JPH0693596A - キャストコート紙の製造方法 - Google Patents

キャストコート紙の製造方法

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JPH0693596A
JPH0693596A JP4263274A JP26327492A JPH0693596A JP H0693596 A JPH0693596 A JP H0693596A JP 4263274 A JP4263274 A JP 4263274A JP 26327492 A JP26327492 A JP 26327492A JP H0693596 A JPH0693596 A JP H0693596A
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acid
cast
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water
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Masashi Ouchi
政司 大内
Masayoshi Sasaki
正芳 佐々木
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SHINFUJI SEISHI KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リウエット法により強光沢と平滑な表面性を
保持しつつ、耐水、耐ブロッキング性に優れたキャスト
コート紙を効率よく生産することを可能とする製造方
法。 【構成】 リウエット法キャストコート製造の際使用さ
れる再湿潤液に、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、
チタニウムなどの水溶性金属塩とともにカルボキシル基
を含む有機酸塩を併用することにより、乾燥した塗被面
の可塑化を促進して適度の白紙光沢とピンホールのない
塗面を形成するとともに、ラテックスとカゼインに金属
イオンによる架橋反応を促進強化して高温、高湿、高加
圧下における耐ブロッキング性と水滴接触時の耐水性と
ともに印刷適性にも優れたキャストコート紙を生産性よ
く製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、包装用紙、包装用カー
トン、ノートや書籍の表紙、ファイル、カタログ、印刷
用紙などに使用されるキャストコート紙の製造方法に関
するもので、高温、高湿、高圧下に於いてもブロッキン
グすることがなく、コート面の耐水性に優れ、強光沢で
平滑性の良好なキャストコート紙をリウエット法により
生産する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】キャストコート紙の製造方法は、ウエッ
トキャスト法、ゲル化キャスト法、リウエットキャスト
法などがある。このうち、リウエットキャスト法は、紙
にコートした塗料を予め乾燥させた後、乾燥塗料面に水
を主成分とする再湿潤液を塗布して塗料を膨潤可塑化せ
しめた後、鏡面状に研磨されたキャストドラムに圧接し
て乾燥し、平滑で強光沢のキャストコート紙を得る方法
であり、ウエット法、ゲル化法に比べて生産性が大であ
る特徴を有している。
【0003】キャストコート紙には紙の片面にのみキャ
ストコート層がある片面キャストコート紙、紙の両面に
キャストコート層を設けた両面キャストコート紙があ
り、本発明はこの何れにも適用可能であるが特に両面キ
ャストコート紙に適用して大なる効果が期待できる。両
面キャストコート紙の製造方法は、一工程で表裏両面の
キャスト層を同時に形成する方法も提案されているが、
一般には原紙の片面にキヤスト層を形成する第一工程を
終了してコート紙を巻き取った後、引き続き反対面にキ
ャストコート層を形成せしめる第二工程よりなってい
る。従来公知のキャストコート紙の一般的な塗料組成物
と再湿潤液により両面キャスト紙をリウエット法によっ
て製造すると、常温、常湿、低加圧下では問題はない
が、30゜C以上の高温度、90%以上の高湿度、2t
/m2 以上の高圧力下のそれぞれ単独もしくは複合条件
下に於いては塗被面同志がブロッキングして密着し、印
刷工程などの後加工時にブロッキング解除作業が必要で
あるのみでなく甚だしくはブロッキング解除の剥離時に
紙面の破壊を起こすなどの問題点がある
【0004】片面キャストコート紙はコート紙の保管時
にコート層どうしが密着してブロッキングすることはな
いが、製品加工後にコート面どうしが接触する場合があ
り、耐水性が弱いと過度の高湿時の保管や、製品に雨や
結露などにより水滴が付着したりするとコート層を再溶
解して接着してしまうほか、本のカバーやショツピング
バックなどに雨などの水滴が付着すると塗料が衣類など
に転移して汚染トラブルをおこす場合がある。
【0005】このようなトラブルを防止するために、塗
料に亜鉛、ジルコニウムなどの重金属塩、メラミンホル
ムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒドなどの縮合系樹脂
などの耐水化剤を添加する方法がとられている。しかし
ながらこれらの耐水化剤を塗料に添加すると、多くの場
合、塗料が一部ゲル化をおこして粘度の上昇をもたらし
てコート適性を阻害するばかりでなく、充分な耐水性や
耐ブロキング性を発現しないという問題点があった。
【0006】キャストコート紙用バインダーは、合成樹
脂系ラテックスとしてはスチレン−ブタジエン(SBR
と略称する)、メチルメタクリレート−ブタジエン、ア
クリル酸エステル系、酢酸ビニル系ラテックスなどがあ
るが、一般的にはSBRが使用されている。SBRとは
言っても近時はメチルメタクリレートが共重合されてい
る場合が多く、厳密にはSMBラテックスと言うべきで
あるがここではこれらも含めてSBRと称する。紙コー
テング用塗料に用いられるSBRには接着強度はもとよ
り耐水、耐摩、ピッキングなど塗料に不可欠な強度を得
るために、ドライヤーの熱や二次添加物によって架橋反
応を生成せしめる様にカルボキシル基、アミド基、エポ
キシ基、水酸基などの官能基が共重合されているのが一
般的であり、本発明も官能基をもつSBRを使用する。
官能基を持つSBRを変性SBRという。
【0007】ブロッキングとバインダーの関連について
説明すると、SBRは熱可塑性の樹脂であるために配合
比が大であるほど高温時のブロッキングが大となる。ま
た、水溶性バインダーには澱粉、ポリビニルアルコー
ル、カゼインなどがあるが、キャストコート紙には他の
水溶性バインダーに比して耐水性とキャストドラム離型
性に優れていることから一般にカゼインが使用されてい
る。カゼインを多用すると高湿度時に水分により膨潤を
起こして一部が再溶解してブロッキングや汚染を加速す
ることになる。
【0008】コート紙用塗料は顔料とこれを相互に結合
し、更に塗料を紙面に接着するバインダーと分散剤、消
泡剤、離型剤などの助剤とから構成されている。塗料の
主構成材料である顔料は、白色顔料であり、白紙光沢、
平滑性、印刷適性などのキャストコート紙としての品質
特性に大きな影響を及ぼすばかりでなく、水蒸気透過性
の指標である透気度に大きく関係して生産性をも支配す
る。顔料はまず大きく無機顔料と有機顔料に分けられ
る。無機顔料としては、精製した天然鉱物質顔料である
カオリンクレー、タルク、粉砕炭酸カルシウム、複合合
成顔料であるサチンホワイト、半合成顔料である酸化チ
タン、沈降性炭酸カルシウム、水酸化アルミなどがあ
る。無機顔料は同一成分として分類されるものでも産地
と製法によって多数の粒子形状や粒径があり、これらの
選択によってキャストコート紙の品質が支配されるばか
りでなく生産性にも大きな影響を及ぼす。
【0009】有機顔料としては、種々の樹脂の単独もし
くは複合からなるプラスチックピグメント、顔料と接着
剤の一部を兼ね備えたプラスチックバインダーなどがあ
り、更に中空構造、芯鞘の二重構造など多数の有機顔料
が上市されている。プラスチック顔料は、スチレン、尿
素樹脂など単体樹脂のみよりなるものと、スチレンを核
とし、外周にアクリル酸エステル、メチルメタクリレー
ト、アクリルニトリル、ブタジエンなどを配した二重構
造のものなどがあり、外周を覆う樹脂が接着機能を持つ
ものを上述したごとくプラスチックバインダーとして分
類することもある。一次粒子の平均粒径は、ほぼ0.2
〜0.5ミクロンであり、密実型と中空型とがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】両面キャストコート紙
におけるブロッキングを防止するための対策の一つとし
て塗料に使用するバインダーからの対応がある。すなわ
ち、バインダーとして使用されるSBRの高温ブロッキ
ング性を低下せしめる対策としては、柔軟で粘着性の強
いブタジエンを低配合とし、硬くて非粘着性のスチレン
やメチルメタクリレートを高配合としたガラス転移点の
高いSBRの使用は顕著な効果があるが、塗料層が硬く
なり、印刷に続く後加工である製本や罫線入れなどの折
り加工時に割れ、折れなどのトラブルの原因となるばか
りか、接着強度が低下してピッキング不良を生ぜしめ、
これを防止するためにバインダー比率をアップすると、
顔料粒子間の間隙を埋めて透気度が不良となってブリス
タートラブルの原因となる。ここでいうブリスターとは
原紙表面にキャストコート面を形成する第一工程後反対
面の加工を行なう第二工程のキャストドラム通過時に、
ドラム表面温度が高温に加熱されているために、塗料お
よび再湿潤液の水分が水蒸気となって原紙と第一工程の
塗被層を透過して揮散する際に、水蒸気が塗料層を通過
出来ずに紙層内における膨れ、即ち紙の層内もしくは層
間剥離を発生する現象をいう。ブリスターを防止するた
めにはキャストドラムの温度を低下せしめて急激な水蒸
気の発生を抑制しなければならないが、温度を下げると
バインダーのキュアリング不足のため塗料面の強度が低
下し、印刷時にピッキング不良などのトラブルの原因と
なる。かかるトラブルを防止するためには速度を大幅に
低下しなければならず、生産性のダウンを来たすという
問題点があった。
【0011】また、片面キャストコート紙にはコート面
どうしのブロッキングはないが、雨や結露などによって
水滴がコート面に付着するとコート層の再溶解により、
衣類をよごしたり、コート面と紙面が疑似接着して強制
剥離すると紙層破壊を起こすなどのトラブルとなる。こ
の防止のために塗料に耐水化剤を添加すると塗料の粘度
上昇となり、この対策として塗料濃度を低下させると乾
燥に時間がかかって操業速度の低下をきたし、これを防
止するためにドライヤー温度を上昇するとバインダーマ
イグレーションが大となって印刷適性不良の原因とな
る。本発明はリウエット法キャストコート製造の際使用
される再湿潤液に、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウ
ム、チタニウムなどの水溶性金属塩とともにカルボキシ
ル基を含む有機酸塩を併用することにより、乾燥した塗
被面の可塑化を促進して白紙光沢が大でピンホールのな
い塗面を形成するとともに、ラテックスとカゼインに金
属イオンによる架橋反応を促進強化して高温、高湿、高
加圧下において、耐ブロッキング性、耐水性に優れたキ
ャストコート紙を生産性よく製造することができた。本
発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するため
になされたもので、キャストコート紙の白紙光沢度、平
滑度と生産性を維持しつつ、耐ブロッキング性や汚染防
止を改善する方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明者は両面キャス
トコート紙の耐ブロッキング性を確保するための手段と
して鋭意研究の結果、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウ
ム、チタニウムなどの金属塩を少なくとも一種含む水溶
液を再湿潤液として使用すると、高温、高湿、高圧下に
於いてもブロッキングが発生しないか、したとしても非
常に軽微で印刷工程の原紙セット作業において容易に解
除される程度に軽減するという事実を見出だした。ま
た、片面キャストコート紙に当該金属塩の水溶液を使用
すると、水によって塗料が再溶解することがなく二次的
な疑似接着や衣類などと接触して汚染することがない。
【0013】しかしながら上記金属塩を再湿潤液として
使用すると塗料面の可塑化が不良であり、光沢度が低下
するとともにピンホールが発生してキャスト紙として使
用に耐えないという問題点がある。この問題点を解決す
るための手段として本願発明者は、塗料を塗工した後の
乾燥工程で塗料を水分10〜25%に調整して可塑性を
保持せしめた状態で上記の金属塩を含む再湿潤液を塗布
してドラムに圧着すると、強光沢と平滑性を確保しつつ
耐ブロッキング性に優れた両面キャストコート紙が得ら
れるという方法で解決し、平成3−324977号とし
て特許出願したしかしながらこの方法の問題点は、白紙
光沢度はハンター反射計を用い75度の入射角度で80
%を若干こえる程度であり、第一工程のキャストコート
加工後に反対面に第二工程のキャストコートをして加熱
ドラムに圧着して乾燥すると塗被面の含有水分が高いた
めに、ブリスターが発生しやすい。これを防止するため
にキャストドラムを低温とすると製品水分が過多となっ
たりピッキング強度が低下し、これらを防ぐにには加工
速度を低下しなければならなかった。
【0014】高度の白紙光沢と生産性を保持しつつ耐ブ
ロッキング性を得る方法として、本願発明者らは鋭意研
究の結果、水溶性金属塩とカルボキシル基を含む有機酸
を所定量添加した再湿潤液を使用すると、塗料が十分に
乾燥していても塗料の可塑化が促進されて強光沢と平滑
性が同時に得られ、ブリスターの発生もなく高度の生産
性を維持しつつ、高温、高湿、高圧力下でブロッキング
しない両面キャストコート紙を得る方法を見いだし、平
成3−335788号として特許出願した。しかしなが
らこの方法の欠点は、当該再湿潤液は塗料層にたいして
高度の可塑性があるために白紙光沢はすぐれているが、
塗料表面の微細なミクロポーラスを封鎖し、このために
インキ受理性、インキセット性を低下せしめるという問
題点があった。
【0015】本願発明のごとく、水溶性金属塩とカルボ
キシル基を含む有機酸塩を同時に含む再湿潤液を使用す
ると、耐ブロッキング性と耐水性を保持しつつ適度の光
沢と印刷適性を同時に満足するキャストコート紙が得ら
れる。これはカルボン酸に比較してカルボン酸塩を含む
水溶液は塗料層の可塑性はやや劣るものの、これがため
に塗料表面に形成されたミクロポーラスを封鎖すること
なく、適度な光沢と印刷適性を同時に満足するキャスト
コート紙が得られるものである。
【0016】従来から代表的な金属塩である硫酸亜鉛の
水溶液は、カゼインを含む一般コート紙の塗料の耐水化
剤として広く使用されている。これは亜鉛がカゼインな
どの水溶性バインダーの水酸基と反応して親水性の水酸
基を封鎖して耐水化するためである。しかしながら両面
キャスト紙のブロッキングは必ずしも高湿度時にのみ発
生するものではなく、低湿であっても高温時により多く
発生する。この現象はラテックスの熱ブロッキングがカ
ゼインの高湿ブロッキングよりもより大であることを示
している。
【0017】変性SBRとカゼインをバインダーとする
リウエット法キャスト紙に再湿潤液として亜鉛、アルミ
ニウム、ジルコニウム、チタニウムなどの水溶性金属塩
を使用することは従来の方法では不可能であった。例え
ば代表的な金属塩である硫酸亜鉛水溶液をキャスト紙の
再湿潤液として使用すると、たとえそれが0.1%程度
の低濃度であっても一度乾燥した塗料層への浸透、可塑
化が不良となり、キャスト紙の最も顕著な特色である白
紙光沢が十分に発現せず、ピンホールやクレーターも解
消しないという欠点があった。これは硫酸亜鉛に限らず
本願発明の他の金属塩、即ち、亜鉛、アルミニウム、ジ
ルコニウム、チタニウムを含む硫酸、硝酸、酢酸、蟻
酸、蓚酸、酪酸、炭酸アンモンおよび塩化物などでも同
様であり、これらの金属塩水溶液をキャストコート紙の
製造において再湿潤液に使用すると、上述のごとく耐ブ
ロッキング性は良好であるが、得られたキャストコート
紙の白紙光沢度はJIS、P−8142−65による7
5度鏡面光沢度によって測定した数値で70%以下とな
り、キャストコート紙としては使用に耐えない程度の低
光沢度となる。これは、これらの金属塩水溶液が乾燥し
た塗料面を膨潤可塑化する機能に劣るためと考えられ
る。
【0018】上記のごとき金属塩を使用すると耐水性や
耐ブロッキング性が大幅に改善する原因は、塩を構成す
る金属と塗料中のバインダーであるSBRの官能基とが
反応してより強度な架橋構造を形成し、SBRの高温時
における耐ブロッキング性をまたカゼインの水酸基と反
応して金属コンプレックスを形成して耐水性を大として
高湿時における耐ブロッキング性をもたらすものと考え
られる。しかしながら、再湿潤液に上記金属塩を使用す
ると前述のごとく白紙光沢と表面平滑性が不良となる
が、これにカルボキシル基を含む有機酸塩を添加すると
塗料の可塑化が促進されて適度の白紙光沢と平滑性、印
刷適性、併せて生産性を高度に維持しつつ高温、高湿、
高圧下における耐ブロッキング性、耐水性を同時に満足
し、さらには印刷適性にも優れた両面キャストコート紙
を得ることが出来る
【0019】再湿潤液に使用する金属塩水溶液の濃度は
使用する薬品の種類によって相違があるが、0.1%以
上10%以下、より好ましくは0.3%以上5%以下、
カルボキシル基を含む有機酸塩の濃度は0.1%以上5
%以下、より好ましくは0.2%以上3%以下が良好で
ある。カルボキシル基を含む有機酸塩のみでもラテック
スの自己架橋の反応が促進されてより強い架橋構造が形
成されるので、耐熱ブロッキング性は大いに改善される
が、金属塩の併用によってラテックスに更に高度の耐熱
ブロッキング性を、カゼインに強度の耐水ブロッキング
性をもたらすので両者を併用することが望ましい。
【0020】重金属とカルボン酸を同時に含む酢酸亜
鉛、酢酸コバルト、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム、
酢酸ジルコニウム、蓚酸亜鉛などは金属とカルボン酸で
構成されているので単独でラテックスやカゼインの反応
基と架橋して耐水性と耐ブロッキング性をもたらし、同
時に塗料を可塑化する機能が期待できるが、酢酸金属塩
の使用は酢酸臭が強く、蓚酸亜鉛は水に溶解しがたいな
どの問題点がある。
【0021】
【作用】塗料が塗布されてドライヤーで乾燥された塗被
面に亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムな
どの水溶性金属塩とカルボキシル基を含む有機酸塩が共
存する再湿潤液を塗布し、ラテックスの官能基と反応せ
しめて架橋構造をより強固にすることによりピッキング
強度の向上とラテックスの粘着性の低減をもたらし同時
にカゼインの水酸基を封鎖して耐水性を向上し、もって
高温、高湿、高圧下でも耐ブロッキング性を発現せしめ
るとともに、強光沢でブリスターの発生しない両面キャ
ストコート紙、および水滴の付着によってもバインダー
が再溶解せず接触する衣類などを汚染しないキャストコ
ート紙を生産性よく製造することを可能とするものであ
り、更にピッキング強度が向上するためにバインダー添
加率を低減することが可能であり、印刷適性がより良好
となる。
【0022】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明する。実施
例に示す部及び%は、重量部、重量%である。表1は塗
料配合を、表2は実施例を示す。 実施例1〜10 米坪100g/m2の上質紙の片面に表1の塗料を塗布
量が約20g/m2となる様にエアーナイフコーターに
よって塗布し、ドライヤーによって塗料面の水分が5〜
6%になる様に乾燥し、キャストドラムの直前にある再
湿潤液の塗布装置で水溶性金属塩とカルボン酸塩の混合
水溶液を塗布して後、線圧150kg/cm、直径60
0mmのプレッシャーロールと120゜Cに加熱された
直径1500mmのキャストドラムからなる装置により
圧接してキャスト仕上げした。得られたキャストコート
紙を5cm×5cmにカットし、キャスト面どうしを合
わせて同じ寸法のステンレス板の間にセットして10k
g(4t/m2)の荷重をかけて30゜C、95%RH
に調節された恒温恒湿槽に置き、48時間後にブロッキ
ング状態をチェツクした。また同じサンプルのコート面
に水滴を1滴たらして湿した後、コート面をあわせて5
kgの荷重をかけて30゜Cで2分間耐水テストを行な
い塗料層もしくは紙面の破壊状態を判定した。白紙光沢
度、インキセット、インキ耐摩テストの結果とともに表
2に示す。表2のごとく、光沢度耐水、耐ブロッキン
グ、インキセット、インキ耐摩性とも良好である。
【0023】
【比較例】比較例は表3に示す。 比較例1〜10 比較例は再湿潤液以外は総て実施例と同様にしてキャス
トコート紙を作成した比較例1は再湿潤液に水を使用し
た。キャストコート紙の外見は良好に出来上がっている
が、耐水、耐ブロッキングテストの結果、ブロッキング
が大で剥離時の抵抗で基材が破壊した。硫酸亜鉛のみで
は白紙光沢が低く、ピンホールも全面に発生していて製
品にならないが耐水、耐ブロッキング性は良好である。
金属塩であっても蟻酸カルシウムは白紙光沢、ピンホー
ルとも良好であるが耐ブロッキング効果はない。カルボ
キシル基を含む有機酸のみでは白紙光沢、ピンホールと
も良好であるが、ブロッキングテスト時に剥離抵抗があ
り、条件の如何によっては一部基材が破壊する恐れがあ
る。
【0024】
【発明の効果】両面キャストコート紙は各種塗料コート
紙中の最高級グレードに位置し、自動車用カタログ、通
信販売用パンフレット、会社案内などに多数使用されて
いるが夏期の高温高湿時にブロッキングが発生するとい
う問題点があり、片面キャストコート紙は塗料の耐水性
が不良であると水滴が付着すると再接着をおこしたり、
接触した衣類などを汚染するなどのトラブルがあり、両
面のブロッキングは耐水化剤でも解消せず、片面の耐水
性は耐水化剤の添加で良好とはなるが、塗料の増粘とな
り、この対策として塗料濃度を低下させると乾燥に時間
がかかって操業速度低下となり、これを防止するために
ドライヤー温度を上昇するとバインダーマイグレーショ
ンが大となってインキ着肉不良の原因となる。本発明は
リウエット法キャストコート製造の際使用される再湿潤
液に、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム
などの水溶性金属塩とともにカルボキシル基を含む有機
酸塩を併用することにより、乾燥した塗被面の可塑化を
促進して白紙光沢が大でピンホールのない塗面を形成す
るとともに、ラテックスとカゼインに金属イオンによる
架橋反応を促進強化して高温、高湿、高加圧下におい
て、耐ブロッキング性、耐水性、印刷適性に優れたキャ
ストコート紙を生産性よく製造することができた
【0025】
【表1】 1.顔料配合100部に対して補助剤とバインダーを加
えて常法により固形分40%濃度の塗料とする。 2.カゼインはアンモニアで溶解して16%濃度とす
る。
【0026】
【表2】 1.白紙光沢テスト 75°鏡面光沢度試験法 2.耐ブロッキングテスト 30°C×95%RH×加
重4t/m2×48時間 3.耐水テスト 30°C×95%RH×加
重2t/m2×2分間 4.インキセット RIテスターで印刷後の白
紙へのインキ付着程度 5.インキ耐摩性 印刷24時間後のサザーランドに
よる白紙へのインキ転移
【0027】
【表3】 記号説明 ピンホール :○なし △一部にあり ×前
面に発生 耐水、耐ブロッキング:○剥離抵抗なし △抵抗 あり
×紙面破壊 インキセット:○10分以下 △10〜20分 ×20
分以上 インキ耐摩 :○良好 △やや不良 ×不良

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙に顔料と接着剤を主成分とするキャス
    トコート用塗料を塗被し、乾燥後再湿潤液により塗面を
    膨潤可塑化せしめて鏡面状に研磨された加熱ドラムに圧
    接してキャスト紙を得るリウエット法キャストコート紙
    の製造において、再湿潤液として水溶性金属塩とカルボ
    キシル基を含む有機酸塩が共存する水溶液を用いること
    を特徴とするキャストコート紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 再湿潤液に使用する水溶性金属塩の金属
    が亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムなど
    であり、塩が硫酸、硝酸、酢酸、蟻酸、蓚酸酪酸、炭酸
    アンモンおよび塩化物などであって、水溶液濃度が0.
    1%以上10%以下であることを特徴とする請求項1の
    キャストコート紙の製造方法。
  3. 【請求項3】 再湿潤液に使用するカルボキシル基を含
    む有機酸塩の有機酸が蟻酸、リンゴ酸、クエン酸、乳
    酸、酒石酸、フマル酸、琥珀酸、酢酸、蓚酸、イソ酪
    酸、イタコン酸、マロン酸、安息香酸などであり、塩が
    ナトリウム、カリウム、カルシウムなどであって、水溶
    液濃度が0.1%以上5%以下であることを特徴とする
    請求項1のキャストコート紙の製造方法。
JP4263274A 1992-09-04 1992-09-04 キャストコート紙の製造方法 Pending JPH0693596A (ja)

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