JPH09294787A - 棺内保冷蓋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 棺に安置されている遺体をドライアイスを使
用することなく均一に保冷することができる棺内保冷蓋
を提供する。 【解説手段】 遺体が安置されている棺Ｂに着脱自在に
セットして用いられる偏平な匡体１であって、内部空洞
は２は暖気通路部２ａと冷気通路部２ｂとに固分され、
境界部１ａには熱交換器４が配設され、この熱交換器４
には一対の冷媒管５．５が接続され、冷気通路部２ｂの
下面１ｂには冷気吹出し口６が形成されてその上には棺
内空気の循環用ファン７が配設され、暖気通路部２ａの
端部には覗窓部３が形成され、かつ、覗窓部３と境界部
１ａとの中間に位置する暖気通路部の下面１ｂにはフィ
ルタ９を備えた暖気吸引口８が形成されている棺内保冷
蓋。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は棺内保冷蓋に関し、
更に詳しくは、遺体が安置されている棺の蓋として使用
され、棺内全体を均一に冷却して遺体を清浄な状態で保
冷することができる棺内保冷蓋に関する。

【０００２】

【従来の技術】遺体は焼却されるまでの間、通常、木製
の棺の中に安置されている。その場合、遺体の腐敗を防
止したり細菌の感染を防ぐために、棺内に安置されてい
る遺体の腹部や胸部などの各部位にドライアイスを置い
たのち棺に蓋をして棺内を冷却することにより遺体の保
存がはかられる。

【０００３】しかしながら、このドライアイスを用いた
遺体の保冷処置の場合、ドライアイスが置かれた部位の
近辺は効果的に冷却されるが、置かれていない部位は効
果的に冷却されない状態になって腐敗が進みやすくなる
という問題があり、また、ドライアイスの冷気は棺内に
滞留した状態にあるため、例えば、出棺のお別れ時に蓋
を開けると関係者はツンと鼻をつく異臭を感ずることが
ある。とくに、焼却の順番待ちの都合で安置しておく日
数が長くなると、上記した問題は一層顕著に発現する。

【０００４】更に、棺内のドライアイスは蒸発して消失
していくので、保冷処置を確実にするためには、例え
ば、毎日毎日、棺内に新しいドライアイスを供給するこ
とが必要であり、その時間や経費もかなりかかるという
問題がある。このような問題に対しては、遺体安置用の
専用冷蔵庫が開発され、既に市販されている。しかしな
がら、この専用冷蔵庫は棺それ自体を収容して冷蔵する
ものであって、その形状は非常に大型であり、個人宅で
使用することは到底できないものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、遺体をドラ
イアイスで保冷するときの上記した問題を全て解決し、
個人宅で使用されている従来の棺にそのまま蓋としてセ
ットすることができ、しかもドライアイスを全く使用す
ることもなく安置されている遺体を均一に冷却し、遺体
の腐敗防止効果を長期にわたって発揮することができる
棺内保冷蓋の提供を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、遺体が安置されている棺の
開口に着脱自在に設置して使用され、内部が空洞になっ
ている偏平匡体であって、前記内部空洞の長手方向は暖
気通路部と冷気通路部とに画分され、前記暖気通路部と
前記冷気通路部との境界部には熱交換器が配設され、前
記熱交換器には匡体外部から引き込まれた一対の冷媒管
が接続され、前記冷気通路部の下面には棺内への冷気吹
出し口が形成されてその上部には棺内空気の循環用ファ
ンが配設され、前記暖気通路部の端部には覗窓部が形成
され、かつ、前記熱交換器と前記覗窓部の中間に位置す
る暖気通路部の下面には、フィルタを備えた暖気吸引き
口が形成されていることを特徴とする棺内保冷蓋が提供
される。

【０００７】また、本発明においては、遺体が安置され
ている棺の開口に着脱自在に設置して使用され、内部が
空洞になっている偏平匡体であって、前記内部空洞は冷
気通路部と暖気通路部とに気密構造をなして画分され、
前記冷気通路部の下面と側面には、棺内への冷気吹出し
口と冷気発生源の冷気導出路に接続される冷気導入口と
がそれぞれ形成され、前記暖気導入路の下面と側面に
は、暖気吸引口と前記冷気発生源の暖気導入路に接続さ
れる暖気導出口とがそれぞれ形成され、かつ、全体の他
端には覗窓部が形成されていることを特徴とする棺内保
冷蓋が提供される。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の棺内保冷蓋を図
示に基づいて説明する。図１は、遺体が安置される棺Ｂ
の開口Ｂ_１に本発明の蓋Ａ_１を設置する状態を表わす斜
視図である。図２は図１のＩＩ−ＩＩ線に沿う断面図で
あり、図３は図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿う断面図であ
る。蓋Ａ_１は、全体の形状が棺Ｂの開口寸法に適合した
平面形状を有し、内部には空洞２が形成されている偏平
な匡体になっている。この匡体１は、例えば、硬質発泡
ウレタンが一体成型されている薄いステンレス鋼板で製
造されている。そして、棺Ｂに安置される遺体の頭部側
には、ガラス窓３ａと扉３ｂが取付けられて覗窓部Ｂ_３
が形成されている。

【０００９】内部空洞２はその長手方向が仕切り板１ａ
によって２つに画分されていて、一方は、暖気通路部２
ａ、他方は冷気通路部２ｂを構成し、この暖気通路部２
ａと冷気通路部２ｂの境界部、すなわち、仕切り板１ａ
の個所には、例えば、フィンコイル構造を有する熱交換
器４が配設されている。したがって、暖気通路部２ａと
冷気通路部２ｂは前記した熱交換器４を介して互いに連
通している。

【００１０】熱交換器４には、匡体１の外部から冷気通
路部２ｂに引き込まれた一対の冷媒管５、５が接続され
ている。そして冷媒管５、５の端部５ａ、５ｂは例えば
カプラ機構で強化ホースとそれぞれ接続されるようにな
っていて、更に図示しない冷凍機構と連結している。

【００１１】匡体１の下面１ｂの前記冷気通路部側の端
部には匡体１の幅方向に延びる開口が冷気吹出し口６と
して形成され、その上には、例えば、シロッコファンや
クロスファンのようなファン７が配設されて棺内空気の
循環用ファンを構成している。そして、覗窓部３と熱交
換器４との中間位置においては、覗窓３ａに近接した暖
気通路部２ａ側の匡体１の下面１ｂに適当な大きさの開
口が暖気吸引口８として形成され、ここに例えば空気清
浄フィルタのようなフィルタ９が取付けられている。

【００１２】この蓋Ａ_１は次のような動作をする。図２
で示したように、仮想線で示した棺Ｂに蓋Ａ_１を設置し
て棺の開口を封鎖して遺体を棺内に安置する。そして、
図示しない冷凍機構から冷媒を冷媒管５、５を介して熱
交換器４に供給し、同時に循環用ファン７を作動させ
る。

【００１３】棺Ｂ内の空気は矢印ｐ_１で示したように暖
気吸引口８から暖気通路部２ａに流入し、そのときにフ
ィルタ９によって棺Ｂ内の塵埃や異臭は補捉除去され
る。暖気通路部２ａに流入した暖気は矢印ｐ_２で示した
ように熱交換器４を通過し、その過程で冷却されて冷気
通路部２ｂに流入する。そして、冷気通路部２ｂに流入
した冷気は循環用ファン７によって矢印Ｐ_３で示したよ
うに冷気吹出し口６から棺Ｂ内に吹き込まれ、安置され
ている遺体を冷却する。

【００１４】このように、棺内の空気は棺内に滞留する
ことなく常時矢印ｐ_１→ｐ_２→ｐ_３→ｐ_１と循環してお
り、そして匡体１の内部空洞２を通過してしていく過程
で新しく再生された冷気となって棺内に吹出されて遺体
を均一に保冷する。また、この過程で遺体から発生する
異臭などは、フィルタ９で補捉除去されるので、開棺し
たときでも関係者が異臭を感ずることもない。

【００１５】図４、図５は本発明の別の蓋Ａ_２を示す側
断面図と一部切欠平面図である。この蓋Ａ２は、図５で
示したように、匡体１への内部空洞２は幅方向に機密構
造をなして２つに画分されていて、一方が暖気通路部２
ａとして、他方が冷気通路部２ｂとして機能する構造に
なっている。また、覗窓部３と前記した内部空間２とは
仕切り板１_ｃによって画分されている。

【００１６】そして、暖気通路部２ａの下面１ｂには、
覗窓部３に近接した個所に暖気吸引口８が形成され、ま
た冷気通路部２ｂの下面１ｂには、匡体１の側面１ｄに
近接した個所に冷気吹出し口６が形成されている。

【００１７】匡体１の側面１ｄには２個の開口が形成さ
れていて、一方の開口は冷気通路部２ｂ側の側面に形成
されていて冷気導入口１０として機能し、他方の開口は
暖気通路部側の側壁に形成されて暖気導出口１１として
機能する。そして、この冷気導入口１０、暖気導出口１
１は、それぞれファン機構も備えた冷気発生源１２の冷
気導出路１２ａと暖気導入路１２ｂに接続されている。

【００１８】この蓋Ａ_２の場合は、冷気発生源１２を駆
動すると発生した冷気は冷気導出路１２ａを経由して、
冷気通路部２ｂに流入し、更に矢印ｑ１で示したように
冷気吹出し口６から棺内に吹き出して安置されている遺
体を冷却する。そして、その結果生じた暖気は矢印ｑ２
で示したように暖気吸引口８から暖気通路部２ａに流入
し、暖気導出路１２ｂを経由して冷気発生源１２に還流
し、そこで冷気してとして再生される。

【００１９】したがって、この蓋Ａ_２の場合でも棺内の
空気は滞留することなく循環し、棺内の遺体は常時冷気
で均一に保冷されることになる。

【００２０】なお、異臭や塵埃を補捉除去するフィルタ
は、暖気吸引口８に設けてもよいが、冷気発生源１２
や、冷気導出路１２ａ、暖気導入路１２ｂなどに設けて
もよい。図６は、本発明の別の蓋Ａ_３の概略を示す部分
平面図である。この蓋Ａ_３は、既に説明した蓋Ａ_１（Ａ
_２）の覗窓部３を別体として製造し、これを、冷気循環
機能などを備えた本体の一端に図の矢印で示したように
スライド自在に装着した構造のものである。このような
構造は、匡体を構成する上面、下面、側面を仕切り板１
_ｃの個所よりも所定の長さだけ突出させて空間を形成
し、ここに別体である覗窓部３を机の引出しのようには
め込むことによって容易に形成することができる。

【００２１】この蓋Ａ_３の場合、棺長が異なる各種の棺
に設置するときには覗窓部３を矢印方向に所望の長さだ
け引き出したり押し込んだりして使用することができ、
各種の棺長に柔軟に対応することができる。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
棺内保冷蓋は、従来から使用されている棺にそのまま蓋
として使用することにより、ドライアイスを用いること
なく安置されている遺体を均一な状態で保冷することが
できる。これは、本発明の棺内保冷蓋によれば、棺内の
空気を滞留させることなく常時循環させ、その循環の過
程で新鮮な冷気が再生され、それが安置されている遺体
の全体を包み込むように万偏なく吹き当てられるので、
遺体はドライアイスの場合のように局部冷却されること
なく均一に冷却されるからである。また、遺体から発す
る異臭や塵埃なども、棺内空気の循環過程でフィルタに
よって補捉除去されるので、開棺したときの異臭などは
感じられなくなる。

【００２３】更に、図６で示した蓋Ａ_３の場合には、覗
窓部を棺長方向にスライドさせることができるので、棺
長に適合して使用することができる。なお、遺体を焼却
場に運搬するに際しては、この棺内保冷蓋は取り外した
のち通常の木製の蓋を棺に打ちつけて運べばよい。そし
て、この棺内保冷蓋は次の棺に使用すればよい。

【００２４】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の棺内保冷蓋Ａ_１を棺にセットする状態
を示す斜視図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線に沿う断面図である。

【図３】図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿う断面図である。

【図４】本発明の別の棺内保冷蓋Ａ_２を示す側断面図で
ある。

【図５】本発明の別の棺内保冷蓋Ａ_２を示す切欠平面図
である。

【図６】本発明の更に別の棺内保冷蓋Ａ_３を示す部分平
面図である。

【符号の説明】 Ａ_１、Ａ_２、Ａ_３ 棺内保冷蓋 Ｂ 棺 Ｂ_１ 棺Ｂの開口 １ 匡体 １ａ 仕切り板（暖気通路部と冷気通路部の境界線） １ｂ 匡体１の下面 １ｃ 仕切り板 １ｄ 匡体の側面 ２ 内部空洞 ２ａ 暖気通路部 ２ｂ 冷気通路部 ３ 覗窓部 ３ａ 覗窓 ３ｂ 扉 ４ 熱交換器 ５ 冷媒管 ５ａ 冷媒管５の端部 ６ 冷気吹出し口 ７ 棺内空気の循環用ファン ８ 暖気吸引口 ９ フィルタ １０ 冷気導入口 １１ 暖気導出口 １２ 冷気発生源 １２ａ 冷気導出路 １２ｂ 暖気導入路

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 遺体が安置されている棺の開口に着脱自
   在に設置して使用され、内部が空洞になっている偏平体
   であって、前記内部空洞の長手方向は暖気通路部と冷気
   通路部とに画分され、前記暖気通路部と前記冷気通路部
   との境界部には、熱交換器が配設され、前記熱交換器に
   は匡体外部から引き込まれた一対の冷媒管が接続され、
   前記冷気通路部の端部側の下面には棺内への冷気吹出し
   口が形成されてその上部には棺内空気の循環用ファンが
   配設され、前記暖気通路部の端部側には覗窓部が形成さ
   れ、かつ、前記熱交換器と前記覗窓部の中間に位置する
   暖気通路部の下面にはフィルタを備えた暖気吸引口が形
   成されていることを特徴とする棺内保冷蓋。
2. 【請求項２】 遺体が安置されている棺の開口に着脱自
   在に設置して使用され、内部が空洞になっている偏平匡
   体であって、前記内部空洞は冷気通路部と暖気通路部と
   に気密構造をなして画分され、前記冷気通路部の下面と
   側面には、棺内への冷気吹出し口と冷気発生源の冷気導
   出路に接続される冷気導入口とがそれぞれ形成され、前
   記暖気通路部の下面と側面には、暖気吸引口と前記冷気
   発生源の暖気導入路に接続される暖気導出口とがそれぞ
   れ形成され、かつ、全体の他端には覗窓部が形成されて
   いることを特徴とする棺内保冷蓋。
3. 【請求項３】 前記覗窓部は別体となっていて、その覗
   窓部は全体の端部にスライド自在に装着されている請求
   項１または２の棺内保冷蓋。