JP2012102821A - 自動クラッチ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者の予期しない加速度が車両に発生することを抑制する。
【解決手段】ECU100は、クラッチストロークを変更することによって接続状態と切断状態とを切り換え可能に構成され、接続状態のときにエンジン1と変速機3との間でトルクを伝達する自動クラッチ2を制御する。また、ECU100は、エンジントルクTeを推定するエンジントルク推定部103と、エンジントルク推定部103によって推定されたエンジントルクTeの絶対値を、予め設定された補正トルクΔTeの値だけ増加することによって、クラッチトルクの第1指示値Tc1を求めるクラッチトルク算出部104と、を備える。更に、クラッチトルク算出部104は、フューエルカット状態ではない場合には、フューエルカット状態である場合と比較して、相違する補正トルクΔTeの値を用いてクラッチトルクの第1指示値Tc1を求める。
【選択図】図5

Description

本発明は、クラッチストロークを変更することによって接続状態と切断状態とを切り換え可能に構成され、接続状態のときにエンジンと変速機との間でトルクを伝達する自動クラッチを制御する自動クラッチ制御装置に関する。
従来、エンジンと変速機との間に介設され、クラッチストロークを変更することにより接続状態と切断状態とを切り換えることによって、エンジンと変速機との間のトルクの伝達と遮断とを切り換える自動クラッチが搭載された車両が知られている。また、自動クラッチが搭載された車両において、運転者の所望する車両の動作を実現するために、自動クラッチのクラッチストロークを制御する種々の制御装置、制御方法等が提案されている。
例えば、車両走行中の非変速時において、エンジンの出力トルクTEを推定し、その出力トルクTEに余裕値ΔTEを加算した値と自動クラッチのクラッチトルクTCLとが一致するようにクラッチトルク指令値TCLdを出力する車両用自動クラッチの制御装置が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の車両用自動クラッチの制御装置によれば、車両走行中の非変速時に、自動クラッチにおいてすべりが発生することを防止することができる。
特開2003−172381号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の車両用自動クラッチの制御装置では、車両走行中の非変速時において、エンジントルクが急変した場合には、運転者の予期しない加速度が車両に発生する虞がある。
例えば、フューエルカット状態で走行中に、エンジン回転数が、予め設定されたフューエルカット下限回転数以下となった場合には、フューエルカット状態からフューエルカットではない状態に変化して、エンジントルクが急変する(増加する)ため、運転者の予期しない加速度が車両に発生する虞がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、運転者の予期しない加速度が車両に発生することを抑制可能な自動クラッチ制御装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る自動クラッチ制御装置は、以下のように構成されている。
すなわち、本発明に係る自動クラッチ制御装置は、クラッチストロークを変更することによって接続状態と切断状態とを切り換え可能に構成され、接続状態のときにエンジンと変速機との間でトルクを伝達する自動クラッチを制御する自動クラッチ制御装置であって、エンジントルクを推定するエンジントルク推定手段と、前記エンジントルク推定手段によって推定されたエンジントルクの絶対値を、予め設定された補正トルクの値だけ増加することによって、クラッチトルクの第1指示値を求めるクラッチトルク算出手段と、を備え、前記クラッチトルク算出手段が、フューエルカット状態ではない場合には、フューエルカット状態である場合と比較して、相違する前記補正トルクの値を用いてクラッチトルクの第1指示値を求めることを特徴とする自動クラッチ制御装置である。
かかる構成を備える自動クラッチ制御装置によれば、推定されたエンジントルクの絶対値を、予め設定された補正トルクの値だけ増加することによって、クラッチトルクの第1指示値が求められる。ここで、フューエルカット状態ではない場合には、フューエルカット状態である場合と比較して、相違する前記補正トルクの値を用いてクラッチトルクの第1指示値が求められるため、前記補正トルクを、フューエルカット状態であるか否かに応じて適正な値に設定することによって、クラッチトルクの第1指示値として適正な値を求めることが可能となる。
すなわち、フューエルカット状態であるか否かが変化するときには、エンジントルクが急変する。そこで、前記補正トルクを、フューエルカット状態であるか否かに応じて適正な値に設定することによって、クラッチトルクの第1指示値として適正な値(エンジントルクの急変によって車両に付与される加速度を軽減する値)を求めることが可能となるため、運転者の予期しない加速度が車両に発生することを抑制することが可能となる。
また、本発明に係る自動クラッチ制御装置は、前記補正トルクを設定する補正トルク設定手段を更に備え、前記クラッチトルク算出手段が、前記エンジントルク推定手段によって推定されたエンジントルクの絶対値に、前記補正トルク設定手段によって設定された補正トルクを加算して、クラッチトルクの第1指示値を求めることが好ましい。
かかる構成を備える自動クラッチ制御装置によれば、推定されたエンジントルクの絶対値に、設定された補正トルクが加算されて、クラッチトルクの第1指示値が求められるため、簡素な構成で適正なクラッチトルクの第1指示値を求めることができる。
また、本発明に係る自動クラッチ制御装置は、前記補正トルク設定手段が、フューエルカット状態ではない場合には、フューエルカット状態である場合と比較して、前記補正トルクとして大きい値を設定することが好ましい。
かかる構成を備える自動クラッチ制御装置によれば、フューエルカット状態ではない場合には、フューエルカット状態である場合と比較して、前記補正トルクとして大きい値が設定されるため、クラッチトルクの第1指示値として適正な値(エンジントルクの急変によって車両に付与される加速度を軽減する値)を求めることができる。したがって、フューエルカット状態であるか否かが変化するときに、運転者の予期しない加速度が車両に発生することを抑制することができる。
また、本発明に係る自動クラッチ制御装置は、前記補正トルク設定手段が、前記変速機のギア比が小さい程、前記補正トルクとして大きい値を設定することが好ましい。
かかる構成を備える自動クラッチ制御装置によれば、前記変速機のギア比が小さい程、前記補正トルクとして大きい値が設定されるため、前記補正トルクを更に適正な値に設定することができる。
ここで、例えば、フューエルカット状態では、エンジンは、変速機側からのトルクが付与されて回転駆動されている。そこで、ギア比が小さい程、変速機側からエンジンを駆動するときの負荷は大きい。したがって、ギア比が小さい程、前記補正トルクとして大きい値を設定することによって、クラッチトルクの第1指示値として適正な値(自動クラッチにおいてすべりが発生しない値)を求めることができるのである。
また、本発明に係る自動クラッチ制御装置は、前記補正トルク設定手段が、前記エンジンの回転数、又は、前記自動クラッチの出力側回転数が大きい程、前記補正トルクとして大きい値を設定することが好ましい。
かかる構成を備える自動クラッチ制御装置によれば、エンジンの回転数、又は、自動クラッチの出力側回転数が大きい程、前記補正トルクとして大きい値が設定されるため、前記補正トルクを更に適正な値に設定することができる。
ここで、ギア比が一定である場合には、エンジンの回転数(又は自動クラッチの出力側回転数)が大きい程、自動クラッチにおいてすべりが発生し易い。したがって、エンジンの回転数(又は自動クラッチの出力側回転数)が大きい程、前記補正トルクとして大きい値を設定することによって、クラッチトルクの第1指示値として適正な値(自動クラッチにおいてすべりが発生しない値)を求めることができるのである。
また、本発明に係る自動クラッチ制御装置は、フューエルカット状態ではない場合と、フューエルカット状態である場合とに区分して、前記変速機のギア比、前記エンジンの回転数、及び、前記自動クラッチの出力側回転数の少なくともいずれか1つと対応付けて、前記補正トルクを予め記憶している補正トルク記憶手段を更に備え、前記補正トルク設定手段が、前記補正トルク記憶手段から対応する補正トルクの値を読み出して設定することが好ましい。
かかる構成を備える自動クラッチ制御装置によれば、フューエルカット状態ではない場合と、フューエルカット状態である場合とに区分して、前記変速機のギア比、前記エンジンの回転数、及び、前記自動クラッチの出力側回転数の少なくともいずれか1つと対応付けて、前記補正トルクが前記補正トルク記憶手段に予め記憶されており、前記補正トルク記憶手段から対応する補正トルクの値が読み出されて設定されるため、補正トルクとして簡素な構成で適正な値を設定することができる。
また、本発明に係る自動クラッチ制御装置は、前記クラッチトルクの第1指示値に対して、該クラッチトルクの第1指示値の変化を緩やかにする処理である「なまし処理」を施して、クラッチトルクの第2指示値を求める指示値補正手段と、前記指示値補正手段によって求められたクラッチトルクの第2指示値に基づいて、前記クラッチストロークを制御するストローク制御手段と、を更に備えることが好ましい。
かかる構成を備える自動クラッチ制御装置によれば、クラッチトルクの第1指示値の変化を緩やかにする処理である「なまし処理」が施されて、クラッチトルクの第2指示値が求められ、当該クラッチトルクの第2指示値に基づいて、前記クラッチストロークが制御されるため、前記クラッチストロークを更に適正に制御することができるので、運転者の予期しない加速度が車両に発生することを更に効果的に抑制することができる。
また、本発明に係る自動クラッチ制御装置は、前記指示値補正手段が、前記クラッチトルクの第1指示値に対して移動平均処理を施して、前記クラッチトルクの第2指示値を求めることが好ましい。
かかる構成を備える自動クラッチ制御装置によれば、前記クラッチトルクの第1指示値に対して移動平均処理が施されて、前記クラッチトルクの第2指示値が求められるため、前記クラッチトルクの第1指示値に対して簡素な構成で適正な「なまし処理」を施すことができる。
本発明に係る自動クラッチ制御装置によれば、前記補正トルクを、フューエルカット状態であるか否かに応じて適正な値に設定することによって、クラッチトルクの第1指示値として適正な値を求めることができるので、運転者の予期しない加速度が車両に発生することを抑制することができる。
本発明が適用される車両のパワートレーン及びその制御系の一例を示す構成図である。 自動クラッチの構成の一例を示す断面図である。 変速操作装置のゲート機構及びアクチュエータの一例を示す構成図である。 シフト装置のシフトゲートの一例を示す平面図である。 ECUの機能構成の一例を示す機能構成図である。 エンジン回転数と補正トルクとの関係の一例を示すグラフである。 ECUの動作の一例を示すフローチャートである。 本発明の効果の一例を示すグラフである。 従来技術の課題の一例を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、本実施形態に係る車両のパワートレーンについて図1を参照して説明する。図1は、本発明が適用される車両のパワートレーン及びその制御系の一例を示す構成図である。このパワートレーンの制御は、図1に示すECU(Electronic Control Unit)100によって実行される。なお、具体的には、ECU100は、例えば、エンジンECU、変速機ECU、自動クラッチECU等から構成され、これらのECUは互いに通信可能に接続されている。
また、図1に示すように、本実施形態に係る車両のパワートレーンは、エンジン1と、自動クラッチ2と、変速機3と、ECU100とを備えている。以下、エンジン1、自動クラッチ2、変速機3、及び、ECU100について順次説明する。
−エンジン1−
エンジン1は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関であって、その出力軸であるクランクシャフト11は、自動クラッチ2のフライホイール21(図2参照)に連結されている。また、クランクシャフト11の回転数(エンジン回転数Ne)は、エンジン回転数センサ401によって検出される。
エンジン1に吸入される空気量は、スロットルバルブ12によって制御される。スロットルバルブ12の開度(スロットル開度)は、ドライバによるアクセルペダルの操作とは独立して、ECU100によって制御することが可能に構成され、スロットル開度はスロットル開度センサ402によって検出される。
スロットルバルブ12のスロットル開度は、ECU100によって制御される。具体的には、エンジン回転数センサ401によって検出されるエンジン回転数Ne、及び、ドライバによるアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)等のエンジン1の運転状態に応じて、適正な吸入空気量(目標吸気量)を吸入するべく、ECU100は、スロットルバルブ12のスロットル開度を制御する。
−自動クラッチ2−
図2を参照して自動クラッチ2の構成について説明する。図2は、自動クラッチ2の構成の一例を示す断面図である。本実施形態に係る自動クラッチ2は、乾式単板の摩擦クラッチ20(以下、単に「クラッチ20」ともいう)、及び、クラッチ操作装置200を備えている。
クラッチ20は、フライホイール21、クラッチディスク22、プレッシャプレート23、ダイヤフラムスプリング24、及び、クラッチカバー25を備えている。フライホイール21は、クランクシャフト11に連結されている。また、フライホイール21には、クラッチカバー25が一体回転可能に取り付けられている。クラッチディスク22は、フライホイール21に対向して配置され、変速機3の入力軸31にスプライン嵌合によって固定されている。
プレッシャプレート23は、クラッチディスク22とクラッチカバー25との間に配置されている。プレッシャプレート23は、ダイヤフラムスプリング24の外周部によってフライホイール21側へ付勢されている。このプレッシャプレート23への付勢力によって、クラッチディスク22とプレッシャプレート23との間、及び、フライホイール21とクラッチディスク22との間で、それぞれ摩擦力が発生する。これらの摩擦力によって、クラッチ20が接続(継合)された状態となり、フライホイール21、クラッチディスク22及びプレッシャプレート23が一体となって回転する。
このようにして、クラッチ20が接続状態になると、クランクシャフト11と変速機3の入力軸31とが一体となって回転するため、エンジン1と変速機3との間でトルクが伝達される。ここで、エンジン1と変速機3との間でクラッチ20を介して伝達可能な最大トルクを、以下の説明において「クラッチトルク」という。なお、クラッチ20が完全に接続(継合)された状態で、且つ、エンジン1が駆動状態にある場合には、クラッチ20における滑りの発生を防止するために、クラッチトルクは、クランクシャフト11の回転トルク(エンジントルクTe)よりも大きい値に設定される。
クラッチ操作装置200は、レリーズベアリング201、レリーズフォーク202、及び、油圧式のクラッチアクチュエータ203を備えており、クラッチ20のプレッシャプレート23を軸方向に(図2では左右方向に)変位させることによって、当該プレッシャプレート23とフライホイール21との間で、クラッチディスク22を挟持する状態、又は、クラッチディスク22から離間する状態に設定する。
レリーズベアリング201は、変速機3の入力軸31に軸方向に(図2では左右方向に)変位可能に嵌合されており、ダイヤフラムスプリング24の中央部分に当接している。レリーズフォーク202は、レリーズベアリング201をフライホイール21に近接、離間する方向に(図2では左右方向に)移動させる部材である。クラッチアクチュエータ203は、油室203aを有するシリンダとピストンロッド203bとを備え、油圧によりピストンロッド203bを進退(前進、及び、後退)させることによって、レリーズフォーク202を、支点202aを中心として回動させる。
クラッチアクチュエータ203の作動は油圧制御回路204及びECU100によって制御される。具体的には、図2に示す状態(クラッチ接続状態)から、クラッチアクチュエータ203が駆動されてピストンロッド203bが前進する(図2では右向きに移動する)と、レリーズフォーク202が支点202aを中心として回動(図2では、時計周り方向に回動)され、これに伴ってレリーズベアリング201がフライホイール21側に(図2では左側に)向けて移動する。このようにして、レリーズベアリング201が移動することによって、ダイヤフラムスプリング24の中央部分(つまり、レリーズベアリング201に当接するダイヤフラムスプリング24の部分)が、フライホイール21側に(図2では左側に)向けて移動して、ダイヤフラムスプリング24が反転する。これによって、ダイヤフラムスプリング24から付与されるプレッシャプレート23の付勢力が弱くなり、クラッチディスク22とプレッシャプレート23との間、及び、フライホイール21とクラッチディスク22との間での、摩擦力が減少する結果、クラッチ20が切断(開放)された状態になる。
逆に、クラッチ切断状態から、クラッチアクチュエータ203のピストンロッド203bが後退する(図2では左向きに移動する)と、ダイヤフラムスプリング24の弾性力によって、プレッシャプレート23がフライホイール21側(図2では左側に)に向けて付勢される。このプレッシャプレート23に付与されるダイヤフラムスプリング24からの付勢力によって、クラッチディスク22とプレッシャプレート23との間、及び、フライホイール21とクラッチディスク22との間で、それぞれ、摩擦力が増大し、これらの摩擦力によってクラッチ20が接続(継合)された状態になる。
また、クラッチアクチュエータ203のピストンロッド203bの移動量(以下、「クラッチストロークSt」ともいう)は、クラッチストロークセンサ408によって検出される。クラッチストロークセンサ408の出力信号は、ECU100に入力される(図5参照)。
−変速機3−
次に、変速機3について図1〜図3を参照して説明する。図3は、変速操作装置のゲート機構及びアクチュエータの一例を示す構成図である。変速機3は、例えば、前進5段、後進1段の平行歯車式変速機などの一般的なマニュアルトランスミッションと同様の構成を有している。変速機3の入力軸31は、上記したクラッチ20のクラッチディスク22に連結されている(図2参照)。
また、図1に示すように、変速機3は、入力側ギア群33、及び、出力側ギア群34を備えている。入力側ギア群33は、入力軸31に連結され、出力側ギア群34は、出力軸32に連結されている。また、後述する変速操作装置300によって、入力側ギア群33のいずれか1つのギアと、出力側ギア群34のいずれか1つのギアとが噛合されて、噛合されたギアに対応するギア段が選択される。更に、変速機3の出力軸32の回転トルクは、ドライブシャフト4、ディファレンシャルギア5及び車軸6等を介して駆動輪7に伝達される。
変速機3の入力軸31の回転数(クラッチ20の出力側回転数)は、入力軸回転数センサ403によって検出される。また、変速機3の出力軸32の回転数は、出力軸回転数センサ404によって検出される。これら入力軸回転数センサ403及び出力軸回転数センサ404の出力信号から得られる回転数の比(出力回転数/入力回転数)に基づいて、変速機3のギア段を判定することができる。
本実施形態に係る変速機3には、シフトフォーク及びセレクトアンドシフトシャフト等を有する変速操作装置300が設けられており、全体としてギア変速操作を自動的に行う自動化マニュアルトランスミッション(AMT:Automatic Manual Transmission)を構成している。
変速操作装置300には、図3に示すように、セレクト方向の操作(セレクト操作)を行う油圧式のセレクトアクチュエータ301、シフト方向の操作(シフト操作)を行う油圧式のシフトアクチュエータ302、及び、アクチュエータ301、302に供給する作動油の油圧を制御する油圧回路303を備えている。
変速操作装置300には、ギア段を規定するシフト位置を有する複数のゲートがセレクト方向に沿って配列されている。具体的には、例えば、図3に示すように、1速(1st)と2速(2nd)とを規定する第1ゲート311、3速(3rd)と4速(4th)とを規定する第2ゲート312、及び、5速(5th)と後退(Rev)とを規定する第3ゲート313がセレクト方向に沿って配列されている。
そして、第1ゲート311〜第3ゲート313のうち、いずれか1つのゲート(例えば第1ゲート311)を、セレクトアクチュエータ301の駆動によって選択した状態で、シフトアクチュエータ302を駆動することによって、ギア段の切り換え(例えばニュートラル(N)→1速(1st))を行うことができる。
油圧回路303には、励磁コイルへの通電により弁体を動作させるソレノイドバルブ等が設けられており、このソレノイドバルブに配設された励磁コイルへの通電又は非通電を行うことによって、セレクトアクチュエータ301及びシフトアクチュエータ302への油圧の供給又は油圧の解放を制御する。
また、変速操作装置300の油圧回路303には、ECU100からのソレノイド制御信号(油圧指令値)が入力される。そして、油圧回路303は、ECU100から入力されたソレノイド制御信号に基づいて、セレクトアクチュエータ301及びシフトアクチュエータ302をそれぞれ個別に駆動制御する。その結果として、変速機3のセレクト操作及びシフト操作が実行される。また、これらのセレクト操作量及びシフト操作量は、シフト・セレクトストロークセンサ409(図5参照)によって検出される。
−シフト装置9−
次に、シフト装置9について、図1、図4を参照して説明する。図4は、シフト装置9のシフトゲート92の一例を示す平面図である。一方、図1に示すように、車両の運転席の近傍には、シフト装置9が配設されている。このシフト装置9にはシフトレバー91が変位操作可能に設けられている。
また、このシフト装置9には、図4に示すように、パーキング(P)位置、リバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、及び、シーケンシャル(S)位置を有するシフトゲート92が形成されており、ドライバが所望の変速位置へシフトレバー91(図1参照)を変位させることが可能に構成されている。これらのパーキング(P)位置、リバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、シーケンシャル(S)位置(下記の「+」位置及び「−」位置も含む)の各変速位置は、シフトポジションセンサ406(図5参照)によって検出される。
例えば、シフトレバー91がシフトゲート92の「ドライブ(D)位置」に操作されている場合には、車両の運転状態などに応じて、変速機3の複数の前進ギア段(前進5速)が自動的に変速制御される。つまり、オートマチックモードでの変速動作が行われる。
一方、シフトレバー91がシフトゲート92の「シーケンシャル(S)位置」に操作されている場合に、シフトレバー91がシフトゲート92のS位置を中立位置として「+」位置又は「−」位置に操作されると、変速機3の前進ギア段がアップ又はダウンされる。具体的には、シフトゲート92における「+」位置へのシフトレバー91の1回操作ごとに、ギア段が1段ずつアップ(例えば1st→2nd→…→5th)される。一方、シフトゲート92における「−」位置へのシフトレバー91の1回操作ごとにギア段が1段ずつダウン(例えば5th→4th→…→1st)される。
−ECU100−
次に、図1、及び、図5を参照して、ECU100の構成について説明する。ECU100は、スロットルモータ121、クラッチ操作装置200、及び、変速操作装置300等を制御するものであって、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、バックアップRAMを備えている。
ROMには、各種制御プログラム、及び、各種制御プログラムを実行する際に参照されるテーブルデータ(又は、マップデータ)等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムを読み出して実行することによって種々の処理を行う。また、RAMは、CPUでの処理の結果、各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリである。バックアップRAMは、例えばエンジン1の停止時に、保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
ECU100には、エンジン回転数センサ401、スロットル開度センサ402、入力軸回転数センサ403、出力軸回転数センサ404、アクセルペダル8の開度を検出するアクセル開度センサ405、シフト装置9のシフト位置を検出するシフトポジションセンサ406、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルセンサ407、自動クラッチ2のクラッチストロークStを検出するクラッチストロークセンサ408、及び、シフト・セレクトストロークセンサ409などが接続されており、これらの各センサからの信号がECU100に入力される。
また、ECU100には、制御対象として、スロットルバルブ12を開閉するスロットルモータ13、自動クラッチ2のクラッチ操作装置200、及び、変速機3の変速操作装置300などが接続されている。
ECU100は、上記各種センサの出力信号に基づいて、エンジン1のスロットルバルブ12の開度制御を含むエンジン1の各種制御を実行する。また、ECU100は、変速機3の変速時等において自動クラッチ2のクラッチ操作装置200に制御信号を出力して、自動クラッチ2に切断動作及び接続動作を行わせる。更に、ECU100は、上記各種センサの出力信号に基づいて、変速機3の変速操作装置300に制御信号(油圧指令値)を出力して、変速機3のギア段を切り換える変速制御を行う。
また、ECU100において、CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、機能的に、補正トルク記憶部101、補正トルク設定部102、エンジントルク推定部103、クラッチトルク算出部104、指示値補正部105、及び、ストローク制御部106として機能する。なお、本発明に係る自動クラッチ制御装置は、補正トルク記憶部101、補正トルク設定部102、エンジントルク推定部103、クラッチトルク算出部104、指示値補正部105、及び、ストローク制御部106等で構成されている。
補正トルク記憶部101は、エンジン1が、フューエルカット状態ではない状態(以下、「非フューエルカット状態」ともいう)である場合と、フューエルカット状態である場合とに区分して、変速機3のギア比及びエンジン1の回転数Neと対応付けて、補正トルクΔTeを予め記憶している機能部である。ここで、補正トルク記憶部101は、特許請求の範囲に記載の「補正トルク記憶手段」に相当する。また、補正トルクΔTeは、エンジントルク推定部103によって推定されたエンジントルクTeに基づいて、次の(1)式からクラッチトルクの第1指示値Tc1を求めるために用いられる。
Tc1=|Te|+ΔTe (1)
なお、補正トルク記憶部101には、フューエルカット状態ではない場合には、フューエルカット状態である場合と比較して、補正トルクΔTeとして大きい値が記憶されている。
また、本実施形態では、補正トルク記憶部101が、変速機3のギア比及びエンジン1の回転数Neと対応付けて、補正トルクΔTeを予め記憶している場合について説明するが、補正トルク記憶部101が、変速機3のギア比及び自動クラッチ2の出力側回転数(すなわち、変速機3の入力軸31の回転数)と対応付けて、補正トルクΔTeを予め記憶している形態でもよい。
図6は、補正トルク記憶部101に記憶されているエンジン回転数Neと補正トルクΔTeとの関係の一例を示すグラフである。図の横軸は、エンジン回転数Ne(rpm)であって、縦軸は、補正トルクΔTe(N・m)である。グラフG1は、シフト位置が1速(1st)である場合の、補正トルクΔTeである。グラフG2は、シフト位置が3速(3rd)である場合の、補正トルクΔTeである。グラフG3は、シフト位置が5速(5th)である場合の、補正トルクΔTeである。
図6に示すように、グラフG1〜グラフG3は、それぞれ、右上がりの曲線となっている。すなわち、補正トルク記憶部101には、エンジン回転数Neが大きい程、補正トルクΔTeとして大きい値が記憶されている。また、図6に示すように、グラフG1、グラフG2、グラフG3は、この順に上側(補正トルクΔTeが大きい側)に移動した位置にある。すなわち、補正トルク記憶部101には、変速機3のギア比が小さい程、補正トルクΔTeとして大きい値が記憶されている。
本実施形態では、補正トルク記憶部101が、非フューエルカット状態とフューエルカット状態とに区分して、変速機3のギア比及びエンジン1の回転数Neと対応付けて、補正トルクΔTeを予め記憶している場合について説明するが、補正トルク記憶部101が、非フューエルカット状態とフューエルカット状態とに区分して、変速機3のギア比、エンジン1の回転数Ne、又は、自動クラッチ2の出力側回転数(すなわち、変速機3の入力軸31の回転数)に対応付けて、補正トルクΔTeを予め記憶している形態でもよい。この場合には、補正トルク記憶部101の占めるメモリ容量が削減されると共に、CPUの実行する処理が簡略化される。
補正トルク設定部102は、補正トルクΔTeを設定する機能部である。ここで、補正トルク設定部102は、特許請求の範囲に記載の「補正トルク設定手段」に相当する。具体的には、補正トルク設定部102は、シフトポジションセンサ406からシフト位置を取得し、エンジン回転数センサ401からエンジン回転数Neを取得する。また、補正トルク設定部102は、エンジン1がフューエルカット状態であるか否かを判定する。そして、補正トルク設定部102は、補正トルク記憶部101から、フューエルカット状態であるか否か、シフト位置(ギア比)、及び、エンジン回転数Neに対応する補正トルクΔTeを読み出して設定する。
このようにして、補正トルク記憶部101から対応する補正トルクΔTeの値が読み出されて設定されるため、補正トルクΔTeとして簡素な構成で適正な値を設定することができる。
本実施形態では、補正トルク設定部102が、補正トルク記憶部101から対応する補正トルクΔTeの値を読み出して設定する場合について説明するが、補正トルク設定部102が、エンジン回転数Ne、ギア比等から補正トルクΔTeの値を算出して設定する形態でもよい。
なお、エンジン1は、予め設定された「フューエルカット条件」を満たす場合に、ECU100によって、フューエルカット状態とされる。ここで、「フューエルカット条件」は、例えば、アクセル開度センサ405によって検出されたアクセルペダル8の開度が「0」(アクセルがOFF状態)であって、且つ、エンジン回転数センサ401によって検出されたエンジン回転数Neが予め設定された回転数閾値TH(例えば、1200rpm)以上であるとの条件である。
エンジントルク推定部103は、エンジントルクTeを推定する機能部である。ここで、エンジントルク推定部103は、特許請求の範囲に記載の「エンジントルク推定手段」に相当する。また、エンジントルクTeとは、エンジン1が駆動状態にある場合には、エンジン1から出力される駆動トルクであって、エンジン1が被駆動状態にある場合には、エンジン1に入力される駆動トルクである。なお、エンジン1が被駆動状態にある場合には、後述するように、エンジントルクTeは、負の値のトルクとして求められる。
具体的には、エンジントルク推定部103は、以下のようにしてエンジントルクTeを推定する。まず、エンジン1が駆動状態にある場合には、エンジントルクTeは、例えば、エンジン回転数センサ401によって検出されるエンジン回転数Ne、スロットル開度センサ402によって検出されるスロットル開度θ、エンジン1の吸入空気量に基づいて推定される。例えば、ECU100のROMに、エンジン回転数Ne、スロットル開度θ、吸入空気量に対応付けて、エンジントルクTeを記憶するエンジントルク推定テーブル(又はマップ)が予め記憶されており、エンジントルク推定部103は、エンジントルク推定テーブルから対応するエンジントルクTeを読み出すことによって、エンジントルクTeを推定する。
一方、エンジン1が被駆動状態にある場合には、エンジントルクTeは、次の(2)に基づいて求められる。
Te=Ie×(dωe/dt) (2)
ここで、エンジンイナーシャIeは、エンジン1に固有の設計値である。エンジン回転角加速度(dωe/dt)は、エンジン回転数センサ401によって検出されるエンジン回転数Neから求められる。
なお、本発明に係る自動クラッチ制御装置は、車両がアクセルOFFで減速中に、エンジン回転数Neがフューエルカット条件の回転数閾値TH未満となって、フューエルカット状態から非フューエルカット状態(アイドリング状態)に変化した(以下、「自然復帰」ともいう)際に、運転者の予期しない加速度が車両に発生することを抑制することを目的とするものである。このような場合においてエンジン1は被駆動状態にある。そこで、フューエルカット状態では、エンジントルクTeは、上記(2)式で推定され、自然復帰後の非フューエルカット状態(アイドリング状態)では、エンジントルクTeは、次の(3)式で推定される。
Te=Te0+Ie×(dωe/dt) (3)
ここで、トルクTe0は、アイドリング状態でエンジン1によって発生されるエンジントルクである。このようにして、フューエルカット状態から非フューエルカット状態(アイドリング状態)に変化すると、エンジントルクTeは、トルクTe0だけ増加することになる(図8、図9参照)。なお、減速中においては、エンジン回転角加速度(dωe/dt)はマイナスである。また、アイドリング状態では、エンジン1は駆動状態とはならない。したがって、自然復帰の際には、エンジントルクTeの値は、大きな絶対値のマイナスの値から小さな絶対値のマイナスの値に変化することになる。
クラッチトルク算出部104は、エンジントルク推定部103によって推定されたエンジントルクTeの絶対値を、予め設定された補正トルクΔTeの値だけ増加することによって、クラッチトルクの第1指示値Tc1を求める機能部である。すなわち、クラッチトルク算出部104は、次の(4)式からクラッチトルクの第1指示値Tc1を求めるものである。
Tc1=|Te|+ΔTe (4)
なお、上記(4)式は、上記(1)式を便宜上再掲するものである。また、クラッチトルク算出部104は、特許請求の範囲に記載の「クラッチトルク算出手段」に相当する。上述のように、フューエルカット状態から非フューエルカット状態(アイドリング状態)に変化すると(自然復帰時に)、エンジントルクTeは、トルクTe0だけ増加する。その結果、エンジントルクTeの絶対値|Te|は、トルクTe0だけ減少する。一方、補正トルク記憶部101には、フューエルカット状態ではない場合には、フューエルカット状態である場合と比較して、補正トルクΔTeとして大きい値が記憶されている。
このようにして、補正トルク設定部102によって、非フューエルカット状態(アイドリング状態)では、フューエルカット状態である場合と比較して、補正トルクΔTeとして大きい値が設定されるため、クラッチトルクの第1指示値Tc1として適正な値を求めることができる。すなわち、フューエルカット状態から非フューエルカット状態に変化する際に、エンジントルクTeの急変(アイドリング状態でエンジン1によって発生されるトルクTe0だけの増加)によって車両に付与される加速度を軽減するべく、クラッチトルクの第1指示値Tc1を設定することができる。したがって、フューエルカット状態であるか否かが変化するときに、運転者の予期しない加速度が車両に発生することを抑制することができる。
また、補正トルク記憶部101には、エンジン回転数Neが大きい程、補正トルクΔTeとして大きい値が記憶されているため、エンジンの回転数Neが大きい程、補正トルクΔTeとして大きい値が設定されるので、補正トルクΔTeを更に適正な値に設定することができる。
ここで、変速機3のギア比が一定である場合には、エンジンの回転数Neが大きい程、自動クラッチ2においてすべりが発生し易い。したがって、エンジン1の回転Ne数が大きい程、補正トルクΔTとして大きい値を設定することによって、クラッチトルクの第1指示値Tc1として適正な値(自動クラッチ2においてすべりが発生しない値)を求めることができるのである。
更に、補正トルク記憶部101には、変速機3のギア比が小さい程、補正トルクΔTeとして大きい値が記憶されているため、変速機3のギア比が小さい程、補正トルクΔTeとして大きい値が設定されるので、補正トルクΔTeを更に適正な値に設定することができる。
ここで、例えば、フューエルカット状態では、エンジン1は、駆動輪7からのトルクが変速機3を介して付与されて回転駆動されている。そこで、変速機3のギア比が小さい程、変速機3の出力軸32側からエンジン1を回転駆動するときの負荷は大きい。したがって、変速機3のギア比が小さい程、補正トルクΔTeとして大きい値を設定することによって、クラッチトルクの第1指示値Tc1として適正な値(自動クラッチ2においてすべりが発生しない値)を求めることができるのである。
指示値補正部105は、クラッチトルクの第1指示値Tc1に対して、該クラッチトルクの第1指示値Tc1の変化を緩やかにする処理である「なまし処理」を施して、クラッチトルクの第2指示値Tc1を求める機能部である。ここで、指示値補正部105は、特許請求の範囲に記載の「指示値補正手段」に相当する。具体的には、指示値補正部105は、クラッチトルクの第1指示値Tc1に対して移動平均処理を施して、クラッチトルクの第2指示値Tc2を求める。
更に具体的には、次の(5)式によって、第2指示値Tc2(n)を求める。
Tc2(n)=α×Tc1(n)+(1−α)×Tc1(n−1) (5)
ここで、(n)は、今回の処理によって求められる値を意味し、(n−1)は、前回の処理によって求められた値を意味している。定数αは、「0」より大きく、「1」より小さい値(例えば、0.5)である。なお、定数αが、小さい程、クラッチトルクの第1指示値Tc1の変化を緩やかにする効果を大きくすることができる。
このようにして、クラッチトルクの第1指示値Tc1に対して移動平均処理が施されて、クラッチトルクの第2指示値Tc2が求められるため、クラッチトルクの第1指示値Tc1に対して簡素な構成で適正な「なまし処理」を施すことができる。
本実施形態では、指示値補正部105が、2回の処理によって求められた第1指示値Tc1(n)、Tc1(n−1)を移動平均処理して第2指示値Tc2を求める場合について説明するが、3回以上の処理によって求められた第1指示値Tc1(n)、Tc1(n−1)、Tc1(n−2)、・・・、を移動平均処理して第2指示値Tc2を求める形態でもよい。多くの回数の処理によって求められた第1指示値を移動平均処理して第2指示値Tc2を求める程、クラッチトルクの第1指示値Tc1の変化を緩やかにする効果を大きくすることができる。
本実施形態では、指示値補正部105が、「なまし処理」として移動平均処理を行う場合について説明したが、指示値補正部105が、「なまし処理」としてその他の種類の処理(例えば、ローパスフィルタ処理等)を行う形態でもよい。
ストローク制御部106は、指示値補正部105によって求められたクラッチトルクの第2指示値Tc2に基づいて、クラッチストロークStを制御する機能部である。ここで、ストローク制御部106は、特許請求の範囲に記載の「ストローク制御手段」に相当する。具体的には、例えば、ECU100のROMに、クラッチトルク(クラッチトルクの第2指示値Tc2)とクラッチストロークStとの関係を示すテーブル(又は、マップ)が予め記憶されており、ストローク制御部106は、指示値補正部105によって求められたクラッチトルク(クラッチトルクの第2指示値Tc2)に対応するクラッチストロークStを、前記テーブルから読み出すことによって、クラッチストロークStを求め、求めたクラッチストロークStと一致するべく自動クラッチ2を制御する。
このようにして、クラッチトルクの第1指示値Tc1の変化を緩やかにする処理である「なまし処理」が施されて、クラッチトルクの第2指示値Tc2が求められ、当該クラッチトルクの第2指示値Tc2に基づいて、クラッチストロークStが制御されるため、クラッチストロークStを更に適正に制御することができるので、運転者の予期しない加速度が車両に発生することを更に効果的に抑制することができる。
−ECU100の動作−
図7は、ECU100の動作の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS101において、補正トルク設定部102によって、変速機3のギア比が取得される。次に、ステップS103において、補正トルク設定部102によって、エンジン1の回転数Neが取得される。
そして、ステップS105において、補正トルク設定部102によって、フューエルカット状態であるか否かの判定が行われる。ステップS105でYESの場合には、処理がステップS107に進められる。ステップS105でNOの場合には、処理がステップS109に進められる。
ステップS107において、補正トルク設定部102によって、ステップS101において取得された変速機3のギア比、及び、ステップS103において取得されたエンジン1の回転数Neに対応するフューエルカット状態用の補正トルクΔTeが補正トルク記憶部101から読み出されて設定される。そして、処理がステップS111に進められる。
ステップS109において、補正トルク設定部102によって、ステップS101において取得された変速機3のギア比、及び、ステップS103において取得されたエンジン1の回転数Neに対応する非フューエルカット状態用の補正トルクΔTeが補正トルク記憶部101から読み出されて設定される。そして、処理がステップS111に進められる。
ステップS111において、エンジントルク推定部103によって、エンジントルクTeが推定される。そして、ステップS113において、クラッチトルク算出部104によって、ステップS111において推定されたエンジントルクTeの絶対値を、ステップS107(又はステップS109)において設定された補正トルクΔTeの値だけ増加することによって、クラッチトルクの第1指示値Tc1が求められる。
次に、ステップS115において、指示値補正部105によって、ステップS113において求められたクラッチトルクの第1指示値Tc1に対して、移動平均処理が施されて、クラッチトルクの第2指示値Tc2が求められる。そして、ステップS117において、ストローク制御部106によって、ステップS115において求められたクラッチトルクの第2指示値Tc2に基づいて、クラッチストロークStが制御される。そして、処理がステップS101にリターンされ、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。
−効果の説明−
次に、図8、図9を参照して、本願発明に係る自動クラッチ制御装置の効果を説明する。図8は、本発明の効果の一例を示すグラフである。図9は、従来技術の課題の一例を示すグラフである。図8、図9において横軸は、時間であって、縦軸は、上側から順に、アクセル開度センサ405によって検出されるアクセルペダル8の開度、エンジン回転数センサ401によって検出されるエンジン1の回転数Ne(rpm)、フューエルカット指示信号、エンジントルクTe(N・m)、クラッチトルクの第2指示値Tc2(N・m)、及び、車両の前後方向の加速度Gである。
また、図8、図9において、それぞれ、上側から順に、アクセルペダル8の開度の変化を示すグラフG10、G11、エンジン1の回転数Neの変化を示すグラフG20、G21、フューエルカット指示信号の変化を示すグラフG30、G31、エンジントルクTeの変化を示すグラフG40、G41、クラッチトルクの第2指示値Tc2の変化を示すグラフG50、G51、及び、車両の前後方向の加速度Gの変化を示すグラフG60、G61である。
まず、図9を用いて、従来技術の課題について説明する。図9に示すように、初期状態において、グラフG10に示すように、アクセルがOFF状態であり、グラフG30に示すように、エンジン1はフューエルカット状態である。また、エンジン1の回転数Neは、グラフG20に示すように単調に減少しており、時点T01において、エンジン1の回転数Neが回転数閾値TH(例えば、1200rpm)未満となり、フューエルカット指示信号を示すグラフG30が「ON」から「OFF」に変化する(自然復帰する)。
そして、非フューエルカット状態となり、エンジン1がアイドリング状態となるため、エンジントルクTeが増加する。ここでは、グラフG40に示すように、時点T01から時点T02の期間内で、単調に、エンジントルクTeが増加している。なお、エンジントルクTeは、負の値であるので、エンジン1がフューエルカット状態から非フューエルカット状態に変化することに伴って、エンジントルクTeの絶対値は減少する。
そして、このエンジントルクTeの変化に伴って、グラフG50に示すように、クラッチトルクの第2指示値Tc2が減少する。時点T01から時点T02の期間において、グラフG40に示すようにエンジントルクTeが変化し、グラフG50に示すようにクラッチトルクの第2指示値Tc2が変化するため、グラフG60に示すように車両の前後方向の加速度Gが変化する。
すなわち、エンジン回転数Neの減少に伴って(すなわち、運転者の意図とは無関係に)フューエルカット状態から非フューエルカット状態へ変化し、この変化に伴って、図9のグラフG60に示すように加速度Gが急峻に変化するため、運転者の予期しない加速度Gが車両に発生することになるのである。
次に、図8を用いて、本発明の効果を説明する。図8に示すように、初期状態において、グラフG11に示すように、アクセルがOFF状態であり、グラフG31に示すように、エンジン1はフューエルカット状態である。また、エンジン1の回転数Neは、グラフG21に示すように単調に減少しており、時点T11において、エンジン1の回転数Neが回転数閾値TH(例えば、1200rpm)未満となり、フューエルカット指示信号を示すグラフG31が「ON」から「OFF」に変化する(自然復帰する)。
そして、非フューエルカット状態となり、エンジン1がアイドリング状態となるため、エンジントルクTeが増加する。ここでは、グラフG41に示すように、時点T11から時点T12の期間内で、単調に、エンジントルクTeが増加している。なお、エンジントルクTeは、負の値であるので、エンジン1がフューエルカット状態から非フューエルカット状態に変化することに伴って、エンジントルクTeの絶対値は減少する。
そして、このエンジントルクTeの変化に伴って、グラフG51に示すように、クラッチトルクの第2指示値Tc2が減少する。一方、図5〜図7を用いて上述のように、補正トルクΔTeは、非フューエルカット状態の値が、フューエルカット状態の値よりも大きく設定されているため、エンジン1がフューエルカット状態から非フューエルカット状態に変化することに伴うクラッチトルクの第1指示値Tc1の変化量(減少量)は、従来よりも減少する。よって、時点T11から時点T12の期間内での、クラッチトルクの第2指示値Tc2の減少量も低減される。その結果、時点T11から時点T12の期間において、グラフG41に示すようにエンジントルクTeが変化するものの、グラフG51に示すようにクラッチトルクの第2指示値Tc2の変化が緩やかとなるため、グラフG61に示すように車両の前後方向の加速度Gが緩やかに変化する。
このようにして、エンジン回転数Neの減少に伴って(すなわち、運転者の意図とは無関係に)フューエルカット状態から非フューエルカット状態へ変化するものの、この変化に伴って、図8のグラフG61に示すように加速度Gの変化が緩やかとなるため、運転者の予期しない加速度Gが車両に発生することを抑制することができるのである。
−他の実施形態−
本実施形態では、自動クラッチ制御装置を構成する補正トルク記憶部101、補正トルク設定部102、エンジントルク推定部103、クラッチトルク算出部104、指示値補正部105、及び、ストローク制御部106が全てECU100において機能部として実現されている場合について説明したが、補正トルク記憶部101、補正トルク設定部102、エンジントルク推定部103、クラッチトルク算出部104、指示値補正部105、及び、ストローク制御部106の少なくとも1つが電子回路等のハードウェアで構成されている形態でもよい。
本実施形態では、クラッチトルク算出部104が、エンジントルクTeの絶対値に補正トルクΔTeを加算してクラッチトルクの第1指示値Tc1を求める場合について説明したが、クラッチトルク算出部104が、エンジントルクTeの絶対値に基づいてクラッチトルクの第1指示値Tc1を求める形態であればよい。例えば、クラッチトルク算出部104が、エンジントルクTeの絶対値に予め設定された補正係数を乗ずることによってクラッチトルクの第1指示値Tc1を求める形態でもよい。この場合には、上記補正係数は、非フューエルカット状態での値が、フューエルカット状態での値よりも大きく設定されていることが好ましい。かかる構成を備えることによって、フューエルカット状態であるか否かが変化するときに、運転者の予期しない加速度が車両に発生することを抑制することができる。
本発明は、クラッチストロークを変更することによって接続状態と切断状態とを切り換え可能に構成され、接続状態のときにエンジンと変速機との間でトルクを伝達する自動クラッチを制御する自動クラッチ制御装置に利用することができる。
1 エンジン
2 自動クラッチ
20 摩擦クラッチ
200 クラッチ操作装置
3 変速機
300 変速操作装置
100 ECU(自動クラッチ制御装置)
101 補正トルク記憶部(補正トルク記憶手段)
102 補正トルク設定部(補正トルク設定手段)
103 エンジントルク推定部(エンジントルク推定手段)
104 クラッチトルク算出部(クラッチトルク算出手段)
105 指示値補正部(指示値補正手段)
106 ストローク制御部(ストローク制御手段)
401 エンジン回転数センサ
405 アクセル開度センサ
406 シフトポジションセンサ
408 クラッチストロークセンサ

Claims (8)

  1. クラッチストロークを変更することによって接続状態と切断状態とを切り換え可能に構成され、接続状態のときにエンジンと変速機との間でトルクを伝達する自動クラッチを制御する自動クラッチ制御装置であって、
    エンジントルクを推定するエンジントルク推定手段と、
    前記エンジントルク推定手段によって推定されたエンジントルクの絶対値を、予め設定された補正トルクの値だけ増加することによって、クラッチトルクの第1指示値を求めるクラッチトルク算出手段と、を備え、
    前記クラッチトルク算出手段は、フューエルカット状態ではない場合には、フューエルカット状態である場合と比較して、相違する前記補正トルクの値を用いてクラッチトルクの第1指示値を求めることを特徴とする自動クラッチ制御装置。
  2. 請求項1に記載の自動クラッチ制御装置において、
    前記補正トルクを設定する補正トルク設定手段を更に備え、
    前記クラッチトルク算出手段は、前記エンジントルク推定手段によって推定されたエンジントルクの絶対値に、前記補正トルク設定手段によって設定された補正トルクを加算して、クラッチトルクの第1指示値を求めることを特徴とする自動クラッチ制御装置。
  3. 請求項2に記載の自動クラッチ制御装置において、
    前記補正トルク設定手段は、フューエルカット状態ではない場合には、フューエルカット状態である場合と比較して、前記補正トルクとして大きい値を設定することを特徴とする自動クラッチ制御装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の自動クラッチ制御装置において、
    前記補正トルク設定手段は、前記変速機のギア比が小さい程、前記補正トルクとして大きい値を設定することを特徴とする自動クラッチ制御装置。
  5. 請求項2〜請求項4のいずれか1つに記載の自動クラッチ制御装置において、
    前記補正トルク設定手段は、前記エンジンの回転数、又は、前記自動クラッチの出力側回転数が大きい程、前記補正トルクとして大きい値を設定することを特徴とする自動クラッチ制御装置。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の自動クラッチ制御装置において、
    フューエルカット状態ではない場合と、フューエルカット状態である場合とに区分して、前記変速機のギア比、前記エンジンの回転数、及び、前記自動クラッチの出力側回転数の少なくともいずれか1つと対応付けて、前記補正トルクを予め記憶している補正トルク記憶手段を更に備え、
    前記補正トルク設定手段は、前記補正トルク記憶手段から対応する補正トルクの値を読み出して設定することを特徴とする自動クラッチ制御装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の自動クラッチ制御装置において、
    前記クラッチトルクの第1指示値に対して、該クラッチトルクの第1指示値の変化を緩やかにする処理であるなまし処理を施して、クラッチトルクの第2指示値を求める指示値補正手段と、
    前記指示値補正手段によって求められたクラッチトルクの第2指示値に基づいて、前記クラッチストロークを制御するストローク制御手段と、を更に備えることを特徴とする自動クラッチ制御装置。
  8. 請求項7に記載の自動クラッチ制御装置において、
    前記指示値補正手段は、前記クラッチトルクの第1指示値に対して移動平均処理を施して、前記クラッチトルクの第2指示値を求めることを特徴とする自動クラッチ制御装置。
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