JPH09292615A - ラビング装置及びそれを用いた液晶素子の製造方法 - Google Patents

ラビング装置及びそれを用いた液晶素子の製造方法

Info

Publication number
JPH09292615A
JPH09292615A JP10816396A JP10816396A JPH09292615A JP H09292615 A JPH09292615 A JP H09292615A JP 10816396 A JP10816396 A JP 10816396A JP 10816396 A JP10816396 A JP 10816396A JP H09292615 A JPH09292615 A JP H09292615A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubbing
substrate
liquid crystal
cloth
rubbing cloth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10816396A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumiyoshi Sato
文良 佐藤
Masamichi Saito
正道 齊藤
Naoya Nishida
直哉 西田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP10816396A priority Critical patent/JPH09292615A/ja
Publication of JPH09292615A publication Critical patent/JPH09292615A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラビング布の耐久性を向上させることのでき
るラビング装置及びそれを用いた液晶素子の製造方法を
提供する。 【解決手段】 液晶を挟持する基板の表面を摺擦して配
向膜に対し連続的に配向処理を行うラビング布12を再
生させるための再生用基板40の表面を液晶挟持用基板
の表面よりも粗くする一方、ラビング布12が所定期間
毎再生用基板40を摺擦するように構成することによ
り、摺擦により低下したラビング布12の糸材表面の摩
擦係数を高め、ラビング布12の配向処理能力を回復さ
せるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラビング装置及び
それを用いた液晶素子の製造方法に関し、特に基板に配
向処理を施すために用いられるラビング布の耐久性を向
上させるものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶素子は一対のガラス基板を備
えており、その対向面には走査電極及び情報電極がそれ
ぞれ透明電極として形成されている。さらに、これら各
電極は配向膜(配向制御膜)で被覆されており、2枚の
基板の間隙には強誘電性液晶等の液晶が挟持されてい
る。
【0003】図7は、このような構成の液晶素子(パネ
ル)の断面図であり、一対のガラス基板1A,1Bには
複数のストライプ状の透明電極2a,2bが形成されて
おり、これら透明電極2a,2b上には配向膜5a,5
bが被着されている。一方、これら基板1A,1Bの間
隙はスペーサ4により所定の間隔に保持され、さらにそ
の間隙には液晶3が充填されている。なお、9a,9b
はショート防止用の絶縁体薄膜であり、7,8はこのよ
うな構成のパネルを挟み込むように配された一対の偏光
板である。
【0004】ところで、この配向膜5a,5bに対して
はセルの組立て(以下セル組という)に先立ってラビン
グを行うが、そのラビング方法としては、図8に示すよ
うにラビング布12Aを円筒状ローラ11Aに巻き付け
たラビングローラ10Aを回転させて基板1A(1B)
の配向膜表面を摺擦し、その方向に液晶に対して配向規
制力を生じさせるものである。
【0005】ここで、この摺擦の際ラビングローラ10
Aと基板1A(1B)表面の間隔設定が重要であり、一
般的にはラビング布12Aの表面が基板1A(1B)表
面に均一に当接する位置から所定量押し込んで設定する
方法がとられている。そして、このような方法で間隔を
設定することにより、基板1A(1B)の配向膜表面全
体に渡って均一な配向規制力を生じさせることができる
ようになっている。
【0006】一方、ラビングローラ10Aの回転方向
と、同図の矢印に示す基板1A(1B)の走行方向とは
相対的であるため、図示する以外の対応が可能となる。
即ち、基板とローラの関係も複数のローラを使用して効
率よくラビングしたり、単一ローラを用いて基板表面を
パイルで摺察する回数を複数回に設定することもでき
る。要するに配向膜をパイルで摺察する方向が1°以内
程度の角度範囲で同一であれば、複数回ラビングして
も、その積算したラビングの強度に対応した配向規制力
を得ることができる。
【0007】ところで、このようなラビングにおいてラ
ビング布の劣化現象、つまり新規のラビング布を継続し
て使用する場合のラビング特性の変化が問題となるた
め、例えば予めラビング布の寿命を設定して所定の基板
枚数の処理が終了した時点でラビングローラを新規なも
のと交換するようにするようにしたものがある。
【0008】また、他の対策として、同一ローラを用
い、その耐久を延ばすため基板の処理枚数に応じたラビ
ング条件で制御する方法が講じられている。具体的には
押し込み量の調整、基板走行速度の調整、ローラ回転数
の調整を基板処理枚数に応じてプログラム化しておくも
のである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような構
成の従来のラビング装置において、ラビング布の耐久性
向上のために、既述したようなラビング条件の制御を行
った場合、基板生産のサイクルタイムの変動や生産性の
悪化を招くだけでなく、その耐久性も不十分で、液晶素
子を安価に製造する上で問題点となっていた。
【0010】このため、従来の液晶素子の製造方法で
は、別場所で新規にラビング布を貼り付けたラビングロ
ーラを準備する一方、所定の基板枚数の処理が終了した
時点でラビング装置とそれを含むラインの稼働を中止し
てそのローラと交換するようにしている。しかし、この
ようにラビングローラを交換する際には、厳密な押し込
みの調整をしなければならないため稼働率の低下及び作
業量の増加が生じるようになる。さらに、ラビング布の
コスト高等により液晶素子を廉価に製造することができ
ないという問題点があった。このことから、ラビング布
の耐久性向上は必須の課題であった。
【0011】そこで、本発明は、このような課題を解決
するためになされたものであり、ラビング布の耐久性を
向上させることのできるラビング装置及びそれを用いた
液晶素子の製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、液晶を挟持す
るための一対の基板の表面を、基布に糸材を植設した構
成のラビング布により摺擦し、前記基板にそれぞれ形成
された配向膜に対して連続的に配向処理を行うラビング
装置において、前記ラビング布を再生させるための表面
の粗い再生用基板を備え、該ラビング布を前記再生用基
板に所定期間毎摺擦させて該ラビング布の配向処理能力
を回復させるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】また本発明は、前記再生用基板の表面は、
前記液晶を挟持する基板の表面よりも粗いことを特徴と
するものである。
【0014】また本発明は、前記ラビング布を所定期間
毎前記再生用基板に摺擦させ、摺擦により低下した前記
ラビング布の糸材表面の摩擦係数を高めることを特徴と
するものである。
【0015】また本発明は、前記ラビング布の糸材は、
ナイロン糸であることを特徴とするものである。
【0016】また本発明は、前記ラビング布を所定期間
毎前記再生用基板に摺擦させ、前記液晶を挟持する基板
を摺擦する際前記ラビング布の糸材の表面に付着する付
着物を除去して前記糸材表面の粗さを回復するようにし
たことを特徴とするものである。
【0017】また本発明は、前記ラビング布の糸材は、
耐熱性繊維であることを特徴とするものである。
【0018】また本発明は、基板に配向膜を形成する配
向膜形成工程と、前記基板の配向膜に配向処理を施すラ
ビング工程と、間隔を有した状態に前記一対の基板を貼
り合わせる貼合工程と、前記貼り合わされた基板間の間
隙に液晶を注入する液晶注入工程とを有する液晶素子の
製造方法において、前記ラビング工程は、請求項1乃至
6のいずれか記載のラビング装置を用いて行われること
を特徴とするものである。
【0019】また、このように液晶を挟持するための基
板の表面を摺擦して配向膜に対し連続的に配向処理を行
うラビング布を再生させるための再生用基板の表面を液
晶挟持用基板の表面よりも粗くする一方、ラビング布が
所定期間毎再生用基板を摺擦するように構成することに
より、摺擦により低下したラビング布の糸材表面の摩擦
係数を高め、ラビング布の配向処理能力を回復させるよ
うにする。
【0020】また、ラビング布が所定期間毎再生用基板
を摺擦するように構成することにより、液晶を挟持する
基板を摺擦する際ラビング布の糸材の表面に付着する付
着物を除去して糸材表面の粗さを回復し、ラビング布の
配向処理能力を回復させるようにする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。
【0022】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る
ラビング装置の構成を示す図であり、同図において、1
00はラビング装置、1a(1b)は、550mm×4
50mmの形状で厚さ1.1mmの液晶を挟持するため
のガラス基板であり、この基板1a(1b)の表面は厚
み700Åの図示しないITOストライプ状透明電極
と、ALなどの配線が形成されている。
【0023】なお、これら透明電極及び配線の上にはス
パッタリング法にてTaOx膜が、ショート防止用の絶
縁膜として約900Åの厚さで成形されており、さらに
この絶縁膜の上にフッ素を含むポリアミック酸溶液のL
Q1800(日立化成社製)をフレキソ印刷法にて塗膜
した後、ホットプレート上で250℃で6分間焼成する
という配向膜形成工程により約200Åの配向膜が成形
されている。また、その配向膜の印刷領域は、パネルの
表示エリアとなる有効光学変調領域を含み、パネルに組
み立てる際に液晶を注入する範囲となるシール部分の若
干外側までの広い範囲に及んでいる。
【0024】ここで、この基板1a(1b)は14.8
インチサイズのパネルを2枚取りで製造するようになっ
ており、これら2枚の基板1a,1bの違いはパネルに
セル組する際に下基板、上基板となる点で構成が異なっ
ている。つまり、上基板1bは液晶素子となる場合にC
F(カラーフィルター)などの多層の薄膜で構成されて
おり、具体的にはCr膜によるブラックマトリクスとR
GBWのカラーフィルター、平坦化膜が順次成膜されて
おり、その表面上に前述した下基板1aのストライプと
直交する方向に透明電極のITO膜が成形されている。
【0025】一方、同図において、12は配向膜に対し
て配向処理を行うためのラビング布であり、このラビン
グ布12は、図2に示すように高密度の起毛パイル12
aを有する布である。また、そのパイル12aは糸材で
ある太さが1.5デニールでパイル長が1.5mmのナ
イロン糸12bの束であり、この起毛パイル12aは約
80μmの厚みに図示しない接着剤を塗布した基布12
cに高密度で電気植毛されている。
【0026】また、図1において、11は外径120m
mφ、幅800mmの円筒状ローラであり、この円筒状
ローラ11にラビング布12を貼り付けることによりラ
ビングローラ10が形成される。なお、13は基板1a
(1b)を保持する基台であり、30は後述するモニタ
ー基板である。
【0027】そして、このような構成のラビング装置に
おけるラビング工程では液晶表示エリアの約3mm外側
の外周部分の領域より、さらに周辺部領域を厚み0.2
mmのステンレス製薄板(不図示)を利用してマスキン
グしてラビング処理を行うようにしている。即ち、基板
1a,1bは下基板1a、上基板1bの順序で、ラビン
グ装置に連続的に移送された後、順次ラビング処理がさ
れ、ラビング洗浄後にその隣り合う基板同士を組合せて
セル組される。
【0028】また、ラビングの後工程のセル組は次のよ
うな工程となっている。即ち、下基板1aに所定のシー
ル剤を描画形成し、スプレー法により平均粒径1.24
μmのシリカビーズのスペーサ4(図7参照)を散布す
ると共に、上基板1bには同様に図示しない熱硬化型樹
脂の接着ビーズを所定濃度に散布する。そして、このよ
うにして得られた2枚の基板1a,1bをラビング方向
が略平行となるように重ね合わせ、位置合わせのマーカ
ーを画像処理しながら、2μm以内の精度で基板の4ケ
所に滴下したUV硬化型接着樹脂に紫外線を照射して仮
止めする。
【0029】次に、パネルに対しシール剤と接着ビーズ
で所定のセル厚みとなるように、160℃で90分間の
加熱硬化処理を行う。そして、この後貼り合わせたパネ
ルからは2枚の液晶素子となるようにスクライブして分
離し、不要な外周部分を削除する。なお、このような貼
合工程により得たセルには次の液晶注入工程で、下記に
示すような熱的相転移を有するピリミジン系の強誘電性
液晶を注入する。
【0030】 ところで、このような構成のラビング装置を用いた液晶
素子の製造方法において、ラビング処理の品質をモニタ
ーするため複数のペア基板1a(1b)毎に、例えば1
0セット間隔で図1に示すモニター基板30をラビング
処理するようにしている。ここで、このモニター基板3
0は液晶素子として製品となる基板1a(1b)の処理
条件と同一条件でラビングされた後、プレチルトの測定
を行って製造の品質を確認するためのものである。な
お、このモニター基板30は製品となる基板1a,1b
の構成とは異なり、ガラス全面にITOを、さらにその
上にTaOx、LQ1800を前述した同じ成膜条件で
形成したものである。
【0031】一方、モニター基板30により製造の品質
を確認するには、具体的にはラビング処理したモニター
基板30の適当な部分を2つ切り出し、それぞれをラビ
ング方向が略反平行となるように貼り合わせて実験セル
を作製した後、液晶を注入し、この後にプレチルト角度
の測定を行うようにする。その測定法はクリスタルロー
テション法による。
【0032】ここで、このプレチルト角度は、図3に示
すように基板界面の液晶分子が基板1a,1bに対して
成す角度αである。なお、同図において、31はスメク
チック相のシェブロン層を、32はC1配向領域を、3
3はC2配向領域をそれぞれ示している。ここでスメク
チック液晶は、一般に層構造を持つが、SmA相からS
mC相またはSmC* 相に転移すると層間隔が縮むの
で、同図に示すように層が上下基板30a,30bの中
央付近で折れ曲がった構造(シェブロン構造)をとるよ
うになる。
【0033】そして、このようにスメクチック層がシェ
ブロン構造となる強誘電性液晶の表示素子にあっては、
一般的に高プレチルトが要求されるため、プレチルト角
度αは、その中心値と公差がおよそ10°〜30°の範
囲となるよう設計される。なお、この設計値は液晶素子
の駆動電圧波形や液晶材料、配向膜材質と下地構成、画
素パターン設計などに影響され、電気的な素子の駆動マ
ージンや耐久性などを勘案して決定される。
【0034】ところで、表示素子の配向特性や電気的駆
動性能等はこのプレチルト角度αによって大きく左右さ
れるために、配向処理工程であるラビング工程において
はこのプレチルト角度αを安定に制御することが望まれ
ている。
【0035】ここで、一般的にプレチルト角度αは配向
膜材質と膜厚、その焼成条件、下地構成が一定であれ
は、ラビング条件の強度が支配的となり関係する。つま
り、ラビングをしない場合にはプレチルトは90°とな
り、垂直配向を示し、ラビング強度をより強くすればそ
のプレチルトは低下する傾向にある。
【0036】そして、このラビング強度はラビング布1
2の押し込み量、ローラ回転数、ラビングローラ10ま
たは基板1a(1b)の相対移動速度、ラビングの回数
などで決定され、これらはラビング条件のパラメータと
して設定される。
【0037】しかし、ラビング処理をした前述のモニタ
ー基板30のデータから、プレチルト角度αを時系列的
な変化としてみると制御がむつかしいことがわかる。例
えば、処理枚数が変化してもラビング条件を一定条件に
固定して連続的に処理した場合、ラビング開始直後のプ
レチルト角度αが18°である場合、5セットの基板1
a,1bを処理した時点では22°を示し、10セット
後には25°、15セット後には27°、20セット後
には29°、30セット後には32°となりプレチルト
角度αは大きく上昇する。
【0038】したがって、数10セットの基板1a,1
bを安定したプレチルト角度αに制御するためには、処
理枚数に応じたラビング条件の連続的な変更が必要とさ
れることがわかる。このため、ラビング条件を、基板1
a,1bの処理枚数に対応して以下の手法で変化させる
こととしている。
【0039】即ち、標準的な初期ラビング条件は、ラビ
ング布12の押し込み量を300μm±20μm、ロー
ラ回転数を700RPM、相対移動速度を60mm/
S、ラビング回数を2回とする一方、2セット毎に相対
移動速度を2mm/Sづつ減少させ、ラビング強度を徐
々に増大させる。
【0040】そして、移動速度が30mm/Sに到達し
た時点で新規にラビング布12を貼ったラビングローラ
10に交換する。したがって、ラビング布12の耐久は
基板30セット分であった。この時のプレチルト角度α
は初期が18°で徐々に上昇して30セット後には22
°となっていた。
【0041】ここで、移動速度を30mm/Sよりも小
さくしない理由は、ラビングの処理タクトが長くなり生
産性が著しく悪くなるためである。また、一度使用した
ラビング布12を初期のラビング条件で処理した場合、
そのプレチルト角度αは41°となり、ラビング布12
の劣化が非常に激しいことがわかった。
【0042】そこで、本実施形態では、このように30
セットの基板1a,1bをラビング処理した後、モニタ
ー基板30を同じラビング条件で処理する一方、図4に
示すようにモニター基板30に対するラビングを行った
後、ラビング布12を再生するための再生用基板40を
用いてラビング布12のドレッシングを行うようにして
いる。
【0043】ここで、この再生用基板40は、モニター
基板30と同様な構成であるが、配向膜の印刷に先だっ
てITO膜上にシリカビーズ径450Åを含む塗布型絶
縁膜(PAM606EP、触媒化成製)をフレキソ印刷
後し、ホットプレートで6分間250℃の温度で焼成し
膜厚を170Åとしたものである。なお、分子間力顕微
鏡で、再生用基板40の表面の表面粗さを測定した結
果、ビーズ部分の吐出量はPV値で約330Åであり、
その密度は約30/μm2 であり、これは基板1a,1
bの表面よりも粗いものである。
【0044】そして、このような基板1a,1bよりも
表面の粗い再生用基板40を摺擦してラビング布12の
ドレッシングを行うことにより、基板1a,1bを処理
するに連れてパイル表面の粗さが平滑になり動的な摩擦
係数が0.33から30セットラビング後は0.19ま
で著しく減少するようになる動的な摩擦係数を回復させ
ることができる。これにより、ラビング布12を用いて
多数の基板1a,1bに対してラビング処理を行っても
配向規制力を均一に付与でき、ラビング性能を一定に保
つことができる。
【0045】ここで、このように、ラビング布12をド
レッシングすることにより、パイル表面状態と、ラビン
グ布12の摩擦係数は0.31程度までに容易に回復す
ることが、電子顕微鏡観察や動摩擦測定器の結果から分
かった。そして、この摩擦係数の変化は、このラビング
布12の特徴であり、ナイロン製パイルを電着植毛する
際の処理剤の皮膜(2000Å程度の厚さ)が原因とな
っていると考えられる。
【0046】なお、この再生用基板40を用いたドレッ
シングの後、さらにモニター基板30をラビングの処理
条件の相対速度60mm/Sで処理すると、そのプレチ
ルト角度αは20°となっており、ラビング布12の劣
化が改善されていた。
【0047】さらに、このようにラビング布12のドレ
ッシングを行った後、ラビングローラ10を新規のロー
ラと交換することなくさらに30セットを処理した。な
お、このとき、ラビング布12の押し込みを初期に設定
した位置からさらに30μm押し込んで相対速度を60
mm/Sにして開始した。ここで、処理枚数に対する相
対速度は1回目と同じである。また、30μm押し込ん
だ理由は31セット目のプレチルト角度αが18°とな
るように調整するためである。その結果、60セット終
了後のプレチルト角度αは21°であった。
【0048】またさらに、30セット終了後に行ったド
レッシングを、60セット終了後にも同様に行い、61
セット目ではラビング布12の押し込み位置を変えない
で同様な処理枚数に対する相対移動速度を変化させて9
0セットの基板1a,1bをラビング処理した。そし
て、90セット終了後にモニター基板30を同じ条件で
ラビングしたが、この時のプレチルト角度αは22°と
製品規格の20±3°を十分満足していた。なお、モニ
ター基板30は10セット毎に投入し、30セットで4
枚ずつ使用した。
【0049】そして、それらのプレチルト角度αは、ほ
ぼ初期と30セット後の値のほぼ中間を示した。ここ
で、製造した基板1a,1bは、前述したセル組を行っ
た後液晶を注入して液晶パネルの配向やスイッチングの
電気特性等の検査を行った結果、性能的にラビング順序
とは無関係に良品が歩留良く取れた。
【0050】なお、90セット終了した時点で、今まで
行ったドレッシングをせずに相対移動速度を60mm/
Sの条件でラビングした場合では、モニター基板30の
プレチルト角度αは39°となり、押し込み量を40μ
m大きく取って同じラビングをすると、そのプレチルト
角度αは34°となった。ことから、ドレッシングの効
果が明瞭である。
【0051】このように、ラビング布12に対して定期
的なドレッシングを行うことにより、ラビング布12の
寿命が3倍以上になり、頻繁なラビングローラ10の交
換と押し込み設定の作業がなくなるので著しい生産の効
率化が図られる。さらに、3倍以上のラビング布12の
耐久性の向上をはかるには、ナイロン製パイルを電着植
毛する際の処理剤の初期の厚みとドレッシングによる処
理剤の摩滅程度を考慮することにより、さらなる耐久性
の向上が望めることがわかる。
【0052】ところで、層構成の異なる基板をラビング
する場合、ラビング布はその基板に応じたものを用いる
必要がある。
【0053】図5は、このような層構成の異なる基板を
ラビングする本発明の第2の実施の形態に係るラビング
装置の構成を示す図であり、同図において、1a’,1
b’は既述した第1の実施の形態に係る基板1a,1b
と同寸法でかつ、層構成は厚み900ÅのTaOx膜と
配向膜のLQ1800の中間層として、前述した平均粒
径350Åのシリカビーズを含む塗布型絶縁膜(PAM
606J13、触媒化成)を170Åの厚みに成膜した
表面の荒い基板である。
【0054】また、40’は再生用基板であり、この再
生用基板40’は、第1の実施の形態に係る再生用基板
40と同様で透明電極の配線パターンがなく、ITO
膜、TaOx膜、絶縁膜の3層としたものである。な
お、分子間力顕微鏡で、この再生用基板40’の表面の
表面粗さを測定した結果、ビーズ部分の突出量はPV値
で約290Åであり、その密度は約85/μm2 であっ
た。また、後述する図6に示すモニター用基板30’
は、この上にさらに配向膜の200Åを成膜したもので
ある。
【0055】一方、12’は表面の荒い基板1a’,1
b’をラビングするラビング布であり、このラビング布
12’は糸材であるメタ型の全芳香族ポリアミド系耐熱
繊維の短繊維を原糸として、紡績・撚糸工程を経て糸と
して二重ビロード織りの製造方法により得た布の撚糸を
十分に解綿し、起毛処理した後、毛足の長さが4.0m
mとなるようにシャーリングして形成されたものであ
る。
【0056】ここで、本実施の形態における標準的なラ
ビング条件は、初期押し込み量が1.1mm±50μ
m、ローラ回転数500RPM、相対移動速度50mm
/S、パス回数4回である。これは下地のシリカビーズ
の影響で基板1a’,1b’の配向膜の表面の粗さが大
きくなるために、ラビング強度を高く設定する必要があ
るからである。さらに、その粗さの影響でラビング布1
2’の劣化が激しく、基板1a’,1b’の処理枚数に
対するプレチルト角度αの変化は第1の実施の形態と同
様に激しくなる。
【0057】ところで、本実施の形態において、プレチ
ルト安定化のために第1の実施の形態とは異なる制御方
法を採用している。ここで、この制御方法は、生産タク
トを一定にする方法であり、具体的には基板の処理枚数
に応じて、ラビング布12’の押し込み位置を所定プロ
グラムで変化させる方式である。
【0058】即ち、ラビング布12’の押し込み量を初
期は1.1mmとし、120セット後には1.5mmに
まで連続的に変化させるようにすることにより、プレチ
ルト角度αを20°±1.5°の範囲でほぼ安定させる
ようにしたものである。なお、この押し込みプログラム
は試行錯誤的に求めたものである。
【0059】ところが、このプログラムをさらに延長さ
せるには限界があった。それは撚糸の解綿が毛足の長さ
の2/3程度であるため、撚糸の構造的な影響でその解
綿処理が不十分な場合には、液晶表示パネルとすると、
配向でラビング筋ムラの欠陥が発生すること。また、押
し込みを1.5mm以上に大きく取るとラビングローラ
10’の回転トルクが大きくなり、モータに過負荷がか
かり装置運転上で問題となる2点である。
【0060】ところで、120セットの処理を終了した
ラビング布12’を初期の押し込み位置で、モニター基
板30をラビングするとその値は46°と劣化が激しい
ことがわかっている。
【0061】そこで、90セットの基板1a’,1b’
を処理した段階で、同一の押し込み位置と同一ラビング
条件で前述した再生用基板40’を図6に示すように2
枚連続してドレッシングするようにした。
【0062】ここで、このドレッシングによる再生メカ
ニズムは第1の実施の形態とは異なっている。即ち、基
板1a’,1b’の配向膜の下地がすでにシリカビーズ
の超微粒子により粗面となっているため、パイル表面は
よりダメージを受けやすいがラビング布12’は超耐熱
繊維であるために摩耗や変質の影響はなく、そのため前
述した動摩擦係数には変化はない。
【0063】しかし、パイル表面の微視的な粗さは、配
向膜の屑やほこり等が初期のパイル表面に付着するため
劣化するようになり、さらにその粗さの劣化は処理枚数
ごとに激しくなるのである。なお、このように表面粗さ
が劣化しても処理枚数に応じてラビング布12’の押し
込み量を大きくすることで、劣化していない新鮮なパイ
ル表面により基板1a’,1b’をラビングし、プレチ
ルトを安定に制御することができるようになっている
が、処理枚数が増えるにつれプレチルトの安定化は難し
くなる。
【0064】そこで、このようなラビング布12’を2
枚の再生用基板40’によりドレッシングすることによ
り、パイル表面に付着した付着物が除去され、パイル表
面の粗さは回復し、初期の粗さ状態となる。この結果は
電子顕微鏡による使用途中とドレッシング後の布のパイ
ル表面の観察で明らかとなった。
【0065】なお、再生用基板40’に配向膜を成膜し
ていない理由は、このことにより、パイル表面に付着し
た配向膜の屑等が基板40’に再付着しやすくするため
である。その場合、シリカビーズの粒子で基板表面を粗
面にすることが効果的に機能している。また、この絶縁
体薄膜をラビングしてもパイルは汚染の影響を受けたり
することはなく、液晶素子にした場合でも配向になんら
問題はなかった。
【0066】ここで、このようなラビング布12’のド
レッシング処理後に押し込み位置を1.18mmに80
μm余分に押し込んだ位置を、新たな初期押し込み位置
として同じ処理枚数に対する押し込みプログラムを継続
して使用した。
【0067】さらに、180セット終了後にラビング布
12’に対し同様のドレッシングを行い、押し込み位置
を1.18mmとして継続した。そして、このようなラ
ビング布12’の劣化と再生のためのドレッシングを9
0セット毎に、合計4回行い基板は450セットの90
0枚を処理した。
【0068】ここで、モニター基板30’を30セット
毎にラビングして、そのプレチルト角度αの経時変化を
調べると、それらはすべて20°±2°の範囲にあり安
定していた。
【0069】なお、90セット毎に再生用基板40’を
2枚使用した理由は、1枚ではパイルの劣化の回復が不
十分なためである。また、例えばドレッシング用のラビ
ング条件の相対移動速度を20mm/S程度にすれば1
枚の再生用基板40を処理しただけで良いことがわかっ
ている。
【0070】このように、再生用基板40’にてラビン
グ布12’をドレッシングすることにより、パイル表面
の粗さを初期の粗さに回復することができ、ラビング布
12’の耐久性を向上させることができる。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ラ
ビング処理のプロセスにおいてラビング布に対し定期的
に再生用基板を用いてドレッシングを行うことにより、
ラビング布の耐久性を向上させることができる。また、
連続して処理する基板に対して常に均一に配向規制力を
付与することでき、作製した液晶素子も配向欠陥がない
ものとしうる。また、布の耐久性が飛躍的に向上するの
で、布の使用量を軽減することができると共に、布交換
による稼働率の低下を回避することができるので、安価
な製造コストで液晶素子を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るラビング装置
の構成を示す図。
【図2】上記ラビング装置のラビング布の拡大図。
【図3】プレチルト角度を説明する図。
【図4】上記ラビング装置においてラビング布のドレッ
シングを行う様子を示す図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るラビング装置
の構成を示す図。
【図6】上記ラビング装置においてラビング布のドレッ
シングを行う様子を示す図。
【図7】液晶素子の構造を示す断面図。
【図8】従来のラビング装置の構成を示す図。
【符号の説明】
1a,1b,1a’,1b’ ガラス基板 10,10’ ラビングローラ 11,11’ ローラ本体 12,12’ ラビング布 12b ナイロン糸 30,30’ モニター基板 40,40’ 再生用基板 100 ラビング装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶を挟持するための一対の基板の表面
    を、基布に糸材を植設した構成のラビング布により摺擦
    し、前記基板にそれぞれ形成された配向膜に対して連続
    的に配向処理を行うラビング装置において、 前記ラビング布を再生させるための表面の粗い再生用基
    板を備え、該ラビング布を前記再生用基板に所定期間毎
    摺擦させて該ラビング布の配向処理能力を回復させるよ
    うにしたことを特徴とするラビング装置。
  2. 【請求項2】 前記再生用基板の表面は、前記液晶を挟
    持する基板の表面よりも粗いことを特徴とする請求項1
    記載のラビング装置。
  3. 【請求項3】 前記ラビング布を所定期間毎前記再生用
    基板に摺擦させ、摺擦により低下した前記ラビング布の
    糸材表面の摩擦係数を高めることを特徴とする請求項1
    記載のラビング装置。
  4. 【請求項4】 前記ラビング布の糸材は、ナイロン糸で
    あることを特徴とする請求項1又は3記載のラビング装
    置。
  5. 【請求項5】 前記ラビング布を所定期間毎前記再生用
    基板に摺擦させ、前記液晶を挟持する基板を摺擦する際
    前記ラビング布の糸材の表面に付着する付着物を除去し
    て前記糸材表面の粗さを回復するようにしたことを特徴
    とする請求項1記載のラビング装置。
  6. 【請求項6】 前記ラビング布の糸材は、耐熱性繊維で
    あることを特徴とする請求項1又は5記載のラビング装
    置。
  7. 【請求項7】 基板に配向膜を形成する配向膜形成工程
    と、前記基板の配向膜に配向処理を施すラビング工程
    と、間隔を有した状態に前記一対の基板を貼り合わせる
    貼合工程と、前記貼り合わされた基板間の間隙に液晶を
    注入する液晶注入工程とを有する液晶素子の製造方法に
    おいて、 前記ラビング工程は、請求項1乃至6のいずれか記載の
    ラビング装置を用いて行われることを特徴とする液晶素
    子の製造方法。
JP10816396A 1996-04-26 1996-04-26 ラビング装置及びそれを用いた液晶素子の製造方法 Pending JPH09292615A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10816396A JPH09292615A (ja) 1996-04-26 1996-04-26 ラビング装置及びそれを用いた液晶素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10816396A JPH09292615A (ja) 1996-04-26 1996-04-26 ラビング装置及びそれを用いた液晶素子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09292615A true JPH09292615A (ja) 1997-11-11

Family

ID=14477576

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10816396A Pending JPH09292615A (ja) 1996-04-26 1996-04-26 ラビング装置及びそれを用いた液晶素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09292615A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011107487A (ja) * 2009-11-19 2011-06-02 Panasonic Liquid Crystal Display Co Ltd 液晶表示装置の製造方法
KR101394754B1 (ko) * 2012-08-17 2014-05-15 하이디스 테크놀로지 주식회사 액정표시장치의 러빙포 에이징 장치 및 이를 이용한 에이징 방법
KR101405796B1 (ko) * 2012-07-31 2014-06-12 하이디스 테크놀로지 주식회사 액정표시장치의 러빙포 에이징 방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011107487A (ja) * 2009-11-19 2011-06-02 Panasonic Liquid Crystal Display Co Ltd 液晶表示装置の製造方法
KR101405796B1 (ko) * 2012-07-31 2014-06-12 하이디스 테크놀로지 주식회사 액정표시장치의 러빙포 에이징 방법
KR101394754B1 (ko) * 2012-08-17 2014-05-15 하이디스 테크놀로지 주식회사 액정표시장치의 러빙포 에이징 장치 및 이를 이용한 에이징 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR920010016B1 (ko) 칼라필터와 그 제조방법 및 그것을 사용한 액정표시장치
US20010020999A1 (en) Liquid crystal light modulation element and method of manufactruring same
US6219123B1 (en) Orientation process method of liquid crystal having a first rubbing direction formed by fibers inclined to the rolling direction and a second rubbing direction
EP0788013B1 (en) Electrode substrate for liquid crystal device and process for producing the same
KR920010053B1 (ko) 액정표시소자 및 그 제조방법
JPH11305256A (ja) アクティブマトリクス型液晶表示装置
JPH09292615A (ja) ラビング装置及びそれを用いた液晶素子の製造方法
JPH07168186A (ja) 液晶表示素子の製造方法
JPH0643457A (ja) 液晶用配向膜の形成方法
JP2002350857A (ja) 液晶表示素子およびその製造方法
JPH05210101A (ja) 強誘電性液晶素子の製造方法
JP3610227B2 (ja) ラビング布および液晶表示装置
JP3062860B2 (ja) 基板洗浄法
JPH08334767A (ja) ラビング装置
JPH07281188A (ja) 液晶表示素子の製造方法
JPH09292617A (ja) ラビング装置及びそれを用いた液晶素子の製造方法
JP3246493B2 (ja) 液晶パネルの基板洗浄方法
JP3045637B2 (ja) ラビング処理方法、ラビング装置及び液晶表示素子の製造方法
JPH10253962A (ja) 液晶装置の製造方法
JP2861510B2 (ja) 基体表面の平滑化法及び平滑化物
JPH04355726A (ja) 液晶表示素子およびその製造方法
JP3209716B2 (ja) 液晶配向処理方法及びこれを用いた液晶表示素子
JPH08334769A (ja) ラビング布、及びそれを用いたラビング装置
JP3112380B2 (ja) ラビング装置、液晶表示素子の配向処理方法、及び液晶表示素子の製造方法
JPH11352484A (ja) 液晶素子とその製造方法