JPH09315021A - 溶融転写型インク受像シート - Google Patents

溶融転写型インク受像シート

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JPH09315021A
JPH09315021A JP9004761A JP476197A JPH09315021A JP H09315021 A JPH09315021 A JP H09315021A JP 9004761 A JP9004761 A JP 9004761A JP 476197 A JP476197 A JP 476197A JP H09315021 A JPH09315021 A JP H09315021A
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JP
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aqueous polyurethane
polyurethane resin
image
ink
receiving sheet
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JP9004761A
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Shuichi Maeda
秀一 前田
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録濃度が高く、階調再現性、ドット再現性
およびカラー鮮明性に優れ、かつ高温での耐ブロッキン
グ性に優れ、しかもインク剥離のない溶融転写型インク
受像シートを提供する。 【解決手段】 シート状支持体と、この支持体の一面上
に、水性ポリウレタン樹脂を主成分とする樹脂含有液に
機械的攪拌を施して塗布、乾燥することにより形成され
た多数の微細気孔を有している多孔性インク受容層とを
有し、前記水性ポリウレタン樹脂のフィルムをテトラヒ
ドロフラン溶媒中に25℃で24時間浸積した時の不溶
分が50〜100重量%であり、かつ、前記多孔性イン
ク受容層の表面の平均気孔直径が0.5から30μmの
範囲にある溶融転写型インク受像シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融転写型インク
受像シートおよびその製造方法に関するものである。更
に詳しく述べるならば、本発明は熱ヘッドを用いる溶融
転写型熱転写用プリンターに使用されたとき、記録濃度
が高く、階調再現性、ドット再現性およびカラー画像の
鮮明性が優れたプリントインク画像が得られ、かつ耐ブ
ロッキング性に優れた溶融転写型インク受像シートに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】熱転写インクシートとサーマルヘッドと
を利用する熱溶融転写記録方式は、機構が簡単で保守が
容易なため、ワードプロセッサーやファクシミリ等のプ
リンターに広く用いられており、この記録方式に用いら
れる溶融転写型インク受像シート(受像シート)として
は上質紙が使用されてきた。しかし近年、熱転写記録の
フルカラー化に伴い従来より高い階調再現性を得るた
め、プリンターにおいてはひとつのドットの大きさを変
えずに階調を得る従来の方法から、各ドットの大きさを
変更するドット可変方式に移行しており、また受像シー
トにおいては、低い印加エネルギーから高い印加エネル
ギーにわたるフルカラー記録において、溶融転写された
インクのドット形状が忠実に再現されるドット再現性に
優れ、かつ十分な量のインクが転写され、記録濃度が高
いことが記録画像の重要な品質として要求されるように
なっている。
【0003】上記のような熱転写画像のフルカラー化に
対して、受像シートの特性も適切に対応する必要が生じ
ている。すなわち、フルカラー熱溶融転写方式において
通常の印刷用の非塗工紙を用いると、断熱性の低さに起
因すると考えられる記録濃度の低下や、クッション性の
不足によるドット再現性不良が発生することがある。ま
た、その表面が粗すぎる場合には、インクが転写されな
い部分を生じる現象、すなわちヌケが発生したり、逆に
表面が平滑すぎる場合には、インクの投錨効果が不十分
になり、転写されたインクがインクリボンに逆転写され
てしまう現象、すなわちヌケが発生しやすくなる。これ
らはいずれもドット再現性不良の原因となる。上記のよ
うなドット再現性の不良に起因する記録濃度の低下の他
に、溶融インク受像層のインク吸収性の低さに起因する
記録濃度の低下も発生することがある。
【0004】これらの問題を解決する試みとして、支持
体上に中空粒子を含有するアンダーコート層を設けて受
像シートのクッション性を向上させることが提案されて
いる(特開平2−89690号公報、および特開昭64
−27996号公報)。しかし、この試みでは、受像シ
ートのクッション性や断熱性の改善において未だ不十分
なものであった。また、この試みには、中空粒子が受容
層の有機溶媒等に溶解する場合には、耐有機溶剤性の高
分子を中空粒子の接着剤として使用するか、あるいは中
空粒子を含む層上に耐有機溶剤性の高分子層を設けるこ
とが必要となり製造上の問題を提起している。
【0005】上記問題を解決するための他の試みとして
は、プラスチックを主成分とするシート状支持体上に、
水中に溶出する成分を含む樹脂層を形成し、この樹脂層
から水溶性成分を溶出除去して微細空孔を形成させ、そ
れによって受像シートのインク受容能力を向上させるこ
とも提案されている(特開平2−41287号公報)。
しかしこの場合、最高濃度が未だ不十分であり、あるい
は印画像に光沢がない等の欠点があり、受像シートに対
して高まりつつある要求品質を満足するには至っていな
い。また、この受像シートはプラスチックを主成分とし
ているため資源のリサイクルが困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
上記問題点を解消し、熱転写カラープリンターに使用し
たときに、耐ブロッキング性が良好で、階調再現性、ド
ット再現性およびカラー画像の鮮明性に優れ、かつ記録
濃度の高いインク画像記録が得られる溶融転写型インク
受像シートを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の溶融転写型イン
ク受像シートは、シート状支持体と、この支持体の一面
上に、水性ポリウレタン樹脂を主成分とする樹脂含有液
に機械的攪拌を施して塗布、乾燥することにより形成さ
れた多数の微細気孔を有している多孔性インク受容層と
を有し、前記水性ポリウレタン樹脂のフィルムをテトラ
ヒドロフラン溶媒中に25℃で24時間浸積した時の不
溶分が50〜100重量%であり、かつ、前記多孔性イ
ンク受容層の表面の平均気孔直径が0.5から30μm
の範囲にあることを特徴とするものである。また、本発
明の溶融転写型インク受像シートおいては、前記水性ポ
リウレタン樹脂のヒートシール試験による加熱融着開始
温度が、好ましくは80〜160℃である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明者は、上記目的を達成すべ
く鋭意検討した結果、溶融熱転写プリンターによる記録
において、水性ポリウレタン樹脂を主成分とする樹脂含
有液から形成され、この水性ポリウレタン樹脂のフィル
ムがテトラヒドロフラン(THF)溶媒に対して特定の
不溶性を有し、かつ表面に微細気泡が形成されている多
孔性インク受容層を有する受像シートを用いることによ
り、耐ブロッキング性、ドット再現性、階調再現性およ
びカラー画像の鮮明性等が良好な高濃度記録が実現でき
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】本発明において、シート状支持体上に形成
される多孔性インク受容層は、水性ポリウレタン樹脂お
よび必要により顔料を主成分として含むものである。こ
のような多孔性インク受容層は、水性ポリウレタン樹
脂、または水性ポリウレタン樹脂と顔料との混合物を含
む液状物に、機械的撹拌を施してこれに微細な多数の気
泡を形成分散含有させ、この気泡含有樹脂含有液を支持
体上に塗工して形成することができる。ここで水性ポリ
ウレタン樹脂とは、ポリウレタンの水系エマルジョン、
コロイド分散液(マイクロエマルジョン)、あるいは水
溶液等のウレタン系のポリマーまたはオリゴマーが、媒
体である水の中で安定に分散しているものである。ま
た、本発明における水性ポリウレタン樹脂は、ポリウレ
タン樹脂成分を含有していればよく、他の樹脂成分、例
えばアクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル
等を共重合成分として含んでいてもよい。
【0010】本発明において用いられる水性ポリウレタ
ン樹脂としては、該水性ポリウレタン樹脂のフィルムを
THF溶媒中に25℃で24時間浸積した時の不溶分が
50〜100重量%の範囲であることが重要であり、好
ましくは80〜100重量%の範囲である。50重量%
未満の場合には、機械的攪拌を施したのち、水性ポリウ
レタン混合樹脂液中に多数の微細気泡を含有させた塗料
を、支持体上に塗工、乾燥して得た多孔性インク受容層
のベタツキが著しくなるため、耐ブロッキング性が悪化
したり(インク受容層と受像シート裏面との粘着性が強
くなって、多孔性の塗膜構造が破壊される)、あるいは
溶融熱転写プリンターへの給紙ロールとの間の粘着性が
強くなって、安定した給紙が困難になり、良好な画像が
形成できない、あるいは、画像形成自体が不可能になる
等のトラブルを生じやすい。種々の溶媒の中でも、例え
ば、アセトンやトルエンなどは本発明の水性ポリウレタ
ンをほとんど溶解せず、特にTHF溶媒を用いることに
より、架橋度に応じて不溶部分を生じ、耐ブロッキング
性と良好な相関を有することが判明した。
【0011】一般的には、THF溶媒に対する不溶性が
高くなると、多孔性インク受容層自体が脆くなり、溶融
インクの転写性が低下すると考えられ、過度な場合に
は、良好な画像の形成が困難になる可能性もある。例え
ば、熱転写プリンター内で、多孔性インク受容層と熱溶
融性インク層を有するリボンとが接触したのち分離する
ことによって、多孔性インク受容層上に画像が形成され
るが、多孔性インク受容層内で樹脂膜の破壊が起こり、
局部的な画像の剥離を生じる場合も考えられる。。しか
し、本発明においては、発泡倍率を適正化すること、あ
るいは2種類以上の水性ポリウレタン樹脂を任意の比率
で混合し強度を適正化すること等により、問題となるよ
うな印字濃度の低下や塗膜剥離などは認められなかっ
た。
【0012】水性ポリウレタン樹脂の製造における主反
応はイソシアネート基を構成する電子密度の低い炭素へ
のポリオールの求核反応であり、通常のポリウレタンの
合成と同一である。一般にポリウレタン樹脂を製造する
ために使用されるイソシアネートとしては脂肪族、脂環
式および芳香族のポリイソシアネートが挙げられ、例え
ば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシ
アネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエス
テル、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソ
シアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、
1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0013】また、ポリウレタン樹脂を製造するために
使用されるポリオールとしては、例えば、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレ
ングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−
ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、水
添ビスフェノールA、ヒドロキシアルコキシビスフェノ
ールA等の低分子量ポリオールのエチレンオキシドおよ
び/またはプロピレンオキシド付加物、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/
プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール
等のポリエーテルポリオール;低分子量ポリオールとコ
ハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル
酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒド
ロフタル酸等の多塩基酸あるいは炭酸との縮合物である
ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール
およびポリカプロラクトン等が挙げられる。
【0014】ポリウレタンを水性化する方法としては、
乳化剤を使用する場合と、これを用いない場合とがあ
る。下記に代表的な方法を例示するが、どちらの方法を
用いてもよい。乳化剤を使用する方法としては、例え
ば、転相乳化法、乳化状態で鎖延長する方法、ブロック
イソシアネートを使用する方法等が一般的である。転相
乳化法は、疎水性原料であるオリゴマーポリオールと有
機ポリイソシアネート並びに必要により低分子量ポリオ
ールまたはポリアミン等の鎖延長剤とからポリウレタン
の有機溶媒液を製造し、これに乳化剤水溶液を徐々に添
加することによりポリウレタンエマルジョンを得るもの
である。前記乳化剤としては、アルキル硫酸ナトリウ
ム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナトリウ
ムジオクチルスルホサクシネート等のアニオン性界面活
性剤、長鎖アルコールやアルキルフェノールの酸化エチ
レン付加物等のノニオン性界面活性剤、第四級アンモニ
ウム塩に代表されるカチオン性界面活性剤等が挙げられ
る。
【0015】乳化状態で鎖延長する方法とは、ビニルモ
ノマー等の乳化重合ではなく、イソシアネート基を有す
るウレタンプレポリマーを乳化剤水溶液中の低分子量ジ
アミンと乳化状態で反応、鎖延長する方法であり、安定
なエマルジョンを得るためにはn−ブチルアミン等の単
官能性化合物を重合度調節剤として使用することが有効
である。ブロックイソシアネートを使用する方法では、
イソシアネート基と反応しアミド化合物(ブロックイソ
シアネート)を形成し、加熱によってイソシアネート基
を再生する性質を持つオキシム類、ラクタム類、第三級
アルコール類、フェノール類、アセチルアセトン、アセ
ト酢酸エステル、マロン酸ジエステル、重亜硫酸ナトリ
ウム等のブロック剤を用いる。遊離のイソシアネート基
を有するウレタンポリマーに有機溶媒中でブロック剤を
反応させてイソシアネート基を保護し、これをN,N,
N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エ
チレンジアミンのような多官能性架橋剤と共に界面活性
剤水溶液中に乳化、分散させることにより安定なエマル
ジョンが得られる。
【0016】次に、乳化剤を用いない方法としては、例
えば、水溶性の原料を使用する方法、自己乳化法等が一
般的である。水溶性の原料を使用する方法は、ポリウレ
タンを構成する主原料ポリオールとしてポリエチレング
リコールのような水溶性のオリゴマーを使用して有機ポ
リイソシアネートで鎖延長するものである。この種のポ
リウレタンは、そのままでは耐水性が不十分で実用に供
し難いので、これにアクリル酸をグラフト化させてポリ
ウレタン主鎖に幾つかのカルボキシル基を結合させた
後、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等
の多価金属の塩やアルコキシドを添加して金属架橋を形
成させる方法、あるいはN−メチロールアクリルアミド
のような反応性のアクリル系モノマーをグラフトさせて
メチロール基による架橋反応を付与する方法等によって
耐水性を向上できる。
【0017】また、自己乳化法では、カチオン性の自己
乳化型ポリウレタンエマルジョンを合成するために、疎
水性のポリオールと有機ポリイソシアネートから得られ
る遊離のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマ
ーをN−アルキルジアルカノールアミンで鎖延長して、
ポリウレタンの主鎖中に0.1重量%以上の窒素を含む
ように第三級アミノ基を導入して、これを酸の水溶液で
中和するか、あるいは該ウレタンポリマーを若干量のイ
ソシアネート基が残存するように鎖延長しておき中和時
に媒体である水と反応させて更に高分子化する。また、
主鎖中の第三級アミノ基をジエチル硫酸、沃化メチル等
で四級化してカチオン化する方法、さらにジイソシアネ
ート・ブロムヒドリン化合物およびジメチルアルカノー
ルアミドを同時に反応させて、鎖延長と造塩を同時に行
う方法や、四級化剤として1,4−ビスクロロメチルベ
ンゼンを使用して架橋構造の形成と造塩を同時に行う方
法等がある。
【0018】一方、アニオン性の自己乳化型ポリウレタ
ンエマルジョンは、アミノ基含有ポリウレタンにラクト
ン類、サルトン類、環状カルボン酸無水物を反応させる
か、あるいはウレタンプレポリマーにジアミノスルホン
酸類やジアミノカルボン酸類を反応させて、スルホン酸
塩基やカルボン酸基をポリマー鎖に側鎖の形で導入する
ことにより得られる。また、スルホン酸基をポリマー鎖
に導入する方法として芳香族ポリイソシアネートの直接
スルホン化する方法もある。以上のような基本的な製法
に加えて、親水基の疎水化や架橋反応に注目した方法も
ある。例えば、ウレタン結合間をホルムアルデヒドを用
いてメチレン基で架橋させる方法、ハロヒドリン構造を
ポリウレタン鎖に導入して熱硬化性を付与する方法、エ
ポキシ化合物による架橋、N−メチロール化合物による
架橋、アジリジン化合物による架橋とカルボキシル基の
疎水化等がある。
【0019】本発明において、水性ポリウレタン樹脂の
THF溶媒に対する不溶性をコントールする方法につい
ては、特に限定するものはないが、一般には、架橋度を
適性化することにより容易に達成され、上記方法の中で
も例えば、ホルムアルデヒド、エポキシ化合物、N−メ
チロール化合物、またはアジリジン化合物などを用いて
適宜架橋が行われる。本発明に好ましく用いられる水性
ポリウレタン樹脂の具体例としては、ゼネカ(株)製の
NeoRez R−960、R−986、R−940
9、大日本インキ化学工業(株)製のボンディック18
50NS、ハイドランHW930、三井東圧化学(株)
製のXUE−1009、および三洋化成工業(株)製の
ユーコートUX−4300などが挙げられる。
【0020】さらに、本発明において用いられる水性ポ
リウレタン樹脂について検討を重ねた結果、ヒートシー
ル試験により得られる加熱融着開始温度と、得られた受
像シートの耐ブロッキング適性の間には、優れた相関関
係のあることが判明した。すなわち、特定の加熱融着開
始温度を有する水性ポリウレタン樹脂を用いて多孔性イ
ンク受容層を形成することにより、ドット再現性、階調
再現性およびカラー画像の鮮明性等などが優れ、特に高
温での耐ブロッキング性に優れた受像シートが得られる
ことを見出した。
【0021】本発明において用いられる水性ポリウレタ
ン樹脂としては、ヒートシール試験による加熱融着開始
温度が80〜160℃の範囲であることが好ましく、1
00〜150℃がより好ましい。特に120〜145℃
が好ましく、高温での耐ブロッキング性に極めて優れた
受像シートが得られる。加熱融着開始温度が80℃未満
の場合には、機械的攪拌を施したのち、水性ポリウレタ
ン混合樹脂液中に多数の微細気泡を含有させた塗料を、
支持体上に塗工、乾燥して形成した多孔性インク受容層
がベタツキを有することがあり、耐ブロッキング性が低
下したり(インク受容層と受像シート裏面との粘着性が
増加して、多孔性の塗膜構造が破壊される)、あるいは
溶融熱転写プリンターへの給紙ロールとの間の粘着性が
増加して、安定した給紙が困難になり、画質が低下する
場合がある。一方、加熱融着開始温度が160℃を越え
ると、多孔性インク受容層自体が脆くなり、溶融インク
の転写性が低下して、良好な画像の形成が困難になる可
能性もある。
【0022】ヒートシール試験による、水性ポリウレタ
ン樹脂の加熱融着開始温度の測定については、上質紙の
一面上に、水性ポリウレタン樹脂液を塗工、乾燥した
後、一定面積のポリウレタン樹脂液塗工切片を切り取
り、この切片のポリウレタン樹脂液塗工面に、同一サイ
ズの未塗工の上質紙切片の一面を重ね、熱傾斜試験器
(東洋精機(株)製)を用いて加熱下で両者を一定圧力
で圧着して評価され、加熱温度を変えて、各温度で加熱
圧着された試料から上質紙切片をゆっくりと剥がしたと
き、界面のポリウレタン樹脂との粘着によって上質紙表
面の紙層に破壊が生じ始める温度が、加熱融着開始温度
である。
【0023】本発明において、水性ポリウレタン樹脂の
ヒートシール試験における加熱融着温度をコントロール
する方法については、特に限定するものではないが、一
般には、架橋度を適性化することにより容易に達成さ
れ、例えば、ホルムアルデヒド、エポキシ化合物、N−
メチロール化合物、またはアジリジン化合物などを用い
て適宜架橋が行われる。より好ましく用いられる水性ポ
リウレタンの具体例としては、ゼネカ(株)製のNeo
Rez R−960、R−986、大日本インキ化学工
業(株)製のボンディック1850NS、三洋化成工業
(株)製のユーコートUX−4300、および三井東圧
化学(株)製のXUE−1009などが挙げられる。
【0024】また、本発明の水性ポリウレタン樹脂は、
記録性能の要求レベルあるいは記録装置の適性に合わせ
て、公知の各種水性樹脂と混合使用することも可能であ
り、下記に例示するような水性樹脂の1種類以上と併用
することができる。例えば、種々の分子量およびケン化
度のポリビニルアルコールおよびその誘導体、デンプ
ン、その誘導体、および、例えば酸化デンプンのような
各種加工デンプン、メトキシセルロース、カルボキシメ
チルセルロース、メチルセルロース、およびエチルセル
ロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、
ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド−アクリル酸
エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エス
テル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水
マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリアクリルアミド
およびその誘導体、およびポリエチングリコール等の水
溶性樹脂、並びに、ポリ酢酸ビニル、スチレン−ブタジ
エン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共
重合体、ポリ塩化ビニリデン等のラテックス等の水分散
性樹脂、さらにはニカワ、カゼイン、大豆タンパク、ゼ
ラチン、アルギン酸ナトリウム等を用いることができる
が、これらに限定されるものではない。これらの樹脂の
中で、ヒートシール試験における加熱融着開始温度が8
0℃未満の樹脂の場合には、加熱融着開始温度が80℃
以上の高めの水性ポリウレタン樹脂と適切な配合比で配
合することにより使用可能である。
【0025】本発明において、多孔性インク受容層に含
ませることができる顔料としては、例えば酸化亜鉛、酸
化チタン、炭酸カルシウム、珪酸、珪酸塩、クレー、タ
ルク、マイカ、焼成クレー、水酸化アルミニウム、硫酸
バリウム、リトポン、コロイダルシリカ等の無機顔料、
ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキ
シ樹脂、スチレン−アクリル共重合体等の真球、中空あ
るいは、さまざまな形状に加工されたタイプのプラスチ
ックピグメントと称される有機顔料やデンプン粉末、セ
ルロース粉末等を用いることができるが、これらに限定
されるものではない。また、これらの顔料は必要に応じ
て単独にまたは2種以上混合して使用することができ
る。
【0026】なお、本発明における多孔性樹脂塗膜は、
その構造から推察されるように、本質的に塗膜強度が強
いとはいいがたいので、各種顔料を配合すると塗膜強度
がさらに低下して、前記のように画像剥離を生じる等の
トラブルの原因となることもある。従って、水分散型樹
脂含有液に各種の顔料を含ませて、多孔性インク受容層
を形成する場合には、受像シートとしての総合的な品質
を考慮して、適正な配合率で使用することは当然であ
る。気泡形成前の樹脂あるいは樹脂および顔料の混合物
を含む液状物中には、必要に応じて公知の粘度調節剤、
分散剤、染色剤、耐水化剤、潤滑剤、架橋剤、可塑剤等
を添加することができる。
【0027】多孔性インク受容層支持体上への塗工量
は、支持体の一面上の1m2 当たりの乾燥重量が2gか
ら40g(2g/m2 から40g/m2 )の範囲にある
ようにするのが好ましい。塗工量が2g/m2 より少な
い場合には、支持体の表面の粗さを十分に被覆するのが
困難になることが多く、適正な平滑性を持った表面の受
像シートが得られなかったり、十分な断熱性や圧縮変形
性が得られないことがある。一方それが40g/m2
越えるような場合は、多孔性インク受容層の厚さが過大
となり、多孔性インク受容層内の結合強度が低下して、
画像を形成した際にこのインク受容層が剥離する等のト
ラブルを発生し、良好な画像が形成できないこともあ
る。従って、多孔性インク受容層の塗工量の適正化は、
樹脂含有液組成の適正化と同様に十分な注意を払うのは
当然である。
【0028】本発明において多孔性インク受容層は、前
記の水性ポリウレタン樹脂液、あるいは水性ポリウレタ
ン樹脂および顔料を主成分として含む混合物液に多数の
微細気泡を含有させ、これをシート状支持体上に塗工
し、乾燥することによって得ることができる。気泡を形
成、含有させる方法、設備、および塗工方法には特に厳
格な制限はない。
【0029】また気泡を含有する水性ポリウレタン樹脂
含有液の気泡含有状態にも特に制限はないが、好ましく
は、発泡倍率(一定重量の塗料で比較した、気泡含有液
の原液に対する体積比)が1倍を越え10倍以下である
ことが好ましく、より好ましくは1倍を越え5倍以下で
ある。すなわち発泡倍率は気泡含有水性ポリウレタン樹
脂含有液中の気泡含有率を示す尺度であり、発泡倍率が
大きくなると気泡を構成する樹脂膜(壁)の厚さが薄く
なることを意味している。このように、樹脂膜が薄くな
ると、得られる多孔性インク受容層の強度を十分なレベ
ルに維持することが困難になることがあり、この点にお
いて、発泡倍率と水性ポリウレタン樹脂含有混合液組成
とのバランスには十分な注意を払うべきである。
【0030】また、本発明における、優れた溶融インク
転写適性の発現メカニズムは、多孔性インク受容層およ
び受像シートの構造的特性、圧縮特性等の物理的特性が
関与しているものと考えられる。構造特性の面において
は、支持体上に形成された本多孔性インク受像層の表面
には微細な孔が多数存在するために、毛細管力による溶
融インクの吸収があること、さらには多孔性インク受像
層内に含有されている多数の気孔が相互に連通している
(連続気泡を構成している)ので、多孔性インク受像層
内への溶融インクの浸透性が良好となって、高いインク
受容能力を発現すると考えられる。
【0031】この点において、受像シート上に形成され
た多孔性インク受容層の表面の気孔の大きさは重要であ
る。すなわち、溶融インクを転写したとき、良好な画像
を本発明の受像シート上に形成するには、多孔性インク
受容層の表面の平均気孔直径が0.5から30μmの範
囲にあることが必要であり、好ましくは0.5から20
μmの範囲である。気孔直径は、その大きさ(サイズ)
に起因する毛細管現象により溶融インクを捕獲する能力
と関係しており、気孔が小さいほどその能力は大きい。
気孔のサイズが過大になると、気孔内に転写インクが埋
没したり、インクリボンと多孔性インク受容層表面との
良好な接触を阻害するために転写不良あるいは転写むら
の原因となり、またドット再現不良を起こして良好な画
像が形成できなくなる。なお、多孔性インク受容層表面
の気孔直径は、光学顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡写
真と画像解析装置を用いて、計測することが可能であ
る。
【0032】また、気孔の大きさは、気泡形成・分散処
理前の水性ポリウレタン樹脂含有混合液の組成、すなわ
ち材料の種類、配合比率、起泡、塗工、乾燥後に多孔性
インク受容層中の膜厚さに直接関係する成分として残存
する量、あるいは前記の発泡倍率、塗工方式等、種々の
要因によって影響されることが多いので適正な条件の設
定が必要である。さらに本発明における多孔性インク受
容層の表面の気孔の大きさは、機械的撹拌によって得た
気泡含有樹脂液中の気泡の大きさとも関係しており、お
おむね樹脂含有液中の気泡が小さいほど、塗工、乾燥後
のインク受容層表面の気孔も小さくなるので、水性ポリ
ウレタン樹脂含有混合液の気泡含有状態には特に制限は
ないものの、前記の多孔性インク受容層の表面と同じ大
きさ、すなわち平均直径が0.5から30μmの微細気
泡が分散、混合されていることが好ましく、より好まし
くは、平均直径が0.5から20μmの範囲にあるのが
良い。含有された気泡の大きさは、その一部を光学顕微
鏡で写真撮影し、画像解析装置で計測することが可能で
ある。
【0033】本発明において、水性ポリウレタン樹脂含
有液に気泡を形成含有分散させる方法(以下これを発泡
方法と記す)は、例えば遊星運動をしつつ回転する撹拌
翼を有するいわゆる製菓用の発泡機、一般に乳化分散等
に利用されているホモミキサー、カウレスディゾルバー
等の撹拌機あるいは密閉系内に空気と樹脂含有液の混合
物とを連続的に送入しながら機械的に撹拌を施し、空気
を微細な気泡に分散、混合できる装置、例えば米国のガ
ストンカウンティー社、オランダのストーク社等の連続
発泡機を用いることができるが、特に厳格な制限はな
い。また機械的撹拌を施すための設備の能力が不足であ
るために、所期の気泡含有状態が得られなかったり、あ
るいは気泡含有樹脂液中の気泡の安定性を向上する目的
で、整泡剤、発泡剤と称されている、広範な界面活性材
料の中から適宜選定して配合することが可能である。
【0034】このような界面活性剤としては、高級脂肪
酸、高級脂肪酸変性物、高級脂肪酸のアルカリ塩等は、
特に水性ポリウレタン樹脂含有液の発泡性を高める効果
や、分散、含有させた気泡の安定性向上効果が高いので
使用することができる。これらの選定にはまったく制限
はないが、水性ポリウレタン樹脂含有混合液の流動性を
著しく阻害したり、塗工作業性を損なうおそれのある材
料の使用は避けるのは当然である。また、上記の整泡剤
や発泡剤等のような界面活性剤の使用量は、水性ポリウ
レタン樹脂液、あるいは水性ポリウレタン樹脂液と顔料
との混合液の固形分100重量部に対して、界面活性剤
固形分0〜30重量部であることが好ましく、より好ま
しくは1〜20重量部である。界面活性剤の添加量が3
0重量部を越えて多量になっても、その効果は飽和し、
却って経済的に不利になることが多い。
【0035】多孔性インク受容層を支持体上に形成する
ための塗工方式としては、メイヤーバー方式、グラビア
ロール方式、ロール方式、リバースロール方式、ブレー
ド方式、ナイフ方式、エアーナイフ方式、押し出し方
式、キャスト方式等の既知の方法から任意に選定するこ
とができる。
【0036】本発明の多孔性インク受容層を有するシー
トは、気泡含有樹脂液をシート状支持体上に塗工、乾燥
したままの状態でも良好な溶融熱転写画像を示すことが
できるが、さらに金属製ロール2段以上で構成されるマ
シンカレンダー、あるいは金属製ロールおよび樹脂製ロ
ールあるいは金属製ロールとコットン製ロール等を適宜
組み合わせて構成されるスーパーカレンダーを使用し
て、この多孔性インク受容層に仕上げ処理を施し、その
表面の平滑性をさらに向上させることができる。また塗
工後、半乾燥状態もしくは乾燥状態にあるシートの多孔
性インク受容層の表面を鏡面仕上げを施した加温あるい
は非加温状態のキャストドラム等に接触させて、その表
面平滑性を向上させてもよい。しかし過度の加圧力下で
上記平滑仕上げ処理を施すと、多孔性インク受容層中の
気泡を取り囲む樹脂壁が破壊され、インク受容層の緻密
化が生じて、断熱性やクッション性が低下するあるいは
インク受容層表面の気孔の変形や破壊が起こるため、多
孔性インク受容層が有するすぐれた溶融インク転写性能
が得られなくなることもある。従って、前記の平滑仕上
げ処理に際しては処理条件を十分に検討することが必要
である。
【0037】また本発明に用いられるシート状支持体と
しては、セルロースを主成分とする紙、塗工紙、ラミネ
ート紙等の紙類をはじめとして、織布、不織布等の布類
が使用可能である。またポリオレフィン、メタクリレー
ト、酢酸セルロース等のプラスチックフィルム類、ポリ
オレフィンと顔料からなる合成紙や発泡ポリエチレンテ
レフタレートフィルム、発泡ポリプロピレンフィルム等
の多孔質合成樹脂フィルム等を使用することができる。
これらの支持体は、断熱性の良好なものほど同一印加エ
ネルギーでドット再現性や階調再現性が良好であり、記
録濃度の増加を達成することができ、また、同一濃度、
および記録品質を得るために必要なエネルギー量が少な
くてすむため、省エネルギーにも有効である。またパル
プを主成分として含む紙や塗工紙を支持体として用いた
場合には、特にリサイクルが可能であるという利点もあ
る。
【0038】さらに前記のシート状支持体上に気泡含有
水性ポリウレタン樹脂液を塗工して、本発明の受像シー
トを製造する際、塗工、乾燥および巻き取り等の工程に
おいて、シート自体がその塗工面を内側あるいは外側に
してカールすることがある。この場合、当該シートを断
裁により所定寸法の画像形成用シートに加工したのち使
用すると、熱転写プリンターへの給紙が正常に行われな
いことがあり、あるいは該プリンター内部における走行
性が悪化する等のトラブルを発生することがある。また
溶融転写記録方式は熱源をインクリボンと接触せしめ、
リボン中の染料成分を記録用シート上に転写する方式で
あるため、画像形成面である多孔性インク受容層と、支
持体層の加熱に伴う収縮の差、もしくは膨張特性の差に
起因して、受像シートが装置内部でカールを発生し、前
記のようなトラブルが発生する。このようなカール発生
のために画像が正常な紙面方向に対して斜めに形成され
たり、装置内部でシートにしわが発生しやすくなり、こ
のためインクリボンと受像シートとの接触が正常に行わ
れず、インク転写不良を起こし、その結果、画像品質が
悪化することがある。
【0039】このようなカールが原因で生じる各種のト
ラブルを防止するためには、多孔性インク受容層と支持
体層との加熱による収縮特性の差、もしくは膨張特性の
差をできる限り小さくすることが望ましい。そのために
該シートの裏面、すなわち多孔性インク受容層に対し反
対側の面にカール防止層を塗工あるいはラミネートして
もよい。このカール防止層の材料、形成方法、塗工量、
ラミネート量等にはまったく制限はなく、支持体の種
類、厚さ、あるいは多孔性インク受容層の性状、すなわ
ち材料組成、発泡倍率、塗工量等種々の要因を勘案して
最適化をはかることができる。
【0040】また支持体の材料選定によっては、得られ
る受像シートがプリンター内で走行する際に装置の機構
上、種々の摩擦力を受けたり、加熱による装置内部の湿
度低下等の影響が単独に、あるいは複合してこの受像シ
ートに静電気を帯電させることがある。このような状態
において連続的の多数枚の画像形成を行うと、この受像
シートの画像形成面と、次の受像シートの裏面とが静電
気的に密着して剥しにくくなる。とくに各種プラスチッ
クシート類あるいは合成紙等は本質的に帯電しやすい性
質があるために、これらを支持体として利用する際は、
断裁によるシート化工程において、または加工後の保管
中に、静電気発生のためシートの表裏が剥しにくくな
る。当然のことながら紙類を支持体とした場合でも前記
のようなトラブルは起こり得る。このような帯電に伴う
トラブル防止のために、いわゆる帯電防止層を受像シー
トの裏面に形成することはきわめて有効である。また帯
電は帯電防止材料を使用すること、あるいは該シート裏
面と多孔性インク受容層とのシート間の摩擦係数を低減
することにより達成することができる。従って帯電防止
層をカール防止層形成と同様に広範な材料および方法の
中から適宜選定して形成することができる。
【0041】前記のカール防止層、および帯電防止層
は、支持体の裏面に個別に形成して所期性能を得ること
は可能であるが、製造工程の簡略化、製造コストの低減
あるいは所期の機能水準等、必要に応じて材料、形成方
法を適宜選定することにより、単一層に形成して目的を
達成することができる。すなわち単一層でカール防止、
および帯電防止等のトラブル防止性能を付与することも
可能である。従ってシート状支持体の裏面に形成される
層の数においてはなんら制限はない。
【0042】
【実施例】下記実施例によって本発明をさらに具体的に
説明する。但し本発明の範囲はこれらによって制限され
るものではない。なお、実施例および比較例中の「部」
は全て水性ポリウレタン樹脂の固形分に対する重量部数
を表す。
【0043】実施例1 下記に示す組成を有する水性ポリウレタン樹脂混合液
(固形分濃度、35重量%)を、撹拌機(商標:ケンミ
ックスアイコーPRO、(株)愛工舎製作所製)を使用
して、撹拌速度490rpmで7分間攪拌してこれに発
泡処理を行った。発泡倍率は、4.3倍であった。 樹脂混合液組成 水性ポリウレタン樹脂:THF不溶分,82.7重量% (商標:NeoRez R−960、ゼネカ(株)製) 100部 高級脂肪酸系整泡剤 (商標:SNフォーム200、サンノプコ(株)製) 5部 粘度調節用(増粘用)カルボキシメチルセルロースナトリウム (商標:AGガム、第一工業製薬(株)製) 5部 上記の気泡含有樹脂混合液を発泡処理後直ちに、米坪7
5g/m2 の上質紙の表面上にアプリケーターバーを用
いて乾燥後の塗工量が15g/m2 となるように塗工
し、乾燥して、多孔性インク受容層を形成し受像シート
を作製した。
【0044】実施例2 樹脂混合液組成中の水性ポリウレタン樹脂として、水性
ポリウレタン樹脂(商標:ボンディック1850NS、
大日本インキ化学工業(株)製、THF不溶分,95.
6重量%)100部を用いた樹脂混合液を、撹拌速度4
90rpmで3分間攪拌してこれに発泡処理を行ない、
発泡倍率が、2.7倍であった以外は、実施例1と同様
にして受像シートを作製した。
【0045】実施例3 樹脂混合液組成中の水性ポリウレタン樹脂として、水性
ポリウレタン樹脂(商標:ユーコートUX−4300、
三洋化成工業(株)製、THF不溶分,64.5重量
%)100部を用いた以外は、実施例1と同様にして受
像シートを作製した。
【0046】実施例4 樹脂混合液組成中の水性ポリウレタン樹脂として、実施
例2の水性ポリウレタン樹脂50部と実施例3の水性ポ
リウレタン樹脂50部を用いた以外は、実施例1と同様
にして受像シートを作製した。
【0047】実施例5 実施例1と同じ組成の混合液を、前記撹拌機で2分間発
泡処理を行い、発泡倍率1.5倍の気泡含有水性ポリウ
レタン樹脂混合液を調製して用いた以外は、実施例1と
同様にして受像シートを作製した。
【0048】実施例6 実施例1と同じ組成の混合液を、前記撹拌機で10分間
発泡処理を行い、発泡倍率9.0倍の気泡含有水性ポリ
ウレタン樹脂混合液を調製して用いた以外は、実施例1
と同様にして受像シートを作製した。
【0049】実施例7 樹脂混合液組成中の水性ポリウレタン樹脂として、水性
ポリウレタン樹脂(商標:NeoRez R−986、
ゼネカ(株)製、THF不溶分,52.7重量%)10
0部を用いた以外は、実施例1と同様にして受像シート
を作製した。
【0050】実施例8 樹脂混合液組成中の水性ポリウレタン樹脂として、水性
ポリウレタン樹脂(商標:XUE−1009、三井東圧
化学(株)製、THF不溶分,68.2重量%)100
部を用いた以外は、実施例1と同様にして受像シートを
作製した。
【0051】実施例9 樹脂混合液組成中の水性ポリウレタン樹脂の代わりに、
実施例1の水性ポリウレタン樹脂50部と水性アクリル
樹脂(商標:E−750、旭化成工業(株)製、加熱融
着開始温度,85℃)50部を用いた以外は、実施例1
と同様にして受像シートを作製した。
【0052】実施例10 樹脂混合液組成中の水性ポリウレタン樹脂として、水性
ポリウレタン樹脂(商標:ハイドランHW930、大日
本インキ化学工業(株)製、THF不溶分,57.9重
量%)100部を用いた以外は、実施例1と同様にして
受像シートを作製した。
【0053】実施例11 樹脂混合液組成中の水性ポリウレタン樹脂として、水性
ポリウレタン樹脂(商標:NeoRez R−940
9、ゼネカ(株)製、THF不溶分,75.0重量%)
100部を用いた以外は、実施例1と同様にして受像シ
ートを作製した。
【0054】比較例1 実施例1と同じ組成の樹脂混合液を、発泡処理を施すこ
となしに、米坪75g/m2 の上質紙の表面上にアプリ
ケーターバーを用いて乾燥後の塗工量が15g/m2
なるように塗工し、乾燥して、多孔性インク受容層を形
成し受像シートを作製した。
【0055】比較例2 樹脂混合液組成中の水性ポリウレタン樹脂として、水性
ポリウレタン樹脂(商標:アデカボンタイターHUX−
290H、旭電化工業(株)製、THF不溶分,20.
2重量%)100部を用いた以外は、実施例1と同様に
して受像シートを作製した。
【0056】比較例3 実施例1と同じ組成の樹脂混合液を、前記撹拌機で12
分間発泡処理を行い、発泡倍率12.1倍の気泡含有水
性ポリウレタン樹脂混合液を調製して用いた以外は、実
施例1と同様にして受像シートを作製した。
【0057】比較例4 樹脂混合液組成中の水性ポリウレタン樹脂として、水性
ポリウレタン樹脂(商標:ユープレンUXA−300
4、三洋化成工業(株)製、THF不溶分,45.0重
量%)100部を用いた以外は、実施例1と同様にして
受像シートを作製した。
【0058】テスト 上記実施例1〜11および比較例1〜4で用いた水性ポ
リウレタン樹脂の特性、および得られた多孔性インク受
容層を有する受像シートについて、下記のような方法で
測定、評価を行い、その結果を表1に示した。 〔THF不溶分の測定〕水性ポリウレタン樹脂液をガラ
ス板(10cm角)上に広げ、20℃、相対湿度65%
の条件下で乾燥後、さらに温風乾燥機中で120℃、2
時間乾燥し、厚さ200μm±10μmのポリウレタン
フィルムを作製した。前記フィルム0.5gを50ml
のTHF液に25℃で24時間浸積後、この混合液を1
00メッシュの濾布に通過した後、残留成分の重量を初
期重量0.5gで除した値の百分率をTHF不溶分とし
て求めた。
【0059】〔ヒートシール試験における加熱融着開始
温度の測定〕上質紙(商標:ゼロックスL紙、富士ゼロ
ックス(株)製)の一面上に、水性ポリウレタン樹脂液
をメイヤーバーにて乾燥後の塗工量が12g/m2 にな
るように塗工、乾燥後、5×10cmの切片を切り取っ
た。同サイズの未塗工の上質紙切片を予め用意してお
き、この一面とポリウレタン樹脂液塗工切片の塗工面を
重ね、熱傾斜試験器(東洋精機(株)製)を用いて加熱
下で両者を圧着した(加圧:3kg/cm2 、加圧時
間:5秒)。この加熱圧着試験を加熱温度を50から1
50℃まで5℃刻みに変えて繰り返した。各温度で加熱
圧着された試料から上質紙切片をゆっくりと剥がしたと
き、界面のポリウレタン樹脂との粘着によって上質紙表
面の紙層に破壊が生じ始める温度をヒートシール試験に
おける加熱融着開始温度とした。
【0060】〔発泡倍率の測定〕発泡処理前の樹脂含有
液(原液)100mlの重量を、発泡処理後の気泡を含
有する樹脂含有液100mlの重量で除して発泡倍率を
求めた。
【0061】〔気孔直径の測定方法〕多孔性インク受容
層の表面の気孔直径は、走査型電子顕微鏡もしくは光学
顕微鏡を使用して、受容層の表面を写真撮影した後、表
面の気孔の輪郭を正確に透明フィルム上に黒色のペン等
で描き写し、さらに、ドラムスキャナー(商標:260
5型ドラムスキャンデンシトメーター、(株)阿部設計
製)により、光学的に気孔の輪郭の情報を読み取り、こ
れを画像解析装置(商標:ルーゼックスIII 、(株)ニ
レコ製)を用いて測定した。なお、本多孔性インク受容
層表面上に形成された気孔の形状は、必ずしも真円では
ないので、気孔直径は画像解析で得られる気孔の輪郭内
の面積をもとに、円相当直径に換算して表示した。
【0062】〔耐ブロッキング性〕鏡面仕上げしたステ
ンレス板(10cm角)上に、10cm角に裁断した受
像シートを多孔性インク受容層と支持体の裏面とが交互
に接触するように10枚重ね合わせた後、受像シートの
1cm2 当たり50gの荷重が加わるように、鏡面仕上
げしたステンレス板(10cm角)と錘を乗せる。この
状態のまま60℃で相対湿度80%の環境下で24時間
保持した後、多孔質インク受容層と支持体の裏面を手で
剥がし、その剥がれ具合を良いものから順にA、B、
C、Dの4段階で評価した。ここで、全く抵抗がなく実
用的に極めて優れているものをA、ごくわずかに抵抗を
示す程度で実用的に良好なものをB、抵抗はあるが多孔
性インク受容層の破損がなく記録性能上実用的には支障
のないものをC、また糊付け状態のようになって多孔質
インク受容層が破壊され実用に適さないものをDとし
た。
【0063】〔記録性能〕得られた受像シートについて
20℃、相対湿度65%の環境下で一昼夜調湿した後、
熱転写カラープリンター(商標:Trueprint2
200、日本ビクター(株)製:本来は昇華型転写の画
像形成装置だが、溶融転写方式の画像形成もできるよう
に改造した)に供給して、その表面にインク画像を溶融
転写記録した。得られたインク転写画像について下記の
ように、その反射濃度をマクベス反射型濃度計により測
定するとともに目視評価した。なお、下記評価基準にお
いて○レベルは良好で実用に適するが、△レベル以下で
は不十分で実用に適さない。 (1)17階調で形成されるインク画像(黒単色画像)
について、マクベス反射型濃度計RD−914(商標)
を用いて印加エネルギー別に、その反射濃度を測定し、
最高反射濃度と階調再現性とを評価した。階調再現性は
良好に再現されているものから順に○、△、×の3段階
で評価した。 (2)ドット再現性は、インクリボンから受容層に転写
されたインクのドットを観察し、階調再現性と同様に良
好に再現されているものから順に○、△、×の3段階で
評価した。 (3)カラー画像の鮮明性を観察し、良好なものから順
に○、△、×の3段階で評価した。 (4)記録時のインク剥離状態は、受容層上に形成され
た画像を観察し、インクの剥離のない良好なものから順
に、○、△、×の3段階で評価した。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】本発明により、記録濃度が高く、階調再
現性、ドット再現性およびカラー鮮明性に優れ、かつ高
温での耐ブロッキング性が優れ、しかもインク剥離のな
い溶融転写インク受像シートを実用することが可能とな
り、産業界に寄与するところが大である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状支持体と、この支持体の一面上
    に、水性ポリウレタン樹脂を主成分とする樹脂含有液に
    機械的攪拌を施して塗布、乾燥することにより形成され
    た多数の微細気孔を有している多孔性インク受容層とを
    有し、前記水性ポリウレタン樹脂のフィルムをテトラヒ
    ドロフラン溶媒中に25℃で24時間浸積した時の不溶
    分が50〜100重量%であり、かつ、前記多孔性イン
    ク受容層の表面の平均気孔直径が0.5から30μmの
    範囲にあることを特徴とする溶融転写型インク受像シー
    ト。
  2. 【請求項2】 前記水性ポリウレタン樹脂のヒートシー
    ル試験による加熱融着開始温度が80〜160℃である
    請求項1記載の溶融転写型インク受像シート。
JP9004761A 1996-03-25 1997-01-14 溶融転写型インク受像シート Pending JPH09315021A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6261670B1 (en) 1998-06-16 2001-07-17 Oji Paper Co., Ltd. Hot melt ink transfer recording sheet and process for producing same
JP2020075479A (ja) * 2018-10-19 2020-05-21 南亞塑膠工業股▲分▼有限公司 Pet合成紙

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