JPH09268295A - 高濃度アスファルト・水混合燃料用添加剤 - Google Patents

高濃度アスファルト・水混合燃料用添加剤

Info

Publication number
JPH09268295A
JPH09268295A JP10333396A JP10333396A JPH09268295A JP H09268295 A JPH09268295 A JP H09268295A JP 10333396 A JP10333396 A JP 10333396A JP 10333396 A JP10333396 A JP 10333396A JP H09268295 A JPH09268295 A JP H09268295A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
asphalt
additive
mixed fuel
water mixed
concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10333396A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinobu Nagasawa
義信 長澤
Takeo Shitaya
健夫 下谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lion Corp filed Critical Lion Corp
Priority to JP10333396A priority Critical patent/JPH09268295A/ja
Publication of JPH09268295A publication Critical patent/JPH09268295A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Carbonaceous Fuels (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転子を有する乳化機内部の圧力を大気圧に
対して加圧状態に保持して乳化し高濃度アスファルト・
水混合燃料を製造するに際して、得られるアスファルト
・水混合燃料は従来品の如き噴燃ポンプの高シェアによ
る乳化破壊が発生するという機械的安定性の悪化が観察
されず、電力や一般産業の分野において運用が可能とな
る。 【解決手段】 回転子と固定子をそれぞれ複数個有し、
かつ回転子および/または固定子に細流路が形成されて
いる乳化機内部の圧力を大気圧に対して加圧状態に保持
し、該乳化機内にアスファルト、水および添加剤を供給
し、回転子を回転させてこれら3者を混合、乳化して高
濃度アスファルト・水混合燃料を製造する際に用いられ
る添加剤であって、該添加剤が、エチレンオキサイド基
を分子中に有するアニオン界面活性剤である高濃度アス
ファルト・水混合燃料用添加剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高濃度アスファル
ト・水混合燃料に用いる添加剤に関する。
【0002】
【従来の技術】オイルサンド油等の天然ビチューメンお
よび石油の精製工程から発生する石油アスファルトは、
資源的には中東、カナダ、メキシコ、ベネズエラ、中
国、ロシアなどに広く分布しており豊富な埋蔵量を有し
ている。アスファルトは、その防水性・耐衝撃性等の優
れた性質によりルーフィング・道路舗装用途等に用いら
れている。しかしアスファルトは、常温では固体または
半固体状であることより、常温での取り扱いが困難であ
った。
【0003】アスファルトの常温での取り扱いを改良す
る手段として、舗装用途等では以前よりアスファルト乳
剤が用いられてきた。しかし従来のアスファルト乳剤
は、乳化性を向上させるために高付加価値のある灯油等
を用いてカットバックと呼ばれる軟化点低下処理、粘度
低下処理を行なっており、カットバックを行なわずにア
スファルト濃度を高濃度配合にて乳化を行った場合は充
分に乳化することができなかった。一般的に乳化剤とし
て知られているノニオン界面活性剤を単独にて用いた場
合、乳化温度が曇点以上になりやすく乳化が困難であ
り、また仮に乳化できた場合でも、通常、原料アスファ
ルトを100℃以上に加熱して流動性をもたせており、
これを常圧にて乳化した場合は水の沸騰が容易に発生
し、界面活性剤を含有することにより起泡が激しく乳化
不良となるとともに、ノニオン界面活性剤ではアスファ
ルト粒子に立体的反発力のみしか付与出来ず、噴燃ポン
プでの高シェアに耐えうる機械的安定性が著しく劣って
いた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アスファルテンを大量
に含有する超重質油エマルジョン燃料分野での従来技術
としては、特開平1−313592号公報、特開平1−
313594号公報、特開平1−313595号公報、
特開平3−97788号、公報特開平7−310082
号公報に報告されている。しかし、特開平1−3135
92号公報では、書籍「界面活性剤便覧 産業図書
(株)」に記載されているように分散安定化剤として一
般的に広く知られているアニオン界面活性剤を用いてお
り、この汎用添加剤を単独にて用いた場合では乳化が充
分に行われず、またこのようなアニオン界面活性剤では
アスファルト粒子に静電的反発力のみしか付与出来ない
ために、噴燃ポンプでの高シェアに耐えうる機械的安定
性が著しく劣っており、アスファルト・水混合燃料とし
ての要求性能を十分に満足することは困難であった。
【0005】また、特開平1−313594号公報、特
開平1−313595号公報、特開平3−97788号
公報では、特開平1−313592号公報での問題点を
解決するべく、書籍「界面活性剤便覧 産業図書
(株)」に記載されているように乳化剤として一般的に
広く知られているノニオン界面活性剤を用いて乳化性を
改良すべく検討が行われている。これは書籍「新・界面
活性剤入門 三洋化成工業(株)」に記載されているよ
うに、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を併用
することにより混合ミセルを形成させ、この事によりノ
ニオン界面活性剤の使用上の問題点となる曇点を消失さ
せる一般的な方法である。しかしこの方法では、ノニオ
ン界面活性剤の使用上の利点であるアスファルトとの親
和性を大きく低下させて乳化不良を引き起こす。また、
混合ミセルを形成することによりお互いの特長である立
体的反発力と静電的反発力を相殺しあい、このことが機
械的安定性の悪化につながり、アスファルト・水混合燃
料としての要求性能を十分に満足することは困難であっ
た。
【0006】一方、原料アスファルトの温度を100℃
以下といった比較的低温で乳化を行った場合、水の沸騰
を防止することは困難ではないが、アスファルトが粘弾
性に富むことにより乳化は困難であった。これを解決す
るには原料アスファルトとして低軟化点物、低粘度物を
使用する、低濃度アスファルト・水乳化物とする、また
は強機械力の乳化機を用いなければならなかった。しか
し、低濃度アスファルト水乳化物とした場合は、単位重
量当たりの発熱量が充分ではないため燃料として用いる
ことができず、また、強機械力の乳化機を用いた場合は
乳化温度が水の蒸気圧以上であることによる起泡、剪断
による発熱等による起泡やキャビテーションの発生によ
る乳化不良、または乳化に多大な電力を必要とする等の
問題が発生し、低コストかつ機械的安定性に優れた高濃
度アスファルト・水乳化物を得ることは困難であり、特
開平7−310082号公報にあるように貴重な軽留分
を多く含む低軟化点の原料アスファルトを用いて低温で
乳化せざる得なかった。
【0007】一方、化石燃料資源の節約・有効利用の観
点から、重油に代わる燃料資源としてアスファルテンを
大量に含有するオリノコタール等の天然アスファルト、
石油アスファルトが注目されてこれらの乳化燃料化が研
究されてはいるが、雑誌「COAL REPORT第3
187号」((株)エネルギー経済センター)にて報告
されているように機械的安定性が劣っており、そのため
にコストをかけて燃料の運用温度を高温にして粘度を低
下させ、燃料にかかるシェアを軽減させているのが現状
である。これらの燃料としての有効利用のためにも低温
でも噴燃ポンプの高シェアに耐えうる高濃度アスファル
ト・水混合乳剤の開発が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記のよう
な欠点のない高濃度なアスファルト・水混合燃料の調製
に用いられる添加剤、およびこれを用いた混合燃料を提
供することを目的として鋭意研究を重ねた結果、流動性
に優れるとともに、噴燃ポンプの高シェアに充分耐える
機械的安定性を有するアスファルト・水混合燃料を得る
ことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明の高濃度アスファルト・水混合燃料添加剤は、回
転子と固定子とをそれぞれ複数個有し、かつ回転子およ
び/または固定子にスリット等の細流路が形成されてい
る乳化機内部の圧力を大気圧に対して加圧状態に保持
し、該乳化機内にアスファルト、水および添加剤を供給
し、回転子を回転させてこれら3者を混合、乳化して高
濃度アスファルト・水混合燃料を製造する際に用いられ
る添加剤であって、該添加剤がエチレンオキサイド基を
分子中に有するアニオン界面活性剤、または同アニオン
界面活性剤およびアニオン性高分子化合物を含有するこ
とを特徴とする。
【0009】また、本発明の高濃度アスファルト・水混
合燃料は、回転子と固定子をそれぞれ複数個有し、かつ
回転子および/または固定子に細流路が形成されている
乳化機内部の圧力を大気圧に対して加圧状態に保持し、
該乳化機内にアスファルト、水および添加剤を供給し、
回転子を回転させてこれら3者を混合、乳化して製造さ
れる高濃度アスファルト・水混合燃料であって、該添加
剤が、エチレンオキサイド基を分子中に有するアニオン
界面活性剤、または同アニオン界面活性剤およびアニオ
ン性高分子化合物を含有することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるアニオン界面
活性剤の具体例としては、下記化2の一般式(I)また
は(II)で表されるエチレンオキサイド基を分子中に有
するアニオン界面活性剤である。
【化2】 R1−(AO)n−SO3M …(I) R2−C64−(AO)n−SO3M …(II) (R1 :炭素数4〜18のアルキル基またはアルケニル
基、 R2 :炭素数4〜12のアルキル基、 A :炭素数2のアルキレン基を必須とする炭素数2〜
4から選ばれる1種または2種以上のアルキレン基、 n:1〜100 M:対イオン)
【0011】アルキレンオキサイドとしてはエチレンオ
キサイドの他、プロピレンオキサイド−エチレンオキサ
イド共重合体等が挙げられる。アルキレンオキシド平均
付加モル数は好ましくは10〜70、より好ましくは2
0〜60の範囲のものである。一般式(I)で示される
化合物としては、ポリオキシエチレンラウリル硫酸エス
テルNa塩、ポリオキシエチレンオレイル硫酸エステル
Na塩等が、一般式(II)で示される化合物としては、
ポリオキシエチレンオクチルフェニル硫酸エステルNa
塩、ポリオキシエチレンノニルフェニル硫酸エステルN
a塩、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンノニ
ルフェニル硫酸エステルNa塩、ポリオキシエチレンド
デシルフェニル硫酸エステルNa塩等が挙げられる。
【0012】本発明で用いられるアニオン性高分子化合
物の具体例としては、以下の(A)〜(H)に示すもの
が挙げられる。 (A)リグニンスルホン酸塩。 (B)ロジン酸塩。 (C)ポリスチレンスルホン酸塩。 (D)ポリアクリル酸塩。これらは重量平均分子量(以
下Mwと表記)としては、5,000〜100万が好適
であり、より好ましくは1万〜50万のものである。 (E)ナフタレン、アルキルナフタレン、アルキルフェ
ノール等の芳香族環化合物のホルマリン等のアルデヒド
縮合物スルホン酸塩。平均縮合度として2〜100が好
適であり、より好ましくは2〜50のものである。 (F)無水マレイン酸または無水イタコン酸と共重合性
モノマーとの共重合体の塩。 (G)ジシクロペンタジエンスルホン酸共重合体塩。 (H)液状ブタジエンのマレイン化物塩。 上記アニオン性高分子化合物のうち好ましいのは、
(A)リグニンスルホン酸塩、(C)ポリスチレンスル
ホン酸塩、(D)ポリアクリル酸塩、(E)ナフタレ
ン、アルキルナフタレン、アルキルフェノール等の芳香
族環化合物のホルマリン等のアルデヒド縮合物スルホン
酸塩等であり、特に(B)ポリスチレンスルホン酸塩が
好ましい。、
【0013】アニオン界面活性剤、アニオン性高分子化
合物における対イオン(塩)としては、ナトリウム、カ
リウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等
のアルカリ土類金属;アンモニウム、モノエタノールア
ミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の
アミン塩が好適であり、好ましくはナトリウム、カリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、アルカ
ノールアミンの水溶性塩である。
【0014】本発明で用いるアニオン性高分子化合物
は、ポリアルキレン基や芳香環基等のアスファルト粒子
表面に吸着する疎水基と、スルホン酸基やカルボン酸基
等のアニオン性電解質である親水基を有する高分子分散
剤である。本発明で用いるアスファルトは、オイルサン
ド油等の天然ビチューメンおよび石油の精製工程から発
生する石油アスファルト等の常温ではポンプ輸送の困難
な重質油である。詳しくは50℃における動粘度が50
0mm2 /s以上のものが好適である。好ましくは動粘
度が500mm2 /s未満となる温度が100℃以上の
ものが適しており、より好ましくは動粘度が500mm
2 /s未満となる温度が120℃以上のものである。動
粘度がこの範囲未満では流動性を確保する手段として乳
化物とする必要性がなく、また代表的な乳化機と代表的
な乳化剤を用いて乳化物を調整することが比較的容易で
ある。本発明の高濃度アスファルト・水混合燃料におい
て、アスファルト濃度は以下の表1の範囲とすることが
望ましい。
【0015】
【表1】 表1:配合量 通常範囲 好ましい範囲 最適範囲 アスファルト 60〜85重量部 70〜85重量部 70〜80重量部 水 15〜40重量部 15〜30重量部 20〜30重量部
【0016】水40重量部に対してアスファルト量が6
0重量部未満となると燃料としての燃焼カロリーが十分
でなく、一方、水15重量部に対してアスファルトが8
5重量部を超えると、アスファルトが連続相となり流動
性を損なうおそれがある。本発明に用いるアニオン界面
活性剤、またはアニオン界面活性剤およびアニオン性高
分子化合物の総添加量は、アスファルトと水の総量10
0重量部に対して0.01〜5重量部が好適であり、好
ましくは0.05〜2重量部、より好ましくは0.1〜
1重量部である。この添加量が0.01重量部未満とな
ると乳化が充分に行なわれず、水とアスファルトが分離
したり、アスファルトが連続相となり流動性を損なう恐
れがあるとともに、必要な機械的安定性を付与すること
が出来ない。一方、添加量が5重量部より多いと、燃焼
カロリー当たりのコストが非常にかかり現実的ではな
い。
【0017】アニオン界面活性剤およびアニオン性高分
子化合物は併用して添加する場合、(a)アニオン界面
活性剤および(b)アニオン性高分子化合物とは(a)
/(b)=5/95〜95/5の範囲で添加することが
好ましい。より好ましくは(a)/(b)=10/90
〜95/5の範囲で添加することが好ましい。配合比率
がこの範囲を外れると、乳化性の不良、流動性の低下、
機械的安定性の悪化が生じる。なお、上記添加剤の性能
を損なわない範囲で、他の添加剤、例えばノニオン界面
活性剤、カチオン界面活性剤等を併用することもでき
る。本発明では、回転子と固定子とを有する乳化機内部
の圧力を、大気圧に対して加圧状態に保持した乳化機内
に前述のアスファルト、水および添加剤を混合し、回転
子を回転させてこれら3者を混合、乳化して高濃度アス
ファルト・水混合燃料とする。
【0018】また、上記の乳化機においては、固定子と
回転子とは複数配置し、さらに固定子および/または回
転子を内周側から外周側に貫通するスリット等の細流路
を形成することが重要である。固定子および回転子を有
する乳化機内部の圧力を大気圧以上に加圧して乳化する
ことは重要であり、これによって初めて貯蔵安定性に優
れた高濃度・水アスファルト混合燃料が得られる。好ま
しくは、乳化時の乳化機内部を大気圧に対して0.05
MPa以上加圧すること(0.05MPa Gとするこ
と)が好適であり、好ましくは0.2MPa以上、より
好ましくは0.3MPa以上大気圧に対して加圧するこ
とが適している。上限は乳化機の耐久性および製造ライ
ンの耐圧性能により異なるが、大気圧に対して1MPa
以下とすることが好ましい。
【0019】本発明におけるアスファルト・水混合燃料
は、固定子および回転子を複数個有するラインミキサー
やホモミキサータイプの一般的な乳化または撹拌装置を
用いて製造可能であるが、好ましくはホモジナイザーや
コロイドミルタイプの高剪断型装置を用いる。具体的に
はハイビスラインミキサー、ホモミックラインミル、パ
イプラインホモミキサー、ハイラインミル(以上、特殊
機化工業)、マイルダー(荏原製作所)、キャビトロン
(ユーロテック)があげられる。一方、高圧式ホモジナ
イザーのように回転子を有しない乳化機を用いた場合
は、内部圧力を高めても乳化性は改善されない。
【0020】図1は本発明の製造フロー図である。アス
ファルトおよび添加剤水溶液が、それぞれポンプ11、
圧力計13およびポンプ21、圧力計23を経て圧送さ
れ、乳化機に供給される。そして、乳化機で均一混合し
て乳化されたエマルジョンは圧力計31および冷却管を
経て回収され、高濃度アスファルト・水混合燃料が得ら
れる。このとき系内で負圧でないことが圧力計11およ
び圧力計21にて確認される。本発明における乳化機内
部の圧力は圧力計31にて確認できる。乳化機内部の圧
力調整として調圧弁やニードル弁またはボールバルブ等
を乳化機以降に設置してもかまわない。また、アスファ
ルトと添加剤水溶液の逆流防止、圧力調整、流量調整等
のためにポンプ11またはポンプ21以降に逆止弁等を
設置してもかまわない。
【0021】本発明のアスファルト・水混合燃料の製造
におけるアスファルトおよび水の温度は、それぞれが流
動可能な温度に加熱することが好ましい。アスファルト
温度は好ましくは動粘度が1,000mm2 /s未満と
なる温度、より好ましくは500mm2 /s以下となる
温度である。水または/かつ添加剤の温度は好ましくは
20℃以上、より好ましくは40℃以上である。乳化温
度としては好ましくは80℃以上、より好ましくは10
0℃以上である。
【0022】図2、図3は、本発明で用いられる乳化機
の構造を示す一例であり、スリットを有する回転子と固
定子とを同軸軸上に複数有する場合を示している。ここ
で、図2は、キャビトロン(商品名)の縦断面図であ
り、図3は図2の線A−Aに沿った一部切欠き断面図で
ある。乳化機のハウジング41には、供給管43および
排出管45が接続されている。また、ハウジング41の
内部には、その基部から突設した複数の固定子51が同
軸円状に内周側から外周側に3列設けられており、同軸
円状の各固定子は部分的に切除されており、この切除部
が固定子スリット53を形成している。一方、駆動軸6
5を有する回転子基部からも複数の回転子61が内周側
から外周側に4列、固定子51と噛み合うようにして突
設されている。この同軸円状の回転子61もまた、部分
的に切除されており、この切除部が回転子スリット63
を形成している。
【0023】供給管43から処理対象混合液であるアス
ファルトおよび添加剤水溶液を供給するとともに、駆動
軸65を回転させて回転子61を回転させると、混合液
が乳化されて、エマルジョン化されたアスファルト・水
混合燃料が排出管45から排出される。なお、図2、図
3中の矢印は、液の流れおよび回転子61の回転方向を
示す。このとき混合液は、同心円状の回転子61の高速
回転による遠心力により大きな流動力が付与され、回転
子61と固定子51とによるズリ応力、高周波レベルの
圧力変化、スリット53,63通過時の処理混合液の一
時封じ込み→開放による圧力変化作用などを受けて均一
化され、本発明の添加剤による貯蔵安定効果がいっそう
助長されるものと考えられる。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、回転子を有する乳化機
内部の圧力を大気圧に対して加圧状態に保持して乳化し
高濃度アスファルト・水混合燃料を製造するに際して、
特定の添加剤を用いることにより、水の沸騰防止による
乳化作用の改善と本発明の添加剤の特性が相俟って、ア
スファルト・水エマルジョンの高濃度化が可能となり、
得られるアスファルト・水混合燃料は従来品の如き噴燃
ポンプの高シェアによる乳化破壊が発生するという機械
的安定性の悪化が観察されず、電力や一般産業の分野に
おいて運用が可能となる。
【0025】
【実施例】使用した原料アスファルトは後記の表2に示
した。また、使用した添加剤の内容は表3に示した。乳
化機として回転式ホモジナイザータイプである同軸上に
回転子と固定子を交互に配置するキャビトロンCD10
10型(ユーロテック)を用いて、原料アスファルトお
よび添加剤水溶液をそれぞれ独立したポンプにて供給
し、エマルジョン換算で400kg毎時の処理量をワン
スルー・ワンパスにて乳化を行った。処理物は回転軸側
より円周方向に流れ、最外側の回転子の周速を44m毎
秒にて実施した。回転子と固定子は回転軸側より回転子
(I)、固定子(I)と呼称した回転子と固定子のスリ
ット(溝)幅およびスリット数を表4に示す。なお製造
フローは図1に示した通りである。
【0026】また、乳化機の基本的構造は図2、図3に
示した。比較例は大気圧雰囲気下にて実施する以外、同
様の操作を行った。条件を表5に示す。また、乳化機と
して回転子と固定子を各1個有するホモミキサータイプ
であるTKホモミキサーマークII(特殊機化工業)を
用いて、500ml容量の遠沈管にアスファルトと水お
よび添加剤をエマルジョン換算で400g仕込み、比較
例は大気圧との相対圧力にて0.1MPaの加圧雰囲気
下(0.1MPa G)のオートクレーブ内で7,00
0rpmにて30分間乳化を行った。条件を表5に示
す。さらに乳化機として、高圧式ホモジナイザータイプ
であり回転子を有しないゴーリンホモジナイザー15M
−8TA型(日本精機作製所)を用いて原料アスファル
トおよび添加剤水溶液をそれぞれ独立したポンプにて供
給し、エマルジョン換算で60kg毎時の処理量でワン
スルー・ワンパスにて乳化を行った。圧力条件は大気圧
との相対圧力にて50MPa、背圧である第二段圧力を
5MPaとして乳化操作を行った。条件を表5に示す。
【0027】
【表2】 表2:石油アスファルトの性状 原料アスファルト 項 目 原料No.1 原料No.2 原料No.3 アスファルトの種類 中東系ストレートアスファルト 引火点(℃;JIS K 2265) >200 358 346 針入度(at 25℃;JIS K 2207) − 71 68 三塩化エタン可溶分(重量%;JIS K 2207) − 99.9 99.9 軟化点(℃;JIS K 2207) − 46.5 46.5 密度(g/cm at 15℃;JIS K 2249) 1.05 1.03 1.03 動粘度(mm2/s at 100℃;JIS K 2207) 9000 − − 動粘度(mm2/s at 120℃;JIS K 2207) − 1007 876 動粘度(mm2/s at 140℃;JIS K 2207) 724 358 318 動粘度(mm2/s at 180℃;JIS K 2207) 120 − − 流動点(℃;JIS K 2207) 70 53 55
【0028】
【表3】 表3:添加剤の性状 記 号 添 加 剤 の 種 類 添−A ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸エステルNa塩 (エチレンオキサイド50モル付加) 添−B ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸エステルNa塩 (エチレンオキサイド22モル付加) 添−C ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルNa塩 (アルキル炭素数12〜15,エチレンオキサイド3モル付加) 添−D ポリスチレンスルホン酸Na塩(Mw=14,000) 添−E ナフタリンスルホン酸Na塩ホルマリン縮合物(平均縮合度25) 添−F リグニンスルホン酸Na(Mw=5000) 添−G ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=14.7) 添−H ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=18.2) 添−I ドデシルベンゼンスルホン酸Na
【0029】
【表4】 表4:回転子および固定子の性状 呼称 スリット幅(mm) スリット数(本) 回転子(I) 3.0 12 固定子(I) 2.0 24 回転子(II) 1.6 28 固定子(II) 1.2 34 回転子(III) 1.0 44 固定子(III) 0.6 72 固定子(IV) 0.6 72
【0030】
【表5】 表5:乳化の条件 相対圧力 AS温度 添加剤水溶液温度 記号 乳化機 (MPa G) (℃) (℃) 実施例 条-1 回転式ホモジナイザー 0.4 150 60 条-2 回転式ホモジナイザー 0.4 120 50 条-3 回転式ホモジナイザー 0.4 180 60 対照例 条-4 回転式ホモジナイザー 0 150 60 条-5 回転式ホモジナイザー 0 120 50 条-6 ホモミキサー 0.1 150 60 条-7 高圧式ホモジナイザー 50 150 60 AS:アスファルト
【0031】評価方法および判定基準は以下のとおりで
ある。後記の表6に示した本発明の実施例においては、
いずれもアスファルト粒子の水分散体であるアスファル
ト・水混合燃料が得られた。また、比較例の結果につい
ては、後記表7に示した。
【0032】[乳化性]目開き150μm、線径104
μmのJISに準拠したふるい(内径75mmφ)およ
び目開き32μm、線径26μmのJISに準拠したふ
るい(内径100mmφ)を用いてふるい分け試験を行
った。室温に調温したエマルジョンを10g秤量し水に
て十分に洗浄した後に水分を蒸発させてふるい上残留量
を秤量し、秤量したエマルジョンに対するふるい通過率
を算出した。 ◎:目開き32μmのふるい通過率99重量%以上 ○:目開き150μmのふるい通過率99重量%以上 △:目開き150μmのふるい通過率90重量%以上 ×:目開き150μmのふるい通過率90重量%未満
【0033】[流動性]ハーケ動粘度測定器を用いて2
5℃にて100s-1downの粘度を測定し評価した。 ◎:非常に良好(500mPa・s未満) ○:良好(1000mPa・s未満) ×:不良(1000mPa・s以上)
【0034】[機械的安定性]噴燃ポンプとしてはC重
油等の噴燃ポンプとして一般的に用いられている一軸偏
心ネジポンプであるモーノポンプ(兵神装備)を使用し
た。燃料タンクから自吸によりポンプへ液温25℃の燃
料を供給し、かつ吐出側にオリフィスを設け0.8MP
a Gの試験条件のもと150リットル毎時の流量にて
移送を1時間行った。評価は目開き1mm、線径0.5
88mmのJISに標準したふるい(内径200mm
φ、深さ45mm)を用いて排出口でふるい分け試験を
行った。その後ふるいを水にて十分に洗浄した後に水分
を蒸発させてふるい上残留量を秤量し、ふるい上残留量
を算出した。そのふるい上残留量を以下の基準で評価し
た。 ◎:非常に良好(1g未満) ○:良好(5g未満) ×:不良(5g以上) ××:1時間未満で目詰まり
【0035】
【表6】 表6:実施例 添加剤 添加剤 原料AS AS濃度 乳化 乳化性 流動性 機械的 成 分 添加量 (重量部) 条件 安定性 (重量部) No (対EM) 1 添−A 0.5 No.3 73 条-1 ◎ ◎ ○ 2 添−A 0.5 No.2 73 条-2 ○ ◎ ○ 3 添−A 0.4 No.1 73 条-3 ◎ ◎ ◎ 添−D 0.2 4 添−B 0.3 No.2 73 条-1 ◎ ◎ ○ 添−E 0.3 5 添−C 0.2 No.2 73 条-1 ◎ ◎ ○ 添−F 0.4 6 添−A 0.2 No.3 73 条-1 ○ ◎ ○ 添−F 0.3 EM:エマルジョン AS:アスファルト
【0036】
【表7】 表7:対照例 添加剤 添加剤 原料AS AS濃度 乳化 乳化性 流動性 機械的 成 分 添加量 (重量部) 条件 安定性 (重量部) No (対EM) 1 添−A 0.5 No.3 73 条-4 △ ◎ × 2 添−A 0.5 No.2 73 条-5 × ◎ × 3 添−A 0.5 No.2 73 条-6 × ◎ ×× 4 添−A 0.5 No.2 73 条-7 × × 移送出来ず 5 添−G 0.5 No.1 73 条-1 × × 移送出来ず 6 添−H 0.5 No.1 73 条-3 × × 移送出来ず 7 添−I 0.7 No.2 73 条-1 ◎ ◎ ×× 8 添−G 0.2 No.3 73 条-1 ○ ◎ ×× 添−I 0.3 9 無添加 − No.3 73 条-1 × × 移送出来ず EM:エマルジョン AS:アスファルト
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乳化用添加剤を用いたアスファルト・
水混合燃料の製造方法を示すフロー図である。
【図2】本発明で用いる乳化機の一例を示す断面図であ
る。
【図3】図2の線A−Aに沿った断面図である。
【符号の説明】
11 ポンプ 13 圧力計 21 ポンプ 23 圧力計 31 圧力計 41 ハウジング 43 供給管 45 排出管 51 固定子 53 スリット 61 回転子 63 スリット 65 駆動軸
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年6月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】 R1O−(AO)n−SO3M …(I) R2−C 64−O−(AO)n−SO3M …(II) (R1 :炭素数4〜18のアルキル基またはアルケニル
基、 R2 :炭素数4〜12のアルキル基、 A :炭素数2のアルキレン基を必須とする炭素数2〜
4から選ばれる1種または2種以上のアルキレン基、 n:1〜100 M:対イオン)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるアニオン界面
活性剤の具体例としては、下記化2の一般式(I)また
は(II)で表されるエチレンオキサイド基を分子中に有
するアニオン界面活性剤である。
【化2】 R1O−(AO)n−SO3M …(I) R2−C 64−O−(AO)n−SO3M …(II) (R1 :炭素数4〜18のアルキル基またはアルケニル
基、 R2 :炭素数4〜12のアルキル基、 A :炭素数2のアルキレン基を必須とする炭素数2〜
4から選ばれる1種または2種以上のアルキレン基、 n:1〜100 M:対イオン)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転子と固定子をそれぞれ複数個有し、
    かつ回転子および/または固定子に細流路が形成されて
    いる乳化機内部の圧力を大気圧に対して加圧状態に保持
    し、該乳化機内にアスファルト、水および添加剤を供給
    し、回転子を回転させてこれら3者を混合、乳化して高
    濃度アスファルト・水混合燃料を製造する際に用いられ
    る添加剤であって、 該添加剤が、下記化1の一般式(I)または(II)で表
    されるエチレンオキサイド基を分子中に有するアニオン
    界面活性剤であることを特徴とする高濃度アスファルト
    ・水混合燃料用添加剤。 【化1】 R1−(AO)n−SO3M …(I) R2−C64−(AO)n−SO3M …(II) (R1 :炭素数4〜18のアルキル基またはアルケニル
    基、 R2 :炭素数4〜12のアルキル基、 A :炭素数2のアルキレン基を必須とする炭素数2〜
    4から選ばれる1種または2種以上のアルキレン基、 n:1〜100 M:対イオン)
  2. 【請求項2】 さらにアニオン性高分子化合物を含有す
    ることを特徴とする請求項1に記載の高濃度アスファル
    ト・水混合燃料用添加剤。
  3. 【請求項3】 アニオン性高分子化合物が下記から選択
    される1種または2種以上の化合物を含有する請求項2
    に記載の高濃度アスファルト・水混合燃料用添加剤。 <アニオン性高分子化合物> ・リグニンスルホン酸塩、 ・ポリスチレンスルホン酸塩、 ・ポリアクリル酸塩、 ・ナフタレン、アルキルナフタレン、アルキルフェノー
    ル等の芳香族環化合物のホルマリン等のアルデヒド縮合
    物スルホン酸塩
JP10333396A 1996-03-29 1996-03-29 高濃度アスファルト・水混合燃料用添加剤 Pending JPH09268295A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10333396A JPH09268295A (ja) 1996-03-29 1996-03-29 高濃度アスファルト・水混合燃料用添加剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10333396A JPH09268295A (ja) 1996-03-29 1996-03-29 高濃度アスファルト・水混合燃料用添加剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09268295A true JPH09268295A (ja) 1997-10-14

Family

ID=14351240

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10333396A Pending JPH09268295A (ja) 1996-03-29 1996-03-29 高濃度アスファルト・水混合燃料用添加剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09268295A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011526997A (ja) * 2008-07-03 2011-10-20 エイチ アール ディー コーポレーション 空気/燃料を混合するための高せん断処理

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011526997A (ja) * 2008-07-03 2011-10-20 エイチ アール ディー コーポレーション 空気/燃料を混合するための高せん断処理
US8522759B2 (en) 2008-07-03 2013-09-03 H R D Corporation High shear process for air/fuel mixing
US8807123B2 (en) 2008-07-03 2014-08-19 H R D Corporation High shear process for air/fuel mixing

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4983319A (en) Preparation of low-viscosity improved stable crude oil transport emulsions
US8663343B2 (en) Method for manufacturing an emulsified fuel
JPH01313594A (ja) 超重質油エマルション燃料
CN110396401A (zh) 稠油乳化降粘剂及制备方法和稠油乳化降粘的方法以及在稠油油藏开采中的应用和开采方法
EP0270476A1 (en) Preparation of stable crude oil transport emulsions
CN101230983A (zh) 乳胶制造装置
JPH11209477A (ja) 水性樹脂エマルションの連続的製造方法及びその装置
US5641433A (en) Preparation of HIPR emulsions
JPH09268295A (ja) 高濃度アスファルト・水混合燃料用添加剤
JPH08165481A (ja) 高濃度アスファルト・水混合燃料用添加剤およびこの添加剤を用いた混合燃料
JPH0959656A (ja) 高濃度アスファルト・水混合燃料用添加剤およびこの添加剤を用いた混合燃料
JPH0959655A (ja) 高濃度アスファルト・水混合燃料用添加剤およびこの添加剤を用いた混合燃料
JPH09268296A (ja) 高濃度アスファルト・水混合燃料
JPH0397788A (ja) 超重質油エマルション燃料
JPH08170084A (ja) 重質油エマルジョンの製造方法
JPH1161160A (ja) 高濃度高流動点石油アスファルト・水混合燃料用添加剤
JPH01252697A (ja) 重質油、水混合燃料油製造方法
EP0732144B1 (en) An emulsion formation system and mixing device
JPH01313592A (ja) 超重質油エマルション燃料
JPH108072A (ja) 高濃度アスファルト・水混合燃料用添加剤
CN107649063A (zh) 一种纳米材料超声共振乳化混配装置
JP2005146153A (ja) 蓄熱材用エマルションの製造方法
FI112871B (fi) Menetelmä hartsihappojen saippuoimiseksi
JPH07157780A (ja) 重質油エマルジョンの製造方法
JP3702088B2 (ja) 超重質油エマルジョン燃料の製造方法