JPH09257821A - 流速センサ - Google Patents

流速センサ

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JPH09257821A
JPH09257821A JP8066380A JP6638096A JPH09257821A JP H09257821 A JPH09257821 A JP H09257821A JP 8066380 A JP8066380 A JP 8066380A JP 6638096 A JP6638096 A JP 6638096A JP H09257821 A JPH09257821 A JP H09257821A
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thermopile
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heater
temperature
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Shoichi Uematsu
彰一 植松
Yasuhiro Okamoto
康広 岡本
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Yazaki Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高流速でも破壊されずに流速測定を継続す
る。 【解決手段】 ヒータ4は、外部からの駆動電流により
測定対象流体を断続的に加熱し、これと並行してサーモ
パイル5は、測定対象流体の流れによる熱伝導に起因す
る測定対象流体の温度変化を検出し、出力される温度検
出信号による測定対象流体の温度変化はヒータ4の加熱
状態に対応するものとなるので、熱伝播時間を測定する
ことにより測定対象流体の流速を容易に求められる。ま
た、温度センサとしてサーモパイル5を用いているの
で、特別な回路を設けずに温度センサの出力電圧を大き
くすることができ、測温抵抗等を用いた流速センサと比
較して、高感度化及び周辺回路の簡素化が可能となる。
また、ヒータ4及びサーモパイル5は、ほぼ平面状に形
成されているので、流速センサには開口部が少なく、高
流速(90m/sec以上)でも破壊しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流速センサに係
り、特にヒータにより発生させた熱の伝播時間を計測す
ることにより流体の流速を求める流速センサに関する。
【0002】
【従来の技術】第1従来例 図10(a)に第1従来例の熱伝播時間計測型の流速セ
ンサの斜視図を、図10(b)に図10(a)の流速セ
ンサのI−I’断面図を示す。
【0003】流速センサ101は、シリコン基板110
と、測定対象流体の流れ方向(図中矢印で示す。)上流
側に設けられた測温抵抗である温度センサ111と、シ
リコン基板110上であって測定対象流体の流れ方向下
流側に設けられた測温抵抗である温度センサ112と、
温度センサ111と温度センサ112との間の中間位置
に設けられたヒータ113と、温度センサ111、温度
センサ112及びヒータ113と、を備えて構成されて
いる。
【0004】また、流速センサ101は、エッチング用
開口114、115、116を介してエッチングするこ
とにより空隙部17を設けることにより、橋絡部118
を備えて構成されている。この橋絡部118により温度
センサ111、温度センサ112及びヒータ113は熱
的に絶縁されている。
【0005】さらに流速センサ101は、シリコン基板
110上の流れ方向最上流側に設けられた測温抵抗であ
る周囲温度測定用の周囲温度センサ119を備えて構成
されている。図11にこの流速センサ101の出力信号
に基づいて流量を検出するための流量計の回路ブロック
図を示す。
【0006】流量計120は、流速センサ101の温度
センサ111及び温度センサ112並びに抵抗123及
び抵抗124により構成されたブリッジ回路122と、
温度センサ111と抵抗123との中間接続点が非反転
入力端子に接続され、温度センサ112と抵抗124と
の中間接続点が反転入力端子に接続され、温度センサ1
11が検出した温度に相当する検出電圧Vd と温度セン
サ112が検出した温度に相当する検出電圧Vu との差
電圧を増幅して増幅差電圧Vdef を出力する増幅器12
5と、検出電圧Vd 、検出電圧Vu 及び増幅差電圧Vde
f が入力され、選択制御信号SSEL に基づいて検出電圧
Vd 、検出電圧Vu 及び増幅差電圧Vdef のうちいずれ
か一の電圧を選択電圧VSEL として出力するマルチプレ
クサ126と、選択電圧VSEL をアナログ/ディジタル
変換して選択電圧データDVSELとして出力するA/D
変換器127と、選択制御信号SSEL により順次検出電
圧Vd 、検出電圧Vu あるいは増幅差電圧Vdef に対応
する選択電圧データDVSEL が入力され、増幅差電圧V
def に基づいて原流量(温度補正前の流量)算出し、検
出電圧Vd 及び検出電圧Vu に基づいて温度センサ11
1、112のベース温度上昇を算出して温度補正係数を
求め、原流量及び温度補正係数に基づいて補正流量デー
タDcfl を算出する演算装置128と、を備えて構成さ
れている。
【0007】次に動作を説明する。まず、ヒータ113
が所定温度を保つように制御し、ヒータ113が所定温
度を保つようになったならば、図10(a)に示す矢印
方向から測定対象の流体を流す。
【0008】測定対象の流体が流れることにより、上流
側に配置された温度センサ111は冷却されて降温し、
下流側に配置された温度センサ112は、流体の流れに
伴ってヒータ113の熱伝導が促進され昇温する。これ
により温度センサ111と温度センサ112との間で温
度差が生じ、温度センサ111及び温度センサ112の
抵抗値が変化する。
【0009】この抵抗値の変化に基づきブリッジ回路1
22は、温度センサ111と温度センサ112との間の
温度差に相当する検出電圧Vd 及び検出電圧Vu を発生
し、増幅器125及びマルチプレクサ126に出力す
る。増幅器125は、検出電圧Vd と検出電圧Vu との
差電圧を増幅して増幅差電圧Vdef をマルチプレクサ1
26に出力する。
【0010】マルチプレクサ126は、選択制御信号S
SEL に基づいて検出電圧Vd 、検出電圧Vu 及び増幅差
電圧Vdef を順次切換えて選択電圧VSEL としてA/D
変換器127に出力する。A/D変換器127は、選択
電圧VSEL をアナログ/ディジタル変換して選択電圧デ
ータDVSEL として演算装置128に出力する。
【0011】演算装置128は、増幅差電圧Vdef に基
づいて原流量(温度補正前の流量)算出し、検出電圧V
d 及び検出電圧Vu に基づいて温度センサ111、11
2のベース温度上昇を算出して温度補正係数を求め、原
流量及び温度補正係数に基づいて補正流量データDcfl
を算出して出力する。
【0012】従って、精度よく流量を算出することがで
きる。第2従来例 図12に第2従来例の熱伝播時間計測型の流速センサ及
びその検出回路の構成図を示す。
【0013】流速センサ150は、測定対象流体の流れ
方向(図中矢印で示す。)上流側に設けられ、パルス電
源151が接続されて片梁構造で支持されるヒータ15
2と、ヒータ152とは測定対象流体の下流側に距離x
だけ隔離されて配置され、外部のブリッジ回路153が
接続されて片梁構造で支持される測温抵抗である温度セ
ンサ154と、を備えて構成されている。
【0014】ブリッジ回路153は、温度センサ154
並びに抵抗155、抵抗156、抵抗157及びブリッ
ジ用直流電源158を備えて構成されている。次に動作
を説明する。まず、パルス電源151を駆動することに
より矩形波のパルス電流を所定周波数で印加する。
【0015】流体が流れていない場合には、ブリッジ回
路153は平衡が保たれ、出力電圧Vout は0[V]と
なる。ここで、測定対象流体を矢印方向に流すことによ
り、ヒータ152により加熱された測定対象流体が温度
センサ154に到達し、温度センサ154の抵抗値が変
化し、変化量に応じた電圧Vout が出力されることとな
る。
【0016】この電圧Vout に基づいて図示しない演算
回路により演算を行ない、流速を求める。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上記第1従来例の流速
センサにおいては、測定対象流体の流れに沿って開口部
であるエッチング用開口114、115、116が設け
られているため高流速(例えば、60m/sec以上)
では、乱流等が発生し、橋絡部118、ひいては、流速
センサ101が破壊されるおそれがあった。
【0018】同様に上記第2従来例の流速センサにおい
ては、測定対象流体内に梁部63a、64aが突出して
設けられているため、高流速においては、梁部63a、
64aに高い応力が印加されることとなり、梁部63
a、64aが折れる等、流速センサ150が破壊される
おそれがあった。
【0019】そこで、本発明の目的は、高流速において
も、破壊されることなく流速を測定を継続することが可
能な流速センサ及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1記載の発明は、測定対象流体の流速を熱伝
播時間を計測することにより検出する流速センサにおい
て、外部からの駆動電流により前記測定対象流体を断続
的に加熱するヒータと、前記ヒータに対し前記測定対象
流体の下流側に配置され、前記測定対象流体の温度を検
出し、温度検出信号を出力するサーモパイルと、前記ヒ
ータ及び前記サーモパイルを支持する支持基板と、を備
えて構成する。
【0021】請求項1記載の発明によれば、ヒータは、
外部からの駆動電流により測定対象流体を断続的に加熱
する。これと並行してサーモパイルは、測定対象流体の
流れによる熱伝導に起因する測定対象流体の温度変化を
検出し、温度検出信号を出力する。
【0022】このときの測定対象流体の温度変化はヒー
タの加熱状態に対応するものとなり、測定対象流体の温
度変化は温度ピークを有するものとなる。従って、熱伝
播時間(例えば、ヒータ加熱開始時刻から測定対象流体
の温度ピーク時刻)を測定することにより測定対象流体
の流速を求めることができる。
【0023】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記支持基板は、周辺部分が固定されたダ
イアフラム部を有し、前記サーモパイルのうち前記サー
モパイルを構成する熱電対の冷接点を除く部分及び前記
ヒータは前記ダイアフラム部上に形成されるように構成
する。
【0024】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明の作用に加えて、支持基板は、周辺部分が固定
されたダイアフラム部を有し、サーモパイルのうちサー
モパイルを構成する熱電対の冷接点を除く部分及びヒー
タはダイアフラム部上に形成されているので、サーモパ
イル及びヒータの熱容量を小さくすることができる。
【0025】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発
明において、前記ダイアフラム部は、SiO2 層及びS
3 4 層を有するように構成する。請求項3記載の発
明によれば、請求項2記載の発明の作用に加えて、ダイ
アフラム部は、SiO2 層及びSi3 4 層を有するの
で、強度を保持したまま、ダイアフラム部の厚さを低減
することができ、熱容量を小さくできる。
【0026】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明において、前記ダイアフラム部のうち、前記ヒータの
形成部分については、さらにp++−Si層が設けられ、
前記ヒータの周囲に熱絶縁用開口部を設けて構成する。
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明の作
用に加えて、ダイアフラム部のうち、ヒータの形成部分
については、さらにp++−Si層が設けられ、ヒータの
周囲に熱絶縁用開口部を設けているので、ヒータの形成
部分における機械強度を向上して保持基板の反りを軽減
し、ヒータ形成部分の熱伝導性を向上して均一な加熱を
行なうとともに、熱絶縁用開口部により、サーモパイル
側に直接的に熱伝導が起こるのを防止する。
【0027】請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求
項4記載の発明において、前記サーモパイルを構成する
熱電対は、p++−SiとAlとを接合することにより構
成する。請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至請
求項4記載の発明の作用に加えて、前記サーモパイルを
構成する熱電対は、p++−SiとAlとを接合すること
により構成しているので、通常の半導体製造工程を用い
て容易に熱電対を構成することができる。
【0028】請求項6記載の発明は、請求項2乃至請求
項5記載の発明において、前記サーモパイルの冷接点
は、前記支持基板の前記ダイアフラム部を除く領域に形
成され、サーモパイルの温接点は、前記ダイアフラム部
上に形成されているように構成する。
【0029】請求項6記載の発明によれば、請求項2乃
至請求項5記載の発明の作用に加えて、サーモパイルの
冷接点は、支持基板のダイアフラム部を除く領域に形成
され、サーモパイルの温接点は、ダイアフラム部上に形
成されているので、冷接点と温接点との熱容量の差を大
きくすることができ、熱電対の起電力、すなわち、温度
検出信号の電圧を高くできる。
【0030】請求項7記載の発明は、請求項3乃至請求
項5記載の発明において、前記支持基板は、Si基板で
形成されており、前記サーモパイルの冷接点は、前記S
i基板上に形成され、前記サーモパイルの温接点は、前
記ダイアフラム部上に形成されているように構成する。
【0031】請求項7記載の発明によれば、請求項3乃
至請求項5記載の発明の作用に加えて、サーモパイルの
冷接点は、支持基板であるSi基板上に形成され、サー
モパイルの温接点は、ダイアフラム部上に形成されてい
るので、冷接点と温接点との熱容量の差をさらに大きく
することができ、熱電対の起電力、すなわち、温度検出
信号の電圧をさらに高くできる。
【0032】
【発明の実施の形態】次に図面を参照して本発明の好適
な実施形態を説明する。第1実施形態 図1に第1実施形態の流速センサの天面図を示す。
【0033】流速センサ1は、支持基板としてのSi基
板2と、SiO2 層及びSi3 4層から構成されるダ
イアフラム部としてのダイアフラム3と、ダイアフラム
3上に形成されたヒータとしてのマイクロヒータ4と、
マイクロヒータ4の下流側であって冷接点形成部分を除
きダイアフラム3上に形成されたサーモパイル5と、電
源端子6A、6Bを有しマイクロヒータ4に駆動電流を
供給するための電源配線6と、出力端子7A、7Bを有
し、サーモパイル5から出力される温度検出信号を出力
するための出力配線7と、を備えて構成されている。
【0034】図2にサーモパイルの拡大天面図(図2
(a))及び断面図(図2(b))を示す。サーモパイ
ル5を構成する熱電対は、p++−Si及びAlにより構
成され、図2(b)に示すように、サーモパイル5の冷
接点5Aは、Si基板2(厚さ約400[μm])のダ
イアフラム3を形成していない部分に設けられ、サーモ
パイル5の温接点5BはSiO2 層及びSi3 4 層か
ら構成されるダイアフラム3上に設けられている。
【0035】本サーモパイル5によれば、流速範囲0.
01[m/sec]〜3[m/sec]で数10[m
V]の出力電圧が得られるため大きな増幅を必要とせ
ず、信号処理が可能となる。ここで図3を参照してサー
モパイルの形成工程について説明する。
【0036】まず、図3(a)に示すように、Si基板
2の両面の表面を酸化することにより、SiO2 層をS
i基板2の両面に形成する。次に図3(b)に示すよう
に、SiO2 層をホトリソグラフィによりエッチング
し、Si基板の上面(図中、上側)に窓を開け、p型不
純物であるホウ素(B;Boron)を高濃度に拡散し、p
++−Si層10を形成する。そして、p++−Si層10
を形成した後、表面のSiO2 層を除去する。
【0037】つづいて、図3(c)に示すように、SI
基板2(p++−Si層10を含む。)の両面の表面を酸
化することにより、再びSiO2 層をSi基板2の両面
に形成する。そして、Si基板の両面にSi3 4 層を
蒸着により形成し、Si3 4 層を覆うべく表面を酸化
することによりSiO2 層を形成する。この結果、Si
基板2の両面にSiO2 /Si3 4 /SiO2 層11
が形成されることとなる。
【0038】次にホトレジスト膜を形成し、上面は配線
用コンタクトホールに対応するマスクで露光を行ない、
図3(d)に示すように、SiO2 /Si3 4 /Si
2層11を除去し、コンタクトホール12を形成す
る。一方、下面はダイアフラムに対応するマスクで露光
を行ない、ダイアフラム相当部分のSiO2 /Si3
4 /SiO2 層11を除去する。
【0039】つづいて図3(e)に示すように、配線用
のAl薄膜13を真空蒸着法により形成し、ホトリソグ
ラフィにより配線パターン部分だけを残し、不要なAl
薄膜をエッチングにより除去し、焼成(シンタリング)
する。次に図3(f)に示すように、保護用のSiO2
層14を蒸着により形成し、フォトリソグラフィにより
ボンディングパッド位置相当部分に窓を開け、SiO 2
層を除去することによりボンディングパッド15を形成
する。
【0040】つづいて、図3(g)に示すように、Si
基板2をSiO2 /Si3 4 /SiO2 層11をマス
クとして異方性エッチングし、凹部を形成することによ
りダイアフラム3を形成する。以上の工程により、サー
モパイル5が形成されることとなる。
【0041】次に図4を参照してマイクロヒータの形成
工程について説明する。図4において図3と同一の部分
には同一の符号を付して説明する。まず、図4(a)に
示すように、Si基板2の両面の表面を酸化することに
より、SiO2 層をSi基板の両面に形成する。この工
程は図3(a)の工程と同時に行なわれる。
【0042】次に図4(b)に示すように、SiO2
をホトリソグラフィによりエッチングし、Si基板2の
上面(図中、上側)に窓を開け、p型不純物であるホウ
素(B;Boron)を高濃度に拡散し、p++−Si層10
を形成する。この工程は図3(b)の工程と同時に行な
われる。
【0043】つづいて、図4(c)に示すように、SI
基板2(p++−Si層10を含む。)の両面の表面を酸
化することにより、再びSiO2 層をSi基板の両面に
形成する。そして、Si基板の両面にSi3 4 層を蒸
着により形成し、Si3 4層を覆うべく表面を酸化す
ることによりSiO2 層を形成する。この結果、Si基
板2の両面にSiO2 /Si3 4 /SiO2 層11が
形成されることとなる。この工程は、図3(c)の工程
と同時に行なわれる。
【0044】次にホトレジスト膜を形成し、下面はダイ
アフラム3に対応するマスクで露光を行ない、図4
(d)に示すように、ダイアフラム相当部分のSiO2
/Si34 /SiO2 層を除去する。この工程は図3
(d)の工程と同時に行なわれる。
【0045】つづいて、図4(e)に示すように、フォ
トリソグラフィにより上面側のSiO2 /Si3 4
SiO2 層の上面にPt/Ti層形成領域に対応する窓
を開け、電子ビーム蒸着(Ptスパッタ)により当該P
t/Ti層形成領域にPt/Ti層20を形成する。
【0046】そしてリフトオフにより余分なPt/Ti
層20及びホトレジストを除去する。次に図4(f)に
示すように、保護用のSiO2 層14を蒸着により形成
し、フォトリソグラフィによりボンディングパッド位置
相当部分に窓を開け、SiO 2 層14を除去することに
よりボンディングパッド21を形成する。この工程は、
図3(f)の工程と同時に行なわれる。
【0047】つづいて、図4(g)に示すように、Si
基板2をSiO2 /Si3 4 /SiO2 層11をマス
クとして異方性エッチングし、凹部を形成することによ
りダイアフラム3を形成する。この工程は、図3(g)
の工程と同時に行なわれる。以上の工程により、マイク
ロヒータ4がダイアフラム3上に形成されることとな
る。
【0048】図5に流速センサ1から出力される温度検
出信号を処理するとともに、マイクロヒータを駆動する
ための流速演算制御回路の概要構成ブロック図を示す。
流速演算制御回路30は、所定周波数の基準発振信号S
REF を出力するオシレータ31と、基準発振信号SREF
に基づいて、マイクロヒータ4に駆動電流を供給すべ
く、所定周期を有する矩形パルス信号SPを生成し出力
するクロックジェネレータ32と、出力端子7A、7B
を介して入力される温度検出信号Tを増幅して増幅温度
検出信号ATとして出力するアンプ33と、増幅温度検
出信号ATの電圧と予め定めた基準電圧VREF とを比較
することにより、増幅温度検出信号ATの電圧が基準電
圧VREF よりも高い場合に“H”レベルの出力信号を比
較結果信号SCMP として出力するコンパレータ34と、
矩形パルス信号SPがセット入力端子Sに入力され、比
較結果信号SCMP がリセット入力端子Rに入力され、セ
ット入力端子S及びリセット入力端子Rの状態に応じた
出力信号SOUT をセット出力端子Qから出力するRSフ
リップフロップ回路35と、出力信号SOUT に基づいて
測定対象流体の流速を求め、流速データDFLを出力する
演算装置36と、を備えて構成されている。
【0049】次に図6のタイミングチャート及び図7の
信号波形図を参照して流速演算制御回路30の動作を説
明する。オシレータ31は、所定周波数の基準発振信号
SREF (図6(a)参照)を生成し、クロックジェネレ
ータ32に出力する。
【0050】クロックジェネレータ32は、入力された
基準発振信号SREF に基づいて、所定周期を有する矩形
パルス信号SP(図6(b)参照)を生成し、マイクロ
ヒータ4に電源端子6A、6Bを介して駆動電流として
供給するとともに、矩形パルス信号SPをRSフリップ
フロップ回路35のセット入力端子Sに出力する。
【0051】この結果、RSフリップフロップ回路35
のセット出力端子Qから出力される出力信号SOUT は、
“L”レベルから“H”レベルへと信号遷移することと
なる(図6(e)、時刻t1 参照)。マイクロヒータ4
に入力された矩形パルス信号SPは、より具体的には図
7に示すものとなる。
【0052】この矩形パルス信号SPの立上がりタイミ
ングからマイクロヒータ4は加熱を開始することとな
り、測定対象流体としてのガスが流れると、マイクロヒ
ータ4が発生した熱は、ガスを媒体としてサーモパイル
5に伝達されることとなる。これによりサーモパイル5
は、伝達された熱を検出し、冷接点5Aと温接点5Bと
の熱起電力の差及び熱容量の差から電圧が発生し、出力
端子7A、7Bを介して温度検出信号Tがアンプ33に
出力される。
【0053】アンプ33は、温度検出信号Tを増幅して
増幅温度検出信号AT(図6(c)及び図7参照)とし
てコンパレータ34に出力する。コンパレータ34は、
図6(c)に示す基準電圧VREF と増幅温度検出信号A
Tの電圧とを比較して、増幅温度検出信号ATの電圧が
基準電圧VREF を超えた場合に“H”レベルの比較結果
信号SCMP (図6(d)参照)をRSフリップフロップ
回路35のリセット入力端子Rに出力することとなる。
【0054】この場合において、基準電圧VREF は、測
定対象流体の測定可能流速範囲内において、増幅温度検
出信号ATに基づいて一の矩形パルス信号SPに対応し
てマイクロヒータ4により発生した熱に起因する温度上
昇を確実に検出できる電圧に設定される。また、この基
準電圧VREF は、周囲温度に応じて変化させるのが好ま
しい。もし、仮に基準電圧VREF を固定とするならば、
周囲温度が高くなれば、正確にマイクロヒータ4により
発生した熱に起因する温度上昇か否かを判別できなくな
るからであり、周囲温度が低くなれば、温度上昇自体を
検出することができなくなるからである。
【0055】コンパレータ34から出力される比較結果
信号SCMP が“H”レベルとなると、RSフリップフロ
ップ回路35のセット出力端子Qから出力される出力信
号SOUT は、“H”レベルから“L”レベルへと信号遷
移することとなる(図6(e)、時刻t2 参照)。
【0056】これらの結果、時刻t1 から時刻t2 まで
の時間は、熱伝播時間WPに相当することとなり、この
熱伝播時間WPが短ければ、流速は速く、熱伝播時間W
Pが長ければ、流速は遅いこととなる。図8に熱伝播時
間WPの逆数と測定対象流体の流速の関係を示す。
【0057】図8において、縦軸は熱伝播時間WPの逆
数(単位msec-1)であり、横軸は流速(単位m/s
ec)である。図8より熱伝播時間が短いほど流速が高
いことがわかる。そこで、演算装置36は、出力信号S
OUT から熱伝播時間を求め、さらにこの逆数を求めて、
図8の関係より測定対象流体の流速を求める。
【0058】より具体的には、熱伝播時間が4[mse
c]であったとすると、熱伝播時間の逆数は、0.25
[msec-1]となり、マイクロヒータ4の入力電圧V
a(=矩形パルス信号SPの電圧)=4[V]の場合に
は、測定対象流体の流速は約1.3[m/sec]とな
る。
【0059】本第1実施形態の流速センサによれば、流
速測定面側には開口部が設けられていないので、最大耐
流速90m/secとなっている。以上の説明のように
本第1実施形態によれば、高流速(60m/sec以
上)の使用環境下でもセンサの破壊を招かずに連続的に
流速を測定することが可能となる。
【0060】より具体的には、フルイディックガスメー
タ用微小流量センサとしては、最大耐流速60m/se
c(=流量4000L/h相当)の環境下で用いること
ができる。従って、フルイディック素子のノズル部に直
接取付けることができ、ガスメータの小型化に寄与する
ことが可能となる。第2実施形態 上記第1実施形態においては、マイクロヒータ4近傍の
ダイアフラム3はSiO2 層とSi3 4 層との二層構
造であったが、本第2実施形態は、マイクロヒータ4近
傍のダイアフラムをSiO2 層/Si3 4 層/p++
Si層の三層構造として、製造歩留りを向上させてい
る。
【0061】図9に第2実施形態の流速センサの天面図
を示す。図9において、図1の第1実施形態と同一の部
分には同一の符号を付す。流速センサ61は、支持基板
としてのSi基板2と、SiO2 層及びSi3 4 層か
ら構成されるダイアフラム部の一部としての第1ダイア
フラム62と、SiO2 層、Si3 4 層及びp++−S
i層から構成されるダイアフラム部の一部としての第2
ダイアフラム63と、第2ダイアフラム63上に形成さ
れたヒータとしてのマイクロヒータ4と、マイクロヒー
タ4の下流側であって冷接点形成部分を除き第1ダイア
フラム62上に形成されたサーモパイル65と、電源端
子6A、6Bを有しマイクロヒータ4に駆動電流を供給
するための電源配線6と、出力端子7A、7Bを有し、
サーモパイル5から出力される温度検出信号Tを出力す
るための出力配線7と、を備えて構成されている。
【0062】さらに第2ダイアフラム63上であって、
マイクロヒータ4の周囲には、p++−Si層により熱伝
導性が向上して、サーモパイル5側に熱が直接的に伝達
するのを抑制するための複数の熱絶縁用孔65が設けら
れている。この場合において、第2ダイアフラム63
は、SiO2 層、Si3 4 層及びp++−Si層の三層
構造とされているので、マイクロヒータ4の加熱/非加
熱のヒートサイクルによるダイアフラムの反りを軽減す
るとともに、マイクロヒータ4の加熱を均一に行なえ
る。
【0063】また、ダイアフラムをSiO2 層及びSi
3 4 層の二層構造とする場合よりもSiO2 層及びS
3 4 層の膜厚制御が容易となり、製造歩留りを95
[%]以上とすることができる。さらに本第2実施形態
の流速センサによれば、流速測定面側には開口部が設け
られていないので、最大耐流速90m/secとなって
いる。
【0064】以上の説明のように本第2実施形態によれ
ば、高流速(60m/sec以上)の使用環境下でもセ
ンサの破壊を招かずに連続的に流速を測定することが可
能となり、第1実施形態の流速センサと同様に、フルイ
ディックガスメータ用微小流量センサとしては、最大耐
流速60m/sec(=流量4000L/h相当)の環
境下で用いることができる。
【0065】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、ヒータ
は、外部からの駆動電流により測定対象流体を断続的に
加熱し、これと並行してサーモパイルは、測定対象流体
の流れによる熱伝導に起因する測定対象流体の温度変化
を検出し、温度検出信号を出力し、測定対象流体の温度
変化はヒータの加熱状態に対応するものとなり、測定対
象流体の温度変化は温度ピークを有するものとなるの
で、熱伝播時間(例えば、ヒータ加熱開始時刻から測定
対象流体の温度ピーク時刻)を測定することにより測定
対象流体の流速を容易に求めることができる。
【0066】また、温度センサとしてサーモパイルを用
いているので、特別な回路を設けることなく、温度セン
サの出力電圧を大きくすることができる。この結果、測
温抵抗等を用いた流速センサと比較して、高感度化及び
周辺回路の簡素化が可能となる。
【0067】また、ヒータ及びサーモパイルは、ほぼ平
面状に形成されているので、流速センサには開口部が少
なく、高流速(90m/sec以上)でも破壊しない。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効
果に加えて、支持基板は、周辺部分が固定されたダイア
フラム部を有し、サーモパイルのうちサーモパイルを構
成する熱電対の冷接点を除く部分及びヒータはダイアフ
ラム部上に形成されているので、サーモパイル及びヒー
タの熱容量を小さくすることができ、消費電力を低減す
ることができる。
【0068】請求項3記載の発明によれば、請求項2記
載の発明の効果に加えて、ダイアフラム部は、SiO2
層及びSi3 N4 層を有するので、強度を保持したま
ま、ダイアフラム部の厚さを低減することができ、熱容
量を小さくできるので、高強度で消費電力を低減するこ
とができる。
【0069】請求項4記載の発明によれば、請求項3記
載の発明の効果に加えて、ダイアフラム部のうち、ヒー
タの形成部分については、さらにp++−Si層が設けら
れ、ヒータの周囲に熱絶縁用開口部を設けることによ
り、ヒータの形成部分における機械強度を向上して保持
基板の反りを軽減し、ヒータ形成部分の熱伝導性を向上
して均一な加熱を行なうとともに、熱絶縁用開口部によ
り、サーモパイル側に直接的に熱伝導が起こるのを防止
して消費電力を低減できる。
【0070】また、p++−Si層を設けることにより製
造条件が緩和され、製造歩留りを向上することができ
る。請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至請求項
4記載の発明の効果に加えて、サーモパイルを構成する
熱電対は、p++−SiとAlとを接合することにより構
成しているので、通常の半導体製造工程を用いて容易に
熱電対を構成することができ、量産化が容易で、製造コ
ストを低減することができる。
【0071】請求項6記載の発明によれば、請求項2乃
至請求項5記載の発明の効果に加えて、サーモパイルの
冷接点は、支持基板のダイアフラム部を除く領域に形成
され、サーモパイルの温接点は、ダイアフラム部上に形
成されているので、冷接点と温接点との熱容量の差を大
きくすることができ、熱電対の起電力、すなわち、温度
検出信号の電圧を高くでき、より高感度なセンサを構成
することができる。
【0072】請求項7記載の発明によれば、請求項3乃
至請求項5記載の発明の効果に加えて、サーモパイルの
冷接点は、支持基板であるSi基板上に形成され、サー
モパイルの温接点は、ダイアフラム部上に形成されてい
るので、冷接点と温接点との熱容量の差をさらに大きく
することができ、熱電対の起電力、すなわち、温度検出
信号の電圧をさらに高くでき、さらに高感度なセンサを
構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の流速センサの天面図である。
【図2】サーモパイルの天面図及び断面図である。
【図3】サーモパイルの製造工程説明図である。
【図4】マイクロヒータの製造工程説明図である。
【図5】流速演算制御回路の概要構成ブロック図であ
る。
【図6】流速演算制御回路のタイミングチャートであ
る。
【図7】流速演算制御回路の詳細波形説明図である。
【図8】流速と熱伝播時間の逆数の関係説明図である。
【図9】第2実施形態の流速センサの天面図である。
【図10】第1従来例の流速センサの斜視図及び断面図
である。
【図11】第1従来例の流速センサを用いて流量計を構
成する場合の概要構成ブロック図である。
【図12】第2従来例の流速センサ及び流量計の説明図
である。
【符号の説明】
1 流速センサ 2 Si基板 3 ダイアフラム 4 マイクロヒータ 5 サーモパイル 5A 冷接点 5B 温接点 6 電源配線 7 出力配線 10 p++−Si層 11 SiO2 /Si3 4 /SiO2 層 12 コンタクトホール 13 Al薄膜 14 SiO2 層 15 ボンディングパッド 20 Pt/Ti層 21 ボンディングパッド 30 流速演算制御回路 31 オシレータ 32 クロックジェネレータ 33 アンプ 34 コンパレータ 35 RSフリップフロップ回路 36 演算回路 61 流速センサ 62 第1ダイアフラム 63 第2ダイアフラム 65 熱絶縁用孔 SREF 基準発振信号 SP 矩形パルス信号 T 温度検出信号 AT 増幅温度検出信号 VREF 基準電圧 SCMP 比較結果信号 SOUT 出力信号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象流体の流速を熱伝播時間を計測
    することにより検出する流速センサにおいて、 外部からの駆動電流により前記測定対象流体を断続的に
    加熱するヒータと、 前記ヒータに対し前記測定対象流体の下流側に配置さ
    れ、前記測定対象流体の温度を検出し、温度検出信号を
    出力するサーモパイルと、 前記ヒータ及び前記サーモパイルを支持する支持基板
    と、 を備えたことを特徴とする流速センサ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の流速センサにおいて、 前記支持基板は、周辺部分が固定されたダイアフラム部
    を有し、 前記サーモパイルのうち前記サーモパイルを構成する熱
    電対の冷接点を除く部分及び前記ヒータは前記ダイアフ
    ラム部上に形成されていることを特徴とする流速セン
    サ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の流速センサにおいて、 前記ダイアフラム部は、SiO2 層及びSi3 4 層を
    有することを特徴とする流速センサ。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の流速センサにおいて、 前記ダイアフラム部のうち、前記ヒータの形成部分につ
    いては、さらにp++−Si層が設けられ、前記ヒータの
    周囲に熱絶縁用開口部を設けたことを特徴とする流速セ
    ンサ。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4記載の流速センサ
    において、 前記サーモパイルを構成する熱電対は、p++−SiとA
    lとを接合することにより構成していることを特徴とす
    る流速センサ。
  6. 【請求項6】 請求項2乃至請求項5記載の流速センサ
    において、 前記サーモパイルの冷接点は、前記支持基板の前記ダイ
    アフラム部を除く領域に形成され、 前記サーモパイルの温接点は、前記ダイアフラム部上に
    形成されていることを特徴とする流速センサ。
  7. 【請求項7】 請求項3乃至請求項5記載の流速センサ
    において、 前記支持基板は、Si基板で形成されており、 前記サーモパイルの冷接点は、前記Si基板上に形成さ
    れ、 前記サーモパイルの温接点は、前記ダイアフラム部上に
    形成されていることを特徴とする流速センサ。
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