JPH09286886A - 含ハロゲン樹脂組成物 - Google Patents

含ハロゲン樹脂組成物

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JPH09286886A
JPH09286886A JP10107896A JP10107896A JPH09286886A JP H09286886 A JPH09286886 A JP H09286886A JP 10107896 A JP10107896 A JP 10107896A JP 10107896 A JP10107896 A JP 10107896A JP H09286886 A JPH09286886 A JP H09286886A
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Yoshiyuki Sakamaki
義之 坂巻
Teruo Arai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温特性、耐熱老化物性に優れ、移行性の小
さい含ハロゲン樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 本発明は、(イ)含ハロゲン樹脂100
重量部および(ロ)ポリエステル可塑剤10〜300重
量部からなる含ハロゲン樹脂組成物において、上記
(ロ)成分が、反応成分として3−メチル−1,5−ペ
ンタンジオールを含む多価アルコール成分およびダイマ
ー酸を含む多塩基酸成分を使用したポリエステル可塑剤
であることを特徴とする含ハロゲン樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含ハロゲン樹脂組
成物に関し、詳しくは、特定のポリエステル可塑剤を配
合することで、低温特性、熱老化物性、非移行性等に優
れた含ハロゲン樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリ塩
化ビニルなどの含ハロゲン樹脂は、安価で可塑剤を配合
することで自由にその硬さを変化させることが可能であ
るため、種々の用途において汎用されている。
【0003】ここで使用される可塑剤としては、フタレ
ート系等の芳香族多塩基酸エステル可塑剤、アジペート
系等の脂肪族多塩基酸エステル可塑剤、ポリエステル可
塑剤、ホスフェート可塑剤、塩素化パラフィンなどの種
々のものがあげられる。
【0004】これらの種々の可塑剤の中でもポリエステ
ル可塑剤は、耐揮発性、耐油性、非移行性に優れた可塑
剤であることが知られている。
【0005】このポリエステル可塑剤は、主に多価アル
コール成分および多塩基酸成分からなり、これらの各成
分を変えることでより優れた性能の含ハロゲン樹脂組成
物を得るために検討されてきた。しかし、現時点におい
て、低温特性、熱老化物性、非移行性などの各種特性に
おいて未だ満足できるものは得られていない。
【0006】従って、本発明の目的は、低温特性、耐熱
老化物性に優れ、移行性の小さい含ハロゲン樹脂組成物
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
を重ねた結果、含ハロゲン樹脂にポリエステル可塑剤を
配合してなる含ハロゲン樹脂組成物の中で、該ポリエス
テル可塑剤が特定の多価アルコール成分と特定の多塩基
酸成分とを必須成分としてなることを特徴とする含ハロ
ゲン樹脂組成物が、上記目的を達成し得ることを知見し
た。
【0008】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、(イ)含ハロゲン樹脂100重量部および(ロ)ポ
リエステル可塑剤10〜300重量部からなる含ハロゲ
ン樹脂組成物において、上記(ロ)成分が、反応成分と
して3−メチル−1,5−ペンタンジオールを含む多価
アルコール成分およびダイマー酸を含む多塩基酸成分を
使用したポリエステル可塑剤であることを特徴とする含
ハロゲン樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の含ハロゲン樹脂組
成物について詳細に説明する。
【0010】本発明に使用される(イ)成分である含ハ
ロゲン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、後塩素
化ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、
塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレ
ン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニ
ル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデ
ン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三
元共重合体、塩化ビニル−アルキル、シクロアルキル又
はアリールマレイミド共重合体、塩化ビニル−スチレン
−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン
共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニ
ル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニ
リデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリ
ル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステ
ル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合
体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニ
ル−ウレタン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリ臭化
ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンな
どを挙げることができる。
【0011】本発明に使用される(ロ)成分であるポリ
エステル可塑剤は、多価アルコール成分、多塩基酸成分
および必要に応じて末端停止成分から形成されるもので
あり、該多価アルコール成分として少なくとも3−メチ
ル−1,5−ペンタンジオールを使用し、該多塩基酸成
分として少なくともダイマー酸を使用すること以外は通
常のポリエステル可塑剤と同様なものである。
【0012】ここで使用される上記ダイマー酸は、好ま
しくは、下記〔化1〕で表される化学構造を有する化合
物、即ち、炭素原子数18の不飽和カルボン酸の二量体
である。該ダイマー酸としては、市販品を用いることが
でき、例えば、ハリマ化成製の「ハリダイマー」シリー
ズ、ヘンケル白水社製の「Versadyme」シリー
ズなどがあげられる。
【0013】
【化1】
【0014】上記ダイマー酸の使用量は全多塩基酸成分
中好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1〜5
0モル%である。該使用量が0.5モル%未満では使用
による効果が得られないおそれがあるため好ましくな
く、さらに、50モル%より多い場合には加工性が低下
する傾向があるため注意が必要である。また、上記3−
メチル−1,5−ペンタンジオールの使用量は、全多価
アルコール成分中好ましくは10モル%以上、より好ま
しくは20モル%以上である。該使用量が10モル%未
満の使用では、要求される性能のものができないおそれ
があるため好ましくない。
【0015】また、上記3−メチル−1,5−ペンタン
ジオールと共に使用できる上記多価アルコール成分とし
ては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオー
ルなどの直鎖グリコール;1,2−プロパンジオール、
2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメ
チル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−
1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、
1,3−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、
3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−
1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−
1,3−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオー
ル、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐
アルコールがあげられる。また、その他、小割合のグリ
セリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールを用いる
こともできる。
【0016】また、上記ダイマー酸と共に使用できる上
記多塩基酸成分としては、例えば、マロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族二塩基酸を主成分
とするものであり、この他に、少割合の、フタル酸、イ
ソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリ
ット酸等の芳香族多塩基酸、あるいは、ブタントリカル
ボン酸、ブタンテトラカルボン酸、トリカルバリル酸、
クエン酸等の脂肪族多塩基酸を用いることもできる。
【0017】また、上記多価アルコール成分および上記
多塩基酸成分の一部を、12−ヒドロキシステアリン
酸、カプロラクトンなどで代替することもできる。
【0018】また、上記末端停止成分としては、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、
ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパ
ノール、tert−ブタノール、ペンタノール、2−ペ
ンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタ
ノール、3−メチル−1−ブタノール、tert−アミ
ルアルコール、ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−
ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メ
チル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノー
ル、4−メチル−1−ペンタノール、ヘプタノール、2
−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノー
ル、2−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−
ヘキサノール、4−メチル−1−ヘキサノール、5−メ
チル−1−ヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘ
キサノール、ノナノール、イソノナノール、デカノー
ル、イソデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、
トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノー
ル、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカ
ノール、セロソルブ、カルビトール、フェノール、ノニ
ルフェノール、ベンジルアルコール等の一価アルコー
ル、及び酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草
酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、2−メチルペ
ンタノイック酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、カプリ
ル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸、カプリン
酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリス
チン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイ
ン酸、安息香酸等の一塩基酸があげられる。
【0019】上記の各成分(多価アルコール成分、多塩
基酸成分および末端停止成分)の使用量の比は、用いる
成分の種類及び目的とするポリエステル可塑剤の特性、
分子量等により変化するが、一般には、該各成分の合計
に対して、多価アルコール成分10〜80重量%、多塩
基酸成分10〜80重量%、末端停止成分10〜50重
量%の比率で用いられる。
【0020】上記の各成分を使用して得られた上記
(ロ)成分であるポリエステル可塑剤は、その数平均分
子量が500〜8000、特に1000〜5000のも
のが好ましく、また、酸価が1以下、水酸基価が30以
下のものが好ましい。
【0021】上記の各成分を使用して上記ポリエステル
可塑剤を製造することは周知であり、例えば、ジブチル
錫オキサイド、テトラアルキルチタネート等の触媒の存
在下に反応させることにより容易に製造することができ
る。次に、該ポリエステル可塑剤の合成例を示す。
【0022】(合成例)アジピン酸352.4g、ダイ
マー酸〔ハリマ化成(株)製 ハリダイマー300〕7
2.5g、3−メチル−1,5−ペンタンジオール29
1.6g、2−エチルヘキサノール134.8g、テト
ライソプロピルチタネート0.127gおよびリン酸硼
素0.043gを仕込み、徐々に昇温しながら窒素雰囲
気下にて脱水反応を行ない、最終的に220℃まで昇温
して4時間反応した。その後、220℃、30mmHg
で30分の減圧脱水反応を行ない、液状のサンプルNo.1
(下記〔表1〕に示す、分子量、酸価、水酸基価のポリ
エステル可塑剤)を得た。
【0023】さらに、上記合成例に準じて、反応成分で
ある多塩基酸成分、多価アルコール成分、末端停止成分
の種類や配合比率等を下記〔表1〕に示すように変化さ
せて、サンプルNo.2〜No.5(下記〔表1〕に示す、分子
量、酸価、水酸基価のポリエステル可塑剤)を合成し
た。
【0024】
【表1】
【0025】上記ポリエステル可塑剤の配合量は、含ハ
ロゲン樹脂100重量部に対して、10〜300重量
部、好ましくは20〜200重量部であり、この範囲に
おいて用途に応じて適宜使用される。ここで、該配合量
が10重量部未満では、十分な柔軟性を付与することが
できず、300重量部を超えると、ブリードを生じた
り、加工性に悪影響を与えるなどの欠点を生じるおそれ
がある。
【0026】また、本発明の組成物には、上記ポリエス
テル可塑剤とともに通常の含ハロゲン樹脂に使用される
他の可塑剤を必要に応じて併用することができる。該他
の可塑剤としては、通常の含ハロゲン樹脂に使用される
可塑剤であれば何れも使用でき、例えば、ジヘプチルフ
タレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレ
ートなどのフタレート系可塑剤、ジオクチルアジペー
ト、ジイソノニルアジペート、ジ(ブチルジグリコー
ル)アジペートなどのアジペート系可塑剤、ホスフェー
ト系可塑剤、他のポリエステル系可塑剤、塩素化パラフ
ィン系可塑剤、トリメリテート系可塑剤、ピロメリテー
ト系可塑剤、ビフェニレンテトラエステル可塑剤、エポ
キシ化植物油などがあげられる。
【0027】上記の他の可塑剤は、含ハロゲン樹脂10
0重量部に対し、本発明に係る上記(ロ)成分であるポ
リエステル可塑剤と合わせて300重量部を越えない範
囲で使用される。
【0028】また、本発明の組成物に、無機安定剤を併
用することで熱老化物性はさらに改善される。該無機安
定剤としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグ
ネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、銅、亜鉛、
カドミウム、アルミニウム、錫、鉛などの酸化物、水酸
化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩、リン酸
塩、亜燐酸塩、硼酸塩などで、これらの酸性塩、中性
塩、塩基性塩が包含され、さらにゼオライト、ハイドロ
タルサイト化合物などの複合塩化合物であってもよい
が、これらの中でも、特にハイドロタルサイト化合物が
好ましい。
【0029】ここで、上記ハイドロタルサイト化合物と
は、下記一般式(I)で表される様に、マグネシウムと
アルミニウム、または亜鉛、マグネシウム及びアルミニ
ウムからなる複塩化合物であり、結晶水を脱水したもの
であってもよい。
【0030】 Mgx1Znx2Al2・(OH)2x1+2x2+4・(CO3)1-y/2(ClO4)y ・mH2O (I) (式中、x1 、x2 及びyは各々下記式で表される条件
を満足する数を示し、mは0または任意の正数を示す。
0≦x2 /x1 <10、2≦x1 +x2 <20、0≦y
≦2)
【0031】上記ハイドロタルサイト化合物は、天然物
であってもよく、また合成品であってもよい。上記合成
品の合成方法としては、特公昭46−2280号公報、
特公昭50−30039号公報、特公昭51−2912
9号公報、特公平3−36839号公報、特開昭61−
174270号公報などに記載の公知の方法を例示する
ことができる。また、上記ハイドロタルサイト化合物
は、その結晶構造、結晶粒子径などに制限されることな
く使用することが可能である。
【0032】また、上記ハイドロタルサイト化合物とし
ては、その表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オ
レイン酸アルカリ金属塩のごとき高級脂肪酸金属塩、ド
デシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機
スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エス
テルまたはワックスなどで被覆したものも使用できる。
【0033】上記無機安定剤の添加量は、含ハロゲン樹
脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重
量部、より好ましくは0.05〜5重量部である。該添
加量が0.01よりも少ない場合には効果がほとんど見
られず、10重量部より多く使用した場合には増量効果
がないばかりでなく、大きな着色を与えるなどの欠点を
生じるおそれがあるため好ましくない。
【0034】また、本発明の組成物には、有機Sn系、
金属せっけん系等、通常の含ハロゲン樹脂に使用される
安定剤を使用することができる。
【0035】また、本発明の組成物には、さらに通常含
ハロゲン樹脂用の添加剤として用いられている各種の添
加剤、例えば、アミン系、フェノール系、硫黄系、リン
系等の抗酸化剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の
光安定剤またはエポキシ化合物等を配合することもでき
る。
【0036】その他、本発明の組成物には、必要に応じ
て、通常含ハロゲン樹脂に使用される添加剤、例えば、
架橋剤、充填剤、帯電防止剤、プレートアウト防止剤、
表面処理剤、滑剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、
金属不活性剤、顔料、加工助剤等を配合することができ
る。
【0037】また、本発明の組成物は、含ハロゲン樹脂
の加工方法には無関係に使用することが可能であり、例
えば、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、溶
融流延法、加圧成型加工、ペースト加工、粉体成型等に
好適に使用することができる。
【0038】本発明の組成物は、壁材、床材、窓枠、壁
紙等の建材;自動車用内装材;電線用被覆材;ハウス、
トンネル等の農業用資材;ラップ、トレー等の食品包装
材;鉄等の金属、木材、異種プラスチック保護および化
粧のための被覆資材;塗料;レザー、シート、ホース、
玩具等の雑貨として好適に使用することができる。
【0039】
【実施例】次に、実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は下記の実施例によって制限を受ける
ものではない。
【0040】実施例1 下記配合物をロール混練後プレス加工を行ない0.5m
mのシートを作成した。このシートより所定の試験片を
作成し、JIS K 7113に従って引張試験を行な
い、引張強度と伸びを求め、柔軟温度を測定した。ま
た、試験片を158℃のギヤオーブン中に336時間入
れたもの(熱老化後)についても同様に引張試験を行な
い、引張強度と伸びを求めた。(ここではオリジナルと
比較してその残率を示した。)
【0041】また、上記シートをABS樹脂に接触さ
せ、72℃で72時間放置後の移行性を目視により評価
した。評価基準はまったく移行の見られないものを1と
して10段階で数値の増大に伴い移行の大きい状態を表
す。
【0042】それらの結果を下記〔表3〕に示す。尚、
試験化合物として用いたNo.1〜No.5は、前記合成例で合
成したポリエステル可塑剤である。また、比較サンプル
として、下記〔表2〕に示す反応成分としての多塩基酸
成分、多価アルコール成分、末端停止成分を用いて合成
したサンプル比1〜比3(下記〔表2〕に示す、分子
量、酸価、水酸基価のポリエステル可塑剤)を使用し
た。
【0043】
【表2】
【0044】 (配 合) 重量部 塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100 エポキシ化大豆油 2 ステアリン酸亜鉛 0.5 ステアリン酸バリウム 0.5 DHT−4A*2 1.0 ジベンゾイルメタン 0.05 テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル 0.5 −4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン 試験化合物(下記〔表3〕参照) 50 *2:協和化学株式会社製ハイドロタルサイト 組成式:Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O
【0045】
【表3】
【0046】実施例2 下記の配合物にて、柔軟温度を測定しない以外は実施例
1と同様の試験を行なった。さらに、オリジナルシート
を70℃、98%RHに2週間曝した後の、シート表面
への吹き出し物(ブリード)を観察した。評価は目視に
よる10段階評価で、1が全く吹き出しの見られない状
態を表し、数値の増大に伴い吹き出し物が増加すること
を表す。それらの結果を下記〔表4〕に示す。
【0047】 (配 合) 重量部 ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1050) 100 炭酸カルシウム 25 クレー #33 5 ステアリン酸亜鉛 0.7 ジベンゾイルメタン 0.15 ソルビトール 0.02 ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ 0.2 フェニル)プロピオネート 4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)0.05 アルカマイザー1*3 3 試験化合物(下記〔表4〕参照) 50 *3:協和化学株式会社製ハイドロタルサイト 組成式:Mg4Al2(OH)12CO3・3H2O
【0048】
【表4】
【0049】以上の結果から、次のことが明らかであ
る。多塩基酸成分としてダイマー酸を用いず、多価アル
コール成分として3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ルを用いていないポリエステル可塑剤(比1)、あるい
はそれぞれの成分の内一方のみを用いてなるポリエステ
ル可塑剤(比2,比3)を使用した場合(比較例 1-1〜
1-3, 2-1〜2-3 )には、耐寒性に劣り、熱老化物性の低
下が大きく、さらに非移行性に劣る。
【0050】これに対し、多塩基酸成分としてダイマー
酸を用い、かつ多価アルコール成分として3−メチル−
1,5−ペンタンジオールを用いてなるポリエステル可
塑剤用いることによって、耐寒性、熱老化物性、非移行
性に優れた含ハロゲン樹脂組成物が得られ、さらに、本
発明に係る上記ポリエステル可塑剤と共にハイドロタル
サイト化合物などの無機安定剤を併用することで、さら
にその熱老化物性を改善することができる(実施例 1-1
〜1-5, 2-1〜2-5 )。
【0051】
【発明の効果】本発明の含ハロゲン樹脂組成物は、低温
特性、熱老化物性、非移行性に優れ、種々に用途に好適
に使用することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)含ハロゲン樹脂100重量部およ
    び(ロ)ポリエステル可塑剤10〜300重量部からな
    る含ハロゲン樹脂組成物において、上記(ロ)成分が、
    反応成分として3−メチル−1,5−ペンタンジオール
    を含む多価アルコール成分およびダイマー酸を含む多塩
    基酸成分を使用したポリエステル可塑剤であることを特
    徴とする含ハロゲン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記(ロ)成分を形成する、上記3−メ
    チル−1,5−ペンタンジオールの使用量が全多価アル
    コール成分中10モル%以上であり、上記ダイマー酸の
    使用量が全多塩基酸成分中0.5モル%以上である請求
    項1記載の含ハロゲン樹脂組成物。
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