JPH0711269A - 重質油エマルジョン燃料組成物 - Google Patents

重質油エマルジョン燃料組成物

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JPH0711269A
JPH0711269A JP15009493A JP15009493A JPH0711269A JP H0711269 A JPH0711269 A JP H0711269A JP 15009493 A JP15009493 A JP 15009493A JP 15009493 A JP15009493 A JP 15009493A JP H0711269 A JPH0711269 A JP H0711269A
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oil
heavy oil
emulsion
surfactant
water
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JP15009493A
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Masanori Iizuka
正則 飯塚
Takao Taniguchi
高雄 谷口
Kazuo Isobe
和雄 磯部
Sayuri Tamaoki
さゆり 玉置
Chuichi Yamashita
忠一 山下
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Kao Corp
Eneos Corp
Original Assignee
Kao Corp
Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)重質油、 (b)食用油、 (c)水および (d)
界面活性剤を必須成分とするエマルジョン燃料であっ
て、 (a)+(b) : (c) =60〜90:10〜40 (重量比) であ
り、かつ (d)は (a)+(b)+(c) に対して 0.1〜5重量
%となる組成を有する重質油エマルジョン燃料組成物。 【効果】 従来エネルギー源として有効に利用されてい
なかったビチューメンやアスファルト等の重質油を、重
油代替燃料として使用可能ならしめ、しかも、その貯蔵
安定性の改良により、さらに汎用性を高めた画期的なエ
マルジョン燃料である。さらに、排気ガス中の煤塵や窒
素酸化物も少ない極めて有用な重油代替燃料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は重質油エマルジョン燃料
組成物に関する。更に詳しくは、重質油、水、界面活性
剤及び食用油からなる重質油の水エマルジョン組成物で
あって、貯蔵安定性に優れ且つクリーンな燃料を提供す
る重質油エマルジョン燃料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
エネルギー源として最も多量に使用されてきた石油が、
その埋蔵量の限界やそれに伴う価格の高騰が起こってお
り、石油代替エネルギーの開発が要請されている。この
ような背景から、新たな化石資源として、オイルサンド
やビチューメン、更に石油の蒸留残渣やアスファルト等
の重質油の燃料化が検討されている。
【0003】しかしながら、これらの重質油は通常減圧
蒸留残分である 420〜450 ℃以上の重質留分を約60〜70
%以上含有する油状物質で、そのままでは流動しない
か、又は数万センチポイズ以上の高粘性を有している。
そのため、燃料として使用するには、 280〜300 ℃など
の高温にしないとハンドリングや霧化などで問題があ
り、又、燃焼ボイラーの配管などの閉塞トラブルを起こ
しやすく、極めて使用しにくい燃料である。
【0004】また、これらの重質油は、燃料として一般
に用いられている軽油、灯油、重油などに比べ残留炭素
分や窒素の含有量が多く、燃料として用いた場合、排気
ガス中の煤塵や窒素酸化物が増加するという大きな欠点
を有している。
【0005】この欠点を解決すべく、特開昭63−501578
号公報や特開平3−97788 号公報が知られているが、こ
れらのエマルジョン燃料では高価な界面活性剤の多量使
用が不可欠であり、燃料としてのコストパフォーマンス
に問題があり、実用性に乏しい。また、貯蔵安定性にも
問題があり、満足すべきエマルジョンとは言えない。
【0006】一方、環境汚染の問題から、最近全国で年
間数百万トンが使用されると言われる食用油のうち、フ
ァーストフードや菓子メーカーから出される廃油が回収
油として回収されるようになった。今後さらにその回収
率の向上が予想される。しかし、この回収油の有効な用
途開発がなされておらず、その資源の有効利用としての
用途開発が望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は鋭意
研究の結果、新たな化石燃料としての有効利用が望まれ
ている重質油と食用油とを主成分とする重油代替燃料を
開発した。
【0008】即ち本発明は、食用油を含有することを特
徴とする重質油−水エマルジョン燃料組成物に関するも
のであり、さらに詳しくは、 (a)重質油、 (b)食用油、
(c)水および(d)界面活性剤を必須成分とするエマルジ
ョン燃料であって、(a)+(b): (c) =60〜90:10〜40
(重量比) であり、かつ (d)は (a)+(b)+(c)に対して
0.1〜5重量%となる組成を有する重質油エマルジョン
燃料組成物に関するものである。
【0009】本発明は、重質油、水、界面活性剤、食用
油からなる水中油滴型のエマルジョン組成物である。こ
の組成物は水に比較的近い粘度を示し、常温〜90℃の温
度で十分な霧化が可能であり、ハンドリング性に優れる
燃料であり、更に食用油の配合効果により、極めて高濃
度であるにもかかわらず流動性に優れ、且つ、長期間貯
蔵してもエマルジョンの分離や分解の起きない極めて安
定性に優れた燃料である。また、食用油の配合効果によ
り、排気ガス中の煤塵や窒素酸化物が大きく低減でき、
クリーンな燃料である。
【0010】本発明における長期安定性付与の機構は必
ずしも定かではないが、次の様に推察する。
【0011】互いに溶け合わない二種類の液体の一方が
他方に細粒状に分散した状態にあるエマルジョンは、二
液の界面積の増大に伴い界面の自由エネルギーが増大す
るために、熱力学的に不安定な非平衡系であり、分散状
態は時間と共に変化し、エマルジョン状態は解消の方向
に向かう。界面の自由エネルギーを低減させ、系の安定
性を向上させる目的で界面活性剤の使用が一般的である
が、いかに性能の良い界面活性剤を使用しても、界面自
由エネルギーはゼロにはならず、真に安定性の良いエマ
ルジョンを得ることは困難である。
【0012】そこで本発明者等は水と重質油の界面に着
目し、食用油を添加すると、食用油中の脂肪酸分子が界
面相に優先的に配向し、水と重質油の界面自由エネルギ
ーを低減させ、系の安定性を高めるものと推定した。
【0013】本発明の食用油は、一般に市販されている
食用油と同じ組成のものでかまわない。これらの油脂を
構成する脂肪酸は様々であるが、C18 (Cは炭素を示す)
を多く含み、その他の構成脂肪酸としては、C12, C14,
C16, C20, C22, C24などである。本発明においては食用
油の中でも資源環境の問題から食用油脂回収油を用いる
ことが好ましい。
【0014】本発明における食用油脂回収油とは、ファ
ーストフード、菓子メーカー、一般家庭より多量に廃出
される大豆油、なたね油、とうもろこし油などの使用済
食用油脂回収油で、匂い、色があるため今まで有効に利
用されなかったものである。食用油の酸価は一般に1以
下であるが、回収油では酸敗が進み1〜30の大きな値を
示す。その他の物性についても、ケン化価は50〜250 、
ヨウ素価では10〜150程度の値を示し、使用前に比べ若
干変化する場合がある。
【0015】本発明におけるエマルジョン燃料の (A)重
質油と食用油とを併せた油分と (B)水との重量比は60:
40〜90:10、好ましくは70:30〜85:15である。油分の
割合が低すぎると発熱量が低下すると共に、場合によっ
ては直接燃焼が困難になる。逆に、油分の割合が高過ぎ
るとエマルジョンの粘度が高くなり流動性が低下すると
共に、貯蔵中に粒子の合一や凝集が起こり、貯蔵安定性
が低下する。
【0016】重質油と食用油の配合比率は、燃焼性から
5:95〜95:5で、好ましくは20:80〜80:20である。
重質油が多いと重質油に起因するフューエルNOx と煤塵
が増加する。また、食用油が多いと燃え切り性が良くな
るが、火炎温度の上昇に起因するサーマルNOx が増加す
る。
【0017】本発明における界面活性剤としては、ノニ
オン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性
界面活性剤及び両性界面活性剤のうちから選ばれる1種
又は2種以上を使用する。使用し得る界面活性剤として
は下記のものが挙げられる。
【0018】<ノニオン性界面活性剤> (i)フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、ノ
ニルフェノール、ジノニルフェノール、ドデシルフェノ
ール、パラクミルフェノール、ビスフェノールAなどの
フェノール性水酸基を有する化合物のアルキレンオキシ
ド付加物。 (ii)アルキルフェノール、フェノール、メタクレゾー
ル、スチレン化フェノール、ベンジル化フェノールなど
のフェノール性水酸基を有する化合物のホルマリン縮合
物のアルキレンオキシド付加物。縮合度の平均は1.2 〜
100 、好ましくは2〜20である。 (iii)炭素数2〜50の一価の脂肪族アルコールのアルキ
レンオキシド付加物。 (iv) 炭素数2〜50の一価の脂肪族アミンのアルキレン
オキシド付加物。 (v)アルキレンオキシドのブロック又はランダム付加
重合物。 (vi)多価アルコールのアルキレンオキシド付加物。 (vii)多価アルコールと炭素数8〜18の脂肪酸とのエス
テルのアルキレンオキシド付加物。 (viii)エチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、ポ
リエチレンイミン(分子量 600〜1万) などの複数個の
活性水素を有する多価アミンのアルキレンオキシド付加
物。 (ix) トリグリセライド型油脂1モルと、多価アルコー
ル及び/又は水0.1 〜5モルとの混合物に、アルキレン
オキシドを付加反応させた生成物。
【0019】尚、上記(vi)、(vii) の多価アルコールと
しては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ソルビトール、ショ糖、ポリグリセリ
ン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が例
示される。
【0020】<アニオン性界面活性剤> (I) ナフタリン、アルキルナフタリン、アルキルフェ
ノール、アルキルベンゼンなどの芳香族環化合物のスル
ホン酸又はスルホン酸塩のホルマリン縮合物。好ましく
は、ホルマリンの平均縮合度は 1.2〜100 である。
【0021】(II) リグニンスルホン酸、リグニンスル
ホン酸塩、その誘導体、リグニンスルホン酸とナフタリ
ン、アルキルナフタリンなどの芳香族化合物のスルホン
酸とのホルマリン縮合物及びその塩。好ましくは、ホル
マリンの平均縮合度は 1.2〜50である。
【0022】(III)ポリスチレンスルホン酸又はその塩
及びスチレンスルホン酸と他の共重合性モノマーとの共
重合体とその塩。好ましくは、分子量は 500〜50万であ
る。
【0023】(IV) ジシクロペンタジエンスルホン酸重
合物又はその塩。好ましくは、重合物の分子量は 500〜
50万である。
【0024】(V) 無水マレイン酸又は/及び無水イタ
コン酸と他の共重合性モノマーとの共重合体とその酸及
び塩。好ましくは、分子量は 500〜50万である。
【0025】(VI) 液状ポリブタジエンのマレイン化物
及びその塩。好ましくは、液状ポリブタジエンの分子量
は 500〜20万である。
【0026】(VII)親水基を分子中に1個又は2個持
つ、次のアニオン界面活性剤。 (a) 炭素数4〜18のアルコールの硫酸エステル塩。 (b) 炭素数4〜18のアルカン、アルケン又は/及びアル
キルアリールスルホン酸又はその塩。 (c) 活性水素を分子中に1個以上持つ化合物のアルキレ
ンオキシド付加物の硫酸化物又はリン酸エステル化物及
びそれらの塩。 (d) 炭素数4〜22の飽和又は不飽和脂肪酸のエステルで
あるスルホコハク酸塩。 (e) アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸又はその
塩。アルキル基は炭素数8〜18のアルキル基である。 (f) ロジン酸又はその塩。ロジン酸と高級脂肪酸の混合
酸であるトール油混酸とその塩。 (g) 炭素数4〜18のアルカン又はアルケン脂肪酸とその
塩。 (h) 下記の一般式で表されるα−スルホ脂肪酸エステル
塩。
【0027】
【化1】
【0028】但し、R1は炭素数6〜22のアルキル基又は
アルケニル基、R2は炭素数1〜22のアルキル基、M は1
価又は2価の金属原子、NH4 、有機アミン、n は1又は
2を表す。
【0029】尚、(I)〜 (VII)の化合物について、塩
としてはアンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミ
ンなどの低級アミン、ナトリウム、カリウム、マグネシ
ウム、カルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類
金属類である。
【0030】<カチオン性界面活性剤及び両性界面活性
剤> (I)炭素数4〜18のアルキル又は/及びアルケニルア
ミンを無機酸又は有機酸で中和したアルキル又は/及び
アルケニルアミン塩。
【0031】(II)下記式 (1) 〜(3) で表される第
4級アンモニウム塩。
【0032】
【化2】
【0033】
【化3】
【0034】
【化4】
【0035】(III)次式で表されるアルキルベタイン。
【0036】
【化5】
【0037】(IV) 次式で表されるアルキルアミンオキ
サイド。
【0038】
【化6】
【0039】(V)次式で表されるアルキルアラニン。
【0040】
【化7】
【0041】(VI)次式(4)又は(5)で表されるポ
リアミート。
【0042】
【化8】
【0043】(VII)次式 (6) 又は (7) で表されるポ
リアミン塩。
【0044】RNHC3H6NHX' (6) RNH(C3H6NH)2X' (7) (但し、R は前記と同じ意味を有し、X'は無機酸又は有
機酸である。) (VIII)次式で表されるイミダゾリン型両性界面活性
剤。
【0045】
【化9】
【0046】(IX)次式で表されるスルホベタイン型両
性界面活性剤。
【0047】
【化10】
【0048】界面活性剤の使用量は、油分と水との混合
物に対して 0.1〜5重量%の範囲であり、好ましくは
0.1〜1重量%である。これより少ない使用量では油分
の乳化及び乳化安定性の発現が不充分であり、これより
多い使用量では不経済であるばかりでなく、乳化時の泡
立ちや粒径制御が困難となり好ましくない。
【0049】本発明の重質油エマルジョン燃料中の水の
配合量は重要であり、油分中の重質油の割合によっても
増減させる方が好ましい。つまり、油分中の重質油の割
合が多ければやや多めに、少なければやや少なめに調整
すると良い。
【0050】本発明においては、必要に応じて更なる安
定性の向上を目的として、多価アルコール及び/又は高
分子安定剤の配合も可能である。多価アルコールとして
は、分子内に2個以上の水酸基を有し水に溶解するもの
であればよく、例えばグリセリン、ポリグリセリン、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、オリゴ糖、ソル
ビトール、グルコース等の単糖類及び多糖類である。多
価アルコールの配合量は油分と水との混合物に対して
0.1〜50重量%である。高分子安定剤としては表1に示
す分子量1万以上の各種水溶性高分子の配合が可能であ
り、配合量は油分と水との混合物に対して 0.005〜3重
量%である。
【0051】
【表1】
【0052】本発明で使用される重質油とは、常温では
流動性に乏しく、高温に加熱しないと流動しない油で、
下記油が含まれる。 (1) 石油系アスファルト類及びその油の混合物 (2) 石油系アスファルト各種処理物、その中間製品、残
渣、及びそれらの混合物 (3) 常温で流動しない高流動点油 (4) 石油系タールピッチ及びその油混合物 (5) ビチューメン類、天然アスファルト、オリノコター
ル さらに限定するならば、常圧での沸点 340℃以上の成分
を90重量%以上含むものが好ましい。
【0053】本発明における食用油の配合方法は、エマ
ルジョン製造前に重質油と食用油とを混合または加熱混
合しても良く、エマルジョン製造時に添加しても良い。
場合によっては、重質油と水とを含有するエマルジョン
に後から加えて再乳化を行っても良い。
【0054】食用油を配合したエマルジョンはpHが酸性
を示す場合があるため、アルカリ成分を添加して中和す
ることも可能である。中和剤としては、アルカリ金属の
水酸化物、アンモニア又はアミンが適当であり、中和剤
の添加はエマルジョン製造前に水に溶解しておいても良
く、エマルジョン製造時に添加しても良い。中和剤の添
加量は、出来上がったエマルジョンが中性又は弱酸性か
ら弱アルカリ性を示す量が望ましい。
【0055】また、中和剤の添加は、食用油中の脂肪酸
を一部鹸化し、石鹸が生成される。この石鹸分は界面活
性剤としての働きがあり、エマルジョンの安定性をさら
に改善する効果を有する。
【0056】本発明における排気ガス中の煤塵や窒素酸
化物の低減機構は次の様である。重質油であるアスファ
ルトやビチューメン類は、燃料として一般に用いられて
いる軽油、灯油、重油等に比べ残留炭素分や窒素の含有
量が多く、燃料として用いた場合、煤塵や窒素酸化物の
増加は避けられない。一方、本発明に用いる食用油は燃
焼した場合のカロリーは重質油のそれとほぼ同等である
が、残留炭素分や窒素はほとんど含んでいない。従っ
て、重質油に対する食用油の配合比率が多くなるに従
い、煤塵や燃料に含有される窒素に由来するフューエル
NOX の低減が計れる。しかし、食用油の配合比率を上げ
ると燃え切り性が良くなり、火炎温度が上昇するため、
空気中の窒素の酸化により生成するサーマルNOx が増加
する。よって重質油と食用油の配合比率が重要である。
【0057】
【発明の効果】上述の如く、本発明によるエマルジョン
は、従来エネルギー源として有効に利用されていなかっ
たビチューメンやアスファルト等の重質油を、重油代替
燃料として使用可能ならしめ、しかも、その貯蔵安定性
の改良により、さらに汎用性を高めた画期的なエマルジ
ョン燃料である。さらに、排気ガス中の煤塵や窒素酸化
物も少ない極めて有用な重油代替燃料である。
【0058】
【実施例】以下実施例により本発明を詳述するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。
【0059】実施例1 重質油エマルジョン燃料の製造用原料として次のものを
用いた。 ・アスファルト;アラビアンライト原油から抽出したア
スファルト(比重1.015、粘度 595cP/100 ℃、軟化点2
9℃、針入度 370/25℃) ・水;イオン交換水 ・ノニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル、花王(株)製 エマルゲン921 ・アニオン性界面活性剤;ナフタリンスルホン酸ホルム
アルデヒド縮合物、花王(株)製 マイテイ150 ・食用油脂回収油; C18=81%、 C16=10%、 C14=2
%、その他=7% 酸価=5.7 ケン化価=193.1 ヨウ素価=111.8 ・高分子安定剤;カルボキシメチルセルロース、ダイセ
ル化学工業(株)製 CMC1190 ・中和剤;水酸化カリウム、和光純薬工業(株)製試
薬。
【0060】上記原料を表2の通り計量し、80℃に加熱
した後、食用油脂回収油はアスファルトに、高分子安定
剤及び中和剤は水に溶解した。以後80℃に保温しなが
ら、特殊機化工業(株)製のTKホモミキサ (低粘度攪拌
翼付き)を用い、攪拌翼の回転数は8000rpm 、攪拌時間
は3分間としてエマルジョンを製造した。製造後20℃に
て24時間放置後、エマルジョンの平均粒径、粘度、貯蔵
安定性を測定した。結果を表3に示す。
【0061】測定方法は下記の通りである。 平均粒径;レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置
((株)堀場製作所製、LA700)により測定し、メジアン
径を求めた。 粘度;東京計器製造所製 B型粘度計(型式BM)を用
い、ローターNo.3を用い、60rpm にて、回転開始1分後
の値を測定した。 安定性;沈降試験管(100cc) を用い、静置1ヶ月後の状
態を観察し、表面層の革張りの有無、水分離の有無及び
下層への沈澱の有無を3ランク(あり、少しあり、な
し) で評価した。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】表3の安定性測定結果より、比較例である
食用油脂回収油を配合していない実験No.1では、静置安
定1ヶ月において、エマルジョン表面に水分離が発生
し、また底の部分に沈降が確認され、安定性の悪いエマ
ルジョンと言える。重質油を配合していない実験No.2で
は、食用油脂回収油よりも水の比重が大きいため下に水
が分離し、安定性の悪いエマルジョンと言える。一方、
本発明である実験No.3〜8の食用油脂回収油、食用油脂
回収油及び高分子安定剤及び/又は中和剤を配合した系
では、静置安定性が極めて良好であり、1ヶ月後におい
て水の分離や底の部分への沈降のない安定性に優れたエ
マルジョン燃料と言える。
【0065】実施例2 実施例1で調製したエマルジョンと同一原料、同一配合
比率にて、各4000kgのエマルジョンを製造し、燃焼試験
を実施した。エマルジョンの製造は、5m3の反応槽 (槽
径1.9m) にアスファルト、水、界面活性剤、食用油脂回
収油、高分子安定剤、中和剤を各々80℃に加温した後仕
込み、60分間80℃を保持しながら攪拌した。攪拌翼種は
ファドラー翼であり、翼径は1.1m、回転数は64rpm であ
る。予備攪拌終了後、特殊機化工業(株)製のPL−SL型
ラインミキサーを用い、バッチ循環方式にて乳化した。
ミキサーの回転数は3600rpm であり、乳化時間は4時間
とした。乳化終了後10時間かけて20℃まで冷却し、燃焼
試験用のエマルジョンとした。燃焼試験は、横置円筒型
二重壁水冷式実験炉 (1.2mφ×3.4ml 、日本ファーネス
工業(株)製) を用い、排気ガス中の煤塵量(JIS Z-880
8)および窒素酸化物量(JIS K-0104)を測定した。結果を
表4に示す。燃焼条件は次の通りである。 バーナー;内部混合型 (日本ファーネス工業(株)製) アトマイズスチーム;温度= 170℃、流量=60リットル
/hr、圧力=4.3 kg/cm2 エマルジョン燃料;温度=50℃、流量= 150リットル/
hr、圧力=3.8 kg/cm2 空気量;1230m3/hr
【0066】
【表4】
【0067】表4の燃焼試験結果より、比較例である実
験No.1の食用油脂回収油を配合していないエマルジョン
燃料では、煤塵量が0.16g/m3、窒素酸化物量が254ppm
である。また、実験No.2の重質油を配合していないエマ
ルジョン燃料では、燃え切り性が良くなることにより火
炎温度の上昇によるサーマルNOx が増加し、燃料に含有
される窒素に由来するフューエルNOx と高温燃焼により
空気中の窒素の酸化により生成するサーマルNOx との合
計された窒素酸化物量が270ppmである。これに対し、本
発明である食用油脂回収油、食用油脂回収油及び高分子
安定剤及び/又は中和剤を配合した実験No.3〜8では、
窒素酸化物が大幅に低減し、極めてクリーンなエマルジ
ョン燃料と言える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉置 さゆり 和歌山市砂山南1−3−9 (72)発明者 山下 忠一 横浜市中区千鳥町八番地 日本石油株式会 社中央技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食用油を含有することを特徴とする重質
    油−水エマルジョン燃料組成物。
  2. 【請求項2】 (a)重質油、 (b)食用油、 (c)水および
    (d)界面活性剤を必須成分とするエマルジョン燃料であ
    って、 (a)+(b) : (c) =60〜90:10〜40 (重量比) で
    あり、かつ (d)は (a)+(b)+(c) に対して 0.1〜5重
    量%となる組成を有する重質油エマルジョン燃料組成
    物。
  3. 【請求項3】 食用油が食用油脂回収油である請求項1
    または2記載のエマルジョン燃料組成物。
JP15009493A 1992-09-08 1993-06-22 重質油エマルジョン燃料組成物 Pending JPH0711269A (ja)

Priority Applications (2)

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