JPH1018197A - キャスト塗被紙 - Google Patents

キャスト塗被紙

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JPH1018197A
JPH1018197A JP16934096A JP16934096A JPH1018197A JP H1018197 A JPH1018197 A JP H1018197A JP 16934096 A JP16934096 A JP 16934096A JP 16934096 A JP16934096 A JP 16934096A JP H1018197 A JPH1018197 A JP H1018197A
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JP
Japan
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cast
coated paper
coating layer
kaolin
gloss
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JP16934096A
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English (en)
Inventor
Shinji Takebayashi
新二 竹林
Yoshinori Yamada
義則 山田
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New Oji Paper Co Ltd
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】白紙光沢、印刷光沢(インキグロス)等優れた
印刷適性を具備し、かつ高効率で生産し得るキャスト塗
被紙を提供する。 【解決手段】支持体上に顔料と接着剤を主成分とする塗
被組成物を塗被してキャスト用塗被層を設け、キャスト
用塗被層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに
圧接して仕上げられるキャスト塗被紙であって、特に該
キャスト用塗被層中の顔料として、下記の粒度分布: (a) 20μmより小さい粒子が98〜100重量% (b) 2μmより小さい粒子が80〜95重量% (c) 1μmより小さい粒子が60〜85重量% (d) 0.2μmより小さい粒子が10〜30重量% を有するカオリンを全顔料に対して30〜100重量%
配合せしめてなるキャスト塗被紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はキャスト塗被紙に関し、
特にキャスト塗被紙表面の白紙光沢、印刷適性に優れ、
かつ高効率で生産し得るキャスト塗被紙に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】キャスト塗被紙の製造方法としては、支
持体(原紙)上に顔料および接着剤を主成分とするキャ
スト用塗被組成物を塗被して塗被層を設けた後、該塗被
層が湿潤状態にある間に鏡面を有する加熱ドラム表面に
圧接、乾燥させて強光沢仕上げするウェットキャスト
法、湿潤状態の塗被層を一旦乾燥せしめた後、再湿潤液
により乾燥塗被層を湿潤可塑化させて加熱ドラム面に圧
接、乾燥させて強光沢仕上げするリウェットキャスト
法、さらには湿潤状態の塗被層をゲル状態にして加熱ド
ラム面に圧接、乾燥させて、強光沢仕上げするゲル化キ
ャスト法等が一般に知られている。これらのキャスト法
は、いずれも湿潤可塑状態にある塗被層表面を加熱ドラ
ム面に圧接、乾燥させた後、加熱ドラム面より離型させ
て仕上げる点で共通するものである。
【0003】このようにして得られたキャスト塗被紙
は、スーパーキャレンダー仕上げされた通常のアート紙
やコート紙などの塗被紙と比較して、より優れた白紙光
沢と高度な表面平滑性を有し、優れた印刷効果が得られ
ることにより、高級印刷物、雑誌等の表紙あるいは高級
な紙器やファッションバッグ等に専ら利用されている。
【0004】ところで、キャスト塗被紙の製造の場合、
湿潤塗被層が加熱された鏡面ドラム面に接して乾燥され
るため、塗被層中の水分または再湿潤液の水分はすべて
塗被層から紙層を通過して反対(裏面)側へ抜けて蒸発
逸散することになる。そのために、キャスト塗被紙の製
造に際しては、両面から乾燥される通常のアート紙やコ
ート紙の製造方法と比較して、極めて低速での操業を強
いられているのが現状である。したがって、キャスト塗
被紙の製造においては、高品質を維持しながら、生産速
度をできるだけ上げて生産性を改善することが重要な課
題である。
【0005】さらに、キャスト塗被紙の品質面において
は、外観の白紙光沢に比較して印刷光沢は一般に劣って
おり、全面に印刷を施した印刷物では印刷光沢が低く、
白紙面が優れた光沢を有する割りには、期待されるほど
の印刷光沢が得られ難いために、より一層の印刷光沢の
改良が要望されている。
【0006】このようなキャスト塗被紙の有する欠点を
解決する方法としては、顔料および接着剤の種類やその
配合量の変更、あるいは接着剤と顔料との配合比率を変
更する方法等が種々提案されている。例えば、カオリン
を増量することによって白紙光沢および印刷光沢は確実
に改善されるものの、一方でインキセットやインキ乾燥
性の低下による印刷作業性等への悪影響を及ぼすことが
ある。さらには、キャスト塗被層の通気性を低下させる
ために、結果的にドラムピックやドラム膨れなどの発生
があり、操業性への悪影響が生じ、安定して高品質のキ
ャスト塗被紙を得ることが困難である。
【0007】このような難点を解決するための1つの手
段として、重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウム等
をカオリンと併用または単独使用して改良する方法が提
案されている。この方法は確かにドラムピックやドラム
膨れなどの解消〜軽減効果は認められるが、一方で印刷
光沢を低下させてしまう。さらに、接着剤を増やすこと
でも白紙光沢や印刷光沢は改善されるが、一方でキャス
ト塗被紙の通気性やキャストドラムからの離型性が悪化
し、生産性の低下といった難点が付随する。
【0008】最近、提案されている解決法の一つとし
て、接着剤の種類やラテックスの組成面からのアプロー
チがある。例えば、特開昭57−117694号公報に
はアクリロニトリルの単量体を含有させた共重合体ラテ
ックスを接着剤として用いたキャスト塗被紙や特開昭6
0−139762号公報には脂肪族共役ジエンとエチレ
ン系不飽和単量体のトルエン不溶分が95%以上の共重
合体ラテックスを用いたキャスト塗被紙が提案されてい
る。これらの方法によると、確かに従来のものと比較し
て、印刷光沢はわずかに改善されるが、白紙光沢に匹敵
するほどの印刷光沢の改善までには至っていない。さら
に、印刷光沢を改善するには、接着剤を増やすことが必
要となり、結果としてインキセットやインキ乾燥性の悪
化による印刷作業性の低下を引き起こしたり、キャスト
ドラムからの離型性が悪化するなどの難点が付随する。
【0009】また、新規の接着剤として、特開平4−8
8072号公報ではアクリル系モノマー共重合水性ウレ
タン樹脂とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(SBR)を用いたキャスト塗被紙が提案されている
が、この方法の場合も優れた白紙光沢や印刷光沢は得ら
れるものの、インキセットやインキ乾燥性が低下した
り、さらにはキャストドラムからの離型性が低下するな
ど、生産性の低下といった難点がある。
【0010】さらに、顔料面からのアプローチも提案さ
れている。例えば、特開平4−174796号公報には
繊維状炭酸カルシウムを配合する方法が提案されている
が、この方法によると、印刷光沢は改良されるが仕上り
塗料の粘度が高くなるために塗工適性やキャスト操業性
に難点がある。また、特開平4−300390号公報に
は六方晶カルサイト系1次粒子の凝集体からなる軽質炭
酸カルシウムと有機顔料を併用したキャスト塗被紙が提
案されている。この方法でも、確かに印刷光沢は改善さ
れるが白紙光沢に匹敵するほどの印刷光沢を得るには接
着剤の増量が必要であり、結果的に離型性などの操業性
の低下が付随する。このように、現在のキャスト塗被紙
は白紙光沢に比較して期待されるほどの印刷光沢がない
ために、印刷光沢を改善しようとの提案が種々なされて
はいるが、いまだに解決する迄には至っていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き実状より、
本発明は印刷適性(印刷光沢)に優れたキャスト塗被紙
を効率よく得るためのキャスト塗被紙を提供するもので
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、支持体上に顔
料と接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被してキャス
ト用塗被層を設け、キャスト用塗被層が湿潤状態にある
間に加熱された鏡面ドラムに圧接して仕上げられるキャ
スト塗被紙において、該キャスト用塗被層中の顔料とし
て、下記の粒度分布: (a) 20μmより小さい粒子が98〜100重量% (b) 2μmより小さい粒子が80〜95重量% (c) 1μmより小さい粒子が60〜85重量% (d) 0.2μmより小さい粒子が10〜30重量% を有するカオリンを全顔料に対して30〜100重量%
配合せしめたことを特徴とするキャスト塗被紙である。
【0013】
【発明の実施の形態】前述の如き状況から、本発明者等
はキャスト塗被紙の印刷光沢の改善に関し、特に使用す
る顔料について鋭意検討を重ねた。その結果、特定のカ
オリンを使用することにより、キャスト操業性を低下さ
せることなく、印刷光沢、白紙光沢、あるいはインキセ
ットやインキ乾燥性などの印刷適性を極めて効果的に改
善することのできるキャスト塗被紙を見出し、本発明を
完成するに至ったのである。以下に、本発明で使用する
特定のカオリンについて述べる。本発明で特定されるカ
オリンとは、下記の如き粒度分布を示すカオリンであ
る。即ち、 (a) 20μmより小さい粒子が98〜100重量% (b) 2μmより小さい粒子が80〜95重量% (c) 1μmより小さい粒子が60〜85重量% (d) 0.2μmより小さい粒子が10〜30重量% である。
【0014】このような粒度分布を有するカオリンを使
用すると、本発明が所望する効果が得られる理由につい
ては、必ずしも明らかではないが、次のように推定され
る。即ち、本発明で使用される特定のカオリンは、従来
使用されているカオリン顔料に比較して平均粒子径が粗
く、かつ粒度分布の幅が狭いものである。このようなカ
オリンを使用することにより、キャスト塗被層表面にカ
オリンが均一に配向し、緻密な表面を形成し易い。他
方、塗被層の内部にあっては、顔料間に空隙が形成され
易く、顔料粒子間に多くの微小孔が存在するようにな
る。その結果、白紙光沢やインキグロス(印刷光沢)が
向上すると同時に、インキの吸収性や蒸気の透過性は低
下せず、印刷適性が改善され、かつキャスト操業性の低
下も抑制されるものと推考される。
【0015】而して、本発明のキャスト塗被紙は、前記
した如くキャスト塗被層に配合されるカオリンとして、 (a) 20μmより小さい粒子が98〜100重量% (b) 2μmより小さい粒子が80〜95重量% (c) 1μmより小さい粒子が60〜85重量% (d) 0.2μmより小さい粒子が10〜30重量% のような粒度分布を示すカオリンを必須顔料とするもの
であり、好ましくは、 (a) 20μmより小さい粒子が98〜100重量% (b) 2μmより小さい粒子が82〜94重量% (c) 1μmより小さい粒子が65〜80重量% (d) 0.2μmより小さい粒子が10〜27重量% さらに、好ましくは、 (a) 20μmより小さい粒子が98〜100重量% (b) 2μmより小さい粒子が88〜93重量% (c) 1μmより小さい粒子が70〜76重量% (d) 0.2μmより小さい粒子が12〜20重量% の如き粒度分布を示すカオリンを使用することを特徴と
するものである。
【0016】因みに、本発明で特定するカオリンより
も、平均粒子径が小さい場合には、顔料の接着に接着剤
が多く消費されるため、その分キャスト塗被層表面に存
在する接着剤量が減り、その結果、本発明の所望とする
インキグロスが得られ難い。また、塗被層中の空孔が少
なくなり通気性が低下するために、生産性の低下が懸念
される。他方、特定するカオリンよりも、平均粒子径が
粗い場合には、顔料による塗被層表面の被覆性が高くな
り過ぎてインキグロスは向上するものの、インキセット
の低下が懸念される。なお、平均粒子径が略同じでも、
本発明の特定されるカオリンより粒度分布の幅が広くな
った場合には、本発明が所望するインキグロス、印刷適
性、さらに生産性を得ることが難しくなる。
【0017】なお、本発明でいうカオリンの粒度分布に
ついては、全て、米国のMicromeritics社のセディグラ
フ5000を用い、沈降分析法によって測定したもので
ある。この装置は、充填剤や顔料の粉末度を測定するの
に世界中で広く使用されている。実際の測定に際して
は、試料をNa4 2 7 の0.1重量%の水溶液中で
高速度撹拌と超音波により分散した分散液を使用して行
った。測定された粒子分布は、透過合計曲線(Perm
eation Summation Curve)とし
てX−Yレコーダーに示される。〔例えば、ベルガ−・
ピー(Belger,P.),Schweizeris
che Vereinigung derLack−u
nd Farben−Chemiker,XVII、F
ATIPEC−Congress,Lugano,19
84年9月23〜28日を参照〕 対応する球形直径の粒子系をX軸にプロットし、粒子の
比率(重量%)をY軸にプロットした。そして、本発明
で特定する粒度分布は、上記の方法で得た曲線から読み
とった。
【0018】また、キャスト塗被層中への特定のカオリ
ンの配合量としては、全顔料の30〜100重量%、好
ましくは、40〜90重量%、より好ましくは50〜8
2重量%の範囲で使用される。因みに、30重量%未満
の場合には、本発明が所望とする効果、即ち、白紙光
沢、印刷光沢、インキセットなどの改良効果が得られな
い。
【0019】本発明では、キャスト用塗被層の顔料とし
て、特定のカオリン以外に、例えば水酸化カルシウム、
サチンホワイト、硫酸バリウム、重質炭酸カルシウム、
軽質炭酸カルシウム、タルク、プラスチックピグメン
ト、焼成クレー、二酸化チタン等のキャスト塗工紙の製
造分野で従来より使用されている顔料のうち、1種ある
いは2種類以上を適宣併用することもできる。勿論、従
来より使用しているカオリンを適宜配合することもでき
る。
【0020】さらに、キャスト用塗被層に使用される接
着剤としては、特に限定されるものではなく、例えばカ
ゼインや大豆蛋白等の蛋白質類、スチレン−ブタジエン
共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体
等の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル酸エステ
ルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体
等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこ
れらの各種重合体や共重合体をカルボキシル基等の官能
基含有単量体により、官能基変性したアルカリ溶解性あ
るいはアルカリ非溶解性の重合体ラテックス、ポリビニ
ルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラ
ミン樹脂等の合成樹脂系の接着剤、陽性化澱粉、酸化澱
粉、エステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘
導体など、一般の塗被紙製造分野で使用される接着剤の
1種、あるいは2種以上が適宜使用される。なお、接着
剤の使用量は顔料100重量部に対し5〜50重量部、
一般的には10〜35重量部の範囲で調節される。
【0021】なお、塗被層の耐水性、耐ブロッキング性
を向上させる目的でジグリセロールポリグリシジルエー
テル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチ
レングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレン
グリコールジグリシジルエーテルやアジピン酸ジグリシ
ジルエステル等の多官能性エポキシ化合物、炭酸ジルコ
ニウムアンモニウム、酢酸ジルコニウム等のジルコニウ
ム化合物、尿素−ホルムアルデヒド系、メラミン−ホル
ムアルデヒド系、ポリアミド尿素−ホルムアルデヒド
系、グリオキザール、水溶性ポリアミン系樹脂および水
溶性ポリアミド系樹脂等の各種耐水化剤や印刷適性向上
剤を適宜添加することもできる。これら助剤の添加量は
顔料100重量部に対し、0.05〜10重量部の範囲
で調整される。
【0022】さらに、キャスト用塗被層には、加熱鏡面
ドラムからの離型性を改善する目的で離型剤が必要に応
じて添加される。因みに、離型剤としては、例えばステ
アリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸および
それらのカルシウム、亜鉛、ナトリウム、アンモニウム
などからなる脂肪酸塩、ステアリン酸アミド、エチレン
ビスステアリン酸アミドおよびメチレンビスステアリン
酸アミド等のアミド類、マイクロクリスタリンワック
ス、パラフィンワックス、ポリエチレンエマルジョンな
どの炭化水素類、セチルアルコール、ステアリルアルコ
ール等の高級アルコール、ロート油やレシチン等の油脂
類、含フッ素界面活性剤等の各種界面活性剤、四フッ化
エチレンポリマーやエチレン−四フッ化エチレンポリマ
ー等のフッ素系ポリマー、融点70℃以上のポリエチレ
ンワックスやポリエチレンエマルジョン、ポリプロピレ
ンエマルジョンなどが例示される。これら離型剤の添加
量は接着剤100重量部に対し0.05〜10重量部、
より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で調整される。
【0023】なお、塩化ナトリウム、塩化アンモニウ
ム、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫
酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸マグネ
シウム、硫酸第1鉄、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウ
ム、第1燐酸ナトリウム、燐酸アンモニウム、燐酸カル
シウム、ポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナト
リウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸アンモニウム、酢酸ナト
リウム、酢酸カリウム、モノクロル酢酸ナトリウム、マ
ロン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウ
ム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、乳酸ナト
リウム、グルコン酸ナトリウム、アジピン酸ナトリウ
ム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、メチルアミ
ン、ジエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ジイ
ソプロピルアミンなどの無機酸や有機酸のアンモニウム
塩や金属塩、およびアミン等を光沢付与剤として直接あ
るいはキレートないしは錯塩の形でキャスト用塗被層中
に添加することもできる。さらに、一般の塗被紙および
キャスト塗被紙の製造に用いられている分散剤、消泡
剤、着色剤、蛍光染料、帯電防止剤、防腐剤等の各種助
剤も適宜併用添加することができる。
【0024】上記の如き原材料をもって構成されるキャ
スト塗被層用の塗被組成物(以後、塗料と称す)は、一
般に固形分濃度が40〜65重量%程度になるように調
製され、米坪が約35〜400g/m2 程度の原紙、あ
るいは多孔性フィルムなどの支持体上に乾燥重量が1〜
40g/m2 、より好ましくは5〜30g/m2 程度に
なるように、ブレードコーター、エアーナイフコータ
ー、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレック
スコーター、バーコーター、あるいはグラビアコーター
等の従来より公知の塗被装置により支持体上に塗被さ
れ、塗被後はウェットキャスト法、リウェットキャスト
法、あるいはゲル化キャスト法のいずれかの方法によっ
てキャスト仕上げが施される。
【0025】なお、支持体として使用される原紙は、特
に限定されるものではなく、一般にキャスト塗被紙の製
造分野で使用される酸性紙、あるいは中性紙が適用され
る。また、原紙の片面または両面には必要に応じて、一
般の顔料塗料を予め予備塗工したようなものをキャスト
用原紙として使用することもできる。その場合の塗被量
は、片面当り乾燥重量で5〜30g/m2 程度が望まし
い。さらに、必要に応じてこの予備塗工した原紙にスー
パーキャレンダーやブラシ掛け、あるいは適宣キャスト
仕上げなどの平滑化処理を施したものをキャスト用原紙
として使用することもできる。
【0026】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、勿論本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、例中の部および%は特に断らない限り、それ
ぞれ重量部および重量%を示す。
【0027】実施例1 米坪が120g/m2 の上質原紙上に、カオリン70部
(商品名:ウルトラホワイト90/EC社製)、炭酸カ
ルシウム30部(商品名:TP−123CS/奥多摩工
業(株)製)、スチレン−ブタジエン共重合体ラテック
ス15部(商品名:SN307/住化エイビーエス・ラ
テックス(株)製)および澱粉2部(各々固形分ベー
ス)からなる下塗り塗被層用塗料をブレードコーターを
用いて乾燥重量が片面当たり15g/m2 となるように
片面に塗被、乾燥させてキャスト用原紙を得た。次い
で、キャスト用塗料として、下記の粒度分布を有するカ
オリン60部(商品名:エクリプス650/EC社製) (a) 20μmより小さい粒子が99% (b) 2μmより小さい粒子が90% (c) 1μmより小さい粒子が73% (d) 0.2μmより小さい粒子が15% および軽質炭酸カルシウム40部(商品名:PX/白石
工業(株)製)、アンモニアで溶解した15%カゼイン
水溶液10部、SBRラテックス18部(商品名:ポリ
ラック−518/三井東圧(株)製)(各々固形分ベー
ス)を添加し、濃度50%のキャスト塗被層用塗料を調
製した。
【0028】このようにして得たキャスト塗被層用塗料
を前記のキャスト用原紙の塗被層面にロールコーターを
用いて、乾燥後の重量が10g/m2 となるように塗被
した後、直ちに湿潤塗被層面をキャストドラム(表面温
度80℃)表面にプレスロールを介して圧接、乾燥後、
キャストドラムから離型してキャスト塗被紙を得た。こ
のようにして得たキャスト塗被紙の品質および操業性を
表1に示した。
【0029】実施例2 実施例1のキャスト塗被層用塗料の調製において、使用
したカオリン(エクリプス650)の代わりに、下記の
粒度分布を有するカオリン(商品名:エクリプス520
0/EC社製): (a) 20μmより小さい粒子が99% (b) 2μmより小さい粒子が89% (c) 1μmより小さい粒子が61% (d) 0.2μmより小さい粒子が24% を使用した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被
紙を得た。かくして得られたキャスト塗被紙の品質およ
び操業性を表1に示した。
【0030】実施例3 実施例1のキャスト塗被層用塗料において、カオリン
(エクリプス650)の代わりに、下記の粒度分布を有
するカオリン(商品名:ウルトラコート/EC社製): (a) 20μmより小さい粒子が99% (b) 2μmより小さい粒子が85% (c) 1μmより小さい粒子が71% (d) 0.2μmより小さい粒子が25% を使用した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被
紙を得た。かくして得られたキャスト塗被紙の品質およ
び操業性を表1に示した。
【0031】実施例4 実施例1のキャスト塗被層用塗料において、カオリン
(エクリプス650)の代わりに、下記の粒度分布を有
するカオリン(商品名:HT/EC社製): (a) 20μmより小さい粒子が99% (b) 2μmより小さい粒子が82% (c) 1μmより小さい粒子が66% (d) 0.2μmより小さい粒子が29% を使用した以外は、実施例1と同様にしてキャスト塗被
紙を得た。得られたキャスト塗被紙の品質および操業性
を表1に示した。
【0032】実施例5 実施例1のキャスト塗被層用塗料において、顔料配合を
カオリン(エクリプス650)35部、軽質炭酸カルシ
ウム(PX)65部に、それぞれ変更した以外は、実施
例1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。得られたキャ
スト塗被紙の品質および操業性を表1に示した。
【0033】実施例6 実施例1のキャスト塗被層用塗料において、顔料配合を
カオリン(エクリプス650)80部、軽質炭酸カルシ
ウム(PX)20部に変更した以外は、実施例1と同様
にしてキャスト塗被紙を得た。得られたキャスト塗被紙
の品質および操業性を表1に示した。
【0034】実施例7 実施例1のキャスト塗被層用塗料において、顔料配合を
カオリン(エクリプス650)95部、軽質炭酸カルシ
ウム(PX)5部に変更した以外は、実施例1と同様に
してキャスト塗被紙を得た。得られたキャスト塗被紙の
品質および操業性を表1に示した。
【0035】比較例1 実施例1のキャスト塗被層用塗料において、カオリン
(エクリプス650)の代わりに、下記粒度分布を有す
る(商品名:ウルトラホワイト90/EC社製) (a) 20μmより小さい粒子が100% (b) 2μmより小さい粒子が94% (c) 1μmより小さい粒子が81% (d) 0.2μmより小さい粒子が38% カオリンを使用した以外は、実施例1と同様にしてキャ
スト塗被紙を得た。得られたキャスト塗被紙の品質およ
び操業性を表1に示した。
【0036】比較例2 実施例1のキャスト塗被層用塗料において、使用する顔
料を、カオリン(ウルトラホワイト90)95部、軽質
炭酸カルシウム(PX)5部に変更した以外は、実施例
1と同様にしてキャスト塗被紙を得た。得られたキャス
ト塗被紙の品質および操業性を表1に示した。
【0037】実施例8 キャスト塗被層に使用するカオリン(エクリプス65
0)60部、軽質炭酸カルシウム(商品名:ブリリアン
トS−15/白石工業(株)製)40部、ポリアクリル
酸ソ−ダ0.5部をコーレス分散機を用いて水中に分散
し、固形分濃度65%の顔料スラリーを調製した。
【0038】この顔料スラリーに消泡剤としてトリブチ
ルフォスフェート0.5部、離型剤としてステアリン酸
カルシウム1.0部、接着剤としてアンモニアを用いて
溶解した15%カゼイン水溶液5部(固形分)およびS
BRラテックス25部(ポリラック−518/三井東圧
(株)製…固形分)を加え、濃度が45%のキャスト用
塗被液を調製した。
【0039】次いで、上記のキャスト用塗料を米坪11
0g/m2 の上質原紙上に乾燥後の重量が20g/m2
となるようにエアーナイフコーターで塗被し、エアーフ
ローティングドライヤーで乾燥した。このようにして得
た塗被紙をプレスロールとキャストドラムによって形成
されるプレスニップに通紙し、ここでノズルから供給さ
れたヘキサメタリン酸ナトリウムを含有するリウェット
液(0.5%濃度)によって塗被層表面を再湿潤した
後、表面温度105℃のキャストドラムにプレス線圧2
00kg/cmで圧接、乾燥した後、テークオフロール
でキャストドラムから離型することによってリウェット
キャスト方式によるキャスト塗被紙を得た。かくして得
られたキャスト塗被紙の品質および操業性を表2に示し
た。
【0040】実施例9 実施例8において、キャスト塗被層に使用するカオリン
(エクリプス650)の代わりにカオリン(エクリプス
5200)を使用した以外は、実施例8と同様にしてキ
ャスト塗被紙を得た。得られたキャスト塗被紙の品質お
よび操業性を表2に示した。
【0041】実施例10 実施例8において、キャスト塗被層に使用するカオリン
(エクリプス650)の代わりに、カオリン(ウルトラ
コート)を使用した以外は、実施例8と同様にしてキャ
スト塗被紙を得た。得られたキャスト塗被紙の品質およ
び操業性を表2に示した。
【0042】実施例11 実施例8において、キャスト塗被層に使用するカオリン
(エクリプス650)の代わりに、カオリン(HT)を
使用した以外は、実施例8と同様にしてキャスト塗被紙
を得た。得られたキャスト塗被紙の品質および操業性を
表2に示した。
【0043】実施例12 実施例8のキャスト塗被層用塗料において、顔料配合を
カオリン(エクリプス650)35部、軽質炭酸カルシ
ウム(ブリリアントS−15)65部に、それぞれ変更
した以外は、実施例8と同様にしてキャスト塗被紙を得
た。得られたキャスト塗被紙の品質および操業性を表2
に示した。
【0044】実施例13 実施例8のキャスト塗被層用塗料において、顔料配合を
カオリン(エクリプス650)80部、軽質炭酸カルシ
ウム(ブリリアントS−15)20部に変更した以外
は、実施例8と同様にしてキャスト塗被紙を得た。得ら
れたキャスト塗被紙の品質および操業性を表2に示し
た。
【0045】実施例14 実施例8のキャスト塗被層用塗料において、顔料配合を
カオリン(エクリプス650)95部、軽質炭酸カルシ
ウム(ブリリアントS−15)5部に変更した以外は、
実施例8と同様にしてキャスト塗被紙を得た。得られた
キャスト塗被紙の品質および操業性を表2に示した。
【0046】比較例3 実施例8のキャスト塗被層用塗料において、使用するカ
オリン(エクリプス650)の代わりに、カオリン(ウ
ルトラホワイト90)を使用した以外は、実施例8と同
様にしてキャスト塗被紙を得た。得られたキャスト塗被
紙の品質および操業性を表2に示した。
【0047】比較例4 実施例8のキャスト塗被層用塗料において、使用する顔
料を、カオリン(ウルトラホワイト90)95部、およ
び軽質炭酸カルシウム(ブリリアントS−15)5部に
変更した以外は、実施例8と同様にしてキャスト塗被紙
を得た。得られたキャスト塗被紙の品質および操業性を
表2に示した。
【0048】実施例15 キャスト塗被層に使用するカオリン(エクリプス65
0)60部、軽質炭酸カルシウム(TP−123CS/
奥多摩工業(株)社製)40部、ポリアクリル酸ソーダ
0.5部をコーレス分散機を用いて水中に分散し、固形
分濃度65%の顔料スラリーを調製した。
【0049】この顔料スラリーに、消泡剤としてトリブ
チルフォスフェート0.5部、離型剤としてオレイン酸
アンモニウム1.0部、接着剤としてアンモニア水で溶
解した15%カゼイン水溶液13部(固形分)、SBR
ラテックス17部(ポリラック−518…固形分)を加
え、濃度が50%のキャスト用塗被液を得た。
【0050】次いで、上記のキャスト塗被層用塗料を米
坪110g/m2 の上質原紙上に乾燥重量が20g/m
2 となるようにロールコーターで塗被した後、蟻酸カル
シウム0.5%からなる凝固液に接触させて湿潤塗被層
をゲル化した。続けてこのゲル状態となった塗被層をプ
レスロールを介して表面温度98℃のキャストドラム表
面にプレス線圧100kg/cmで圧接、乾燥後、テー
クオフロールでキャストドラムから剥離することによっ
て、ゲル化方式によるキャスト塗被紙を得た。得られた
キャスト塗被紙の品質および操業性を表3に示した。
【0051】実施例16 実施例15において、キャスト塗被層に使用するカオリ
ン(エクリプス650)の代わりに、カオリン(エクリ
プス5200)を使用した以外は、実施例15と同様に
してキャスト塗被紙を得た。得られたキャスト塗被紙の
品質および操業性を表3に示した。
【0052】実施例17 実施例15において、キャスト塗被層に使用するカオリ
ン(エクリプス650)の代わりに、カオリン(ウルト
ラコート)を使用した以外は、実施例15と同様にして
キャスト塗被紙を得た。得られたキャスト塗被紙の品質
および操業性を表3に示した。
【0053】実施例18 実施例15において、キャスト塗被層に使用するカオリ
ン(エクリプス650)の代わりに、カオリン(HT)
を使用した以外は、実施例15と同様にしてキャスト塗
被紙を得た。得られたキャスト塗被紙の品質および操業
性を表3に示した。
【0054】実施例19 実施例15のキャスト塗被層用塗料において、顔料配合
をカオリン(エクリプス650)35部、軽質炭酸カル
シウム(TP−123CS)65部に、それぞれ変更し
た以外は、実施例15と同様にしてキャスト塗被紙を得
た。得られたキャスト塗被紙の品質および操業性を表3
に示した。
【0055】実施例20 実施例15のキャスト塗被層用塗料において、顔料配合
をカオリン(エクリプス650)80部、軽質炭酸カル
シウム(TP−123CS)20部に変更した以外は、
実施例15と同様にしてキャスト塗被紙を得た。得られ
たキャスト塗被紙の品質および操業性を表3に示した。
【0056】実施例21 実施例15のキャスト塗被層用塗料において、顔料配合
をカオリン(エクリプス650)95部、軽質炭酸カル
シウム(TP−123CS)5部に変更した以外は、実
施例15と同様にしてキャスト塗被紙を得た。得られた
キャスト塗被紙の品質および操業性を表3に示した。
【0057】比較例5 実施例15のキャスト塗被層用塗料において、カオリン
(エクリプス650)の代わりに、カオリン(ウルトラ
ホワイト90)を使用した以外は、実施例15と同様に
してキャスト塗被紙を得た。得られたキャスト塗被紙の
品質および操業性を表3に示した。
【0058】比較例6 実施例15のキャスト塗被層用塗料において、使用する
顔料を、カオリン(ウルトラホワイト90)95部、お
よび軽質炭酸カルシウム(TP−123CS)5部に変
更した以外は、実施例15と同様にしてキャスト塗被紙
を得た。得られたキャスト塗被紙の品質および操業性を
表3に示した。
【0059】かくして得られた各キャスト塗被紙の光
沢、インキグロス、インキ乾燥性、および操業可能な最
高速度(操業性)を下記の方法で評価し、その結果を表
1〜表3に示した。
【0060】〔光沢〕JIS P8142に準じて測定
した(数値が大きい程、光沢が高い)。
【0061】〔インキグロス〕RI印刷試験機(明製作
所製)により、シートオフセット用インキ(商品名:ニ
ューチャンピオンF−GLOSS(黒)/大日本インキ
工業製)0. 3mlを用いて印刷を行い、一昼夜放置
後、村上色彩技術研究所製の光沢度計を用いて60°の
光沢を測定した(数値が大きい程、光沢が高い)。
【0062】〔インキ乾燥性〕RI印刷試験機(明製作
所製)により、シ−トオフセット用インキ〔大日本イン
キ工業製、TRANS−G(藍)〕0.7mlを用いて
印刷を行い、印刷直後から20秒毎に上質紙を重ね合わ
せて、上質紙に転移したインキ濃度を目視で判断し下記
の基準に従って評価した。 ◎:インキ転移が非常に少なく、シートオフセット印刷
機で、特に問題なく印刷可能。 ○:インキ転移が少なく、シートオフセット印刷機で、
通常条件の印刷は可能。 △:インキ転移がやや多く、シートオフセット印刷機
で、通常条件の印刷はできないが、印刷後パウダー量を
増やすことで印刷可能。
【0063】〔キャスト塗被紙の生産速度〕キャスト塗
被紙を上記の方法において生産した場合に、キャスト塗
被紙がキャストドラムに貼り付いたり、ドラムピックな
どが発生せず、安定した生産が可能な最高速度を示し
た。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【発明の効果】表1〜表3の結果から明らかなように、
本発明に係るキャスト塗被紙は白紙光沢、インキグロス
(印刷光沢)、およびインキ乾燥性等印刷適性に極めて
優れ、かつ生産性の高い優れたキャスト塗被紙であっ
た。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に顔料と接着剤を主成分とする塗
    被組成物を塗被してキャスト用塗被層を設け、キャスト
    用塗被層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに
    圧接して仕上げられるキャスト塗被紙において、該キャ
    スト用塗被層中の顔料として、下記の粒度分布: (a) 20μmより小さい粒子が98〜100重量% (b) 2μmより小さい粒子が80〜95重量% (c) 1μmより小さい粒子が60〜85重量% (d) 0.2μmより小さい粒子が10〜30重量% を有するカオリンを全顔料に対して30〜100重量%
    配合せしめたことを特徴とするキャスト塗被紙。
JP16934096A 1996-06-28 1996-06-28 キャスト塗被紙 Pending JPH1018197A (ja)

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