JP5527898B2 - 視認性医療用処置材 - Google Patents

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Description

本発明は、生体の癒着防止材、止血材などに好適な視認性医療用処置材に関する。
外科手術において、手術操作により生体組織に侵襲があった場合、その部位の組織治癒過程での炎症により癒着が起こり、その癒着により組織や臓器の正常な動作を妨げることにより、術後の合併症として問題となることがある。たとえば腹腔領域では、術後に腸管と腹膜での癒着が原因で起こる腸閉塞は重篤な合併症である。
このような術後の癒着を防止する目的として、組織や臓器間のバリア効果を期待して、生体吸収性の癒着防止材を使用することがある。
これまで癒着防止材の材料として、たとえば、微生物が生産する線維状セルロース、アニオン性基(カルボキシル基、スルホン酸基)を有する酸性多糖と、カチオン性基(アミノ基)を有する塩基性多糖:たとえばキトサンとのポリイオンコンプレックスの乾燥フィルム、カルボキシ含有ポリサッカロイドとポリエーテルの高分子間複合体の膜、ポリサッカロイドデキストリンを含む水性製剤などが提案されている。
癒着防止材は、臨床上の要求を満たすことはもちろんのこと、安全性の面でも、非生体由来材料を利用することによる感染症等のリスク回避、合成材料を利用することによる成分自体またはその分解物の毒性の低減、および生体分解吸収性を有するように材料設計されることが重要である。さらには、手術中に用時を予め見計らって行う準備操作を少なくし、急な適用に対して迅速に対応でき、その使用にあたり特別な装置が不要であることが望ましい。このような要求を満たすものとして、本願出願人は、先に、生体適合性の高い材料として知られている多糖に、アルカリ条件下で活性水素含有基と共有結合しうる活性エステル基を導入した架橋性多糖誘導体からなる癒着防止材を提案している(特許文献1参照)。
国際公開第2005/087289号パンフレット
本発明は、上述のように生体適合性を有し、特別な装置を必要とせず、用時調製が容易で、生体表面との接着性が充分で、かつ被着体への追従性および柔軟性に優れた架橋マトリックスを形成することができるなどの医療用処置材における要求を満たすとともに、特に視認性の架橋マトリックスを形成する特徴を有し、癒着防止材などとして生体適用時に利便性の高い視認性医療用処置材を提供する。
本発明者は、生体適合性材料の医療用処置材として、アルカリ存在下で活性水素含有基と反応(共有結合)して架橋マトリックスを形成する架橋性多糖誘導体を検討するうちに、アルカリとして炭酸塩を用いた場合、視認性の架橋マトリックスを形成することを見出した。外科的医療現場で用いられる生体接着性の医療用処置材において、視認性を発揮するものは知られてない。しかも適用した処置材の実効状態(架橋ゲル)を視認できることは、この用途において極めて有用である。特にこの医療用処置材を噴霧形態で用いる場合に明確な効果を発揮する。この知見に基づいて検討を続け、炭酸塩として、特に2価の炭酸イオンを生成する炭酸塩を少なくとも用いることで視認性の医療用処置材を実用化しうるに至った。このような炭酸塩との混合物は、たとえば、架橋性多糖誘導体を医療用処置材として用時調整したリン酸アルカリ塩との混合物は適用不可能に凝集してしまい、可使時間が不足する傾向があるのに対し、充分な可使時間を獲得できることも分かった。このような知見に基づいて、以下のような本発明を提供する。
(1)多糖側鎖に導入された、アルカリ共存下で活性水素と反応しうる活性エステル基を有する未架橋の架橋性多糖誘導体と、該多糖誘導体に対する質量比で0.03以上の量の2価の炭酸イオンを生成する炭酸塩を少なくとも含む炭酸塩との少なくとも2成分からなる架橋性組成物からなる医療用処置材。
本発明において、炭酸塩は、広く、炭酸塩および炭酸水素塩を含む意味で使用されるが、「2価の炭酸イオンを生成する炭酸塩(これを2価アニオン性炭酸塩とも称す)」とは、水素を含有しない炭酸塩をいう。本発明において、炭酸塩は、通常、アルカリとして作用する。
また、本発明で使用される架橋性多糖誘導体は、それ自体の構造中に酸基を有さないものであっても、その水溶液は酸性を示すことが多い。そのため架橋性多糖誘導体は、アルカリ存在下で自己架橋性を示すが、架橋反応系全体が必ずしもアルカリ条件とは限らない。通常、架橋反応系が中性付近ないしpH7を超える微弱なアルカリ性でも架橋性を示すことができる。
本発明では、上記に特定される2価アニオン性炭酸塩の量は、多糖誘導体の架橋に最低限必要なアルカリ量を大きく超える量に相当する。このような本発明に係る医療用処置材は、架橋性多糖誘導体に対し上記特定量の炭酸塩を含むことにより、炭酸ガスを内包する視認性ゲル(架橋マトリックス)を形成する。この炭酸塩のうち、2価アニオン性炭酸塩は、架橋性多糖誘導体を充分ゲル化させるために必須である。2価アニオン性炭酸塩は、上記量以下でもゲル化反応を進行させる視認性架橋マトリックスを得ることは可能であるが、医療用処置材の用途において、充分な可使時間を確保するために上記2価アニオン性炭酸塩/多糖誘導体の質量比0.03以上が望ましい。この比は、通常、0.03〜0.12である。なお、炭酸ガスの発生についてだけならば炭酸水素塩の使用が有利であるが、これだけではゲル化が充分に進まない。そのため本発明では、炭酸塩中に、上記所定の2価アニオン性炭酸塩が必須である。
(2)本発明において、2価アニオン性炭酸塩は、典型的に、炭酸ナトリウムである。2価アニオン性炭酸塩は、炭酸ナトリウム単独でも、他の炭酸塩との併用でもよい。
(3)炭酸塩は、さらに炭酸水素塩を含むことが好ましい。すなわち、炭酸塩として、2価アニオン性炭酸塩および炭酸水素塩の併用は本発明の好ましい態様例である。
炭酸水素塩の典型例は炭酸水素ナトリウムであり、(3)の典型例として、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとの併用が好ましく挙げられる。
本発明において、炭酸水素塩は、主として2価アニオン性炭酸塩による強いアルカリ性を緩和するためのpH調整剤として用いられる。
本発明において、架橋性多糖誘導体と併用するアルカリは、医療用処置材の適用により人体に悪影響を及ぼさないとされるpHで用いられることが望ましく、通常、使用時のpHが最大11以下、好ましくはpH7〜10であり、より好ましくはpH8〜10である。
(4)本発明の好ましい態様例は、上記(3)において、炭酸水素塩を、2価アニオン性炭酸塩に対するモル比で0.5〜1の割合で含む。
(5)本発明の医療用処置材は、炭酸塩以外のアルカリ塩をさらに含むことができる。他のアルカリ塩は、生体に適用可能であればよく特に制限されないが、リン酸、クエン酸、酢酸などの塩が挙げられる。他のアルカリ塩を2種以上含むことができる。
(6)上記架橋性多糖誘導体は、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を、さらに含むことができる。
(7)上記架橋性多糖誘導体は、カルボン酸基を、前記活性エステル基が誘導および未誘導カルボン酸基の全量で、多糖誘導体の乾燥質量に対し、0.1〜5mmol/g、より好ましくは0.1〜2mmol/gの量で含むことが好ましい。
本発明における架橋性多糖誘導体において、活性エステル基は、そのカルボニル炭素に、求電子性基が結合したエステル基であり、求電子性基は、N−ヒドロキシアミン系化合物から導入される基が好ましく、この場合、活性エステル基は、スクシンイミドエステル基である。このような活性エステル基は、アルカリ存在下、活性水素含有基と反応して共有結合を形成することができる。なお、本発明の架橋性多糖誘導体は、アルカリの共存下で架橋反応する。反応系全体のpHは適用した反応環境によっても異なり、適用環境下での反応系全体のpHは特に制限されない。この架橋性多糖誘導体は、生体に適用すれば、生体表面の活性水素含有基と結合し、生体表面への接着性を有する。また、多糖骨格は、活性水素含有基に相当する水酸基を含むため、本発明の架橋性多糖誘導体は、アルカリ存在下で自己架橋性でもある。
本発明において、架橋性多糖誘導体は、好ましくは非塩型である。架橋性多糖誘導体は、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基をさらに有することができる。
また、活性エステル基の導入される多糖(活性エステル化前駆体)は、通常、導入されたおよび/または自己本来のカルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を有する酸型多糖である。本発明では、この酸型多糖も非塩型であるのが好ましい。
(8)本発明において、多糖骨格は、酵素分解系多糖が好ましく、多糖がデキストリンである態様は好ましい。デキストリンは、生体適用材料として不具合が報告されていない。
架橋性多糖誘導体と炭酸塩との架橋性組成物は、用時混合物が適用不可能な凝集を起こしにくく長い可使時間を確保することができる。なお、「可使時間」とは、ゲル形成能を有する時間をいう。勿論、デキストリンの架橋性誘導体と、炭酸塩との架橋性組成物においても同効果である。
(9)本発明の医療用処置材は、癒着防止材、止血材、医療用接着材などとして有用である。
本発明の医療用処置材である架橋性組成物は、用時までは、通常、上記未架橋の架橋性多糖誘導体と、炭酸塩との少なくとも2成分からなり、各成分の形態は特に限定されない。用時までの形態は、各成分両方またはいずれか一方が、粉末または水溶液の形態で別包装であればよい。用時、架橋性多糖誘導体を粉末の形態で適用することも可能であるが、視認性の効果を得るには、溶液状態で適用することが望ましい。エアロゾルまたはペーストなどの形態での使用が好ましい。
(10)本発明の医療用処置材の特に好ましい使用形態は、噴霧用液状組成物(エアロゾル)である。液状で要部に噴霧適用することにより、架橋マトリックス中に炭酸ガスを内包しやすく、視認性の架橋マトリックスを効果的に得ることができる。
未架橋の架橋性多糖誘導体と、炭酸塩との各成分は、好ましくは2口以上のノズルを有する噴霧器あるいは流路中に混合部をもつノズルを有する噴霧器を用いて同一の適用箇所に噴霧する。
本発明では、上記医療用処置材を所望の部位に適用し、視認性架橋マトリックスを形成する方法も提供することができる。
(11)上記医療用処置材は炭酸ガスを内包する視認性架橋マトリックスを形成するが、この視認性架橋マトリックスも本発明である。
本発明の医療用処置材は、必要に応じて、上記多糖誘導体以外のポリマー、他の成分をさらに含むことができる。他のポリマーとしては、1分子中に2個以上の第1級アミノ基および/またはチオール基を有するポリマーなどが挙げられる。他のポリマーは、ポリアルキレングリコール、ポリペプチド、多糖などの骨格を有するものが挙げられる。他の成分としては、多糖誘導体の保存剤たとえばトレハロースなどが挙げられる。
これら他のポリマーは、上記各成分と別の剤の形態であってもよく、上記架橋性多糖誘導体と混合の粉末または溶液形態であってもよい。
本発明に係る架橋性多糖誘導体は、生体由来材料および潜在的な毒性を有する化学物質を誘導体の骨格としないことで本質的に生物学的および化学的安全性を有し、優れた生体適合性材料である。また該架橋性多糖誘導体は、アルカリ共存下で自己架橋性を示し、また特別な装置を必要とせず、用時調製が容易で、用時を予め見計らって行う準備操作を少なくし、急な適用に対して迅速に対応でき、誰でも簡便に使用することができる。その上、被着体への追従性および柔軟性に優れた架橋マトリックスを形成することができる。このような架橋性多糖誘導体の未架橋物を、炭酸塩との組合せで含む本発明に係る医療用処置材は、特に、視認性の架橋マトリックスを形成することで、生体適用時の利便性に優れている。
試験例1における視認性試験の結果を示すデジタル写真である。
以下に、本発明を具体的に説明する。
本発明に係る架橋性多糖誘導体は、多糖側鎖に導入された、アルカリ共存下で活性水素と反応しうる活性エステル基を少なくとも1つ有し、したがってアルカリ共存下で活性水素含有基を介して架橋反応する。
活性エステル基が導入される原料多糖については後述するが、多糖分子は本質的に水酸基すなわち活性水素含有基を自己保有するため、活性エステル基が導入された多糖は、1分子鎖内に活性エステル基および活性水素含有基を両具し、反応条件下で自己架橋性を示す。この自己架橋性は、活性エステル基と活性水素含有基とが、多糖誘導体の1分子内でまたは分子間で反応して、共有結合を形成することをいう。また生体表面の活性水素含有基を反応に利用した場合には、この架橋性多糖誘導体は、生体表面への接着性を示す。なお、「1分子鎖」または「分子内」の分子とは、共有結合により連続した結合で繋がった範囲の1つの分子を意味する。
本明細書において、このような架橋性多糖誘導体は、活性エステル化多糖と称することもあり、以下では、単に多糖誘導体ということもある。
本発明に係る多糖誘導体は、活性エステル化された多糖であり、本質的に多糖骨格を保持している。したがって以下には、多糖誘導体を、概ね、多糖の活性エステル化方法(多糖誘導体の製造方法)の工程に準じて説明する。
本発明において、多糖に導入される活性エステル基は、アルカリ共存下の水存在下で、活性水素含有基と反応して共有結合を形成できるものであればよい。このような活性エステル基は、通常、多糖分子が自己保有するか、または導入されたカルボキシ基および/またはメチルカルボキシ基のカルボニル炭素に、通常のエステルに比して強い求電子性基を結合させた基である。
具体的にこの活性エステル基を「−COOX」で表した時、アルコール部位「−OX」を形成する上記求電子性基は、N−ヒドロキシアミン系化合物から導入される基であることが好ましい。N−ヒドロキシアミン系化合物は、比較的安価な原料であるため、活性エステル基導入の工業的に実施が容易であることによる。「−OX」を形成するためのN−ヒドロキシアミン系化合物としては、具体的に、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸エチルエステル、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸アミド、N−ヒドロキシピペリジン等が代表的なものとして挙げられる。
本発明において、多糖誘導体の活性エステル基は、1種単独でも2種以上が存在していてもよい。
このような活性エステル基の中でも、スクシンイミドエステル基が好ましい。
本発明において、活性エステル基が導入され、多糖誘導体の主骨格を構成する多糖は、主骨格に単糖構造を2単位以上有するものであればよく、特に制限されない。このような多糖は、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類;トレハロース、スクロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類;ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース、スタキオース等の三糖以上の多糖類が、共有結合することにより形成されたもの、およびこれに対して、さらに官能基を導入したものが挙げられる。本発明において、このような多糖は、天然に存在するものでも、人工的に合成されたものでもよい。また、本発明に係る多糖誘導体は、1種単独の、または2種以上の多糖の骨格とすることができる。
多糖誘導体の主骨格となる多糖の質量平均分子量に特に制限はない。好ましくは、上記の単糖類、二糖類または三糖以上の多糖類が、数十〜数千個結合したものに相当する質量平均分子量5,000〜250万の多糖である。このような多糖であれば、本発明に係る多糖誘導体が架橋した後のゲルの硬度を調整しやすく、活性エステル基および活性水素含有基を1分子鎖に複数導入しやすいからである。好ましくは、Mw(質量平均分子量)が1万〜100万の多糖である。
多糖への活性エステル基「−COOX」導入には、通常、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基(これらをカルボン酸基と総称することもある)を有する多糖(以下、酸型多糖と称することもある)が用いられる。ここでのカルボキシアルキル基とは、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシイソプロピル基、カルボキシブチル基等に例示されるように、カルボキシ基がアルキル骨格に結合している官能基のことである。
酸型多糖は、架橋性多糖誘導体の前駆段階で酸型であればよく、カルボン酸基を自己保有する天然多糖であってもよく、それ自体はカルボン酸基を有さない多糖に、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を導入した多糖であってもよい。このような酸型多糖の中でも、カルボキシ基を有する天然多糖、カルボキシ基を導入したカルボキシ化多糖、カルボキシメチル基を導入したカルボキシメチル化多糖、カルボキシエチル基を導入したカルボキシエチル化多糖が好ましい。より好ましくは、カルボキシ基を有する天然多糖、カルボキシ基を導入したカルボキシ化多糖、カルボキシメチル基を導入したカルボキシメチル化多糖である。
上記カルボン酸基を自己保有する天然多糖としては、特に限定されないが、ガラクツロン酸を含むペクチンやヒアルロン酸等が挙げられる。例えば、ペクチンはCP Kelco社(デンマーク)の「GENUE pectin」、また、ヒアルロン酸は紀文社(日本)の「ヒアルロン酸FCH」が挙げられ、一般的に商業流通しているものを利用できる。ペクチンはガラクツロン酸を主成分とする多糖である。ペクチンの約75〜80%以上がガラクツロン酸からなり、その他の成分としては、主に他の糖からなる。ペクチンは、上記の割合でガラクツロン酸と他の糖が結合してなる多糖である。ヒアルロン酸は、眼科用手術補助剤や変形性膝関節症治療薬等に使用されている。ヒアルロン酸はガラクツロン酸を含まない。
本発明では、多糖誘導体のカルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基は、塩が配位していない「非塩型」であることが望ましく、最終的に得られる多糖誘導体が塩形態ではないことが望ましい。ここで「塩」とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの無機塩、テトラブチルアンモニウム(TBA)などの四級アミン、ヨウ化クロロメチルピリジリウムなどのハロゲン塩などを包含する。「非塩型」とは、これらの「塩」が配位していないことであり、「塩形態ではない」とは、これらの塩を含まないことを意味する。
上記カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基が導入される多糖としては、特に限定されないが、デキストラン、プルラン、デキストリンなどが挙げられる。
上記デキストランは、代用血漿剤として使用されている。デキストランとしては、アマシャムバイオサイエンス社(日本)の「Dextran T fractions」、プルランは林原社(日本)の「Pullulan PI−20」が挙げられる。プルランは、経口薬を含む医薬添加剤として使用されており、エンドトキシン等の生物学的コンタミネーションが少ないものが好適である。
デキストリンは、でんぷんの加水分解物であり、分子鎖長の異なるグルコース重合体の混合物である。デキストリンにおけるグルコース単位は、主としてα−1,4結合であり、通常、ある程度の割合でα−1,6結合を含む。本発明では、デキストリン原料のでんぷん種は特に限定されず、したがってα−1,6結合の存在割合も特に限定されない。
本発明で用いられるデキストリンは、入手しやすさ、用時の物性、扱い易さ、被膜形成性などを考慮して、典型的にMw1〜10万程度のものである。
いずれの多糖も、本発明においては、一般的に商業流通しているものを利用できる。上記医療用途で実績のある多糖は、本発明においては安全性面で好適に利用できる多糖である。上記のうちでも、デキストリンは、アナフィラキシーショックが報告されておらず、腹膜透析での使用実績もあり、生体適応における不具合が未だ報告されていない点で特に好ましい多糖である。
多糖のカルボキシ化反応は、公知の酸化反応を利用して、特に制限なく行うことができる。カルボキシ化反応の種類は、特に限定されないが、例えば、四酸化二窒素酸化、発煙硫酸酸化、リン酸酸化、硝酸酸化、過酸化水素酸化が挙げられ、各々、試薬を用いて通常知られた反応を選択して酸化することができる。各反応条件はカルボキシ基の導入量により適宜設定することができる。例えば、原料となる多糖をクロロホルムあるいは四塩化炭素中に懸濁させ、四酸化二窒素を加えることにより、多糖の水酸基を酸化してカルボキシ化多糖(多糖のカルボキシ化体)を調製することができる。
また、カルボキシアルキル化反応は、公知の多糖のカルボキシアルキル化反応を利用することができ、特に限定されないが、具体的にカルボキシメチル化反応の場合には、多糖をアルカリ化した後にモノクロル酢酸を使用した反応を選択することが可能である。その反応条件はカルボキシメチル基の導入量により適宜設定することができる。
本発明では、多糖にカルボン酸基を導入する方法として、上記カルボキシ化またはカルボキシアルキル化のいずれの方法も利用でき、特に限定されないが、カルボキシ基導入反応による多糖の分子量の低下が小さく、カルボキシ基の導入量を比較的コントロールしやすい点で、カルボキシアルキル化、特にカルボキシメチル化が好適である。
また本発明では、カルボン酸基の導入は、それ自身カルボン酸基をもたない多糖への導入に特に制限されない。それ自身カルボン酸基を有する天然多糖、たとえば、前記ヒアルロン酸などに、さらにカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を導入してもよい。上記のような酸型多糖のカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を活性エステル化するに際して、酸型多糖は、単独で使用しても良いし、2種以上のものを併用して使用しても良い。
活性エステル化に使用される酸型多糖は、その乾燥質量1gあたりのカルボン酸基(該基を1分子とみなして)量が、通常、0.1〜5mmol/g、好ましくは0.4〜3mmol/g、より好ましくは0.6〜2mmol/gである。このカルボン酸基量の割合が、0.1mmol/gより少ないと、該基から誘導され架橋点となる活性エステル基数が不充分になる場合が多い。一方、カルボン酸基量の割合が、5mmol/gより多くなると、多糖誘導体(未架橋)が水を含む溶媒に溶解しにくくなる。
本発明では、最終的な架橋性多糖誘導体は、活性エステルとともに、活性エステル化されていないカルボン酸基(カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基)を有していてもよい。この場合、最終的な架橋性多糖誘導体における活性エステル基とカルボン酸基の合計が、上記カルボン酸基量となる。
上記酸型多糖の活性エステル化方法(多糖誘導体の製造方法)は、特に制限されず、たとえば、上記の酸型多糖を、脱水縮合剤との存在下で、求電子性基導入剤と反応させる方法、活性エステル基を有する化合物から活性エステル基を多糖に導入するエステル交換反応を用いる方法等が挙げられる。これらの中でも、前者の方法が本発明には好適であり、以下、主として、この方法(本発明の方法ともいう)について説明する。
本発明の上記好ましい方法を行うに際しては、通常、上記酸型多糖を、非プロトン性極性溶媒の溶液に調製して反応に供する。より具体的には、該方法は、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基を有する多糖を非プロトン性極性溶媒に溶解させる溶液調製工程、および該溶液に求電子性基導入剤と脱水縮合剤を添加して多糖のカルボキシ基またはカルボキシアルキル基を活性エステル化させる反応工程を行う方法、さらに反応生成物の精製工程および乾燥工程を行う方法が挙げられる。
溶液調製工程においては、多糖を溶媒に加え、60℃〜120℃に加熱することによって、多糖の非プロトン性極性溶媒への溶解が達成される。
したがって、この方法で活性エステル化される酸型多糖として、上記に例示した多糖のうちでも、60℃〜120℃の間の温度で非プロトン性極性溶媒に溶解するものが好ましく使用される。具体的に、求電子性基導入のための反応に用いられる多糖は、非プロトン性極性溶媒への溶解性の点から、カルボキシ基またはカルボキシメチル基のカウンターカチオン種がプロトンである酸性型が好ましい。酸性型は、塩形態ではない点で前記「非塩型」と同義である。
「非プロトン性極性溶媒」とは、電気的に陽性な官能基を有する求核剤と水素結合を形成できるプロトンを持たない極性溶媒である。本発明に係る製造方法で使用できる非プロトン性極性溶媒は、特に限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが例示される。多糖の溶媒への溶解性が良好であることから、ジメチルスルホキシドが好適に利用できる。
反応工程では、上記のような酸型多糖溶液に、求電子性基導入剤と脱水縮合剤とを添加して、多糖のカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を活性エステル化させる。活性エステル化させる時の反応温度は、特に限定されないが、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは、20℃〜40℃である。反応時間は反応温度により様々であるが、通常は1〜48時間、好ましくは12時間〜24時間である。
「求電子性基導入剤」は、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基に、求電子性基を導入し、それらを活性エステル基へ変化させる試薬をいう。求電子性基導入剤としては、特に限定されないが、ペプチド合成に汎用されている活性エステル誘導性化合物が利用でき、その一例として、N−ヒドロキシアミン系活性エステル誘導性化合物が挙げられる。N−ヒドロキシアミン系活性エステル誘導性化合物としては、特に限定されないが、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸エチルエステル、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸アミド、N−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。このなかでも、N−ヒドロキシスクシンイミドが、ペプチド合成分野での実績があり、商業上入手し易いことにより好適である。
「脱水縮合剤」は、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基に求電子性基導入剤を使用して活性エステル基とする際に、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基と、求電子性基導入剤との縮合で生成する水分子を1つ引き抜き、すなわち脱水して、両者をエステル結合させるものである。脱水縮合剤としては、特に限定されないが、例えば、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、1−シクロヘキシル−(2−モルホニル−4−エチル)−カルボジイミド・メソp−トルエンスルホネート等が挙げられる。このなかでは、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)が、ペプチド合成分野での実績があり、商業上入手し易いことにより好適である。
精製工程においては、反応工程終了後、反応溶液より、通常の再沈、ろ過および/または洗浄等の手段により、未反応の求電子性基導入剤、脱水縮合剤、および反応副生成物を除去し、本発明に係る多糖誘導体を得ることができる。
乾燥工程においては、前記精製工程で得られた多糖誘導体から洗浄溶媒を除去するため、通常使用される方法により乾燥させればよい。
粉状の多糖誘導体を得るには、上記乾燥した多糖誘導体を解砕、あるいは粉砕して、必要であれば粒径調整を行い粒径の範囲を整えることにより取得できる。粒子径を小さくする為には、特に限定されないが、凍結粉砕、ミル粉砕および/または分級すればよい。解砕、粉砕後、篩い分けにより任意の粒度分布に調整することもできる。平均粒子径は特に限定されないが、平均粒子径数十nm〜数百μmが好ましい。
本発明では、前述したように、最終的に多糖誘導体の活性エステル基量は、0.1〜2mmol/gであることが好ましく、上記においては、このような多糖誘導体が得られるように、活性エステル化原料多糖のカルボキシ基への活性エステル基導入量を制御することができる。
活性エステル基の導入量を制御するためには、前記反応工程において、求電子性基導入剤と脱水縮合剤の混合量を調整することができる。具体的には、多糖の全カルボキシ基のモル数(Xmmol)に対する脱水縮合剤のモル数(Zmmol)の比(Z/X)が、前述の反応温度において、0.1<Z/X<50を満たす添加条件であることが好ましい。Z/Xが0.1より小さい場合、脱水縮合剤の添加量が少ないため反応効率が低く、所望の活性エステル基導入率を達成し難くなり、Z/Xが50より大きい場合、脱水縮合剤の添加量が多いため、活性エステル基の導入率は高くなるものの、得られた多糖誘導体が水に溶解しにくくなるからである。
多糖の全カルボキシ基のモル数(Xmmol)に対する求電子性基導入剤のモル数(Ymmol)は、活性エステル基の導入率に応じた反応量以上を添加すれば良く、特に限定されないが、0.1<Y/X<100を満たす添加条件であることが好ましい。
本発明に係る多糖誘導体は、活性エステル基が導入された後も、通常、グルコピラノース環が有する水酸基を多糖骨格分子内に有し、したがって活性水素含有基を自己保有するが、分子内の活性水素含有基は、これに限定されず、必要に応じて分子内に導入した活性水素含有基をさらに有していてもよい。この場合、多糖誘導体の有する活性水素含有基は、1種であっても2種以上であってもよい。
本発明に係る多糖誘導体は、上記活性エステル基および活性水素含有基に加え、本発明の特性を損なわない範囲であれば、公知の元素、原子団等の官能基を広く含むことができる。
このような官能基として具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素;カルボキシ基;カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシイソプロピル基等のカルボキシアルキル基;シリル基、アルキレンシリル基、アルコキシシリル基、リン酸基等が挙げられる。このような官能基は、1種単独でも2種以上が導入されていてもよい。
本発明で使用する多糖誘導体は、分子内に上記活性エステル基を少なくとも1つ有するが、架橋マトリックスを形成するためには、通常、1分子中に2以上有する。天然原料由来の多糖は、分子量の異なる分子の混合物であることが多いため、活性エステル基含有率は、その乾燥質量1gあたりの活性エステル基量で表すことが適切であろう。その使用目的によっても異なるが、多糖誘導体の乾燥質量1gあたりの活性エステル基含有率が、0.1〜5mmol/gであることが好ましい。
活性エステル基の導入率(%)は、酸型多糖が有する全カルボキシ基(TC)に対して、得られた多糖誘導体中の活性エステル基含有量モル量(AE)の比(AE/TC)に100を乗することで表すことができる。
活性エステル基導入率は、例えば、Biochemistry Vol. 14, No.7(1975), p1535−1541に記載の方法により決定することができる。
具体的に、活性エステル基がN−ヒドロキシスクシンイミドから誘導されるエステル基(以下、NHSと略記することもある)である例では、NHS導入率は、酸型多糖の単位質量あたりに存在するカルボキシ基含有量およびカルボキシメチル基含有量に対する、得られた多糖誘導体の活性エステル基含有量の割合は、以下のように求めることができる。
N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の検量線を作成するため、0.1、0.2、0.5、1.0、2.5、5.0、10mMのNHS標準水溶液を調製する。各NHS標準水溶液1mLに、2N水酸化ナトリウム水溶液0.2mLを添加し、60℃で加熱して10分間撹拌する。放冷後、0.85N塩酸1.5mL、および0.05%FeCl3 /1N塩酸溶液0.75mLを添加し、分光光度計を用いて吸収波長500nmの吸光度を測定する(FeCl3、和光純薬工業社製)。各NHS水溶液の濃度をX軸、吸光度をY軸としてプロットし、線形近似を行い、下記のNHS濃度算出するための数式(2)を得る。
Y=αX+β ・・・・・・(2)
X:NHS濃度(mM)
Y:波長500nmにおける吸光度
α=0.102 (傾き)
β=0.0138 (切片)
r=0.991 (相関係数)
吸光度を元に算出されたX(mM)に対して、測定溶液の容量(3.45mL)を乗算することで、後述の試料中のNHS基含有量(Cmmol)を求めることができる。
次に、活性エステル化多糖0.01gを秤取り、純水1mLに添加して、25℃で3時間撹拌した後、2N水酸化ナトリウム水溶液0.2mLを添加して、60℃で加熱して10分間撹拌する。室温まで放冷した後、0.85N塩酸1.5mLを添加し、不溶物を含む、得られた溶液から、ろ過綿を用いて不溶物を除去した後、0.05%FeCl3 /1N塩酸溶液0.75mLを添加して、波長500nmにおける吸光度を測定する。吸光度測定値が、NHS標準溶液の濃度が5mMの時の吸光度を上回るときは、純水で希釈する(希釈倍率H)。前記NHS濃度算出する数式(2)を利用して吸光度測定値より、活性エステル化多糖のNHS基含有量(Cmmol)を算出する。続いて、下記の数式(3)より、活性エステル化多糖のNHS導入率を求める。
NHS導入率(%)={(C×H) /0.01}/B×100・・・・・・(3)
B:活性エステル化多糖の酸型多糖中の全カルボキシ基量(mmol/g)
C:活性エステル化多糖のNHS基含有量(mmol)
上記において、活性エステル基の導入率を100%未満とすれば、架橋性多糖誘導体は活性エステル基とともに酸型多糖のカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を有する。
本発明の架橋性多糖誘導体の好ましい態様例として、多糖がMw7万〜9万のデキストリンであり、NHS基導入量が0.5〜0.7mmol/gであり、カルボキシメチル(CM)基導入量が0.7〜0.9mmol/gのNHSデキストリンが挙げられる。
上記のような多糖誘導体は、アルカリ共存下で、活性水素含有基と反応して架橋マトリックスを形成することができる。他の架橋剤を使用することなく、自らの分子鎖内、または分子鎖間で共有結合により架橋構造を形成することができる性質を自己架橋性と定義すると、本発明に係る多糖誘導体は、自己架橋性多糖である。アルカリ共存下は、pH7超の水分が存在する条件をいう。本発明の医療用処置材としての用途では、熱の架橋反応への寄与が実質的に大きくないため、架橋反応時の温度は、通常生体温度であり、この温度でのアルカリ共存下で、架橋マトリックスを形成しうるが、本発明の医療用処置材は、特に、アルカリとして作用する2価アニオン性炭酸塩を、多糖誘導体に対する質量比で、0.03以上の量で、通常、0.03〜0.12の量で含む。
この2価アニオン性炭酸塩は、水中で、2価の炭酸イオン(2−)を生成するものであればよく、特に制限されないが、たとえば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
2価アニオン性炭酸塩は、通常、少なくとも炭酸ナトリウムであり、炭酸ナトリウム単独でも、他の2価アニオン性炭酸塩との併用でもよい。
本発明において、2価アニオン性炭酸塩と併用できる炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが挙げられる。2価アニオン性炭酸塩および炭酸水素塩の併用では、炭酸水素塩/2価アニオン性炭酸塩のモル比が0.5〜1であることが好ましい。
2価アニオン性炭酸塩および炭酸水素塩の好ましい併用例は、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムである。
本発明の医療用処置材に含ませることができる上記炭酸塩以外のアルカリ塩としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどのリン酸系緩衝液、クエン酸三ナトリウムなどのクエン酸系緩衝液、酢酸−アンモニア系緩衝液などが挙げられる。
本発明において、「架橋構造」とは、本発明に係る多糖誘導体の1分子鎖内および/または複数分子鎖間で共有結合を形成し、結果として多糖誘導体の分子鎖が網目状の三次元構造をとることを意味する。この架橋により、活性エステル基と活性水素含有基とは、1分子鎖内で結合することもできるが、複数分子間で共有結合して架橋されてもよい。架橋形成反応前は水溶性である本発明に係る多糖誘導体は、反応が進行するとともに架橋構造を形成し、流動性が低下し、水不溶性の塊状物(含水ゲル)となり、多糖架橋体(架橋マトリックス)を形成する。本発明での架橋マトリックスは、炭酸ガスを内包しており、ゲルの存在を目視で確認することができる。
本発明において、活性エステル基との反応に関与する活性水素含有基は、本発明特定の反応条件下で、上記活性エステル基と反応して共有結合を形成しうる生体表面に存在する活性水素含有基であればよく、その種類は特に限定されない。たとえば水酸基、1級または2級アミノ基、チオール基などである。
本発明の医療用処置材は、必要に応じて、上記多糖誘導体以外のポリマーをさらに含むことができる。他のポリマーとしては、1分子中に2個以上の第1級アミノ基および/またはチオール基を有するポリマーなどが挙げられる。他のポリマーは、ポリアルキレングリコール、ポリペプチド、多糖などの骨格を有するものが挙げられる。
他のポリマーは、特に限定されないが、他のポリマーの1分子中に2個以上の第1級アミノ基、チオール基、または水酸基を有するものを用いるのが好ましい。具体的に他のポリマーとしては、ポリアルキレングリコール誘導体、ポリペプチド、多糖またはその誘導体が挙げられる。他のポリマーは、2種以上を併用することもできる。
上記ポリアルキレングリコール誘導体としては、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリブチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのブロックコポリマー誘導体、ランダムコポリマー誘導体が挙げられる。そして、ポリエチレングリコール誘導体の基本ポリマー骨格としては、エチレングリコール、ジグリセロール、ペンタエリスリトール、ヘキサグリセロールが挙げられる。ポリペプチドとしては、特に限定されないが、コラーゲン、ゼラチン、アルブミンまたはポリリジンが挙げられる。多糖としては、特に限定されないが、ペクチン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ケラト硫酸、ヘパリンまたはそれらの誘導体が挙げられる。
また、本発明の医療用処置材は、本発明の特性を損なわない範囲で、広く公知の添加剤をさらに含ませることができる。この際には、特に、生体に許容し得る添加剤を使用するのが好ましい。添加剤としては特に限定されないが、硬化触媒、充填剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、脱水剤、着色剤、タレ防止剤、増粘剤、物性調整剤、補強剤、揺変剤、老化防止剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、溶剤、担体、賦形剤、防腐剤、結合剤、酸化防止剤、膨化剤、等張剤、溶解補助剤、保存剤、緩衝剤、希釈剤等が挙げられる。これらを1種または2種以上含むことができる。
添加剤として具体的には、水、生理食塩水、医薬的に許容される有機溶媒、ゼラチン、コラーゲン、トレハロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガント、カゼイン、寒天、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、PBS、非イオン性界面活性剤、生体内分解性ポリマー、無血清培地、医薬添加物として許容される界面活性剤あるいは生体内で許容し得る生理的pHの緩衝液などが挙げられる。
担体は、使用部位に応じて上記の中から適宜あるいは組合せて選ばれるが、これらに限定されるものではない。
中でも、多糖誘導体の保存剤として、トレハロースが好ましく挙げられる。
本発明の医療用処置材は、多糖誘導体および炭酸塩は、通常、用時混合まで非接触状態である。さらに、他の成分を含む場合には、その種類にもよるが、用時まで、多糖誘導体と接触した状態でも、別々の状態で提供されてもよい。
本発明の医療用処置材の好ましい態様は、適当なプロペラントによりエアロゾルやペーストなどの製剤として調製することができる。特に好ましい使用形態は、噴霧用液状組成物(エアロゾル)である。液状で要部に噴霧適用することにより、架橋マトリックス中に炭酸ガスを内包しやすく、視認性の架橋マトリックスを効果的に得ることができる。
未架橋の架橋性多糖誘導体と、炭酸塩との各成分は、好ましくは2口以上のノズルを有する噴霧器あるいは流路中に混合部をもつノズルを有する噴霧器などを用いて、同一の適用箇所に噴霧する。
本発明に係る医療用処置材は、癒着防止材、止血材、医療用接着材などとして有用である。特に、癒着防止材として有用である。
癒着防止材とは、生体の癒着防止箇所またはその近辺にて癒着の防止を目的として使用される物質を意味し、生体に有害な毒性が低い安全な成分からなり、生体に許容される。癒着防止材は、生体において分解性を有してもよいし、非分解性であってもよいが、好ましくは、生体分解性である。目的とする箇所に癒着防止材を付し、癒着の発生が予測される箇所を覆うことにより、癒着が阻害され、癒着防止効果を発揮する。
以下に、実施例をもって本発明を一層具体的に説明するが、これらは一例として示すものであり、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
(合成例1)NHSデキストリンの調製
1.活性エステル化原料の調製
酸型多糖カルボキシメチルデキストリン(以下、CMデキストリン)の調製
500mLフラスコ中、デキストリン(商品名サンデックSD#100,三和澱粉社、質量平均分子量1.5万)10gを、純水62.5gに溶解させた。36wt%水酸化ナトリウム水溶液62.5gを添加して、室温で90分間撹拌した。そこに、クロル酢酸10.91g(109.1mmol)に蒸留水を加え75gとしたクロル酢酸水溶液を添加し、60℃で6時間反応させた。室温まで冷却した後、20%HCl水溶液を80mL添加し、CMデキストリンを含む反応液を得た。
次に、エタノール4450mLおよび水180mLを含む5Lビーカー中に、撹拌下、上記で得た反応液全量を添加した。析出物を濾集し、最初に90%エタノール水溶液2Lで、次にエタノール2Lで洗浄した後、室温で24時間減圧乾燥し、CMデキストリンを得た。上記で得られたCMデキストリンの、カルボキシ基およびカルボキシメチル基の基量(mmol/g)を求めたところ、0.8mmol/gであった。この基量の定量方法を下記する。
カルボキシ基およびカルボキシメチル基の定量:酸型多糖0.2g(A(g))を秤取り、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液20mLと80vol%メタノール水溶液10mLとの混合溶液に添加し、25℃で3時間撹拌した。得られた溶液に、指示薬として1.0%フェノールフタレイン(W/V)/90vol%エタノール水溶液を3滴添加し、0.05mol/L硫酸を使用して酸塩基逆滴定を行い、0.05mol/L硫酸の使用量(V1 mL)を測定した(フェノールフタレイン、和光純薬工業社製)。また、酸型多糖を添加しない以外は同様にして行ったブランクでの0.05mol/L硫酸の使用量(V0mL)を測定した。下記式(1)に従い、酸型多糖のカルボキシ基およびカルボキシメチル基の基量(Bmmol/g)を算出する。なお、使用した0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.05mol/L硫酸の力価は、ともに1.00である。
B=(V0−V1)×0.1÷A ・・・(1)
A:酸型多糖の質量(g)
B:カルボキシ基およびカルボキシメチル基の基量(mmol/g)
2.CMデキストリンの活性エステル化
1Lフラスコ内に、上記で得られたCMデキストリン(カルボキシメチル基量0.8mmol/g)10g(8mmol)、DMSO300gを装入し、室温で撹拌して完全に溶解した。その後、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(和光純薬工業社製)9.3g(80mmol)を添加し、室温で撹拌して完全に溶解した。次に、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(和光純薬工業社製)15.4g(80mmol)を添加して、室温で撹拌して完全に溶解した後、室温で16時間撹拌して、NHSデキストリンを含む反応液を得た。
次に、エタノール/アセトン=1:1(v/v)2Lを含む3Lビーカー中に、撹拌下、上記で得たNHSデキストリンを含む反応液全量を添加した。析出物を濾過(桐山ロート)し、最初にエタノール/アセトン=1:1(v/v)800mL、次にアセトン800mLを用いてロート上で洗浄した。濾物を室温で24時間減圧乾燥し、NHSデキストリンを得た。
上記で得られたNHSデキストリンについて先に説明の方法で求めたNHS導入率は75%であった。
(試験例1)視認性試験
上記で得られたNHSデキストリンの20wt%溶液0.4mlを、ポリプロピレン製試験管に秤り取り、ここに、実施例として、0.5M炭酸ナトリウム/0.5M炭酸水素ナトリウム混合液(pH9.2)を0.1mLまたは比較例として、(1.0Mリン酸水素二ナトリウム(pH8.4)を0.1mL加え、2分間放置した。この反応物を、文字を印字したシート上に置いた。デジタル写真を図1に示す。
写真に示されるとおり、本発明の実施例(図1(A)参照)の反応物は、懸濁して下方の文字が透けず、ゲル化が視認できる。一方、比較例(図1(B)参照)の反応物は、ゲル化後も透明で、下方の文字が透して見える。
上記と同様に、表1に示す各アルカリ材を0.1ml加え、反応物を透して文字が確認できなければ、視認性あり(○)、文字が確認できれば、視認性なし(×)と判定した。結果を表1に示す。
(試験例2)可使時間の評価
NHSデキストリンをRO水(逆浸透ろ過水)に溶解し、任意の時間(0分、20分、30分、60分)放置した後、表1に記載の炭酸塩および/または他のアルカリ塩を表1に示す量加えて軽く振り混ぜた。各塩を加えてから20秒後に試験管を反転させ、内容物が流動しなければ○、流動すれば×と判定した。結果を表1に示す。
表1に示されるとおり、NHSデキストリンは、本発明で特定される量の2価アニオン性炭酸塩との組み合わせにより、長い可使時間を示し、かつ視認性の架橋ゲルを形成する(試験番号1,2,4および5)。これに対し、2価アニオン性炭酸塩を用いない場合には、NHSデキストリンのリン酸系、クエン酸系アルカリによる架橋ゲルは視認性を示さない(試験番号9,10)。またこれらは、可使時間も不充分であった。
2価アニオン性炭酸塩を用いを用いても、本発明で特定される量に満たない量の場合には、視認性が得られず、可使時間が不充分である(試験番号3)か、視認性が得られても医療用処置材としては可使時間が不充分である(試験番号6)ことが示された。
Figure 0005527898

Claims (11)

  1. 多糖側鎖に導入された、アルカリ共存下で活性水素と反応しうる活性エステル基を有する未架橋の架橋性多糖誘導体と、該多糖誘導体に対する質量比で0.03以上の量の2価の炭酸イオンを生成する炭酸塩および炭酸水素塩を含む炭酸塩との少なくとも2成分からなる架橋性組成物からなる医療用処置材。
  2. 前記2価の炭酸イオンを生成する炭酸塩が炭酸ナトリウムである請求項1に記載の医療用処置材。
  3. 記炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウムである請求項1または2に記載の医療用処置材。
  4. 前記炭酸水素塩を、前記2価の炭酸イオンを生成する炭酸塩に対するモル比で1以下の割合で含む請求項1〜のいずれかに記載の医療用処置材。
  5. 前記炭酸塩以外のアルカリ塩をさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載の医療用処置材。
  6. 前記架橋性多糖誘導体が、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を、さらに含む請求項1〜5のいずれかに記載の医療用処置材。
  7. 前記架橋性多糖誘導体が、カルボン酸基を、前記活性エステル基が誘導および未誘導カルボン酸基の全量で、多糖誘導体の乾燥質量に対し、0.1〜5mmol/gの量で含む請求項1〜6のいずれかに記載の医療用処置材。
  8. 前記多糖がデキストリンである請求項1〜7のいずれかに記載の医療用処置材。
  9. 癒着防止材および/または止血材および/または医療用接着材である請求項1〜8のいずれかに記載の医療用処置材。
  10. 噴霧用液状組成物である請求項1〜9のいずれかに記載の医療用処置材。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の医療用処置材から形成される炭酸ガスを内包する視認性架橋物。
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