JPH09269024A - 無段変速機のクラッチ制御装置 - Google Patents

無段変速機のクラッチ制御装置

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JPH09269024A
JPH09269024A JP8104219A JP10421996A JPH09269024A JP H09269024 A JPH09269024 A JP H09269024A JP 8104219 A JP8104219 A JP 8104219A JP 10421996 A JP10421996 A JP 10421996A JP H09269024 A JPH09269024 A JP H09269024A
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clutch
control
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shift
target
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Application number
JP8104219A
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English (en)
Inventor
Yoshinobu Yamashita
佳宣 山下
Tatsuji Mori
達治 森
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Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Suzuki Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 無段変速機のクラッチ制御装置において、必
要最小のクラッチトルク容量とし、クラッチ滑りの発生
を予防し、また、クラッチ滑りが発生しても迅速に解消
することにある。 【構成】 実変速値と変速目標値とに差が生じている場
合にこの差の大小に応じた増加補正量によってクラッチ
トルク容量を増量補正する制御手段を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、無段変速機のク
ラッチ制御装置に係り、特に必要最小のクラッチトルク
容量でクラッチ滑りの発生を予防し、また、クラッチ滑
りが発生した時にはクラッチ滑りを迅速に解消し、更
に、運転性能の低下を防止し得る無段変速機のクラッチ
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両においては、エンジンの特性がその
ままの状態では不向きなので、エンジンと駆動輪間の伝
動経路に変速機を設けている。この変速機としては、駆
動プーリと被動プーリとに巻掛けられたベルトの回転半
径を変化させて変速比を連続的に制御する無段変速機が
ある。また、エンジンから車両の駆動輪までの伝動経路
には、エンジンからの駆動力を断続するように電子的に
接続・解放するクラッチが備えられているものがある。
【0003】無段変速機にあっては、車両の走行中にク
ラッチを連続状態に制御し、このクラッチの接続状態の
制御中には、実変速値を変速目標値に一致させるように
制御するクラッチ制御装置が設けられているものがあ
る。
【0004】このクラッチ制御装置にあっては、車両の
走行中に、クラッチを接続状態にする制御をしている時
に、図13に示す如く、クラッチ滑りが発生する場合が
ある。
【0005】このクラッチ滑りの発生を防止する方法と
して、クラッチに入力されるクラッチ入力トルク値より
も常にクラッチトルク容量が大きくなるように、充分な
安全率を設け、クラッチトルク容量を設定し、クラッチ
を制御する方法がある。
【0006】また、クラッチに入力されるクラッチ入力
トルク値を推定し、このクラッチ入力トルク値をクラッ
チトルク容量に反映させ、クラッチを制御する方法もあ
る。
【0007】更に、クラッチ滑りが発生した場合に、こ
のクラッチ滑りを解消するために、クラッチトルク容量
を増加する方法もある。
【0008】このように、電子的にクラッチトルク容量
が調整可能なクラッチ制御装置として、例えば、特開平
3−125032号公報に開示されている。この公報に
記載のものは、クラッチとして油圧クラッチを無段変速
機に設け、目標クラッチ圧とフィードフォワード量との
ずれにより、スロットル開度毎の補正係数を求め、以後
のフィードフォワード量の大きさを補正する、いわゆる
学習制御を行なうものである。これにより、クラッチの
発進制御の中・後半の特性を改善し、エンジンやクラッ
チの個体差や経時変化、動作環境による影響を吸収する
ことを目的としている。また、この学習制御では、クラ
ッチの発生制御のスピードループ制御において、エンジ
ン要求負荷量に応じて設定された目標エンジン回転速度
に実際の回転速度が一致するように学習値を更新してい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来、クラ
ッチ制御装置にあっては、車両の走行中にクラッチの接
続状態の制御中に、クラッチトルク容量が大きいほど、
エンジン負荷も増加するので、動力性能が低下し、ま
た、燃料消費量が増加し、更に、各種部品の耐久性が低
下する等の不具合いが誘発し、特に、安全率をクラッチ
トルク容量に加味した場合に、この現象が顕著になると
いう不都合がある。
【0010】また、クラッチトルク容量にクラッチ入力
トルク値を反映させた場合には、クラッチ入力トルク値
を正確に推定することが困難であり、また、安全率の低
減には限界があり、上述と同様に、動力性能の低下等の
不都合を招いた。
【0011】更に、充分な安全率を設け、クラッチトル
ク容量を設定しても、クラッチ滑りが発生する場合があ
る。また、安全率を低減した場合には、クラッチ滑りの
発生が増大するおそれがある。このため、クラッチトル
ク容量を増加することが考えられるが、クラッチ滑りの
発生がなければ、クラッチトルク容量を増加しないの
で、クラッチ滑りの発生による不具合、特に、運転性能
の低下を回避することができなかった。
【0012】よって、予め、クラッチ滑りが発生し易い
状態では、クラッチトルク容量を増加し、クラッチ滑り
の発生を防止する方法が望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述の不都合を除去するために、車両に搭載されたエンジ
ンに無段変速機を連結して設け、この無段変速機には電
子的にクラッチトルク容量が調整可能なクラッチを設
け、前記車両の走行中に前記クラッチを接続状態に制御
し、このクラッチの接続状態の制御中には実変速値を前
記変速目標値に一致させるように制御する無段変速機の
クラッチ制御装置において、前記実変速値と前記変速目
標値とに差が生じている場合にこの差の大小に応じた増
加補正量によって前記クラッチトルク容量を増量補正す
る制御手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明は、実変速値と変速目標
値とに差が生じている場合にこの差の大小に応じた増加
補正量によつてクラッチトルク容量を増加補正するの
で、クラッチ滑りが発生し易い状況でのみクラッチトル
ク容量を増加させ、必要最小のクラッチトルク容量と
し、クラッチ滑りの発生を予防し、また、クラッチ滑り
が発生しても迅速に解消させ、更に、クラッチ滑りの発
生に伴う不具合、特に運転性能の低下を防止することが
できる。
【0015】また、必要最小のクラッチトルク容量にす
るので、クラッチトルク容量を低減し、これにより、エ
ンジン負荷を減少させ、動力性能の低下を防止し、ま
た、燃料消費量の増加を防止し、更に、各種部品の耐久
性の低下を防止することができる。
【0016】
【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細
且つ具体的に説明する。図1〜13は、この発明の第1
実施例を示すものである。図12において、2は車両、
4はエンジン、6はクランク軸、8は無段変速機(CV
T)、10は差動機、12は駆動輪たる車輪である。無
段変速機8は、駆動プーリ14と、被動プーリ16と、
この駆動プーリ14と被動プーリ16とに巻掛けられた
ベルト18とを有している。
【0017】駆動プーリ14は、駆動軸20と、この駆
動軸20に一体的に設けられた駆動側固定プーリ部片2
2と、該駆動軸20に軸方向移動可能で且つ回転不可能
に設けられた駆動側可動プーリ部片24とを有してい
る。この駆動側可動プーリ部片24の背面側には、駆動
側ハウジング26により駆動側油圧室28が形成されて
いる。
【0018】被動プーリ16は、前記駆動軸20と平行
に配設された被動軸30と、この被動軸30に一体的に
設けられた被動側固定プーリ部片32と、該被動軸30
に軸方向移動可能で且つ回転不可能に設けられた被動側
可動プーリ部片34とを有している。この被動側可動プ
ーリ部片34の背面側には、被動側ハウジング36によ
って被動側油圧室38が形成されている。この被動側油
圧室38には、被動側可動プーリ部片34をベルト18
側に押圧する被動側スプリング40が内蔵されている。
【0019】この無段変速機8は、各種ソレノイドやバ
ルブ類が設けられた油圧制御回路42からの各種油圧に
よって作動制御される。即ち、無段変速機8は、駆動側
プーリ14の駆動側油圧室28に油圧制御回路42から
プライマリ圧油路44を経てプライマリ圧を作用させる
とともに、被動側プーリ16の被動側油圧室38に油圧
制御回路42からライン圧油路46を経てライン圧を作
用させることにより、駆動プーリ14の駆動側可動プー
リ部片24を軸方向移動させるとともに被動プーリ16
の被動側可動プーリ部片34を軸方向移動させ、ベルト
18の回転半径を増減させて変速比を無段階に変化させ
るものである。
【0020】無段変速機8の被動軸30は、終減速ギヤ
機構48を介して差動機10が連結されている。この差
動機10には、車輪12・12が取付けられた車輪軸5
0・50が連結されている。
【0021】エンジン4から車輪12までの伝動経路、
例えば、エンジン4と無段変速機8間には、電子的にク
ラッチトルク容量が調整可能なクラッチ52が設けられ
る。
【0022】このクラッチ52は、電磁的に作動される
ものであり、クランク軸6に連結した駆動側クラッチ板
54と、クラッチ軸56に連結した被動側クラッチ板5
8と、この被動側クラッチ板58内に設けられたクラッ
チ制御操作手段であるクラッチソレノイド60とからな
り、エンジン2の駆動力を断続するように接続・解放作
動するものである。
【0023】クラッチ軸56と無段変速機8の駆動軸2
0間には、前後進切換機構62が設けられる。この前後
進切換機構62は、前進用ギヤ部64と後進用ギヤ部6
6と切換部68とからなる。この切換部68は、セレク
タレバー70に連絡し、このセレクタレバー70の動作
によって作動されて前進用ギヤ部64と後進用ギヤ部6
6とを選択的に切換えるものである。
【0024】油圧制御回路42とクラッチソレノイド6
0とは、制御手段72に連絡している。
【0025】この制御手段72にアクセルペダル74の
踏み込み量に応じたアクセル操作量を検出するアクセル
センサ76と、クランク軸6の回転をエンジン回転速度
(NE)として検出するエンジン回転速度センサ78
と、無段変速機8の駆動軸20の回転を変速部入力回転
速度(NI)として検出する変速部入力回転速度センサ
80と、無段変速機8の被動軸30の回転である変速部
出力回転速度を車速(NV)として検出する車速センサ
82と、スロットル弁(図示せず)の開度状態をスロッ
トル開度(THR)として検出するスロットルセンサ8
4と、エンジン4がアイドル運転になるとその時のスロ
ットル弁の開度を検出してオンになるアイドルスイッチ
86と、セレクタレバー70の位置を検出するシフトス
イッチ88と、空調装置(図示せず)の作動状態を検出
するエアコンスイッチ90とが連絡している。
【0026】制御手段72は、各種センサ類からの各種
信号を入力し、車両2の走行中にクラッチ52を接続状
態に制御し、このクラッチ52の接続状態の制御中には
実変速値を変速目標値に一致させるように制御し、ま
た、実変速値と変速目標値とに差が生じている場合にこ
の差の大小に応じた増加補正量によってクラッチトルク
容量を増量補正するものである。ここで、図6に示す如
く、変速目標値は、変速制御の目標エンジン回転速度の
過渡修正値(NESPRF)又は変速制御のフィルタ処
理後の目標変速比(RATSPF)である。また、実変
速値は、実際のエンジン回転数(NE)又はクラッチ制
御用変速比である。
【0027】また、制御手段72は、上述の増加補正量
を少なくとも積分制御によって求め、クラッチ滑りが発
生している場合にのみ、積分制御の積分量を増加させる
一方、クラッチ滑りが発生してしない場合には積分制御
の積分量を徐々に減少させるものである。
【0028】この制御手段92は、運転者の運転操作や
車両2の走行状態によって各種制御モードを選択して、
選択した各種制御モードによってクラッチ52及び変速
機8を制御するものである。
【0029】この各種制御モードとしては、例えば、ク
ラッチ52を接続状態に保持して車両2を走行させるド
ライブモード(DRV)がある。
【0030】つまり、この第1実施例においては、車両
の走行中に、クラッチ接続状態では、クラッチ制御でク
ラッチ52を接続状態に保持し、また、変速制御で実変
速値が変速目標値になるように制御している。
【0031】しかし、変速目標値が急変した場合には、
クラッチ滑りの発生が多くなる。よって、変速目標値に
対し、実変速値が遅れを伴う点と、クラッチ滑りの発生
時に正常な変速制御が困難である点とを勘案すると、ク
ラッチ制御に変速制御の要素を先取り要素を加えたい。
【0032】よって、従来、クラッチ操作量を、エンジ
ントルクの推定してクラッチトルク容量を調整していた
が、この第1実施例では実変速値と変速目標値との差に
応じてクラッチトルク容量を増加補正し、また、積分制
御はクラッチ滑時のみとして積分値を増加し、更に、積
分制御はクラッチ滑りがない場合に積分値を減少して
「0」とする。
【0033】この結果、図1に示す如く、特性が実現
し、クラッチ滑りの発生を予防し、また、クラッチ滑り
の発生時には、滑りを迅速に解消することができる。
【0034】次に、この第1実施例の作用を説明する。
【0035】無段変速機8のドライブモード時のクラッ
チ制御を、図2に基づいて説明する。
【0036】スロットル開度(THR)とエンジン回転
速度(NE)とを入力し、図3からエンジントルクを推
定する(ステップ102)。
【0037】そして、このエンジントルクに、絶対値処
理を施し(ステップ104)、また、安全率処理を施し
(ステップ106)、更に、上限dと下限eによるリミ
ッタ処理を施す(ステップ108)。
【0038】そして、このリミッタ処理をして得られた
値により、図4からクラッチ操作量を推定し(ステップ
110)、そして、このクラッチ操作量にフィルタ処理
を施して、推定エンジントルクによるクラッチ操作量
(CPSPT)が求められる(ステップ112)。
【0039】また、このクラッチ制御にあつては、図2
の破線で示す如く、新たな積分量増加補正制御が追加さ
れる。
【0040】即ち、図1の積分量増加補正制御におい
て、変速目標値から実変速値を引いて変速比の差(ズ
レ)を計算し(ステップ114)、この変速比の差に絶
対値処理した値に、フィルタ処理を施し(ステップ11
8)、また、このフィルタ処理をした値に比例制御を行
う(ステップ120)。
【0041】この比例制御(ステップ120)の後に
は、クラッチ滑り判定部(ステップ122)を介して積
分制御(積分制御部)(ステップ124)が行なわれ
る。
【0042】クラッチ滑り判定部(ステップ122)
は、クラッチ滑りが存在している場合に(YES)、比
例制御(ステップ120)からの値を積分制御(ステッ
プ124)させる一方、クラッチ滑りが存在しない場合
には(NO)、積分量減少量(△IC)を積分制御(ス
テップ124)させる。また、この積分制御(ステップ
124)にあっては、図7に示す如く、上限cと下限o
とによるリミッタ処理が行なわれる。
【0043】この積分制御(ステップ124)の値と前
記比例制御(ステップ120)の値と前記推定エンジン
トルクによるクラッチ操作量(CPSPT)とを加算し
てクラッチ操作量(CPSP)が求められ(ステップ1
26)、そして、このクラッチ操作量に、上限aと下限
bとによるリミッタ処理を施し(ステップ128)、最
終的なクラッチ操作量(CPSP)が得られる。
【0044】上述の積分量増加補正制御を、図5のフロ
ーチャートに基づいて説明する。
【0045】制御手段72において、積分量増加補正制
御のプログラムがスタートすると(ステップ202)、
先ず、変速目標値から実変速値を引いてエラーである変
速比の差(ERR)を求める(ステップ202)。
【0046】ここで、図6に示す如く、変速目標値は、
変速制御の目標エンジン回転速度の過渡修正値(NES
PRF)又は変速制御のフィルタ処理後の目標変速比
(RATSPF)である。また、実変速値は、実際のエ
ンジン回転数(NE)又はクラッチ制御用変速比であ
る。
【0047】そして、この変速比の差(ERR)に絶対
値処理を施し、つまり、|ERR|→ERRAにし(ス
テップ206)、次いで、絶対値の差(ERRA)をフ
ィルタ処理してフィルタ処理後の差(ERRAF)を算
出し(ステップ208)、そして、この差(ERRA
F)に比例制御のゲイン(KP)を掛けて、比例制御の
比例量(CPSPP)を求める(ステップ210)。
【0048】そして、クラッチ滑りが存在するか否かを
判定する(ステップ212)。
【0049】このステップ212でYESの場合には、
比例制御の比例量(CPSPP)に積分制御のゲイン
(KI)を掛けるとともに積分制御の積分量(XCPS
P)を加算し、実際の積分制御の積分量(XCPSP)
を求める(ステップ214)。
【0050】一方、ステップ212でNOの場合には、
積分制御の積分量(XCPSP)から積分量減少量(△
IC)を引いて、最終の積分制御の積分量(XCPS
P)を求める(ステップ216)。
【0051】ステップ214及びステップ216の処理
後には、図7によって上限cで且つ下限oのリミッタ処
理を施す(ステップ218)。
【0052】そして、比例制御の比例量(CPSPP)
に積分制御の積分量(XCPSP)を加えて、クラッチ
操作量の増加量(CPSPA)を求め(ステップ22
0)、終には、プログラムを終了する(ステップ22
2)。
【0053】このドライブモード時のクラッチ制御にあ
っては、クラッチ滑りの発生に対応していない。このた
め、安全率を大きくして対処しているが、クラッチ滑り
の発生のおそれが依然として存在し、クラッチ滑りが発
生した場合に、クラッチ滑りを解消することができな
い。
【0054】そこで、ドライブモード時のクラッチ制御
を変更し、クラッチ滑りの発生時に、クラッチ滑りを解
消することを可能とする。この結果、安全率を低く設定
し、省燃費特性の改善を図るものである。
【0055】よって、現在のドライブモード時のクラッ
チ制御に、閉制御を追加する。
【0056】この閉制御は、クラッチ滑りが存在する場
合に、エンジン回転速度(NE)が変速制御目標値(N
ESPRF)に一致するように、比例積分制御を行な
う。一方、クラッチ滑りが存在しない場合には、積分量
が減少するようにする。
【0057】つまり、この図2にあっては、クラッチの
動作状態に応じたクラッチ制御を実現する際に、必要最
小のクラッチトルク容量で、クラッチ滑りを予防するた
め、クラッチ滑りの解消と同時に省燃費特性を向上す
る。
【0058】また、エンジントルクの推定に用いるマッ
プ(図3参照)の学習制御の採用に最適である。
【0059】更に、エンジン回転速度(NE)を変速制
御目標値(NESPRF)に制御するため、変速制御の
先取りが可能であり、新たなクラッチ滑りの発生を防止
し、良好な運転性能を確保できる。
【0060】更にまた、積分量を減少させるために、ク
ラッチを微小スリップさせる必要がないので、新たなク
ラッチ滑りの発生や省燃費特性の悪化を防止し、良好な
運転性能を実現する。
【0061】このクラッチ接続時の変速制御を、図8に
基づいて説明する。
【0062】スロットル開度(THR)が入力される
と、図9から変速制御の目標エンジン回転速度(NES
PR)を設定する(ステップ302)。
【0063】また、変速部出力回転速度(車速)(N
V)が入力されると、図10から目標エンジン回転速度
の上限値(NESPRH)を設定するとともに(ステッ
プ304)、図11から目標エンジン回転速度の下限値
(NESPRL)を設定する(ステップ306)。
【0064】ステップ302で得られた変速制御の目標
エンジン回転速度(NESPR)とステップ304で得
られた目標エンジン回転速度の上限値(NESPRH)
との小さな値(MIN)を採用して変速制御の目標エン
ジン回転速度(NESPR)を求め(ステップ30
8)、そして、この変速制御の目標エンジン回転速度
(NESPR)とステップ306で得られた目標エンジ
ン回転速度の下限値(NESPRL)との大きな値(M
AX)を採用し、変速制御の目標エンジン回転速度(N
ESPR)を求める(ステップ310)。
【0065】この変速制御の目標エンジン回転速度(N
ESPR)は、運転操作や車両の走行状態によって過渡
修正される。そして、最終の変速制御の目標エンジン回
転速度(NESPRF)が得られる(ステップ31
2)。
【0066】この最終の変速制御の目標エンジン回転速
度(NESPRF)から実際のエンジン回転速度(N
E)を引算し(ステップ314)、そして、この計算で
得られたエンジン回転速度に比例積分制御を行い(ステ
ップ316)、クラッチ接続時における変速制御操作量
が得られる。
【0067】つまり、この第1実施例にあっては、車両
の走行中に、クラッチ接続状態でクラッチ滑りが発生す
るのは、スロットル弁を急変操作したり、セレクタ操作
を行って走行モード(エコノミー、パワー、ロー)を変
更した場合が多い。このとき、変速目標値の変更を伴う
が、応答遅れにより、実変速値と変速目標値の間にずれ
が発生する。このずれは、クラッチ滑りの発生と同期
し、大きさも比例傾向にある。
【0068】そこで、実変速値と変速目標値とにずれが
生じている場合には、そのずれの大きさに応じてクラッ
チトルク容量を増加させる(図1参照)。これにより、
変速制御を先取りしたクラッチ制御を実現することがで
き、クラッチ滑りの発生を防止することができる。
【0069】また、クラッチトルク容量の増加補正量の
算出においては、クラッチ滑りのない場合に、増加補正
を行なう必要がない。よって、増加補正量の算出に積分
制御を用いる場合は、クラッチ滑りの発生時のみ、積分
量を増加するならば、クラッチ滑りのない場合には徒に
増加補正量が増加しないものである。
【0070】更に、クラッチ滑りがない状態にあって
は、増加補正量を低減してもクラッチ滑りの発生しない
可能性が高い。そこで、クラッチ滑りが発生していない
場合には、積分量を徐々に減少し、クラッチトルク容量
を低下させる。
【0071】この結果、車両の走行中のクラッチ接続状
態中に、クラッチ滑りが発生し易い状況にのみ、クラッ
チトルク容量を増加させることにより、クラッチ滑りの
発生を予防することができる。また、クラッチ滑りの発
生に伴う不具合である運転性能の低下を防止することが
できる。更に、クラッチ滑りが発生しても、迅速にクラ
ッチ滑りを解消することができる。
【0072】これにより、総体的に、クラッチトルク容
量の大幅な低減を実現し、よって、エンジン負荷を低下
し、動力性能の低下、燃料消費量の増加を防止し、各種
部品の耐久性を向上することができる。
【0073】また、この実施例に係る制御を制御手段7
2のプログラムを少し変更するだけで実現することがで
き、廉価にすることができる。
【0074】図14〜16は、この発明の第1実施例を
示すものである。
【0075】以下の実施例においては、上述の第1実施
例と同一機能を果す箇所には同一符号を付して説明す
る。
【0076】この第2実施例の特徴とするところは、以
下の点にある。即ち、クラッチ接続時の変速制御の他の
例を示すものであり、変速目標値がエンジン回転速度
(NE)であり、クラッチ52がエンジン4と変速部間
に配設された場合で、少なくともクラッチ滑りの発生時
に変速制御の実変速値をクラッチ出力回転速度(NI)
とする。
【0077】この第2実施例における変速操作量は、図
14に示すように求められる。
【0078】即ち、スロットル開度(THR)が入力さ
れると、図9から変速制御の目標エンジン回転速度(N
ESPR)を設定する(ステップ402)。
【0079】また、変速部出力回転速度(車速)(N
V)が入力されると、図10から目標エンジン回転速度
の上限値(NESPRH)を設定するとともに(ステッ
プ404)、図11から目標エンジン回転速度の下限値
(NESPRL)を設定する(ステップ406)。
【0080】ステップ402で得られた変速制御の目標
エンジン回転速度(NESPR)とステップ402で得
られた変速制御の目標エンジン回転速度(NESPR)
とステップ404で得られた目標エンジン回転速度の上
限値(NESPRH)との小さな値(MIN)を採用し
て変速制御の目標エンジン回転速度(NESPR)を求
め(ステップ408)、そして、この変速制御の目標エ
ンジン回転速度(NESPR)とステップ406で得ら
れた目標エンジン回転速度の下限値(NESPRL)と
の大きな値(MAX)を採用し、変速制御の目標エンジ
ン回転速度(NESPR)を求める(ステップ41
0)。
【0081】この変速制御の目標エンジン回転速度(N
ESPR)は、運転操作や車両の走行状態によつて過渡
修正される。そして、最終の変速制御の目標エンジン回
転速度(NESPRF)が得られる(ステップ41
2)。
【0082】この最終の変速制御の目標エンジン回転速
度(NESPRF)は、クラッチ滑り判定部(ステップ
414)がYESの場合に変速部入力回転速度(NI)
が入力される一方、クラッチ滑り判定部(ステップ41
4)がNOの場合には実際のエンジン回転速度(NE)
が入力され、計算される(ステップ416)。
【0083】そして、この計算で得られた値に比例積分
制御を行ない(ステップ418)、変速制御操作量が得
られる。
【0084】つまり、変速目標値がエンジン回転数(N
E)の場合に、エンジンの発生トルクと走行抵抗がバラ
ンスするように変速比を調整する。
【0085】このため、クラッチ滑りが発生すると、円
滑な変速制御が困難となり、図16に示すように、運転
性能が悪化する。
【0086】これを防止するために、この第2実施例に
あっては、クラッチ52がエンジンと変速部との間に位
置する場合には、図14に示す構成とし、クラッチ滑り
の発生時にクラッチ出力回転速度である変速部入力回転
速度(NI)をエンジン回転速度(NE)の代りに、実
変速部として変速制御を行うと、図15に示すような特
性になる。
【0087】よって、変速部入力回転速度(NI)に対
し、クラッチ滑り分だけ、エンジン回転速度(NE)が
変動するのを回避することができる。
【0088】即ち、このような変速制御を行なわない場
合に、図16に示す如く、クラッチ滑りの発生によって
変速制御に不具合が生じていた。
【0089】しかし、この第2実施例の図14の変速制
御によれば、図15に示す如く、変速制御の先取りが可
能となり、クラッチ滑りの発生を更に効果的に防止する
ことができる。
【0090】図17〜22は、この発明の第3実施例を
示すものである。
【0091】この第3実施例の特徴とするところは、以
下の点にある。即ち、変速目標値が変速比の場合に、実
変速値がクラッチ52と変速部とを一体とみなし、変速
部入力回転速度(NI)、変速部出力回転速度(NV)
を基に算出された変速比とする。
【0092】この第3実施例における変速制御は、図1
7に示すように行なわれる。
【0093】即ち、図17において、スロットル開度
(THR)を入力すると、図18から変速制御の目標変
速比(RATSP)を設定し、また、変速部入力回転速
度(NI)を入力する(ステップ502)。
【0094】そして、この変速制御の目標変速比(RA
TSP)にフィルタ処理(一次遅れ)を施し(ステップ
504)、最終の変速制御の目標変速比(RATSP
F)を得る。
【0095】この最終の変速制御の目標変速比(RAT
SPF)は、クラッチ制御用変速比(RATCC)と計
算される(ステップ506)。
【0096】このクラッチ制御用変速比(RATCC)
は、図19に示すように、求められる。
【0097】つまり、図19において、プログラムがス
タートすると(ステップ602)、先ず、クラッチ滑り
の発生中か否かを判定し(ステップ604)、このステ
ップ604がNOの場合には、エンジン回転速度(N
E)/変速部出力回転速度(NV)で、クラッチ制御用
変速比(RATCC)を求め(ステップ606)、一
方、ステップ604がYESの場合には、変速部入力回
転速度(NI)/変速部出力回転速度(NV)で、クラ
ッチ制御用変速比(RATCC)を求め(ステップ60
8)、そして、プログラムを終了する(ステップ61
0)。
【0098】そして、図17に戻り、ステップ606で
得られた値を比例積分制御し(ステップ608)、変速
制御操作量を求める。
【0099】つまり、変速目標値が変速比の場合に、迅
速なクラッチ滑りを解消することができない場合があ
る。
【0100】これを防止するために、この第3実施例に
あっては、クラッチ52と変速部とを一体とみなし、ク
ラッチ制御用変速比(RATCC)を計算して実変速値
とし、クラッチ制御を行なう(図17参照)。これは、
クラッチ滑り分を、クラッチ制御用変速比(RATC
C)に反映できるからである。
【0101】一般の変速比は、図20に示す如く、変速
部入力回転速度(NI)と変速部出力回転速度(NV)
とによって計算するので、クラッチ状態を反映させてい
ない。
【0102】この結果、このような変速制御を行なわな
い場合には、図22に示す如く、クラッチ滑りが解消さ
れにくい。
【0103】しかし、この図17の第3実施例によれ
ば、図21に示す如く、変速目標値が変速比の場合に、
クラッチ滑りの状態を増加補正量に反映させるので、ク
ラッチ52と変速部とを一体とみなし、変速部入力回転
速度(NI)、変速部出力回転速度(NV)を基に変速
比を算出し、増加補正量を算出するために、実変速値と
して用いることができる。
【0104】よって、クラッチ滑りが発生した場合に、
クラッチ滑りを迅速に解消することができる。
【0105】
【発明の効果】以上詳細な説明から明らかなようにこの
発明によれば、実変速値と変速目標値とに差が生じてい
る場合にこの差の大小に応じた増加補正量によってクラ
ッチトルク容量を増量補正する制御手段を設けたことに
より、クラッチ滑りが発生し易い状況でのみクラッチト
ルク容量を増加させ、必要最小のクラッチトルク容量と
し、クラッチ滑りの発生を予防し、また、クラッチ滑り
が発生しても迅速に解消させ、更に、クラッチ滑りの発
生に伴う不具合、特に運転性能の低下を防止し得る。
【0106】また、必要最小のクラッチトルク容量にす
るので、クラッチトルク容量を低減し、これにより、エ
ンジン負荷を減少させ、動力性能の低下を防止し、ま
た、燃料消費量の増加を防止し、更に、各種部品の耐久
性の低下を防止し得る。
【0107】更に、制御手段のプログラムを少し変更す
るだけでよく、構成を簡単にし、しかも、廉価とし得
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】クラッチ制御の特性図である。
【図2】ドライブモード時のクラッチ制御のブロック図
である。
【図3】エンジントルクを設定する図である。
【図4】クラッチトルク操作量を設定する図である。
【図5】積分量増加補正制御のフローチャートである。
【図6】変速目標値と実変速値との図である。
【図7】積分制御のリミッタ処理の図である。
【図8】クラッチ接続時の変速制御のブロック図であ
る。
【図9】目標エンジン回転速度を設定する図である。
【図10】目標エンジン回転速度の上限値を設定する図
である。
【図11】目標エンジンの回転速度の下限値を設定する
図である。
【図12】無段変速機の構成図である。
【図13】従来におけるクラッチ制御の特性図である。
【図14】第2実施例におるクラッチ接続時の変速制御
のブロック図である。
【図15】第2実施例におけるクラッチ制御の特性図で
ある。
【図16】第2実施例における従来のクラッチ制御の特
性図である。
【図17】第3実施例におけるクラッチ接続時の変速制
御のブロック図である。
【図18】第3実施例において目標変速比を設定する図
である。
【図19】第3実施例においてクラッチ制御用変速比を
設定する図である。
【図20】第3実施例における従来のクラッチ制御用変
速比を設定する図である。
【図21】第3実施例におけるクラッチ制御の特性図で
ある。
【図22】第3実施例における従来のクラッチ制御の特
性図である。
【符号の説明】
2 車両 4 エンジン 8 無段変速機 52 クラッチ 72 制御手段
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年6月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 無段変速機のクラッチ制御装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、無段変速機のク
ラッチ制御装置に係り、特に必要最小のクラッチトルク
容量でクラッチ滑りの発生を予防し、また、クラッチ滑
りが発生した時にはクラッチ滑りを迅速に解消し、更
に、運転性能の低下を防止し得る無段変速機のクラッチ
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両においては、エンジンの特性がその
ままの状態では不向きなので、エンジンと駆動輪間の伝
動経路に変速機を設けている。この変速機としては、駆
動プーリと被動プーリとに巻掛けられたベルトの回転半
径を変化させて変速比を連続的に制御する無段変速機
(CVT)がある。また、エンジンから車両の駆動輪ま
での伝動経路には、エンジンからの駆動力を断続するよ
うに電子的に接続・解放するクラッチが備えられている
ものがある。
【0003】無段変速機にあっては、車両の走行中にク
ラッチを接続状態に制御し、このクラッチの接続状態の
制御中には、実変速値を変速目標値に一致させるように
制御するクラッチ制御装置が設けられているものがあ
る。
【0004】このクラッチ制御装置にあっては、車両の
走行中に、クラッチを接続状態にする制御をしている時
に、図13に示す如く、クラッチ滑りが発生する場合が
ある。
【0005】このクラッチ滑りの発生を防止する方法と
して、クラッチに入力されるクラッチ入力トルク値より
も常にクラッチトルク容量が大きくなるように、充分な
安全率を設け、クラッチトルク容量を設定し、クラッチ
を制御する方法がある。
【0006】また、クラッチに入力されるクラッチ入力
トルク値を推定し、このクラッチ入力トルク値をクラッ
チトルク容量に反映させ、クラッチを制御する方法もあ
る。
【0007】更に、クラッチ滑りが発生した場合に、こ
のクラッチ滑りを解消するために、クラッチトルク容量
を増加する方法もある。
【0008】このように、電子的にクラッチトルク容量
が調整可能なクラッチ制御装置として、例えば、特開平
3−125032号公報に開示されている。この公報に
記載のものは、クラッチとして油圧クラッチを無段変速
機に設け、目標クラッチ圧とフィードフォワード量との
ずれにより、スロットル開度毎の補正係数を求め、以後
のフィードフォワード量の大きさを補正する、いわゆる
学習制御を行なうものである。これにより、クラッチの
発進制御の中・後半の特性を改善し、エンジンやクラッ
チの個体差や経時変化、動作環境による影響を吸収する
ことを目的としている。また、この学習制御では、クラ
ッチの発生制御のスピードループ制御において、エンジ
ン要求負荷量に応じて設定された目標エンジン回転速度
に実際の回転速度が一致するように学習値を更新してい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来、クラ
ッチ制御装置にあっては、車両の走行中にクラッチの接
続状態の制御中に、クラッチトルク容量が大きいほど、
エンジン負荷も増加するので、動力性能が低下し、ま
た、燃料消費量が増加し、更に、各種部品の耐久性が低
下する等の不具合いが誘発し、特に、安全率をクラッチ
トルク容量に加味した場合に、この現象が顕著になると
いう不都合がある。
【0010】また、クラッチトルク容量にクラッチ入力
トルク値を反映させた場合には、クラッチ入力トルク値
を正確に推定することが困難であり、また、安全率の低
減には限界があり、上述と同様に、動力性能の低下等の
不都合を招いた。
【0011】更に、充分な安全率を設け、クラッチトル
ク容量を設定しても、クラッチ滑りが発生する場合があ
る。また、安全率を低減した場合には、クラッチ滑りの
発生が増大するおそれがある。このため、クラッチトル
ク容量を増加することが考えられるが、クラッチ滑りの
発生がなければ、クラッチトルク容量を増加しないの
で、クラッチ滑りの発生による不具合、特に、運転性能
の低下を回避することができなかった。
【0012】よって、予め、クラッチ滑りが発生し易い
状態では、クラッチトルク容量を増加し、クラッチ滑り
の発生を防止する方法が望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述の不都合を除去するために、車両に搭載されたエンジ
ンに無段変速機を連結して設け、この無段変速機には電
子的にクラッチトルク容量が調整可能なクラッチを設
け、前記車両の走行中に前記クラッチを接続状態に制御
し、このクラッチの接続状態の制御中には実変速値を前
記変速目標値に一致させるように制御する無段変速機の
クラッチ制御装置において、前記実変速値と前記変速目
標値とに差が生じている場合にこの差の大小に応じた増
加補正量によって前記クラッチトルク容量を増量補正す
る制御手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明は、実変速値と変速目標
値とに差が生じている場合にこの差の大小に応じた増加
補正量によつてクラッチトルク容量を増加補正するの
で、クラッチ滑りが発生し易い状況でのみクラッチトル
ク容量を増加させ、必要最小のクラッチトルク容量と
し、クラッチ滑りの発生を予防し、また、クラッチ滑り
が発生しても迅速に解消させ、更に、クラッチ滑りの発
生に伴う不具合、特に運転性能の低下を防止することが
できる。
【0015】また、必要最小のクラッチトルク容量にす
るので、クラッチトルク容量を低減し、これにより、エ
ンジン負荷を減少させ、動力性能の低下を防止し、ま
た、燃料消費量の増加を防止し、更に、各種部品の耐久
性の低下を防止することができる。
【0016】
【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細
且つ具体的に説明する。図1〜13は、この発明の第1
実施例を示すものである。図12において、2は車両、
4はエンジン、6はクランク軸、8は無段変速機(CV
T)、10は差動機、12は駆動輪たる車輪である。無
段変速機8は、駆動プーリ14と、被動プーリ16と、
この駆動プーリ14と被動プーリ16とに巻掛けられた
ベルト18とを有している。
【0017】駆動プーリ14は、駆動軸20と、この駆
動軸20に一体的に設けられた駆動側固定プーリ部片2
2と、該駆動軸20に軸方向移動可能で且つ回転不可能
に設けられた駆動側可動プーリ部片24とを有してい
る。この駆動側可動プーリ部片24の背面側には、駆動
側ハウジング26により駆動側油圧室28が形成されて
いる。
【0018】被動プーリ16は、前記駆動軸20と平行
に配設された被動軸30と、この被動軸30に一体的に
設けられた被動側固定プーリ部片32と、該被動軸30
に軸方向移動可能で且つ回転不可能に設けられた被動側
可動プーリ部片34とを有している。この被動側可動プ
ーリ部片34の背面側には、被動側ハウジング36によ
って被動側油圧室38が形成されている。この被動側油
圧室38には、被動側可動プーリ部片34をベルト18
側に押圧する被動側スプリング40が内蔵されている。
【0019】この無段変速機8は、各種ソレノイドやバ
ルブ類が設けられた油圧制御回路42からの各種油圧に
よって作動制御される。即ち、無段変速機8は、駆動側
プーリ14の駆動側油圧室28に油圧制御回路42から
プライマリ圧油路44を経てプライマリ圧を作用させる
とともに、被動側プーリ16の被動側油圧室38に油圧
制御回路42からライン圧油路46を経てライン圧を作
用させることにより、駆動プーリ14の駆動側可動プー
リ部片24を軸方向移動させるとともに被動プーリ16
の被動側可動プーリ部片34を軸方向移動させ、ベルト
18の回転半径を増減させて変速比を無段階に変化させ
るものである。
【0020】無段変速機8の被動軸30は、終減速ギヤ
機構48を介して差動機10が連結されている。この差
動機10には、車輪12・12が取付けられた車輪軸5
0・50が連結されている。
【0021】エンジン4から車輪12までの伝動経路、
例えば、エンジン4と無段変速機8間には、電子的にク
ラッチトルク容量が調整可能なクラッチ52が設けられ
る。
【0022】このクラッチ52は、電磁的に作動される
ものであり、クランク軸6に連結した駆動側クラッチ板
54と、クラッチ軸56に連結した被動側クラッチ板5
8と、この被動側クラッチ板58内に設けられたクラッ
チ制御操作手段であるクラッチソレノイド60とからな
り、エンジン2の駆動力を断続するように接続・解放作
動するものである。
【0023】クラッチ軸56と無段変速機8の駆動軸2
0間には、前後進切換機構62が設けられる。この前後
進切換機構62は、前進用ギヤ部64と後進用ギヤ部6
6と切換部68とからなる。この切換部68は、セレク
タレバー70に連絡し、このセレクタレバー70の動作
によって作動されて前進用ギヤ部64と後進用ギヤ部6
6とを選択的に切換えるものである。
【0024】油圧制御回路42とクラッチソレノイド6
0とは、制御手段72に連絡している。
【0025】この制御手段72にアクセルペダル74の
踏み込み量に応じたアクセル操作量を検出するアクセル
センサ76と、クランク軸6の回転をエンジン回転速度
(NE)として検出するエンジン回転速度センサ78
と、無段変速機8の駆動軸20の回転を変速部入力回転
速度(NI)として検出する変速部入力回転速度センサ
80と、無段変速機8の被動軸30の回転である変速部
出力回転速度を車速(NV)として検出する車速センサ
82と、スロットル弁(図示せず)の開度状態をスロッ
トル開度(THR)として検出するスロットルセンサ8
4と、運転手がアクセルペダル74を操作した状態を検
出してオンになるDDTスイッチ86と、セレクタレバ
ー70の位置を検出するシフトスイッチ88と、空調装
置(図示せず)の作動状態を検出するエアコンスイッチ
90とが連絡している。
【0026】制御手段72は、各種センサ類からの各種
信号を入力し、車両2の走行中にクラッチ52を接続状
態に制御し、このクラッチ52の接続状態の制御中には
実変速値を変速目標値に一致させるように制御し、ま
た、実変速値と変速目標値とに差が生じている場合にこ
の差の大小に応じた増加補正量によってクラッチトルク
容量を増量補正するものである。ここで、図6に示す如
く、変速目標値は、変速制御の目標エンジン回転速度の
過渡修正値(NESPRF)又は変速制御のフィルタ処
理後の目標変速比(RATSPF)である。また、実変
速値は、実際のエンジン回転速度(NE)又はクラッチ
制御用変速比である。
【0027】また、制御手段72は、上述の増加補正量
を少なくとも積分制御によって求め、クラッチ滑りが発
生している場合にのみ、積分制御の積分量を増加させる
一方、クラッチ滑りが発生してしない場合には積分制御
の積分量を徐々に減少させるものである。
【0028】この制御手段92は、運転者の運転操作や
車両2の走行状態によって各種制御モードを選択して、
選択した各種制御モードによってクラッチ52及び変速
機8を制御するものである。
【0029】この各種制御モードとしては、例えば、ク
ラッチ52を接続状態に保持して車両2を走行させるド
ライブモード(DRV)がある。
【0030】つまり、この第1実施例においては、車両
の走行中に、クラッチ接続状態では、クラッチ制御でク
ラッチ52を接続状態に保持し、また、変速制御で実変
速値が変速目標値になるように制御している。
【0031】しかし、変速目標値が急変した場合には、
クラッチ滑りの発生が多くなる。よって、変速目標値に
対し、実変速値が遅れを伴う点と、クラッチ滑りの発生
時に正常な変速制御が困難である点とを勘案すると、ク
ラッチ制御に変速制御の先取り要素を加えたい。
【0032】よって、従来、クラッチ操作量を、エンジ
ントルクを推定してクラッチトルク容量を調整していた
が、この第1実施例では実変速値と変速目標値との差に
応じてクラッチトルク容量を増加補正し、また、積分制
御はクラッチ滑り発生時のみ積分値を増加し、更に、積
分制御はクラッチ滑りがない場合に積分値を減少して
「0」とする。
【0033】この結果、図1に示す如く、特性が実現
し、クラッチ滑りの発生を予防し、また、クラッチ滑り
の発生時には、滑りを迅速に解消することができる。
【0034】次に、この第1実施例の作用を説明する。
【0035】無段変速機8のドライブモード時のクラッ
チ制御を、図2に基づいて説明する。
【0036】スロットル開度(THR)とエンジン回転
速度(NE)とを入力し、図3からエンジントルクを推
定する(ステップ102)。
【0037】そして、このエンジントルクに、絶対値処
理を施し(ステップ104)、また、安全率処理を施し
(ステップ106)、更に、上限dと下限eによるリミ
ッタ処理を施す(ステップ108)。
【0038】そして、このリミッタ処理をして得られた
値により、図4からクラッチ操作量を推定し(ステップ
110)、そして、このクラッチ操作量にフィルタ処理
を施して、推定エンジントルクによるクラッチ操作量
(CPSPT)が求められる(ステップ112)。
【0039】また、このクラッチ制御にあつては、図2
の破線で示す如く、新たな積分量増加補正制御が追加さ
れる。
【0040】即ち、図2の積分量増加補正制御におい
て、変速目標値から実変速値を引いて変速比の差(ズ
レ)を計算し(ステップ114)、この変速比の差に絶
対値処理した値に、フィルタ処理を施し(ステップ11
8)、また、このフィルタ処理をした値に比例制御を行
う(ステップ120)。
【0041】この比例制御(ステップ120)の後に
は、クラッチ滑り判定部(ステップ122)を介して積
分制御(積分制御部)(ステップ124)が行なわれ
る。
【0042】クラッチ滑り判定部(ステップ122)
は、クラッチ滑りが存在している場合に(YES)、比
例制御(ステップ120)からの値を積分制御(ステッ
プ124)させる一方、クラッチ滑りが存在しない場合
には(NO)、積分量減少量(△IC)を積分制御(ス
テップ124)させる。また、この積分制御(ステップ
124)にあっては、図7に示す如く、上限cと下限o
とによるリミッタ処理が行なわれる。
【0043】この積分制御(ステップ124)の値と前
記比例制御(ステップ120)の値と前記推定エンジン
トルクによるクラッチ操作量(CPSPT)とを加算し
てクラッチ操作量(CPSP)が求められ(ステップ1
26)、そして、このクラッチ操作量に、上限aと下限
bとによるリミッタ処理を施し(ステップ128)、最
終的なクラッチ操作量(CPSP)が得られる。
【0044】上述の積分量増加補正制御を、図5のフロ
ーチャートに基づいて説明する。
【0045】制御手段72において、積分量増加補正制
御のプログラムがスタートすると(ステップ202)、
先ず、変速目標値から実変速値を引いてエラーである変
速比の差(ERR)を求める(ステップ204)。
【0046】ここで、図6に示す如く、変速目標値は、
変速制御の目標エンジン回転速度の過渡修正値(NES
PRF)又は変速制御のフィルタ処理後の目標変速比
(RATSPF)である。また、実変速値は、実際のエ
ンジン回転速度(NE)又はクラッチ制御用変速比であ
る。
【0047】そして、この変速比の差(ERR)に絶対
値処理を施し、つまり、|ERR|→ERRAにし(ス
テップ206)、次いで、絶対値の差(ERRA)をフ
ィルタ処理してフィルタ処理後の差(ERRAF)を算
出し(ステップ208)、そして、この差(ERRA
F)に比例制御のゲイン(KP)を掛けて、比例制御の
比例量(CPSPP)を求める(ステップ210)。
【0048】そして、クラッチ滑りが存在するか否かを
判定する(ステップ212)。
【0049】このステップ212でYESの場合には、
比例制御の比例量(CPSPP)に積分制御のゲイン
(KI)を掛けるとともに積分制御の積分量(XCPS
P)を加算し、実際の積分制御の積分量(XCPSP)
を求める(ステップ214)。
【0050】一方、ステップ212でNOの場合には、
積分制御の積分量(XCPSP)から積分量減少量(△
I<0)を加算して、最終の積分制御の積分量(XCP
SP)を求める(ステップ216)。
【0051】ステップ214及びステップ216の処理
後には、図7によって上限cで且つ下限0のリミッタ処
理を施す(ステップ218)。
【0052】そして、比例制御の比例量(CPSPP)
に積分制御の積分量(XCPSP)を加えて、クラッチ
操作量の増加量(CPSPA)を求め(ステップ22
0)、終には、プログラムを終了する(ステップ22
2)。
【0053】従来の技術のドライブモード時のクラッチ
制御にあっては、クラッチ滑りの発生に対応していな
い。このため、安全率を大きくして対処しているが、ク
ラッチ滑りの発生のおそれが依然として存在し、クラッ
チ滑りが発生した場合に、クラッチ滑りを解消すること
ができない。
【0054】そこで、ドライブモード時のクラッチ制御
を変更し、クラッチ滑りの発生時に、クラッチ滑りを解
消することを可能とする。この結果、安全率を低く設定
し、省燃費特性の改善を図るものである。
【0055】よって、現在のドライブモード時のクラッ
チ制御に、閉制御を追加する。
【0056】この閉制御は、クラッチ滑りが存在する場
合に、エンジン回転速度(NE)が変速制御目標値(N
ESPRF)に一致するように、比例積分制御を行な
う。一方、クラッチ滑りが存在しない場合には、積分量
が減少するようにする。
【0057】つまり、この図2にあっては、クラッチの
動作状態に応じたクラッチ制御を実現する際に、必要最
小のクラッチトルク容量で、クラッチ滑りを予防するた
め、クラッチ滑りの解消と同時に省燃費特性を向上す
る。
【0058】また、エンジントルクの推定に用いるマッ
プ(図3参照)の学習制御の採用に最適である。
【0059】更に、エンジン回転速度(NE)を変速制
御目標値(NESPRF)に制御するため、変速制御の
先取りが可能であり、新たなクラッチ滑りの発生を防止
し、良好な運転性能を確保できる。
【0060】更にまた、積分量を減少させるために、ク
ラッチを微小スリップさせる必要がないので、新たなク
ラッチ滑りの発生や省燃費特性の悪化を防止し、良好な
運転性能を実現する。
【0061】このクラッチ接続時の変速制御を、図8に
基づいて説明する。
【0062】スロットル開度(THR)が入力される
と、図9から変速制御の目標エンジン回転速度(NES
PR)を設定する(ステップ302)。
【0063】また、変速部出力回転速度(車速)(N
V)が入力されると、図10から目標エンジン回転速度
の上限値(NESPRH)を設定するとともに(ステッ
プ304)、図11から目標エンジン回転速度の下限値
(NESPRL)を設定する(ステップ306)。
【0064】ステップ302で得られた変速制御の目標
エンジン回転速度(NESPR)とステップ304で得
られた目標エンジン回転速度の上限値(NESPRH)
との小さな値(MIN)を採用して変速制御の目標エン
ジン回転速度(NESPR)を求め(ステップ30
8)、そして、この変速制御の目標エンジン回転速度
(NESPR)とステップ306で得られた目標エンジ
ン回転速度の下限値(NESPRL)との大きな値(M
AX)を採用し、変速制御の目標エンジン回転速度(N
ESPR)を求める(ステップ310)。
【0065】この変速制御の目標エンジン回転速度(N
ESPR)は、運転操作や車両の走行状態によって過渡
修正される。そして、最終の変速制御の目標エンジン回
転速度(NESPRF)が得られる(ステップ31
2)。
【0066】この最終の変速制御の目標エンジン回転速
度(NESPRF)から実際のエンジン回転速度(N
E)を引算し(ステップ314)、そして、この計算で
得られたエンジン回転速度に比例積分制御を行い(ステ
ップ316)、クラッチ接続時における変速制御操作量
が得られる。
【0067】つまり、この第1実施例にあっては、車両
の走行中に、クラッチ接続状態でクラッチ滑りが発生す
るのは、スロットル弁を急変操作したり、セレクタ操作
を行って走行モード(エコノミー、パワー、ロー)を変
更した場合が多い。このとき、変速目標値の変更を伴う
が、応答遅れにより、実変速値と変速目標値の間にずれ
が発生する。このずれは、クラッチ滑りの発生と同期
し、大きさも比例傾向にある。
【0068】そこで、実変速値と変速目標値とにずれが
生じている場合には、そのずれの大きさに応じてクラッ
チトルク容量を増加させる(図1参照)。これにより、
変速制御を先取りしたクラッチ制御を実現することがで
き、クラッチ滑りの発生を防止することができる。
【0069】また、クラッチトルク容量の増加補正量の
算出においては、クラッチ滑りのない場合に、増加補正
を行なう必要がない。よって、増加補正量の算出に積分
制御を用いる場合は、クラッチ滑りの発生時のみ、積分
量を増加するならば、クラッチ滑りのない場合には徒に
増加補正量が増加しないものである。
【0070】更に、クラッチ滑りがない状態にあって
は、増加補正量を低減してもクラッチ滑りの発生しない
可能性が高い。そこで、クラッチ滑りが発生していない
場合には、積分量を徐々に減少し、クラッチトルク容量
を低下させる。
【0071】この結果、車両の走行中のクラッチ接続状
態中に、クラッチ滑りが発生し易い状況にのみ、クラッ
チトルク容量を増加させることにより、クラッチ滑りの
発生を予防することができる。また、クラッチ滑りの発
生に伴う不具合である運転性能の低下を防止することが
できる。更に、クラッチ滑りが発生しても、迅速にクラ
ッチ滑りを解消することができる。
【0072】これにより、総体的に、クラッチトルク容
量の大幅な低減を実現し、よって、エンジン負荷を低下
し、動力性能の低下、燃料消費量の増加を防止し、各種
部品の耐久性を向上することができる。
【0073】また、この実施例に係る制御を制御手段7
2のプログラムを少し変更するだけで実現することがで
き、廉価にすることができる。
【0074】図14〜16は、この発明の第2実施例を
示すものである。
【0075】以下の実施例においては、上述の第1実施
例と同一機能を果す箇所には同一符号を付して説明す
る。
【0076】この第2実施例の特徴とするところは、以
下の点にある。即ち、クラッチ接続時の変速制御の他の
例を示すものであり、変速目標値がエンジン回転速度
(NE)であり、クラッチ52がエンジン4と変速部間
に配設された場合で、少なくともクラッチ滑りの発生時
に変速制御の実変速値をクラッチ出力回転速度(NI)
とする。
【0077】この第2実施例における変速操作量は、図
14に示すように求められる。
【0078】即ち、スロットル開度(THR)が入力さ
れると、図9から変速制御の目標エンジン回転速度(N
ESPR)を設定する(ステップ402)。
【0079】また、変速部出力回転速度(車速)(N
V)が入力されると、図10から目標エンジン回転速度
の上限値(NESPRH)を設定するとともに(ステッ
プ404)、図11から目標エンジン回転速度の下限値
(NESPRL)を設定する(ステップ406)。
【0080】ステップ402で得られた変速制御の目標
エンジン回転速度(NESPR)とステップ404で得
られた目標エンジン回転速度の上限値(NESPRH)
との小さな値(MIN)を採用して変速制御の目標エン
ジン回転速度(NESPR)を求め(ステップ40
8)、そして、この変速制御の目標エンジン回転速度
(NESPR)とステップ406で得られた目標エンジ
ン回転速度の下限値(NESPRL)との大きな値(M
AX)を採用し、変速制御の目標エンジン回転速度(N
ESPR)を求める(ステップ410)。
【0081】この変速制御の目標エンジン回転速度(N
ESPR)は、運転操作や車両の走行状態によつて過渡
修正される。そして、最終の変速制御の目標エンジン回
転速度(NESPRF)が得られる(ステップ41
2)。
【0082】この最終の変速制御の目標エンジン回転速
度(NESPRF)は、クラッチ滑り判定部(ステップ
414)がYESの場合に変速部入力回転速度(NI)
が入力される一方、クラッチ滑り判定部(ステップ41
4)がNOの場合には実際のエンジン回転速度(NE)
が入力され、計算される(ステップ416)。
【0083】そして、この計算で得られた値に比例積分
制御を行ない(ステップ418)、変速制御操作量が得
られる。
【0084】つまり、クラッチ接続状態では、変速目標
値がエンジン回転数(NE)の場合に、エンジンの発生
トルクと走行抵抗がバランスするように変速比を調整す
る。
【0085】しかし、クラッチ滑りが発生すると、エン
ジンの発生トルクと走行抵抗をバランスすることができ
ないため、円滑な変速制御が困難となり、図16に示す
ように、運転性能が悪化する。
【0086】これを防止するために、この第2実施例に
あっては、クラッチ52がエンジンと変速部との間に位
置する場合には、図14に示す構成とし、クラッチ滑り
の発生時にクラッチ出力回転速度である変速部入力回転
速度(NI)をエンジン回転速度(NE)の代りに、実
変速値として変速制御を行うと、図15に示すような特
性になる。
【0087】よって、変速部入力回転速度(NI)を実
変速値として変速制御を行った場合、クラッチ滑り分だ
け、エンジン回転速度(NE)が変動するのを回避する
ことができる。
【0088】即ち、このような変速制御を行なわない場
合に、図16に示す如く、クラッチ滑りの発生によって
変速制御に不具合が生じていた。
【0089】しかし、この第2実施例の図14の変速制
御によれば、図15に示す如く、変速制御の先取りが可
能となり、クラッチ滑りの発生を更に効果的に防止する
ことができる。
【0090】図17〜22は、この発明の第3実施例を
示すものである。
【0091】この第3実施例の特徴とするところは、以
下の点にある。即ち、変速目標値が変速比の場合に、実
変速値がクラッチ52と変速部とを一体とみなし、少な
くともクラッチ滑り発生時に実変速値をエンジン回転速
度(NE)と、変速部出力回転速度(NV)を基に算出
された変速比とする。
【0092】この第3実施例における変速制御は、図1
7に示すように行なわれる。
【0093】即ち、図17において、スロットル開度
(THR)と変速部出力回転速度(NV)を入力し、図
18から変速制御の目標変速比(RATSP)を設定す
る(ステップ502)。
【0094】そして、この変速制御の目標変速比(RA
TSP)にフィルタ処理(一次遅れ)を施し(ステップ
504)、最終の変速制御の目標変速比(RATSP
F)を得る。
【0095】この最終の変速制御の目標変速比(RAT
SPF)は、クラッチ制御用変速比(RATCC)と計
算される(ステップ506)。
【0096】このクラッチ制御用変速比(RATCC)
は、図19に示すように、求められる。
【0097】つまり、図19において、プログラムがス
タートすると(ステップ602)、先ず、クラッチ滑り
の発生中か否かを判定し(ステップ604)、このステ
ップ604がYESの場合には、エンジン回転速度(N
E)/変速部出力回転速度(NV)で、クラッチ制御用
変速比(RATCC)を求め(ステップ606)、一
方、ステップ604がNOの場合には、変速部入力回転
速度(NI)/変速部出力回転速度(NV)で、クラッ
チ制御用変速比(RATCC)を求め(ステップ60
8)、そして、プログラムを終了する(ステップ61
0)。
【0098】そして、図17に戻り、ステップ506で
得られた値を比例積分制御し(ステップ608)、変速
制御操作量を求める。
【0099】つまり、従来の技術のような変速目標値が
変速比の場合に、迅速なクラッチ滑りを解消することが
できない場合がある。
【0100】これを防止するために、この第3実施例に
あっては、クラッチ52と変速部とを一体とみなし、ク
ラッチ制御用変速比(RATCC)を計算して実変速値
とし、クラッチ制御を行なう(図17参照)。これは、
クラッチ滑り分を、クラッチ制御用変速比(RATC
C)に反映できるからである。
【0101】一般の変速比は、図20に示す如く、変速
部入力回転速度(NI)と変速部出力回転速度(NV)
とによって計算するので、クラッチ状態を反映させてい
ない。
【0102】この結果、このような変速制御を行なわな
い場合には、図22に示す如く、クラッチ滑りが解消さ
れにくい。
【0103】しかし、この図17の第3実施例によれ
ば、図21に示す如く、変速目標値が変速比の場合に、
クラッチ滑りの状態を増加補正量に反映させるので、ク
ラッチ52と変速部とを一体とみなし、エンジン回転速
度(NE)と、変速部出力回転速度(NV)を基に変速
比を算出し、増加補正量を算出するために、実変速値と
して用いる。
【0104】よって、クラッチ滑りが発生した場合に、
クラッチ滑りを迅速に解消することができる。
【0105】
【発明の効果】以上詳細な説明から明らかなようにこの
発明によれば、実変速値と変速目標値とに差が生じてい
る場合にこの差の大小に応じた増加補正量によってクラ
ッチトルク容量を増量補正する制御手段を設けたことに
より、クラッチ滑りが発生し易い状況でのみクラッチト
ルク容量を増加させ、必要最小のクラッチトルク容量と
し、クラッチ滑りの発生を予防し、また、クラッチ滑り
が発生しても迅速に解消させ、更に、クラッチ滑りの発
生に伴う不具合、特に運転性能の低下を防止し得る。
【0106】また、必要最小のクラッチトルク容量にす
るので、クラッチトルク容量を低減し、これにより、エ
ンジン負荷を減少させ、動力性能の低下を防止し、ま
た、燃料消費量の増加を防止し、更に、各種部品の耐久
性の低下を防止し得る。
【0107】更に、制御手段のプログラムを少し変更す
るだけでよく、構成を簡単にし、しかも、廉価とし得
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】クラッチ制御の特性図である。
【図2】ドライブモード時のクラッチ制御のブロック図
である。
【図3】エンジントルクを設定する図である。
【図4】クラッチトルク操作量を設定する図である。
【図5】積分量増加補正制御のフローチャートである。
【図6】変速目標値と実変速値との図である。
【図7】積分制御のリミッタ処理の図である。
【図8】クラッチ接続時の変速制御のブロック図であ
る。
【図9】目標エンジン回転速度を設定する図である。
【図10】目標エンジン回転速度の上限値を設定する図
である。
【図11】目標エンジンの回転速度の下限値を設定する
図である。
【図12】無段変速機の構成図である。
【図13】従来におけるクラッチ制御の特性図である。
【図14】第2実施例におるクラッチ接続時の変速制御
のブロック図である。
【図15】第2実施例におけるクラッチ制御の特性図で
ある。
【図16】第2実施例における従来のクラッチ制御の特
性図である。
【図17】第3実施例におけるクラッチ接続時の変速制
御のブロック図である。
【図18】第3実施例において目標変速比を設定する図
である。
【図19】第3実施例においてクラッチ制御用変速比を
設定する図である。
【図20】第3実施例における従来のクラッチ制御用変
速比を設定する図である。
【図21】第3実施例におけるクラッチ制御の特性図で
ある。
【図22】第3実施例における従来のクラッチ制御の特
性図である。
【符号の説明】 2 車両 4 エンジン 8 無段変速機 52 クラッチ 72 制御手段
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図19
【補正方法】変更
【補正内容】
【図19】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に搭載されたエンジンに無段変速機
    を連結して設け、この無段変速機には電子的にクラッチ
    トルク容量が調整可能なクラッチを設け、前記車両の走
    行中に前記クラッチを接続状態に制御し、このクラッチ
    の接続状態の制御中には実変速値を変速目標値に一致さ
    せるように制御する無段変速機のクラッチ制御装置にお
    いて、前記実変速値と前記変速目標値とに差が生じてい
    る場合にこの差の大小に応じた増加補正量によって前記
    クラッチトルク容量を増量補正する制御手段を設けたこ
    とを特徴とする無段変速値のクラッチ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記増加補正量を少な
    くとも積分制御によって求め、クラッチ滑りが発生して
    いる場合にのみ前記積分制御の積分量を増加させる一
    方、クラッチ滑りが発生してしない場合には前記積分制
    御の積分量を徐々に減少させることを特徴とする請求項
    1に記載の無段変速機のクラッチ制御装置。
JP8104219A 1996-03-29 1996-03-29 無段変速機のクラッチ制御装置 Pending JPH09269024A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090118936A1 (en) * 2007-11-04 2009-05-07 Gm Global Technology Operations, Inc. Control of engine torque during upshift and downshift torque phase for a hybrid powertrain system
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