JP2023092391A - 止血材組成物 - Google Patents

止血材組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2023092391A
JP2023092391A JP2021207606A JP2021207606A JP2023092391A JP 2023092391 A JP2023092391 A JP 2023092391A JP 2021207606 A JP2021207606 A JP 2021207606A JP 2021207606 A JP2021207606 A JP 2021207606A JP 2023092391 A JP2023092391 A JP 2023092391A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
material composition
crosslinked
hemostatic material
composition according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021207606A
Other languages
English (en)
Inventor
守 倉本
Mamoru Kuramoto
俊英 芳谷
Shunei Yoshitani
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2021207606A priority Critical patent/JP2023092391A/ja
Priority to EP22211758.2A priority patent/EP4201438A1/en
Priority to CN202211575620.9A priority patent/CN116271192A/zh
Priority to US18/062,577 priority patent/US20230190992A1/en
Priority to AU2022283725A priority patent/AU2022283725A1/en
Priority to CA3185374A priority patent/CA3185374A1/en
Publication of JP2023092391A publication Critical patent/JP2023092391A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L24/00Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices
    • A61L24/04Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices containing macromolecular materials
    • A61L24/043Mixtures of macromolecular materials
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L24/00Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices
    • A61L24/04Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices containing macromolecular materials
    • A61L24/08Polysaccharides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L24/00Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices
    • A61L24/001Use of materials characterised by their function or physical properties
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L24/00Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices
    • A61L24/04Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices containing macromolecular materials
    • A61L24/10Polypeptides; Proteins
    • A61L24/104Gelatin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L26/00Chemical aspects of, or use of materials for, wound dressings or bandages in liquid, gel or powder form
    • A61L26/0009Chemical aspects of, or use of materials for, wound dressings or bandages in liquid, gel or powder form containing macromolecular materials
    • A61L26/0023Polysaccharides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L2400/00Materials characterised by their function or physical properties
    • A61L2400/04Materials for stopping bleeding

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】保存安定性に優れる止血材組成物の提供。【解決手段】タンパク質と反応して架橋構造を形成する反応性基を有する多糖類と、疎水性溶媒と、架橋タンパク質及び架橋多糖類からなる群より選択される1種以上の化合物を含む架橋粒子と、を含有する、止血材組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、止血材組成物に関する。
制御不能な出血は依然として、外傷性傷害及び外科的傷害の主な死亡原因である。したがって、出血を制御するための有効な治療アプローチの開発は、臨床的及び社会的に極めて重要である。
これまで、外科手術に用いられる止血材としては、フィブリン糊、酸化セルロース不織布、コラーゲンスポンジ、でんぷん微粒子、トロンビン含有ゼラチンペースト等が知られており、これらは多様な形態で使用されている。
中でも、トロンビン含有ゼラチンペーストとしてフロシール(登録商標、Baxter社製)及びサージフロー(Echicon社製)が広く知られている。
トロンビンは、血液中に含まれるフィブリノーゲンを活性化させ、フィブリン網を形成し、フィブリン網は血球と共に、血餅を形成することにより出血部を封止する作用がある。トロンビンは適切に選別されたヒト血液からウイルス不活化工程及び除去工程を経て精製されるが、感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないという問題がある。そのため、安全性に優れる止血材の開発が求められている。
特許文献1では、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基を有するポリエチレングリコールと、親水性溶媒であるポリエチレングリコールと、架橋ゼラチン粒子とを含有する、止血材組成物が開示されている。
特許第6195568号公報
今般、本発明者らは、特許文献1において開示される止血材組成物は、ポリエチレングリコールが有するN-ヒドロキシスクシンイミドエステル基が、親水性溶媒に含まれる微量な水分、親水性溶媒が有する水酸基等と反応し、分解され、経時的に止血性が低下してしまい、その保存安定性には改善の余地があるとの課題を新たに見出した。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、保存安定性に優れる止血材組成物を提供することである。
課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> タンパク質と反応して架橋構造を形成する反応性基を有する多糖類と、疎水性溶媒と、架橋タンパク質及び架橋多糖類からなる群より選択される1種以上の化合物を含む架橋粒子と、を含有する、止血材組成物。
<2> 上記架橋粒子が、上記架橋タンパク質を含み、且つ
上記架橋タンパク質が、架橋ゼラチンである、上記<1>に記載の止血材組成物。
<3> 上記架橋粒子の平均一次粒子径が、20μm~700μmである、上記<1>又は<2>に記載の止血材組成物。
<4> 上記反応性基が、-CON(COCH、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基、イミドエステル基、アルデヒド基、カルボキシ基、イソシアネート基、マレイミド基及びハロアセチル基からなる群より選択される1種以上の基である、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の止血材組成物。
<5> 上記反応性基が、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基である、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の止血材組成物。
<6> 上記多糖類が、セルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム、キチン、キトサン及びこれらの変性体からなる群より選択される1種以上の多糖類に由来する構造を含む、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載の止血材組成物。
<7> 上記多糖類が、上記反応性基を有する単糖類に由来する構成単位を含み、且つ
上記多糖類100mol%に対する上記反応性基を有する単糖類に由来する構成単位の含有率が、1mol%~40mol%である、上記<1>~<6>のいずれか1つに記載の止血材組成物。
<8> 上記反応性基を有する単糖類に由来する構成単位が、下記一般式(1)で表される、上記<7>に記載の止血材組成物。
Figure 2023092391000001


一般式(1)中、Lは、下記式で表される基である。
Figure 2023092391000002
上記式中、n及びmは、1~3の整数を表し、*は、テトラヒドロフラン側の酸素原子に連結する部位を表し、**は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基側の酸素原子に連結する部位を表す。
<9> 上記多糖類の重量平均分子量が、2000~2500000である、上記<1>~<8>のいずれか1つに記載の止血材組成物。
<10> 上記疎水性溶媒が、植物油、パラフィン系溶媒、オレフィン系溶媒、シリコーンオイル系溶媒、脂肪酸エステル系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒及びテルペン系溶媒からなる群より選択される1種以上である、上記<1>~<9>のいずれか1つに記載の止血材組成物。
<11> 25℃の上記疎水性溶媒の動粘度が、1mm/秒~1000mm/秒である、上記<1>~<10>のいずれか1つに記載の止血材組成物。
<12> 止血材組成物の総質量に対する上記疎水性溶媒の含有率が、30質量%~80質量%である、上記<1>~<11>のいずれか1つに記載の止血材組成物。
<13>水を含有しない、又は水を含有し、且つ止血材組成物の総質量に対する水の含有率が0.5質量%以下である、上記<1>~<12>のいずれか1つに記載の止血材組成物。
本開示によれば、保存安定性に優れる止血材組成物を提供することができる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「疎水性溶媒」とは、水と混和性が低いことを意味し、20℃のイオン交換水(pH6~8)1Lに20g以上溶解せず均一な水溶液とならないもの、すなわち、水への溶解度が20g/L未満である溶剤を指す。また、本開示において、上記溶解度が20g/L以上である溶媒を親水性溶媒という。
ここで、イオン交換水のpHは、20℃で、イオン交換水が空気に触れてから3分以内に測定した値を表す。
[止血材組成物]
本開示の止血材組成物は、タンパク質と反応して架橋構造を形成する反応性基(以下、「特定反応性基」とも記載する。)を有する多糖類(以下、「特定多糖類」とも記載する。)と、疎水性溶媒と、架橋タンパク質及び架橋多糖類からなる群より選択される1種以上の化合物を含む架橋粒子と、を含有する。
本開示の止血材組成物は、保存安定性に優れる。上記効果が奏される理由は以下のように推測されるが、これに限定されない。
本開示の止血材組成物は疎水性溶媒を含有し、上記疎水性溶媒中に、特定多糖類は、分散した状態で存在する。特定多糖類が有する特定反応性基は、疎水性溶媒中では分解されにくく、優れた保存安定性を示すと推測される。
また、本開示の止血材組成物が架橋粒子を含有することにより、この架橋粒子が、組成物中等の微量な水分を吸収し、特定多糖類の分解が抑制され、優れた保存安定性を示すと推測される。さらに架橋粒子の中でも、架橋ゼラチンは、たんぱく質構造を有するため、水との親和性が高く、上記保存安定性の効果がより顕著に発揮されると推測される。
本開示の止血材組成物の状態は、特に限定されるものではないが、生体への適用容易性の観点から、ペースト状態であることが好ましい。
[特定多糖類]
特定多糖類は、タンパク質と反応して架橋構造を形成する特定反応性基を有する。
特定反応性基は、タンパク質が有するアミノ基等と反応し、架橋構造を形成することができる基であれば、特に限定されるものではないが、止血性を向上する観点からは、-CON(COCH、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基(以下、「NHS-エステル基」とも記載する。)、イミドエステル基、アルデヒド基、カルボキシ基、イソシアネート基、マレイミド基及びハロアセチル基からなる群より選択される1種以上の基であることが好ましく、NHS-エステル基がより好ましい。
特定多糖類は、特定反応性基を2種以上有していてもよい。また、本開示の止血材組成物は、特定多糖類を2種以上含有してもよい。
なお、本開示において、特定反応基を有しない多糖類を非特定多糖類ともいう。
特定多糖類は、2以上の単糖類に由来する構成単位を含む。
保存安定性及び止血性を向上する観点、並びに生体適合性の観点から、特定多糖類は、セルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム、キチン、キトサン及びこれらの変性体からなる群より選択される1種以上の多糖類に由来する構造を含むことが好ましく、デキストランに由来する構造を含むことが好ましい。
上記した多糖類が有する構造は、特定反応基により変性されたものであることが好ましい。また、上記した多糖類が有する構造は、カルボキシ変性されたものであってもよい。
本開示において、変性体とは、セルロース等と、カルボキシ基等の官能基とを反応させることにより、官能基を導入した化合物を指す。
保存安定性及び止血性を向上する観点から、特定多糖類は、特定反応性基を有する単糖類に由来する構成単位(以下、「特定構成単位」とも記載する。)を含み、且つ特定多糖類100mol%に対する特定構成単位の含有率は、1mol%~40mol%であることが好ましく、3mol%~30mol%であることがより好ましく、5mol%~25mol%であることがさらに好ましい。
保存安定性及び止血性を向上する観点、生体適合性の観点等から、特定構成単位は、下記一般式(1)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2023092391000003
一般式(1)中、Lは、下記式で表される基である。
下記式中、n及びmは、1~3の整数を表し、*は、テトラヒドロフラン側の酸素原子に連結する部位を表し、**は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基側の酸素原子に連結する部位を表す。
Figure 2023092391000004
上記した基の中でも、反応性基の反応速度が最も高く止血性を向上する観点からは、Lは、下記式で表される基であることが好ましい。
Figure 2023092391000005
生体適合性の観点等から、特定多糖類は、上記式(1)で表される構成単位に加え、下記式(2)で表される構成単位を含むことが好ましい。
Figure 2023092391000006
特定多糖類が式(2)で表される構成単位を含む場合、特定多糖類100mol%に対する式(2)で表される構成単位の含有率は、40mol%~90mol%であることが好ましく、45mol%~80mol%であることがより好ましい。
特定多糖類は、下記式(3)で表される構成単位を含むことができ、これにより、水溶解時のpHを下げることができる。N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基等の特定反応性基は低pHの溶液中において分解が抑制されるため、大気中、組成物等のわずかな水分に対する分解反応を抑制することができる。
Figure 2023092391000007
特定多糖類が式(3)で表される構成単位を含む場合、特定多糖類100mol%に対する式(3)で表される構成単位の含有率は、5mol%~40mol%であることが好ましく、8mol%~30mol%であることがより好ましい。
特定多糖類の重量平均分子量(Mw)は、2000~2500000であることが好ましく、5000~2000000であることがより好ましく、10000~750000であることがさらに好ましく、20000~200000であることが特に好ましい。
特定多糖類のMwが2000以上であることにより、特定多糖類が有する特定反応性基がタンパク質と反応し、架橋構造を形成した際の被膜が良好に形成され、止血性がより向上する。特定多糖類のMwが2500000以下であることにより、特定多糖類の合成を容易に行うことができ、且つ特定多糖類を含有する止血材組成物の取扱い性に優れる。
また、特定多糖類のMwが2000以上であることにより、特定多糖類が有する特定反応性基の数の調整を容易に行うことができ、止血性及び保存安定性を向上することができる。なお、特定多糖類の数は、特定多糖類の合成時に使用する反応性基を有する単糖類の割合を調整することにより、調整することができる。
止血箇所に適用した止血材組成物は、止血完了後には余剰部分が除去されることが好ましく、通常、生理食塩水等により除去される。特定多糖類のMwが2500000以下であることにより、上記除去性を向上することができる。
本開示において、Mwは、試料を超純水へ0.1質量%の濃度となるように溶解させ、孔径0.45μmフィルターを用いてろ過を行い、得られたろ液に対し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定を行うことにより求める。測定条件は、下記の通りである。
(測定条件)
・カラム:TSK gel G6000PWXL+G4000PWXL+G2500PWXL
・流量:0.7mL/分
・カラム温度:40℃
・注入量:100μL
・溶離液:100mM NaNOaq.
・試料濃度:1000ppm
・検出:RI(Refractive Index Detector)
・分析時間:60分間
・標準試料:プルラン5.8k,12.2k,23.7k,48.0k,100k,186k,380k,853k(Shodex Standard P-82)
保存安定性及び止血性を向上する観点から、止血材組成物の総質量に対する特定多糖類の含有率は、1質量%~60質量%であることが好ましく、5質量%~50質量%であることがより好ましく、15質量%~30質量%であることがさらに好ましい。
保存安定性、止血性及び除去性を向上する観点から、20℃の疎水性溶媒100gに対する特定多糖類の溶解度は、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。上記溶解度の下限は、特に限定されるものではなく、0質量%であってもよい。
例えば、20℃における疎水性溶媒100gへの溶解度が1質量%であるとは、疎水性溶媒100gへ溶解する特定多糖類の量が1gであることを意味する。
[疎水性溶媒]
疎水性溶媒は、保存安定性、止血性及び除去性を向上する観点から、20℃のイオン交換水1Lに対する溶解度が20g/L未満であることが好ましく、5g/L未満であることがより好ましく、1g/L未満であることがさらに好ましい。上記溶解度の下限は、特に限定されるものではなく、0g/Lであってもよい。
疎水性溶媒の種類は、特に限定されるものではなく、保存安定性及び止血性を向上する観点、並びに生体への適用容易性の観点から、疎水性溶媒は、植物油、パラフィン系溶媒、オレフィン系溶媒、シリコーンオイル系溶媒、脂肪酸エステル系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒及びテルペン系溶媒からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、植物油及び脂肪酸エステル系溶媒からなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、植物油がさらに好ましい。
本開示においては、「植物油」とは、植物を原料とする油であれば特に限定されず、これらの誘導体であってもよく、脂肪酸グリセリドを含有する植物油が好ましい。植物油としては、亜麻仁油、えごま油、オリーブ油、グレープシード油、コーン油、やし油、ごま油、こめ油、大豆油、なたね油、パーム油、ひまわり油、べに花油、綿実油、落花生油、アボカド油、アーモンド油、アルガン油、カカオ油、シアバター、ツバキ油、ピーナッツ油、ヒマシ油等が挙げられる。
パラフィン系溶媒としては、オクタン、デカン、ドデカン、トリデカン等が挙げられる。
オレフィン系溶媒としては、デセン、ドデセン等が挙げられる。
シリコーンオイル系溶媒としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系溶媒としては、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、パームオレイン酸メチル、カプリル酸-2-エチルヘキシル、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノ12-ヒドロキシステアレート、グリセリンモノオレート、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、オレイン酸アルキル(オレイン酸エチル、オレイン酸メチル等)、オレイン酸トリグリセリド、リノール酸アルキル(リノール酸メチル、リノール酸エチル等)、リノール酸トリグリセリド、ジオレイン酸グリセリドなどが挙げられる。
ハロゲン化アルキル系溶媒としては、塩化メチレン、1,1,1-トリクロロエタン等が挙げられる。
テルペン系溶媒としては、D-リモネン等が挙げられる。
本開示の止血材組成物は、疎水性溶媒を2種以上含有してもよい。
疎水性溶媒の分子量は、300~1500であることが好ましい。
医療用途に用いるため、高周波処置などにより瞬間的に高温になる場合がある。このため、実際の手術を想定した安全性の観点から、疎水性溶媒は不揮発性であることが好ましい。不揮発性の溶媒とは、沸点が50℃以上の溶媒を指し、100℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましい。
本開示において、沸点の測定は、1気圧(101325Pa)下における沸点を意味する。沸点は、沸点計により測定され、例えば、タイタンテクノロジーズ社製の沸点測定器(製品名「DosaTherm300」)を用いて測定される。
生体への適用容易性及び生体からの水洗除去性を向上し、且つ経時的な液分離を抑制する観点から、25℃の疎水性溶媒の動粘度は、1mm/秒~1000mm/秒であることが好ましく、5mm/秒~200mm/秒であることがより好ましく、20mm/秒~100mm/秒であることがさらに好ましい。
本開示において、動粘度の測定は、JIS K 2283(2000)に準拠して行う。
保存安定性及び止血性を向上する観点から、止血材組成物の総質量に対する疎水性溶媒の含有率は、25質量%~75質量%であることが好ましく、30質量%~70質量%であることがより好ましく、40質量%~60質量%であることがさらに好ましい。
[架橋粒子]
本開示の止血材組成物は、架橋タンパク質及び架橋多糖類からなる群より選択される1種以上の化合物を含む架橋粒子を含有する。架橋粒子を含有する止血材組成物を血液と混合した場合、血液中の水分が架橋粒子に取り込まれ、血液中におけるタンパク質の濃度が向上し、特定多糖類との反応性が向上し、止血性がより向上する。
また、止血効果を向上することを目的として、出血部位へ適用した止血材組成物を、食塩水等を含浸させたガーゼ等により圧迫する場合がある。止血材組成物に架橋粒子を含有させることにより、圧迫後に剥離するガーゼ等への止血材組成物の転写を抑制することができる。これは、ガーゼ等に含浸させた生理食塩水等を架橋粒子が取り込み、架橋の程度に応じて膨潤し、ガーゼと止血材組成物との接触面積が小さくなるためと推測される。
本開示において、架橋粒子とは、2以上のたんぱく質等が架橋した粒子を意味する。また、本開示において、架橋タンパク質とは2以上のタンパク質が架橋したものを指し、架橋多糖類とは、2以上の多糖類が架橋したものを指す。
上記架橋タンパク質としては、架橋ゼラチン、架橋コラーゲン、架橋アルブミン、架橋ヘモグロビン、架橋フィブリノーゲン、架橋フィブリン、架橋カゼイン、架橋エラスチン、架橋ケラチン等が挙げられる。
上記架橋多糖類を構成する多糖類としては、架橋セルロース、架橋デキストラン、架橋デキストリン、架橋プルラン、架橋ヒアルロン酸、架橋アルギン酸、架橋キサンタンガム、架橋キチン、架橋キトサン、これらの変性体等が挙げられる。
本開示の止血材組成物は、架橋粒子を2種以上含有してもよい。
保存安定性、止血性及び転写抑制性を向上する観点からは、架橋粒子は、架橋タンパク質を含み、且つ架橋タンパク質が、架橋ゼラチンであることが好ましい。
水分の取り込み性を向上させ、止血性を向上する観点から、上記架橋タンパク質及び架橋多糖類は、親水性ポリマーであることが好ましい。
保存安定性及び止血性を向上する観点、並びにガーゼへの止血材組成物の転写を抑制する観点から、架橋粒子の総質量に対する架橋タンパク質及び架橋多糖類の含有率の和は、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。
水分の取り込み性を向上させ、保存安定性及び止血性を向上する観点、ガーゼへの止血材組成物の転写を抑制する観点、並びに血管内等への侵入抑制性の観点から、架橋粒子の平均一次粒子径は、20μm~700μmであることが好ましく、100μm~700μmであることがより好ましく、200μm~700μmであることがさらに好ましい。
本開示において、平均一次粒子径の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)の画像から無作為に選択した50個の粒子径を算術平均することにより求める。なお、粒子の粒子径は、一次粒子径を測定する。
保存安定性を向上する観点、水分の取り込み性を向上させ、止血性を向上する観点、ガーゼへの止血材組成物の転写を抑制する観点及び血管内等への侵入抑制性の観点から、止血材組成物の総質量に対する架橋粒子の含有率は、1質量%~50質量%であることが好ましく、8質量%~40質量%であることがより好ましく、20質量%~40質量%がさらに好ましい。
[特定多糖類、疎水性溶媒及び架橋粒子以外の成分]
本開示の止血材組成物は、特定多糖類、疎水性溶媒及び架橋粒子以外の成分を含有していてもよく、アスコルビン酸等の安定化剤、抗生物質、血管収縮剤、色素、成長因子、増殖因子、骨形成タンパク質、鎮痛剤、抗炎症剤、トラネキサム酸等の抗線溶剤などが挙げられる。
本開示の止血材組成物は、水を含有してもよいが、保存安定性の観点から、止血材組成物の総質量に対する水の含有率は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましく、0.1質量%以下であることが最も好ましく、含有しないことが最も好ましい。
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、表1~表3中の数値の単位は、特に断りがない場合には、質量%である。
(合成例1)
カルボキシメチルデキストランナトリウムA(名糖産業株式会社製、CMD-D40、Mw40000)10gを、100gの蒸留水に溶解させ、10質量%塩酸水溶液を13g加えた。得られた溶液を1600mLのメタノールに再沈殿させ、濾物をメタノールにより洗浄した後、室温(25℃)において、24時間真空乾燥させることにより、10.44gのカルボキシメチルデキストランXを得た。
次に、カルボキシメチルデキストランX10gをジメチルアセトアミド(DMAc)100gに溶解させ、N-ヒドロシクシンイミド(富士フイルム和光純薬株式会社製)3.78g及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC塩酸塩、富士フイルム和光純薬株式会社製)6.30gをそれぞれ添加し、40℃にて4時間攪拌した。
得られた溶液を、350mLのメタノールに再沈殿させ、濾物をメタノール及びアセトンにより洗浄後、室温(25℃)において、24時間真空乾燥させることにより、10.6gのN-ヒドロシクシンイミドエステル基を有するカルボキシメチルデキストランA(以下、「NHS-カルボキシメチルデキストラン」とも記載する。)を得た。なお、NHS-カルボキシメチルデキストランAは、上記した一般s式(1)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位から構成されるものであった。
NHS-カルボキシメチルデキストランA10mgを1gの重水に溶解させ、40℃に加熱し、24時間加水分解を行った。
核磁気共鳴装置(BRUKER社製、400MHzNMR、積算回数:16回)を用いて、NHS-カルボキシメチルデキストランAの加水分解物を入手し、得られたスペクトルにおいて、グルコピラノース環1位のプロトン(4.82ppm~5.47ppm)に対する、遊離したN-ヒドロシクシンイミドのプロトン(2.67ppm~2.74ppm)の割合を求めることにより、NHS-カルボキシメチルデキストランA100mol%に対するN-ヒドロシクシンイミドエステル基を有する単糖類に由来する構成単位(一般式(1)で表される構成単位)の含有率を算出したところ、14.8mol%であった。
同様に、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位の含有率を算出したところ、それぞれ、70mol%、15.2mol%であった。
また、NHS-カルボキシメチルデキストランAのMwは、45000であった。
(合成例2)
水酸化ナトリウム19.6gを、蒸留水106gに溶解させ、そこにプルラン(東京化成工業株式会社製)10gを少しずつ添加し溶解させ、90分間攪拌した。
攪拌後、クロロ酢酸水溶液(クロロ酢酸7gを蒸留水63gに溶解したもの)を加え、60℃で6時間反応させた。
室温(25℃)まで冷却後、20質量%塩酸水溶液を65g添加し2時間攪拌した。得られた溶液を2500mLのメタノールに再沈殿させ、濾物をメタノールにより洗浄後、室温(25℃)において、24時間真空乾燥させることにより、10.85gのカルボキシメチルプルランを得た。
カルボキシメチルデキストランXを、カルボキシメチルプルランに変更し、且つN-ヒドロシクシンイミド及びEDC塩酸塩の添加量をそれぞれ1.69g、2.81gに変更した以外は、合成例1と同様にして、NHS-カルボキシメチルプルランを得た。なお、NHS-カルボキシメチルプルランは、上記した一般式(1)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位から構成されるものであった。
また、NHS-カルボキシメチルプルラン100mol%に対するN-ヒドロシクシンイミドエステル基を有する単糖類に由来する構成単位(一般式(1)で表される構成単位)の含有率を算出したところ、6.3mol%であった。
同様に、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位の含有率を算出したところ、それぞれ、70mol%、23.7mol%であった。
また、NHS-カルボキシメチルプルランのMwは、12000であった。
(合成例3)
水酸化ナトリウム19.6gを、蒸留水106gに溶解させ、そこにデキストリン(三和澱粉工業株式会社製、サンデック(登録商標)#100)10gを少しずつ添加し、溶解させ、90分間攪拌した。
攪拌後、クロロ酢酸水溶液(クロロ酢酸7gを蒸留水63gに溶解したもの)を加え、60℃で6時間反応させた。
室温(25℃)まで冷却後、20質量%塩酸水溶液を65g添加し2時間攪拌した。得られた溶液を2500mLのメタノールに再沈殿させ、濾物をメタノールにより洗浄後、室温(25℃)において、24時間真空乾燥させることにより、10.25gのカルボキシメチルデキストリンを得た。
カルボキシメチルデキストランXを、カルボキシメチルデキストリンに変更し、且つN-ヒドロシクシンイミド及びEDC塩酸塩の添加量をそれぞれ3.31g、5.51gに変更した以外は、合成例1と同様にして、NHS-カルボキシメチルデキストリンを得た。なお、NHS-カルボキシメチルデキストリンは、上記した一般式(1)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位から構成されるものであった。
また、NHS-カルボキシメチルデキストリン100mol%に対するN-ヒドロシクシンイミドエステル基を有する単糖類に由来する構成単位(一般式(1)で表される構成単位)の含有率を算出したところ、10mol%であった。
同様に、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位の含有率を算出したところ、それぞれ、70mol%、20mol%であった。
また、NHS-カルボキシメチルデキストリンのMwは、18000であった。
(合成例4)
合成例1で合成したカルボキシメチルデキストランX10gをDMAc100gに溶解させ、N-ヒドロシクシンイミド(富士フイルム和光純薬株式会社製)5.67g及びEDC塩酸塩(富士フイルム和光純薬株式会社製)9.45gをそれぞれ添加し、40℃にて4時間攪拌した。
得られた溶液を、350mLのメタノールに再沈殿させ、濾物をメタノール及びアセトンにより洗浄後、室温(25℃)において、24時間真空乾燥させることにより、11.2gのNHS-カルボキシメチルデキストランBを得た。なお、NHS-カルボキシメチルデキストランBは、上記した一般式(1)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位から構成されるものであった。
また、NHS-カルボキシメチルデキストランB100mol%に対するN-ヒドロシクシンイミドエステル基を有する単糖類に由来する構成単位(一般式(1)で表される構成単位)の含有率を算出したところ、21mol%であった。
同様に、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位の含有率を算出したところ、それぞれ、70mol%、9mol%であった。
また、NHS-カルボキシメチルデキストランBのMwは、47000であった。
(合成例5)
合成例1で合成したカルボキシメチルデキストランX10gをDMAc100gに溶解させ、N-ヒドロシクシンイミド(富士フイルム和光純薬株式会社製)1.32g及びEDC塩酸塩(富士フイルム和光純薬株式会社製)2.20gをそれぞれ添加し、40℃にて4時間攪拌した。
得られた溶液を、350mLのメタノールに再沈殿させ、濾物をメタノール及びアセトンにより洗浄後、室温(25℃)において、24時間真空乾燥させることにより、10.1gのNHS-カルボキシメチルデキストランCを得た。なお、NHS-カルボキシメチルデキストランCは、上記した一般式(1)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位から構成されるものであった。
また、NHS-カルボキシメチルデキストランC100mol%に対するN-ヒドロシクシンイミドエステル基を有する単糖類に由来する構成単位(一般式(1)で表される構成単位)の含有率を算出したところ、2.2mol%であった。
同様に、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位の含有率を算出したところ、それぞれ、70mol%、27.8mol%であった。
また、NHS-カルボキシメチルデキストランCのMwは、44000であった。
(合成例6)
カルボキシメチルデキストランナトリウムAを、カルボキシメチルデキストランナトリウムB(名糖産業株式会社製、CMD-500、Mw500000)に変更した以外は、合成例1と同様にして、NHS-カルボキシメチルデキストランDを得た。なお、NHS-カルボキシメチルデキストランDは、上記した一般式(1)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位から構成されるものであった。
また、NHS-カルボキシメチルデキストランD100mol%に対するN-ヒドロシクシンイミドエステル基を有する単糖類に由来する構成単位(一般式(1)で表される構成単位)の含有率を算出したところ、15mol%であった。
同様に、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位の含有率を算出したところ、それぞれ、70mol%、15mol%であった。
また、NHS-カルボキシメチルデキストランDのMwは、530000であった。
(合成例7)
カルボキシメチルデキストランナトリウムAを、カルボキシメチルデキストランナトリウムC(名糖産業株式会社製、CMD-L、Mw10000)に変更した以外は、合成例1と同様にして、NHS-カルボキシメチルデキストランEを得た。なお、NHS-カルボキシメチルデキストランGは、上記した一般式(1)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位から構成されるものであった。
また、NHS-カルボキシメチルデキストランE100mol%に対するN-ヒドロシクシンイミドエステル基を有する単糖類に由来する構成単位(一般式(1)で表される構成単位)の含有率を算出したところ、15mol%であった。
同様に、式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位の含有率を算出したところ、それぞれ、70mol%、15mol%であった。
また、NHS-カルボキシメチルデキストランEのMwは、11000であった。
(合成例8)
ジフェニルメタンジイソシアネート(富士フイルム和光純薬株式会社製)5gを、トルエン(富士フイルム和光純薬株式会社製)90g及びジフェニルメタンジイソシアネート(富士フイルム和光純薬株式会社製)5gの混合溶液に溶解させ、キトサン(株式会社ゼネラルサイエンスコーポレーション製、Mw15000、パウダー状、脱アセチル化度84%)5gを分散させた。
得られた分散液を100℃で24時間攪拌し、室温(25℃)に冷却後、ろ過し、得られた粉末をトルエン及びアセトンにより洗浄し、風乾させることにより、イソシアネート化キトサンの粉末を得た。
また、イソシアネート化キトサンのMwは、15000であった。
(合成例A)
株式会社ニッピ製のハイグレードゼラチン(Mw60,000)に対し、吸収線量が50kGyとなるようにγ線を照射し、架橋ゼラチンを得た。
架橋ゼラチンを乳鉢により粉砕し、メッシュの篩を使用して、平均一次粒子径20μm以上100μm未満の架橋ゼラチン粒子A、平均一次粒子径100μm以上200μm未満の架橋ゼラチン粒子B、及び平均一次粒子径200μm以上700μm以下の架橋ゼラチン粒子Cを得た。
<実施例1~実施例20及び比較例1~比較例6>
表1~表3に示す成分を混合することにより、ペースト状の止血材組成物を製造した。
表1~表3に示す成分の詳細は以下の通りである。
(疎水性溶媒)
・植物油A:健栄製薬株式会社製、日本薬局方オリーブ油、25℃の動粘度72mm/秒、不揮発性
・植物油B:カネダ株式会社製、日本薬局方大豆油、25℃の動粘度60mm/秒、不揮発性・パラフィン系溶媒:日医工株式会社製、流動パラフィンNikP、25℃の動粘度37mm/秒、不揮発性
・シリコーンオイル系溶媒A:信越化学工業株式会社製、KF-96-10cs、25℃の動粘度10mm/秒、不揮発性
・シリコーンオイル系溶媒B:信越化学工業株式会社製、KF-96-500cs、25℃の動粘度500mm/秒、不揮発性
・脂肪酸エステル系溶媒:オレイン酸メチル、花王株式会社製、エキセパール(登録商標)M-OL、25℃の動粘度5mm/秒、不揮発性
上記した疎水性溶媒20gを20℃のイオン交換水(pH7)1Lに投入したところ、2層に分離し、均一な水溶液とはならず、水への溶解度が20g/L未満であることが確認された。
(親水性溶媒)
・ポリエチレングリコール:富士フイルム和光純薬株式会社製、PEG200、25℃の動粘度62mm/秒、不揮発性
・ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合体:BASF社製、Pluronic L61、25℃の動粘度300mm/秒、不揮発性
・ジメチルスルホキシド(DMSO):富士フイルム和光純薬株式会社製、不揮発性
上記した親水性溶媒20gを20℃のイオン交換水(pH7)1Lに投入したところ、均一な水溶液となり、水への溶解度が20g/L以上であることが確認された。
(非特定多糖類)
・デキストラン40000:富士フイルム和光純薬株式会社製
・ペンタエリトリトールポリ(エチレングリコール)エーテルテトラスクシンイミジルグルタレート:油化産業株式会社製、SUNBRIGHT PTE-100GS、Mw10000
(架橋粒子)
・架橋多糖類粒子:DFE Pharma社製、Primellose、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、平均一次粒子径50μm
<<保存安定性評価>>
実施例1~実施例20及び比較例1~比較例6において製造した止血材組成物を、50℃の環境下に10日間保存した。
ブタを開腹し、肝臓表面部に生検トレパンにより、Φ8mm、深さ2mmの出血創傷部を形成させた。
保存後の各止血材組成物を、出血創傷部を覆うように、0.5g塗布し、被膜を形成させ、生理食塩水で湿らせたガーゼにより圧迫した。
止血材組成物の適用から、1分後、2分後、5分後及び10分後の出血創傷部の状態を目視により観察し、下記評価基準に基づき、評価し、表1~表3にまとめた。なお、評価は3~5で保存安定性が良好であると判断した。
(評価基準)
5:1分後の出血創傷部の状態観察において止血が達成されていることを確認することができた。
4:1分後の出血創傷部の状態観察において止血が達成されていなかったが、2分後の出血創傷部の状態観察においては止血が達成されていることを確認することができた。
3:2分後の出血創傷部の状態観察において止血が達成されていなかったが、5分後の出血創傷部の状態観察においては止血が達成されていることを確認することができた。
2:5分後の出血創傷部の状態観察において止血が達成されていなかったが、10分後の出血創傷部の状態観察においては止血が達成されていることを確認することができた。
1:10分後の出血創傷部の状態観察においても止血が達成されていなかった。
<<止血性評価>>
ブタを開腹し、肝臓部を生検トレパンにより、Φ8mm、深さ2mmの出血創傷部を形成させた。
実施例1~実施例20及び比較例1~比較例6において製造した止血材組成物を、出血創傷部を覆うように、0.5g塗布し、被膜を形成させ、生理食塩水で湿らせたガーゼにより圧迫した。
止血材組成物の適用から、1分後、2分後、5分後及び10分後の出血創傷部の状態を目視により観察し、下記評価基準に基づき、評価し、表1~表3にまとめた。なお、評価は3~5で止血性が良好であると判断した。
(評価基準)
5:1分後の出血創傷部の状態観察において止血が達成されていることを確認することができた。
4:1分後の出血創傷部の状態観察において止血が達成されていなかったが、2分後の出血創傷部の状態観察においては止血が達成されていることを確認することができた。
3:2分後の出血創傷部の状態観察において止血が達成されていなかったが、5分後の出血創傷部の状態観察においては止血が達成されていることを確認することができた。
2:5分後の出血創傷部の状態観察において止血が達成されていなかったが、10分後の出血創傷部の状態観察においては止血が達成されていることを確認することができた。
1:10分後の出血創傷部の状態観察においても止血が達成されていなかった。
<<除去性評価>>
実施例1~実施例20及び比較例1~比較例6において製造した止血材組成物を、スライドガラスプレート(2.5cm×7.5cm)に厚さ2mmとなるように塗布をした。
塗布後のスライドガラスプレートを50ccの生理食塩水へ静かに浸漬させ、10秒後及び1分後に取り出し、目視により観察し、下記評価基準に基づき、評価し、表1~表2にまとめた。なお、評価は3~5で除去性が良好であると判断した。
(評価基準)
5:浸漬開始から10秒後に取り出したスライドガラスプレートにおいて、止血材組成物の残存は確認されなかった。
4:浸漬開始から10秒後に取り出したスライドガラスプレートには止血材組成物の残存がわずかに確認されたが、浸漬開始から1分後に取り出したスライドガラスプレートには止血材組成物の残存は確認されなかった。
3:浸漬開始から10秒後及び1分後に取り出したいずれのスライドガラスプレートにおいても、止血材組成物の残存がわずかに確認された。
2:浸漬開始から10秒後及び1分後に取り出したいずれのスライドガラスプレートにおいても、止血材組成物の残存が多く確認された。
1:浸漬開始から10秒後及び1分後に取り出したいずれのスライドガラスプレートにおいても、止血材組成物が除去された形跡がなく、塗布した止血材組成物のほぼ全量が残存していることが確認された。
<<転写抑制性評価>>
実施例1~実施例20及び比較例1~比較例6において製造した止血材組成物を、ブタ摘出肝臓の表面に、0.5g塗布し、被膜を形成させ、生理食塩水で湿らせたガーゼにより2分間圧迫した。
その後、ガーゼをゆっくりと剥離し、ガーゼ表面及び摘出肝臓表面を目視により観察し、下記評価基準に基づき、評価し、表1~表3にまとめた。なお、評価は3~5で転写抑制性が良好であると判断した。
(評価基準)
5:ガーゼへの止血材組成物の転写が見られず、且つ摘出肝臓表面の被膜における剥離が見られなかった。
4:ガーゼへの止血材組成物の転写がわずかに見られたが、摘出肝臓表面の被膜における剥離は見られなかった。
3:ガーゼへの止血材組成物の転写がわずかに見られ、且つ摘出肝臓表面の被膜における剥離がわずかに見られた。
2:ガーゼへの止血材組成物の転写が多く見られ、且つ摘出肝臓表面の被膜における剥離が多く見られた。
1:ガーゼへの止血材組成物の転写が多く見られ、且つ摘出肝臓表面の被膜のほとんどが剥離した。
Figure 2023092391000008
Figure 2023092391000009
Figure 2023092391000010
表1及び表2から、特定多糖類と、疎水性溶媒と、架橋粒子と、を含有する本開示の止血材組成物は、保存安定性に優れることが分かる。
表3から、親水性溶媒を含有する止血材組成物は、保存安定性に改善の余地があることが分かる。
また、表3から、特定多糖類を含有しない止血材組成物は、止血性及び保存安定性に改善の余地があることが分かる。

Claims (13)

  1. タンパク質と反応して架橋構造を形成する反応性基を有する多糖類と、疎水性溶媒と、架橋タンパク質及び架橋多糖類からなる群より選択される1種以上の化合物を含む架橋粒子と、を含有する、止血材組成物。
  2. 前記架橋粒子が、前記架橋タンパク質を含み、且つ
    前記架橋タンパク質が、架橋ゼラチンである、請求項1に記載の止血材組成物。
  3. 前記架橋粒子の平均一次粒子径が、20μm~700μmである、請求項1又は請求項2に記載の止血材組成物。
  4. 前記反応性基が、-CON(COCH、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基、イミドエステル基、アルデヒド基、カルボキシ基、イソシアネート基、マレイミド基及びハロアセチル基からなる群より選択される1種以上の基である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の止血材組成物。
  5. 前記反応性基が、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基である、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の止血材組成物。
  6. 前記多糖類が、セルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム、キチン、キトサン及びこれらの変性体からなる群より選択される1種以上の多糖類に由来する構造を含む、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の止血材組成物。
  7. 前記多糖類が、前記反応性基を有する単糖類に由来する構成単位を含み、且つ
    前記多糖類100mol%に対する前記反応性基を有する単糖類に由来する構成単位の含有率が、1mol%~40mol%である、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の止血材組成物。
  8. 前記反応性基を有する単糖類に由来する構成単位が、下記一般式(1)で表される、請求項7に記載の止血材組成物。
    Figure 2023092391000011


    一般式(1)中、Lは、下記式で表される基である。
    Figure 2023092391000012

    上記式中、n及びmは、1~3の整数を表し、*は、テトラヒドロフラン側の酸素原子に連結する部位を表し、**は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基側の酸素原子に連結する部位を表す。
  9. 前記多糖類の重量平均分子量が、2000~2500000である、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の止血材組成物。
  10. 前記疎水性溶媒が、植物油、パラフィン系溶媒、オレフィン系溶媒、シリコーンオイル系溶媒、脂肪酸エステル系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒及びテルペン系溶媒からなる群より選択される1種以上である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の止血材組成物。
  11. 25℃の前記疎水性溶媒の動粘度が、1mm/秒~1000mm/秒である、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の止血材組成物。
  12. 止血材組成物の総質量に対する前記疎水性溶媒の含有率が、30質量%~80質量%である、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の止血材組成物。
  13. 水を含有しない、又は水を含有し、且つ止血材組成物の総質量に対する水の含有率が0.5質量%以下である、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の止血材組成物。
JP2021207606A 2021-12-21 2021-12-21 止血材組成物 Pending JP2023092391A (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021207606A JP2023092391A (ja) 2021-12-21 2021-12-21 止血材組成物
EP22211758.2A EP4201438A1 (en) 2021-12-21 2022-12-06 Hemostatic material composition
CN202211575620.9A CN116271192A (zh) 2021-12-21 2022-12-07 止血材料组合物
US18/062,577 US20230190992A1 (en) 2021-12-21 2022-12-07 Hemostatic material composition
AU2022283725A AU2022283725A1 (en) 2021-12-21 2022-12-08 Hemostatic material composition
CA3185374A CA3185374A1 (en) 2021-12-21 2022-12-16 Hemostatic material composition

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021207606A JP2023092391A (ja) 2021-12-21 2021-12-21 止血材組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023092391A true JP2023092391A (ja) 2023-07-03

Family

ID=84421027

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021207606A Pending JP2023092391A (ja) 2021-12-21 2021-12-21 止血材組成物

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20230190992A1 (ja)
EP (1) EP4201438A1 (ja)
JP (1) JP2023092391A (ja)
CN (1) CN116271192A (ja)
AU (1) AU2022283725A1 (ja)
CA (1) CA3185374A1 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004081055A1 (ja) * 2003-02-21 2004-09-23 Terumo Kabushiki Kaisha 架橋性多糖誘導体、その製造方法、架橋性多糖組成物および医療用処置材
CN103957948B (zh) 2011-10-11 2016-10-26 巴克斯特国际公司 止血组合物

Also Published As

Publication number Publication date
CN116271192A (zh) 2023-06-23
EP4201438A1 (en) 2023-06-28
CA3185374A1 (en) 2023-06-21
US20230190992A1 (en) 2023-06-22
AU2022283725A1 (en) 2023-07-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Song et al. Chitosan-based multifunctional flexible hemostatic bio-hydrogel
Chen et al. Injectable wound dressing based on carboxymethyl chitosan triple-network hydrogel for effective wound antibacterial and hemostasis
Du et al. Anti-infective and pro-coagulant chitosan-based hydrogel tissue adhesive for sutureless wound closure
Weng et al. In vitro and in vivo evaluation of biodegradable embolic microspheres with tunable anticancer drug release
AU2010314994B2 (en) Fragmented hydrogels
KR102135484B1 (ko) 지혈 조성물
Serban et al. Silk fibroin and polyethylene glycol‐based biocompatible tissue adhesives
KR101330652B1 (ko) 성장인자 담지 가능한 유착방지용 고분자 조성물
JP2014528336A5 (ja)
US11787922B2 (en) Hydrophobically modified chitosan compositions
Momin et al. Novel biodegradable hydrogel sponge containing curcumin and honey for wound healing
JP7423625B2 (ja) 止血用ペースト及びその製造方法
Wei et al. Injectable hydrogel based on dodecyl-modified N-carboxyethyl chitosan/oxidized konjac glucomannan effectively prevents bleeding and postoperative adhesions after partial hepatectomy
Racine et al. Design of interpenetrating chitosan and poly (ethylene glycol) sponges for potential drug delivery applications
Suwanprateeb et al. Preparation and characterization of PEG–PPG–PEG copolymer/pregelatinized starch blends for use as resorbable bone hemostatic wax
Cook et al. In situ gelling and dissolvable hydrogels for use as on-demand wound dressings for burns
EP4186536A1 (en) Anti-adhesion polymer composition
Cheng et al. Glycopolymer-based multifunctional antibacterial hydrogel dressings for accelerating cutaneous wound healing
JP2023092391A (ja) 止血材組成物
KR101668349B1 (ko) 유착 방지제
JP2023092390A (ja) 止血材組成物
KR101649360B1 (ko) 하이드로젤 유착방지제 및 그 제조방법
Kılıç Suloğlu et al. Evaluation of kappa carrageenan and gelatin based sponges for dental applications
Liu et al. Injectable plant-derived polysaccharide hydrogels with intrinsic antioxidant bioactivity accelerate wound healing by promoting epithelialization and angiogenesis
Choi et al. Immediately activating hemostatic cellulose sealants for uncontrolled hemorrhage