JP4638817B2 - 架橋性多糖誘導体、その製造方法、架橋性多糖組成物および医療用処置材 - Google Patents

架橋性多糖誘導体、その製造方法、架橋性多糖組成物および医療用処置材 Download PDF

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Description

本発明は、特定の架橋条件で使用するための架橋性多糖誘導体、その製造方法および該多糖誘導体を含む組成物およびそれらを利用した医療用処置材に関する。詳しくは、活性エステル基の導入により、分子内水酸基との結合による自己架橋性および生体表面の活性水素含有基との結合による生体表面への接着性を有する架橋性多糖誘導体のアルカリ条件下での使用に関する。また生体由来材料および潜在的な毒性を有する化学物質を誘導体の骨格としないことで本質的に生物学的および化学的安全性を有する多糖誘導体を、特に生体適合性に優れた材料として得るために好適な多糖誘導体の製造方法、さらに、このような多糖誘導体を含む架橋性多糖組成物、医療用処置材、詳しくは、用時調製が容易で、かつ生体表面(被着体)との接着性が充分で、かつ被着体への追従性および柔軟性に優れた架橋物を形成し、特に止血材、医療用接着剤などの医療用処置材に関する。
外科手術において、医療用処置材には重要な役割があり、手術時間の短縮化等に貢献するものである。医療用処置材の一例として、生体組織接着剤が挙げられる。生体組織接着剤は、縫合あるいは接合した組織からの血液、リンパ液等の体液または体内ガスの漏出を止めるために、血管、臓器の組織の接着・閉鎖する処置に利用されている。
多くの臨床実績があり、現在最もよく使用されている生体組織接着剤の一つとしてフィブリン糊が挙げられる(たとえば松田晶二郎,「生体組織の接着」,接着(日本),高分子刊行会,2000年1月25日,第44巻,1号,p.19−27)。フィブリン糊とは、血液の凝固反応を利用した2液性止血材である。まず、フィブリノゲンがトロンビンの酵素作用を受けフィブリンとなる。次に、トロンビンにより活性化された第VIII因子がフィブリンを架橋し、フィブリン塊を形成する。しかし、フィブリン糊の構成材料であるフィブリノゲン、第VIII因子およびトロンビンは、生体由来材料(生体材料のうち、ヒトや動物等の生体から得られる材料)であるため、その製造工程では原料管理やウィルス不活化・除去処理等の安全対策はされているものの、ウィルス感染の危険性を完全には否定できない。また、高価で、接着力が弱く、取り扱いが面倒であるといった欠点もあり、代替物の研究も盛んに行われている。
また、上記論文「生体組織の接着」には、臨床実績のあるもう1つの生体組織接着剤として、ゼラチン糊(GRF接着剤)を利用した技術も記載されている。GRF接着剤は、ゼラチンとレゾルシノールの混合物を、ホルムアルデヒドとグルタルアルデヒドで架橋するものである。組織接着力が強いのが特徴であり、フィブリン糊のような使い方以外に、解離性大動脈瘤の解離腔充填・接着に用いられている。しかし、ホルムアルデヒド自体に毒性があり、適用周辺部に組織修復障害を誘起するとの指摘もある。
近年、感染等の生物学的安全性の問題を鑑み、生体由来材料を使用しない、合成材料系組織接着剤の開発がさかんに行われており、いくつか提案されている。例えば、瞬間接着剤として広く使用されている2−シアノアクリレートのうち、エチルまたはイソブチルエステルのシアノアクリレート系接着剤が挙げられる(川田志明 他,「Stanford A型解離性大動脈瘤の手術」,外科診療(日本),診断と治療社,1990年9月1日,第32巻,第9号,p.1250−1258)。この接着剤は、水分を重合開始剤として、速やかに重合、硬化して接着するので、接着速度が速く、接着強度が高いことが特長である。しかし、その硬化物が生体組織と比較して硬く、良好な組織追従性が得られないこと、また、生体内での硬化物の加水分解により生成するホルムアルデヒドの毒性の問題が指摘されている。
これら問題点を改善する試みとして、例えば、特開昭62−290465号公報には、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)と親水性ポリエーテルポリオール類とからのNCO末端親水性ウレタンプレポリマーを主成分とする外科用接着剤が記載されている。ウレタン系の接着剤では、まず、両末端のイソシアネート基が水と反応し、炭酸ガスを生成してアミノ基に変換する。次に、その生成したアミノ基の一部とイソシアネート基、および生体組織タンパク質のアミノ基とイソシアネート基が反応してウレタン結合を形成して硬化し、生体組織に接着すると言われている。この接着剤の特性は、硬化物が柔軟性を有することから、生体の動きに追従可能であることである。しかしながら、この硬化物は生体分解され難く、長期残存による感染症等が危惧され、生体分解吸収性の課題を有するものである。
一方、優れた接着強度を有し、生体分解吸収性を有する合成系組織接着剤の開発、臨床応用も行われている。一例として、「光重合性吸収性ハイドロゲル(AdvasealTM)の使用経験−臨床応用−」(高木正道 他,胸部外科(日本),南江堂,2000年10月1日,第53巻,第11号,p.951−953)には、光重合型の生体吸収性接着剤(商標名、AdvasealTM)が記載されている。この接着剤は、ポリエチレングリコール(プライマー)とポリ乳酸(シーラント)との共重合体、あるいはポリエチレングリコール(プライマー)とトリメチレンカーボネート(シーラント)との共重合体にアクリルエステル末端基が結合し、感光物質としてエオジン色素を含んでいる。適用部にプライマーを塗布し、その塗布部位をなぞるようにシーラントを塗布した後に、キセノン光源(波長450〜550nm)を約40秒間照射する。すると、上記の製剤が光重合反応により、重合・硬化してハイドロゲル(含水ゲル)になることで生体組織に接着する。そして、このハイドロゲルは、徐々に生体吸収され、適用後約9ヶ月目には消失すると記載されている。しかし、この接着剤の使用には、手術台に別途、光照射装置を用意する必要があるので空間的制約があり、装置導入、維持のために経済的負担も大きい。
また、別の例として、米国特許第6323278号、特表2000−502380号、特表2002−541923号には、互いに反応しうる別々の基を有する合成ポリマーの2成分用時混合型の架橋材料を組織に適用し、架橋ポリマーマトリックスを形成する方法が提案されている。具体的には、多分岐構造のポリエチレングリコールの分子鎖末端に、第1級アミノ基あるいはチオール基などの求核性基を導入した第1成分と、スクシンイミジル基などの求電子性基を導入した第2成分とを混合し、架橋ゲル(ハイドロゲル)を形成する(米国特許第6323278号)。各成分の骨格であるポリエチレングリコールは、架橋物の分解物が腎臓排泄されるのに十分な、重量平均分子量10,000のものを使用し、生体分解吸収性の面も踏まえて材料設計されている。しかしながら、上記2成分は、使用に際して、別々の溶液に調製する必要があり、また調製された各溶液は、アプリケーターの別々の噴霧口から噴霧して2成分を用時混合しながら適用部に塗布する必要がある。従って、手術中に用時を予め見計らって準備操作をする必要があり、急な適用に対して迅速に対応することは困難である。
ところで、生体適合性の高い材料として多糖が知られており、特にヒアルロン酸などの分子内にカルボキシ基を有する多糖類の架橋物が、米国特許第5676964号、国際公開第00/27886号などに提案されている。これら多糖架橋物を形成するには、カルボジイミド、エトキシアセチレン、ウッドワード試薬、クロロアセトニトリル(米国特許第5676964号)、ペプチド化学で用いられる活性化剤(国際公開第00/27886号)で活性化された分子内カルボキシ基が利用されている。活性化した多糖の架橋方法として、加熱または紫外線照射により架橋させる方法(米国特許第5676964号)、ポリアミンと架橋させる方法(国際公開第00/27886号)が開示される。
上記各公報では、上記架橋物の用途として、フィルム、スポンジ様、カプセル、錠剤、DDS担体などの形態で使用する医薬用、外科手術における使用が提案されているが、活性化した多糖の未架橋状態での使用は開示しない。
また多糖の活性化時には、活性化剤との反応に先立って、多糖類のカルボキシ基を一旦アンモニウム塩などの塩形態としており、また活性化後の未活性化カルボキシ残基はナトリウム塩などにしており、架橋物中に、残存アンモニウム、金属などの塩を含む可能性が高い。
また、上記のように分子内にカルボン酸を有する多糖を、一旦塩にして活性化する多糖の活性化方法そのものを開示する先行技術(国際公開95/24429号)は、上記同様のヒアルロン酸などの分子内にカルボキシ基を有する多糖類を、芳香族、複素芳香族またはN−ヒドロキシアミン系アルコールで部分または全エステル化した活性化多糖を開示し、さらにその用途として、ペプチド合成の中間体としての利用を開示するが、前記公報同様、活性化多糖の未架橋状態での使用は開示しない。
前述の通り、組織接着剤に代表される、体内で使用される医療用処置材は、組織接着力の面で臨床上の要求を満たすことはもちろんのこと、安全性の面でも、非生体由来材料を利用することによる感染症等のリスク回避、合成材料を利用することによる成分自体またはその分解物の毒性の低減、および生体分解吸収性を有するように材料設計されることが重要である。さらには、手術中に用時を予め見計らって行う準備操作を少なくし、急な適用に対して迅速に対応でき、その使用にあたり特別な装置が不要であることが望ましい。
本発明は、上述のように要求される医療用処置材を実現しうるものとして、多糖誘導体の新規な使用方法を提供することを目的としている。すなわち該多糖誘導体を含む架橋材料、およびその製造方法、さらには、用時を予め見計らって行う準備操作が簡便であり、かつ特別な装置を必要としない医療用処置材を提供することを目的としている。
本発明の目的は、下記の(1)〜(48)により達成される。
(1)多糖側鎖に導入された、活性水素含有基と反応しうる活性エステル基を少なくとも1つ有し、アルカリ条件下の水と接触させ、前記活性エステル基と活性水素含有基との共有結合による架橋物を形成するための架橋性多糖誘導体。
(2)前記活性水素含有基が多糖分子内水酸基であり、前記多糖誘導体が自己架橋性である(1)に記載の架橋性多糖誘導体。
(3)前記活性水素含有基が生体表面の活性水素含有基であり、前記多糖誘導体が生体表面への接着性を有する(1)または(2)に記載の架橋性多糖誘導体。
(4)前記活性エステル基が、そのカルボニル炭素に、求電子性基が結合したエステル基である(1)〜(3)のいずれかに記載の架橋性多糖誘導体。
(5)前記求電子性基が、N−ヒドロキシアミン系化合物から導入される基である(4)に記載の架橋性多糖誘導体。
(6)前記活性エステル基が、スクシンイミドエステル基である(1)〜(5)に記載の多糖誘導体(A)。
(7)前記多糖誘導体が、その乾燥重量に対し、前記活性エステル基を0.1〜2mmol/gの量で含む(1)〜(6)のいずれかに記載の架橋性多糖誘導体。
(8)前記多糖誘導体が、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基をさらに有する(1)〜(7)のいずれかに記載の架橋性多糖誘導体。
(9)前記架橋性多糖誘導体が非塩型である(1)〜(8)のいずれかに記載の架橋性多糖誘導体。
(10)前記活性エステル基が導入される原料多糖が、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を有する前記架橋性多糖誘導体の前駆段階において、その非塩型で、60℃から120℃の間の温度で、非プロトン性極性溶媒に溶解性を示す多糖である(1)〜(9)のいずれかに記載の架橋性多糖誘導体。
(11)前記活性エステル基が導入される原料多糖が、それ自身はカルボキシ基およびカルボキシアルキル基をもたない多糖である(1)〜(10)のいずれかに記載の架橋性多糖誘導体。
(12)前記原料多糖が、デキストランおよびプルランからなる群より選ばれる少なくとも1つの多糖である(11)に記載の多糖誘導体。
(13)前記活性エステル基が導入される原料多糖が、ペクチンおよび/またはヒアルロン酸である(1)〜(12)のいずれかに記載の多糖誘導体。この原料多糖は、そのままで活性エステル化前駆体(酸基含有多糖)である。
(14)前記アルカリ条件が、pH7.5〜12の範囲である(1)〜(13)のいずれかに記載の架橋性多糖誘導体。
(15)粉末状である(1)〜(14)のいずれかに記載の架橋性多糖誘導体。
(16)未架橋シート状物である(1)〜(14)のいずれかに記載の架橋性多糖誘導体。
(17)前記シート状物が、加熱乾燥フィルムまたは凍結乾燥シートである(16)に記載の架橋性多糖誘導体。
(18)自己保有の、または導入によるカルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を有する酸基含有多糖(架橋性多糖誘導体前駆体)を、その非塩型で、60℃から120℃の間の温度で、非プロトン性極性溶媒に溶解させ、脱水縮合剤の共存下に、求電子性基導入剤と反応させ、前記カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基の少なくとも一部を活性エステル化させ、活性エステル基を有する架橋性多糖誘導体の製造方法。
(19)前記酸基含有多糖が、その乾燥重量に対し、前記カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を0.1〜5mmol/gの量で含む(18)に記載の架橋性多糖誘導体の製造方法。
(20)前記反応系に存在する前記酸基含有多糖のカルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基量(Xmmol)に対し、前記脱水縮合剤(Zmmol)を、0.1<(Z/X)<50となる比で使用する(18)または(19)に記載の製造方法。
(21)前記で得られた多糖誘導体の精製工程および/または乾燥工程をさらに含む(18)〜(20)のいずれかに記載の製造方法。
(22)前記非プロトン性極性溶媒が、ジメチルスルホキシドである(18)〜(21)のいずれかに記載の製造方法。
(23)前記求電子性基導入剤が、N−ヒドロキシアミン系化合物である(18)〜(22)のいずれかに記載の製造方法。
(24)N−ヒドロキシアミン系化合物が、N−ヒドロキシスクシンイミドである、(23)に記載の製造方法。
(25)脱水縮合剤が、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩である(18)〜(24)のいずれかに記載の製造方法。
(26)前記で得られた多糖誘導体の水溶液を調製し、所望の形状に展開して加熱乾燥または凍結乾燥して未架橋シート状物とする工程をさらに含む(18)〜(25)のいずれかに記載の製造方法。
(27)前記(1)〜(17)のいずれかに記載の架橋性多糖誘導体(A)と、該多糖誘導体(A)以外のポリマー(C)とを含む架橋性多糖組成物。
(28)前記ポリマー(C)が、1分子中に2個以上の第1級アミノ基および/またはチオール基を有するポリマーである(27)に記載の架橋性多糖組成物。
(29)前記ポリマー(C)が、ポリアルキレングリコール誘導体、ポリペプチド、多糖およびその誘導体から選ばれる少なくとも1つである(27)または(28)に記載の架橋性多糖組成物。
(30)前記ポリアルキレングリコール誘導体が、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリブチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのブロックコポリマー誘導体、およびランダムコポリマー誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つである(29)に記載の架橋性多糖組成物。
(31)前記ポリエチレングリコール誘導体の基本ポリマー骨格が、エチレングリコール、トリメチロールエタン、ジグリセロール、ペンタエリスリトールおよびヘキサグリセロールからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、かつ分子量が100〜50,000である(30)に記載の架橋性多糖組成物。
(32)前記ポリエチレングリコール誘導体が、両末端にチオール基を有する重量平均分子量が1,000、2,000、6,000または10,000のエチレングリコール型ポリエチレングリコール誘導体、両末端にアミノ基を有する重量平均分子量が1,000、2,000、6,000または10,000のエチレングリコール型ポリエチレングリコール誘導体、3つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が5,000または10,000のトリメチロールエタン型ポリエチレングリコール誘導体、3つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が5,000または10,000のトリメチロールエタン型ポリエチレングリコール誘導体、4つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が5,000、10,000または20,000のジグリセロール型ポリエチレングリコール誘導体、4つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が5,000、10,000または20,000のジグリセロール型ポリエチレングリコール誘導体、4つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール誘導体、4つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール誘導体、8つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のヘキサグリセロール型ポリエチレングリコール誘導体、および8つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のヘキサグリセロール型ポリエチレングリコール誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つである(30)に記載の架橋性多糖組成物。
(33)前記ポリペプチドが、コラーゲン、ゼラチン、アルブミンおよびポリリジンから選ばれる少なくとも1つである(29)に記載の架橋性多糖組成物。
(34)前記多糖が、ペクチン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ケラト硫酸、ヘパリンおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1つである(29)に記載の架橋性多糖組成物。
(35)前記架橋性多糖誘導体(A)と、前記ポリマー(C)とを、別々の水溶液で含む(27)〜(34)のいずれかに記載の架橋性多糖組成物。
(36)粉末状である(27)〜(34)のいずれかに記載の架橋性多糖組成物。
(37)未架橋シート状物である(27)〜(34)のいずれかに記載の架橋性多糖組成物。
(38)(16)または(17)の多糖誘導体シートに、前記ポリマー(C)のシートを添着させた複合シートである(37)に記載のシート状物。
(39)前記(26)で得られた多糖誘導体(A)の未架橋シート状物に、前記ポリマー(C)のシートを添着させる(37)または(38)に記載のシート状物の製造方法。
(40)前記ポリマー(C)を非水系揮発性有機溶媒を含む溶液とし、前記多糖誘導体(A)の未架橋シート状物に含浸させて乾燥する(39)に記載のシート状物の製造方法。
(41)前記(1)〜(17)のいずれかに記載の多糖誘導体(A)と、該多糖誘導体(A)と非混合状態のpH調整剤(B)を含む架橋性多糖組成物。
(42)多糖誘導体(A)と非混合状態のpH調整剤(B)をさらに含む前記(27)〜(35)のいずれかに記載の架橋性多糖組成物。
(43)前記ポリマー(C)の水溶液が、前記pH調整剤(B)を含む(35)に記載の架橋性多糖組成物。
(44)前記(1)〜(17)に記載の架橋性多糖誘導体および(27)〜(43)に記載の架橋性多糖組成物のいずれかからなる医療用処置材。
(45)止血材および/または医療用接着剤である(44)に記載の医療用処置材。
(46)エアロゾルまたはペーストである(44)または(45)に記載の医療用処置材。
(47)(44)〜(46)のいずれかに記載の医療用処置材を含むキット。
(48)(1)〜(17)に記載の架橋性多糖誘導体および(27)〜(43)に記載の架橋性多糖組成物のいずれかを所望の部位で、アルカリ条件下での水分の存在下で反応させることからなる生体の止血および/または接着方法。
本発明に係る架橋性多糖誘導体は、生体由来材料および潜在的な毒性を有する化学物質を誘導体の骨格としないことで本質的に生物学的および化学的安全性を有し、優れた生体適合性材料である。また該架橋性多糖誘導体は、アルカリ条件下で自己架橋性および生体表面への接着性を示し、また特別な装置を必要とせず、用時調製が容易で、生体表面との接着性が充分で、かつ被着体への追従性および柔軟性に優れた架橋物を形成するため、特に止血材、医療用接着剤などの医療用処置材として有用である。
以下に、本発明に係る架橋性多糖誘導体、これを含む架橋性多糖組成物、医療用処置材およびこれらの製造方法について具体的に説明する。
本発明の架橋性多糖誘導体は、多糖側鎖に導入された、活性水素含有基と反応しうる活性エステル基を少なくとも1つ有する。この活性エステル基が導入される多糖(原料)については後述するが、多糖分子は本質的に水酸基を自己保有し、すなわち活性水素含有基を有するため、該多糖に活性エステル基が導入された多糖誘導体は、1分子鎖内に活性エステル基および活性水素含有基を両具し、反応条件下で自己架橋性を示す。この自己架橋性は、活性エステル基と活性水素含有基とが、多糖誘導体の1分子内でまたは分子間で反応して、共有結合を形成することをいう。また生体表面の活性水素含有基を反応に利用した場合には、この架橋性多糖誘導体は、生体表面への接着性を示す。
本明細書において、このような架橋性多糖誘導体は、活性エステル化多糖と称することもあり、以下では、単に多糖誘導体ということもある。
なお「1分子鎖」または「分子内」の分子とは、共有結合により連続した結合で繋がった範囲の1つの分子を意味する。
本発明の多糖誘導体は、活性エステル化された多糖であり、本質的に多糖骨格を保持している。したがって以下には、多糖誘導体を、多糖の活性エステル化方法(多糖誘導体の製造方法)と並列的に説明することがある。
本発明において、多糖に導入される活性エステル基は、アルカリ条件下の水存在下で、活性水素含有基と反応して共有結合を形成できるものであればよい。このような活性エステル基は、通常、多糖分子が自己保有するか、または酸型化によって導入されたカルボキシ基またはメチルカルボキシ基のカルボニル炭素に、通常のエステルに比して強い求電子性基を結合させた基である。具体的にこの活性エステル基を「−COOX」で表した時、アルコール部位「−OX」を形成する上記求電子性基は、N−ヒドロキシアミン系化合物から導入される基であることが好ましい。N−ヒドロキシアミン系化合物は、比較的安価な原料であるため、活性エステル基導入の工業的に実施が容易であるからである。
前記「−OX」を形成するためのN−ヒドロキシアミン系化合物としては、具体的に、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸エチルエステル、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸アミド、N−ヒドロキシピペリジン等が代表的なものとして挙げられる。
本発明において、多糖誘導体の活性エステル基は、1種単独でも2種以上が存在していてもよい。
このような活性エステル基の中でも、スクシンイミドエステル基が好ましい。
本発明の多糖誘導体は、分子内に上記活性エステル基を少なくとも1つ有するが、架橋マトリックスを形成するためには、通常、1分子中に2以上有する。使用目的によっても異なるが、その乾燥重量1gあたりの活性エステル基量で表したとき、0.1〜2mmol/gであることが好ましい。
本発明において、活性エステル基が導入され、多糖誘導体の主骨格を構成する多糖は、主骨格に単糖構造を2単位以上有するものであればよく、特に制限されない。このような多糖は、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類;トレハロース、スクロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類;ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース、スタキオース等の三糖以上の多糖類が、共有結合することにより形成されたもの、およびこれに対して、さらに官能基を導入したものが挙げられる。本発明において、このような多糖は、天然に存在するものでも、人工的に合成されたものでもよい。また、本発明の多糖誘導体は、1種単独の、または2種以上の多糖の骨格とすることができる。
本発明の多糖誘導体の主骨格となる多糖の重量平均分子量に特に制限はない。好ましくは、上記の単糖類、二糖類または三糖以上の多糖類が、数十〜数千個結合したものに相当する重量平均分子量5,000〜250万の多糖である。このような多糖であれば、本発明の多糖誘導体が架橋した後のゲルの硬度を調整しやすく、活性エステル基および活性水素含有基を1分子鎖に複数導入しやすいからである。より好ましくは、重量平均分子量10,000〜100万の多糖である。
多糖誘導体の主骨格を形成する原料多糖は、上記の構成成分を持ち、活性エステル化前駆段階で、活性エステル基「−COOX」を形成するためのカルボン酸基を有する多糖(以下、酸基含有多糖と称することもある)が好ましい。ここでのカルボン酸基は、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基(以下、これらをカルボン酸基と称することもある)をいい、カルボキシアルキル基とは、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシイソプロピル基、カルボキシブチル基等に例示されるように、カルボキシ基がアルキル骨格に結合している官能基のことである。
上記原料多糖は、架橋性多糖誘導体の前駆段階で酸基含有多糖であればよく、カルボン酸基を自己保有する天然多糖であってもよく、それ自体はカルボン酸基を有さない多糖に、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を導入した多糖であってもよい。このようなカルボン酸基含有多糖の中でも、カルボキシ基を有する天然多糖、カルボキシ基を導入したカルボキシ化多糖、カルボキシメチル基を導入したカルボキシメチル化多糖、カルボキシエチル基を導入したカルボキシエチル化多糖が好ましい。より好ましくは、カルボキシ基を有する天然多糖、カルボキシ基を導入したカルボキシ化多糖、カルボキシメチル基を導入したカルボキシメチル化多糖である。
上記カルボン酸基を自己保有する天然多糖としては、特に限定されないが、ガラクツロン酸を含むペクチンやヒアルロン酸等が挙げられる。例えば、ペクチンはCP Kelco社(デンマーク)の「GENUE pectin」、また、ヒアルロン酸は紀文社(日本)の「ヒアルロン酸FCH」が挙げられ、一般的に商業流通しているものを利用できる。ペクチンはガラクツロン酸を主成分とする多糖である。ペクチンの約75〜80%以上がガラクツロン酸からなり、その他の成分としては、主に他の糖からなる。ペクチンは、上記の割合でガラクツロン酸と他の糖が結合してなる多糖である。ヒアルロン酸は、眼科用手術補助剤や変形性膝関節症治療薬等に使用されている。ヒアルロン酸はガラクツロン酸を含まない。
本発明では、多糖誘導体のカルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基は、塩が配位していない「非塩型」であることが望ましく、最終的に得られる多糖誘導体が塩形態ではないことが望ましい。ここで「塩」とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの無機塩、テトラブチルアンモニウム(TBA)などの四級アミン、ヨウ化クロロメチルピリジリウムなどのハロゲン塩などを包含する。「非塩型」とは、これらの「塩」が配位していないことであり、「塩形態ではない」とは、これらの塩を含まないことを意味する。
上記カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基が導入される多糖としては、特に限定されないが、デキストラン、プルランが挙げられる。
上記デキストランは、代用血漿剤として使用されている。デキストランとしては、アマシャムバイオサイエンス社(日本)の「Dextran T fractions」、プルランは林原社(日本)の「Pullulan PI−20」が挙げられる。プルランは、経口薬を含む医薬添加剤として使用されており、エンドトキシン等の生物学的コンタミネーションが少ないものが好適である。
いずれの多糖も、本発明においては、一般的に商業流通しているものを利用できる。上記医療用途で実績のある多糖は、本発明においては安全性面で好適に利用できる多糖である。
多糖のカルボキシ化反応は、公知の酸化反応を利用して、特に制限なく行うことができる。カルボキシ化反応の種類は、特に限定されないが、例えば、四酸化二窒素酸化、発煙硫酸酸化、リン酸酸化、硝酸酸化、過酸化水素酸化が挙げられ、各々、試薬を用いて通常知られた反応を選択して酸化することができる。各反応条件はカルボキシ基の導入量により適宜設定することができる。例えば、原料となる多糖をクロロホルムあるいは四塩化炭素中に懸濁させ、四酸化二窒素を加えることにより、多糖の水酸基を酸化してカルボキシ化多糖(多糖のカルボキシ化体)を調製することができる。
また、カルボキシアルキル化反応は、公知の多糖のカルボキシアルキル化反応を利用することができ、特に限定されないが、具体的にカルボキシメチル化反応の場合には、多糖をアルカリ化した後にモノクロル酢酸を使用した反応を選択することが可能である。その反応条件はカルボキシメチル基の導入量により適宜設定することができる。
本発明では、多糖にカルボン酸基を導入する方法として、上記カルボキシ化またはカルボキシアルキル化のいずれの方法も利用でき、特に限定されないが、カルボキシ基導入反応による多糖の分子量の低下が小さく、カルボキシ基の導入量を比較的コントロールしやすい点で、カルボキシアルキル化、特にカルボキシメチル化が好適である。
また本発明では、カルボン酸基の導入は、それ自身カルボン酸基をもたない多糖への導入に特に制限されない。それ自身カルボン酸基を有する天然多糖、たとえば、前記ヒアルロン酸などに、さらにカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を導入してもよい。
上記のような酸基含有多糖のカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を活性エステル化するに際して、酸基含有多糖は、単独で使用しても良いし、2種以上のものを併用して使用しても良い。
活性エステル化に使用される酸基含有多糖は、その乾燥重量1gあたりのカルボン酸基(該基を1分子とみなして)量が、通常、0.1〜5mmol/g、好ましくは0.4〜3mmol/g、より好ましくは0.6〜2mmol/gである。このカルボン酸基量の割合が、0.1mmol/gより少ないと、該基から誘導され架橋点となる活性エステル基数が不充分になる場合が多い。一方、カルボン酸基量の割合が、5mmol/gより多くなると、多糖誘導体(未架橋)が水を含む溶媒に溶解しにくくなる。
上記酸基含有多糖の活性エステル化方法(多糖誘導体の製造方法)は、特に制限されず、たとえば、上記の酸基含有多糖を、脱水縮合剤との存在下で、求電子性基導入剤と反応させる方法、活性エステル基を有する化合物から活性エステル基を多糖に導入するエステル交換反応を用いる方法等が挙げられる。これらの中でも、前者の方法が本発明には好適であり、以下、主として、この方法(本発明の方法ともいう)について説明する。
本発明の上記好ましい方法を行うに際しては、通常、上記酸基含有多糖を、非プロトン性極性溶媒の溶液に調製して反応に供する。より具体的には、該方法は、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基を有する多糖を非プロトン性極性溶媒に溶解させる溶液調製工程、および該溶液に求電子性基導入剤と脱水縮合剤を添加して多糖のカルボキシ基またはカルボキシアルキル基を活性エステル化させる反応工程を行う方法、さらに反応生成物の精製工程および乾燥工程を行う方法が挙げられる。
溶液調製工程においては、多糖を溶媒に加え、60℃〜120℃に加熱することによって、多糖の非プロトン性極性溶媒への溶解が達成される。
したがって、この方法で活性エステル化される酸基含有多糖として、上記に例示した多糖のうちでも、60℃〜120℃の間の温度で非プロトン性極性溶媒に溶解するものが好ましく使用される。具体的に、求電子性基導入のための反応に用いられる多糖は、非プロトン性極性溶媒への溶解性の点から、カルボキシ基またはカルボキシメチル基が酸型であることが好ましい。「酸型」とは、カルボキシ基またはカルボキシメチル基のカウンターカチオン種がプロトンであることをいう。酸型のカルボキシ基を有する多糖を酸型(原料)多糖という。例えば、カルボキシ基を有する多糖であるペクチンを酸型ペクチンという。酸型のカルボキシメチル基を有するカルボキシメチルデキストランを酸型カルボキシメチル(CM)デキストラン(酸型CMデキストラン)という。「酸型」は、カウンターカチオン種がプロトンであり、塩形態ではない点で前記「非塩型」と同義である。
「非プロトン性極性溶媒」とは、電気的に陽性な官能基を有する求核剤と水素結合を形成できるプロトンを持たない極性溶媒である。本発明の製造方法で使用できる非プロトン性極性溶媒は、特に限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが例示される。多糖の溶媒への溶解性が良好であることから、ジメチルスルホキシドが好適に利用できる。
反応工程では、酸型多糖溶液に、求電子性基導入剤と脱水縮合剤とを添加して、多糖のカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を活性エステル化させる。活性エステル化させる時の反応温度は、特に限定されないが、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは、20℃〜40℃である。反応時間は反応温度により様々であるが、通常は1〜48時間、好ましくは12時間〜24時間である。
「求電子性基導入剤」は、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基に、求電子性基を導入し、それらを活性エステル基へ変化させる試薬をいう。求電子性基導入剤としては、特に限定されないが、ペプチド合成に汎用されている活性エステル誘導性化合物が利用でき、その一例として、N−ヒドロキシアミン系活性エステル誘導性化合物が挙げられる。N−ヒドロキシアミン系活性エステル誘導性化合物としては、特に限定されないが、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、2−ヒドロキシイミノ−2−ジアノ酢酸エチルエステル、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸アミド、N−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。このなかでも、N−ヒドロキシスクシンイミドが、ペプチド合成分野での実績があり、商業上入手し易いことより好適である。
「脱水縮合剤」は、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基に求電子性基導入剤を使用して活性エステル基とする際に、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基と、求電子性基導入剤との縮合で生成する水分子を1つ引き抜き、すなわち脱水して、両者をエステル結合させるものである。脱水縮合剤としては、特に限定されないが、例えば、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、1−シクロヘキシル−(2−モルホニル−4−エチル)−カルボジイミド・メソp−トルエンスルホネート等が挙げられる。このなかでは、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)が、ペプチド合成分野での実績があり、商業上入手し易いことより好適である。
精製工程においては、反応工程終了後、反応溶液より、通常の再沈、ろ過および/または洗浄等の手段により、未反応の求電子性基導入剤、脱水縮合剤、および反応副生成物を除去し、本発明の多糖誘導体を得ることができる。
乾燥工程においては、前記精製工程で得られた多糖誘導体から洗浄溶媒を除去するため、通常使用される方法により乾燥させればよい。
本発明では、前述したように、最終的に多糖誘導体の活性エステル基量は、0.1〜2mmol/gであることが好ましく、上記においては、このような多糖誘導体が得られるように、活性エステル化原料多糖のカルボキシ基への活性エステル基導入量を制御することができる。
活性エステル基の導入量を制御するためには、前記反応工程において、求電子性基導入剤と脱水縮合剤の混合量を調整することができる。具体的には、多糖の全カルボキシ基のモル数(Xmmol)に対する脱水縮合剤のモル数(Zmmol)の比(Z/X)が、前述の反応温度において、0.1<Z/X<50を満たす添加条件であることが好ましい。Z/Xが0.1より小さい場合、脱水縮合剤の添加量が少ないため反応効率が低く、所望の活性エステル基導入率を達成し難くなり、Z/Xが50より大きい場合、脱水縮合剤の添加量が多いため、活性エステル基の導入率は高くなるものの、得られた多糖誘導体が水に溶解しにくくなるからである。
多糖の全カルボキシ基のモル数(Xmmol)に対する求電子性基導入剤のモル数(Ymmol)は、活性エステル基の導入率に応じた反応量以上を添加すれば良く、特に限定されないが、0.1<Y/X<100を満たす添加条件であることが好ましい。
本発明に係る多糖誘導体は、活性エステル基が導入された後も、通常、グルコピラノース環が有する水酸基を多糖骨格分子内に有し、したがって活性水素含有基を自己保有するが、分子内の活性水素含有基は、これに限定されず、必要に応じて分子内に導入した活性水素含有基をさらに有していてもよい。この場合、多糖誘導体の有する活性水素含有基は、1種であっても2種以上であってもよい。
本発明の多糖誘導体は、上記活性エステル基および活性水素含有基に加え、本発明の特性を損なわない範囲であれば、公知の元素、原子団等の官能基を広く含むことができる。
このような官能基として具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素;カルボキシ基;カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシイソプロピル基等のカルボキシアルキル基;シリル基、アルキレンシリル基、アルコキシシリル基、リン酸基等が挙げられる。このような官能基は、1種単独でも2種以上が導入されていてもよい。
活性エステル基の導入率(%)は、活性エステル化原料の多糖が有するカルボキシ基含有モル量およびカルボキシメチル基含有モル量(以下、全カルボキシ基(TC)と表記する)に対して、得られた多糖誘導体中の活性エステル基含有量モル量(AE)の比(AE/TC)に100を乗することで表すことができる。
活性エステル基導入率は、例えば、Biochemistry Vol.14,No.7(1975),p1535−1541に記載の方法により決定することができる。
特に、上記100%未満の活性エステル基の導入率で活性エステル基が導入された場合に残存する原料多糖の有するカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を有していてもよい。
「架橋構造」とは、本発明の多糖誘導体の1分子鎖内および/または複数分子鎖間で共有結合を形成し、結果として多糖誘導体の分子鎖が網目状の三次元構造をとることを意味する。この架橋により、活性エステル基と活性水素含有基とは、1分子鎖内で結合することもできるが、複数分子間で共有結合して架橋されてもよい。架橋形成反応前は水溶性である本発明の多糖誘導体は、反応が進行するとともに架橋構造を形成し、流動性が低下して、水不溶性の塊状物(含水ゲル)となり、多糖架橋体を形成する。特に他の架橋剤を使用することなく、自らの分子鎖内、または分子鎖間で共有結合により架橋構造を形成することができる性質を「自己架橋性」と定義すると、本発明の多糖誘導体は、自己架橋性多糖である。
また本発明の多糖誘導体は、上記のように分子内活性水素含有基の関与による自己架橋性であるだけでなく、該多糖誘導体を、生体表面に適用すれば、生体表面の活性水素含有基と活性エステル基との反応により、生体表面への接着性を示すことができる。このような使用形態は、本発明の多糖誘導体の好ましい態様である。なお生体表面に適用時には、同時に自己架橋を生じても勿論よい。
本発明において、活性エステル基との反応に関与する活性水素含有基は、本発明特定の反応条件下で、上記活性エステル基と反応して共有結合を形成しうる基であれば特に限定されない。本発明においても一般的な活性水素含有基として例示のものに準ずることができる。具体的には、水酸基、アミノ基、チオール基等が挙げられる。ここで、アミノ基は、第1級アミノ基と第2級アミノ基を含む。これらの中でも、活性水素含有基が水酸基、第1級アミノ基である場合には、活性エステル基との反応性が良好で、架橋してゲル化するまでの時間が短いため好ましい。
本発明の多糖誘導体を架橋する方法は、活性エステル基と活性水素含有基とが、反応して共有結合を形成する方法であり、具体的には、本発明の多糖誘導体を、アルカリ条件下で、水、水蒸気、水を含む溶媒等の水分存在下に供することにより架橋させる方法、多糖誘導体の溶液にpH調整剤を添加して架橋する方法等が挙げられる。
より具体的には、pH7.5〜12、好ましくはpH9.0〜10.5の水存在下に供することで多糖誘導体を架橋させることができる。その際、水のpHが7.5より低いと、自己架橋性が低く、十分な架橋度が得られない。一方、pH12より高いものの適用は架橋反応は進行するものの、生理的条件の点で好適ではない。
本発明において、「アルカリ条件」とは、pHが少なくとも7.5以上の水分が存在する条件をいう。本発明の架橋性多糖誘導体では、熱の架橋反応への寄与が実質的に大きくないため、「アルカリ条件」の温度は、特に限定されないが、例えば10℃〜40℃の範囲であることができる。
「アルカリ条件の水と接触させる」とは、多糖誘導体をアルカリ条件のいかなる形態の水分と接触させ、多糖誘導体をアルカリ条件におくことを意味する。多糖誘導体の形態が粉体である場合は、予めアルカリ条件に調整した水を添加したり、または多糖誘導体の粉とpH調整剤を混合された状態に水を添加することができる。多糖誘導体の形態が水溶液である場合は、予めアルカリ条件に調整した水を添加したり、またはpH調整剤を添加することができる。これらの操作により多糖誘導体がアルカリ性環境下に置かれ、架橋反応が開始する。すなわち、多糖誘導体はアルカリ条件の水分と接触することによりその架橋反応が開始し進行する。したがって、アルカリ条件の水分と多糖誘導体との混合物のpHはアルカリ条件であってもよいが、必ずしもアルカリ条件でなくてよい。多糖誘導体はアルカリ条件の水分と接触することにより架橋の形成が開始され、UV(紫外線)や加熱により架橋反応は実質的に開始されず、UVや熱により架橋の形成は実質的に進行しない。
本発明では、上記のような多糖誘導体を、その自己架橋性によりそれのみからなる架橋材として提供することができ、さらに他の成分との組合せによる組成物の形態の架橋性材料を提供することができる。他の成分は、その種類にもよるが、多糖誘導体と接触した状態で組成物を形成していてもよく、用時混合まで非接触状態であってもよい。
多糖誘導体は粉状物またはシート状物にして提供することができる。すなわち、粉状の多糖誘導体は、前述の合成反応により得られた多糖誘導体を解砕、あるいは粉砕して、必要であれば粒径調整を行い粒径の範囲を整えることにより取得できる。粒子径を小さくする為には、特に限定されないが、凍結粉砕、ミル粉砕および/または分級すればよい。解砕、粉砕後、篩い分けにより任意の粒度分布に調整することもできる。平均粒子径は特に限定されないが、平均粒子径数十nm〜数百μmが好ましい。得られた粉状物は、通常使用される方法によりペースト状、エアロゾルとして調製することができる。
シート状の多糖誘導体は、多糖誘導体を水に溶解させる溶液調製工程と該溶液を所望の形状に展開して加熱乾燥または凍結乾燥する乾燥工程とにより製造することができる。具体的には、シート状の多糖誘導体は、多糖誘導体を溶解させた水溶液を調製し、凍結乾燥することで得ることができる。シート状の多糖誘導体を作製する時、水溶液を調製する水のpHは3.0〜7.5であることが好ましい。pHが3.0以下であると、得られるシートが強い酸性を示し、7.5以上であると、活性エステル基が遊離することがあるからである。加熱乾燥シートは、前記水溶液を基材に展開して、30〜110℃で加熱乾燥して得ることができる。必要に応じて、減圧下で加熱乾燥することもできる。凍結乾燥シートは、前記水溶液を凍結して、凍結しながら乾燥して得ることができる。必要に応じて、通常の凍結乾燥器を用いることができる。
また、本発明では、上記多糖誘導体(A)を含む組成物として、上記多糖誘導体(A)と、pH調整剤(B)とを含む架橋性多糖組成物が提供され、該組成物は接着剤、粘着剤等として利用することができる。
pH調整剤(B)は、混合されずに供給されるものであってもよいし、あらかじめ混合されていてもよい。混合される時期は、特に限定されないが、使用前または使用中であり、適宜選ばれる。上記多糖誘導体(A)とpH調整剤(B)との組成物は、必要に応じて他の物質を含有していてもよく、他の物質は、多糖誘導体と混合しても、混合していなくてもよい。
本発明で使用されるpH調整剤(B)は、主に、本発明の多糖誘導体または架橋性多糖組成物のpHを7.5〜12に調整するための水溶液、水を含有する溶媒、または塩(粉末)等を意味する。pH調整剤(B)は、特に限定されないが、具体的には、炭酸水素ナトリウム水溶液または粉末、リン酸系緩衝液(リン酸水素二ナトリウム−リン酸二水素カリウム)、酢酸−アンモニア系緩衝液等が挙げられる。なかでも、炭酸水素ナトリウムは医療用pH調整剤として、その約7%水溶液(pH8.3)が静脈注射液として利用されていることより、安全性の面で好適に使用できる。
上記組成物の形態例としては、多糖誘導体の濃度が1〜80%(W/V)の水溶液と、これとは別に保持されたpH7.5〜10.5に調整した水との2成分系が挙げられる。
この系では、用時両者を混合して、最終的な多糖誘導体の濃度が0.1〜60%(W/V)の混合水溶液とすることができる。また、多糖誘導体の濃度が1〜80%(W/V)の水溶液に、用時、pH調整剤(B)の塩を添加して溶解させながら混合して、最終的な多糖誘導体の濃度が0.1〜80%(W/V)の混合水溶液からなるものも挙げることができる。混合は、通常の混合方法を選択することができるが、混合状態が均一になるまで行うことが好ましく、所望の反応が進行する程度での均一さであればよい。
本発明では、多糖誘導体(A)と、他のポリマー(C)とを含む架橋性多糖組成物(多糖組成物と略称することもある)も提供される。ポリマー(C)は、多糖組成物を架橋させたときの含水ゲルの硬さ、その性状を調整するために使用される。本発明の多糖組成物において、多糖誘導体(A)は、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用して使用しても良い。また、この組成物に、前記pH調整剤(B)を含ませてもよい。
ポリマー(C)は、特に限定されないが、ポリマー(C)の1分子中に2個以上の第1級アミノ基、チオール基、または水酸基を有するものを用いるのが好ましい。具体的にポリマー(C)としては、ポリアルキレングリコール誘導体、ポリペプチド、多糖またはその誘導体が挙げられる。本発明の多糖組成物中のポリマー(C)の含有量に特に制限はないが、多糖組成物全体に対して、5〜50質量%で配合されるのが好ましい。なお、ポリマー(C)は、1種単独でも2種以上を併用することもできる。
前記ポリアルキレングリコール誘導体としては、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリブチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのブロックコポリマー誘導体、ランダムコポリマー誘導体が挙げられる。そして、ポリエチレングリコール誘導体の基本ポリマー骨格としては、エチレングリコール、ジグリセロール、ペンタエリスリトール、ヘキサグリセロールが挙げられる。ポリアルキレングリコール誘導体の分子量は100〜50,000であることが好ましい。より好ましくは、1,000〜20,000である。
上記ポリエチレングリコール誘導体としては特に限定されないが、例えば、両末端にチオール基を有する重量平均分子量が1,000、2,000、6,000または10,000のエチレングリコール型ポリエチレングリコール誘導体、両末端にアミノ基を有する重量平均分子量が1,000、2,000、6,000または10,000のエチレングリコール型ポリエチレングリコール誘導体、3つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が5,000または10,000のトリメチロールエタン型ポリエチレングリコール誘導体、3つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が5,000または10,000のトリメチロールエタン型ポリエチレングリコール誘導体、4つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が5,000、10,000または20,000のジグリセロール型ポリエチレングリコール誘導体、4つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が5,000、10,000または20,000のジグリセロール型ポリエチレングリコール誘導体、4つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール誘導体、4つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール誘導体、8つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のヘキサグリセロール型ポリエチレングリコール誘導体、8つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のヘキサグリセロール型ポリエチレングリコール誘導体が挙げられる。
「重量平均分子量(weight−average molecular weight)」とは、高分子の平均分子量を表す数値の一つである。高分子は、同じ基本構造単位を有し異なる分子の長さ(鎖長)を有する分子の混合物であるため、分子の鎖長の違いに応じた分子量分布を有する。その分子量を示すために平均分子量を用いる。平均分子量には、重量平均分子量、数平均分子量等があるが、ここでは重量平均分子量を使用する。なお、本発明における重量平均分子量の値(100%)とは、その値に対して上限が110%のもの、下限が90%のものも包含する。ポリエチレングリコール誘導体は、例えば、Poly(ethylene Glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications,J Milton Harris編,Plenum Press,NY(1992)の第22章に記載された方法に従って作製することができ、さらに一つまたは複数の1級アミノ基またはチオール基を含むように化学的に修飾することができる。また、日本油脂社より、ポリエチレングリコール誘導体(サンブライトHGEO−20TEA、サンブライトPTE−10TSH等)として購入することができる。
上記ポリペプチドとしては、特に限定されないが、コラーゲン、ゼラチン、アルブミンまたはポリリジンが挙げられる。多糖としては、特に限定されないが、ペクチン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ケラト硫酸、ヘパリンまたはそれらの誘導体が挙げられる。
本発明の多糖誘導体(A)とポリマー(C)とを含有してなる多糖組成物において、好適な多糖誘導体(活性エステル化多糖)(A)とポリマー(C)との組合せは、下記の通りである。なお、これらの組合せにおいて、その形状(シート状、粉状、液状)は、後述の実施例を参照することにより適宜選択することができる。
2つの末端にチオール基を有するエチレングリコール型PEG誘導体、2つの末端にアミノ基を有するエチレングリコール型PEG誘導体、3つの末端にチオール基を有するトリメチロールエタン型PEG誘導体、3つの末端にアミノ基を有するトリメチロールエタン型PEG誘導体、4つの末端にチオール基を有するペンタエリスリトール型PEG誘導体、4つの末端にアミノ基を有するペンタエリスリトール型PEG誘導体、8つの末端にチオール基を有するヘキサグリセロール型PEG誘導体、8つの末端にアミノ基を有するヘキサグリセロール型PEG誘導体、アルブミン、ゼラチン、コラーゲン、ポリリジン、ペクチン、キトサン、キチンおよびカルボキシメチル(CM)キチンからなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー(C)と活性エステル化ペクチンとの組合せ。
2つの末端にチオール基を有するエチレングリコール型PEG誘導体、2つの末端にアミノ基を有するエチレングリコール型PEG誘導体、3つの末端にチオール基を有するトリメチロールエタン型PEG誘導体、3つの末端にアミノ基を有するトリメチロールエタン型PEG誘導体、4つの末端にチオール基を有するペンタエリスリトール型PEG誘導体、4つの末端にアミノ基を有するペンタエリスリトール型PEG誘導体、8つの末端にチオール基を有するヘキサグリセロール型PEG誘導体、8つの末端にアミノ基を有するヘキサグリセロール型PEG誘導体、アルブミン、ゼラチン、コラーゲン、ポリリジン、ペクチン、キトサン、キチンおよびCMキチンからなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー(C)と活性エステル化CMデキストランとの組合せ。
2つの末端にチオール基を有するエチレングリコール型PEG誘導体、2つの末端にアミノ基を有するエチレングリコール型PEG誘導体、3つの末端にチオール基を有するトリメチロールエタン型PEG誘導体、3つの末端にアミノ基を有するトリメチロールエタン型PEG誘導体、4つの末端にチオール基を有するペンタエリスリトール型PEG誘導体、4つの末端にアミノ基を有するペンタエリスリトール型PEG誘導体、8つの末端にチオール基を有するヘキサグリセロール型PEG誘導体、8つの末端にアミノ基を有するヘキサグリセロール型PEG誘導体、アルブミン、ゼラチン、コラーゲン、ポリリジン、ペクチン、キトサン、キチンおよびCMキチンからなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー(C)と活性エステル化CMプルランとの組合せ。
2つの末端にチオール基を有するエチレングリコール型PEG誘導体、2つの末端にアミノ基を有するエチレングリコール型PEG誘導体、3つの末端にチオール基を有するトリメチロールエタン型PEG誘導体、3つの末端にアミノ基を有するトリメチロールエタン型PEG誘導体、4つの末端にチオール基を有するペンタエリスリトール型PEG誘導体、4つの末端にアミノ基を有するペンタエリスリトール型PEG誘導体、8つの末端にチオール基を有するヘキサグリセロール型PEG誘導体、8つの末端にアミノ基を有するヘキサグリセロール型PEG誘導体、アルブミン、ゼラチン、コラーゲン、ポリリジン、ペクチン、キトサン、キチンおよびCMキチンからなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー(C)と活性エステル化CMヒドロキシエチルスターチとの組合せ。
両末端にチオール基を有する重量平均分子量が1,000、2,000、6,000または10,000のエチレングリコール型PEG誘導体、両末端にアミノ基を有する重量平均分子量が1,000、2,000、6,000または10,000のエチレングリコール型PEG誘導体、3つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が5,000または10,000のトリメチロールエタン型PEG誘導体、3つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が5,000または10,000のトリメチロールエタン型PEG誘導体、4つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が5,000、10,000または20,000のジグリセロール型PEG誘導体、4つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が5,000、10,000または20,000のジグリセロール型PEG誘導体、4つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のペンタエリスリトール型PEG誘導体、4つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のペンタエリスリトール型PEG誘導体、8つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のヘキサグリセロール型PEG誘導体および8つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のヘキサグリセロール型ポリエチレングリコール誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー(C)と活性エステル化ペクチンとの組合せ。
両末端にチオール基を有する重量平均分子量が1,000、2,000、6,000または10,000のエチレングリコール型PEG誘導体、両末端にアミノ基を有する重量平均分子量が1,000、2,000、6,000または10,000のエチレングリコール型PEG誘導体、3つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が5,000または10,000のトリメチロールエタン型PEG誘導体、3つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が5,000または10,000のトリメチロールエタン型PEG誘導体、4つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が5,000、10,000または20,000のジグリセロール型PEG誘導体、4つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が5,000、10,000または20,000のジグリセロール型PEG誘導体、4つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のペンタエリスリトール型PEG誘導体、4つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のペンタエリスリトール型PEG誘導体、8つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のヘキサグリセロール型PEG誘導体および8つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のヘキサグリセロール型PEG誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー(C)と活性エステル化CMデキストランとの組合せ。
両末端にチオール基を有する重量平均分子量が1,000、2,000、6,000または10,000のエチレングリコール型PEG誘導体、両末端にアミノ基を有する重量平均分子量が1,000、2,000、6,000または10,000のエチレングリコール型PEG誘導体、3つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が5,000または10,000のトリメチロールエタン型PEG誘導体、3つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が5,000または10,000のトリメチロールエタン型PEG誘導体、4つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が5,000、10,000または20,000のジグリセロール型PEG誘導体、4つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が5,000、10,000または20,000のジグリセロール型PEG誘導体、4つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のペンタエリスリトール型PEG誘導体、4つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のペンタエリスリトール型PEG誘導体、8つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のヘキサグリセロール型PEG誘導体および8つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のヘキサグリセロール型PEG誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー(C)と活性エステル化プルランとの組合せ。
両末端にチオール基を有する重量平均分子量が1,000、2,000、6,000または10,000のエチレングリコール型PEG誘導体、両末端にアミノ基を有する重量平均分子量が1,000、2,000、6,000または10,000のエチレングリコール型PEG誘導体、3つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が5,000または10,000のトリメチロールエタン型PEG誘導体、3つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が5,000または10,000のトリメチロールエタン型PEG誘導体、4つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が5,000、10,000または20,000のジグリセロール型PEG誘導体、4つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が5,000、10,000または20,000のジグリセロール型PEG誘導体、4つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のペンタエリスリトール型PEG誘導体、4つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のペンタエリスリトール型PEG誘導体、8つの末端にチオール基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のヘキサグリセロール型PEG誘導体および8つの末端にアミノ基を有する重量平均分子量が10,000または20,000のヘキサグリセロール型PEG誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー(C)と活性エステル化CMヒドロキシエチルスターチとの組合せ。
多糖誘導体(SD)(A)に対するポリマー(C)(AP)との混合比率(SD/AP)は、SD/AP=20/80〜98/2(W/W)であることが好ましく、ポリマー(C)が80質量%よりも多く混合される場合は、ポリマー(C)の阻害により多糖誘導体(A)の自己架橋性が得られ難く、逆に、2質量%より少ない場合は、最終的に得られる含水ゲルの硬さ、その性状を調整するのが困難となるからである。
本発明の多糖組成物には、本発明の特性を損なわない範囲で、広く公知の添加剤をさらに含ませることができる。添加剤としては特に限定されないが、硬化触媒、充填剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、脱水剤、着色剤、タレ防止剤、増粘剤、物性調整剤、補強剤、揺変剤、老化防止剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、溶剤、担体、賦形剤、防腐剤、結合剤、酸化防止剤、膨化剤、等張剤、溶解補助剤、保存剤、緩衝剤、希釈剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独でも2種以上を併用して使用することができる。
上記多糖組成物は、シート状、粉状、液状の所望の形態で提供することができる。前記粉状の多糖誘導体(A)に、粉状のポリマー(C)を混合して、粉状の多糖組成物を調製することができる。また、前記粉状の多糖組成物に、粉状のpH調整剤の塩を混合して得られるpH調整剤の塩を含む粉状の多糖組成物を調製することもできる。
前記粉状の多糖組成物、あるいはpH調整剤の塩を含む前記粉状の多糖組成物を造粒して造粒物を調製することができ、また前記粉状の多糖組成物、pH調整剤の塩を含む前記粉状の多糖組成物を圧接してシート、プレートを調製することができる。シート状の多糖組成物は、前記多糖誘導体(A)の加熱乾燥シート、および凍結乾燥シートに、ポリマー(C)を粉状で付着させる、またはコーティング法によりポリマー(C)を添着させることにより得ることができる。ここで、「添着」とはシートの表面にポリマー(C)を含浸させることにより、シート表面をポリマー(C)が覆う状態をいう。シートが多孔構造の場合は、ポリマー(C)はシート表面とシート内部の孔の内表面を覆う状態をいう。
多糖誘導体(A)の水溶液、ポリマー(C)の水溶液をそれぞれ調製し、二液型とすることができる。それら水溶液を混合することにより、多糖誘導体(A)とポリマー(C)からなる含水ゲルを調製することができる。このとき、多糖誘導体(A)の水溶液は、濃度が1〜80%(W/V)であることが好ましく、ポリマー(C)の水溶液は、濃度が1〜80%(W/V)であるのが好ましい。特に、ポリマー(C)を溶解する水は、pH7.5〜10.5に調製した水であっても良いし、純水または緩衝液を使用して混合時にpH調整剤の塩を添加しても良い。多糖誘導体(A)の水溶液とポリマー(C)の水溶液とを混合後、最終的な多糖誘導体(A)とポリマー(C)とをあわせた濃度が0.1〜80%(W/V)であることが好適である。
シート状の多糖組成物を水分存在下にて供することによって架橋させることができる。その際、水分として、前述のpH調整剤を使用することができる。pH調整剤は、pH7.5〜10.5の水溶液であることが好ましい。シート状の多糖組成物に、pH調整剤を粉状で付着させておいても良い。
シート状の多糖組成物は、多糖誘導体(A)を水に溶解させ、該溶液を所望の形状に展開して乾燥し、得られた多糖誘導体(A)のシート状物にポリマー(C)を添着させる添着工程を経て形成される。前記添着工程はポリマー(C)と非水系揮発性有機溶媒を含む溶液とをシート状物に含浸させ、乾燥させることによって、シート状の多糖誘導体(A)の表面の形状を損なうことなく、ポリマー(C)を添着させることが可能となる。なお、「非水系揮発性有機溶媒」とは、水と相溶しなく、揮発する有機溶媒を意味する。非水系揮発性有機溶媒としては、特に限定はされないが、クロロホルム、ジクロロメタンなどが挙げられる。
本発明の多糖誘導体およびこれを含む多糖組成物は、所望の形状に展開して医療用処置材として使用することができる。「医療用処置材」とは、生体内で使用された時、生体に有害な毒性が低い安全な成分からなり、生体に許容される物質を意味する。医療用処置材は生体において分解性を有してもよいし、非分解性であってもよい。好ましくは、生体分解性であることである。例えば、手術で組織や器官の止血、接着、シーリングおよび/または固定に用いることができる。医療用処置材の剤形は特に限定されないが、シート状、粉状、ペースト、エアロゾルを挙げることができる。
医療用処置材は、さらに上記のpH調整剤と混合して使用することができる。医療用処置材をpH調整剤とを混合する際は、あらかじめ混合しておいてもよい(プレ混合)し、使用時にその場で適宜混合してもよい。使用時にpH調整剤等の水溶液を加えることにより、所望の局所に医療用処置材を適用することができる。
本発明の多糖組成物と同様に、医療用処置材は、本発明の特性を損なわない範囲で、広く公知の添加剤を用いることができる。特に医療用処置材は、生体に許容し得る添加剤を使用するのが好ましい。添加剤としては特に限定されないが、担体、賦形剤、防腐剤、安定剤、結合剤、酸化防止剤、膨化剤、等張剤、溶解補助剤、保存剤、緩衝剤、希釈剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独でも2種以上を併用して使用することができる。
添加剤として具体的には、水、生理食塩水、医薬的に許容される有機溶媒、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガント、カゼイン、寒天、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、PBS、非イオン性界面活性剤、生体内分解性ポリマー、無血清培地、医薬添加物として許容される界面活性剤あるいは生体内で許容し得る生理的pHの緩衝液などが挙げられる。
使用される担体は、使用部位に応じて上記の中から適宜あるいは組合せて選ばれるが、これらに限定されるものではない。また、適当なプロペラントによりエアロゾルやペーストなどの製剤として調製することができる。
医療用処置材は、使用時の便宜を考慮して、前述のpH調整剤を含むキットとして提供することができる。医療用処置材は、多糖誘導体(A)、多糖組成物および/またはpH調整剤が、各々混合されていない状態で、医療用処置材と共にまたは別々に梱包またはパッケージの中に含めることができる。医療用処置材として使用され得る他の構成物を含んでいても良い。
多糖誘導体または多糖組成物は、水溶液または粉状pH調整剤を含むあるいは含まない状態で、粉状、シート、または水溶液としてキットに包含することができる。
医療用処置材は、止血材および/または接着剤として使用することができる。止血材とは、生体の出血箇所またはその近辺にて止血を目的として使用される。目的とする箇所に医療用処置材を付し、必要に応じて出血箇所を覆うことにより、出血がとまり止血効果を発揮する。接着剤とは、生体の組織、器官または臓器の少なくとも1ヶ所を、他の部位と接着させることを目的として使用される。目的とする箇所に医療用処置材を付し、他の所望の部位を接着の上、固定、静置または圧着させ、一定時間を経過させる。その際、固定用具等を使用することができる。
多糖誘導体、または多糖組成物は、水溶液または粉状pH調整剤を含む、あるいは含まない状態で粉状、シート、または水溶液として止血材および/または接着剤に包含することができる。
本発明の医療用処置材は止血材や接着剤として使用することができることから、本発明は医療用処置材を所望の部位に水分存在下にて接触させることからなる、生体の止血および/または接着方法を提供する。所望の部位に接触させるためには、粉状の医療用処置材を吹き付ける、充填する、塗布することによって達成される。シート状の医療用処置材の場合、貼り付ける、充填する、被覆する、圧着する、静置することによって達成される。液状の医療用処置材の場合、塗布する、スプレーする、滴下する、塗る、塗り込むことによって達成される。これらの手段によって、生体の止血および/または接着することができる。
本発明の多糖誘導体は、1分子鎖中に活性エステル基および活性水素含有基を有し、該活性エステル基と該活性水素含有基とが、反応して共有結合することにより架橋構造を形成する多糖誘導体である。組織接着剤として使用したとき、組織接着力(接着強度)の面で臨床上の要求を満たし、安全性の面でも生体由来材料を利用せず、天然または人工の多糖を主骨格としているので、感染症等のリスクを回避できている。成分自体またはその分解物の毒性は小さく、多糖が主骨格なので生体分解吸収性も有するように材料設計されている。また、本発明の多糖誘導体は、用時を予め見計らって行う準備操作を少なくし、急な適用に対して迅速に対応でき、その使用にあたり特別な装置が不要なので、誰でも簡便に使用することができる。そして、多糖誘導体は、単独でも多糖組成物としても提供できるので、幅広く多様な用途に使用可能である。本発明の多糖組成物は、上記の特性を有する本発明の多糖誘導体を用いているので、本発明の特性を損なっていない。
さらに、本発明の多糖誘導体および多糖組成物は、粉状、シート状、造粒物等の他さまざまな形状に加工することができ、目的に応じて使い分けが可能である。本発明の多糖誘導体および多糖組成物を製造する方法は、必要な試薬を混合して加熱すればよいので、特殊な装置等を要求されず簡便である。以上のような特性から、本発明の多糖誘導体およびその組成物は、止血材、接着剤等の医療用処置材として好適である。
(I)原料多糖の調製
本発明の活性エステル化多糖(多糖誘導体)の原料となる原料多糖として、酸型のカルボキシ基を有する、あるいは酸型のカルボキシメチル基を有する多糖、すなわち酸基含有多糖を調製した。
(1)酸型ペクチンの調製
ペクチン(GENU pectin USP−H、CP Kelco社)5gを、90vol%メタノール水溶液(100%メタノール、和光純薬工業社製)500mL中に懸濁させた。20%塩酸(塩酸、和光純薬工業社製)を使用して懸濁液をpH1.0に調整し、25℃で2時間攪拌した。吸引ロートを用いて懸濁液中のペクチンを回収し、80vol%メタノール水溶液2Lを使用して洗浄して、最後に100%メタノールで置換した後、減圧乾燥した。これにより、酸型ペクチンを調製した。
(2)酸型ヒアルロン酸の調製
(I)−(1)のペクチンを、ヒアルロン酸ナトリウム(ヒアルロン酸FCH−150、紀文社)に変更した以外は、(I)−(1)と同様に行い、酸型ヒアルロン酸を調製した。
(3)酸型カルボキシメチルデキストランA(酸型CMデキストランA)の調製
デキストラン(Dextran T−40、Amersham Biosciences社、重量平均分子量40,000)20gを、純水75mLに溶解させた後、45%水酸化ナトリウム水溶液(W/V)(水酸化ナトリウム、和光純薬工業社製)50mLを添加して、25℃で2時間攪拌した。続いて、40%モノクロル酢酸水溶液(W/V)(モノクロル酢酸、和光純薬工業社製)75mLを添加して、25℃で18時間攪拌した。その後、20%塩酸を使用して反応溶液をpH1.0に調整し、25℃で2時間攪拌した。反応溶液を90vol%エタノール水溶液(100%エタノール、和光純薬工業社製)5Lに滴下し、吸引ロートを用いて析出物を回収した。90vol%エタノール水溶液3Lを使用して得られた析出物を洗浄して、最後にエタノールで置換した後、減圧乾燥した。これにより、酸型CMデキストランAを調製した。
(4)酸型CMデキストランBの調製
(I)−(3)のデキストラン20gを、分子量の異なるデキストラン(Dextran T−500、Amersham Biosciences社、重量平均分子量500,000)10gに変更した以外は、(I)−(3)と同様に行い、酸型CMデキストランBを調製した。
(5)酸型カルボキシメチルプルラン(酸型CMプルラン)の調製
(I)−(3)のデキストラン20gを、プルラン(PI−20、林原社)10gに変更した以外は、(I)−(3)と同様に行い、酸型CMプルランを調製した。
(II)カルボキシ基、あるいはカルボキシメチル基の定量
(I)−(1)〜(5)で得られた原料多糖について、これらのカルボキシ基、あるいはカルボキシメチル基の定量を行った。原料多糖0.2g(A(g))を秤取り、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液20mLと80vol%メタノール水溶液10mLとの混合溶液に添加し、25℃で3時間攪拌した。得られた溶液に、指示薬として1.0%フェノールフタレイン(W/V)/90vol%エタノール水溶液を3滴添加し、0.05mol/L硫酸を使用して酸塩基逆滴定を行い、0.05mol/L硫酸の使用量(V1mL)を測定した(フェノールフタレイン、和光純薬工業社製)。また、原料多糖を添加しない以外は同様にして行ったブランクでの0.05mol/L硫酸の使用量(V0mL)を測定した。下記の数式(1)に従い、原料多糖のカルボキシ基およびカルボキシメチル基の基量(Bmmol/g)を算出した。なお、使用した0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.05mol/L硫酸の力価は、ともに1.00であった。結果を下記第1表に示す。
B=(V−V)×0.1÷A ・・・・・・(1)
A:原料多糖の質量(g)
B:カルボキシ基およびカルボキシメチル基の基量(mmol/g)
Figure 0004638817
(III)活性エステル化多糖(多糖誘導体)の調製
前述の酸型原料多糖の活性エステル化反応には、反応溶媒はDMSO、求電子性基導入剤はN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(和光純薬工業社製)、脱水縮合剤は1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(和光純薬工業社製)を使用し、活性エステル化多糖(多糖誘導体)を調製した。
(実施例1)活性エステル化ペクチンの調製
(I)−(1)の酸型ペクチン(カルボキシ基量1.40mmol/g)2.0gを、DMSO200gに添加し、25℃で15時間攪拌して溶解した。その後、NHS0.322g(2.80mmol)とEDC0.536g(2.80mmol)を添加して、25℃で24時間攪拌した。反応溶液を無水アセトン(和光純薬工業社製)2Lに滴下し、吸引ロートを用いて析出物を回収した。無水アセトン1Lを使用して得られた析出物を洗浄して、減圧乾燥した。これにより、活性エステル化ペクチンを調製した。なお、Z/XおよびY/Xの比は下記の通りである。
Z/X=1.0、Y/X=1.0
(実施例2)活性エステル化ヒアルロン酸の調製
(I)−(2)の酸型ヒアルロン酸(カルボキシ基量2.15mmol/g)2.0gを、DMSO200gに添加し、25℃で15時間攪拌して溶解した。その後、NHS0.575g(5.0mmol)とEDC0.958g(5.0mmol)を添加して、25℃で24時間攪拌した。反応溶液をジエチルエーテル(和光純薬工業社製)2Lに滴下し、吸引ロートを用いて析出物を回収した。テトラヒドロフラン(和光純薬工業社製)1Lを使用して得られた析出物を洗浄して、減圧乾燥した。これにより、活性エステル化ヒアルロン酸を調製した。Z/XおよびY/Xの比は下記の通りである。
Z/X=1.0、Y/X=1.0
(実施例3)活性エステル化CMデキストランA1の調製
(I)−(3)の酸型CMデキストランA(カルボキシメチル基量1.01mmol/g)2.0gを、DMSO200gに添加し、100℃で15時間攪拌して溶解した。その後、NHS2.325g(20.2mmol)とEDC1.162g(6.06mmol)を添加して、25℃で24時間攪拌した。反応溶液を無水アセトン2Lに滴下し、吸引ロートを用いて析出物を回収した。無水アセトン1Lを使用して得られた析出物を洗浄して、減圧乾燥した。これにより、活性エステル化CMデキストランA1を調製した。Z/XおよびY/Xの比は下記の通りである。
Z/X=3.0、Y/X=10
(実施例4)活性エステル化CMデキストランA2の調製
EDC1.162g(6.06mmol)を、EDC1.936g(10.1mmol)に変更した以外は、(I)−(3)と同様に行い、活性エステル化CMデキストランA2を調製した。Z/XおよびY/Xの比は下記の通りである。
Z/X=5.0、Y/X=10
(実施例5)活性エステル化CMデキストランA3の調製
EDC1.162g(6.06mmol)を、EDC2.325g(20.2mmol)に変更した以外は、(I)−(3)のと同様に行い、活性エステル化CMデキストランA3を調製した。Z/XおよびY/Xの比は下記の通りである。
Z/X=10、Y/X=10
(実施例6)活性エステル化CMデキストランBの調製
(I)−(4)の酸型CMデキストランB(カルボキシメチル基量0.29mmol/g)2.0gを、DMSO200gに添加し、100℃で15時間攪拌して溶解した。その後、NHS1.12g(5.8mmol)とEDC0.333g(2.9mmol)を添加して、25℃で24時間攪拌した。反応溶液を無水アセトン2Lに滴下し、吸引ロートを用いて析出物を回収した。無水アセトン1Lを使用して得られた析出物を洗浄して、減圧乾燥した。これにより、活性エステル化CMデキストランBを調製した。Z/XおよびY/Xの比は下記の通りである。
Z/X=5.0、Y/X=10
(実施例7)活性エステル化CMプルランの調製
(I)−(5)の酸型CMプルラン(カルボキシメチル基量1.28mmol/g)2.0gを、DMSO200gに添加し、100℃で15時間攪拌して溶解した。その後、NHS0.294g(2.56mmol)とEDC0.491g(2.56mmol)を添加して、25℃で24時間攪拌した。反応溶液を無水アセトン2Lに滴下し、吸引ロートを用いて析出物を回収した。無水アセトン1Lを使用して得られた析出物を洗浄して、減圧乾燥した。これにより、活性エステル化CMプルランを調製した。Z/XおよびY/Xの比は下記の通りである。
Z/X=0.5、Y/X=1.0
(IV)活性エステル化多糖(多糖誘導体)のNHS導入率の算出
(III)の実施例1〜7で得られた活性エステル化多糖(多糖誘導体)について、NHS導入率を算出した。NHS導入率は、多糖誘導体の原料となる原料多糖の単位重量あたりに存在するカルボキシ基含有量、あるいはカルボキシメチル基含有量に対する、得られた多糖誘導体の活性エステル基含有量の割合である。
N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の検量線を作成するため、0.1、0.2、0.5、1.0、2.5、5.0、10mMのNHS標準水溶液を調製した。各NHS標準水溶液1mLに、2N水酸化ナトリウム水溶液0.2mLを添加し、60℃で加熱して10分間攪拌した。放冷後、0.85N塩酸1.5mL、および0.05%FeCl/1N塩酸溶液0.75mLを添加し、分光光度計を用いて吸収波長500nmの吸光度を測定した(FeCl、和光純薬工業社製)。各NHS水溶液の濃度をX軸、吸光度をY軸としてプロットし、線形近似を行い、下記のNHS濃度算出するための数式(2)を得た。
Y=αX+β ・・・・・・(2)
X:NHS濃度(mM)
Y:波長500nmにおける吸光度
α=0.102 (傾き)
β=0.0138 (切片)
r=0.991 (相関係数)
吸光度を元に算出されたX(mM)に対して、測定溶液の容量(3.45mL)を乗算することで、後述の試料中のNHS基含有量(Cmmol)を求めることができる。
次に、実施例1〜7の活性エステル化多糖0.01gを秤取り、純水1mLに添加して、25℃で3時間攪拌した後、2N水酸化ナトリウム水溶液0.2mLを添加して、60℃で加熱して10分間攪拌を行った。室温まで放冷した後、0.85N塩酸1.5mLを添加した。不溶物を含む、得られた溶液から、ろ過綿を用いて不溶物を除去した後、0.05%FeCl/1N塩酸溶液0.75mLを添加して、波長500nmにおける吸光度を測定した。吸光度測定値が、NHS標準溶液の濃度が5mMの時の吸光度を上回るときは、純水で希釈した(希釈倍率H)。前記NHS濃度算出する数式(2)を利用して吸光度測定値より、活性エステル化多糖のNHS基含有量(Cmmol)を算出した。続いて、下記の数式(3)より、活性エステル化多糖のNHS導入率を求めた。結果を下記の第2表に示す。
NHS導入率(%)={(C×H)/0.01}/B×100・・・・・・(3)
B:活性エステル化多糖の原料多糖中の全カルボキシ基量(mmol/g)
C:活性エステル化多糖のNHS基含有量(mmol)
Figure 0004638817
(V)活性エステル化多糖誘導体の自己架橋性
(III)の実施例1〜7で得られた活性エステル化多糖について、自己架橋性を試験した。容量10mLの清浄試験管(ラルボLT−15100、テルモ社製)に、活性エステル化多糖0.2gを秤取り、純水1mLを添加して混合した。次に、pH調整剤として8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)(炭酸水素ナトリウム、和光純薬工業社製)1mL(pH8.3)を添加し、試験管ミキサー(MT−31、ヤマト科学社製)を用いて約2,000rpmで約1分間混合した。その混合前後での試験管内容物の状態を目視にて確認した。混合後、試験管内容物が混合前と同様に流動性があるものを「自己架橋性なし(−)」、混合後の試験管内容物が塊状物(含水ゲル)になっているものを「自己架橋性あり(+)」と判定した。結果を上記第2表に示す。
(VI)活性エステル化多糖誘導体の接着試験
実施例1〜7の活性エステル化多糖誘導体の接着性能を確認するため、ヨークシャー系食用ブタから採取した新鮮外皮(ブタ皮)を使用してin vitro接着試験を行った。
幅1cm×長さ5cmの短冊状ブタ皮を切り出した。ブタ皮の真皮部分を露出させ、その露出面を接着面とした。接着面積は、1cm×1cmに規定した。実施例1〜7の活性エステル化多糖0.2gを秤取り、純水1mLに溶解して調製した溶液100μLを接着面に塗布し、次に、8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)10μLを添加して混合した。その上に、別の短冊状ブタ皮を重ね合わせ、50gf/cm(約4.9Pa)の荷重を1分間かけ、続いて5分間放置した後、オートグラフ(引張試験機)を用いて、クロスヘッドスピード100mm/minで、接着した2枚の短冊状ブタ皮を長さ方向に相互逆方向に引張り、接着試験を行った。2枚の短冊状ブタ皮が剥がれた時の引張強さを、接着強度とした。結果を上記の第2表に示す。
実施例1〜7において、8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)(炭酸水素ナトリウム、和光純薬工業社製)(pH8.3)を、1mol/Lリン酸二ナトリウム水溶液(リン酸二ナトリウム、和光純薬工業社製)(pH9.1)に変更して同じ実験を実施した。その結果、実施例1〜7のものは全て自己架橋性を有していた(+)。
実施例5、7において、8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)10μLを、1mol/Lリン酸二ナトリウム水溶液(pH9.1)10μLに変更して同じ実験を実施した。その結果、実施例5、7のものの接着強度は、それぞれ115g/cm=11.3Pa、95g/cm=9.4Paであった。
(VII)多糖組成物の調製
活性エステル化多糖誘導体にポリマー(C)を配合した多糖組成物を調製した。
(実施例8)活性エステル化ペクチン組成物1
実施例1の活性エステル化ペクチン0.2gを秤取り、純水1mLに添加し混合して、主液を調製した。別に、4つの末端にチオール基を有するペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール(PEG)誘導体(サンブライトPTE−10TSH、重量平均分子量10,000、日本油脂社製)0.2gを秤取り、8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)1mL(pH8.3)に添加し混合して、副液を調製した。試験管に主液1mLと副液1mLを混合して多糖組成物を調製した。主液と副液の混合直後の多糖組成物は流動性を有していたが、さらに試験管ミキサーを用いて約2,000rpmで約1分間混合したところ、試験管内容物は塊状物(含水ゲル)になった。
(実施例9)活性エステル化ペクチン組成物2
実施例1の活性エステル化ペクチンを用いた。実施例8で使用したペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール誘導体を、8つの末端にアミノ基を有するグリセロール型ポリエチレングリコール誘導体(サンブライトHGEO−20TEA、重量平均分子量10,000、日本油脂社製)に変更した以外は、実施例8と同様に行い、多糖組成物を調製した。
(実施例10)活性エステル化ペクチン組成物3
実施例1の活性エステル化ペクチンを用いた。実施例8で使用したペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール誘導体を、牛血清アルブミン(シグマ社)変更した以外は、実施例8と同様に行い、多糖組成物を調製した。
(実施例11)活性エステル化ペクチン組成物4
実施例1の活性エステル化ペクチンを用いた。実施例8で使用したペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール誘導体を、ペクチン(GENU pectin USP−H、CP Kelco社製)0.02gに変更した以外は、実施例8と同様に行い、多糖組成物を調製した。
(実施例12)活性エステル化デキストランA1組成物1
実施例3の活性エステル化デキストランA1 0.2gを秤取り、純水1mLに添加し混合して、主液を調製した。別に、4つの末端にチオール基を有するペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール(PEG)誘導体(重量平均分子量20,000、「Poly(ethylene Glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications,J Milton Harris編,Plenum Press,NY(1992)」参照)0.2gを秤取り、8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)1mL(pH8.3)に添加し混合して、副液を調製した。試験管に主液1mLと副液1mLを混合して多糖組成物を調製した。主液と副液の混合直後の多糖組成物は流動性を有していたが、さらに試験管ミキサーを用いて約2,000rpmで約1分間混合したところ、試験管内容物は塊状物(含水ゲル)になった。
(実施例13)活性エステル化デキストランA1組成物2
実施例3の活性エステル化デキストランA1 0.2gを秤取り、純水1mLに添加し混合して、主液を調製した。別に、4つの末端にアミノ基を有するペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール(PEG)誘導体(重量平均分子量10,000、「Poly(ethylene Glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications,J Milton Harris編,Plenum Press,NY(1992)」参照)0.2gを秤取り、8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)1mL(pH8.3)に添加し混合して、副液を調製した。試験管に主液1mLと副液1mLを混合して多糖組成物を調製した。主液と副液の混合直後の多糖組成物は流動性を有していたが、さらに試験管ミキサーを用いて約2,000rpmで約1分間混合したところ、試験管内容物は塊状物(含水ゲル)になった。
(実施例14)活性エステル化デキストランA1組成物3
実施例3の活性エステル化デキストランA1 0.2gを秤取り、純水1mLに添加し混合して、主液を調製した。別に、4つの末端にアミノ基を有するペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール(PEG)誘導体(重量平均分子量20,000、「Poly(ethylene Glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications,J Milton Harris編,Plenum Press,NY(1992)」参照)0.2gを秤取り、8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)1mL(pH8.3)に添加し混合して、副液を調製した。試験管に主液1mLと副液1mLを混合して多糖組成物を調製した。主液と副液の混合直後の多糖組成物は流動性を有していたが、さらに試験管ミキサーを用いて約2,000rpmで約1分間混合したところ、試験管内容物は塊状物(含水ゲル)になった。
(実施例15)活性エステルプルラン組成物
実施例7の活性エステル化プルラン0.2gを秤取り、純水1mLに添加し混合して、主液を調製した。別に、4つの末端にアミノ基を有するペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール(PEG)誘導体(重量平均分子量20,000、「Poly(ethylene Glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications,J Milton Harris編,Plenum Press,NY(1992)」参照)0.2gを秤取り、8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)1mL(pH8.3)に添加し混合して、副液を調製した。試験管に主液1mLと副液1mLを混合して多糖組成物を調製した。主液と副液の混合直後の多糖組成物は流動性を有していたが、さらに試験管ミキサーを用いて約2,000rpmで約1分間混合したところ、試験管内容物は塊状物(含水ゲル)になった。
(VIII)活性エステル化多糖組成物の接着試験(1)
実施例8〜11の本発明の多糖組成物の接着性能を確認するため、(VI)と同様にして、in vitro接着試験を行った。実施例8〜11の多糖組成物については、主液50μL、副液50μLを接着面に塗布して混合して接着試験を行った。結果を下記の第3表に示す。
Figure 0004638817
(VIII)活性エステル化多糖組成物の接着試験(2)
実施例12〜15の本発明の多糖組成物の接着性能を確認するため、(VI)と同様にして、in vitro接着試験を行った。実施例12〜15の多糖組成物については、主液50μL、副液50μLを接着面に塗布して混合して接着試験を行った。結果を下記の第4表に示す。
Figure 0004638817
(IX)医療用処置材の製造
(1)活性エステル化ペクチンを含む液状医療用処置材1
実施例1の活性エステル化ペクチン0.2gを、純水1mLを添加し混合してなる水溶液を主液とした。8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)をpH調整液とした。主液とpH調整液から構成される、液状医療用処置材1を作製した。適用部で主液とpH調整液を混合して使用することができる。
(2)活性エステル化ペクチンを含む液状医療用処置材2
実施例1の活性エステル化ペクチン0.2gを秤取り、純水1mLに添加し混合してなる水溶液を主液とした。別に、上記の4つの末端にチオール基を有するペンタエリスリトール型ポリエチレングリコール誘導体0.2gを秤取り、8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)1mLに添加し混合してなる水溶液を副液とした。主液と副液から構成される、液状医療用処置材2を作製した。適用部で主液と副液を混合して使用することができる。
(3)活性エステル化CMデキストランA1を含む粉状医療用処置材
実施例3の活性エステル化CMデキストランA1を凍結粉砕して得た粉状物0.5gと、炭酸水素ナトリウム粉状物0.05gを混合してなる、粉状医療用処置材を作製した。適用部に散布、混合して使用することができる。
(4)活性エステル化CMデキストランA1を含む粉状医療用処置材キット
実施例3の活性エステル化CMデキストランA1を凍結粉砕して得た粉状物0.5gと、別に用意された8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)100μLから構成される、粉状医療用処置材キットを作製した。適用部に散布、混合して使用することができる。
(5)活性エステル化ペクチンを含むシート状医療用処置材およびキット1
実施例1の活性エステル化ペクチンの5%水溶液(W/V)30mLを調製し、5cm×5cmのプラスチック皿に展開した。続いて、−50℃のディープフリーザーで凍結させた後、真空乾燥機を用いて凍結状態を維持したまま減圧下にて乾燥を行った。これにより、厚み約5mmのシート状医療用処置材を作製した。また、別で用意された8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)1mLと、前記シート状医療用処置材から構成される、シート状医療用処置材キット(1)を作製した。適用部にシート状医療用処置材を貼付け、8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)を塗布することができる。
(6)活性エステル化ペクチンを含むシート状医療用処置材およびキット2
実施例20で作製したシート状医療用処置材を使用した。8つの末端にアミノ基を有するグリセロール型ポリエチレングリコール誘導体5gを、クロロホルム100mLに溶解してコーティング溶液を調製した(クロロホルム、和光純薬工業社製)。実施例20で作製したシート状医療用処置材を、前記コーティング溶液に1分間浸漬した後、25℃で3時間風乾した。これにより、活性エステル化ペクチンと8つの末端にアミノ基を有するグリセロール型ポリエチレングリコール誘導体の多糖組成物からなる、シート状医療用処置材を作製した。また、別で用意された8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)1mLと、前記シート状医療用処置材から構成される、シート状医療用処置材キット(2)を作製した。適用部にシート状医療用処置材を貼付け、8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)を塗布することができる。
(X)小動物を用いた止血性能評価
SD系ラット(Jcl:SD、日本クレア社製)をネンブタール(日本ダイナボット社製)筋注により全身麻酔した後、腹部を切開して脾臓を露出させた。脾臓表面に手術用メスで約2mm切開して、出血モデルを作成した。実施例16〜21の医療用処置材を使用して、止血性能評価を行い、適用後3分の出血状態を確認したところ、全ての医療用処置材は止血を達成していた。なお、これら医療用処置材は、用時を予め見計らって行う準備操作が簡便であり、かつ特別な装置が不要であった。
第2表から明らかなように、本発明の多糖誘導体(実施例1〜7)では、接着強度が、50〜120(g/cm)で、通常、止血材、医療用接着剤として求められている30〜150(g/cm)の範囲にある。また、このような用途に好適な接着強度50〜120(g/cm)の範囲にも入っている。同様に本発明の多糖組成物(実施例8〜15)も、接着強度が82〜128(g/cm)であり、止血材、医療用接着剤として好適である。
以下に、実施例をもって本発明を一層具体的に説明するが、これらは一例として示すものであり、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
本発明の多糖誘導体および多糖組成物は、組織接着剤として使用したとき、組織接着力(接着強度)の面で臨床上の要求を満たし、安全性の面でも生体由来材料を利用せず、天然または人工の多糖を主骨格としているので、感染症等のリスクを回避できている。成分自体またはその分解物の毒性は小さく、生体分解吸収性も有するように材料設計されている。また、本発明の多糖誘導体は、用時を予め見計らって行う準備操作を少なくし、急な適用に対して迅速に対応でき、その使用にあたり特別な装置が不要なので、誰でも簡便に使用することができる。そして、多糖誘導体は単独でも、また多糖組成物としても提供できるので、幅広く多様な用途に使用可能である。本発明の多糖組成物は、上記の特性を有する本発明の多糖誘導体を用いているので、本発明の特性を損なっていない。
さらに、本発明の多糖誘導体および多糖組成物は、粉状、シート状、造粒物等の他さまざまな形状に加工することができ、目的に応じて使い分けが可能である。本発明の多糖誘導体および多糖組成物を使用する際は、必要な試薬を混合すればよいので、特殊な装置等を要求されず簡便である。以上のような特性から、本発明の多糖誘導体およびその組成物は、止血材、接着剤等の医療用処置材として好適である。

Claims (14)

  1. ぺクチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルデキストランおよびプルランからなる群から選択される少なくとも1つの多糖で、自己保有の、または導入によるカルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を有する酸基含有多糖の側鎖の少なくとも1つにN−ヒドロキシスクシンイミドを反応させてなるエステル化多糖誘導体
    前記エステル化多糖誘導体を、前記スクシンイミドエステル基と多糖分子内の水酸基との共有結合による架橋物を形成させるためのアルカリとの、
    組合せよりなる止血材。
  2. 前記多糖誘導体が自己架橋性である請求項1に記載の止血材
  3. 前記多糖誘導体が、その乾燥重量に対し、前記スクシンイミドエステル基を0.1〜2mmol/gの量で含む請求項1または2に記載の止血材
  4. 前記多糖誘導体が、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基をさらに有する請求項1〜3のいずれかに記載の止血材
  5. 前記架橋性多糖誘導体が非塩型である請求項1〜4のいずれかに記載の止血材
  6. 前記スクシンイミドエステル基が導入される原料多糖が、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を有する前記架橋性多糖誘導体の前駆段階において、その非塩型で、60℃から120℃の間の温度で、非プロトン性極性溶媒に溶解性を示す多糖である請求項1〜5のいずれかに記載の止血材
  7. 前記アルカリ条件が、pH7.5〜12の範囲である請求項1〜6のいずれかに記載の止血材
  8. ぺクチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルデキストランおよびプルランからなる群から選択される少なくとも1つの多糖で、自己保有の、または導入によるカルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を有する酸基含有多糖の側鎖の少なくとも1つにN−ヒドロキシスクシンイミドを反応させてなるエステル化多糖誘導体
    前記エステル化多糖誘導体を、前記スクシンイミドエステル基と多糖分子内の水酸基との共有結合による架橋物を形成させるためのアルカリとの、
    組合せよりなる医療用接着剤
  9. 前記多糖誘導体が自己架橋性である請求項に記載の医療用接着剤
  10. 前記多糖誘導体が、その乾燥重量に対し、前記スクシンイミドエステル基を0.1〜2mmol/gの量で含む請求項8または9に記載の医療用接着剤
  11. 前記多糖誘導体が、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基をさらに有する請求項8〜10のいずれかに記載の医療用接着剤
  12. 前記架橋性多糖誘導体が非塩型である請求項8〜11のいずれかに記載の医療用接着剤
  13. 前記スクシンイミドエステル基が導入される原料多糖が、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を有する前記架橋性多糖誘導体の前駆段階において、その非塩型で、60℃から120℃の間の温度で、非プロトン性極性溶媒に溶解性を示す多糖である請求項8〜12のいずれかに記載の医療用接着剤
  14. 前記アルカリ条件が、pH7.5〜12の範囲である請求項8〜13のいずれかに記載の医療用接着剤
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