JPH09272273A - 感熱孔版印刷用マスター及びその製造方法 - Google Patents

感熱孔版印刷用マスター及びその製造方法

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JPH09272273A
JPH09272273A JP11023096A JP11023096A JPH09272273A JP H09272273 A JPH09272273 A JP H09272273A JP 11023096 A JP11023096 A JP 11023096A JP 11023096 A JP11023096 A JP 11023096A JP H09272273 A JPH09272273 A JP H09272273A
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Japan
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resin film
heat
stencil printing
sensitive stencil
porous resin
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JP11023096A
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English (en)
Inventor
Masayuki Ota
真之 大田
Masanori Toshimoto
正則 利元
Tetsuo Tanaka
哲夫 田中
Fumiaki Arai
文明 新井
Hiroshi Tateishi
比呂志 立石
Hideki Ono
英樹 小野
Takehiko Iwaoka
武彦 岩岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku Ricoh Co Ltd
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コシが強く、穿孔感度に優れ、しかも優れた
画質の印刷画像が得られ、かつ裏汚れの少ない感熱孔版
印刷用マスター及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 感熱孔版印刷用マスターは熱可塑性樹脂
フィルムの上にフィラーを含有した多孔性樹脂膜を有
し、その多孔性樹脂膜は、真円換算時の直径が5μm以
上の孔の開口面積の合計が全表面積の4〜80%の範囲
であるものとする。この感熱孔版印刷用マスターは、2
種以上の溶媒の混合液中に溶解している樹脂中に、フィ
ラーを混合分散して塗布液とし、この塗布液を熱可塑性
樹脂フィルム上に塗布し、その乾燥中に樹脂濃度が高く
なることにより樹脂を析出させ、多孔性樹脂膜を形成さ
せて製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感熱孔版印刷用マス
ター及びその製造方法にかかるものであり、詳しくは熱
可塑性樹脂フィルム上にフィラーを含む多孔性樹脂膜を
形成した感熱孔版印刷用マスター及びその製造方法にか
かわるものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルムにインキ透過性支
持体としての多孔性薄葉紙などを接着剤で貼りあわせ、
且つフィルム表面にサーマルヘッドとのスティック防止
のためのスティック防止層を設けた感熱孔版印刷用マス
ターが知られている。実際上、多孔性薄葉紙として麻繊
維と合成繊維、木材繊維との混抄したものにフィルムを
接着剤で張り合わせ且つフィルム表面にスティック防止
層を設けた感熱孔版印刷用マスターが広く用いられてい
る。
【0003】しかし、こうした従来の感熱孔版印刷用マ
スターには次のような問題点がある。 (1)繊維の重なった部分とフィルムが接する部分に接
着剤が大量に、鳥の水掻き状に集積し、その部分のサー
マルヘッドによる穿孔が行われにくくなる。また、その
部分がインキの通過を妨げ、印刷ムラが発生する。 (2)繊維自体がインキの通過を妨げ、印刷ムラが発生
する。 (3)繊維が高価であり、またラミネート加工によるロ
スも大きく、感熱孔版印刷用マスターが高価となる。
【0004】こうした点を配慮して幾つかの感熱孔版印
刷用マスターが提案されている。例えば、特開平3−1
93445号公報には、繊度1デニール以下の極細繊維
を用いたインキ透過性支持体が開示されている。これに
よれば前記(1)の問題点は解決されるが(2)(3)
の問題点は残されている。特開昭62−198459号
公報には、フィルム上に実質的に閉じた形状の、耐熱性
樹脂パターンをグラビア、オフセット、フレキソ等の印
刷法を用いて形成する方法が開示されている。しかし現
状の印刷技術ではパターンの線幅が50μm以下の印刷
は困難であり、たとえ出来たとしても生産性が悪く高価
である。しかも一般的には線幅が30μm以上では耐熱
性樹脂がサーマルヘッドによる穿孔を妨げ印刷ムラが発
生する。また、特開平4−7198号公報には、水分散
性ポリマーとコロイダルシリカのような微粒子の混合液
をフィルム表面に塗布、乾燥し多孔質層を形成すること
によって感熱孔版印刷用マスターを製造し、理想科学工
業社製の孔版製版機(プリントゴッコ製版機)を用いて
製版し、EPSON社製のインキジェット記録用インキ
(HG−4800インク)を用いて印刷する方法が開示
されているが、この方法により得られる多孔質層は印刷
インキの通りが悪く、従来の感熱孔版印刷用インキでは
印刷時に十分な濃度が得られず実用的でない。
【0005】もっとも、特開昭54−33117号公報
には、支持体を用いない、実質的にフィルムのみからな
る感熱孔版印刷用マスターが開示されており、これによ
れば前記(1)(2)(3)の問題点は解決されるが、
その一方で新たな問題を生じさせている。その一つは、
フィルムが10μm以下の厚さの場合、その「コシ」
(stiffness)が弱く、搬送が困難になること
である。これの解決方法として、特公平5−70595
号公報では、孔版印刷機の版胴周壁部にフィルムが切断
されることなく長尺状のまま巻装され、印刷時には版胴
の回転とともにフィルム全体も回転する考えが提示され
ている。しかし、この方法ではフィルムおよび着排版ユ
ニットが印刷時には版胴の回転と共に回転するため、回
転のモーメントが大きくなり、また重力中心の回転軸か
らの変位が大きく、これらの解決のために孔版印刷機は
重く、大きくしなければならないことである。他の一つ
は、フィルムが5μm以上の厚さの場合、その熱感度が
小さくなり、サーマルヘッドによる穿孔が行われにくく
なることである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の実情に鑑みてなされたものであって、安価
で且つ薄い多孔性樹脂膜を熱可塑性樹脂フィルムの一方
の面上に設けることによりコシ(stiffness)
を強くし、印刷物の画質が良好で、裏汚れがなく、穿孔
感度に優れた感熱孔版印刷用マスター及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、感熱孔版
印刷用マスターをいろいろな角度から検討した結果、イ
ンキの通過を妨げ、且つサーマルヘッドによる穿孔を妨
げる支持体はなるべくなら存在しない方が望ましいが、
それではフィルムのコシが小さく、先に指摘したよう
に、その搬送に支障をきたす。従って、支持体を設けざ
るを得ないが、その場合の支持体としては、フィルム穿
孔時の熱感度を低下せず、且つインキの通過を阻害せ
ず、孔版印刷機上での搬送に十分なコシを与えるものが
望ましい、との考えから本発明に到達した。
【0008】即ち、本発明によれば、第一に、熱可塑性
樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂膜を設けてな
り、該多孔性樹脂膜はフィラーを含み、かつ、その表面
は真円換算時の直径が5μm以上の孔の開口面積の合計
が全表面積の4〜80%の範囲にあることを特徴とする
感熱孔版印刷用マスターを提供する。第二に、多孔性樹
脂膜に含有するフィラーが針状フィラー、板状フィラー
の少なくとも1種であることを特徴とする上記第一に記
載した感熱孔版印刷用マスターを提供する。第三に、曲
げ剛度が5mN以上であることを特徴とする上記第一に
記載の感熱孔版印刷用マスターを提供する。第四に、2
種以上の溶媒の混合液中に溶解している樹脂中にフィラ
ーを分散混合した塗布液を熱可塑性樹脂フィルムの一方
の面上に塗布し、その後、乾燥して該溶媒を揮散させ該
樹脂を析出させることにより、多孔性樹脂膜を該熱可塑
性樹脂フィルム上に形成することを特徴とする感熱孔版
印刷用マスターの製造方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明の感熱孔版印刷用マスターは、熱可塑性樹
脂フィルムの一方の面に多孔性樹脂膜を設けているが、
この多孔性樹脂膜は、膜の内部及び表面に多数の空隙を
持つ構造を有するものであれば良く、該空隙がインキの
通過性の点から多孔質膜内において厚さ方向に連続構造
であり、且つ該熱可塑性樹脂フィルムを床とした場合に
天井方向に貫通していのものが望ましい。ただし、これ
ら多孔性樹脂膜と熱可塑性樹脂フィルムとの境界におい
てはサーマルヘッドによる穿孔を阻害しない範囲で多孔
性樹脂膜が熱可塑性樹脂フィルムを覆って閉鎖していて
も良い。
【0010】多孔性樹脂膜の個数平均孔径は一般に1μ
m以上100μm以下、好ましくは2μm以上30μm
以下が適当である。個数平均孔径が1μmに満たない場
合にはインキの通過性が悪く、十分なインキ通過量を得
るために低粘度インキを用いれば画像にじみや孔版印刷
中に印刷ドラムの側部や巻装されているマスターの後端
から印刷インキがしみ出す現象が発生する。また多孔質
樹脂膜内の空隙率が低くなることが多くサーマルヘッド
による穿孔を阻害しやすくなる。平均孔径が100μm
を越える場合には多孔性樹脂膜によるインキの抑制効果
が低くなり孔版印刷時に印刷ドラムとフィルムの間のイ
ンキが過剰に押し出され裏汚れやにじみ等の不具合が発
生する。従って、多孔性樹脂膜の孔径は小さすぎても大
きすぎても良好な印刷品質が得られない。
【0011】本発明における多孔性樹脂膜で注意される
べきことは、多孔性樹脂膜表面において、真円換算時の
直径5μm以上好ましくは5〜1000μmの孔の開口
面積の合計は全表面積の4〜80%、好ましくは10〜
60%ということである。ここにいう「多孔性樹脂膜表
面において」とは文字通り、熱可塑性樹脂フィルムに接
する側とは反対側の面(自由表面側の面)では、という
ことであり、従って、多孔性樹脂膜の表面には真円換算
時の直径5〜1000μmの孔が形成されており、その
孔の開口面積の合計は多孔性樹脂膜の自由表面側の表面
積の4〜80%を占めるのが適当ということである。こ
の割合が4%未満である場合にはサーマルヘッドによる
穿孔やインキの通過が阻害されやすく、80%を越える
場合は、インキの通りが良くなりすぎ、裏汚れやにじみ
等の不具合を発生するようになる。
【0012】多孔性樹脂膜の表面に形成される孔は真円
であるのが望ましいが、一般には様々な形状を有するも
のであり、このため、この明細書においては、この多孔
性樹脂膜表面に形成される孔の大きさを「真円換算時の
直径」というようにして表わしている。真円換算時の直
径は、電子顕微鏡の孔の部分をマーキングし、LA−5
55D(ピアス社製)で画像処理して求めた。
【0013】支持体としての多孔性樹脂膜の厚さは、5
〜100μm、好ましくは6〜50μmである。5μm
に満たない場合は、感熱孔版印刷用マスターに十分なコ
シが得られにくい上、サーマルヘッドによる穿孔後に穿
孔部の背後に多孔性樹脂膜が残りにくく、インキ転写量
が制御されずに印刷物の裏汚れが悪くなりやすく、10
0μmより厚い場合には多孔性樹脂膜がフィルムから剥
れやすくなる傾向がみられる。
【0014】多孔性樹脂膜の熱可塑性樹脂フィルムへの
付着量は0.5g/m2以上25g/m2以下である。付
着量の増大はインキの通過を妨げて画質を悪くし、少な
すぎるとコシを強くする効果が小さくなる。多孔性樹脂
膜の密度は、通常0.01g/m2以上2g/m2以下で
ある。密度が0.01g/m2以下であると膜の強度が
不足し、所望のコシが得られにくく、また膜自体も壊れ
やすい。密度が2g/m2以上であると印刷用インキが
通過しにくくなることがある。
【0015】多孔性樹脂膜を形成する樹脂材料は、一般
に熱可塑性樹脂からなり、有効な樹脂は、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、塩
化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル−塩化ビ
ニリデンコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコ
ポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー等の
ビニル系樹脂、ポリブチレン、ナイロン等のポリアミ
ド、ポリフェニレンオキサイド、(メタ)アクリル酸エ
ステル、ポリカーボネート、アセチルセルロース、アセ
チルブチルセルロース、アセチルプロピルセルロース等
のセルロース誘導体等が挙げられる。
【0016】本発明の感熱孔版印刷用マスターのコシ
は、曲げ剛度5mN以上であることが望ましい。曲げ剛
度が5mN未満の場合、感熱孔版印刷用マスターの印刷
機上での搬送が困難になり搬送時のトラブルが発生しや
すい。
【0017】上記熱可塑性樹脂から形成した多孔性樹脂
膜は、一般に曲げ剛度が低く、しかもコシの強さを上げ
ようとして多孔性樹脂膜を厚くすると剛度は上がるが印
刷用インキの通過性が悪くなり、所望の印刷画像濃度が
得られにくい。印刷画像濃度を下げずにコシを上げる方
法につき種々検討した結果、可塑性樹脂膜中に形状異方
性を示す針状フィラー及び/又は板状フィラーを添加す
ることが有効であることが判った。
【0018】これは針状フィラー、板状フィラーを熱可
塑性樹脂中に均一に分散した塗布液(多孔性樹脂膜形成
液)を、熱可塑性樹脂フィルム上に塗布し、乾燥するこ
とによって、この乾燥過程で、フィラーの廻りに樹脂が
析出し、フィラーが連結し合って強固なコシの強い多孔
性樹脂膜が形成されるものと考えられる。これに対し、
形状異方性の小さい無定型及び球状フィラーは、フィラ
ーの廻りに樹脂が析出してもフィラー間の連結が弱いた
めに、コシの向上効果が低いものと思われる。
【0019】代表的なフィラーとして、ウオラストナイ
ト、ゾノトライト、石膏繊維、セピオライト等の鉱物系
針状フィラー、非酸化物系針状ウイスカ、酸化物系ウイ
スカ、複酸化物系ウイスカ等の人工鉱物系針状フィラ
ー、マイカ、ガラスフレーク、タルク等の板状フィラー
等を有効に利用出来る。針状フィラーの大きさは、直径
0.1〜1.0μm、長さ1〜20μmで平均アスペク
ト比10〜50のフィラーが好ましい。また板状フィラ
ーの大きさは、体積平均粒径1〜20μmで平均アスペ
クト比10〜50の形状フィラーが有効である。
【0020】フィラーの添加量は多孔性樹脂膜の形成に
用いられる熱可塑性樹脂に対し通常5〜50重量%であ
る。5重量%より少ないとコシの改良が認められにく
く、50重量%より多いと樹脂液を熱可塑性樹脂フィル
ム上に塗布したときに多孔性樹脂膜が形成されにくいこ
とがあり、また、得られた感熱孔版印刷用マスターのハ
ンドリング中や製版時にフィラーが剥離しやすくなる。
【0021】本発明に使用される熱可塑性樹脂フィルム
としては、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体フィル
ム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等
の従来より感熱孔版印刷用マスターに使用されているも
のが使用できるが、融解エネルギーが3〜11cal/
gのポリエステルフィルム(特開昭62−149496
号公報参照)、結晶化度が30%以下のポリエステルフ
ィルム(特開昭62−282983号公報参照)、ブチ
レンテレフタレート単位を50mol%以上含むポリエ
ステルフィルム(特開平2−158391号公報参照)
等の低エネルギーで穿孔可能なポリエステルフィルムが
好ましい。フィルムの厚さは0.5〜10μmが適当で
ある。
【0022】本発明の感熱孔版印刷用マスターにおいて
も、フィルムの表面にサーマルヘッドとのスティック防
止のためのスティック防止層を設けることが出来る。こ
の場合、使用されるスティック防止剤としては、従来の
感熱孔版印刷用マスターで一般的に使用されているもの
が使用出来る。例えばシリコーン系離型剤、フッ素離型
剤、リン酸エステル系界面活性剤等が適用される。
【0023】本発明の感熱孔版印刷用マスターの多孔性
樹脂膜が熱可塑性樹脂フィルムとの接着性が低い場合、
この接着性を改良するために、良溶媒と貧溶媒との混合
溶媒に溶解する樹脂を多孔性樹脂膜形成液に少量添加す
る。この添加量は接着性、熱感度より実験的に求めるこ
とができる。
【0024】図1は本発明の感熱孔版印刷用マスター1
の概略図で熱可塑性樹脂フィルム2、多孔性樹脂膜3か
ら構成されることを表わしている。この感熱孔版印刷用
マスター1をつくるのに最も適した方法は、2種以上の
溶媒の混合液中に溶解しうる樹脂とともに、フィラーを
分散混合して塗布液を調製し、これを熱可塑性樹脂フィ
ルム上に塗布した後乾燥し、その乾燥中に樹脂濃度が高
くなることにより、フィラーを含有した樹脂を析出さ
せ、多孔性樹脂膜を形成するというものである。この場
合、混合溶媒は、通常、樹脂(多孔性樹脂膜形成用樹
脂)に対する良溶媒と貧溶媒の混合液であることが望ま
しい。混合溶媒中の貧溶媒の割合が高い程、形成される
多孔性樹脂膜の空隙の径が大きくなる傾向が見られる
が、貧溶媒の割合を過剰にした場合、塗布前に溶液中の
樹脂が析出してしまうので樹脂の溶解特性によって樹脂
の析出しない範囲で貧溶媒の割合を決める。混合溶媒の
条件として良溶媒が貧溶媒に対して相対的に低温で蒸発
しやすい組み合わせが好ましい。
【0025】各種溶媒及びその混合比率はいくつかの実
験により決定する。また熱可塑性樹脂溶液の濃度は一般
に3〜15重量%である。3重量%以下であると厚い多
孔性樹脂膜が得にくく、得られる感熱孔版印刷用マスタ
ーのコシが不足しやすい。一方、15重量%以上である
と乾燥に時間がかかり、多孔性樹脂膜が形成されにく
く、また膜の孔径も小さくなりやすく穿孔感度が低下す
る。
【0026】代表的熱可塑性樹脂の良溶媒貧溶媒の種
類、液温20℃での良溶媒貧溶媒の混合比、熱可塑性樹
脂の濃度につき表1に具体例を列記する。
【0027】
【表1】
【0028】前記のように、多孔性樹脂膜は樹脂の溶
解、フィラーの分散、塗工により製膜する。良溶媒貧溶
媒の混合溶液中に熱可塑性樹脂を溶解後、該溶液にフィ
ラーを添加、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、超
音波分散機等の粉砕分散手段により均一分散液を作成す
る。該分散液を濾過して塗布液とする。次にブレードコ
ーター、トランスファーロールコーター、ワイヤーバー
コーター、リバースロールコーター、グラビアロールコ
ーター、ダイコーター等の塗布手段により熱可塑性フィ
ルムに均一塗布し、熱風、赤外線等の手段で乾燥する。
熱可塑性フィルムは、高温に曝すと熱収縮が発生、製版
時の熱感度を低下するので、60℃以下で乾燥すること
が必要である。
【0029】本発明の感熱孔版印刷用マスター1を用い
て製版を行うには、この分野において一般に採用されて
いる手段が採用される。すなわち、図2に示したよう
に、感熱孔版印刷用マスター1をサーマルヘッド4とプ
ラテンローラ5との間に通すことでなされる。図3はサ
ーマルヘッドへの通電により熱可塑性フィルム2を溶融
して穿孔6を形成した孔版印刷版である。
【0030】
【実施例】次に本発明の感熱孔版印刷用マスターの実施
例をあげて詳細に説明するが、本発明はこれに限定され
るものではない。なお、処方中の数字は、重量部を示
す。
【0031】評価方法:下記実施例で得られた感熱孔版
印刷用マスターの多孔性樹脂膜の平均孔径、コシの強さ
を下記の方法で測定し、孔版印刷機(PRIPORT
VT3820、リコー社製)で印刷(印刷速度:3、環
境:20℃、65%RH)して印刷濃度(画像濃度)及
び裏汚れを測定評価する。 (1)面積率・・・各孔径を真円に換算した時の、直径
が5μm以上の孔の開口面積の合計の多孔性樹脂膜全表
面積中の割合であり、1000倍で撮影した電子顕微鏡
表面写真の孔部をLA−555D(ピアス社製)を用い
て画像処理することにより、各孔径を真円に換算する。 (2)コシの強さ・・Stiffness Teste
r(Lorentzen& Wettre社製)で測定
する。 (3)印刷濃度・・・マクベス反射濃度計(Macbe
th社製)で測定する。 (4)裏汚れ・・・印刷物を肉眼で観察し、市販マスタ
ー(リコー社製、VT2マスター)との比較にて評価す
る。
【0032】実施例1 ポリビニルブチラール樹脂4部を、エチルアルコール3
4.5部及び水11.5部の混合液中に溶解後、針状珪
酸マグネシウム(水沢化学社製、エードプラスSP)
0.8部を添加し、ボールミルで十分分散混合した。濾
過して長さ20μm以上の針状珪酸マグネシウムを除去
し塗布液とした。厚さ3.5μmの2軸延伸ポリエステ
ルフィルム上にワイヤーバー塗布方式で均一塗布した。
塗布後直ちに50℃の熱風中に3分間乾燥してポリエス
テルフィルム上に多孔性樹脂膜を形成した。この際、ワ
イヤーの径0.6mm、0.8mm、1.0mm、1.
2mm、1.4mmのワイヤーバーを用いて付着量を変
えた製品を作成した。これらの製品について測定評価し
た結果、多孔性樹脂膜の面積率は約40%でコシの強さ
15mNでも裏移りのない十分な印刷濃度が得られた。
コシの強さと印刷濃度との関係を図4に示したが、これ
から判るように、フィラーを添加した本発明例は、コシ
の強さが上っても印刷濃度にはほとんど変化はみられな
い。
【0033】実施例2 ポリビニルブチラール樹脂4部を、エチルアルコール3
4.5部及び水11.5部の混合液中に溶解後、板状珪
酸マグネシウム(タルク、日本タルク社製、ミクロエー
スP4)0.8部を添加し、ボールミルにて分散混合し
た。この塗布液を厚さ3.5μmの2軸延伸ポリエステ
ルフィルムの上に、実施例1と同様5種類のワイヤーバ
ーにて均一塗布した。塗布後、直ちに50℃の熱風中で
3分間乾燥して多孔性樹脂膜を形成した。測定評価した
結果、多孔性樹脂膜の面積率は約45%であり、コシの
強さと印刷濃度の関係を図4に示したとおりで、実施例
1と同様な傾向がみられた。
【0034】比較例1 針状マグネシウム0.8部の添加を行なわなかった以外
は実施例1とまったく同様にして感熱孔版印刷用マスタ
ーをつくり、さらに製版印刷を行なった。その結果、多
孔性樹脂膜の面積率は、40%から20%に低下した。
また、コシの強さと印刷濃度の関係についてを図4に示
した。図4から判るように、フィラーを添加しない比較
例1ではコシの強さが上がるにつれて印刷濃度が低下し
た。これは多孔性樹脂膜の面積率が小さくなりインキの
通りが低下したためである。
【0035】実施例3 酢ビ/塩ビ共重合体(ユニオンカーバイト社製、VYH
H)3.3部を、アセトン20.0部及びエチルアルコ
ール8.0部の混合液中に溶解し、更に多孔性樹脂膜と
熱可塑性フィルムの接着改良材としてのポリビニルブチ
ラール0.1部を添加溶解した樹脂液に板状珪酸マグネ
シウム(タルク)0.3部を添加して、ボールミルで十
分分散混合して塗布液とする。この塗布液を厚さ1.5
μmの2軸延伸ポリエステルフィルム上にワイヤーバー
を用いて均一に塗工して厚さ15mmの多孔性樹脂膜を
作成した。多孔性樹脂膜の開口面積は、35%であっ
た。その結果、印刷物の裏移りが少なく、コシの強さ1
0mN、印刷時濃度1.0を示す感熱孔版印刷用マスタ
ーを得た。が得られた。
【0036】
【発明の効果】本発明は感熱孔版印刷用マスターは、多
孔性樹脂膜中にフィラーを含有しているため、コシが強
く、印刷操作中にマスターのインキ詰まりがなく、搬送
性に優れている。また、本発明は感熱孔版印刷用マスタ
ーは、穿孔性に優れ、裏移りの少ない優れた印刷画像を
得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱孔版印刷用マスターの断面図。
【図2】感熱製版がなされているようすを表わした。
【図3】製版された感熱孔版印刷版の断面図。
【図4】実施例1、2及び比較例1の感熱孔版印刷用マ
スターのコシの強さと、これを用いた孔版印刷版の印刷
濃度との関係を示す図。
【符号の説明】
1 本発明の感熱孔版印刷用マスター 2 熱可塑性樹脂フィルム 3 多孔性樹脂膜 4 サーマルヘッド 5 プラテンローラ 6 感熱穿孔部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 利元 正則 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 田中 哲夫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 新井 文明 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 立石 比呂志 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 小野 英樹 宮城県柴田郡柴田町大字中名生字神明堂3 −1 東北リコー株式会社内 (72)発明者 岩岡 武彦 神奈川県横浜市保土ケ谷区境木本町35−9

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多
    孔性樹脂膜を設けた感熱孔版印刷用マスターにおいて、
    該多孔性樹脂膜はフィラーを含み、かつ、その表面は真
    円換算時の直径5μm以上の孔の開口面積の合計が全表
    面積の4〜80%の範囲にあることを特徴とする感熱孔
    版印刷用マスター。
  2. 【請求項2】 前記フィラーが針状フィラー、板状フィ
    ラーの少なくとも1種である請求項1記載の感熱孔版印
    刷用マスター。
  3. 【請求項3】 曲げ剛度が5mN以上であることを特徴
    とする請求項1記載の感熱孔版印刷用マスター。
  4. 【請求項4】 2種以上の溶媒の混合液中に溶解してい
    る樹脂中にフィラーを分散混合した塗布液を熱可塑性樹
    脂フィルムの一方の面上に塗布し、その後、乾燥して該
    溶媒を揮散させ該樹脂を析出させることにより、多孔性
    樹脂膜を該熱可塑性樹脂フィルム上に形成することを特
    徴とする感熱孔版印刷用マスターの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002113934A (ja) * 2000-10-11 2002-04-16 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷装置
JP2002127352A (ja) * 2000-10-27 2002-05-08 Tohoku Ricoh Co Ltd 製版装置・孔版印刷装置・製版方法
US7201938B2 (en) 1997-12-04 2007-04-10 Ricoh Company, Ltd. Thermosensitive stencil paper and method of producing the same

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