を構成するグルコース単位中の水酸基を、カルボキシメチル基の置換度(エーテル化度)が0.5〜1.0未満となるように部分的にカルボキシメチル化した可溶性創傷治癒止血セルロース繊維について記載されている。
上記可溶性創傷治癒止血セルロース繊維は、カルボキシメチル基がNa型であり、血液と接触することにより迅速に溶解し、著しい止血効果を示すが、血液との接触にてのみ止血効果を示すもの、すなわち、血液中の血小板及びフィブリノーゲンと相互作用して止血効果を示すものであり、大量の出血の創部では血小板やフィブリノーゲンとの接触が不充分となるため、止血効果は低くなる。
上記可溶性創傷治癒止血セルロース繊維は、カルボキシメチル基がNa型であり、血液と接触することにより迅速に溶解し、著しい止血効果を示すが、血液との接触にてのみ止血効果を示すもの、すなわち、血液中の血小板及びフィブリノーゲンと相互作用して止血効果を示すものであり、大量の出血の創部では血小板やフィブリノーゲンとの接触が不充分となるため、止血効果は低くなる。
更に、特許文献2には、セルロース分子を構成するグルコース単位中の水酸基を置換度(エーテル化度)が0.5〜1.0未満となるように部分的にカルボキシメチル化した天然或いは再生セルロースに、凝固蛋白質を付与してなる可溶性創傷治癒止血セルロース繊維について記載している。
上記凝固蛋白質を含む可溶性創傷治癒止血セルロース繊維は、血液と接触することにより迅速に溶解し、著しい止血効果を示し、更にはセルロース繊維に付与されている凝固蛋白質、すなわち、トロンビン、フィブリノーゲン及び血液凝固第13因子の作用により更に著しい止血効果を発揮する。しかしながら、凝固蛋白質を含む可溶性創傷治癒止血セルロース繊維は、カルボキシメチル基がNa型であり、大量の血液と接触すると迅速に溶解し、物理的に脆弱、すなわち、動脈出血のような圧力を伴う出血を止血するに難点がある。
上記凝固蛋白質を含む可溶性創傷治癒止血セルロース繊維は、血液と接触することにより迅速に溶解し、著しい止血効果を示し、更にはセルロース繊維に付与されている凝固蛋白質、すなわち、トロンビン、フィブリノーゲン及び血液凝固第13因子の作用により更に著しい止血効果を発揮する。しかしながら、凝固蛋白質を含む可溶性創傷治癒止血セルロース繊維は、カルボキシメチル基がNa型であり、大量の血液と接触すると迅速に溶解し、物理的に脆弱、すなわち、動脈出血のような圧力を伴う出血を止血するに難点がある。
ところで、本発明の止血材とは技術分野が異なる「癒着防止材」に関する発明について、特許文献3には、「酸型カルボキシメチルセルロースからなる構造体(繊維シート、フィルム、又はスポンジ)を、外側からアルカリ処理し、前記アルカリ処理を、酸型カルボキシメチルセルロースが全てアルカリ金属型カルボキシメチルセルロースに変換される前に終了することを特徴とする、カルボキシメチルセルロース構造体の製造方法」(請求項9)と、「前記カルボキシメチルセルロース構造体を含むことを特徴とする癒着防止材」(請求項7)が記載されている。
カルボキシメチルセルロース構造体がフィルムである場合には、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース層−酸型カルボキシメチルセルロース層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース層の三層構造をとることが予想されるが、本発明では各層が繊維層である点、そして、本発明の用途が止血材である点で、両者は相違する。特許文献3に記載のフィルムを止血材として使用した場合、フィルム層は繊維層よりも含水率が高いため、止血作用で最も重要なイベントである初期の吸水効率が低くなる欠点がある。従って、特許文献3に記載のフィルムを止血材として使用したとしても、止血効果は低くなる。
また、カルボキシメチルセルロース構造体が繊維シートである場合には、特許文献3の段落[0031]に「CMCからなる構造体がフィルムである場合、その表面はフィルム表面を意味するが、CMCからなる構造体が繊維シート(例えば、編物、織布、不織布)である場合、その表面は、見掛けのシート表面ではなく、各構成繊維の繊維表面を意味する。また、外側部分及び内側部分についても、フィルムである場合は、そのまま、フィルムの外側部分及び内側部分を意味するが、繊維シートの場合は、繊維シートとしての外側部分及び内側部分を意味するのではなく、各構成繊維における外側部分及び内側部分を意味する。」と記載されていることから明らかなとおり、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層−酸型カルボキシメチルセルロース繊維層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の三層構造をとるものではなく(繊維の横断面を観察すると、繊維の中心部分が酸型カルボキシメチルセルロースのままで、繊維表面に近い外周部分がアルカリ金属型カルボキシメチルセルロースに変換された構造をとることが予想される)、本発明とは構造の点で全く異なる。
従って、本発明の課題は、従来技術の前記の欠点を解消し、静脈出血だけでなく、動脈出血のような圧力を伴う出血に対しても適用可能な止血材を提供することにある。
本発明は、
[1]1つの酸型カルボキシメチルセルロース繊維層と2つのアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層とを少なくとも含み、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層−酸型カルボキシメチルセルロース繊維層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の順に積層されていることを特徴とする、止血材、
[2]アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層−酸型カルボキシメチルセルロース繊維層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の三層構造からなる、[1]の止血材
に関する。
[1]1つの酸型カルボキシメチルセルロース繊維層と2つのアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層とを少なくとも含み、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層−酸型カルボキシメチルセルロース繊維層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の順に積層されていることを特徴とする、止血材、
[2]アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層−酸型カルボキシメチルセルロース繊維層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の三層構造からなる、[1]の止血材
に関する。
本発明の止血材によれば、静脈出血だけでなく、動脈出血のような圧力を伴う出血に対しても止血することができる。また、本発明の止血材は、癒着防止作用を有する酸型カルボキシメチルセルロース繊維層を含むため、癒着防止効果も備えており、止血完了後、術後に癒着が起こる可能性がある場合でも、別途、癒着防止材を用意する必要がない。
本発明の止血材は、少なくとも1つの酸型カルボキシメチルセルロース繊維層と、少なくとも2つのアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層とを含み、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層−酸型カルボキシメチルセルロース繊維層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の順に積層されている限り、所望に応じて、それ以外のカルボキシメチルセルロース層、例えば、非繊維形状(例えば、フィルム又はスポンジ)の酸型カルボキシメチルセルロース層、任意形状のアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース層、酸型とアルカリ金属型とが混在したカルボキシメチルセルロース層や、カルボキシメチルセルロース以外の材料からなる繊維層または非繊維層を含むことができるが、その大部分(例えば、60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上)が酸型カルボキシメチルセルロース繊維層又はアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層であることが好ましく、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層−酸型カルボキシメチルセルロース繊維層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の三層構造であることがより好ましい。
本明細書において、「カルボキシメチルセルロース(CMC)」とは、特に断らない限り、水に難溶な酸型カルボキシメチルセルロース(狭義のカルボキシメチルセルロース)と、水に易溶なアルカリ金属型カルボキシメチルセルロースとを包含する意味で使用する。
酸型カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチル基が実質的に全て酸型であり、水難溶性である。一方、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロースは、pH7.4でカルボキシメチル基が解離しており、陰イオンの状態にあるため、水可溶性である。アルカリ金属型カルボキシメチルセルロースとしては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウムなどを挙げることができる。ここで、「実質的に全て」とは、好ましくはカルボキシメチル基の70%以上が酸型であること、より好ましくはカルボキシメチル基の80%以上が酸型であること、さらに好ましくは90%以上が酸型であることを意味する。
酸型カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチル基が実質的に全て酸型であり、水難溶性である。一方、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロースは、pH7.4でカルボキシメチル基が解離しており、陰イオンの状態にあるため、水可溶性である。アルカリ金属型カルボキシメチルセルロースとしては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウムなどを挙げることができる。ここで、「実質的に全て」とは、好ましくはカルボキシメチル基の70%以上が酸型であること、より好ましくはカルボキシメチル基の80%以上が酸型であること、さらに好ましくは90%以上が酸型であることを意味する。
酸型カルボキシメチルセルロース又はアルカリ金属型カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチル基が、実質的に酸型又はアルカリ金属型のいずれか一方の状態にある状態をいうが、酸型又はアルカリ金属型のいずれであるかは、例えば、逆滴定法(特開平11−246601号公報)により分析することができる。
具体的には、分析対象であるカルボキシメチルセルロース繊維1gを細かく切り、すり合わせ三角フラスコ(50mL)中に入れ、硝酸メタノール溶液25mL(メタノール100mLと硝酸10mLの混合液)を加えて1時間振とうし、完全な酸型の試料とする。次いで、ガラスフィルター(G3)で吸引ろ過することにより試料をトラップし、800g/Lメタノール溶液(無水メタノール100mLと水20mLの混合液)120mL(40mL×3回)で試料を洗浄し、最後に無水メタノール25mLで洗浄後、吸引ろ過し、フィルター上の試料を105℃で2時間乾燥する。さらに、完全な酸型となった試料0.2gを精密に秤量し、すり合わせ三角フラスコ(100mL)に入れ、800g/Lメタノール8mLおよび0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液20mLを加え、25℃で30分間振とうし、酸型の試料をナトリウム型にする。そして、余剰の水酸化ナトリウム量を規定度既知の0.05mol/Lの硫酸でフェノールフタレインを指示薬として滴定することにより求め、それより全エーテル化度(すなわち、アルカリ金属型化度)を求める。
具体的には、分析対象であるカルボキシメチルセルロース繊維1gを細かく切り、すり合わせ三角フラスコ(50mL)中に入れ、硝酸メタノール溶液25mL(メタノール100mLと硝酸10mLの混合液)を加えて1時間振とうし、完全な酸型の試料とする。次いで、ガラスフィルター(G3)で吸引ろ過することにより試料をトラップし、800g/Lメタノール溶液(無水メタノール100mLと水20mLの混合液)120mL(40mL×3回)で試料を洗浄し、最後に無水メタノール25mLで洗浄後、吸引ろ過し、フィルター上の試料を105℃で2時間乾燥する。さらに、完全な酸型となった試料0.2gを精密に秤量し、すり合わせ三角フラスコ(100mL)に入れ、800g/Lメタノール8mLおよび0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液20mLを加え、25℃で30分間振とうし、酸型の試料をナトリウム型にする。そして、余剰の水酸化ナトリウム量を規定度既知の0.05mol/Lの硫酸でフェノールフタレインを指示薬として滴定することにより求め、それより全エーテル化度(すなわち、アルカリ金属型化度)を求める。
一方、これとは別に、カルボキシメチルセルロース繊維1gを細かく切り、ガラスフィルター(G3)に入れる。800g/Lメタノール溶液(無水メタノール100mLと水20mLの混合液)120mL(40mL×3回)で試料を洗浄し、最後に無水メタノール25mLで洗浄後、吸引ろ過し、フィルター上の試料を105℃で2時間乾燥する。さらに、試料0.2gを精密に秤量し、すり合わせ三角フラスコ(100mL)に入れ、800g/Lメタノール8mLおよび0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液20mLを加え、25℃で30分間振とうし、試料をナトリウム型にする。そして、余剰の水酸化ナトリウム量を規定度既知の0.05mol/Lの硫酸でフェノールフタレインを指示薬として滴定することにより求め、それより酸型化度を求める。
全エーテル化度に対する酸型化度の割合を求めることで、酸型又はアルカリ金属型のいずれであるか、あるいは、カルボキシメチル基がどの程度、酸型化されているかを求めることができる。
全エーテル化度に対する酸型化度の割合を求めることで、酸型又はアルカリ金属型のいずれであるか、あるいは、カルボキシメチル基がどの程度、酸型化されているかを求めることができる。
本発明で用いる各繊維層を構成する酸型カルボキシメチルセルロース及びアルカリ金属型カルボキシメチルセルロースの置換度(エーテル化度)は、例えば、0.5〜1.5、好ましくは0.5〜1、より好ましくは0.6〜0.9である。その分子量(プルランを指標とした場合)は、例えば、2万〜200万Da、好ましくは2万〜100万Da、より好ましくは2万〜50万Daである。
本発明で用いる各繊維層は、繊維シート(布帛)形状である限り、特に限定されるものではないが、例えば、編物、織布、不織布などを挙げることができる。
酸型カルボキシメチルセルロース繊維の平均繊維径は、止血材として充分な強度を有し、所望により血液凝固蛋白質を付与した場合にその血液凝固作用が充分に発揮できる限り、特に限定されるものではないが、下限として、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることが好ましい。上限としては、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましい。
酸型カルボキシメチルセルロース繊維層の目付は10〜300g/m2であることが好ましく、10〜40g/m2であることがより好ましい。
特に、酸型カルボキシメチルセルロース繊維層が織布である場合には、その目付は、40〜300g/m2であることが好ましく、80〜250g/m2であることがより好ましい。酸型カルボキシメチルセルロース繊維層が不織布である場合には、その目付は、10〜150g/m2であることが好ましく、15〜80g/m2であることがより好ましい。
特に、酸型カルボキシメチルセルロース繊維層が織布である場合には、その目付は、40〜300g/m2であることが好ましく、80〜250g/m2であることがより好ましい。酸型カルボキシメチルセルロース繊維層が不織布である場合には、その目付は、10〜150g/m2であることが好ましく、15〜80g/m2であることがより好ましい。
アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維の平均繊維径は、迅速に血液中の水分を吸収してコロイドを形成して、充分な止血作用が発揮できる限り、特に限定されるものではないが、下限として、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることが好ましい。上限としては、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましい。
アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の目付は10〜300g/m2であることが好ましく、10〜40g/m2であることがより好ましい。
特に、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層が織布である場合には、その目付は、40〜300g/m2であることが好ましく、80〜250g/m2であることがより好ましい。アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層が不織布である場合には、その目付は、10〜150g/m2であることが好ましく、15〜80g/m2であることがより好ましい。
特に、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層が織布である場合には、その目付は、40〜300g/m2であることが好ましく、80〜250g/m2であることがより好ましい。アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層が不織布である場合には、その目付は、10〜150g/m2であることが好ましく、15〜80g/m2であることがより好ましい。
本発明の止血材では、1つの酸型カルボキシメチルセルロース繊維層と、2つのアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層とを、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層−酸型カルボキシメチルセルロース繊維層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の順に積層する。それ以外のカルボキシメチルセルロース層、あるいは、カルボキシメチルセルロース以外の材料からなる層を更に含む場合には、前記三層構造の外側、あるいは、前記三層構造の任意の層間のいずれにも配置することができるが、迅速に血液中の水分と接触できるように、2つのアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層をできるだけ外側になるように(より好ましくは最外層として)配置することが好ましい。
本発明の止血材は、易溶性で、血液中の水分を吸収してコロイドを作るアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層を、三層構造の外層として含むため、血液と接触することにより迅速に溶解し、著しい止血効果を示す。また、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維と比較して難溶性で、強度を有する酸型カルボキシメチルセルロース繊維層を、三層構造の内層として含むため、外層のアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層が溶解しても、静脈出血だけでなく、動脈出血のような圧力を伴う出血に対しても止血することができる。
本発明の止血材は、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層と酸型カルボキシメチルセルロース繊維層とを別々に調製し、それぞれを貼り付けることにより製造することができる。
本発明で用いるアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム繊維層は、以下の製造方法に限定されるものではないが、例えば、天然或いは再生セルロース繊維からなる繊維シートを水酸化ナトリウム水溶液で処理後、モノクロロ酢酸溶液と反応させ、所望の置換度(エーテル化度)となるようにカルボキシメチル化することにより得ることができる。
本発明で用いる繊維状の酸型カルボキシメチルセルロース繊維層は、以下の製造方法に限定されるものではないが、例えば、カルボキシメチル基の全てがアルカリ金属型(好ましくはNa型)であるアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維からなる繊維シートを用意し、その構造を維持した状態で充分に酸処理を行うことにより調製することができる。
酸処理に用いる強酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などを用いることができる。酸濃度としては、例えば、0.01〜4.8規定、好ましくは0.1〜3.6規定、より好ましくは0.5〜2.4規定であることができる。
アルカリ金属型カルボキシメチルセルロースは、水に易溶であるため、酸処理を行う際の溶媒として、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)を主体とするアルコール水溶液(アルコール濃度として、例えば、60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上)を用いることが好ましい。また、水と混ざり合う性質を持つ有機溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル)を用いても良い。
酸処理に用いる強酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などを用いることができる。酸濃度としては、例えば、0.01〜4.8規定、好ましくは0.1〜3.6規定、より好ましくは0.5〜2.4規定であることができる。
アルカリ金属型カルボキシメチルセルロースは、水に易溶であるため、酸処理を行う際の溶媒として、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)を主体とするアルコール水溶液(アルコール濃度として、例えば、60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上)を用いることが好ましい。また、水と混ざり合う性質を持つ有機溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル)を用いても良い。
カルボキシメチルセルロース繊維層同士の貼り付けは、特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維が溶解しないように、アルコール水溶液(例えば、エタノール水溶液)を各繊維層の一方または両方の接触面に噴霧または塗布し、熱溶着により貼り付けることができる。
本発明の止血材は、止血作用を有する各種の血液凝固蛋白質、例えば、トロンビン、フィブリノーゲン、血液凝固第XIII因子、血液凝固第VIII因子、血液凝固第IX因子、α2−プラスミンインヒビター、ヘモコアグラーゼ、イプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、アプロチニン、カルシウム、又はリジン等を含むことができる。これらの血液凝固蛋白質は、止血材を構成する任意の層、例えば、酸型カルボキシメチルセルロース繊維層、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層、それ以外のカルボキシメチルセルロース層、及び/又は、カルボキシメチルセルロース以外の材料からなる層に付与することができる。
例えば、トロンビンを酸型カルボキシメチルセルロース繊維層及び/又はアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層に付与する場合、その方法は、止血材として使用した際にトロンビンの血液凝固作用が充分に発揮できるように付与されている限り、特に限定されるものではないが、例えば、物理的付与、例えば、塗布、噴霧、浸漬により、あるいは、化学的結合により、付与することができる。
トロンビンの物理的付与は、適当な溶媒(例えば、水、生理食塩水、緩衝液)に溶解したトロンビン溶液を所望の繊維層に対して、例えば、塗布、噴霧、浸漬することにより行うことができる。トロンビン溶液で処理した後のカルボキシメチルセルロース繊維層は、凍結乾燥等により乾燥させて用いることもできる。なお、トロンビン溶液には、アルブミン、ポリエチレングリコール、アルギニン、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン、マンニトール、塩化カルシウムやコラーゲン等を安定化剤や添加剤として加えても良い。
トロンビンの化学的結合としては、例えば、カルボジイミド試薬で処理したカルボキシメチルセルロース繊維層に、トロンビンを含む溶液を加えて反応することにより行うことができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:本発明止血材の調製》
(1)ナトリウム型カルボキシメチルセルロース及び酸型カルボキシメチルセルロース不織布の作製
レーヨン製不織布(サイズ20cm×100cm、目付19g/m2、厚さ0.26mm、10枚)38gを反応容器に入れ、水酸化ナトリウム含有エタノール水溶液(2.9mol/L水酸化ナトリウム、11mol/Lエタノール)2.76Lを添加し、室温で17時間インキュベートした。更に、モノクロロ酢酸含有エタノール水溶液(3.4mol/Lモノクロロ酢酸、13.4mol/Lエタノール)1.65Lを添加し、50℃で6時間インキュベートした。70%メタノール水溶液、80%メタノール水溶液で順次、洗浄後、塩酸含有メタノール水溶液(1.2mol/L塩酸、90%メタノール)でpH6.0〜8.0に中和した。中和後、80%メタノール水溶液、100%メタノールで順次、洗浄後、乾燥し、カルボキシルメチル基がNa型のカルボキシメチルセルロース不織布を得た。
得られたNa型カルボキシメチルセルロース不織布の内、3枚を硝酸含有メタノール水溶液(1.3mol/L硝酸、90%メタノール)4L中で室温にて2時間振とうすることにより、カルボキシルメチル基が全てH型(酸化型)である酸型カルボキシメチルセルロース不織布に変換した。80%メタノール水溶液、100%メタノールで順次、洗浄後、乾燥した。
(1)ナトリウム型カルボキシメチルセルロース及び酸型カルボキシメチルセルロース不織布の作製
レーヨン製不織布(サイズ20cm×100cm、目付19g/m2、厚さ0.26mm、10枚)38gを反応容器に入れ、水酸化ナトリウム含有エタノール水溶液(2.9mol/L水酸化ナトリウム、11mol/Lエタノール)2.76Lを添加し、室温で17時間インキュベートした。更に、モノクロロ酢酸含有エタノール水溶液(3.4mol/Lモノクロロ酢酸、13.4mol/Lエタノール)1.65Lを添加し、50℃で6時間インキュベートした。70%メタノール水溶液、80%メタノール水溶液で順次、洗浄後、塩酸含有メタノール水溶液(1.2mol/L塩酸、90%メタノール)でpH6.0〜8.0に中和した。中和後、80%メタノール水溶液、100%メタノールで順次、洗浄後、乾燥し、カルボキシルメチル基がNa型のカルボキシメチルセルロース不織布を得た。
得られたNa型カルボキシメチルセルロース不織布の内、3枚を硝酸含有メタノール水溶液(1.3mol/L硝酸、90%メタノール)4L中で室温にて2時間振とうすることにより、カルボキシルメチル基が全てH型(酸化型)である酸型カルボキシメチルセルロース不織布に変換した。80%メタノール水溶液、100%メタノールで順次、洗浄後、乾燥した。
(2)三層構造からなる本発明止血材の調製
実施例1(1)で作製したNa型カルボキシメチルセルロース不織布(20cm×100cm)の上に60%エタノールで充分に湿らせた酸型カルボキシメチルセルロース(20cm×100cm)を載せた。さらに、もう1枚のNa型カルボキシメチルセルロース(20cm×100cm)を二層の上に載せ、Na型/酸型/Na型の三層構造とした後、すばやくアイロン掛け(温度180度乃至210度、SANYO製スチームアイロンA−82)し、水分とエタノールを飛ばして三層構造の本発明止血材を作製した。なお、50%エタノールでは水分が速やかに飛ばないため本発明止血材は硬くなり、70%エタノールでは水分不足で層間の接着が弱くなった。55%〜65%が好ましく、60%エタノールが最も好ましい条件と思われる。
実施例1(1)で作製したNa型カルボキシメチルセルロース不織布(20cm×100cm)の上に60%エタノールで充分に湿らせた酸型カルボキシメチルセルロース(20cm×100cm)を載せた。さらに、もう1枚のNa型カルボキシメチルセルロース(20cm×100cm)を二層の上に載せ、Na型/酸型/Na型の三層構造とした後、すばやくアイロン掛け(温度180度乃至210度、SANYO製スチームアイロンA−82)し、水分とエタノールを飛ばして三層構造の本発明止血材を作製した。なお、50%エタノールでは水分が速やかに飛ばないため本発明止血材は硬くなり、70%エタノールでは水分不足で層間の接着が弱くなった。55%〜65%が好ましく、60%エタノールが最も好ましい条件と思われる。
《実施例2:本発明止血材の動脈出血への有効性の評価》
本実施例では比較用の止血材として、(1)ガーゼ、(2)特許第3576063号の明細書の実施例に記載の手順に従って調製した、凝固蛋白質を含む可溶性セルロースからなる止血材を使用した。本発明止血材として、(3)実施例1(2)で調製した三層構造の止血材を使用した。
体重約40kgのブタ(6頭)を仰向けにし、全身麻酔下で、両側の頚動脈及び両側の大腿動脈(全4箇所)を4cm露出させた。18Gのショートベベル注射針にて動脈を穿刺し、ただちに、1.5cm角に切った止血材を貼付し、スポンジで軽く1分間圧迫し、5分間止血状態を観察した。5分間止血されていた状態を「A」、2分間だけ止血できた状態を「B」、最初から止血できない状態を「F」とした。止血実験中の全身血圧も記録した(穿刺の1分前から30秒毎に穿刺後5分まで)。
止血操作の順序は、止血材(1)、(2)、(3)の順序で、止血部位は左頚動脈→右頚動脈→右大腿動脈→左大腿動脈の順序で実施した。即ち、1頭目は左頚動脈を止血材(1)、右頚動脈を止血材(2)、右大腿動脈を止血材(3)、左大腿動脈を止血材(1)で止血した。
本実施例では比較用の止血材として、(1)ガーゼ、(2)特許第3576063号の明細書の実施例に記載の手順に従って調製した、凝固蛋白質を含む可溶性セルロースからなる止血材を使用した。本発明止血材として、(3)実施例1(2)で調製した三層構造の止血材を使用した。
体重約40kgのブタ(6頭)を仰向けにし、全身麻酔下で、両側の頚動脈及び両側の大腿動脈(全4箇所)を4cm露出させた。18Gのショートベベル注射針にて動脈を穿刺し、ただちに、1.5cm角に切った止血材を貼付し、スポンジで軽く1分間圧迫し、5分間止血状態を観察した。5分間止血されていた状態を「A」、2分間だけ止血できた状態を「B」、最初から止血できない状態を「F」とした。止血実験中の全身血圧も記録した(穿刺の1分前から30秒毎に穿刺後5分まで)。
止血操作の順序は、止血材(1)、(2)、(3)の順序で、止血部位は左頚動脈→右頚動脈→右大腿動脈→左大腿動脈の順序で実施した。即ち、1頭目は左頚動脈を止血材(1)、右頚動脈を止血材(2)、右大腿動脈を止血材(3)、左大腿動脈を止血材(1)で止血した。
結果を表1に示す。止血率(%)は次式:
{(A評価の穿刺部位数)/(全穿刺部位数)}×100
で計算した。
明らかに、本発明止血材(3)が最も有効であった。この結果は、三層構造における内層の物理的に強い酸化型カルボキシメチルセルロースが、外層の止血作用のあるNa型カルボキシメチルセルロースの支持層となって動脈出血の阻止に有効性を発揮していると思われる。
{(A評価の穿刺部位数)/(全穿刺部位数)}×100
で計算した。
明らかに、本発明止血材(3)が最も有効であった。この結果は、三層構造における内層の物理的に強い酸化型カルボキシメチルセルロースが、外層の止血作用のあるNa型カルボキシメチルセルロースの支持層となって動脈出血の阻止に有効性を発揮していると思われる。
《実施例3:肝切除部位の止血に対する本発明止血材の有効性の評価》
止血材としては実施例2と同じ止血材(1)〜(3)を使用した。
体重約40kgのブタ(全12頭)を全身麻酔下で正中切開し、開腹し、肝臓左内側葉の尾側の適当な箇所をV字切開し(切離部分の重量は3〜4gを目安とした)、出血している血管の止血処理を行うことなく、止血材を貼付し、スポンジで1分間圧迫後、5分後の止血効果を評価した。5分後に止血できた場合を「A」、5分後に止血できなかった場合を「F」とした。
肝臓左内側葉の切離部位は1頭当たり3箇所とし、止血材(1)〜(3)の貼付部位は1頭毎にローテションして止血効果を評価した。
止血材としては実施例2と同じ止血材(1)〜(3)を使用した。
体重約40kgのブタ(全12頭)を全身麻酔下で正中切開し、開腹し、肝臓左内側葉の尾側の適当な箇所をV字切開し(切離部分の重量は3〜4gを目安とした)、出血している血管の止血処理を行うことなく、止血材を貼付し、スポンジで1分間圧迫後、5分後の止血効果を評価した。5分後に止血できた場合を「A」、5分後に止血できなかった場合を「F」とした。
肝臓左内側葉の切離部位は1頭当たり3箇所とし、止血材(1)〜(3)の貼付部位は1頭毎にローテションして止血効果を評価した。
結果を表2に示す。止血率(%)は実施例2と同様に、次式:
{(A評価であった切離部位数)/(全切離部位数)}×100
で計算した。
明らかに、本発明止血材(3)が最も有効であった。この結果は、三層構造における内層の物理的に強い酸化型カルボキシメチルセルロースが、外層の止血作用のあるNa型カルボキシメチルセルロースの支持層となって肝臓切離部位からの動脈出血及び静脈出血の阻止に有効性を発揮していると思われる。
{(A評価であった切離部位数)/(全切離部位数)}×100
で計算した。
明らかに、本発明止血材(3)が最も有効であった。この結果は、三層構造における内層の物理的に強い酸化型カルボキシメチルセルロースが、外層の止血作用のあるNa型カルボキシメチルセルロースの支持層となって肝臓切離部位からの動脈出血及び静脈出血の阻止に有効性を発揮していると思われる。
本発明の止血材は、静脈出血だけでなく、動脈出血のような圧力を伴う出血に対しても適用可能な止血材である。また、癒着防止効果も備えており、癒着防止材としても使用可能である。
Claims (2)
- 1つの酸型カルボキシメチルセルロース繊維層と2つのアルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層とを少なくとも含み、アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層−酸型カルボキシメチルセルロース繊維層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の順に積層されていることを特徴とする、止血材。
- アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層−酸型カルボキシメチルセルロース繊維層−アルカリ金属型カルボキシメチルセルロース繊維層の三層構造からなる、請求項1に記載の止血材。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012044508A JP2015096081A (ja) | 2012-02-29 | 2012-02-29 | 止血材 |
PCT/JP2013/055449 WO2013129584A1 (ja) | 2012-02-29 | 2013-02-28 | 止血材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012044508A JP2015096081A (ja) | 2012-02-29 | 2012-02-29 | 止血材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015096081A true JP2015096081A (ja) | 2015-05-21 |
Family
ID=49082775
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012044508A Pending JP2015096081A (ja) | 2012-02-29 | 2012-02-29 | 止血材 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015096081A (ja) |
WO (1) | WO2013129584A1 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20170001474A (ko) * | 2015-06-26 | 2017-01-04 | 한국생산기술연구원 | 칼슘 카르복시메틸 셀룰로오스 및 키토산 화합물을 포함하는 의료용 섬유 구조체 및 그의 제조 방법 |
WO2020009174A1 (ja) | 2018-07-05 | 2020-01-09 | 帝人ファーマ株式会社 | 内視鏡用止血材 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA3012973C (en) * | 2016-02-10 | 2020-06-02 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Carboxymethlated cellulose sheet for covering a wound |
WO2020246437A1 (ja) * | 2019-06-03 | 2020-12-10 | 旭化成株式会社 | 積層シート状構造体 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3114016B2 (ja) * | 1998-05-15 | 2000-12-04 | 株式会社ホギメディカル | 細胞接着促進効果を有する創傷止血材 |
JP3578627B2 (ja) * | 1998-05-15 | 2004-10-20 | 株式会社ホギメディカル | 創傷患部の治癒を促進する組織シーラント |
JP3057446B1 (ja) * | 1999-03-05 | 2000-06-26 | 株式会社ホギメディカル | 可溶性創傷治癒止血セルロ―ス繊維とその製造方法、及びこれを用いた創傷部の止血治癒方法 |
JP2010284216A (ja) * | 2009-06-09 | 2010-12-24 | Hogi Medical:Kk | カルボキシメチルセルロース構造体及びその製造方法 |
US20130040911A1 (en) * | 2010-03-31 | 2013-02-14 | Hogy Medical Co., Ltd. | Adhesion-preventing material |
-
2012
- 2012-02-29 JP JP2012044508A patent/JP2015096081A/ja active Pending
-
2013
- 2013-02-28 WO PCT/JP2013/055449 patent/WO2013129584A1/ja active Application Filing
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20170001474A (ko) * | 2015-06-26 | 2017-01-04 | 한국생산기술연구원 | 칼슘 카르복시메틸 셀룰로오스 및 키토산 화합물을 포함하는 의료용 섬유 구조체 및 그의 제조 방법 |
KR101699924B1 (ko) | 2015-06-26 | 2017-01-25 | 한국생산기술연구원 | 칼슘 카르복시메틸 셀룰로오스 및 키토산 화합물을 포함하는 의료용 섬유 구조체 및 그의 제조 방법 |
WO2020009174A1 (ja) | 2018-07-05 | 2020-01-09 | 帝人ファーマ株式会社 | 内視鏡用止血材 |
KR20210022700A (ko) | 2018-07-05 | 2021-03-03 | 데이진 화-마 가부시키가이샤 | 내시경용 지혈재 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2013129584A1 (ja) | 2013-09-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4769578B2 (ja) | 止血用材料 | |
RU2627426C2 (ru) | Гемостатическое биологически абсорбируемое устройство с полиэтиленгликолем в качестве связующего вещества | |
US2772999A (en) | Hemostatic surgical compositions and dressings | |
TW200418529A (en) | Hemostatic wound dressings and methods of making same | |
TW200408415A (en) | Hemostatic wound dressing containing aldehyde-modified polysaccharide and hemostatic agents | |
JP2001231847A (ja) | 凝固蛋白質を含む可溶性創傷治癒止血セルロース繊維とその製造方法 | |
JP2005169103A (ja) | タンパク様ポリマーを含有している止血用傷包帯 | |
KR20040086072A (ko) | 지혈용 상처 드레싱 및 이의 제조방법 | |
JP2008516735A (ja) | 吸収性止血材 | |
US20060134185A1 (en) | Self-adhesive reabsorbable hemostyptic | |
CN103418024A (zh) | 一种新型可吸收医用材料 | |
JP2015096081A (ja) | 止血材 | |
CN104383586B (zh) | 一种纳米金/赖氨酸/氧化再生纤维素复合止血材料及其制备方法 | |
JP2022166257A (ja) | アニオン交換体及びカルシウム塩を含む止血用組成物 | |
JP2013135704A (ja) | 止血材及びその製造方法 | |
JP6461957B2 (ja) | トロンビンとペクチンとを含む乾燥パッド | |
CN105477675B (zh) | 一种rgd-m13噬菌体/聚赖氨酸/氧化再生纤维素复合止血材料的制备方法 | |
CN105435295B (zh) | 一种rgd-m13噬菌体/氧化再生纤维素复合止血材料的制备方法 | |
CN109731128B (zh) | 一种可吸收降解的生物相容性止血材料及其制备方法 | |
TW434001B (en) | Styptic material for local absorption | |
JP3057446B1 (ja) | 可溶性創傷治癒止血セルロ―ス繊維とその製造方法、及びこれを用いた創傷部の止血治癒方法 | |
CN104383588A (zh) | 一种单壁碳纳米管接枝改性氧化再生纤维素止血材料及其制备方法 | |
CN104383584B (zh) | 一种石墨烯/氧化再生纤维素复合止血材料 | |
CN114366847B (zh) | 一种快速止血冻干纤维气凝胶及其制备方法和应用 | |
CN108619555A (zh) | 一种有机/无机复合止血材料的制备方法 |