JPH08170084A - 重質油エマルジョンの製造方法 - Google Patents

重質油エマルジョンの製造方法

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JPH08170084A
JPH08170084A JP31513294A JP31513294A JPH08170084A JP H08170084 A JPH08170084 A JP H08170084A JP 31513294 A JP31513294 A JP 31513294A JP 31513294 A JP31513294 A JP 31513294A JP H08170084 A JPH08170084 A JP H08170084A
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heavy oil
static mixer
emulsion
oil
surfactant
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JP31513294A
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English (en)
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Toshiharu Arita
俊治 有田
Shiyuuhei Arikita
周平 有北
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 重質油が高濃度に含有されているにもかかわ
らず、取り扱いが容易で、貯蔵安定性に優れ、重油代替
燃料として有用な重質油エマルジョンの製造方法の提
供。 【構成】 重質油と界面活性剤水溶液とを、式(1) で表
される混合強度Zs が400〜40000 である条件で静止型
混合機により予備混合させ、次いで分散機に通過させて
水中油滴型エマルジョンを得る。 Zs=(ΔPm/ΔP0)・(L/D) … (1) 〔ただし、Zs は混合強度、ΔPm は静止型混合機の清
水流通時の圧力損失(Pa)、ΔP0 は静止型混合機と等し
い径と長さを持つ空管に清水を流した時の圧力損失(P
a)、Lは静止型混合機の長さ (m)、Dは静止型混合機
の内径(m)〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は重質油エマルジョンの製
造方法に関する。更に詳しくは、重質油が高濃度に含有
されているにもかかわらず、取り扱いが容易で、貯蔵安
定性に優れ、重油代替燃料として有用な重質油エマルジ
ョンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】石油は
エネルギー源として最も多量に使用されているが、その
埋蔵量の限界や供給安定性の点から、エネルギー源の多
様化が望まれており、石油代替エネルギーの開発が要請
されている。このような背景から、新たな化石資源とし
て、オイルサンドやビチューメン、さらに石油の蒸留残
渣やアスファルト等の重質油の燃料化が検討されてい
る。
【0003】しかしながら、これらの重質油は通常、減
圧蒸留残分である 420〜450 ℃以上の重質留分を約60〜
70%以上含有する油状物質で、そのままでは流動しない
か、又は数万センチポイズ以上の高粘性を有している。
そのため、燃料として使用するには、 280〜300 ℃など
の高温にしないとハンドリング性の悪いことや燃焼時の
霧化に問題があり、また、燃焼ボイラーの配管などの閉
塞トラブルを起こしやすく、極めて使用しにくい燃料で
ある。このような高粘性である重質油を常温においても
流動性を持たせる方法としては、水中油滴型エマルジョ
ンとすることが有効である。一般にエマルジョンは油と
水と必要に応じて界面活性剤とを分散機に通過させるこ
とにより得られる。
【0004】従来、高粘度である重質油を乳化するため
にはスタティックミキサー等の剪断力が弱い分散機では
燃料として要求される数カ月の貯蔵安定性を達成するよ
うな小粒径のエマルジョンを得ることが出来ないことか
ら、ホモジナイザー等の強い剪断エネルギーを有する分
散機(乳化機)を用いるのが一般的であり、そのため重
質油の乳化には大きなエネルギーが必要であった。
【0005】また、従来技術として特開昭53−72015 号
公報には、エマルジョン燃料作成用予混合装置が記載さ
れている。この予混合装置は予備混合を液状油または水
の分散混合・邪魔板・オリフィス等の簡易な装置にて行
った後、ミキサにて攪拌することにより、均一なエマル
ジョン化を可能とするものである。しかしながら、該公
報に記載されている予混合装置を用いる方法は、エマル
ジョンの均一化を目的としており、予備混合の混合強度
について何等開示されておらず、このような方法では本
発明が意図するところの乳化に要するエネルギーを効率
よく使い微粒のエマルジョンを製造することはできな
い。さらに言えば、該公報記載の方法ではエマルジョン
燃料として期待される貯蔵安定性について全く言及され
ていない。
【0006】このように従来の乳化方法では、効率よ
く、少ないエネルギーで、微粒子の重質油エマルジョン
を製造できない。そこで本発明は、このような問題を解
決するためになされたものであり、効率よく微粒子の重
質油エマルジョンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究の結果、乳化前の予備混合における
静止型混合機での混合強度に着目し、分散機に供給され
る重質油の濃度ムラが起こらない程度に予備混合し、か
つ分散機に通過させる前の予備混合物中の油滴が過度に
微粒子を生成しないような適度な予備混合条件を規定す
ることで、予備混合物を分散機に通過させてできたエマ
ルジョンの粒径を小さくできることを見出し、本発明を
完成するに至った。即ち本発明は、下記1)〜5)に示
す重質油エマルジョンの製造方法に係わるものである。
【0008】1)重質油と界面活性剤水溶液とを静止型
混合機により予備混合させて混合物を得て、次いで該混
合物を分散機に通過させることにより水中油滴型エマル
ジョンを製造するに際し、下記式(1)で表される静止型
混合機の混合強度Zs が400〜40000 の範囲であること
を特徴とする重質油エマルジョンの製造方法。 Zs=(ΔPm/ΔP0)・(L/D) … (1) 〔ただし、 Zs;混合強度 ΔPm;静止型混合機の清水流通時の圧力損失、単位Pa ΔP0;静止型混合機と等しい径と長さを持つ空管に清
水を流した時の圧力損失、単位Pa L;静止型混合機の長さ、単位m D;静止型混合機の内径、単位m〕 2)重質油と水と界面活性剤とを静止型混合機により予
備混合させて混合物を得て、次いで該混合物を分散機に
通過させることにより水中油滴型エマルジョンを製造す
るに際し、上記式(1) で表される静止型混合機の混合強
度Zs が 400〜40000 の範囲であることを特徴とする重
質油エマルジョンの製造方法。 3)上記式(1) で表される静止型混合機の混合強度Zs
が 500〜10000 の範囲である上記1)又は2)記載の重
質油エマルジョンの製造方法。 4)エマルジョン中の重質油が 150μm以下の粒子径を
有する油滴として97重量%以上を占め、かつエマルジョ
ンの平均粒子径が1〜15μmである上記1)〜3)のい
ずれかに記載の重質油エマルジョンの製造方法。 5)重質油60〜85重量%、水10〜40重量%、界面活性剤
0.01〜5重量%を含有するエマルジョンである上記1)
〜4)のいずれかに記載の重質油エマルジョンの製造方
法。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
方法においては、重質油と界面活性剤水溶液、あるいは
重質油と水と界面活性剤とを乳化前に静止型混合機を用
い予備的に混合するに際して細かい油滴を極力生成しな
い条件で行い、該混合物を分散機に導き分散機の剪断力
で一気に乳化し、微粒のエマルジョンを製造するもので
ある。
【0010】本発明においては、予備混合物中に重質油
が高比率で含有されているため、粗大油滴はたとえ生成
してもすぐに合体合一して不定形になる。しかし、細か
い油滴は球形を維持しすぐには壊れにくい。粒子径の小
さい油滴をさらに微粒化しようとした場合、不定形の状
態の重質油を微粒化する力に比べて大きな剪断力を必要
とする。この理由としては、界面活性剤の被膜が剪断力
に対する油滴の強度を高めていることや、小さい油滴ほ
ど分散機内の流れに沿って動き易く、剪断力が有効に与
えられないものと考えている。本発明においては、静止
型混合機での予備混合においてエマルジョンが不均一に
ならない程度に、かつ乳化前に中途半端に小さい油滴を
生成させない混合強度を与えて混合物を得ることによ
り、分散機内で重質油に攪拌の剪断力を効率よく与え、
微粒化を達成することができる。
【0011】本発明においては、重質油と界面活性剤水
溶液との予備混合において、適切な混合物を得るための
静止型混合機の混合強度の指標として前記式(1) に示す
Zs値を用いた。この混合強度Zs の概念は混合機で消
費されるエネルギーの大きさを圧力損失比とL/Dの値
との積で表すものである。圧力損失比とL/Dの値との
積で求められる混合強度は、混合機性能を静止型混合機
の型式に依らず定量的に比較評価できる指標として既知
のものである。
【0012】既往の研究をまとめた成書(「液体混合技
術」N.Harnby, M.F.Edwards, A.W.Nienow編集、高橋幸
司訳、日刊工業新聞社)には、層流における種々の文献
データから算出された混合強度の値を用いて数種類の混
合機性能を比較したものがある。しかし、本発明者らが
混合強度の指標としているZS は乱流混合における混合
強度を表すものである。乱流混合となる理由としては、
本発明における混合物は水中油滴型の混合状態であるか
ら、ミクロな観点からみると流体の挙動は界面活性剤水
溶液に支配されるためと考えている。
【0013】また、界面活性剤の添加量は少ないから清
水の粘度が界面活性剤水溶液粘度として差し支えないの
で、Zs 値は清水を流通した場合の圧力損失比を用いて
算出する。更に言えば、静止型混合機の清水における圧
力損失のデータは入手しやすく、実液による混合機の圧
力損失測定が要らないので簡便である。
【0014】本発明者らは、予備混合せしめる静止型混
合機での混合強度Zs が400〜40000の範囲において、微
粒化に適する混合物が得られることを見い出したのであ
る。Zs 値は静止型混合機のエレメント形状により大き
く異なり、また重質油と界面活性剤水溶液の流量に依っ
ても変化する。Zs 値が 400未満では混合強度不足のた
め、乳化後のエマルジョン中に粗大粒子が多く含まれ平
均粒径も大きいものとなり微粒化できない。また、Zs
値が 40000を超えるような過剰な混合強度を与えた場
合、乳化前に中途半端に小さい油滴を形成してしまい、
分散機での微粒化を達成することはできない。すなわ
ち、分散機内で重質油に攪拌の剪断力を効率よく与え、
微粒化を達成することができる予備混合での混合強度Z
s は 400〜40000 の範囲であり、好ましくは 500〜1000
0 の範囲であり、さらに好ましくは1000〜4000の範囲で
ある。
【0015】本発明で使用する静止型混合機とは、モー
ションレスミキサーまたはスタティックミキサーと呼ば
れるもので、一般的に円筒内に設けられた複数のエレメ
ントにより構成される。流体の混合は、流体がエレメン
トにより分割、反転、転換等の作用を受けることにより
流体の流れ方向に沿って進行する。エレメントの形状等
に制約はなく、混合強度Zs が 400〜40000 の範囲であ
れば構わない。
【0016】本発明において、静止型混合機に重質油、
水、界面活性剤を供給する方法としては、予め混合槽を
設けて攪拌翼等により水と界面活性剤とを混合して界面
活性剤水溶液を調製し、重質油と界面活性剤水溶液を静
止型混合機に供給する方法、あるいは重質油と水と界面
活性剤とを静止型混合機に直接供給する方法等がある
が、分散機に供給される重質油と水と界面活性剤との供
給比率が不安定にならない方法であれば、回分式であっ
ても連続式であっても構わない。
【0017】重質油と界面活性剤水溶液との予備混合温
度は、乳化に対する界面活性剤の作用を著しく妨げない
限り特に限定されるものではない。しかし、予備混合温
度は水の沸点より低いことが望ましい。また、予備混合
温度を低くし過ぎると重質油と界面活性剤水溶液との粘
度差が大きくなりすぎて、一部又は全体が油中水滴型の
混合物になり、水中油滴型のエマルジョンを得ることが
困難となる。従って、予備混合温度としては40〜 100℃
が好ましく、さらに好ましくは50〜80℃である。予備混
合に供給される重質油の温度としては60〜 170℃が好ま
しく、良好な流動性を持つ限り低温度の方がより好まし
い。また、静止型混合機に供給される界面活性剤水溶液
の温度としては10〜100 ℃が好ましく、さらに好ましく
は30〜80℃である。
【0018】本発明においては、上記のようにして予備
混合された混合物を分散機に通過させて水中油滴型エマ
ルジョンを製造するが、本発明で使用する分散機として
は、剪断速度(翼周速度/クリアランス) が 2000s-1
上のものが好ましく、さらに好ましくは 20000〜100000
s-1程度に相当する攪拌強度を与えられるもので、ホモ
ミキサ(特殊機化工業(株)製)、ホモジナイザ(GAUL
IN社製)、ラインミキサ(特殊機化工業(株)製)、コ
ロイドミル(神鋼パンテック(株)製)、サンドミル
((株)井上製作所製)、マイルダー((株)荏原製作
所製)等の一般に使用されている乳化機や分散機の使用
が可能である。特に混合物単位処理量当たりの消費電力
が小さい、ホモミキサ、ラインミキサ等が好ましい。本
発明の方法において、分散機で乳化させる際の乳化温度
は 100℃未満が好ましく、さらに好ましくは60〜90℃で
ある。乳化温度と予備混合温度とは必ずしも同じである
必要はない。
【0019】本発明で使用される重質油とは、常温では
流動性に乏しく高温に加熱しないと流動しない油で、例
えば下記の油が挙げられる。 石油系アスファルト類およびその油の混合物 石油系アスファルト各種処理物、その中間製品、残
渣及びそれらの混合物 常温で流動しない高流動点油あるいは原油 石油系タールピッチ及びその油混合物 ビチューメン類、天然アスファルト、オリノコター
ル これらの油の中で、常圧での沸点 340℃以上の成分を90
重量%以上含む油に対して特に優れた効果を発揮する。
【0020】本発明において、最終的に得られるエマル
ジョン中の重質油濃度は60〜85重量%が好ましく、特に
好ましくは70〜80重量%である。重質油濃度が60重量%
未満となると発熱量が低下すると共に、場合によっては
直接燃焼が困難になる。また、重質油濃度が85重量%を
超えるとエマルジョンの粘度が高くなり流動性が低下す
ると共に、貯蔵中に粒子の合一や凝集が起こり貯蔵安定
性が低下する。
【0021】本発明における界面活性剤としては、ノニ
オン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性
界面活性剤及び両性界面活性剤のうちから選ばれる1種
又は2種以上を使用する。使用し得る界面活性剤として
は下記のものが挙げられる。これらの中で、ノニオン性
界面活性剤とアニオン性界面活性剤の併用が好ましい。
【0022】<ノニオン性界面活性剤> (i)フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、ノ
ニルフェノール、ジノニルフェノール、ドデシルフェノ
ール、パラクミルフェノール、ビスフェノールAなどの
フェノール性水酸基を有する化合物のアルキレンオキシ
ド付加物。 (ii)アルキルフェノール、フェノール、メタクレゾー
ル、スチレン化フェノール、ベンジル化フェノールなど
のフェノール性水酸基を有する化合物のホルムアルデヒ
ド縮合物のアルキレンオキシド付加物。縮合度の平均は
1.2〜100 、好ましくは2〜20である。
【0023】(iii)炭素数2〜50の一価の脂肪族アルコ
ールのアルキレンオキシド付加物。 (iv) 炭素数2〜50の一価の脂肪族アミンのアルキレン
オキシド付加物。 (v)アルキレンオキシドのブロック又はランダム付加
重合物。 (vi)多価アルコールのアルキレンオキシド付加物。 (vii)多価アルコールと炭素数8〜18の脂肪酸とのエス
テルのアルキレンオキシド付加物。
【0024】(viii)エチレンジアミン、テトラエチレン
ジアミン、ポリエチレンイミン(分子量 600〜1万) な
どの複数個の活性水素を有する多価アミンのアルキレン
オキシド付加物。 (ix) トリグリセライド型油脂1モルと、多価アルコー
ル及び/又は水 0.1〜5モルとの混合物に、アルキレン
オキシドを付加反応させた生成物。
【0025】尚、上記(vi)、(vii) の多価アルコールと
しては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ソルビトール、ショ糖、ポリグリセリ
ン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が例
示される。
【0026】<アニオン性界面活性剤> (I) ナフタリン、アルキルナフタリン、アルキルフェ
ノール、アルキルベンゼンなどの芳香族環化合物のスル
ホン酸又はスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物。好
ましくは、ホルムアルデヒドの平均縮合度は 1.2〜100
である。 (II) リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩、そ
の誘導体、リグニンスルホン酸とナフタリン、アルキル
ナフタリンなどの芳香族化合物のスルホン酸とのホルム
アルデヒド縮合物及びその塩。好ましくは、ホルムアル
デヒドの平均縮合度は 1.2〜50である。
【0027】(III)ポリスチレンスルホン酸又はその塩
及びスチレンスルホン酸と他の共重合性モノマーとの共
重合体とその塩。好ましくは、分子量は 500〜50万であ
る。 (IV) ジシクロペンタジエンスルホン酸重合物又はその
塩。好ましくは、重合物の分子量は 500〜50万である。
【0028】(V) 無水マレイン酸又は/及び無水イタ
コン酸と他の共重合性モノマーとの共重合体とその酸及
び塩。好ましくは、分子量は 500〜50万である。 (VI) 液状ポリブタジエンのマレイン化物及びその塩。
好ましくは、液状ポリブタジエンの分子量は 500〜20万
である。
【0029】(VII)親水基を分子中に1個又は2個持
つ、次のアニオン界面活性剤。 (a) 炭素数4〜18のアルコールの硫酸エステル塩。 (b) 炭素数4〜18のアルカン、アルケン又は/及びアル
キルアリールスルホン酸又はその塩。 (c) 活性水素を分子中に1個以上持つ化合物のアルキレ
ンオキシド付加物の硫酸化物又はリン酸エステル化物及
びそれらの塩。 (d) 炭素数4〜22の飽和又は不飽和脂肪酸のエステルで
あるスルホコハク酸塩。 (e) アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸又はその
塩。アルキル基は炭素数8〜18のアルキル基である。 (f) ロジン酸又はその塩。ロジン酸と高級脂肪酸の混合
酸であるトール油混酸とその塩。 (g) 炭素数4〜18のアルカン又はアルケン脂肪酸とその
塩。 (h) 下記の一般式で表されるα−スルホ脂肪酸エステル
塩。
【0030】
【化1】
【0031】(但し、R1は炭素数6〜22のアルキル基又
はアルケニル基、R2は炭素数1〜22のアルキル基、M は
1価又は2価の金属原子、NH4 あるいは有機アミン、n
は1又は2を表す。) 尚、上記(I)〜 (VII)の化合物について、塩としては
アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンなどの
低級アミン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カ
ルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩
等が挙げられる。
【0032】<カチオン性界面活性剤及び両性界面活性
剤>アルキル又は/及びアルケニルアミン塩、第4級ア
ンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキ
サイド、アルキルアラニン、ポリアミート、ポリアミン
塩、イミダゾリン型両性界面活性剤、スルホベタイン型
両性界面活性剤等が挙げられる。
【0033】本発明において、最終的に得られるエマル
ジョン中の界面活性剤の配合量は0.01〜5重量%の範囲
が好ましく、特に好ましくは 0.1〜2.0 重量%である。
0.01重量%未満の配合量では重質油の乳化および乳化安
定性の発現が不充分であり、5重量%を超える配合量で
は不経済であるばかりでなく、乳化時の泡立ちや粒径制
御が困難となり好ましくない。界面活性剤は水溶液とし
て供給してもよく、その場合、水溶液中の水はエマルジ
ョン中の水の成分とみなす。
【0034】本発明において、最終的に得られるエマル
ジョン中の成分である水の配合量は、10〜40重量%の範
囲が好ましく、さらに好ましくは20〜30重量%である。
水の配合量が10重量%未満であると、界面活性剤の種類
や使用量を最適化しても、乳化安定性は良くならず流動
性に劣るエマルジョンしか得られない。また水の配合量
が40重量%を超えると、燃料としての発熱量が低下し直
接燃焼が困難になる場合もあり回避すべきである。
【0035】本発明においては、必要に応じて更なる安
定性の向上を目的として、多価アルコール及び/又は高
分子安定剤の配合も可能である。多価アルコールとして
は、分子内に2個以上の水酸基を有し水に溶解するもの
であればよく、例えばグリセリン、ポリグリセリン、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、
グルコース等である。エマルジョン中の多価アルコール
の配合量は 0.1〜50重量%の範囲が好ましい。高分子安
定剤としては表1に示す分子量1万以上の各種水溶性高
分子の配合が可能であり、エマルジョン中の高分子安定
剤の配合量は 0.005〜3重量%の範囲が好ましい。
【0036】
【表1】
【0037】本発明において、エマルジョン中の重質油
の油滴の平均粒径は1〜15μmであることが好ましく、
さらに好ましくは3〜10μm,特に好ましくは3〜6.5
μmである。また、粒度は 150μm以下の粒子径を有す
る粒子が97重量%以上を占めることが好ましく、さらに
好ましくは 150μm以下の粒子径を有する粒子が99重量
%以上を占めることが望ましい。ここで 150μmより大
きい粒子径を有する粗大粒子が多いと、燃料としての燃
焼時に未燃焼を起こし燃焼効率の低下をきたすと共に、
貯蔵時の沈澱やボイラー配管等の閉塞の原因となり、好
ましくない。
【0038】さらに本発明においては、温度25℃におけ
るエマルジョンの粘度が 100〜3000センチポイズである
ことが好ましく、さらに好ましくは 200〜2000センチポ
イズであり、特に好ましくは 500〜1500センチポイズで
ある。このエマルジョンの粘度が3000センチポイズを超
えると、ポンプ等での輸送が困難になり、ハンドリング
性が悪くなりボイラー等の燃料としては好ましくない。
また、このエマルジョンの粘度が 100センチポイズ未満
になると、静置安定性が極端に悪くなり貯蔵時の沈澱等
でトラブルの原因となり易いため好ましくない。
【0039】
【発明の効果】上述の如く、本発明の製造方法によれ
ば、乳化前の混合物中に極力細かい油滴を生成しないよ
うに予備混合を行うことにより、分散機での乳化に要す
るエネルギーを過度に消費することなく微粒の水中油滴
型エマルジョンを効率よく得ることができる。重質油エ
マルジョンはボイラー用燃料としての用途が大きく期待
されており、本発明の方法によれば、従来の製造方法に
よるものと同粒径のエマルジョン燃料を製造する場合、
使用する界面活性剤の添加量を低減でき、製造コストを
下げられる効果がある。
【0040】また、本発明の方法により得られるエマル
ジョン燃料は、微粒であり、粗粒の含有量が極めて少な
いため、重質油を高濃度で含有しているにもかかわら
ず、長期間貯蔵しても沈澱や粘度増加の起きない極めて
安定性に優れたエマルジョン燃料である。さらに、本発
明の方法により得られた重質油エマルジョン燃料は、微
粒のため常温〜90℃の温度で十分な霧化が可能であり、
ハンドリング性も良好な重油代替燃料である。
【0041】
【実施例】以下実施例により本発明を詳述するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。
【0042】実施例1 重質油にアラビアンライト原油から得られたアスファル
ト(比重1.015 、粘度595cp/100℃、軟化点29℃、針入
度370/25℃)を用い、ノニオン系界面活性剤(ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル、花王(株)製エマ
ルゲン921)とアニオン系界面活性剤(オレイン酸カ
リ石鹸、花王(株)製OSソープ)との重量比1:1
(界面活性剤基準)の界面活性剤水溶液(界面活性剤水
溶液中の界面活性剤濃度は水 100gに対して界面活性剤
5gとした)を用い、図1に示した装置で静止型混合機
1としてノリタケカンパニーリミテッド製スタティック
ミキサーNIO型(2”−6エレメント)を用いて予備
混合を行い、分散機2として特殊機化工業(株)製のラ
インミキサ(PL−SL型)を用いてエマルジョンを調
製した。
【0043】すなわち、攪拌翼3を有する槽7から90℃
の重質油4をポンプ8により流量7.8 リットル/min で
静止型混合機1に流通させると同時に、攪拌翼3'を有す
る槽7'から70℃の界面活性剤水溶液5をポンプ8'により
流量3.1 リットル/min で流通させ、混合した。この時
の混合強度Zs は510 である。尚、9,9' は流量計であ
る。次いで該混合物を分散機2に導き、剪断速度35200s
-1(回転数8000rpm)で流通させて乳化した。出口6から
得られた重質油エマルジョンは一昼夜20℃恒温室にて放
置冷却した後、下記方法で平均粒径、粗粒分率、粘度及
び貯蔵安定性を測定した。結果を表2に示す。
【0044】<測定方法> 平均粒径:レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置
((株)堀場製作所製、LA700)により行った。 粗粒分率;目開き150 μmのフルイにエマルジョンを通
し、通過しない粗い油滴の重量をエマルジョン中の重質
油重量に対する重量分率で示した。 粘 度;東京計器製造所製B型粘度計(型式BM)を用
い、ローター No.3,4を用い、25℃、60rpm にて、回
転開始1分後の値を測定した。 貯蔵安定性;沈降試験管(3cmφ×30cm) にエマルジョ
ンを液深が25cmになるように仕込み、25℃で静置1カ月
後の状態を観察し、表面層での水の分離及び沈降試験管
下部での重質油の分離を以下に示す3ランクで評価し
た。
【0045】 ○:分離しない △:分離少し有り(1〜5mm) ×:分離有り(5mm以上) 実施例2 実施例1と同一の重質油と界面活性剤水溶液を用いて、
静止型混合機に特殊機化工(株)製、Ross−LPDMIXER
(2B−M6)を用い、重質油流量を1.5 リットル/mi
n 、界面活性剤水溶液流量を0.6 リットル/min とした
以外は実施例1と同一の操作によって乳化を行い、物性
の評価を行った。この時の混合強度Zs 及び物性の評価
結果を表2に示す。
【0046】実施例3 重質油流量を 10.9 リットル/min 、界面活性剤水溶液
流量を4.5 リットル/min とした以外は実施例2と同一
の操作によって乳化を行い、物性の評価を行った。この
時の混合強度Zs 及び物性の評価結果を表2に示す。
【0047】実施例4 静止型混合機に特殊機化工業(株)製Ross−ISGMIXER
(1−E10)を用い、重質油流量を4.7 リットル/mi
n 、界面活性剤水溶液流量を1.9 リットル/minとした
以外は実施例1と同一の操作によって乳化を行い、物性
の評価を行った。この時の混合強度Zs 及び物性の評価
結果を表2に示す。
【0048】比較例1 実施例1と同一の重質油と界面活性剤水溶液を用いて、
重質油流量を1.5 リットル/min 、界面活性剤水溶液流
量を0.6 リットル/min とした以外は、実施例1と同一
の操作によって乳化し、物性の評価を行った。この時の
混合強度Zs 及び物性の評価結果を表2に示す。
【0049】比較例2 実施例1と同一の重質油と界面活性剤水溶液を用いて、
重質油流量を4.7 リットル/min 、界面活性剤水溶液流
量を1.9 リットル/min とした以外は実施例1と同一の
操作によって乳化し、物性の評価を行った。この時の混
合強度Zs 及び物性の評価結果を表2に示す。
【0050】比較例3 重質油流量を7.8 リットル/min 、界面活性剤流量を3.
1 リットル/min とした以外は実施例4と同一の操作に
よって乳化し、物性評価を行った。この時の混合強度Z
s 及び物性の評価結果を表2に示す。
【0051】比較例4 重質油流量を 10.9 リットル/min 、界面活性剤流量を
4.5 リットル/min とした以外は実施例4と同一の操作
によって乳化し、物性評価を行った。この時の混合強度
Zs 及び物性の評価結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】表2から明らかなように、実施例1〜4は
静止型混合機による混合強度Zs が400〜40000 の範囲
である本発明の意図するところであり、これに対して比
較例1,2は混合強度Zs が 400未満であり、本発明が
意図する条件より外れている。このため実施例1〜4で
得られたエマルジョンの平均粒径は 4.5μm以下である
のに対して、比較例1,2の平均粒径は15μm以上であ
り、分散機の剪断速度が等しいにもかかわらず、本発明
が意図する予備混合を実施したエマルジョンは微粒化を
達成できており、明らかに効率の良い重質油エマルジョ
ンの製造方法である。また、比較例1,2は粗粒分率が
高く、予備混合が不足しており乳化が不均一となって、
その結果、比較例1,2で得られたエマルジョン中の重
質油は150 μm以下の粒子径を有する油滴が97重量%に
満たないため、本発明が意図する製造方法ではない。比
較例3,4は静止型混合機の混合強度Zs が40000 を超
えることから本発明が意図する条件より外れている。そ
のため、実施例1〜4で得られたエマルジョンに比べ平
均粒径が2倍近く粗いものとなってしまい、貯蔵安定性
を満足しない。本発明による実施例1〜4で得られたエ
マルジョンは、効率よく微細化され、適度なエマルジョ
ン粘度を有していることから、貯蔵安定性も良好であ
り、重油代替燃料として実用に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いた重質油エマルジョン製造装置
の略示断面図である。
【符号の説明】
1:静止型混合機 2:分散機 3,3':攪拌翼 4:重質油 5:界面活性剤水溶液 6:重質油エマルジョン出口 7,7':槽 8,8':ポンプ 9,9':流量計

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重質油と界面活性剤水溶液とを静止型混
    合機により予備混合させて混合物を得て、次いで該混合
    物を分散機に通過させることにより水中油滴型エマルジ
    ョンを製造するに際し、下記式(1) で表される静止型混
    合機の混合強度Zs が 400〜40000 の範囲であることを
    特徴とする重質油エマルジョンの製造方法。 Zs=(ΔPm/ΔP0)・(L/D) … (1) 〔ただし、 Zs;混合強度 ΔPm;静止型混合機の清水流通時の圧力損失、単位Pa ΔP0;静止型混合機と等しい径と長さを持つ空管に清
    水を流した時の圧力損失、単位Pa L;静止型混合機の長さ、単位m D;静止型混合機の内径、単位m〕
  2. 【請求項2】 重質油と水と界面活性剤とを静止型混合
    機により予備混合させて混合物を得て、次いで該混合物
    を分散機に通過させることにより水中油滴型エマルジョ
    ンを製造するに際し、上記式(1) で表される静止型混合
    機の混合強度Zs が 400〜40000 の範囲であることを特
    徴とする重質油エマルジョンの製造方法。
  3. 【請求項3】 上記式(1) で表される静止型混合機の混
    合強度Zs が 500〜10000 の範囲である請求項1又は2
    記載の重質油エマルジョンの製造方法。
  4. 【請求項4】 エマルジョン中の重質油が 150μm以下
    の粒子径を有する油滴として97重量%以上を占め、かつ
    エマルジョンの平均粒子径が1〜15μmである請求項1
    〜3のいずれか一項に記載の重質油エマルジョンの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 重質油60〜85重量%、水10〜40重量%、
    界面活性剤0.01〜5重量%を含有するエマルジョンであ
    る請求項1〜4のいずれか一項に記載の重質油エマルジ
    ョンの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007505190A (ja) * 2003-09-09 2007-03-08 クリーン フューエルス テクノロジー インコーポレイテッド 乳化燃料の製造方法
JP2009273476A (ja) * 2005-09-06 2009-11-26 Pepsico Inc 飲料の製造方法および装置

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