JP3671578B2 - 液晶装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液晶装置の製造方法は、均一な液晶分子配向を得るために電極1002付きガラス基板1001上にポリイミドなどの有機膜1003を形成して、ナイロン系やレーヨン系などの繊維(1005)で一定方向に擦り付けるラビング法が用いられている。ラビング配向処理の模式図を図10に示す。図中の1007の方向に基板1001を移動しながら、回転(1006)しているラビングローラー1004上に巻き付けてある繊維(ラビング布)1005で有機膜1003を擦り付ける。このラビング法による配向処理は現在市販されているほぼすべての液晶装置で用いられている。ところが、ラビング法によって有機膜に配向処理を施すと、機械的な接触があるため発塵や静電気などの問題が生じる。発塵がおこると、ラビング処理後洗浄が必要となり、洗浄によって除去されなかったゴミについては液晶装置の特性を悪化させ、歩留まりを低下させる要因となる。また、静電気が発生すると、液晶の配向が乱れたり、アクティブマトリクス基板では基板上に存在するTFT(薄膜トランジスタ)素子やMIM(金属−絶縁膜−金属)素子が壊れたりする。
【0003】
そこで、特開平2−222927号公報、特開平3−83017号公報、特開平4−63323号公報では、ラビング法に代わる配向処理としてイオン照射法が提案されている。イオン照射法は基板上に形成された有機膜に斜め方向からArなどのイオンを照射する配向処理法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のイオン照射による配向法はすべてプレティルト角が低かった。例えば、特開平3−83017号公報では明細書中の表2、表3で「プレティルト角は0.4°〜1.0°」と記述されている。特開平4−63323号公報では明細書2頁71行目に「プレティルト角は0.5°であった」と記述されている。特開平2−222927号公報で提案されているイオン照射による液晶分子配向処理では1×10−5Torrの高真空が必要となるため、生産性が悪い。さらに基板面からの照射角が20°以上30°以下であるため、この角度からイオンを照射すると液晶装置を構成したとき高いプレティルト角(基板面と液晶分子長軸方向がなす角度)が得られにくい。図9はプレティルト角について説明した図であるが、プレティルト角903が小さいと基板901間に電圧を印加した時に液晶分子902が一方向904からだけではなく、逆方向905からも応答するいわゆるリバースティルトドメインが発生して、高画質の液晶装置を実現できない。特開平3−83017号公報で提案されているイオン照射法においても1×10−5Torrの高真空が必要となり、かつイオン加速電圧が250Vから2000Vと高く有機膜に大きなダメージを与えてしまう。このため、液晶装置を構成したとき電圧保持率が低下して、高画質なディスプレイが実現困難となる。さらに、イオン加速電圧が高いと高いプレティルト角が得られにくい。また、特開平2−222927号公報及び特開平3−83017号公報ともに公報にあるような構成では基板面内で照射角の角度依存性が生じ大画面で均一な液晶配向が困難である。特開平4−63323号公報は1×10−5Torrの高真空が必要となり、同公報のような構成では基板面内で照射角の角度依存性が生じ大画面で均一な液晶配向も困難である。
【0005】
そこで、本発明はイオン照射による液晶分子配向処理において、高いプレティルト角を有し大画面で均一な液晶分子配向を得ることを目的とする。また、配向処理のときの発塵や静電気を抑えた液晶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶装置の製造方法は、液晶を挟持する一対の基板のうち、少なくとも一方の基板の対向する側の一部に有機膜を形成し、真空下において前記基板全面に対し斜め方向からイオンを照射することを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、発塵がなくクリーンな配向処理が可能となる。このため、従来の配向処理であるラビング法では必要不可欠であった配向処理後の洗浄工程が不要となる。本発明に用いるイオンは、Ar、He、Ne、Xe、Krが有効である。
【0016】
本発明の液晶装置の製造方法は、前記有機膜を前記基板の一部に塗布し、前記基板全面にイオン照射を行なうことを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、通常有機膜を塗布しない液晶駆動用IC実装部分やシール部分ににじみでた有機膜や汚れ等をイオン照射時にスパッタ洗浄することができる。
【0018】
本発明の液晶装置の製造方法は、可溶性のポリイミド材料を用いて前記有機膜を作製したことを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、塗布後高温での重合が必要なポリアミック酸タイプのポリイミドよりも高いプレティルト角を得ることができる。また、可溶性タイプのポリイミド材料は塗布後の焼成を不要とすることもできる。これによって、製造工程のスループットを上げることが可能となる。通常、可溶性ポリイミドを用いた時の焼成はポリイミド膜中に残存する溶剤を蒸発させるためであるが、本発明のような構成にすると真空中に有機膜を露呈することになるので溶剤の蒸発を加速させることができたり、イオン照射時に発生する熱によって蒸発を促進させることもできる。
【0020】
本発明の液晶装置の製造方法は、前記有機膜の膜厚dが前記イオン照射後、10nm≦d≦100nmであることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、均一な液晶配向を得ることができる。この有機膜によって均一な液晶配向を得ているわけであるから、10nmより薄くなるのは液晶分子への配向規制力が弱まり好ましくない。また、液晶装置に電圧を印加した時の有機膜膜厚分の電圧降下を低く抑えることができる。つまり、有機膜は液晶駆動電極と液晶層の間に存在することになるので、厚すぎるのは好ましくない。
【0022】
本発明の液晶装置の製造方法は、前記基板のうち、少なくとも一方が凹凸を有し、前記凹凸の高さψが300nm≦ψ≦1000nmであることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、例えば基板表面に大きな段差を有するp−SiTFTなどのアクティブマトリクス液晶装置の配向処理に非常に有効である。従来のラビング配向処理は、大きな段差部周辺はラビングできず、液晶配向の不均一な領域が多数発生していた。この部分を覆い隠すためにp−SiTFT対向基板に広い線幅のブラックマスクが必要であり液晶装置の開口率を低下させていたが、本発明を適用するとこうした大きな段差部周辺も均一に配向処理ができ、ブラックマスクの線幅を非常に細くすることが可能となる。
【0026】
本発明の液晶装置の製造方法は、前記イオンがクラスター状態のイオンを含んでいることを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、有機膜表面に起伏の大きな表面形状を形成できるので、高いプレティルト角が実現できる。
【0028】
本発明の液晶装置の製造方法は、前記真空下の真空度をξとしたとき1×10−4Torr≦ξ≦1×10−1Torrであり、かつイオン照射口から前記有機膜までの距離Lが1mm≦L≦300mmであることを特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、低真空であるため液晶装置の製造に要する時間を短縮できる。これは工業的な生産を考慮すると、大きなメリットとなる。また、イオン照射口から前記有機膜までの距離が300mm以下であるため、低真空下においてイオンが有機膜までに到達する間に酸素や窒素などの空気分子と衝突する確率を小さくでき、例え衝突が起こったとしても大きなダメージを受けにくくできる。イオン照射口から有機膜までの距離を1mm以下にすると、基板移動時の振動によってイオン照射口と有機膜が接触してしまう危険性がある。真空度ξが1×10−4Torr≦ξ≦1×10−3Torrで、イオン照射口から前記有機膜までの距離Lが10mm≦L≦100mmとした時が特に望ましい範囲である。
【0030】
なお、イオン照射口とはイオン源101より導き出されたイオンが加速電極111間でエネルギーを受け加速電極111間を飛び出した地点のことをいう。イオン照射口と有機膜105までの距離Lとは図1における102のことである。
【0031】
本発明の液晶装置の製造方法は、前記基板面を重力に対して平行に配置して前記イオン照射を行なうことを特徴とする。
【0032】
上記構成によれば、イオン照射時に万が一装置内にゴミ等の異物が存在しても、それらが重力によって基板上に落ちる危険性を回避することが可能となる。
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記基板の対向する側の一部を、液晶駆動用のIC実装部分及びシール部分を除いた領域とすることを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
(実施例1)
図1は、本発明に係る液晶装置の製造方法の概略図である。図中には記載していないが、Arイオン照射は5×10−3Torrの真空装置中で行われる。イオン源101より供給されたArイオンは加速電極111によって加速され有機膜105に照射される。ガラス基板108上には106として記載されているように液晶駆動用電極やTFT素子などスイッチング素子が形成されており、さらにその上に可溶性ポリイミドからなる有機膜105を印刷法によって塗布してある。5×10−3Torrの真空装置内でポリイミド膜に図中の103の方向より加速電圧100V、電流密度20μA/cmのArイオンを照射した。このときの照射角度θ(104)は45°とし、図中の109または110の方向に1cm/秒の速度で移動して配向処理を行なった。基板面内の方向(方位角方向)が90°異なる同様なイオン照射による配向処理を施したカラーフィルタ側基板と組み合わせ、液晶材料を基板間に封入してTN(ツイストネマティック)液晶装置を構成した。このTN液晶装置を構成するために、図11における矢印の方位角方向からイオン照射を行なった。図11は液晶装置の正面図で、一対のイオン照射配向処理基板を組み立てた時のイオン照射方向の関係を模式的に表したものである。1102は上側基板(カラーフィルタ側基板)の方位角方向の照射方向で、1103は下側基板(TFT側基板)の方位角方向の照射方向である。右ねじれのカイラル剤が少量添加されたネマティック液晶を封入し、6時明視1104のTN液晶装置を作製した。作製した液晶装置は配向不良もなく均一な液晶配向が得られ、電圧印加時にリバースティルトドメインの発生もなく高画質なディスプレイが実現できた。このときのプレティルト角は約4°であった。本実施例では基板の移動方向を特に規定しなかったが、照射時に基板上にゴミ等があった場合を考慮すると、図1中の110方向より109方向の方が望ましい。図1ではイオン照射方向103と基板移動方向109、110が平行であったが、図1の紙面垂直方向にイオン照射方向103と基板移動方向109、110が所定の角度を持ってずれていても構わない。本発明には、
【0035】
【化1】
Figure 0003671578
【0036】
【化2】
Figure 0003671578
【0037】
などの主鎖を持つ可溶性タイプのポリイミドが特に適しており、高い電圧保持率、均一な液晶配向及び高いプレティルト角が同時に実現できた。本実施例では、有機膜に可溶性のポリイミドを塗布しただけで恒温槽での焼成を施さなかったが、高温重合を必要とするポリイミドや塗布後焼成を施した可溶性タイプのポリイミドを用いた液晶装置と比較しても全く遜色のない高画質なディスプレイが実現できた。
【0038】
(実施例2)
実施例1においては照射角度θを45°として有機膜に配向処理を施して液晶装置を構成した。照射角度θを変化させた場合におけるプレティルト角と配向秩序度の変化を図2に示す。プレティルト角は培風館発行「液晶 応用編」(岡野光治/小林駿介共編)63ページに記載されている磁界電位法を用いて180°配向処理方向が異なるアンチパラレル液晶セルで測定を行ない、配向秩序度は同28ページに記載されているGH(ゲストホスト)液晶を用いて測定を行なった。測定はイオン照射角度θを1°から72°まで1°おきに変化させて行なった。図の曲線はその近似曲線である。配向秩序度は大きいほど液晶が均一に配向していることになる。通常、配向秩序度は配向法によらず一定であると言われている。ミクロな領域では確かにその通りであるが、ここではよりマクロな領域での配向ベクトルの分布を指して、配向秩序度としたい。その場合、少なくとも1cm以上の領域において、平均的な配向秩序度を求めることにする。図2中の左側縦軸はプレティルト角、右側縦軸は配向秩序度、横軸は基板面に対するイオン照射角度θである。201は照射角度に対するプレティルト特性であり、202は照射角度に対する配向秩序度特性である。図から明らかなように照射角が40°以上50°以下のとき、高いプレティルト角と均一な液晶分子配向特性が得られている。プレティルト角201については、照射角度が高くなると有機膜表面に照射方向への異方的な形状が形成されるためである。配向秩序度202については、照射角度が低いと均一に有機膜表面に多くのイオンを照射できなくなり、配向秩序度が低下する。また、照射角度θを高くしすぎると照射方向への異方的な形状が形成しにくくなり、配向秩序度の低下をまねく。よって、照射角度は40°以上50°以下が好ましい。さらに、45°以上50°以下のときが特に望ましい範囲である。
【0039】
(実施例3)
図7に示すように、通常有機膜702は基板701全体に塗布されるのではなく、液晶駆動用のIC実装部分703やシール部分704などの表示エリア外には塗布されない。しかし、印刷法などによってポリイミドなどの有機膜702を基板701に選択的に塗布しても、にじみが生じ有機膜や有機膜の溶剤がIC実装部分703やシール部分704に付着してしまう。そこで有機膜702に配向処理をする時のイオンをこのIC実装部分703やシール部分704まで照射することによって、にじみ出した有機膜や溶剤、ゴミ等の付着物を除去した。このようなイオン照射配向処理を行なった液晶装置は、シール剤の密着強度が高く、またIC実装時における不良も全く発生しなかった。
【0040】
(実施例4)
実施例1と同様な真空中において、Arイオンをガラス基板上に形成されたポリアミック酸タイプのポリイミドに照射した。このガラス基板上には液晶駆動用電極、MIM素子などが形成されており、さらにその上にポリアミック酸タイプのポリイミドをスピンナ法によって塗布し、280℃2時間重合を行いイミド化した。このポリイミドの主鎖部の構造式は、
【0041】
【化3】
Figure 0003671578
【0042】
である。5×10−3torrの真空装置内で図1と同様に、加速電圧100V、電流密度20μA/cmのArイオンを照射した。このときの照射角度θは45°とし、1.5cm/秒の速度で基板を移動して配向処理を行なった。基板面内の方向(方位角方向)が90°異なる同様なイオン照射による配向処理を施したカラーフィルタ側基板とイオン照射による配向処理面が互いに向かい合うように組み合わせ、液晶材料を基板間に封入してTN液晶装置を構成した。作製した液晶装置は配向不良もなく均一な液晶配向が得られ、電圧印加時にリバースティルトドメインの発生もなく高画質なディスプレイが実現できた。このときのプレティルト角は約3°であった。
【0043】
(実施例5)
有機膜の膜厚を変化させて実施例1の条件でイオン照射法による配向処理を行ない、液晶の配向状態を調べた。有機膜の膜厚が10nmより薄くなると液晶装置の一部に配向不良の領域が生じてきた。液晶装置はこの有機膜(配向膜)によって均一な液晶配向を得ているわけであるから、10nmより薄くなるのは液晶分子への配向規制力が弱まり好ましくない。次に、有機膜の膜厚の上限について説明する。図5に液晶装置1ドットの模式図を示す。簡単化するために抵抗成分については省略してある。液晶装置1ドットは液晶容量C(LC)501と有機膜容量C(AL)502が直列に接続されている。このドットに電圧V503を印加すると、有機膜部分でV(AL)=C(LC)・V/(C(LC)+C(AL))だけの電圧降下505が生じる。有機膜の膜厚が100nmより厚くなると、液晶に印加される電圧504が低下し、十分な電圧を液晶層に印加できなくなる。つまり、有機膜は液晶駆動電極と液晶層の間に存在することになるので、薄い方が好ましい。以上のことを考慮して実験を行なった結果、100nm以下が適当であった。よって、イオン照射後の有機膜の膜厚dは10nm以上100nm以下が好ましい。さらに実用上特に望ましい範囲は、40nm以上70nm以下である。
【0044】
(実施例6)
従来のp−SiTFT基板の配向処理は図6に示すようにソース線603(図6中のy方向)またはゲート線602(図6中のx方向)に沿ってラビングをしていた。これは、最大800nmにも達する表面段差によってラビング配向処理ができない領域を極力小さくするためである(特開昭62−159126号公報)。このように従来のラビング処理ではTN液晶装置の明視方向を6時または12時方向にできないため、左右で非対称の視角特性となってしまう。本発明によれば、40°以上50°以下の高角度からイオンを照射しているので、その凹凸による影は最大でも1μmに満たない。よって、表面段差の影響を受けにくく、配向処理の方向を任意に設定することができる。配向処理方向が任意に設定できるということは、視角特性を持つ液晶装置の最も特性がよい方向を任意の方向に設定できるということである。これは、投射型液晶プロジェクターの光学設計や直視型液晶装置を作製する上で非常に有効である。表面凹凸が非常に大きいプロジェクター用のp−SiTFT液晶装置に本発明を適用して、照射角度50°でイオン照射を図11の方位角方向から行なった。図11は液晶装置の正面図で、一対のイオン照射配向処理基板を組み立てた時のイオン照射方向の関係を模式的に表したものである。1102は上側基板の方位角方向の照射方向で、1103は下側基板の方位角方向の照射方向である。右ねじれのカイラル剤が少量添加されたネマティック液晶を封入し、6時明視1104のTN液晶装置を作製した。作製した液晶装置は配向不良もなく均一な液晶配向が得られ、電圧印加時にリバースティルトドメインの発生もなく高画質なディスプレイが実現でき、高開口率化を可能とした。また、左右対称の視角特性を実現できたので、投射型液晶プロジェクターの光学設計が容易となった。
【0045】
(実施例7)
実施例1においてはイオン加速電圧を100Vとして有機膜にイオン照射配向処理を施して液晶装置を構成した。イオン加速電圧に対するプレティルト角と配向秩序度の変化を図3に示す。図3中の左側縦軸はプレティルト角、右側縦軸は配向秩序度、横軸はイオン加速電圧である。301はイオン加速電圧に対するプレティルト特性であり、302はイオン加速電圧に対する配向秩序度特性である。イオン加速電圧は20Vから840Vまで20V刻みで変化させた。301、302は実験結果の近似曲線である。図から明らかなように加速電圧が100V以上200V以下のとき、高いプレティルト角と均一な液晶分子配向特性が得られている。特に120V以上180V以下が望ましい範囲である。本実施例では照射角度θ=45°であるが、これをθ=20°とするとイオン加速電圧をどう変化させてもプレティルト角は1°以上にならなかった。つまり、プレティルト角の発現にはイオン加速電圧が重要であるとともに照射角度も同様に重要であることが分かった。
【0046】
(実施例8)
実施例1と同様な真空中において、中性ArとArイオンを含むクラスターをガラス基板上に形成されたポリイミド有機膜に照射した。このときの加速電圧は200V、電流密度は10μA/cm、照射角度θは50°とし、1.5cm/秒の速度で基板を移動して配向処理を行なった。同様な処理を施した基板と照射方向が180°異なるように組み合わせ、液晶材料を基板間に封入してアンチパラレル液晶セルを構成した。この液晶セルのプレティルト角は5.5°であり、クラスターを照射しないイオン照射液晶配向パネルと比較すると約2°程高いプレティルト角が実現できた。
【0047】
(実施例9)
イオン照射配向処理におけるイオン照射口と有機膜までの距離Lをパラメータとした時の真空度と配向秩序度の関係を図4に示す。横軸は真空度であり、縦軸は配向秩序度である。図中の401はイオン照射口と有機膜までの距離Lが100mmのときの真空度に対する液晶の配向秩序度、402はイオン照射口と有機膜までの距離Lが300mmのときの真空度に対する液晶の配向秩序度、403はイオン照射口と有機膜までの距離Lが500mmのときの真空度に対する液晶の配向秩序度である。イオン照射口と有機膜までの距離Lが300mm以下であれば、真空度ξが1×10−4Torr≦ξ≦1×10−1Torrの範囲で均一な液晶分子配向を得ることができた。さらに、真空度ξが1×10−4Torr≦ξ≦1×10−3Torrで、イオン照射口から前記有機膜までの距離Lが10mm≦L≦100mmとした時が特に望ましい範囲である。
【0048】
(実施例10)
図8に示すように、有機膜805を塗布した基板803を重力808に対して平行に配置して、基板803を図中の806または807の方向に移動させながらイオンを照射を行なった。イオン源801より供給されたArイオンは加速電極809によって加速され有機膜805に照射される。本発明のような構成にすると、イオン照射時に万が一装置内にゴミ等の異物が存在しても、それらが重力808によって基板上に落ちる危険性を回避することができる。図8のようにして、配向処理された基板を用いてSTN(スーパーツイストネマティック)液晶装置を構成した。このSTN液晶装置は、ゴミ等の異物混入による不良が全く見られなかった。本発明により、歩留まりを大きく向上させることができた。本実施例では基板の移動方向を特に規定しなかったが、照射時に基板上にゴミ等があった場合を考慮すると、図8中の807方向より806方向の方が望ましい。図8ではイオン照射方向802と基板移動方向806、807が平行であったが、図8の紙面垂直方向にイオン照射方向802と基板移動方向806、807が所定の角度を持ってずれていても構わない。
【0049】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本願の液晶装置の製造方法によれば、発塵がなくクリーンな配向処理が可能となり、高いプレティルト角が実現できる。このため、従来の配向処理であるラビング法では必要不可欠であった配向処理後の洗浄工程が不要となる。
【0050】
また、配向膜に隣接する液晶分子のプレティルト角を一定にすることができるため、プレティルト角のばらつきによる配向不良がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオン照射による配向処理の模式図。
【図2】イオン照射に対するプレティルト角と液晶の配向秩序度の変化を示す図。
【図3】イオン加速電圧に対するプレティルト角と液晶の配向秩序度の変化を示す図。
【図4】イオン照射時の真空度に対する液晶の配向秩序度を示す図。
【図5】電圧Vを印加した時の液晶セル1ドットの模式図。
【図6】TFT基板の正面図。
【図7】基板上に有機膜を選択的に塗布した時の模式図。
【図8】基板を重力と平行に配置してイオン照射を行なう時の模式図。
【図9】プレティルト角の説明図。
【図10】従来のラビング配向処理の模式図。
【図11】液晶装置におけるイオン照射方向を示す図。
【符号の説明】
101・・・イオン源
102・・・イオン照射口と有機膜までの距離L
103・・・イオン照射方向
104・・・照射角度θ
105・・・有機膜
106・・・電極
107・・・有機膜の膜厚d
108・・・基板
109・・・基板移動方向(1)
110・・・基板移動方向(2)
111・・・イオン加速電極
202・・・照射角度に対するプレティルト角特性
202・・・照射角度に対する液晶の配向秩序度
301・・・イオン加速電圧に対するプレティルト角特性
302・・・イオン加速電圧に対する液晶の配向秩序度
401・・・イオン照射口と有機膜の距離が100mmの時の真空度に対する液晶の配向秩序度
402・・・イオン照射口と有機膜の距離が300mmの時の真空度に対する液晶の配向秩序度
403・・・イオン照射口と有機膜の距離が500mmの時の真空度に対する液晶の配向秩序度
501・・・1ドットの液晶容量C(LC)
502・・・1ドットの有機膜(配向膜)容量C(AL)
503・・・1ドットの印加電圧V
504・・・液晶に印加される電圧V(LC)
505・・・有機膜(配向膜)に印加される電圧V(AL)
601・・・TFT素子
602・・・ゲート線
603・・・ソース線(信号線)
604・・・絶縁膜
605・・・液晶駆動電極
701・・・基板
702・・・有機膜
703・・・IC実装部
704・・・シール部(破線)
801・・・イオン源
802・・・イオン照射方向
803、901、1001・・・基板
804、1002・・・電極
805、1003・・・有機膜
806・・・基板移動方向(3)
807・・・基板移動方向(4)
808・・・重力
809・・・イオン加速電極
902・・・液晶分子
903・・・プレティルト角
904・・・液晶分子の電界への応答方向(1)
905・・・液晶分子の電界への応答方向(2)
906・・・電界
1004・・・ラビングローラー
1005・・・ラビング布
1006・・・ラビングローラーの回転方向
1007・・・基板の移動方向(5)
1101・・・TN液晶パネル
1102・・・上側基板における照射方向
1103・・・下側基板における照射方向
1104・・・TN液晶の明視方向(6時)

Claims (8)

  1. 液晶を挟持する一対の基板のうち、少なくとも一方の基板の対向する側の一部に有機膜を形成し、真空下において前記基板全面に対し斜め方向からイオンを照射することを特徴とする液晶装置の製造方法。
  2. 可溶性のポリイミド材料を用いて前記有機膜を作製したことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の製造方法。
  3. 前記有機膜の膜厚dが前記イオン照射後、10nm≦d≦100nmであることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の液晶装置の製造方法。
  4. 前記基板のうち、少なくとも一方が凹凸を有し、前記凹凸の高さψが300nm≦ψ≦1000nmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
  5. 前記イオンがクラスター状態のイオンを含んでいることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
  6. 前記真空下の真空度をξとしたとき1×10−4Torr≦ξ≦1×10−1Torrであり、かつイオン照射口から前記有機膜までの距離Lが1mm≦L≦300mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
  7. 前記基板面を重力に対して平行に配置して前記イオン照射を行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
  8. 前記基板の対向する側の一部は、液晶駆動用のIC実装部分及びシール部分を除いた領域とすることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
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