JPH07157780A - 重質油エマルジョンの製造方法 - Google Patents

重質油エマルジョンの製造方法

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JPH07157780A
JPH07157780A JP30501093A JP30501093A JPH07157780A JP H07157780 A JPH07157780 A JP H07157780A JP 30501093 A JP30501093 A JP 30501093A JP 30501093 A JP30501093 A JP 30501093A JP H07157780 A JPH07157780 A JP H07157780A
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heavy oil
oil
weight
surfactant
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JP30501093A
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English (en)
Inventor
Toshiharu Arita
俊治 有田
Shiyuuhei Arikita
周平 有北
Takashi Aida
尚 合田
Chuichi Yamashita
忠一 山下
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Kao Corp
Eneos Corp
Original Assignee
Kao Corp
Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 重質油が高濃度に含有されているにもかかわ
らず、取り扱いが容易で、貯蔵安定性に優れ、重油代替
燃料として有用な重質油エマルジョンの製造方法を提供
する。 【構成】 重質油と水と界面活性剤とを予備混合させ
て、粒径 500μm以下の油滴が重質油に対して20重量%
以下である混合物を得、次いで該混合物を分散機に通過
させることにより水中油滴型エマルジョンを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は重質油エマルジョンの製
造方法に関する。更に詳しくは、重質油が高濃度に含有
されているにもかかわらず、取り扱いが容易で、貯蔵安
定性に優れ、重油代替燃料として有用な重質油エマルジ
ョンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】石油は
エネルギー源として最も多量に使用されているが、その
埋蔵量の限界や供給安定性の点から、エネルギー源の多
様化が望まれており、石油代替エネルギーの開発が要請
されている。このような背景から、新たな化石資源とし
て、オイルサンドやビチューメン、さらに石油の蒸留残
渣やアスファルト等の重質油の燃料化が検討されてい
る。
【0003】しかしながら、これらの重質油は通常、減
圧蒸留残分である 420〜 450℃以上の重質留分を約60〜
70%以上含有する油状物質で、そのままでは流動しない
か、又は数万センチポイズ以上の高粘性を有している。
そのため、燃料として使用するには、 280〜 300℃など
の高温にしないとハンドリング性の悪いことや燃焼時の
霧化に問題があり、また、燃焼ボイラーの配管などの閉
塞トラブルを起こしやすく、極めて使用しにくい燃料で
ある。このような高粘性である重質油を常温においても
流動性を持たせる方法としては、水中油滴型エマルジョ
ンとすることが有効である。一般にエマルジョンは油と
水と必要に応じて界面活性剤とを分散機に通過させるこ
とにより得られる。
【0004】従来、高粘度である重質油を乳化するため
にはスタティックミキサー等の剪断力が弱い分散機では
燃料として要求される数カ月の貯蔵安定性を達成するよ
うな小粒径のエマルジョンを得ることが出来ないことか
ら、ホモジナイザー等の強い剪断エネルギーを有する分
散機(乳化機)を用いるのが一般的であり、そのため重
質油の乳化には大きなエネルギーが必要であった。
【0005】また、従来技術として特開昭62−171
746号公報にはエマルジョンの製造方法が記載されて
おり、この方法は攪拌動力を順次大きくした複数個の攪
拌装置を設け、該攪拌装置に重質油と水との混合物を逐
次通過させるものである。しかしながら、該公報記載の
方法によって製造されたエマルジョンは平均粒径が数十
〜百μmと粗いため、沈降分離しやすいことが推察さ
れ、燃料として必要な数カ月程度の貯蔵安定性は見込め
ない。また、エマルジョン中の微細な油滴が複数回の攪
拌を受けるにつれ、衝突により合一し、結果的に得られ
るエマルジョンは粒径が均一で、粒度分布のシャープ
な、平均粒径の大きいエマルジョンとなり、長期の貯蔵
安定性は期待できず、燃料としては不適当である。さら
に言えば、粒径の粗いエマルジョンを複数個の攪拌装置
を設けて製造することは甚だ不経済である。
【0006】このように従来の乳化方法では、効率よ
く、少ないエネルギーで、微粒子の重質油エマルジョン
を製造できない。そこで本発明は、このような問題を解
決するためになされたものであり、効率よく微粒子の重
質油エマルジョンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究の結果、乳化前の予備混合物の状態
に着目し、分散機に供給される重質油の濃度ムラが起こ
らない程度に予備混合し、かつ分散機に通過させる前の
予備混合物中の油滴が過度に微粒子を生成しないような
適度な予備混合条件を選ぶことで、予備混合物を分散機
に通過させてできたエマルジョンの粒径を小さくできる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明
は、下記1)〜4)に示す重質油エマルジョンの製造方
法に係わるものである。
【0008】1)重質油と水と界面活性剤とを予備混合
させて、粒径 500μm以下の油滴が重質油に対して20重
量%以下である混合物を得て、次いで該混合物を分散機
に通過させることにより、水中油滴型エマルジョンを製
造することを特徴とする重質油エマルジョンの製造方
法。尚、本発明において、粒径 500μm以下の油滴が重
質油に対して20重量%以下である混合物とは、下記の実
施例に記載した粒度測定法により求めた、粒径500 μm
以下の油滴が全油滴に対して20重量%以下である混合物
をいう。
【0009】2)予備混合において、粒径 300μm以下
の油滴が重質油に対して5重量%以下である混合物を得
る上記1)記載の重質油エマルジョンの製造方法。 3)エマルジョン中の重質油が 100μm以下の粒子径を
有する油滴として80重量%以上を占め、かつエマルジョ
ンの平均粒子径が1〜15μmである上記1)又は2)記
載の重質油エマルジョンの製造方法。 4)重質油60〜85重量%、水10〜40重量%、界面活性剤
0.01〜5重量%を含有するエマルジョンである上記1)
〜3)のいずれか一項に記載の重質油エマルジョンの製
造方法。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
方法においては、重質油と水と界面活性剤とを乳化前に
予備的に混合するに際して細かい油滴を極力生成しない
条件で行い、該混合物を分散機に導き分散機の剪断力で
一気に乳化し、微粒のエマルジョンを製造するものであ
る。
【0011】本発明においては、予備混合物中に重質油
が高比率で含有されているため、500 μmを超えるよう
な粗大油滴はたとえ生成してもすぐに合体合一して不定
形になる。しかし、 500μm以下の細かい油滴は球形を
維持しすぐには壊れにくい。特に、 300μm以下の粒子
径を有するさらに細かい油滴ほど壊れにくい。500μm
以下の粒子径を有する球形油滴をさらに微粒化しようと
した場合、不定形の状態の重質油を微粒化する力に比べ
て大きな剪断力を必要とする。この理由としては、界面
活性剤の被膜が剪断力に対する油滴の強度を高めている
ことや、小さい油滴ほど分散機内の流れに沿って動き易
く、剪断力が有効に与えられないものと考えている。本
発明においては、乳化前に中途半端な大きさの油滴を生
成させないで、予備混合において粒径 500μm以下の油
滴が重質油に対して20重量%以下、好ましくは粒径 300
μm以下の油滴が重質油に対して5重量%以下であるよ
うな混合物を得ることにより、分散機内で重質油に攪拌
の剪断力を効率よく与え、微粒化を達成することができ
る。
【0012】本発明において、予備混合を行う方法とし
ては、予備混合槽を設けて攪拌翼により重質油と水と界
面活性剤とを混合する方法や、スタティックミキサー等
の混合機を用いる方法が挙げられるが、分散機に供給さ
れる重質油と水と界面活性剤との供給比率が不安定にな
らない予備混合方法であれば、回分式であっても連続式
であっても構わない。
【0013】本発明が目的とする予備混合物を得るため
には、予備混合の混合攪拌力や混合温度をコントロール
する方法が有効である。乳化しようとする重質油の種類
及び界面活性剤の種類と添加量に合わせて、本発明が意
図する予備混合物が得られるように予備混合の攪拌力や
混合温度を設定することが必要である。
【0014】一般的に攪拌力の小さな方が予備混合物中
に生成する微細な油滴は少ない。また、予備混合物中の
微細な油滴の生成量に対する温度の影響は大きく、温度
の低い方が微細な油滴の生成量は減少し、本発明が目的
とする予備混合物が得られ易い。この理由として、一般
に界面張力の小さい方が微粒化し易いことから考えて、
低温ほど重質油と界面活性剤水溶液との間の界面張力が
高くなり、微細な油滴の生成量が減少する。しかし、予
備混合温度を低くし過ぎると重質油と界面活性剤水溶液
との粘度差が大きくなりすぎて、一部又は全体が油中水
滴型の混合物になり、水中油滴型のエマルジョンが得ら
れない。従って、予備混合温度としては40〜 100℃が好
ましく、さらに好ましくは50〜80℃である。予備混合に
供給される重質油の温度としては60〜 170℃が好まし
く、良好な流動性を持つ限り低温度の方がより好まし
い。また、予備混合に供給される水及び界面活性剤の温
度としては10〜 100℃が好ましく、さらに好ましくは30
〜80℃である。
【0015】本発明においては、上記のようにして予備
混合された混合物を分散機に通過させて水中油滴型エマ
ルジョンを製造するが、本発明で使用する分散機として
は、剪断速度(翼周速度/クリアランス) が 2000s-1
上のものが好ましく、さらに好ましくは 20000〜100000
s-1程度に相当する攪拌強度を与えられるもので、ホモ
ミキサ(特殊機化工業(株)製)、ホモジナイザ(GAUL
IN社製)、ラインミキサ(特殊機化工業(株)製)、コ
ロイドミル(神鋼パンテック(株)製)、サンドミル
((株)井上製作所製)、マイルダー((株)荏原製作
所製)等の一般に使用されている乳化機や分散機の使用
が可能である。特に混合物単位処理量当たりの消費電力
が小さい、ホモミキサ、ラインミキサ等が好ましい。本
発明の方法において、分散機で乳化させる際の乳化温度
は 100℃未満が好ましく、さらに好ましくは60〜90℃で
ある。乳化温度と予備混合温度とは必ずしも同じである
必要はない。
【0016】本発明で使用される重質油とは、常温では
流動性に乏しく高温に加熱しないと流動しない油で、例
えば下記の油が挙げられる。 石油系アスファルト類およびその油の混合物 石油系アスファルト各種処理物、その中間製品、残
渣及びそれらの混合物 常温で流動しない高流動点油あるいは原油 石油系タールピッチ及びその油混合物 ビチューメン類、天然アスファルト、オリノコター
ル これらの油の中で、常圧での沸点 340℃以上の成分を90
重量%以上含む油に対して特に優れた効果を発揮する。
【0017】本発明において、最終的に得られるエマル
ジョン中の重質油濃度は60〜85重量%が好ましく、特に
好ましくは70〜80重量%である。重質油濃度が60重量%
未満となると発熱量が低下すると共に、場合によっては
直接燃焼が困難になる。また、重質油濃度が85重量%を
超えるとエマルジョンの粘度が高くなり流動性が低下す
ると共に、貯蔵中に粒子の合一や凝集が起こり貯蔵安定
性が低下する。
【0018】本発明における界面活性剤としては、ノニ
オン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性
界面活性剤及び両性界面活性剤のうちから選ばれる1種
又は2種以上を使用する。使用し得る界面活性剤として
は下記のものが挙げられる。これらの中で、ノニオン性
界面活性剤とアニオン性界面活性剤の併用が好ましい。
【0019】<ノニオン性界面活性剤> (i)フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、ノ
ニルフェノール、ジノニルフェノール、ドデシルフェノ
ール、パラクミルフェノール、ビスフェノールAなどの
フェノール性水酸基を有する化合物のアルキレンオキシ
ド付加物。 (ii)アルキルフェノール、フェノール、メタクレゾー
ル、スチレン化フェノール、ベンジル化フェノールなど
のフェノール性水酸基を有する化合物のホルムアルデヒ
ド縮合物のアルキレンオキシド付加物。縮合度の平均は
1.2〜100 、好ましくは2〜20である。
【0020】(iii)炭素数2〜50の一価の脂肪族アルコ
ールのアルキレンオキシド付加物。 (iv) 炭素数2〜50の一価の脂肪族アミンのアルキレン
オキシド付加物。 (v)アルキレンオキシドのブロック又はランダム付加
重合物。 (vi)多価アルコールのアルキレンオキシド付加物。 (vii)多価アルコールと炭素数8〜18の脂肪酸とのエス
テルのアルキレンオキシド付加物。
【0021】(viii)エチレンジアミン、テトラエチレン
ジアミン、ポリエチレンイミン(分子量 600〜1万) な
どの複数個の活性水素を有する多価アミンのアルキレン
オキシド付加物。 (ix) トリグリセライド型油脂1モルと、多価アルコー
ル及び/又は水 0.1〜5モルとの混合物に、アルキレン
オキシドを付加反応させた生成物。
【0022】尚、上記(vi)、(vii) の多価アルコールと
しては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ソルビトール、ショ糖、ポリグリセリ
ン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が例
示される。
【0023】<アニオン性界面活性剤> (I) ナフタリン、アルキルナフタリン、アルキルフェ
ノール、アルキルベンゼンなどの芳香族環化合物のスル
ホン酸又はスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物。好
ましくは、ホルムアルデヒドの平均縮合度は 1.2〜100
である。 (II) リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩、そ
の誘導体、リグニンスルホン酸とナフタリン、アルキル
ナフタリンなどの芳香族化合物のスルホン酸とのホルム
アルデヒド縮合物及びその塩。好ましくは、ホルムアル
デヒドの平均縮合度は 1.2〜50である。
【0024】(III)ポリスチレンスルホン酸又はその塩
及びスチレンスルホン酸と他の共重合性モノマーとの共
重合体とその塩。好ましくは、分子量は 500〜50万であ
る。 (IV) ジシクロペンタジエンスルホン酸重合物又はその
塩。好ましくは、重合物の分子量は 500〜50万である。
【0025】(V) 無水マレイン酸又は/及び無水イタ
コン酸と他の共重合性モノマーとの共重合体とその酸及
び塩。好ましくは、分子量は 500〜50万である。 (VI) 液状ポリブタジエンのマレイン化物及びその塩。
好ましくは、液状ポリブタジエンの分子量は 500〜20万
である。
【0026】(VII)親水基を分子中に1個又は2個持
つ、次のアニオン界面活性剤。 (a) 炭素数4〜18のアルコールの硫酸エステル塩。 (b) 炭素数4〜18のアルカン、アルケン又は/及びアル
キルアリールスルホン酸又はその塩。 (c) 活性水素を分子中に1個以上持つ化合物のアルキレ
ンオキシド付加物の硫酸化物又はリン酸エステル化物及
びそれらの塩。 (d) 炭素数4〜22の飽和又は不飽和脂肪酸のエステルで
あるスルホコハク酸塩。 (e) アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸又はその
塩。アルキル基は炭素数8〜18のアルキル基である。 (f) ロジン酸又はその塩。ロジン酸と高級脂肪酸の混合
酸であるトール油混酸とその塩。 (g) 炭素数4〜18のアルカン又はアルケン脂肪酸とその
塩。 (h) 下記の一般式で表されるα−スルホ脂肪酸エステル
塩。
【0027】
【化1】
【0028】(但し、R1は炭素数6〜22のアルキル基又
はアルケニル基、R2は炭素数1〜22のアルキル基、M は
1価又は2価の金属原子、NH4 あるいは有機アミン、n
は1又は2を表す。) 尚、上記(I)〜 (VII)の化合物について、塩としては
アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンなどの
低級アミン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カ
ルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩
等が挙げられる。
【0029】<カチオン性界面活性剤及び両性界面活性
剤>アルキル又は/及びアルケニルアミン塩、第4級ア
ンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキ
サイド、アルキルアラニン、ポリアミート、ポリアミン
塩、イミダゾリン型両性界面活性剤、スルホベタイン型
両性界面活性剤等が挙げられる。
【0030】本発明において、最終的に得られるエマル
ジョン中の界面活性剤の配合量は0.01〜5重量%の範囲
が好ましく、特に好ましくは 0.1〜2.0 重量%である。
0.01重量%未満の配合量では重質油の乳化および乳化安
定性の発現が不充分であり、5重量%を超える配合量で
は不経済であるばかりでなく、乳化時の泡立ちや粒径制
御が困難となり好ましくない。界面活性剤は水溶液とし
て供給してもよく、その場合、水溶液中の水はエマルジ
ョン中の水の成分とみなす。
【0031】本発明において、最終的に得られるエマル
ジョン中の成分である水の配合量は、10〜40重量%の範
囲が好ましく、さらに好ましくは15〜30重量%である。
水の配合量が10重量%未満であると、界面活性剤の種類
や使用量を最適化しても、乳化安定性は良くならず流動
性に劣るエマルジョンしか得られない。また水の配合量
が40重量%を超えると、燃料としての発熱量が低下し直
接燃焼が困難になる場合もあり回避すべきである。
【0032】本発明においては、必要に応じて更なる安
定性の向上を目的として、多価アルコール及び/又は高
分子安定剤の配合も可能である。多価アルコールとして
は、分子内に2個以上の水酸基を有し水に溶解するもの
であればよく、例えばグリセリン、ポリグリセリン、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、
グルコース等である。エマルジョン中の多価アルコール
の配合量は 0.1〜50重量%の範囲が好ましい。高分子安
定剤としては表1に示す分子量1万以上の各種水溶性高
分子の配合が可能であり、エマルジョン中の高分子安定
剤の配合量は 0.005〜3重量%の範囲が好ましい。
【0033】
【表1】
【0034】本発明において、エマルジョン中の重質油
の油滴の平均粒径は1〜15μmであることが好ましく、
さらに好ましくは3〜10μmである。また、粒度は 100
μm以下の粒子径を有する粒子が80重量%以上を占める
ことが好ましく、さらに好ましくは30μm以下の粒子径
を有する粒子が90重量%以上を占めることが望ましい。
ここで 100μm以上の粒子径を有する粗大粒子が多い
と、燃料としての燃焼時に未燃焼を起こし燃焼効率の低
下をきたすと共に、貯蔵時の沈澱やボイラー配管等の閉
塞の原因となり、好ましくない。
【0035】さらに本発明においては、温度25℃におけ
るエマルジョンの粘度が 100〜3000センチポイズである
ことが好ましく、さらに好ましくは 200〜1500センチポ
イズである。このエマルジョンの粘度が3000センチポイ
ズを超えると、ポンプ等での輸送が困難になり、ハンド
リング性が悪くなりボイラー等の燃料としては好ましく
ない。また、このエマルジョンの粘度が 100センチポイ
ズ未満になると、静置安定性が極端に悪くなり貯蔵時の
沈澱等でトラブルの原因となり易いため好ましくない。
【0036】
【発明の効果】上述の如く、本発明の製造方法によれ
ば、乳化前の混合物中に極力細かい油滴を生成しないよ
うに予備混合を行うことにより、分散機での乳化に要す
るエネルギーを過度に消費することなく微粒の水中油滴
型エマルジョンを効率よく得ることができる。重質油エ
マルジョンはボイラー用燃料としての用途が大きく期待
されており、本発明の方法によれば、従来の製造方法に
よるものと同粒径のエマルジョン燃料を製造する場合、
使用する界面活性剤の添加量を低減でき、製造コストを
下げられる効果がある。
【0037】また、本発明の方法により得られるエマル
ジョン燃料は、微粒であり、粗粒の含有量が極めて少な
いため、重質油を高濃度で含有しているにもかかわら
ず、長期間貯蔵しても沈澱や粘度増加の起きない極めて
安定性に優れたエマルジョン燃料である。さらに、本発
明の方法により得られた重質油エマルジョン燃料は、微
粒のため常温〜90℃の温度で十分な霧化が可能であり、
ハンドリング性も良好な重油代替燃料である。
【0038】
【実施例】以下実施例により本発明を詳述するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。
【0039】実施例1 重質油にアラビアンライト原油から得られたアスファル
ト(比重1.015 、粘度595cp/100℃、軟化点29℃、針入
度370/25℃)を用い、ノニオン系界面活性剤(ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル、花王(株)製エマ
ルゲン921)とアニオン系界面活性剤(オレイン酸カ
リ石鹸、花王(株)製OSソープ)との重量比1:1
(界面活性剤基準)の界面活性剤水溶液(界面活性剤水
溶液中の界面活性剤濃度は水 100gに対して界面活性剤
5gとした)を用い、図1に示した装置で予備混合槽1
にて予備混合を行い、分散機2として特殊機化工業
(株)製のラインミキサ(PL−SL型)を用いてエマ
ルジョンを調製した。
【0040】すなわち、予備混合槽1に、入口4から90
℃のアスファルト2100g及び入口5から70℃の界面活性
剤水溶液 900gを仕込み、翼径8cmのファウドラー翼3
により翼周速度 2.0m/s(回転数 480rpm)で1分間攪
拌し、予備混合した混合物の温度は約80℃であった。該
予備混合物の一部をサンプリングし、下記方法で迅速に
フルイにて粒径を測定した結果、500 μm以下の油滴は
重質油に対して15重量%であった。次に該混合物を80℃
で分散機2に供給し、剪断速度17600s-1(回転数4000rp
m)で連続的に流通させて乳化した。出口6から得られた
重質油エマルジョンは一昼夜20℃恒温室にて放置冷却し
た後、下記方法で粒度、粘度、貯蔵安定性を測定した。
結果を表2に示す。
【0041】<測定方法>予備混合物の粒度測定 予備混合物の粒径は4種類の目開き(1mm、 500μm、
300μm、 150μm)のフルイを用いて次の手順で測定
した 各フルイ重量を精密天秤(小数点以下3桁表示)にて予
め測定しておき、目開きの大きい順に上から重ね、乳化
直前の予備混合物を約20gフルイにかけた。約30秒後に
各フルイを取り分け、 110℃の乾燥機に約4時間入れて
おき水分を蒸発させて重量を測定し、各フルイに残った
重質油の重量を計算した。以上の手順にて、予備混合物
の粒度を重量%で得た。また、必要に応じて 150μm以
下にフルイ分けられたサンプルは下記のレーザー回折/
散乱式粒度分布測定装置にて粒度を測定した。
【0042】エマルジョンの物性測定 粒 度:レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置
((株)堀場製作所製、LA700)により行った。 粘 度;東京計器製造所製B型粘度計(型式BM)を用
い、ローター No.3,4を用い、25℃、60rpm にて、回
転開始1分後の値を測定した。 安定性;沈降試験管(3cmφ×30cm) にエマルジョンを
液深が25cmになるように仕込み、25℃で静置1カ月後の
状態を観察し、表面層での水の分離及び沈降試験管下部
での重質油の分離を以下に示す3ランクで評価した。
【0043】○:分離しない △:分離少し有り(1〜5mm) ×:分離有り(5mm以上) 実施例2 実施例1と同一の重質油と界面活性剤水溶液を用いて、
予備混合の翼周速度を1.0 m/s(回転数240rpm) とし
た以外は実施例1と同一の操作によって乳化を行い、物
性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0044】実施例3 実施例1と同一の重質油と界面活性剤水溶液を用いて、
界面活性剤水溶液の温度を40℃、予備混合物の温度を約
60℃とした以外は実施例1と同一の操作によって乳化を
行い、物性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0045】比較例1 実施例1と同一の重質油と界面活性剤水溶液を用いて、
予備混合をしないで分散機に供給した以外は実施例1と
同一の操作によって乳化を行い、物性の評価を行った。
結果を表2に示す。
【0046】比較例2 実施例1と同一の重質油と界面活性剤水溶液を用いて、
予備混合の翼周速度3.5 m/s(回転数840rpm) で予備
混合した。予備混合物中の 500μm以下の油滴は重質油
に対して70重量%であった。次にこの予備混合物を実施
例1と同一の操作によって乳化し、物性の評価を行っ
た。結果を表2に示す。
【0047】比較例3 実施例1と同一の重質油と界面活性剤水溶液を用いて、
重質油の温度を 110℃、界面活性剤水溶液の温度を80
℃、予備混合物の温度を約95℃で予備混合した。予備混
合物中の 500μm以下の油滴は重質油に対して25重量%
であった。次にこの予備混合物を実施例1と同一の操作
によって乳化し、物性の評価を行った。結果を表2に示
す。
【0048】
【表2】
【0049】表2から明らかなように、実施例1〜3は
予備混合物中に微細な油滴の生成量が少なく本発明の意
図するところであり、これに対して比較例2,3は予備
混合物中に微細な油滴が多く生成し本発明が意図する条
件より外れている。このため実施例1〜3で得られたエ
マルジョンの平均粒径は10μm以下であるのに対して、
比較例2,3の平均粒径は15μm以上であり、分散機の
剪断速度が等しいにもかかわらず、本発明が意図する予
備混合を実施したエマルジョンは微粒化を達成できてお
り、明らかに効率の良い重質油エマルジョンの製造方法
である。また、比較例1のように予備混合を行わないで
分散機に直接供給した場合、乳化は極端に不均一とな
り、本発明が目的とする水中油滴型エマルジョンが均一
に製造できない。この結果、比較例1で得られたエマル
ジョン中の重質油は 100μm以下の粒子径を有する油滴
として80重量%に満たないため、本発明が意図する製造
方法ではない。本発明による実施例1〜3で得られたエ
マルジョンは、効率よく微細化され、適度なエマルジョ
ン粘度を有していることから、貯蔵安定性も良好であ
り、重油代替燃料として実用に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いた重質油エマルジョン製造装置
の略示断面図である。
【符号の説明】
1:予備混合槽 2:分散機 3:攪拌翼 4:重質油入口 5:界面活性剤水溶液入口 6:重質油エマルジョン出口
フロントページの続き (72)発明者 山下 忠一 横浜市中区千鳥町八番地 日本石油株式会 社中央技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重質油と水と界面活性剤とを予備混合さ
    せて、粒径 500μm以下の油滴が重質油に対して20重量
    %以下である混合物を得て、次いで該混合物を分散機に
    通過させることにより水中油滴型エマルジョンを製造す
    ることを特徴とする重質油エマルジョンの製造方法。
  2. 【請求項2】 予備混合において、粒径 300μm以下の
    油滴が重質油に対して5重量%以下である混合物を得る
    請求項1記載の重質油エマルジョンの製造方法。
  3. 【請求項3】 エマルジョン中の重質油が 100μm以下
    の粒子径を有する油滴として80重量%以上を占め、かつ
    エマルジョンの平均粒子径が1〜15μmである請求項1
    又は2記載の重質油エマルジョンの製造方法。
  4. 【請求項4】 重質油60〜85重量%、水10〜40重量%、
    界面活性剤0.01〜5重量%を含有するエマルジョンであ
    る請求項1〜3のいずれか一項に記載の重質油エマルジ
    ョンの製造方法。
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