JPH10253962A - 液晶装置の製造方法 - Google Patents
液晶装置の製造方法Info
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- JPH10253962A JPH10253962A JP5343897A JP5343897A JPH10253962A JP H10253962 A JPH10253962 A JP H10253962A JP 5343897 A JP5343897 A JP 5343897A JP 5343897 A JP5343897 A JP 5343897A JP H10253962 A JPH10253962 A JP H10253962A
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Abstract
え、高いプレティルト角を有し大画面で均一な液晶分子
配向を実現できる液晶装置の製造方法を提供する。 【解決手段】液晶を挟持する一対の基板のうち、少なく
とも一方の基板の対向する表面に有機膜を形成し、真空
下において前記基板を移動させながら前記有機膜にイオ
ンを斜め方向から照射する。このときのイオン照射角度
は40°以上50°以下、イオン加速電圧は100V以
上200V以下である。
Description
に関する。
晶分子配向を得るために電極1002付きガラス基板1
001上にポリイミドなどの有機膜1003を形成し
て、ナイロン系やレーヨン系などの繊維(1005)で
一定方向に擦り付けるラビング法が用いられている。ラ
ビング配向処理の模式図を図10に示す。図中の100
7の方向に基板1001を移動しながら、回転(100
6)しているラビングローラー1004上に巻き付けて
ある繊維(ラビング布)1005で有機膜1003を擦
り付ける。このラビング法による配向処理は現在市販さ
れているほぼすべての液晶装置で用いられている。とこ
ろが、ラビング法によって有機膜に配向処理を施すと、
機械的な接触があるため発塵や静電気などの問題が生じ
る。発塵がおこると、ラビング処理後洗浄が必要とな
り、洗浄によって除去されなかったゴミについては液晶
装置の特性を悪化させ、歩留まりを低下させる要因とな
る。また、静電気が発生すると、液晶の配向が乱れた
り、アクティブマトリクス基板では基板上に存在するT
FT(薄膜トランジスタ)素子やMIM(金属−絶縁膜
−金属)素子が壊れたりする。
特開平3−83017号公報、特開平4−63323号
公報では、ラビング法に代わる配向処理としてイオン照
射法が提案されている。イオン照射法は基板上に形成さ
れた有機膜に斜め方向からArなどのイオンを照射する
配向処理法である。
イオン照射による配向法はすべてプレティルト角が低か
った。例えば、特開平3−83017号公報では明細書
中の表2、表3で「プレティルト角は0.4°〜1.0
°」と記述されている。特開平4−63323号公報で
は明細書2頁71行目に「プレティルト角は0.5°で
あった」と記述されている。特開平2−222927号
公報で提案されているイオン照射による液晶分子配向処
理では1×10−5Torrの高真空が必要となるた
め、生産性が悪い。さらに基板面からの照射角が20°
以上30°以下であるため、この角度からイオンを照射
すると液晶装置を構成したとき高いプレティルト角(基
板面と液晶分子長軸方向がなす角度)が得られにくい。
図9はプレティルト角について説明した図であるが、プ
レティルト角903が小さいと基板901間に電圧を印
加した時に液晶分子902が一方向904からだけでは
なく、逆方向905からも応答するいわゆるリバーステ
ィルトドメインが発生して、高画質の液晶装置を実現で
きない。特開平3−83017号公報で提案されている
イオン照射法においても1×10−5Torrの高真空
が必要となり、かつイオン加速電圧が250Vから20
00Vと高く有機膜に大きなダメージを与えてしまう。
このため、液晶装置を構成したとき電圧保持率が低下し
て、高画質なディスプレイが実現困難となる。さらに、
イオン加速電圧が高いと高いプレティルト角が得られに
くい。また、特開平2−222927号公報及び特開平
3−83017号公報ともに公報にあるような構成では
基板面内で照射角の角度依存性が生じ大画面で均一な液
晶配向が困難である。特開平4−63323号公報は1
×10−5Torrの高真空が必要となり、同公報のよ
うな構成では基板面内で照射角の角度依存性が生じ大画
面で均一な液晶配向も困難である。
子配向処理において、高いプレティルト角を有し大画面
で均一な液晶分子配向を得ることを目的とする。また、
配向処理のときの発塵や静電気を抑えた液晶装置の製造
方法を提供することを目的とする。
の製造方法は、液晶を挟持する一対の基板のうち、少な
くとも一方の基板の対向する表面に有機膜を形成し、真
空下において前記基板面に対し斜め方向からイオンを照
射することを特徴とする。
配向処理が可能となる。このため、従来の配向処理であ
るラビング法では必要不可欠であった配向処理後の洗浄
工程が不要となる。本発明に用いるイオンは、Ar、H
e、Ne、Xe、Krが有効である。
記基板を移動させながらイオン照射を行なうことを特徴
とする。
理が可能となる。
記基板をイオン照射口側に向かって移動させながらイオ
ン照射を行なうことを特徴とする。
上にゴミ等があった場合でも、配向処理がすでに済んだ
有機膜をそのゴミで汚染する可能性を小さくできる。イ
オン照射口側に向かっての移動とは、図1における10
9の方向に基板を移動させることである。
晶にプレティルトを与えるべき方向からイオンを斜め照
射することを特徴とする。
のプレティルト方向を制御できる。
記基板面に対するイオンの照射角をθとしたとき、40
°≦θ≦50°であることを特徴とする。
持つ均一な液晶分子配向が実現できる。なお、照射角θ
は図1におけるイオン照射方向と基板のなす角度104
のことである。
記有機膜を前記基板の一部に塗布し、前記基板全面にイ
オン照射を行なうことを特徴とする。
い液晶駆動用IC実装部分やシール部分ににじみでた有
機膜や汚れ等をイオン照射時にスパッタ洗浄することが
できる。
溶性のポリイミド材料を用いて前記有機膜を作製したこ
とを特徴とする。
必要なポリアミック酸タイプのポリイミドよりも高いプ
レティルト角を得ることができる。また、可溶性タイプ
のポリイミド材料は塗布後の焼成を不要とすることもで
きる。これによって、製造工程のスループットを上げる
ことが可能となる。通常、可溶性ポリイミドを用いた時
の焼成はポリイミド膜中に残存する溶剤を蒸発させるた
めであるが、本発明のような構成にすると真空中に有機
膜を露呈することになるので溶剤の蒸発を加速させるこ
とができたり、イオン照射時に発生する熱によって蒸発
を促進させることもできる。
記有機膜の膜厚dが前記イオン照射後、10nm≦d≦
100nmであることを特徴とする。
ことができる。この有機膜によって均一な液晶配向を得
ているわけであるから、10nmより薄くなるのは液晶
分子への配向規制力が弱まり好ましくない。また、液晶
装置に電圧を印加した時の有機膜膜厚分の電圧降下を低
く抑えることができる。つまり、有機膜は液晶駆動電極
と液晶層の間に存在することになるので、厚すぎるのは
好ましくない。
記基板のうち、少なくとも一方が凹凸を有し、前記凹凸
の高さψが300nm≦ψ≦1000nmであることを
特徴とする。
な段差を有するp−SiTFTなどのアクティブマトリ
クス液晶装置の配向処理に非常に有効である。従来のラ
ビング配向処理は、大きな段差部周辺はラビングでき
ず、液晶配向の不均一な領域が多数発生していた。この
部分を覆い隠すためにp−SiTFT対向基板に広い線
幅のブラックマスクが必要であり液晶装置の開口率を低
下させていたが、本発明を適用するとこうした大きな段
差部周辺も均一に配向処理ができ、ブラックマスクの線
幅を非常に細くすることが可能となる。
前記イオン照射におけるイオン加速電圧をVIONとし
たとき100V≦VION≦200Vであることを特徴
とする。
大画面で均一な液晶分子配向を実現できる。また、イオ
ン照射時の有機膜へのダメージを少なくすることがで
き、高い電圧保持率を実現できる。
前記イオンがクラスター状態のイオンを含んでいること
を特徴とする。
きな表面形状を形成できるので、高いプレティルト角が
実現できる。
前記真空下の真空度をξとしたとき1×10−4Tor
r≦ξ≦1×10−1Torrであり、かつイオン照射
口から前記有機膜までの距離Lが1mm≦L≦300m
mであることを特徴とする。
装置の製造に要する時間を短縮できる。これは工業的な
生産を考慮すると、大きなメリットとなる。また、イオ
ン照射口から前記有機膜までの距離が300mm以下で
あるため、低真空下においてイオンが有機膜までに到達
する間に酸素や窒素などの空気分子と衝突する確率を小
さくでき、例え衝突が起こったとしても大きなダメージ
を受けにくくできる。イオン照射口から有機膜までの距
離を1mm以下にすると、基板移動時の振動によってイ
オン照射口と有機膜が接触してしまう危険性がある。真
空度ξが1×10−4Torr≦ξ≦1×10−3To
rrで、イオン照射口から前記有機膜までの距離Lが1
0mm≦L≦100mmとした時が特に望ましい範囲で
ある。
り導き出されたイオンが加速電極111間でエネルギー
を受け加速電極111間を飛び出した地点のことをい
う。イオン照射口と有機膜105までの距離Lとは図1
における102のことである。
前記基板面を重力に対して平行に配置して前記イオン照
射を行なうことを特徴とする。
装置内にゴミ等の異物が存在しても、それらが重力によ
って基板上に落ちる危険性を回避することが可能とな
る。
基づいて説明する。
置の製造方法の概略図である。図中には記載していない
が、Arイオン照射は5×10−3Torrの真空装置
中で行われる。イオン源101より供給されたArイオ
ンは加速電極111によって加速され有機膜105に照
射される。ガラス基板108上には106として記載さ
れているように液晶駆動用電極やTFT素子などスイッ
チング素子が形成されており、さらにその上に可溶性ポ
リイミドからなる有機膜105を印刷法によって塗布し
てある。5×10−3Torrの真空装置内でポリイミ
ド膜に図中の103の方向より加速電圧100V、電流
密度20μA/cm2のArイオンを照射した。このと
きの照射角度θ(104)は45°とし、図中の109
または110の方向に1cm/秒の速度で移動して配向
処理を行なった。基板面内の方向(方位角方向)が90
°異なる同様なイオン照射による配向処理を施したカラ
ーフィルタ側基板と組み合わせ、液晶材料を基板間に封
入してTN(ツイストネマティック)液晶装置を構成し
た。このTN液晶装置を構成するために、図11におけ
る矢印の方位角方向からイオン照射を行なった。図11
は液晶装置の正面図で、一対のイオン照射配向処理基板
を組み立てた時のイオン照射方向の関係を模式的に表し
たものである。1102は上側基板(カラーフィルタ側
基板)の方位角方向の照射方向で、1103は下側基板
(TFT側基板)の方位角方向の照射方向である。右ね
じれのカイラル剤が少量添加されたネマティック液晶を
封入し、6時明視1104のTN液晶装置を作製した。
作製した液晶装置は配向不良もなく均一な液晶配向が得
られ、電圧印加時にリバースティルトドメインの発生も
なく高画質なディスプレイが実現できた。このときのプ
レティルト角は約4°であった。本実施例では基板の移
動方向を特に規定しなかったが、照射時に基板上にゴミ
等があった場合を考慮すると、図1中の110方向より
109方向の方が望ましい。図1ではイオン照射方向1
03と基板移動方向109、110が平行であったが、
図1の紙面垂直方向にイオン照射方向103と基板移動
方向109、110が所定の角度を持ってずれていても
構わない。本発明には、
ドが特に適しており、高い電圧保持率、均一な液晶配向
及び高いプレティルト角が同時に実現できた。本実施例
では、有機膜に可溶性のポリイミドを塗布しただけで恒
温槽での焼成を施さなかったが、高温重合を必要とする
ポリイミドや塗布後焼成を施した可溶性タイプのポリイ
ミドを用いた液晶装置と比較しても全く遜色のない高画
質なディスプレイが実現できた。
θを45°として有機膜に配向処理を施して液晶装置を
構成した。照射角度θを変化させた場合におけるプレテ
ィルト角と配向秩序度の変化を図2に示す。プレティル
ト角は培風館発行「液晶 応用編」(岡野光治/小林駿
介共編)63ページに記載されている磁界電位法を用い
て180°配向処理方向が異なるアンチパラレル液晶セ
ルで測定を行ない、配向秩序度は同28ページに記載さ
れているGH(ゲストホスト)液晶を用いて測定を行な
った。測定はイオン照射角度θを1°から72°まで1
°おきに変化させて行なった。図の曲線はその近似曲線
である。配向秩序度は大きいほど液晶が均一に配向して
いることになる。通常、配向秩序度は配向法によらず一
定であると言われている。ミクロな領域では確かにその
通りであるが、ここではよりマクロな領域での配向ベク
トルの分布を指して、配向秩序度としたい。その場合、
少なくとも1cm2以上の領域において、平均的な配向
秩序度を求めることにする。図2中の左側縦軸はプレテ
ィルト角、右側縦軸は配向秩序度、横軸は基板面に対す
るイオン照射角度θである。201は照射角度に対する
プレティルト特性であり、202は照射角度に対する配
向秩序度特性である。図から明らかなように照射角が4
0°以上50°以下のとき、高いプレティルト角と均一
な液晶分子配向特性が得られている。プレティルト角2
01については、照射角度が高くなると有機膜表面に照
射方向への異方的な形状が形成されるためである。配向
秩序度202については、照射角度が低いと均一に有機
膜表面に多くのイオンを照射できなくなり、配向秩序度
が低下する。また、照射角度θを高くしすぎると照射方
向への異方的な形状が形成しにくくなり、配向秩序度の
低下をまねく。よって、照射角度は40°以上50°以
下が好ましい。さらに、45°以上50°以下のときが
特に望ましい範囲である。
膜702は基板701全体に塗布されるのではなく、液
晶駆動用のIC実装部分703やシール部分704など
の表示エリア外には塗布されない。しかし、印刷法など
によってポリイミドなどの有機膜702を基板701に
選択的に塗布しても、にじみが生じ有機膜や有機膜の溶
剤がIC実装部分703やシール部分704に付着して
しまう。そこで有機膜702に配向処理をする時のイオ
ンをこのIC実装部分703やシール部分704まで照
射することによって、にじみ出した有機膜や溶剤、ゴミ
等の付着物を除去した。このようなイオン照射配向処理
を行なった液晶装置は、シール剤の密着強度が高く、ま
たIC実装時における不良も全く発生しなかった。
いて、Arイオンをガラス基板上に形成されたポリアミ
ック酸タイプのポリイミドに照射した。このガラス基板
上には液晶駆動用電極、MIM素子などが形成されてお
り、さらにその上にポリアミック酸タイプのポリイミド
をスピンナ法によって塗布し、280℃2時間重合を行
いイミド化した。このポリイミドの主鎖部の構造式は、
内で図1と同様に、加速電圧100V、電流密度20μ
A/cm2のArイオンを照射した。このときの照射角
度θは45°とし、1.5cm/秒の速度で基板を移動
して配向処理を行なった。基板面内の方向(方位角方
向)が90°異なる同様なイオン照射による配向処理を
施したカラーフィルタ側基板とイオン照射による配向処
理面が互いに向かい合うように組み合わせ、液晶材料を
基板間に封入してTN液晶装置を構成した。作製した液
晶装置は配向不良もなく均一な液晶配向が得られ、電圧
印加時にリバースティルトドメインの発生もなく高画質
なディスプレイが実現できた。このときのプレティルト
角は約3°であった。
施例1の条件でイオン照射法による配向処理を行ない、
液晶の配向状態を調べた。有機膜の膜厚が10nmより
薄くなると液晶装置の一部に配向不良の領域が生じてき
た。液晶装置はこの有機膜(配向膜)によって均一な液
晶配向を得ているわけであるから、10nmより薄くな
るのは液晶分子への配向規制力が弱まり好ましくない。
次に、有機膜の膜厚の上限について説明する。図5に液
晶装置1ドットの模式図を示す。簡単化するために抵抗
成分については省略してある。液晶装置1ドットは液晶
容量C(LC)501と有機膜容量C(AL)502が
直列に接続されている。このドットに電圧V503を印
加すると、有機膜部分でV(AL)=C(LC)・V/
(C(LC)+C(AL))だけの電圧降下505が生
じる。有機膜の膜厚が100nmより厚くなると、液晶
に印加される電圧504が低下し、十分な電圧を液晶層
に印加できなくなる。つまり、有機膜は液晶駆動電極と
液晶層の間に存在することになるので、薄い方が好まし
い。以上のことを考慮して実験を行なった結果、100
nm以下が適当であった。よって、イオン照射後の有機
膜の膜厚dは10nm以上100nm以下が好ましい。
さらに実用上特に望ましい範囲は、40nm以上70n
m以下である。
配向処理は図6に示すようにソース線603(図6中の
y方向)またはゲート線602(図6中のx方向)に沿
ってラビングをしていた。これは、最大800nmにも
達する表面段差によってラビング配向処理ができない領
域を極力小さくするためである(特開昭62−1591
26号公報)。このように従来のラビング処理ではTN
液晶装置の明視方向を6時または12時方向にできない
ため、左右で非対称の視角特性となってしまう。本発明
によれば、40°以上50°以下の高角度からイオンを
照射しているので、その凹凸による影は最大でも1μm
に満たない。よって、表面段差の影響を受けにくく、配
向処理の方向を任意に設定することができる。配向処理
方向が任意に設定できるということは、視角特性を持つ
液晶装置の最も特性がよい方向を任意の方向に設定でき
るということである。これは、投射型液晶プロジェクタ
ーの光学設計や直視型液晶装置を作製する上で非常に有
効である。表面凹凸が非常に大きいプロジェクター用の
p−SiTFT液晶装置に本発明を適用して、照射角度
50°でイオン照射を図11の方位角方向から行なっ
た。図11は液晶装置の正面図で、一対のイオン照射配
向処理基板を組み立てた時のイオン照射方向の関係を模
式的に表したものである。1102は上側基板の方位角
方向の照射方向で、1103は下側基板の方位角方向の
照射方向である。右ねじれのカイラル剤が少量添加され
たネマティック液晶を封入し、6時明視1104のTN
液晶装置を作製した。作製した液晶装置は配向不良もな
く均一な液晶配向が得られ、電圧印加時にリバースティ
ルトドメインの発生もなく高画質なディスプレイが実現
でき、高開口率化を可能とした。また、左右対称の視角
特性を実現できたので、投射型液晶プロジェクターの光
学設計が容易となった。
速電圧を100Vとして有機膜にイオン照射配向処理を
施して液晶装置を構成した。イオン加速電圧に対するプ
レティルト角と配向秩序度の変化を図3に示す。図3中
の左側縦軸はプレティルト角、右側縦軸は配向秩序度、
横軸はイオン加速電圧である。301はイオン加速電圧
に対するプレティルト特性であり、302はイオン加速
電圧に対する配向秩序度特性である。イオン加速電圧は
20Vから840Vまで20V刻みで変化させた。30
1、302は実験結果の近似曲線である。図から明らか
なように加速電圧が100V以上200V以下のとき、
高いプレティルト角と均一な液晶分子配向特性が得られ
ている。特に120V以上180V以下が望ましい範囲
である。本実施例では照射角度θ=45°であるが、こ
れをθ=20°とするとイオン加速電圧をどう変化させ
てもプレティルト角は1°以上にならなかった。つま
り、プレティルト角の発現にはイオン加速電圧が重要で
あるとともに照射角度も同様に重要であることが分かっ
た。
いて、中性ArとArイオンを含むクラスターをガラス
基板上に形成されたポリイミド有機膜に照射した。この
ときの加速電圧は200V、電流密度は10μA/cm
2、照射角度θは50°とし、1.5cm/秒の速度で
基板を移動して配向処理を行なった。同様な処理を施し
た基板と照射方向が180°異なるように組み合わせ、
液晶材料を基板間に封入してアンチパラレル液晶セルを
構成した。この液晶セルのプレティルト角は5.5°で
あり、クラスターを照射しないイオン照射液晶配向パネ
ルと比較すると約2°程高いプレティルト角が実現でき
た。
イオン照射口と有機膜までの距離Lをパラメータとした
時の真空度と配向秩序度の関係を図4に示す。横軸は真
空度であり、縦軸は配向秩序度である。図中の401は
イオン照射口と有機膜までの距離Lが100mmのとき
の真空度に対する液晶の配向秩序度、402はイオン照
射口と有機膜までの距離Lが300mmのときの真空度
に対する液晶の配向秩序度、403はイオン照射口と有
機膜までの距離Lが500mmのときの真空度に対する
液晶の配向秩序度である。イオン照射口と有機膜までの
距離Lが300mm以下であれば、真空度ξが1×10
−4Torr≦ξ≦1×10−1Torrの範囲で均一
な液晶分子配向を得ることができた。さらに、真空度ξ
が1×10−4Torr≦ξ≦1×10−3Torr
で、イオン照射口から前記有機膜までの距離Lが10m
m≦L≦100mmとした時が特に望ましい範囲であ
る。
805を塗布した基板803を重力808に対して平行
に配置して、基板803を図中の806または807の
方向に移動させながらイオンを照射を行なった。イオン
源801より供給されたArイオンは加速電極809に
よって加速され有機膜805に照射される。本発明のよ
うな構成にすると、イオン照射時に万が一装置内にゴミ
等の異物が存在しても、それらが重力808によって基
板上に落ちる危険性を回避することができる。図8のよ
うにして、配向処理された基板を用いてSTN(スーパ
ーツイストネマティック)液晶装置を構成した。このS
TN液晶装置は、ゴミ等の異物混入による不良が全く見
られなかった。本発明により、歩留まりを大きく向上さ
せることができた。本実施例では基板の移動方向を特に
規定しなかったが、照射時に基板上にゴミ等があった場
合を考慮すると、図8中の807方向より806方向の
方が望ましい。図8ではイオン照射方向802と基板移
動方向806、807が平行であったが、図8の紙面垂
直方向にイオン照射方向802と基板移動方向806、
807が所定の角度を持ってずれていても構わない。
の製造方法によれば、発塵がなくクリーンな配向処理が
可能となり、高いプレティルト角が実現できる。このた
め、従来の配向処理であるラビング法では必要不可欠で
あった配向処理後の洗浄工程が不要となる。
ィルト角を一定にすることができるため、プレティルト
角のばらつきによる配向不良がなくなる。
向秩序度の変化を示す図。
の配向秩序度の変化を示す図。
度を示す図。
図。
図。
う時の模式図。
性 302・・・イオン加速電圧に対する液晶の配向秩序度 401・・・イオン照射口と有機膜の距離が100mm
の時の真空度に対する液晶の配向秩序度 402・・・イオン照射口と有機膜の距離が300mm
の時の真空度に対する液晶の配向秩序度 403・・・イオン照射口と有機膜の距離が500mm
の時の真空度に対する液晶の配向秩序度 501・・・1ドットの液晶容量C(LC) 502・・・1ドットの有機膜(配向膜)容量C
(AL) 503・・・1ドットの印加電圧V 504・・・液晶に印加される電圧V(LC) 505・・・有機膜(配向膜)に印加される電圧V
(AL) 601・・・TFT素子 602・・・ゲート線 603・・・ソース線(信号線) 604・・・絶縁膜 605・・・液晶駆動電極 701・・・基板 702・・・有機膜 703・・・IC実装部 704・・・シール部(破線) 801・・・イオン源 802・・・イオン照射方向 803、901、1001・・・基板 804、1002・・・電極 805、1003・・・有機膜 806・・・基板移動方向(3) 807・・・基板移動方向(4) 808・・・重力 809・・・イオン加速電極 902・・・液晶分子 903・・・プレティルト角 904・・・液晶分子の電界への応答方向(1) 905・・・液晶分子の電界への応答方向(2) 906・・・電界 1004・・・ラビングローラー 1005・・・ラビング布 1006・・・ラビングローラーの回転方向 1007・・・基板の移動方向(5) 1101・・・TN液晶パネル 1102・・・上側基板における照射方向 1103・・・下側基板における照射方向 1104・・・TN液晶の明視方向(6時)
Claims (13)
- 【請求項1】液晶を挟持する一対の基板のうち、少なく
とも一方の基板の対向する表面に有機膜を形成し、真空
下において前記基板面に対し斜め方向からイオンを照射
することを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 【請求項2】前記基板を移動させながらイオン照射を行
なうことを特徴とする請求項1記載の液晶装置の製造方
法。 - 【請求項3】前記基板をイオン照射口側に向かって移動
させながらイオン照射を行なうことを特徴とする請求項
2記載の液晶装置の製造方法。 - 【請求項4】液晶にティルトを与えるべき方向からイオ
ンを斜め照射することを特徴とする請求項1、又は請求
項2に記載の液晶装置の製造方法。 - 【請求項5】前記基板面に対するイオンの照射角をθと
したとき、40°≦θ≦50°であることを特徴とする
請求項4記載の液晶装置の製造方法。 - 【請求項6】前記有機膜を前記基板の一部に塗布し、前
記基板全面にイオン照射を行なうことを特徴とする請求
項1乃至請求項5のいずれかに記載の液晶装置の製造方
法。 - 【請求項7】可溶性のポリイミド材料を用いて前記有機
膜を作製したことを特徴とする請求項1乃至請求項6の
いずれかに記載の液晶装置の製造方法。 - 【請求項8】前記有機膜の膜厚dが前記イオン照射後、
10nm≦d≦100nmであることを特徴とする請求
項1乃至請求項7のいずれかに記載の液晶装置の製造方
法。 - 【請求項9】前記基板のうち、少なくとも一方が凹凸を
有し、前記凹凸の高さψが300nm≦ψ≦1000n
mであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいず
れかに記載の液晶装置の製造方法。 - 【請求項10】前記イオン照射におけるイオン加速電圧
をVIONとしたとき、100V≦VION≦200V
であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれ
かに記載の液晶装置の製造方法。 - 【請求項11】前記イオンがクラスター状態のイオンを
含んでいることを特徴とする請求項1乃至請求項10の
いずれかに記載の液晶装置の製造方法。 - 【請求項12】前記真空下の真空度をξとしたとき1×
10−4Torr≦ξ≦1×10−1Torrであり、
かつイオン照射口から前記有機膜までの距離Lが1mm
≦L≦300mmであることを特徴とする請求項1乃至
請求項11のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。 - 【請求項13】前記基板面を重力に対して平行に配置し
て前記イオン照射を行なうことを特徴とする請求項1乃
至請求項12のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
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