JPH09254559A - タグ、ラベル用溶融転写型インク受像シート及びその製造方法 - Google Patents

タグ、ラベル用溶融転写型インク受像シート及びその製造方法

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JPH09254559A
JPH09254559A JP8065817A JP6581796A JPH09254559A JP H09254559 A JPH09254559 A JP H09254559A JP 8065817 A JP8065817 A JP 8065817A JP 6581796 A JP6581796 A JP 6581796A JP H09254559 A JPH09254559 A JP H09254559A
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sheet
resin
ink
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JP8065817A
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Tatsu Nakai
達 中居
Hiroyuki Fujii
博行 藤井
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、記録濃度が高く、階調再現性、ド
ット再現性、およびカラー鮮明性が良好で、かつ受容層
表面の耐久性に優れたタグ、ラベル用溶融転写型インク
受像シートを提供することを目的とする。 【解決手段】 シート状支持体と、この支持体の一面上
に、樹脂含有液から形成され、かつ多孔性樹脂含有皮膜
からなる多孔性インク受容層とを有し、前記多孔性イン
ク受容層の表面の平均気孔直径が、0.5から30μm
の範囲にあり、かつ、前記多孔性インク受容層にSTI
グレード値(バーコード読み取り性能指標値)100%
のバーコードを印字し、先端直径が50μmで100g
の荷重を掛けたサファイヤ針を用いて、前記バーコード
の一個のバーの中央部を、このバーに並行に擦過したと
き、前記STIグレード値の低下率が40%以下である
タグ、ラベル用溶融転写型インク受像シート及びその製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タグ、ラベル用溶
融転写型インク受像シートおよびその製造方法に関する
ものである。更に詳しく述べるならば、本発明は熱ヘッ
ドを用いる溶融転写型熱転写用プリンターに使用された
とき、記録濃度とともに階調再現性およびドット再現性
が良好で、かつ耐久性に優れたタグ、ラベル用溶融転写
型インク受像シート及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】熱転写インクシートとサーマルヘッドと
を利用する熱溶融転写記録方式は、機構が簡単で保守が
容易なため、ワードプロセッサーやファクシミリ等のプ
リンターに広く用いられており、この記録方式に用いら
れる溶融転写型インク受像シート(受像シート)として
は上質紙が使用されてきた。しかし近年、熱転写記録の
フルカラー化に伴い従来より高い階調再現性を得るた
め、プリンターにおいてはひとつのドットの大きさを変
えずに階調を得る従来の方法から、各ドットの大きさを
変更するドット可変方式に移行している。また受像シー
トにおいては、低い印加エネルギーから高い印加エネル
ギーにわたるフルカラー記録において、溶融転写された
インクのドット形状が忠実に再現されるドット再現性に
優れ、かつ充分な量のインクが転写され、記録濃度が高
いことが記録画像の重要な品質になっている。
【0003】上記のような熱転写画像のフルカラー化に
対して、受像シートの特性も適切に対応する必要が生じ
ている。すなわち、フルカラー熱溶融転写方式において
通常の印刷用の非塗工紙を用いると、断熱性の低さに起
因すると考えられる記録濃度の低下や、クッション性の
不足によるドット再現性不良が発生することがある。ま
た、その表面が粗すぎる場合には、インクが転写されな
い部分、すなわちヌケが発生したり、逆に表面が平滑す
ぎる場合には、インクの投錨効果が働かず、転写された
インクがインクリボンに逆転写してしまうということに
よるヌケが発生しやすくなる。これらはいずれもドット
再現性不良の原因となる。上記のようなドット再現性の
不良に起因する記録濃度の低下の他に、溶融インク受容
層のインク吸収性の低さに起因する記録濃度の低下も発
生することがある。
【0004】これらの問題を解決する試みとして、受像
シートのクッション性の向上のために、支持体上に中空
粒子を含有するアンダーコート層を設けることが提案さ
れている(特開平2−89690号公報、特開昭64−
27996号公報)。しかし、この方法でも得られる受
像シートのクッション性や断熱性が未だ不十分である。
また、中空粒子が受容層の有機溶媒などに溶解する場合
には、耐有機溶剤性の高分子を中空粒子の接着剤として
使用するか、あるいは中空粒子を含む層上に耐有機溶剤
性の高分子層を設けることが必要であり製造上の問題が
ある。
【0005】上記問題を解決するための他の試みとして
は、プラスチックを主成分とするシート状支持体上に、
水中で溶出する成分を含んだ樹脂層を形成し、この樹脂
層から水溶性成分を溶出除去し、それによって受像シー
トのインク受容能力を向上させた例もあるが(特開平2
−41287号公報)、この場合十分な最高濃度が得ら
れないか、あるいは印画像に光沢がないなどの欠点があ
り、受像シートに対して望まれる要求品質を満足するに
は至っていない。また、この受像シートはプラスチック
を主成分としているため資源のリサイクルが困難であ
る。
【0006】また上記のような溶融転写方式の画像のフ
ルカラー記録性能に対する要求の高まりとともに、近
年、商品の多様化や物流の合理化等のために、在庫管
理、輸送管理、販売管理等の物流管理を合理的に進める
ために、バーコードを印字したタグによる物品の管理が
一般に行われるようになって来ている。今後タグ用途に
おいても、物品の識別をより容易に行うため、あるいは
最近施行されたPL法に関連して、消費者に対する様々
な商品の注意喚起を促す等の目的のために、単色のバー
コードや文字の印字のみならず、フルカラー画像も記録
できる受像シートの需要が拡大するものと予想され、ま
た、受像シートの裏面に粘着加工を施したラベルの分野
においても同様である。
【0007】しかしながら、従来の溶融転写型インク受
像シートをタグあるいはラベル等の産業用に用いるため
には、フルカラー記録性能、すなわち高い記録濃度、良
好なドット再現性、階調再現性、カラー鮮明性に優れて
いるだけでなく、さらに、バーコード読み取り時の画像
の耐久性に優れた、すなわちペン型の読み取りセンサー
等でバーコード印字部の読み取り操作を繰り返し行った
場合にも、記録画像が欠損しない、あるいは物品用コン
テナー等に貼付し、輸送中あるいは搬送中に様々なもの
と接触しても印字部が欠損しにくいことなどの耐久性能
も兼ね備えた受像シートが強く要望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
上記問題点を解消し、溶融転写型カラープリンターに使
用したときに、記録濃度が高く、ドット再現性、階調再
現性およびカラー鮮明性が良好で、かつ、受容層の耐久
性に優れたタグ、ラベル用溶融転写型インク受像シート
を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のタグ、ラベル用
溶融転写型インク受像シートは、シート状支持体と、こ
の支持体の一面上に、樹脂含有液から形成され、かつ多
孔性樹脂含有皮膜からなる多孔性インク受容層とを有
し、前記多孔性インク受容層の表面の平均気孔直径が
0.5から30μmの範囲にあり、かつ、前記多孔性イ
ンク受容層にSTIグレード値(バーコード読み取り性
能指標値)100%のバーコードを印字し、先端直径が
50μmで100gの荷重を掛けたサファイヤ針を用い
て、前記バーコードの一個のバーの中央部を、このバー
に並行に擦過したとき、前記STIグレード値の低下率
が40%以下であることを特徴とするものである。ま
た、本発明のタグ、ラベル用溶融転写型インク受像シー
トは、前記多孔性インク受容層を、その厚さ方向に対し
て加圧し、10%圧縮変形させたときに生じる応力が5
〜40kg/cm2 であることが好ましい。本発明のタ
グ、ラベル用溶融転写型インク受像シートの製造方法
は、樹脂含有液に機械的撹拌を施して多数の微細気泡を
含有させた塗料の発泡倍率(一定重量の塗料で比較し
た、起泡後の体積と起泡前の体積の比)が1倍を越え、
3.0倍以下の範囲である気泡含有樹脂混合液を、シー
ト状支持体の一面上に塗工、乾燥して、表面の平均気孔
直径が0.5から30μmの範囲にある多孔性インク受
容層を形成することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記の目的を達成
すべく鋭意検討した結果、シート状の支持体上に多数の
微細気泡を含有した樹脂液を塗工、乾燥して多孔性イン
ク受容層を形成することにより、かつ、この多孔性イン
ク受容層の表面の気孔直径と耐擦過性を適正化すること
により、上記の問題を解決できることを見出し、本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明の溶融転写型イ
ンク受像シートは、樹脂含有液から形成され、かつ微細
気泡からなる多孔性インク受容層を有し、溶融熱転写プ
リンターによる記録において、十分な記録濃度の画像が
得られ、ドット再現性、階調再現性、およびカラー画像
の鮮明性が良好であり、タグ、ラベル用途として実用的
に十分な表面強度を有するものである。
【0011】本発明においては、受像シートの多孔性イ
ンク受容層に、STIグレード値(バーコード読み取り
性能指標値)100%のバーコードを記録し、先端直径
が50μmで100gの荷重を掛けたサファイヤ針を用
いて、バーコードの一個のバーの中央部を、このバーに
並行に擦過したとき、STIグレード値の低下率が40
%以下であることが重要であり、好ましくは0〜20%
の範囲である。すなわち、本発明においては、多孔性イ
ンク受容層の耐久性を規定するものであり、サーマルプ
リンターを用いて、STIグレード値が100%となる
ような一定条件のもとで、バーコードを多孔性インク受
容層上に印字し、耐擦過性試験機(例えば、SCRAT
CHING TESTER TYPE:HEIDON−
14D型(商標)、HEIDON社製)を使用し、装着
されているサファイア針に特定の荷重を掛けて擦過した
後、バーコード検証器でバーコードの読み取り評価を行
うことにより、STIグレード値の低下率(%)から多
孔性インク受容層面の損傷程度を判定するものである。
STIグレード値の低下率(%)の値は小さい程、受容
層の損傷程度は小さく、耐擦過性に優れている。ここ
で、STIグレード値の低下率A(%)は、擦過前後の
STIグレード値を、それぞれS1、S2としたとき、
下記式(1)で表される。 (1) A(%)=(S1−S2)/S1 ×100
【0012】本発明においては、前記耐擦過性試験機の
サファイア針を用いて、バーコード中の一個のバー印字
部の中央部を、このバーに並行に擦過するものであり、
それによって、多孔性インク受容層の損傷状態をSTI
グレード値から極めて容易に判定できることを見出し、
かつ、先端直径50μmのサファイア針を選択し、これ
に掛ける荷重を100gに特定することにより、多孔性
インク受容層上に形成されたバーコード画像に対して、
ペン型の読み取り用センサーなどで読み取り操作が繰り
返して行われたり、爪などで引っ掻かれるなど、通常、
タグ、ラベルなどが受ける種々の外力が加えられても、
実用的に十分に耐え得る表面強度を有することが判明し
たものである。ここで、バーコード中の一個のバー印字
部分の幅は、通常0.5〜1.0mm程度であり、この
バー幅に対してサファイア針の直径は十分に小さく、特
に限定するわけではないが、より広い幅のバーを選択す
ることにより、バー中央部の擦過は容易となる。本発明
のインク受像シートは、勿論、カード、チケット等の種
々の産業用途としても十分実用に供し得るものである。
【0013】本発明において、STIグレード値は、バ
ーコード検証器(スキャナー)の読み取り率(PERC
ENT DECODE)、バーコード画像部の全幅(バ
ーコード部と非印字部すなわちスペース部)に対する純
粋なバーコード部比率(BAR WIDTH RATI
O)、バーコード印字部の太りと細りの程度の比率(B
AR WIDTH GROWTH/LOSS)、スペー
ス部の精度(MARGIN)、およびスペース部の光学
的反射率(最小値)とバーコード部の光学的反射率(最
大値)の比率(MINIMUM REFLECTANC
E DIFFERENCE)等の各種データを包括的に
評価して得られるものである。バーコード検証器として
は、例えば、SYMBOL TECHNOLOGY社製
のLASER CHEKII型(商標)などが用いられ
る。
【0014】本発明において多孔性インク受容層は、樹
脂液、あるいは樹脂および顔料を主成分として含む混合
物液に多数の微細気泡を含有させ、これをシート状支持
体上に塗工し、乾燥することによって得ることができる
が、気泡を形成、含有させる方法や設備、および塗工方
法には特に厳格な制限はない。また気泡を含有する樹脂
含有液の気泡含有状態にも特に制限はないが、気泡含有
液の原液に対する体積比(以下発泡倍率と記す)が1倍
を越え3.0倍以下が好ましく、より好ましくは1倍を
越え2.0倍以下である。すなわち発泡倍率は気泡含有
樹脂液中の気泡含有率を示す尺度であり、発泡倍率が大
きくなると気泡を構成する樹脂膜(壁)の厚さが薄くな
ることを意味している。また、同じ発泡倍率である場合
には、発泡前の樹脂含有混合液の固形分濃度が低いほ
ど、樹脂膜が薄くなることを意味している。このよう
に、樹脂膜が薄くなると、得られる多孔性インク受容層
の強度を十分なレベルに維持することが困難になり、産
業用あるいは流通用タグやラベル等に使用する際に良好
な耐擦過性が得られにくい。この点において、発泡倍率
と樹脂含有液組成とのバランスには充分な注意を払うべ
きである。
【0015】本発明において、多孔性インク受容層の対
擦過性、表面強度を実用的に十分に保つ方法としては、
気泡の直径や、気泡を構成する樹脂膜(壁)の厚さの調
整や、膜材料の選択など種々考えられるが、例えば、気
泡の膜厚は比較的厚目に調整する方が好ましく、上記発
泡倍率が小さくなると気泡を構成する樹脂膜(壁)の厚
さが厚くなり、また、同じ発泡倍率である場合には、発
泡前の樹脂含有混合液の固形分濃度が高いほど、樹脂膜
が厚くなる。樹脂含有混合液の固形分濃度は、好ましく
は10〜70重量%であり、より好ましくは25〜60
重量%である。
【0016】溶融インク転写による記録時には、受像シ
ートのインク受像層と転写用インクリボンは圧縮力を受
けつつ密着されて、インクリボンからインクが受容層に
転写されるので、多孔性インク受容層の圧縮変形はイン
クリボンとの接触状態に関連していると推定される。圧
縮特性は、受像シートの多孔性インク受容層を厚さ方向
に圧縮して、一定の歪みを加えたときに生じる応力の大
きさを尺度とすることができる。圧縮応力が小さいほ
ど、多孔性インク受像層は柔らかいので、溶融転写時に
インクリボンとの密着性が良好となるが、小さ過ぎる場
合は受像層の強度が不十分となる傾向がある。本発明の
タグ、ラベル用途においては、受像シートを厚さ方向に
10%歪ませた時の応力は、好ましくは5〜40kg/
cm2 、より好ましくは15〜35kg/cm2 にコン
トロールされる。
【0017】また、本発明における、すぐれた溶融イン
ク転写性能の発現メカニズムは、多孔性インク受容層お
よび受像シートの構造的特性、断熱性、圧縮特性等の物
理的特性が関与しているものと考えられる。構造特性の
面においては、支持体上に形成された本多孔性インク受
容層の表面には微細な孔が多数存在するために、毛細管
力による溶融インクの吸収性があること、さらには多孔
性インク受容層内に含有されている多数の気孔が相互に
連通している(連続気泡を構成している)ので、多孔性
インク受容層内への溶融インクの浸透性が良好となっ
て、高いインク受容能力を発現すると考えられる。
【0018】この点において、受像シート上に形成され
た多孔性インク受容層の表面の気孔の大きさは重要であ
る。すなわち、溶融インクを転写したとき、良好な画像
を本発明の受像シート上に形成するには、多孔性インク
受容層の表面の平均気孔直径が0.5から30μmの範
囲にあることが必要であり、好ましくは0.5から20
μmの範囲である。気孔直径は、そのサイズ(大きさ)
に起因する毛細管現象により溶融インクを捕獲する能力
と関係しており、気孔が小さいほどその能力は大きい。
しかし気孔のサイズが過大になると、気孔内に転写イン
クが埋没したり、インクリボンと多孔性インク受容層表
面との良好な接触を阻害するために転写不良あるいは転
写むらの原因となり、またドット再現不良を起こして良
好な画像が形成できなくなる。なお、多孔性インク受容
層表面の気孔直径は、光学顕微鏡もしくは走査型電子顕
微鏡写真と画像解析装置を用いて、計測することが可能
である。
【0019】また、気孔の大きさは、気泡形成・分散処
理前の樹脂含有混合液の組成、すなわち材料の種類、配
合比率、起泡、塗工、乾燥後に多孔性インク受容層中の
膜厚さに直接関係する成分として残存する量、あるいは
前記の発泡倍率、塗工方式など、種々の要因によって影
響されることが多いので適正な条件の設定が必要であ
る。さらに本発明における多孔性インク受容層の表面の
気孔の大きさは、機械的撹拌によって得た、気泡含有樹
脂液中の気泡の大きさとも関係しており、おおむね樹脂
含有液中の気泡が小さいほど、塗工、乾燥後のインク受
容層表面の気孔も小さくなるので、樹脂含有混合液の気
泡含有状態には特に制限はないものの、前記の多孔性イ
ンク受容層の表面と同じ大きさ、すなわち平均直径が
0.5から30μmの微小気泡が分散、混合されている
ことが好ましく、より好ましくは、平均直径が0.5か
ら20μmの範囲にあるのが良い。形成された気孔の大
きさは、その一部を光学顕微鏡で写真撮影し、画像解析
装置で計測することが可能である。
【0020】本発明において、シート状支持体上に形成
される多孔性インク受容層は、樹脂および必要により顔
料を主成分として含むものである。このような多孔性イ
ンク受容層は、樹脂、または樹脂と顔料との混合物を含
む液状物に、機械的撹拌を施してこれに微細な多数の気
泡を形成、分散させ、この気泡含有樹脂液を支持体に塗
工、乾燥して形成することができる。
【0021】本発明において多孔性インク受容層の形成
に用いられる樹脂としては、例えば、種々の分子量およ
びケン化度のポリビニルアルコールおよびその誘導体、
デンプン、その誘導体および例えば酸化デンプンのよう
な各種加工デンプン、メトキシセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、メチルセルロース、およびエチルセ
ルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソー
ダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド−アクリ
ル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸
エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−
無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリアクリルア
ミドおよびその誘導体、ポリエチレングリコール等の水
溶性樹脂、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ス
チレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン
共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸
エステル、スチレン−ポリアクリル酸エステル共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタ
クリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン
−ブタジエン−アクリル系共重合体、ポリ塩化ビニリデ
ン等のラテックス等の水分散型樹脂、さらには、ニカ
ワ、カゼイン、大豆タンパク、ゼラチン、アルギン酸ナ
トリウム等を用いることができるが、これらに限定され
るものではない。これらの樹脂は必要に応じて、単独ま
たは2種類以上混合して使用することができる。これら
の中でも好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、
スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合
体などが用いられる。
【0022】また本発明において、多孔性インク受容層
には以下に例示する各種の顔料を含ませることができ
る。例えば酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、珪
酸、珪酸塩、クレー、タルク、マイカ、焼成クレー、水
酸化アルミニウム、硫酸バリウム、リトポン、コロイダ
ルシリカ等の無機顔料、ポリスチレン、ポリエチレン、
ポリプロピレン、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル共
重合体等の真球、中空あるいは、さまざまな形状に加工
されたタイプのプラスチックピグメントと称される有機
顔料やデンプン粉末、セルロース粉末等を用いることが
できるが、これらに限定されるものではない。また、こ
れらの顔料は必要に応じて単独にまたは2種以上混合し
て使用することができるが、本発明における多孔性イン
ク受容層は、その構造から推察できるように強靭である
とはいいがたい。一般にこれらの顔料の配合は、多孔性
インク受容層内の樹脂同志の結合強度を低下させる方向
に作用するので、耐擦過性を重要視するタグあるいはラ
ベル等の用途には、使用する顔料の種類、配合割合につ
いて充分考慮すべきである。
【0023】気泡形成前の樹脂あるいは樹脂および顔料
の混合物を含む液状物中には、必要に応じて公知の粘度
調節剤(増粘剤)、分散剤、染色剤、耐水化剤、潤滑
剤、架橋剤、可塑剤などを添加することができる。本発
明における樹脂含有液の粘度の調節には、例えば各種分
子量のポリビニルアルコール、ポリエチレングリコー
ル、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液等、
あるいはアルカリ性下で増粘作用を有するタイプを含め
て各種のポリマー系増粘剤が使用できるが、これらに限
定されるものではない。また、これらの増粘剤は、必要
に応じて単独に、あるいは2種類以上混合して使用する
ことができる。
【0024】シート状支持体上の多孔性インク受容層の
塗設量は、即ち塗工量は、得られる支持体の一面上の1
2 当たりの乾燥重量が2から40g(2〜40g/m
2 )の範囲にあるようにするのが好ましい。塗工量が2
g/m2 より少ない場合には、支持体の表面の粗さを充
分に被覆するのが困難になることが多く、適正な平滑性
を持った表面の受像シートが得られなかったり、充分な
断熱性や圧縮変形性が得られないことがある。一方それ
が40g/m2 を越えるような場合は、多孔性インク受
容層の厚さが過大となり、多孔性インク受容層内の結合
強度が低下して、画像を形成した際にこのインク受容層
が剥離するなどのトラブルを発生し、良好な画像が形成
できないこともある。従って、多孔性インク受容層の塗
工量の適正化は、樹脂含有液組成の適正化と同様に充分
な注意を払うのは当然である。
【0025】本発明において、樹脂含有液に気泡を形
成、含有、分散させる方法(以下これを発泡方法と記
す)は、例えば遊星運動をしつつ回転する撹拌翼を有す
るいわゆる製菓用の発泡機、一般に乳化分散等に利用さ
れているホモミキサー、カウレスディゾルバー等の撹拌
機あるいは密閉系内に空気と樹脂含有液の混合物とを連
続的に送入しながら機械的に撹拌を施し、空気を微細な
気泡に分散、混合できる装置、例えば米国ガストンカウ
ンティー社、オランダのストーク社等の連続発泡機を用
いることができるが、特に厳格な制限はない。また機械
的撹拌を施すための設備の能力が不足であるために、所
期の気泡含有状態が得られなかったり、あるいは気泡含
有樹脂液中の気泡の安定性を向上する目的で、整泡剤、
発泡剤と称されている、広範な界面活性材料の中から適
宜選定して配合することが可能である。
【0026】このような界面活性剤としては、高級脂肪
酸、高級脂肪酸変性物、高級脂肪酸のアルカリ塩等は、
特に樹脂含有液の発泡性を高める効果や、分散、含有さ
せた気泡の安定性向上効果が高いので使用することがで
きる。これらの選定にはまったく制限はないが、樹脂含
有混合液の流動性を著しく阻害したり、塗工作業性を損
なうおそれのある材料の使用は避けるのは当然である。
また、上記の整泡剤や発泡剤などのような界面活性剤の
使用量は、樹脂液、あるいは樹脂液と顔料との混合液の
固形分100重量部に対して、界面活性剤固形分0〜3
0重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜2
0重量部である。界面活性剤の添加量が30重量部を越
えて多量になっても、その効果は飽和し、かえって経済
的に不利になることが多い。多孔性インク受容層を支持
体上に形成するための塗工方式としては、メイヤーバー
方式、グラビアロール方式、ロール方式、リバースロー
ル方式、ブレード方式、ナイフ方式、エアーナイフ方
式、押し出し方式、キャスト方式等の既知の方法から任
意に選定することができる。
【0027】本発明の多孔性インク受容層を有するシー
トは、気泡含有樹脂液をシート状支持体上に塗工、乾燥
したままの状態でも良好な溶融熱転写画像を示すことが
できるが、さらに金属製ロール2段以上で構成されるマ
シンカレンダー、あるいは金属製ロールおよび樹脂製ロ
ールあるいは金属製ロールとコットン製ロールなどを適
宜組み合わせて構成されるスーパーカレンダーを使用し
て、この多孔性インク受容層に仕上げ処理を施し、その
表面の平滑性をさらに向上させることができる。また塗
工後、半乾燥状態もしくは乾燥状態にあるシートの多孔
性インク受容層の表面を鏡面仕上げを施した加温あるい
は非加温状態のキャストドラム等に接触させて、その表
面平滑性を向上させてもよい。しかし過度の加圧力下で
上記平滑仕上げ処理を施すと、多孔性インク受容層中の
気泡を取り囲む樹脂壁が破壊され、インク受容層の緻密
化が生じて、断熱性やクッション性が低下するあるいは
インク受容層表面の気孔の変形や破壊が起こるため、多
孔性インク受容層が有するすぐれた溶融インク転写性能
が得られなくなることもある。従って、前記の平滑仕上
げ処理に際しては処理条件を十分に検討することが必要
である。
【0028】また本発明に用いられるシート状支持体と
しては、セルロースを主成分とする紙、塗工紙、ラミネ
ート紙等の紙類をはじめとして、織布、不織布等の布類
が使用可能である。またポリオレフィン、メタクリレー
ト、酢酸セルロース等のプラスチックフィルム類、ポリ
オレフィンと顔料からなる合成紙や発泡ポリエチレンテ
レフタレートフィルム、発泡ポリプロピレンフィルム等
の多孔質合成樹脂フィルム等を使用することができる。
これらの支持体は、断熱性の良好なものほど同一印加エ
ネルギーでドット再現性や階調再現性が良好であり、記
録濃度の増加を達成することができ、また、同一濃度、
および記録品質を得るために必要なエネルギー量が少な
くてすむため、省エネルギーにも有効である。またパル
プを主成分として含む紙や塗工紙を支持体として用いた
場合には、特にリサイクルが可能であるという利点もあ
る。本発明のシート状支持体の坪量については、用途に
もより一概には言えないが、通常、50〜250g/m
2 程度であり、タグ用としては80〜250g/m2
好ましく、またラベル用としては、50〜150g/m
2 が好ましく用いられる。
【0029】さらに前記のシート状支持体上に気泡含有
型樹脂液を塗工して、本発明の受像シートを製造する
際、塗工、乾燥および巻き取りなどの工程において、シ
ート自体がその塗工面を内側あるいは外側にしてカール
することがある。この場合、当該シートを断裁により所
定寸法の画像形成用シートに加工した後使用すると、熱
転写プリンターへの給紙が正常に行われないことがあ
り、あるいは該プリンター内部における走行性が悪化す
るなどのトラブルを発生することがある。また溶融転写
記録方式は熱源をインクリボンと接触せしめ、リボン中
の染料成分を記録用シート上に転写する方式であるた
め、画像形成面である多孔性インク受容層と、支持体層
の加熱に伴う収縮の差、もしくは膨張特性の差に起因し
て、受像シートが装置内部でカールを発生し、前記のよ
うなトラブルが発生する。このようなカール発生のため
に画像が正常な紙面方向に対して斜めに形成されたり、
装置内部でシートにしわが発生しやすくなり、このため
インクリボンと受像シートとの接触が正常に行われず、
インク転写不良を起こし、その結果、画像品質が悪化す
ることがある。
【0030】このようなカールが原因で生じる各種のト
ラブルを防止するためには、多孔性インク受容層と支持
体層との加熱による収縮特性の差、もしくは膨張特性の
差をできる限り小さくすることが望ましい。そのために
該シートの裏面、すなわち多孔性インク受容層に対し反
対側の面にカール防止層を塗工あるいはラミネートして
もよい。このカール防止層の材料、形成方法、塗工量、
ラミネート量等にはまったく制限はなく、支持体の種
類、厚さ、あるいは多孔性インク受容層の性状、すなわ
ち材料組成、発泡倍率、塗工量など種々の要因を勘案し
て最適化をはかることができる。
【0031】また支持体の材料選定によっては、得られ
る受像シートがプリンター内で走行する際に装置の機構
上、種々の摩擦力を受けたり、加熱による装置内部の湿
度低下等の影響が単独に、あるいは複合してこの受像シ
ートに静電気を帯電させることがある。このような状態
において連続的の多数枚の画像形成を行うと、この受像
シートの画像形成面と、次の受像シートの裏面とが静電
気的に密着して剥しにくくなる。とくに各種プラスチッ
クシート類あるいは合成紙等は本質的に帯電しやすい性
質があるために、これらを支持体として利用する際は、
断裁によるシート化工程において、または加工後の保管
中に、静電気発生のためシートの表裏が剥しにくくな
る。当然のことながら紙類を支持体とした場合でも前記
のようなトラブルは起こり得る。このような帯電に伴う
トラブル防止のために、いわゆる帯電防止層を受像シー
トの裏面に形成することはきわめて有効である。また帯
電は帯電防止材料を使用すること、あるいは該シート裏
面と多孔性インク受容層とのシート間の摩擦係数を低減
することにより達成することができる。従って帯電防止
層をカール防止層形成と同様に広範な材料および方法の
中から適宜選定して形成することができる。
【0032】前記のカール防止層、および帯電防止層
は、支持体の裏面に個別に形成して所期性能を得ること
は可能であるが、製造工程の簡略化、製造コストの低減
あるいは所期の機能水準等、必要に応じて材料、形成方
法を適宜選定することにより、単一層に形成して目的を
達成するすることができる。すなわち単一層でカール防
止、および帯電防止などのトラブル防止性能を付与する
ことも可能である。従ってシート状支持体の裏面に形成
される層の数においてはなんら制限はない。
【0033】本発明において、ラベル用途としては、例
えば、一面上(表面)に多孔性インク受容層を有するシ
ート状支持体の他方の面(裏面)に粘着剤層が形成さ
れ、また剥離紙基体およびその上に剥離剤層を有する剥
離紙層が形成され、前記剥離剤層上に、前記粘着剤層が
貼着された構成からなる溶融転写型インク受像タックシ
ートとして用いられる。
【0034】本発明に用いられる剥離紙層は、剥離紙基
体と剥離剤層とを有するものであり、剥離紙基体として
はグラシン紙または顔料コート紙にポリエチレン等をラ
ミネートしたポリラミ原紙、ポリプロピレンを主成分と
した合成紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、発
泡ポリエチレンテレフタレートフィルム等が用いられ
る。剥離剤の剥離紙基体への塗工方法は、グラビアコー
ターやバーコーター等によって行うことができ、この場
合の塗工量は、固形分で0.3〜1.5g/m2 、であ
ることが好ましく、より好ましくは、0.5〜1.2g
/m2 である。この塗工量が0.3g/m2 未満では、
剥離性能のバラツキが大きく、また、それが1.5g/
2 を越えると、経済性の面から不利になるため、必要
性に乏しい。
【0035】本発明において、シート状支持体の他の面
(裏面)上の粘着剤層を形成する粘着剤としては、アク
リル系、合成ゴム系、天然ゴム系、シリコーン系等の公
知の粘着剤を使用することができる。粘着剤は剥離紙層
の剥離剤層表面に塗工した後、これを、表面側にインク
受容層を有するシート状支持体の裏面に張り合わせても
よいし、支持体の裏面上に粘着剤を塗工乾燥後、これに
剥離紙層の剥離剤層の表面を貼り合わせてもよい。粘着
剤には、必要に応じて、架橋剤や充填剤を添加すること
ができる粘着剤層の塗布量は、10〜30g/m2 の塗
布量(固形分)で形成されることが好ましい。10g/
2 未満では粘着効果が乏しく、また30g/m2 以上
では経済性の面から必要性に乏しい。また、プリンター
内を受像タックシートが走行するとき、静電気による走
行トラブルの発生を防ぐため、溶融転写型インク受像タ
ックシートの表面および/または裏面に、少なくとも一
層以上の帯電防止剤を塗布することができる。
【0036】
【実施例】下記実施例によって本発明をさらに具体的に
説明する。但し本発明の範囲はこれらによって制限され
るものではない。なお、実施例および比較例中の「部」
は全て樹脂の固形分に対する重量部数を表す。 実施例1 下記に示す組成を有する樹脂混合液(固形分濃度40重
量%)を、撹拌機(商標:ケンミックスアイコーPR
O、愛工舎製作所製)を使用して、撹拌速度490rp
mで、8分間撹拌して発泡処理を行なった。発泡倍率は
2.8倍であった。 樹脂含有液組成 水性ポリウレタン系樹脂 (商標:アデカボンタイターHUX−401、 旭電化工業(株)製) 100部 高級脂肪酸系整泡剤 (商標:SNフォーム200、サンノプコ製) 5部 粘度調節用(増粘用)カルボキシメチルセルロースナトリウム (商標:AGガム、第一工業製薬製) 5部 上記の気泡含有樹脂混合物を発泡後直ちに、米坪209
g/m2 の上質紙の表面上にアプリケーターバーを用い
て塗工量(乾物量)が15g/m2 となるように塗工
し、乾燥して、多孔性インク受容層を形成し受像シート
を作製した。
【0037】実施例2 実施例1と同じ組成の樹脂含有液(固形分濃度40重量
%)を用い、5分間撹拌して発泡処理を行い、発泡倍率
2.5倍の気泡含有樹脂混合物を調製した以外は、実施
例1と同様にして受像シートを作製した。
【0038】実施例3 下記の組成の樹脂混合液(固形分濃度40重量%)を、
8分間撹拌して発泡処理を行い、発泡倍率2.5倍の気
泡含有樹脂混合物を調製した以外は、実施例1と同様に
して受像シートを作製した。 樹脂含有液組成 水性ポリウレタン系樹脂 (商標:アデカボンタイターHUX−401、 旭電化工業(株)製) 100部 カオリナイトクレー顔料 (商標:HTクレー、エンゲルハード社製) 10部 高級脂肪酸系整泡剤 (商標:SNフォーム200、サンノプコ製) 10部 粘度調節用(増粘用)カルボキシメチルセルロースナトリウム (商標:AGガム、第一工業製薬製) 5部
【0039】実施例4 実施例1と同じ組成の樹脂含有液(固形分濃度40重量
%)を用い、3分間撹拌して発泡処理を行い、発泡倍率
1.5倍の気泡含有樹脂混合物を調製した以外は、実施
例1と同様にして受像シートを作製した。
【0040】実施例5 実施例1と同じ組成の樹脂含有液(固形分濃度40重量
%)を用い、2分間撹拌して発泡処理を行い、発泡倍率
1.2倍の気泡含有樹脂混合物を調製した以外は、実施
例1と同様にして受像シートを作製した。
【0041】比較例1 実施例1と同じ組成の樹脂含有液(固形分濃度40重量
%)を用い、発泡処理を省略した以外は、実施例1と同
様にして受像シートを作製した。
【0042】比較例2 実施例1と同じ組成の樹脂含有液(固形分濃度40重量
%)を用い、10分間撹拌して発泡処理を行い、発泡倍
率4.0倍の気泡含有樹脂混合物を調製した以外は、実
施例1と同様にして受像シートを作製した。
【0043】テスト 上記各実施例および比較例において、用いた樹脂含有液
の特性、および得られた受像シートについて、下記のよ
うな方法で測定、評価を行い、その結果を表1に示す。
【0044】〔発泡倍率〕発泡倍率Bは、一定容積の容
器に発泡前の樹脂液を満たして重量C(g)を測定し、
さらに同一の容器に発泡処理後の気泡含有樹脂液を満た
して重量D(g)を測定し、次式により発泡倍率を計算
した。 発泡倍率:B=C/D
【0045】〔気孔直径〕多孔性インク受容層の表面の
気孔直径は、走査型電子顕微鏡もしくは光学顕微鏡を使
用して、受容層の表面を写真撮影した後、表面の気孔の
輪郭を正確に透明フィルム上に黒色のペン等で描き写
し、さらに、ドラムスキャナー(商標:2605型ドラ
ムスキャンデンシトメーター、(株)阿部設計製)によ
り、光学的に気孔の輪郭の情報を読み取り、これを画像
解析装置(商標:ルーゼックスIII 、(株)ニレコ製)
を用いて測定した。なお、本多孔性インク受容層表面上
に形成された気孔の形状は、必ずしも真円ではないの
で、気孔直径は画像解析で得られる気孔の輪郭内の面積
をもとに、円相当直径に換算して表示した。
【0046】〔圧縮応力〕ストログラフ−M2型試験機
((株)東洋精機製作所製)を用いて、圧縮速度0.5
mm/min.で、シート上支持体上に形成された多孔
性インク受容層を厚さ方向に圧縮して応力−歪み曲線を
描き、受像シート全体の厚さの10%相当を圧縮した
(歪ませた)とき生じる応力を測定した。
【0047】〔STIグレード値の低下率〕インク受容
層の耐擦過性については、プリンター(商標:KMP−
8104・II型サーマルプリンター、KSシステムズ
(株)製)を使用し、INTERLEAVED 2 O
F 5の条件で、受像シートの多孔性インク受容層上に
バーコードを印字し、次に耐擦過性試験機SCRATC
HING TESTER TYPE(商標:HEIDO
N−14D型、HEIDON社製)を使用し、装着され
ている先端直径50μmのサファイア針に100gの荷
重を掛け、このサファイア針用いて、前記バーコー
ド(:INTERLEAVED 2 OF 5)の左か
ら18番目のバー印字の中央部分を、このバーに並行
に、擦過速度5cm/秒にて擦過した後、バーコード検
証器(商標:LASER CHEKII型、SYMBOL
TECHNOLOGY社製)を用いて、バーコード画
像の読み取り評価を行い、STI(SCANNABIL
ITY TREND INDEX)グレード値を測定し
た。実施例1〜5、比較例2のバーコードにおいては、
いずれも擦過前のSTIグレード値は100%であり、
各々の試料について擦過後のSTIグレード値よりST
Iグレード値の低下率を求めた。なお、比較例1のバー
コード画像ついては擦過前のSTIグレード値は45%
であった。
【0048】〔記録濃度〕多孔性インク受容層を有する
受像シートについて20℃、相対湿度65%の環境下で
一昼夜調湿した後、熱転写カラープリンター(商標:オ
ンサイトカラープリンターCB−418、(株)TEC
製)を使用して、その表面にインク画像を溶融転写記録
した。得られたインク転写画像について、その反射濃度
をマクベス反射型濃度計により評価した。
【0049】〔記録画質〕上記評価と同様に調湿した受
像シートについて、熱転写カラープリンター(商標:T
rueprint2200、日本ビクター(株)製:本
来は昇華型転写の画像形成装置だが、溶融転写方式の画
像形成もできるように改造した)を使用し、その表面に
インク画像を溶融転写記録した。得られたインク転写画
像について下記のように、目視評価した。 (1)17階調で形成されるインク画像(黒単色画像)
について、マクベス反射型濃度計RD−914(商標)
を用いて印加エネルギー別に、その反射濃度を測定し、
階調再現性を評価した。階調再現性は良好に再現されて
いるものから順に○、△、×の3段階で評価した。 (2)ドット再現性は、インクリボンから受容層に転写
されたインクのドットを観察し、良好に再現されている
ものから順に○、△、×の3段階で評価した。 (3)カラー画像の鮮明性を観察し、良好なものから順
に○、△、×の3段階で評価した。
【0050】〔受容層耐久性〕上記のプリンター(商
標:KMP−8104・II型サーマルプリンター、KS
システムズ(株)製)を用いて、多孔性インク受容層に
バーコードを印字し、次に、接触型バーコードリーダー
(商標:INSPECTOR III、RJS社製)を用い
て、バーコード部分の読み取り操作を、異なる箇所で5
回行った後に、目視により下記基準で受像シート表面の
外観を評価した。 ◎:インク受容層の欠損は全く観察されず、外観は優れ
ている。 ○:インク受容層の欠損は僅かに観察されるが、外観は
良好である。 △:インク受容層の欠損がかなり観察され、外観は不良
である。 ×:インク受容層の欠損が著しく観察され、外観は全く
不良である。 なお上記評価基準において、○レベル以上は実用に適す
るが、△レベル以下では実用に適さない。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本発明により、溶融転写インク画像の記
録濃度が高く、階調再現性、ドット再現性、およびカラ
ー鮮明性が良好で、かつ受容層表面の耐久性に優れたタ
グ、ラベル用溶融転写型インク受像シートを実用するこ
とが可能となり、産業界に寄与するところが大である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状支持体と、この支持体の一面上
    に、樹脂含有液から形成され、かつ多孔性樹脂含有皮膜
    からなる多孔性インク受容層とを有し、前記多孔性イン
    ク受容層の表面の平均気孔直径が0.5から30μmの
    範囲にあり、かつ、前記多孔性インク受容層にSTIグ
    レード値(バーコード読み取り性能指標値)100%の
    バーコードを印字し、先端直径が50μmで100gの
    荷重を掛けたサファイヤ針を用いて、前記バーコードの
    一個のバーの中央部を、このバーに並行に擦過したと
    き、前記STIグレード値の低下率が40%以下である
    ことを特徴とするタグ、ラベル用溶融転写型インク受像
    シート。
  2. 【請求項2】 前記多孔性インク受容層を、その厚さ方
    向に対して加圧し、10%圧縮変形させたときに生じる
    応力が5〜40kg/cm2 である請求項1記載のタ
    グ、ラベル用溶融転写型インク受像シート。
  3. 【請求項3】 樹脂含有液に機械的撹拌を施して多数の
    微細気泡を含有させた塗料の発泡倍率(一定重量の塗料
    で比較した、起泡後の体積と起泡前の体積の比)が1倍
    を越え、3.0倍以下の範囲である気泡含有樹脂混合液
    を、シート状支持体の一面上に塗工、乾燥して、表面の
    平均気孔直径が0.5から30μmの範囲にある多孔性
    インク受容層を形成することを特徴とするタグ、ラベル
    用溶融転写型インク受像シートの製造方法。
JP8065817A 1996-03-22 1996-03-22 タグ、ラベル用溶融転写型インク受像シート及びその製造方法 Pending JPH09254559A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7041349B2 (en) 2002-06-10 2006-05-09 Oji Paper Co., Ltd. Thermal transfer image recording composite sheet

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