JPH09290611A - ラテラルロッドの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、部品点数の削減を図り、かつ、車
体に対するタイヤの幅方向位置精度の向上、および横剛
性の向上を図ること。 【解決手段】 本発明は、車体に懸架されたアクスルシ
ャフトハウジング６の両端部に設けられたアクスルハブ
７によってアクスルシャフト５を回転自在に支持すると
ともに上記車体に対するアクスルシャフトハウジング側
の横方向位置をラテラルロッド１０で調整するようにし
たラテラルロッドの取付構造において、上記車体側に一
端部を軸支したラテラルロッド１０の他端部を、上記ア
クスルハブ７に揺動可能に軸支したことにある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、部品点数の削減を
図り、かつ、車体に対するタイヤの幅方向位置精度の向
上、および横剛性の向上を図ることができるラテラルロ
ッドの取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】四輪車のリヤサスペンションのうちリジ
ットアクスル形式のサスペンションがある。このリジッ
トアクスル形式のサスペンションには、３リンク式、４
リンク式、５リンク式等がある。

【０００３】図７および図８は、リジットアクスル形式
のサスペンションのうち３リンク式のものを示したもの
である。この３リンク式のサスペンションは、左右のタ
イヤ５０が装着されたアクスルシャフト５１をアクスル
シャフトハウジング５２内に収容し、このアクスルシャ
フトハウジング５２を一対のトレーリングアーム５３に
よって車体フレーム５４に支持させるとともに、車体フ
レーム５４との間に設けられた図示しないコイルスプリ
ングとショックアブソーバによってアクスルシャフトハ
ウジング５２を懸架したものである。このアクスルシャ
フトハウジング５２と車体フレーム５４との間に、横方
向の位置調整用としてラテラルロッド５５が配設されて
いる。このサスペンションでは、トレーリングアーム５
３によって車体前後方向の荷重を受け、ラテラルロッド
５５によって、横方向（車体左右方向）の荷重を受ける
とともに横方向の位置決めが図られている。

【０００４】このようなリジットアクスル形式のサスペ
ンションにおけるアクスルシャフトの支持構造として
は、図９に示すように構成されている。タイヤ５０が装
着されたホイール５６は、アクスルシャフト５１にボル
ト５７およびナット５８で結合されている。アクスルシ
ャフト５１は、アクスルシャフトハウジング５２内の軸
線上に配設され、このアクスルシャフトハウジング５２
の両端部に配置された軸受け５９を介して回転自在に支
持されている。これらの軸受け５９は、アクスルシャフ
トハウジング５２の両端部に溶接されたアクスルハブ６
０内に圧入によって配設されている。

【０００５】上記タイヤ５０の車幅方向の位置、すなわ
ち、アクスルシャフト５１の位置は、アクスルハブ６０
の軸受け５９に対する当たり面６０ａによって決まる。
一方、車体に対するアクスルシャフト５１の横方向位置
は、アクスルシャフト５１に対するラテラルロッド５５
の取付け位置によって決まることになる。

【０００６】従来、このラテラルロッド５５の取付け構
造としては、図１０ないし図１３に示すようなものが知
られている。図１０および図１１に示したものは、アク
スルシャフトハウジング５２の一端部に、鋼製ピン６１
を溶接したブラケット６２を溶接し、この鋼製ピン６１
にラテラルロッド５５の一端部を軸支する構造である。
また、図１２および図１３に示したものは、アクスルシ
ャフトハウジング５２に、コ字形の鋼板製のラテラルロ
ッドブラケット６３を溶接したブラケット６４を溶接
し、この鋼板製のラテラルロッドブラケット６３にラテ
ラルロッド５５の一端部を軸支する構造である。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな先行技術によると、鋼製ピン６１を用いる構造は、
ブラケット６２を介してアクスルシャフトハウジング５
２に支持され、鋼板製のラテラルロッドブラケット６３
を用いる構造は、ブラケット６４を介してアクスルシャ
フトハウジング５２に支持されるので、アクスルハブ６
０の軸受け５９との当たり面６０ａから、鋼製ピン６１
またはラテラルロッドブラケット６３の中心との距離の
公差が大きくなってしまい、車体に対するタイヤ５０の
横方向位置精度を悪化させることになっていた。また、
タイヤ接地点にかかる横方向の力をラテラルロッド５５
で受けとめる際にアクスルシャフトハウジング５２とブ
ラケット６２またはブラケット６４の接合部に高い荷重
が生じ、溶接による応力集中の影響を受け易く、高強度
を得にくい。このように、溶接部近辺で応力が高いと正
確な溶接管理が要求される。そこで、強度を上げるため
にブラケット６２またはブラケット６４を大きくする
と、重量が大きくなり、溶接長さも長くなって、生産性
が悪るくなる課題を生じる。

【０００８】本発明は上記課題を解決し、部品点数の削
減を図り、かつ、車体に対するタイヤの幅方向位置精度
の向上、および横剛性の向上を図ることができるラテラ
ルロッドの取付構造を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、車体に懸架されたアクスルシャフトハウジン
グの両端部に設けられたアクスルハブによってアクスル
シャフトを回転自在に支持するとともに上記車体に対す
るアクスルシャフトハウジング側の横方向位置をラテラ
ルロッドで調整するようにしたラテラルロッドの取付構
造において、上記車体側に一端部を軸支したラテラルロ
ッドの他端部を、上記アクスルハブに揺動可能に軸支し
たことにある。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら詳細に説明する。

【００１１】図１はアクスルシャフトハウジングの端部
を拡大して示したものである。タイヤ１が装着されたホ
イール２は、ボルト３およびナット４によってアクスル
シャフト５に取り付けられている。このアクスルシャフ
ト５は、アクスルシャフトハウジング６の両端部に装着
されたアクスルハブ７に、ボールベアリング等の軸受け
８を介して支持されている。このアクスルハブ７は、鍛
造によって筒状に成形されたもので、アクスルシャフト
ハウジング６の両端部に溶接Ｗによって装着されてい
る。このアクスルハブ７の内周面の中央部には、円周方
向に沿って内側に向けて凸部７ａが形成されており、こ
の凸部７ａの両側に、凸部７ａより径を大きくした段部
７ｂ，７ｃがそれぞれ形成されている。アクスルハブ７
の外側の開口端に形成された段部７ｂには、軸受け８が
圧入されて、アクスルシャフト５を支持するとともに、
アクスルハブ７の内側の開口端に形成された段部７ｃに
は、アクスルシャフトハウジング６の先端部が圧入され
ている。

【００１２】一方、このアクスルハブ７の外周面には、
半径方向に取付穴７ｄが形成されており、この取付穴７
ｄに鋼製ピン９の基端部９ａの一部が圧入されている。
この鋼製ピン９のピン部９ｂ中心と、アクスルハブ７の
段部７ｂの軸受け当たり面Ｘとの距離Ｌは、機械加工に
よって一定の精度が得られるように形成されている。

【００１３】鋼製ピン９のピン部９ｂには、一端部を車
体フレーム（図示せず）に軸支されたラテラルロッド１
０の他端部が揺動可能に取り付けられており、ピン部９
ｂに形成されたネジ部にナット１１を螺合することによ
ってラテラルロッド１０が軸支されている。

【００１４】１２はアクスルシャフトハウジング６に装
着されたブラケット１３に軸支されたトレーリングアー
ムであり、これは図示しない車体フレームに揺動可能に
支持されている。

【００１５】上記構成によるラテラルロッドの取付構造
によると、組み付けに際しては、アクスルハブ７の外周
面の取付穴７ｄに鋼製ピン９を圧入し、この鋼製ピン９
にラテラルロッド１０を組み付ける。この鋼製ピン９と
軸受け当たり面Ｘとの距離Ｌは、アクスルハブ７の機械
加工によって決まるので、高い精度が得られる。また、
タイヤ１からの入力を、直接受ける軸受け８と、ラテラ
ルロッド１０が鍛造のアクスルハブ７のみを介して結合
されるので、剛性が向上し、強度上も有利である。さら
に、この場合、ラテラルロッド１０の長さを長くとるこ
とが可能になるので、タイヤストローク時の望ましくな
いアクスルシャフトハウジング６の横変位を小さくする
ことができることから、サスペンション性能が向上す
る。

【００１６】図３ないし図６に示したものは、図１およ
び図２と同一部分は同符号を付して示す本発明の他の実
施の態様である。図３および図４に示したものは、片持
ちボルト式で、この場合、アクスルハブ７の外周面に
は、取付穴７ｄに代えてネジ穴７ｅを形成し、このネジ
穴７ｅに片持ちボルト１４を螺合して、この片持ちボル
ト１４によって、ラテラルロッド１０の一端を支持する
ようにしたものである。また、図５および図６に示した
ものは、外周面にブラケット部分１５を設けたアクスル
ハブ１６を用いたものである。このブラケット部分１５
には、ラテラルロッド１０を支持する支持ボルトのネジ
穴１５ａが形成されている。これらの他の実施の態様に
よっても前記実施の態様と同様の効果が得られる。

【００１７】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によるラテラ
ルロッドの取付構造によれば次のような効果を奏するこ
とができる。請求項１において、車体に懸架されたアク
スルシャフトハウジングの両端部に設けられたアクスル
ハブによってアクスルシャフトを回転自在に支持すると
ともに上記車体に対するアクスルシャフトハウジング側
の横方向位置をラテラルロッドで調整するようにしたラ
テラルロッドの取付構造において、上記車体側に一端部
を軸支したラテラルロッドの他端部を、上記アクスルハ
ブに揺動可能に軸支したので、ラテラルロッド取付部と
軸受け当たり面との距離を、アクスルハブの機械加工に
よって決めることができることから、高い精度が得られ
る。また、タイヤからの入力を、直接受ける軸受けと、
ラテラルロッドが鍛造のアクスルハブのみを介して結合
されるので、剛性が向上し、強度上も有利である。さら
に、この場合、ラテラルロッドの長さを長くとることが
可能になるので、タイヤストローク時の望ましくないア
クスルシャフトハウジングの横変位を小さくすることが
できることから、サスペンション性能が向上する。また
さらに、板金製のブラケット類が一切不要となるので、
製造工数および製造コストを下げることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるラテラルロッドの取付構造を示す
断面図である。

【図２】図１のＡ方向から見た概念図である。

【図３】本発明の他の実施の態様によるラテラルロッド
の取付構造を示す断面図である。

【図４】図３のＡ方向から見た概念図である。

【図５】本発明の他の実施の態様によるラテラルロッド
の取付構造を示す断面図である。

【図６】図５のＡ方向から見た概念図である。

【図７】従来のリジットアクスル形式のサスペンション
を示す平面図である。

【図８】図７のＡ方向矢視図である。

【図９】従来のアクスルシャフトハウジングの端部構造
を示す断面図である。

【図１０】従来のラテラルロッドの取付構造を示す平面
図である。

【図１１】図１０のＡ方向矢視図である。

【図１２】従来のラテラルロッドの取付構造を示す平面
図である。

【図１３】図１２のＡ方向矢視図である。

【符号の説明】

１ タイヤ ２ ホイール ３ ボルト ４ ナット ５ アクスルシャフト ６ アクスルシャフトハウジング ７ アクスルハブ ８ 軸受け ９ 鋼製ピン １０ ラテラルロッド １１ ナット １２ トレーリングアーム １３ ブラケット １４ 片持ちボルト １５ ブラケット部分 １６ アクスルハブ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体に懸架されたアクスルシャフトハウ
   ジングの両端部に設けられたアクスルハブによってアク
   スルシャフトを回転自在に支持するとともに上記車体に
   対するアクスルシャフトハウジング側の横方向位置をラ
   テラルロッドで調整するようにしたラテラルロッドの取
   付構造において、上記車体側に一端部を軸支したラテラ
   ルロッドの他端部を、上記アクスルハブに揺動可能に軸
   支したことを特徴とするラテラルロッドの取付構造。